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念を使わせてみよう小説スレッド

121:2004/11/11(木) 17:41
 グシャアッ!

 狐さんの顔面に、殺人鬼の拳がめり込んだ。
 肉が潰れ、骨の砕ける音。
 おそらく狐さんの顔は見るも無残に陥没している筈だ。
「どうした、その程度か?」
 ―――!
 僕は耳を疑った。
 馬鹿な。
 あんなに凄い音がしたのに、どうしてこの人はこんな平気な声が出せるのだ!?
 いやそれよりも、どうしてこの人は生きているんだ!?

「……!」
 僕は戦慄する。
 肉が潰れ、骨が砕けていたのは殺人鬼の腕のほうだった。
 ありえない。こんな事、ありえない。
 この人の体は、鋼鉄製だとでもいうのか!?

「それじゃあ、今度はこっちの番だな」
 狐さんは先程の殺人鬼の一撃など毛程も効いていない様子で、腕を大きく振りかぶった。
 あまりにも単純な、あまりにも愚直な、あまりにも率直なパンチの為の姿勢。
 攻撃準備態勢。

「……!?」
 目を凝らすと、狐さんの周りに何かもやのようなものが纏わり付いているのが見えた。
 そのもやは、狐さんの今まさに放たれんとする右拳に特に大きく纏わり付いている。
 何だ、あれは?
 目の錯覚かなにかなのか?

「いくぜ…!」
 臨海まで力を溜めた狐さんが、今まさに拳を打ち込もうとした。

 轟音。

 振り上げた拳を振り下ろす、ただそれだけの行為。
 たったそれだけの筈なのに、僕には狐さんのその動作が見えなかった。
 あまりにも速く、あまりにも強く、それはあまりにも常軌を逸し過ぎていて、
 地面に出来た小規模のクレーターと、半分以上挽き肉と化した殺人鬼の有様を見て、
 ようやく何が起こったのか理解出来る、それ程の超常現象。
 文字通りの一撃必殺。

「…っと。 少しやり過ぎたかな」
 袖を払いながら、狐さんが呟く。
 ……。
 目の前で起こったこの世ならざる出来事に、思考が追いつかない。
 落ち着け。考えろ。
 今、僕がするべき事は…


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