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念を使わせてみよう小説スレッド

1281:2004/12/03(金) 01:19

「こ、こ、殺すのか、僕を!
 は、ははッ、そうだろうなあ!
 だからこその『外法』なんだもんなあ!
 他人を巻き添えにするのは嫌いなんて、いい子ぶりやがって!
 所詮貴様らは薄汚い人殺し…」
 最後まで言わせず、外法狐は無造作にマララーの拳銃を持つ手を蹴った。
「ぎゃあああああああああああああああああ!!」
 ただ蹴っただけ。
 それだけでマララーの腕が挽肉同然となって胴体から千切れ落ちた。
 マララーの体は、念でガードされていたのに、である。
「…冥土の土産に教えてやる。
 俺達『外法』が、どうして他人を巻き添えにするのを禁忌とするのか…」
 外法狐が、マララーを見下ろしたまま言った。
「俺達『外法』は、殺せるんだよ。
 理由も何も無くてもな。
 だけど、俺達は殺しに理由を求めなければならない。
 確固たる自分の信念を持って、殺さなければならない。
 そうでなきゃ、俺達はただの化物だ」
 外法狐は侮蔑の眼差しをマララーに向けたまま、話を続ける。
「殺す時は、己の理屈に基づき、己の理由で、己の為に、己の手で殺す。
 これが『外法』唯一の戒律だ。
 だからこそ、俺達は人を巻き添えにしてはならない。
 己の理屈も理由も関連しないのに、己の所為で人が死ぬのは耐えられない。
 だから、人を自分の巻き添えにしない事には命を賭ける」
 それは詭弁だった。
 どっちみち、殺す事には変わりは無いのだ。
 そしてそれは矛盾だった。
 殺すのに理由や理屈が要らないからこそ『外法』である筈なのに、
 『外法』は理由や理屈で己を正当化しようとしている。
 それは愉快で奇怪な戯言であった。
「…そして、俺は巻き添えにしてしまった。
 何の罪も無い少年を、傷つけてしまった。
 少年の家族を、殺してしまった。
 帰る場所を、奪ってしまった…」
 外法狐が、悲し気な表情を一瞬見せる。
 が、すぐにそれは能面のような無表情に変わり、
 怖気の立つような殺意のこもった目でマララーを見据えた。
「…喋り過ぎたな。
 そろそろ、殺すとするか」
 ぽつりと、まるで挨拶でもするかのような平坦な声で、さも当然の如く外法狐は呟いた。
 殺す。
 それがどういう事か、どういう結果をもたらすのか理解した上で、外法狐は殺すと言った。
「ま、待て!
 嫌だ! 僕はまだ死にたくな―――」
「俺が俺である為に、死ね」
 外法狐の拳が、マララーの亀頭のような頭を打ち砕いた。





「おーい、生きてるかー」
 マララーを殺した外法狐はタカラギコの家に戻り、倒れたままのフーンに声をかけた。
「…何とかな」
 全身ススだらけになったフーンがよろよろと身を起こす。
「そりゃ重畳。
 で、悪いんだけどすぐにここから逃げるぞ。
 ついそこで一人殺しちまってね、お巡りさんが来るかもしれない」
 悪びれもせず、外法狐は告げた。
「…お前は、もっと事を穏便に済ますという事が出来ないのか?」
 フーンが煙草を咥えて火を点け、大きく息を吸い込んでから煙を吐いた。
「悪かったな。
 それより、とっととずらかるぞ。
 肩を貸した方がいいか?」
「頼む」
 外法狐はフーンの肩を担ぎ、外に出るべく玄関に向かう。
 外法狐の方がマララーの攻撃を多く喰らった筈なのに、
 受けたダメージはフーンより外法狐の方が少ない。
 その事に、フーンは心からの畏怖を覚えると共に、
 こんな化物に想いを寄せるタカラギコの正気を疑うのであった。


                 〜続く〜


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