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【場】『 大通り ―星見街道― 』 その2

735村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/11(土) 23:28:47
>>734

 「ふむ、そのカオを見るに、本来は『そういうタイプ』じゃないらしいな。」

そう言って一瞬考えるそぶりを見せた後、言葉を続ける。

 「なんでか知らんが、その『エド・サンズ』は今独立して動いている。
 本体が『かき氷』になったことも、お前と『七條』という人間が調査を始めたことも、『一抹』という人間が洗脳されたことも・・・
 すべて憶えている。この街を冬の風物詩・・・『クリスマス』で染めるために、独自の動きをすると言っていた。
 駅前の『掲示板』あるだろ。あそこに一筆書いておけば連絡がとれるように話をつけておいた。」

事前に運ばれてきていたコーヒーをひと口すすり、ひと呼吸おく。

 「おれがお前におしえなきゃならないコトはここまでだ。
 ・・・で、お前はこれからどうするつもりだ?『夏の魔物』・・・どう料理する?」

736鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/09/12(日) 00:07:10
>>735

「ああ。『エド・サンズ』は自分の意識もあるし、会話も可能だが、
 基本的には氷山さんの『スタンド』だ。彼女から離れることはない…本来は」

所謂『半自立型』というのが一番近いのだろうか。喋ることができる普通のスタンドという認識だ。
だが、今は本体から離れて一人歩きしているということか。
イレギュラーな事態だが、既に『夏の魔物』自体が未知の領域だ。とりあえず受け入れておこう。

「対抗策は『クリスマス』を用いる。この町に、可能な限り冬の雰囲気をもたらしたい」
「場所は借りている。予算もある程度ある。後は人手が必要だ」
「可能ならば、『一般人』の力も借りたいが…これが一番難しいかもしれないな」

737村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/12(日) 00:45:47
>>736
 「『街全体』とはまた大きく出たな。
 おれはその『夏の魔物』についてよく知らないから、適当に質問するんだが…
そいつ、『スタンド』なんだろう?本当にそんな広大な『射程距離』があるのか?」

そのうちパンケーキが卓に届いて、店員に軽く頭を下げた。

 「それからその『一抹』。そいつがどんな動きをしてくるのか…おれはそれを気にしている。」

738鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/09/12(日) 01:16:35
>>737

「正確に言うと、『スタンド』という確証はない」
「便宜上、オレ達はスタンド以外の超常現象を知らないが故に『スタンド』として扱っているが」

自分の『黒蜜きなこ餅』もその後にやってきた。ありがとうございます、と礼を述べて頭を小さく下げる。

「『夏の魔物』の支配下に置かれた生物は、この街から外に出られなくなる。
 過去に弟を『夏の魔物』に支配された兄が残した手記から判明している」
「つまり、『夏の魔物』の能力はこの街全体に及んでいる…ということだ」

簡潔に、『夏の魔物』を調べた絵日記に書いてあったことなどを伝えよう。

(【ミ】『ワックワーク・フィールドワーク』【場】
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1617983099/338)

「一抹くんは、まぁ敵対行動をしてくるだろう。容姿が特徴的だから、目立つはずだ」

白髪の中学生などそうはいない。容姿を伝えておけば、不意打ちされることはないだろう。

739村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/12(日) 03:23:24
>>738

 「なるほど。じゃあとりあえず、その『一抹』の動きを止めなきゃならないな。
 夏の魔物は追えないが、こいつはまだ追える。作戦の邪魔をされるのは困る。
 少なくともこの作戦の核、お前とその『七條』に危害が及ばないようにしなきゃならん。
 寮、学校、お前らの実家・・・このあたりを手っ取り早く『冬の雰囲気』で覆う。
 そうすりゃ近寄れない。あとは追い込み漁だ。」

 「『クリスマスカラー』で包む。これが間違いなく手っ取り早いだろう。
 気候に左右されない『冬の雰囲気』・・・『クリスマスの象徴』だ。」

パンケーキの皿のへりにひとつづつ色を置いていく。
『生クリーム』の塊、カットされた『キウイ』と『パイナップル』、そして大ぶりの『イチゴ』。

 「『クリスマスカラー』は大まかに『4色』」

 「『純潔』を意味する『白』。
 『生命力』を暗示する『緑』。
 『星』を象徴する『金色』。
 最後に、『キリストの血』たる『赤』。」

 「まずは寮と学校に、それが済んだら町中に・・・『クリスマスカラー』をバラまく。」

740鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/09/12(日) 20:20:37
>>739

「成る程…『クリスマスカラー』とは『赤緑』の二色だけではなかったんだな」

村田くんの知識に舌を巻く。詳しいのはサバイバルの知識だけではないようだ。
ちなみに鉄家は、大分するなら『仏教』の宗派に属する。
厳格なわけではないが、他の家と比べると『クリスマス』というものにあまり熱を持ってはいない。

「『クリスマスカラー』を街中に広げると言う案には賛成だ。
 寮と学校はどうにか許可を得られるだろうが、問題は街中に設置をする時だな」

切り分けられた四色を眺めながら、思う。
学校には『スタンド使い』が何人もいるし、彼らの友人もいる。寮もきっと同じだろう。
飾り付ける1日だけなら、言葉を考えれば管理者を説得するのはそう難しくないはずだ。
しかし、公共の場所となると途端に難易度が上がる。

