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企画もの【バトル・ロワイアル】新・総合検討会議

516檻の外、箱庭の中(5):2008/11/17(月) 02:29:00

目の前が突然真っ暗になった。


       □       ■       □        ■

――今日、わたしはここを出る。
目の前には薄暗く、古びた木の板で作られた部屋があった。
そこは昨日までのわたしの居場所だった。
物心が付く前、わたしはここに連れて来られたという。
故郷から攫われ、ここに売られたのだ。

でもそれほど自分を不幸と思ったことはない。
聞いた話とラジオからの情報を合わせると、わたしの故郷と思わしき国は飢饉や暴力に見舞われて、
多くの住民は明日とも知れない日々をすごしているようだったから。
この町の外にしたって頼るものなく生きようとするのには、かなりの苦労が必要だろう。
何度も町の外を見ていただけに解る。
積極的に奪う側になるか、奪われ尽くされるかのどちらかの道を、選択せざるを得ない暴力の世界が待ってるに違いない。

いつの日だったか、憂さ払いにわたしを虐めに来た女の子を返討ちにした時でさえ、
後の非難と恨みのこもった眼差しには結構応えたんだ。
そんな道を選ぶくらいなら、まだここにいた方がいいと思った。
何だかんだで勉強させてくれたし、わたしだけかも知れないが特別扱いさせてくれたのが解ってたから。

……けど、それも今日で終わり。
わたしを引き取りに、あの銀髪の陽気な人が迎えに来る。
数日前、わたしを幼女にしたいと申し出にきたどこかの国の富豪。
店の人が身元を確認した限りでは、大丈夫そうとのことだった。
引き取り先が臓器密売所や、外国の特殊部隊だったらどうしようかと思ってただけに安心した。
ちょっと胡散臭そうなのが不安だったけど、こんな理由で拒んでも仕方ない。
おばあさん達には大金が手に入り、わたしがいなくなった分だけ食い扶持が減る。
何より周りに疎外感を味あわせなくてすむのなら、これでいい。
少し寂しいけど。




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