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企画もの【バトル・ロワイアル】新・総合検討会議

198誘導・後編(続き25) ◆98ZwrBkTNw:2006/04/14(金) 05:00:11
 
                    ●

 吐く息は荒い。
 だが走るスピードはまだ、落ちていない。
 これなら、まだ主催者と戦える。
 アインはそう実感しながら、楡の木に向かって走る。
《…………。気は生命力でもあるからな、使いすぎに気をつけろよ》
 カオスの忠告に、アインは頷く。
《どうした…?》
 アインは顔を青ざめさせていた。
 カオスの問いにも答えられなかった。
「………。こんな手に引っかかるなんて…」
 どちらかといえば、切り抜けるわずかな隙を作るための方便で、同士討ちまでは期待してなかった。
 アインの脳裏に数年前の出来事が浮ぶ。
 
 夜。
 そこには三人の男女がいた。
 腹を撃たれ、意識を失った自分。
 自分を抱えながら嘲笑する、銃を持った銀髪の中年男。
 デザートイーグルを手に持ち、自分達に向かって叫ぶ少年。
 
「っ……」アインは顔をしかめながら、見えてたはずの無い光景を頭から振り払おうとした。
「…………」それくらいでは消えなかった。どうして、頭に浮かんだのかもよく解らないでいた。
《…油断するなよ》
 アインは記憶を取り戻した直後の玲二とのやり取りを思い出す。
「(彼も、こんな気分を何度も味わったの?)」
 身体の内部に冷たく重い何かが残留するような嫌な違和感。
 アインはそれを消し去るべく、素敵医師への憎悪を呼び起こした。
「……」芥が焼却されるかのように徐々にソレが消えていくのを感じた。
 アインは深いため息をついた。
 相手が単独ならカオスの力抜きでも充分対処できる。しおりでもだ。
《…………》
 走るスピードを上げる。
 
「………………」  

 
 苦肉の策だった。




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