「…だが、それが『一抹くん』に対し、絶対の抑止力になるとは限らないかもしれない」
「もちろん彼は『冬』に属するものを嫌う。だが、それを生み出しているものが
 そこにいるとしたら、『嫌悪感』を上回る『殺意』で攻めてくる可能性もある」
「もちろん、どちらにせよ守りの要としてそれらの場所に置く価値はあるが。
 とりあえず、今日は自宅に帰る前にアウトレットに寄っていくことにするよ。ありがとう」

もちを食べる。美味い。

「…オレが悩んでいるのは、『一般人』に協力を求める時に、何が効果的か、だな」
「場所は確保したし、当日ここで『イベント』をやりますよ、という体にしておけば
 街中を飾る理由にはなる。しかし、それにはまず『イベント』に注目してもらわなければならないな」

741村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/12(日) 20:52:55
>>740

 「そのイベントとは別に、『文化祭』をダシに使うのはどうだ?
 おれたちがある程度ハシャいでいても理由はつくし・・・デカい学校だ。市井の協力もある程度得られる。
 他の生徒どもがどう反応するか分からんが、奴らははしゃぐ理由があればなんでもいいだろうさ。
 寮や校舎がクリスマスカラーしてても問題ない理由にもなる。」

パンケーキを切り分けて口へ運び、呑み込んでから喋る。

 「それに、今はまだ『残暑』と言っていい時期柄だ。
 街路樹には葉が茂っていて、街には『緑』が溢れてる。
 赤と白のリボンでも木に巻けば、それらしい装飾にはなるはずだ。手間が少なく済んで『いい』。」

使えるものは使う。利用できる状況はできるだけ利用させてもらう。

 「おれたちで対応の難しいところは『エド・サンズ』に任せればいい。
 なんだか『サンタ』をやるだのと言っていたが、当日までの仕込みくらいなら手が空いてるだろう。」

742鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/09/12(日) 22:10:03
>>741

「…『文化祭』か!それは盲点だったな」
「奇抜なことを行う理由としては十分だ。ただ教員の方に懇願するよりも、筋が通る」

村田くんの意見に頷く。学校は恐らくこれで大丈夫だろう。また寮の方も、学校でやるなら合わせて承諾してくれるはずだ。

「街路樹の『緑』は、そのままでは『夏』を象徴するものだが
 それを取り除きつつ、『冬』に変えるのは一挙両得だ。それも有効だろう」

彼の慧眼は素晴らしい。あるものを利用する、これもサバイバルで培った技術なのか。
それとも彼が本来持つ精神性なのだろうか。

「少々法に触れる形になるかもしれないが、いざとなれば市街への取り付けは
 『サンズさん』にお願いするしかないか…『文化祭』をやるなら、と市役所が首を縦に振ってくれるといいが」

頼んでダメなら、違法覚悟でサンズさんに取り付けてもらおう。
撤去されるだろうが、例え一日でもそこに存在してくれればいい。
もちろん普通に通ってくれるなら、それに越したことはないが。

743村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/12(日) 22:37:11
>>742

 「あとはおれのほうでも心当たりに声をかけておこう。
 『ビジネス』ベースで話を進めるが・・・もしかしたら、向こうが好意を貸してくれるかもしれない。
 学校やら寮への飾りつけの素材は後でおれが山ほど用意して、寮に置いておく。好きに使ってくれ。」

懐からメモ帳を取り出し、自分の連絡先を書きつけて差し出す。
こうしておけば、前時代的な呼び出しを仕掛けなくて済む。
・・・生活指導の教員の小言を、おれが聞かずにも済む。

 「あとは『エド・サンズ』との連絡方法だな。
 もう一度言うが、『駅前の掲示板』だ。試しに一筆書いて置くといいだろう。
 それから・・・」

  ス ・・・

一枚の『名刺』を差し出す。丸っこいフォントで書かれた、かわいらしいものだ。
『衣笠料理教室 衣笠 恵介』と書かれ、その住所(『大通り』に面し、ここからほど近い)と電話番号も記されていた。

 「もし、その『イベント』に『コック』が必要なら・・・こいつに話を通すといいだろう。
 腕は確かだし・・・『スタンド使い』だ。きっと協力してくれるはずだ。
 お前が忙しいなら、その『七條』とかいうやつに行かせてもいい。」

パンケーキを食べ進め、コーヒーを流し込む。

 「・・・まあ、ちょっと顔がアレだが」

付け加えるように、だが聞こえないようにぼそりとつぶやく。

744鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/09/12(日) 22:54:57
>>743

「ああ、頼む。協力してくれる人は多いに越したことはない」
「…何から何まで申し訳ない。この恩には、必ず報いると誓う」

佇まいを正し、頭を下げる。
正直、『クリスマス』を催すに辺り、当初は明確なヴィジョンができていなかったのは事実だ。
だが、村田くんを始め様々な人の意見を聞くことで、形になり始めた。
これらの策が、『夏の魔物』に果たしてどこまで効くのかは、未知数の域を出ないが。自信は付いてきた。
村田くんの連絡先を受け取り、そこに着信を残すことでこちらの連絡先も伝えておこう。

