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念を使わせてみよう小説スレッド
120
:
1
:2004/11/30(火) 00:16
「…あの」
丁度いい機会なので、僕は一つ質問する事にした。
「何かね、少年」
狐さんが返事をする。
「多分、前襲って来た侍って『冥界の支配者』の刺客ですよね。
でも何であの人ってたった一人で来たんでしょう?
本気で僕を殺すつもりなら、もっと集団で連続で襲って来てもいいと思うんですが…」
僕は小さな声で訊ねた。
どう考えてもあの襲撃はおかしい。
あの時はたまたま狐さんが居なかったものの、
もし狐さんとあの侍が戦えば、返り討ちに遭うのは必至だ。
『冥界の支配者』は僕を狙っているというのに、これは少し異様だ。
「…どうやら、少しは頭が回るらしいな」
フーンさんが感心したように呟く。
「教えてやるよ、少年」
狐さんが僕を見据えて口を開いた。
「『冥界の支配者』は、あの下種は、お前をネチネチいたぶるのを楽しんでいるのさ。
自分は絶対に安全な場所に居て、標的であるお前を生かさず殺さず痛めつけようとほくそ笑んでる。
『冥界の支配者』ってのはそういう奴だ」
そんな理由で…
そんな理由で、僕の家族や、しぇりーちゃんを…!
「許せねえよなあ…」
その狐さんの呟きに、ゾクリと背筋に悪寒が走る。
まるで、狐さんの周囲の温度だけが、絶対零度まで下がったかのようだ。
「殺す必要なんてないのに、
殺さなくっても生きていける筈なのに、
快楽の為に殺す、ってか。
許せねえ、許せねえよ…
『外法』である俺には、それがどうしても許せない。
殺す以外の選択肢を選べるのに、敢えて殺す方を選ぶその存在が許せない…!」
狐さんの手の中のコップが、音を立てて砕け散った。
心の底からの憎悪。
狐さんが、怒っている。
吹き荒れる負の感情。
フーンさんとアヒャさんは、その様相に恐怖を隠せない。
「……」
だけど、僕は狐さんを恐いとは感じなかった。
少しも、恐いとは思わなかった。
だって、横から見る狐さんの怒った顔は、とても哀しそうだったから。
「……」
狐さんは、怒っていた。
だがそれは、誰に対する、何の為の怒りだったのか。
でも僕にそれを知る事なんて、出来る筈もなかった。
〜続く〜
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