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萌えろちっくにゴーストSS

21名無し~3.EXE:2003/11/29(土) 02:50
「え……?」
カシャン、と固いものが床に落ちる音がした。視線は窓の外のまま、敢えて感情を込めずに続ける。
「そもそもここで働くようになったのは、逃げてきたからだった。重圧と苦痛が渦巻く毎日に、疲れきっていたから。ここでの日々はとても退屈で、面白味が無くて、でも、凄く心地いいものだった」
「は、遥先生……?」
「これ以上甘えてちゃ行けないと思うようになったんだ。怠惰な毎日に埋もれて、いつの時からか「それでもいいや」って思うようになってた。
だけど、ある人物に教えられたんだ。そいつはドジで、おっちょこちょいで、いつでもニコニコしてて、でも瞳の奥のギラギラした所でいつでも何かを見つめて、追い求めてた」
くるり、と椅子を回転させて向き直ると、呆けた顔で見下ろす紗那の姿が目に入る。
そうだ、今はその端に涙を浮かべたその目の奥の光に、私はいつの間にか射竦められてしまったんだ。
立ち上がり、そっとその細い身体を抱き寄せて耳元で囁く。
「今日で、お別れだ。何か最後に一つくらいのお願いなら聞いてやるが、何か無いか?」
「え…………」
「最後だからな、私に出来る事ならなんでもするが、どうだ?」
抱きしめた腕を緩め、両手で頭を抱えるようにして真正面から見つめると、驚いた紗那の顔が朱に染まった。
間近で感じる息を飲む音。考え込むようにしばらくうつむき、所在なさげに目を泳がせる少女。そして、意を決したように息を吸い込むと、真正面から見つめ返してくるそのまっすぐな瞳。その全てに惹かれていた。
(この私ともあろう者が、な……)
心でそっと嘆息しながら遥は返事を待った。
「あの……キス、してもいいですか?」
「ふむ……」
顔を真っ赤にしながらいう少女を陶酔にも似た心地で眺める内、心の奥底でざわり、と何かがうごめくのを感じる。
遥は少女の頭に回した両手を引き寄せ、不意打ちのように唇を奪うと、妖艶な笑みを浮かべて言った。
「キスだけでいいのかい?」
そのまま返事を待たず、少女を身体ごと患者用のベッドに押し倒した。


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