「『衣笠』…さんか。『コック』で『スタンド使い』…これはうってつけの人材だな」
「顔まで広いとは、流石だ。食材を大量に使いやすいのは、『寮』の方かな…この人とも、後で連絡を取らせてとらうよ」

餅を食べ終わり、水を飲んで一息付く。
色々と考えた後に食べる甘いものは、いいものだ。脳に栄養が行くような気がしてくる。

「まずは『文化祭』として段取りを付けて、次に市街に設置する許可を取りにいき
 『エド・サンズ』と連絡を取って、最後に『コック』さんに依頼する」
「今のところは、問題なければこの形で進めていく事にするよ」

745村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/12(日) 23:47:45
>>744

 「役に立ったようならそれに勝るものはない。それでいい。」

パンケーキをすべて腹におさめ、ナイフとフォークを置く。
なかなかのものだ。機会があれば深山にも教えておこう。
フルーツの旬次第では、また味も違うかもしれない。

 「一息ついたところで、お互いに自分の動きをするとしよう。
 時間はそう長くあるわけじゃなさそうだからな。」

二人分の伝票をひったくって、会計へと向かう。

 「呼んだのはおれだからな。ここはおれ持ちだ。」

746鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/09/13(月) 00:41:53
>>745

「…キミのことは、同い年ながら尊敬するよ。オレもかくありたいものだ」

ご馳走様でした、と両手を合わせる。
そして会計に向かった村田くんの後を追い、会計に割り込むように前に立った。

「今日は村田くんの世話になりっぱなしだ。せめてこれだけでも払わせてくれ」

半ば強引に、財布からお金を払う。これ以上借りを作るのは、気が引けてしまう。

747村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2021/09/13(月) 01:07:09
>>746

 「おれとお前は『違う』。だが『それがいい』。
 おれじゃ気づかないことにも、お前なら気づくことがあるだろうさ。」

割り込まれた際、特に抵抗することもなく料金を支払われておく。
固辞するのもかえって不義理だ。

 「では、今日の貸し借りはそいつでチャラだ。いいな。」

 「飾りつけ資材のことについてはアタリがつき次第連絡する。
 なにかと忙しいかもしれないが、『一抹』のことも含めてここいらが正念場だ。
 気ィ抜くんじゃねえぞ。・・・それじゃあな。」

後ろ手に手を振って、その場を後にする。
この時期『クリスマス向け』の素材は手に入りにくいが、『あそこ』ならあるいは。
少々高くつくかもしれないが・・・祭りにカネを渋るものではない。

748鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/09/13(月) 01:23:46
>>747

「…それならば、村田くんの言葉に甘えさせてもらおう」

してやられたな、と苦笑する。
もしや最初から貸しを作らない為に、会計を持つように動いたのではないか。
そう思わせる程に、自然な流れだった。

「了解した。こちらも進行状況を逐一報告する」
「恐らく『一抹くん』の狙いはオレや七篠さんだとは思うが、
 キミたちとて積極的に活動すればするほど狙われる確率も高くなる」
「念のため、その点も気を付けてくれ。一抹くんは年下だが、驚く程頭が回るからな」

『チリーン』
扉を開き、レストランを出た。

「ありがとう、村田くん。この『クリスマス』が終わったなら、今度は遊びに行こう」

去りゆく彼に手を振って、後ろ姿を見送った。そしてスマホを取り出し、早速次の行動に移る。
村田くんの言う通り、時間はあまり残されていないのだから。

749小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/13(月) 20:12:53
>>薬師丸幸
>>神原幸輔
>>ココロ
>>小角宝梦
>>朝山佐生
>>今泉未来
>>成田静也
>>アンジェ
>>遊部玲実
>>空織清次

駅前の『掲示板』に一枚の紙が張られていた。
そこには『数名の名前』が記されている。
その下に『小石川文子』の名前と『連絡先』が付記されていた。

『取り急ぎ、お耳に入れたい事がございます。
 お手数ですが、お時間のある際に、
 こちらまでご連絡をお願いいたします。
 いつでも結構ですので、お待ちしております』

750小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/14(火) 19:20:32

多くの人々が行き交う『駅前』に、『黒い女』が佇んでいる。
少し前、『数名のスタンド使い達』から『連絡』が届いた。
まだ明確に『返事』をもらえた訳ではないにせよ、
言葉を交わせた事だけでも心強い。

  ――もし『協力』が得られたなら……。

  ――これで『10人』……。

  ――まだ『足りない』……。

徐々に『計画』の現実味が増してきたとはいえ、
今の段階では十分とは言えない。
町中に配置するために人手を要する事は勿論、
設置した後も、それらが正常に動作している事を、
定期的に確認する必要がある。
最低でも、今の『倍』の人数がいなければ、
確実な実行は困難だろう。

>>朝山佐生
>>成田静也
>>アンジェ
>>遊部玲実
>>空織清次
>>天雨サトリ
>>小翠蒼輝
>>ソラ
>>常原ヤマト

駅前の『掲示板』――張られていた紙が外され、
『新たな張り紙』が張られていた。
『名前』は幾つか減っており、
『新しい名前』が追加されているようだ。
『小石川文子』の名前と『連絡先』が付記され、
連絡を求める旨の文面が書かれているのは、
『前の張り紙』と変わらない。

751一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/09/15(水) 05:19:23
[緊急事態です。海岸で一抹くんと仲間が交戦中です!
 かき氷化した氷山先輩も寮から奪われてしまいました。
 早くしないと氷山先輩が溶けちゃう!]

