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念を使わせてみよう小説スレッド

1141:2004/11/29(月) 02:16

「…あの坊や、あんたに惚れているぞ。
 それも、かなり重症なくらいに」
 少しの静寂の後、フーンの方から口を開いた。
「うわ、やっぱり? 俺も罪な女ねー」
「それを知っていて、なおかつ弄ぶような気持ちで、
 さっきあの坊やにあんな事をしたというのなら、俺はあんたを軽蔑する」
 きっぱりと、フーンは言い放った。
「……」
 外法狐は何も答えない。
「差し出がましい事かもしれんが、
 そっちにその気が無いのなら、さっさとその事を坊やに教えてやれ。
 中途半端な希望を残したままにするのは、絶望を突きつけるより下劣な行為だぞ。
 それに、気の無い相手に好かれても迷惑なだけだろう」
 窓から診療所の外を不審者が来ていないか見張りながら、フーンが淡々と告げる。
「…迷惑じゃあ、ないさ。
 あそこまで真っ直ぐに想いを寄せられて、悪い気のする奴は居ないよ」
 視線を落としたまま、外法狐は呟いた。
「だったら―――」
「だけど、俺はあの少年の想いには答えられない」
 外法狐は静かに告げた。
「それは、あの坊やを愛してはいないという事か?」
「…まあ、そんなもんかな。
 正確に言えば『愛してはいない』というより『愛してはいけない』だけど」
「?」
 フーンが首を傾げる。
「あの少年の事を本気で好きになったら、俺は間違い無く少年を殺す」
 ―――!
 フーンは絶句した。
 外法狐は、何の躊躇いも無くはっきりとそう答えたからだ。
「これは予想なんかじゃないぜ?
 それよりもっと確かな、言うならば予言の域さ。
 それくらい確信して、俺は少年を殺すと断言出来る」
「それは、どういう…」
「誰かを愛するというのは、そいつを自分のものにしたいという感情と表裏一体だろ?
 つまりはそういう事さ。
 俺が少年を好きになれば、俺は少年が誰かのものになるのが我慢出来なくなる。
 少年が俺以外の誰かと話せば、俺はその話してた奴を殺す。
 少年が誰かと手を繋げば、俺はその手を繋いでた奴を殺す。
 そして最終的には、俺以外の存在とあの少年が接するのが耐えられなくなり、
 永遠に自分のものにする為に少年を殺す。
 これはコーラを飲んだらゲップが出るってくらい、
 当然で確実で必然な事実であり理論であり概念であり理屈であり戒律だ。
 もう一度言うぞ?
 俺が心から少年を愛せば、俺は絶対に少年を殺す」
 フーンはそれを聞いて、この目の前の殺人鬼を理解するのを諦めた。
 同時に目の前の殺人鬼をこれ以上無いくらいに理解した。
 ああ、だから、こいつは外法なのか。
 こいつには、殺すという選択肢以外は存在しないのだ。
 殺す為に殺し殺さない為に殺し殺す故に殺し殺さない故に殺す。
 殺す。
 殺す。
 殺す殺す殺す。
 そこには最早『殺す』という以外の何の概念も存在しない。
 『殺す』存在だから殺す。
 そうとしか言葉で表せれない。


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