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企画もの【バトル・ロワイアル】新・総合検討会議

139心にただ降り積もる(前編・6) ◆98ZwrBkTNw:2006/03/13(月) 01:59:48
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素敵医師はまるで普通人が白昼夢を見ているような感覚に包まれながら、歩を進めた。
こつ…こつ…と軽やかな足音が聞こえたような気がした。
素敵医師はそれに気を止めなかった。
薬を手に入れるのが先決だからだ。
突如、周囲が完全な闇に包まれた。
彼がその異変に反応するよりも早く、目前に白い塊が出現する。

『それ』は白鯨に酷似していた。

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「キミなら、そう言ってくれると思ってたよ」
 主に異世界人同士で行われる殺人ゲームの管理スタッフとしてのルドラサウムからの誘い。
 報酬は永遠の命と、現状の改善。
 素敵医師に断る理由などなかった。
 むしろ、この状態でなくても望むところだ。
 ゲームの説明はルドラサウムの部下からされるという。
 素敵医師はすぐにでも、異世界に旅立っても良いと思っていた。
「その前に、前払いをしておかなきゃねー」
 彼らの目前に赤黒い球体が現れた。


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 飲み込んだ赤黒い球体は血の味がした。
 これで躰の崩壊は止められるはずだ。
 ルドラサウムから報酬とその前払いの説明を受けた彼に突如、睡魔が忍びこむ。
「そうそう……言い忘れたけどー」
 素敵医師は、どこかとぼけた感じの神の声を聞き逃さないように耳を傾けた。
「キミの願いさー、もしかしたらゲーム中に叶うかも……」
 素敵医師は口を開けた。
「……知れないよ〜。 これって、キミだけのサービスかな?キャハハハハハハハハ……」
 ザドゥにとって耳障りなその笑い声は、素敵医師には心地良く聞こえた。

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素敵医師がいなくなった異空間。
ルドラサウムはさっきまで彼がいた空間を見つめていた。
その口元には無邪気な笑みが浮かんでいた。

――――それは正和37年 シコク某所での出来事


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