[私と複数の協力者もスマホを奪われてしまいました。
 これを見た方は電話で連絡を取り合って一抹くんの
 捕獲に向かってください!]

[彼はスタンド能力以外にも『夏の魔物』の恩恵で
 姿を消し、また擬態の力にも目覚めています。
 根気よく探せば見つかるはずです! 諦めないで!]

[スマホからの連絡は一抹くんによる偽装工作です。
 決して信じないでください!]

『インダルジェンス』の高い精密動作で七篠先輩の筆跡を真似て『駅前の掲示板』に女の子らしい紙を貼りつける。
事件の核心を知るのは七篠先輩と夕立先輩。
それと復活した『さんずさん』のみだ。

「ふふっ、『さんずさん』は本当に便利な方だ…」

即座に学生寮へと向かって行く。襲撃のために。
氷山先輩を『食べて』足掻きをやめさせる。
所詮、私は氷山先輩の『ついで』に助けられる存在だ。
運動の根元をへし折ってやるとしよう。

752七篠 譲葉『リルトランク』:2021/09/15(水) 07:43:57
>>751

 焦げ茶の髪の少女、七篠が駅前まで来ていたのは先日『寮』の自室で発生した氷山と一抹との戦闘で血に汚れた布団カバーの換えを購入するためだった。
 また自室での戦闘が発生した場合に備えるため、綿製品に変えるつもりで店頭での購入を求めたのだ。

 ふと、駅を通り過ぎかけた七篠の目にどこかで見たことのあるような筆致が映った。
 すこし小振りで可愛らしい文字はいつもどこかで見ているようで七篠は戸惑う。

――……私、この文字をいつも見ているような…?

 七篠は近くに寄り、文章を確認する。

――これ…もしかして、私の字…? でも私、こんなこと書いてない…!
――こんなことをして得するのは一抹くんくらいのはず…。
――でもなんで『寮』に『氷山さん』があるって知ってるの…?
――……もしかしたら……『夏の風物詩』を食べることで『夏を満喫』するつもりで探してた…?

 七篠はひとまず思考をやめ、推定一抹の書いた紙を裏返し、文章を書き始めた。

[夏の魔物をなんとかしようとしてくださっている皆様へ。
 友人が夏の魔物にやられた七篠といいます。
 この紙の裏に書かれている文章はおそらく夏の魔物にやられた友人、一抹によるものです。
 どういう手段かわかりませんが、彼は私の筆跡を真似して書いています。
 おそらく、私たちが『冬』を進めようとしているのに気付いたことによる妨害だと思います。
 こうしてバレた以上、おそらく同じ手段を二度は行わないと思いますが、警戒をお願いします]

 七篠はそれをまた貼り直してから寮へと向かう。とはいえ、ここから寮までは離れている。
 すぐには到着できないかもしれない。

753小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/17(金) 20:40:33

  ――あと『三人』……。

  ――もうすぐ目標の『20人』が揃えられる……。

あれから新たな連絡を受け取り、
自分を含めて『17人』の『スタンド使い』を集められた。
最初に考えていた最低実行人数は『20人』。
このペースなら、近い内に何とか揃えられそうだ。
場合によっては、少し『上方修正』してもいいかもしれない。
もし『25人』いれば、一人の割り当てを『四台』までに減らせる。
個人の負担を抑えつつ、
計画の確実性を高める事も可能だろう。
そのためには、自分にできうる限りの手を尽くすしかない。

>>黒峰唯
>>伊須河梨央奈
>>成田静也
>>アンジェ
>>空織清次

駅前の『掲示板』に、『張り紙』を再び張り直す。
一枚目や二枚目と比べ、『名前の数』は随分と減っていた。
『小石川文子』の『名前』と『連絡先』が添えられ、
『連絡を求める』旨の伝言が書かれている点は同じだ。

754小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/17(金) 20:47:12
>>753

計画とは別に、『もう一つの当て』があった。
もしかすると、何かの助けになってくれるかもしれない。
思いを巡らせながら、駅前を立ち去った。

755ほしみまくろう『スターライダー』:2021/09/20(月) 09:49:03

(私-僕-俺-拙-我は・・・・『ほしみまくろう』・・・・)

休日の街並み、人々が足早に通りかかる道の傍にそいつはいた
『ほしみまくろう』と呼ばれる町のマスコットキャラの一人だ
さて、君(>>756)は彼の姿を認めたわけだが、彼は一体どんな姿なのだろうか

――――――――――――――――――――――――――――――――――
☆『スターライダー』とは何か☆
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1631985077/3-5

