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念を使わせてみよう小説スレッド

1161:2004/11/29(月) 02:17

「…本当はさ」
 外法狐が呟くように言った。
「うん?」
「本当は、未練なのかもしれないな。
 まだ、俺にも普通の生活が出来るんじゃないか。
 漫画を読んで、ゲームして、友達と遊んで、下らない事で大騒ぎして、
 …誰かを、好きになって。
 そういうありふれた、ごく普通の生活をする余地が、俺にも残されているんじゃないか、
 そんな未練が、まだ残ってるんじゃないかって事さ。
 だから、しぇりーと友達でいたい。
 あの少年との、ぬるま湯のような距離感に浸っていたい。
 だから、あの少年の問題は可能な限り先延ばしにしたい。
 でも、俺が普通の生活をするなんて、とっくの昔に手遅れになってるってのにな。
 とんでもない笑い話だ」
 外法狐は自嘲気味に笑った。
 フーンは思う。
 この化物は、誰よりも人間らしくない。
 だからこそ、誰よりも人間らしくあろうとするのだ、と。
 それは何と愚かしく、何と憐れな存在であるのか。
 神は何を思って、このような存在を生み出したのか。

「…はは、ガラにもなく喋り過ぎたな。
 今の話は聞かなかった事にしといてくれ。
 特に、あの少年には教えるなよ?」
 外法狐が欠伸をしながら立ち上がった。
「それは分かったが、あんたもそろそろ休んだらどうだ。
 あの少年が起きるまで、碌に睡眠を取っていないのだろう?
 見張りは俺とアヒャでやっておく」
「お気遣いありがとうさん。
 それじゃ、お言葉に甘えて寝させて貰うよ」
 もう一度大きく欠伸をして、外法狐は待合室から立ち去るのであった。


                〜続く〜


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