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萌えろちっくにゴーストSS
25
:
名無し~3.EXE
:2003/11/29(土) 02:56
「ん?」
白いビニール袋を手にぶら下げながらこの部屋の主、赤十字遥が紗那の顔を見る。
「を、どうした紗那。なんか泣きそうな顔に見えるんだが」
「は、遥さん……?」
「んー? なんだその意外そうな表情は。ははぁ、お前さんの事だからアレだろ、目が覚めて姿が見えなかったからもう帰ったとでも思ったか? うん?」
「は、ははは……はい、実は……」
紗那につられてくっくっ、と笑いながら遥は手に持ったビニール袋を示して言った。
「腹へったからさ、ちょっとそこまで食うもん買いに行ってたんだ。それに私は今日辞めるっつったけど、途中で仕事放棄したりするほど落ちぶれちゃいないよ」
「……先生っ!」
堪えきれず紗那が遥の胸に飛び込んだ。驚いた遥は手に持ったビニール袋を取り落としそうになりながら、自分の胸で泣く少女を見下ろす。
「お、おい紗那」
「先生っ、私、私……」
「…………」
「先生、私、今はこんなドジだけど、いつか、絶対に……」
遥は袋を持ってない方の手で優しく紗那の頭を撫でてやった。
「……ああ。いつかお前も私のところに来い。そん時は歓迎してやる」
紗那は声にならない声で泣きながら、必死で縦に頭を振る。遥はそんな少女をなだめるように優しく、しかし力強く叩いてやる。
「そん時までには、泣き虫も直しとけ、な……?」
笑いかける遥の顔は、とても優しげで、とても嬉しそうな笑顔だった。
二人が再び出会うのは、そう、遠くない未来。
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