★『ほしみまくろう』とは何か★
★氏名―『ほしみまくろう』
★関係―『こぜにくろう』の仲間
※動いているのはあくまで『ほしみまくろう』の着ぐるみです※
★その他詳細不明

756りん『フューネラル・リース』:2021/09/20(月) 10:19:33
>>755
「あっ、ほしみまくろうだ」

頭に鈴蘭を咲かせた女の子が見つけたマスコット
『ほしみまくろう』
その姿は

全身がケロイド状に爛れたゾンビのような男性だ

757ほしみまくろう『スターライダー』:2021/09/20(月) 10:43:39
>>756

『ほしみまくろう』とは『全身がケロイド状に爛れたゾンビのような男性』の姿をしたマスコットだ
星見町の観光課がデザイナーに発注した際、納期のあまりの短さにキレたデザイナーが
半ば嫌がらせのために提出したデザイン画だったのだが、
深酒をキメた観光課課長がうっかりとそのまま通してしまい、退くに退けなくなった事情があるようなないような

そのあまりにもセンシティブな外見を見て、道行く人々は皆一様にこの場を避けている

「〜〜★@■⇒×!」

『ほしみまくろう』が何やらりんちゃんに語り掛ける
さて、『ほしみまくろう』とはどんな口調で話をするキャラだっただろうか

758りん『フューネラル・リース』:2021/09/20(月) 10:52:43
>>757
「うち、ほしみまくろうのファンです!
 サインください!音のおねえさんにもあげたいから2枚ください!」

りんに語り掛けて来たゾンビのようなマスコット
その口調は

『お…オデは…おまエをクう…』

等、カタコトでしか言葉を喋れない
あまり知性を感じられないモンスターのような喋り方だ
尚、何故か時折「カーカー」とカラスの鳴き声のようなものを発声する事がある

759ほしみまくろう『スターライダー』:2021/09/20(月) 11:01:54
>>758

「お、オデにタノミか・・・・ いいゾ・・・・」

『ほしみまくろう』の指先は腐った指先を再現するために
濁ったインクに浸されたマジックペンが付属している
きゅっ きゅっとりんの服に直接名前を書いていく

のたうつ触手のようなぐにゃぐにゃの字体で『ほし み まくろ う』と書かれた
もう一枚はりんの顔に直接だ

「お・・・・おで・・・うぐっ!」

      『カーカー!』
 
           『カーカー!』

    『カーカー!』

「おで・・・お前・・・・クいたい・・・」

その指先がりんの頭に伸びる

760りん『フューネラル・リース』:2021/09/20(月) 11:16:42
>>759
「わぁい、ありがとうほしみまくろう!
 この服を2枚に切って、1枚はおねえさんにあげるね」

『ほしみまくろう』の指先がりんの頭に迫った
その時

「ほしみまくろうは人肉が大好物で、いつも腹ペコだけど
 それ以上にお金の亡者だからお金をあげれば許してくれるんだよね!(説明口調)」

お財布から二千円札を取り出してほしみまくろうに突き出す

761ほしみまくろう『スターライダー』:2021/09/20(月) 11:23:07
>>760

「ソウ・・・オデは『金の亡者』ダカラお金ヲもらえると嬉シイ・・・」

そう言いながら二千円札(地味にレアですね!?)を受け取り、
右手をりんちゃんから離す

「この度は多大なるご支援をいただきましてありがとうございます
 賜りましたご厚志は星見町発展のため、誠心誠意をもって皆様に御還元できますよう尽力いたします」

コンプライアンス的にもバッチリだ!

「そう・・・・オデは腹ペコ・・・・」

     ぐぅぅ〜〜〜

『ほしみまくろう』のお腹から大きな音が鳴る
腹ペコ設定であるなら、いつでもお腹を鳴らす程度の芸当は柾木誠一にとって朝飯前だ

「人肉・・・・欲しい・・・・」

顔を俯かせると眼球パーツが潤んだように見える
光の反射を計算したテクだ
物欲しそうにうるうるした目でりんちゃんを見つめる

762りん『フューネラル・リース』:2021/09/20(月) 11:35:29
>>761
「やっぱりほしみまくろうは迫力があるな〜」

ガブゥ!

人肉を求め腹を空かせる演技をする『ほしみまくろう』を見て
りんは自らの腕を思い切り噛みつき血を流す

「うちの血をあげるから、これで我慢してね」

たらぁり

血の滴る右腕を、『ほしみまくろう』の口元に突き出すりん
鉄の匂いがするその血液はさらさらとしていて、比較的飲み易そうだ

763ほしみまくろう『スターライダー』:2021/09/20(月) 11:41:08
>>762

「イイのカ? ありがトウ・・・オマエ・・・イイヤツ・・・・」

普通であれば、いくらゾンビになりきるとはいえ血を呑むなんて絶対にNGだろう
しかし、【中の人】柾木誠一は尋常の領域のアクターではない
『ほしみまくろう』がそういう『設定』であれば、人肉だろうが血だろうがプロ意識で食べるだろう

「イタだキま〜〜〜〜〜〜ス」

『ほしみまくろう』はマスクのギミック(ちょっとした操作で口を露出できる)を操作し、
生身の口をこっそりと剥き出しにする
そのままりんちゃんの右手に口を付けるとズゾゾゾゾゾ・・・・と血を啜った!

