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企画もの【バトル・ロワイアル】新・総合検討会議2

753See you 〜小さな永遠〜(8/20) ◆29ZH4ztR.E:2011/08/13(土) 23:53:51
 
とはいえ、紗霧は何も感じなかった。
弱冠にして達人の域に達しつつある御神流師範代ゆえに
察することの出来た、隠蔽された気配なのであろうか。
それとも……

「……向こうです」

恭也は顎で気配の方向を指し示しつつ、腕を紗霧の肩から抜いた。
紗霧は触れた外気の冷たさに身を震わせた。
現実感が彼女を飲み込んで、夢心地は吹き飛んだ。
胸中のしびれる感覚は失せ、紗霧は神鬼軍師たる己を取り戻す。

(なんでしょう、この感覚。 ……胸騒ぎ? 虫の知らせ?)

紗霧の不安感と躊躇をよそに、恭也の歩みは迷い無い。
一直線に月だまりを脱し、茂みを掻き分ける。
紗霧はその挙動の力強さにたじろぎつつも、言うべきことは言った。

「恭也さん、病み上がりの体では危険です。
 一旦小屋まで戻り、まひるにでも様子を伺わせましょう」

紗霧の言葉に、恭也は答えない。
まるで何者かに導かれるかの如く藪を漕いでゆく。
紗霧の正体定かならぬ焦燥感はますます強くなる。

「ランス、まひるさん! こちらに来てください、急いで!」

紗霧は援軍を要請しつつも、援軍など要らないのだと直感していた。
胸中で渦を巻く不安感は確かにある。
しかし、その不安感は生命の危機を伴う類のそれではないと、確信していた。
恭也もそれを理解しているが故に、こうして愚直に進んでいるのであろう。


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