764りん『フューネラル・リース』:2021/09/20(月) 12:42:37
>>763
ズゾゾゾゾゾ

「うーん、こうやって血を飲まれるのは久しぶりだけど
 やっぱりちょっと変な感じがする…」

『ほしみまくろう』がりんの右手に口を付け音を立てながら啜り上げると
柾木誠一の口内には、鉄と味と匂いが口いっぱいに広がる
見た目通りサラッとしていて、人間の血液としては結構さっぱりしていて美味い方だ
若い処女の血は、浴びるたり飲んだりする事で若返りや美容の効果があるという
かの有名なエリザベート・バートリーも使っていた美容品だ

柾木誠一にも美容の効果は期待出来るだろうか?

と、何か柾木誠一の体に痺れが走る感覚が…

「あーっ!しまった!!
 うっかり血に痺れ毒を入れちゃったあぁぁぁぁぁぁ!!!」

765ほしみまくろう『スターライダー』:2021/09/20(月) 13:21:38
>>764

「うごっ! ウガ! グゴッ!」

通常、慣れていない人間が血を飲むとお腹を壊すことが多いだろう
しかし、『ほしみまくろう』は人肉が好物のマスコットキャラだ
当然、血液を飲んだところでなんのそのなのだが・・・・今日は様子がおかしい

血を吸った直後にガクガクと震え始める・・・・!
ところで、『ほしみまくろう』には耐毒スキルとかそういうのはないのかな?

766りん『フューネラル・リース』:2021/09/20(月) 13:41:05
>>765
「あぁ、どうしよう…!
 うちのせいで何の罪も無い食人ゾンビが!」

ついうっかり麻痺毒を飲ませてしまった事で
『ほしみまくろう』は痙攣を始め、毒で体が動けなくなってしまう
りんは酷く悔やんだが、『ほしみまくろう』が『回復』をする術がある事を思い出した

彼には耐毒といったスキルは無いが、ある物を食べる事で
あらゆるダメージや状態異常を回復する事が出来るのだ
そのある物とは…

「すいませーん!お肉屋さん!
 カラスの肉を一つください!」

共食い!
人間とカラスを掛け合わせた生物兵器となった『ほしみまくろう』は
カラスの肉を食べる事で、細胞が異常に活性化し、肉体を完全な状態にまで回復する事が出来る!

肉屋「今日は活きの良いカラスが入ってるよ!」
りん「それ一つください!」
肉屋「ありがとよ!」

「ほら、カラスだよ
 今すぐ捌いてあげるから待ってて」

目の前にカラスを出される『ほしみまくろう』
君はこのカラスを生でバリバリと食べられるがどうする?

767ほしみまくろう『スターライダー』:2021/09/20(月) 13:50:08
>>766

「ウゴゴ・・・・オデ、カラス食うト元気ナル・・・・!」

ピクピクと痙攣しながら、必死になって口を動かす『ほしみまくろう』
その様子を星見町の住人達は固唾を飲んで見守る

      ガンバレ

           ガンバレ‼︎

町人達の熱い応援だ!
さらにお肉屋さんのご好意により、目の前に新鮮なカラスが差し出される!

    バリムシャア!

喰らう!
それが『ほしみまくろう』の設定だから・・・・!

768りん『フューネラル・リース』:2021/09/20(月) 14:06:43
>>767
カラスを食った事で『ほしみまくろう』の細胞は異常に活性化し、
その肉体を完全な状態へと回復した!

「よかったぁ!
 ほしみまくろう!ほんとによかったよぉ!」

『ほしみまくろう』に抱き着き、復活を喜ぶりん

ゾンビの着ぐるみはやけにリアルでちょっと気持ち悪かった

769ほしみまくろう『スターライダー』:2021/09/20(月) 14:16:23
>>768

「ハ、ハハ・・・オデ、コノクライじゃあ死ナナい・・・・!」

細胞が活性化し、元気溌剌に健康をアピールする『ほしみまくろう』
その姿に周りを取り囲む住民達から拍手があがる

さて・・・・町民との交流も出来たことだしそろそろ帰り支度を始める
ところで、りんちゃんは先程言及した『ほしみまくろう』の設定の内、最大で3つまで固定する事が出来るのですが・・・・
い、いったいどの設定を固定するおつもりで・・・・?

770りん『フューネラル・リース』:2021/09/20(月) 14:58:03
>>769
「じゃあね、ほしみまくろう
 今日はうちのせいで迷惑かけちゃってごめんねぇ
 また会おうねー」

頭から鈴蘭が咲いた少女は
憧れの『ほしみまくろう』で遊んで満足気に帰って行った


今回、固定化したいと思った設定
・全身ケロイド状に爛れたゾンビのような外見
・人間とカラスを掛け合わせた生物兵器
・カラスの肉を食べて完全回復

まず、外見に関しては別にこれで問題無いのでは?と判断しました
二つ目の生物兵器という設定ですが、ただ生物兵器という設定があるだけで
戦闘能力等には言及していないので、ギリギリ大丈夫かな…という判断です
三つ目のカラスの肉ですが、そもそもカラスの肉なんて
そう都合良く手に入らないと思うので、あっても大丈夫かなぁ…と判断しました

人肉が好物設定は残したかったのですが、
毎回このロールをしなきゃいけないのは辛いだろうな…と思いまして…
面白そうな企画をやっているので一目散に飛びついて、変なテンションではしゃいでしまいました
やり過ぎてしまったかなと思って反省しております…

771ほしみまくろう『スターライダー』:2021/09/20(月) 15:51:34
>>770

「オデ・・・・私-僕-俺-拙-我も楽しかったよ
 また会おう!」

りんちゃんが離れるとともに揺らいでいた『設定』の固定が始まる
その際に、設定強度の足らない『雑設定群』が引き剥がされ、人格が不安定となったようだ

ゾンビのような外見の生物兵器(マスコット)はキビキビと帰っていく
人肉が好物であるという設定も引き剝がされ、人を襲う事もなかった

「あ、この2000円はちゃんと役所の方に持って行かないと」

りんちゃんからもらった2000円は星見町の公共福祉のために使われる事だろう

772美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2021/09/21(火) 17:58:47

      ――――――キィィィッ

駅前の駐車場に一台のスクーターが停車した。
鮮やかなカナリアイエローの車体が目を引く。
イタリアンスクーター『ヴェスパ』だ。

「『ここ』のはずなんだけど……」

『マイク』から聞いた情報によると、
『不法侵入スタンド』は『駅前の掲示板』を利用している。
手掛かりを求めてやって来たが、今は見当たらない。
さて、どうするか。

「とりあえず『掲示板』を覗いてみましょうか」

         ザッ

シートから降りて歩き出す。
肩の上には『機械仕掛けの小鳥』。
『プラン9』で手に持ったスマホを『ファン』に変えて、
後方を見張らせている。

773『エド・サンズ』:2021/09/21(火) 20:28:15
>>772

『ハァア〜〜〜〜ッ!』

『甚ッ! 狂う! べぇる! 甚ッ! 狂う! べぇる!』

『甚ッ! 狂う! べぇる! スズ・ガ・ナル!』

美作が駅前の掲示板の調査を行っていると
後方から音調の狂ったへたくそな甚句が聞こえてきた
しかし、周囲の人間を眺めてもその歌を気にしている人間はいない

それもそのはず、この歌は感覚の耳でしか聞く事の出来ない『スタンド音声』だからだ

『ファン』にしたスマホは歌声の主を観測する
それは『和風の意匠を持つ人型のスタンド』・・・・つまりは美作が探していた当人である

774美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2021/09/21(火) 20:57:07
>>773

「なッ………………!」

『意味不明な文句』が否応なしに耳に入り、
しばし呆気に取られてしまった。
『見つけた』。
正直、こんなに早く発見できるとは思ってもいなかったが、
やはり、この近辺を拠点にしているという事か。
振り向いて確認してもいいが、ここでストレートに見てしまうと、
こちらの存在に気付かれる可能性が高い。
相手は得体の知れないスタンドだ。
ましてや、『プラン9・チャンネル7』に戦闘力は皆無。
警戒しておく必要がある。

「『後ろのスタンドとの距離は?』」

《ハイッ!約『9m』デス!》

スマホのカメラを『スタンド』の方向に向け、
『プラン9』を通して『互いの距離』を確認する。
正体が分かるまでは、あまり近付きすぎるのはマズい。
まずは程々の距離を保って、相手の動向を観察したい所だ。

775『エド・サンズ』:2021/09/21(火) 21:09:08
>>774

『甚ッ! 狂う! ・・・・・ハァ、ヤッパリ水宮ノ嬢ちゃんミタイニはイカネェナァ
 サテトォ! 今日ハ何カ進展ハアルカナ?』

呆気にとられる美作に気付く事もなく『和風のスタンド』は徐々に掲示板に近づく
美作が警戒している事もあり、『彼』の方がそちらに気付く様子はない

『サテサテ、「夏のクリスマス」ハイツヤルンダロウナァ・・・・?』

そんな事を言いながら、掲示板を眺める

776美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2021/09/21(火) 21:31:39
>>775

(…………やっぱり掲示板を使ってるみたいね)

依然として何者かは不明だ。
しかし、危険なスタンドという雰囲気でもなさそうだった。
もしそうだとしたら、
この駅前で騒ぎが起こっていても不思議はない。

(このスタンドのせいで…………)

様子を見ている内に、次第に『怒り』が込み上げてきた。
放送中に乱入された事を思い出す。
その後は散々だった。
完全にペースを乱され、
普段通りの仕事は出来ていなかったと思う。
自分のキャリアに『汚点』を作ってしまったのだ。

「――――ちょっと」

最終的に『用心』よりも『感情』が勝り、
掲示板の前に立つスタンドに、背後から声を掛ける。
振り返れば、見覚えのある人間が立っているのが分かるだろう。
『エド・サンズ』が『星見FM』に侵入したまさにその時に、
ちょうど放送中だった『パーソナリティー』だ。

       ニコッ

『笑顔』ではあるが、目は笑っていない。

777『エド・サンズ』:2021/09/21(火) 21:40:45
>>776

『ヤッパリ、新シイ「張り紙」ハナイミテーダナ・・・・
「夏」ノ終わりマデ時間ガモウネエガドウスルツモリデ・・・・・ン?』

腕を組んで掲示板を眺めていた所、美作に話しかけられた
思わず、自分の後ろに顔を向けて誰もいない事を確認する

『俺ノ事カ?』

『オオォ! ヨク見タラ「らじお番組」ノ時ニイタ姉ちゃんジャネーカ
 モシカシテ、俺ノ事ガ見エテイタノカ?』

相手が怒っているとも知らずに無遠慮に口を出す

778美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2021/09/21(火) 22:05:35
>>777

     ピクッ

    その『能天気な態度』に――――――。

「『お久し振り』ね。私、『あなた』を探してたのよ」

    ズ イ ッ

       『怒り』が――――――。

「よくも…………よくも『不法侵入』してくれたわね……!!
 しかも『私の番組』の最中に!!」

        ズ イ ッ

      ――――――『爆発』した。

「あなたは!!『私のキャリア』に『泥』を塗ったのよ!!
 『パーソナリティー美作くるみ』の名前に!!」

            ズ イ ッ

「分かる?あなたのせいで私は『大きな迷惑』を被ったの。
 どうしてくれるのよ?どう責任を取るつもり?」

                 ズ イ ッ

「『言い分』を聞かせてもらおうじゃない。
 放送直前の『スタジオ』に無断で侵入して、
 人の番組を『ジャック』した言い分を」

                       ズ イ ッ
 
                    「今『この場』でね」

顔と顔が接触する程の至近距離。
『スタンド』である以上、実際に触れる事はない。
もし人間であったなら、胸倉も掴んでいたかもしれない。

779『エド・サンズ』:2021/09/21(火) 22:23:53
>>778

『オ・・・・オウ・・・・』

顔と顔が触れる程の至近距離
スタンドである以上、直接触れられる心配はないもののその剣幕に恐れおののき、思わず腰が引ける

『言・・・・言い分ッテイッテモヨォ・・・・
「ラジオ」ッテェヤツが色ンナ連中ニ呼ビカケルノニスッゲー便利ソウダッタカラ、ツイ・・・・』

誤魔化すようにポリポリと顎を掻く

『ソ、ソレニヨォ・・・・「スタンド」ノ声ナンテ
 スタンド使いクライニシカ聞コエナインダシ・・・・ココハお互イ運ガ悪カッタッテ事デ・・・・な?』

見苦しい程の言い訳が続く

780美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2021/09/21(火) 23:11:07
>>779

「『お互いに運が悪かった』――――ねぇ」

「つまり、あなたは、
 『私の方にも非があった』って言いたいのね?」

「私、あなたに何かしたかしら。生憎、覚えがないんだけど」

「私は、あなたが勝手に入ってきて、勝手に喋って、
 勝手に帰ったと思ってたわ」
 
「それで『お互い運が悪かった』っていうのは、
 ちょっとムシが良すぎるんじゃない?」

気持ちをぶちまけたお陰で多少はスッキリした。
ただ、完全に納得した訳ではなかった。
まだ『謝罪』を聞いていないからだ。

「人に『迷惑』を掛けたら、
 『真っ先に言わなきゃいけない言葉』があるんじゃない?
 『つい』だとか『運が悪かった』だとか口にする前にね」

淡々とした口調で目の前の『スタンド』に告げる。
今度は『激しい怒り』ではない。
冷たい炎を思わせるような『静かな憤り』。

         ス ッ

「――――そう思わない?」

腕を組みながら、細めた両目でスタンドを見つめる。

781『エド・サンズ』:2021/09/21(火) 23:36:22
>>780

『ヤ、ヤッベェ!』

『(ウオォォォ・・・・俺ハコーイウ交渉事トカ苦手ナンダヨナァァ
 コノ手ノ事ハだいたい「あきは」ノ奴ニ任セテタカラ、ドースリャイイカワカンネーゼ!)』

『和風のスタンド』はあからさまに狼狽している様子だ
美作の追及にあ・・・とかう・・・とか呻き声が漏れる

『ア、イヤ・・・・ソノ・・・・申し訳アリマセンデシタ・・・』

ついには折れた!
冷めた視線で行われる正論に頭を下げて謝罪を行う

『ラジオ番組ヲ滅茶苦茶ニシテゴメンナサイ・・・・』

心なしか、口調も普段と違いシュン・・・としている

782美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2021/09/22(水) 00:02:33
>>781

無言で佇みながら、スタンドの謝罪を見届ける。
ラジオにおいて大切なのは、言葉を使いこなす技術だ。
すなわち『喋りの上手さ』が必要とされる職業。
しかし、謝る時に大事なのは言葉を尽くす事ではない。
どれだけ気持ちが篭っているかにあるのだから。

「ふぅっ………………」

長いため息をつき、それから静かに両手を下ろした。

「――――――いいわ、『許してあげる』」

「ただし、今回だけよ。
 もう一度やったら、今度こそ絶対に許さないから」

『謝罪の言葉』を聞けた事で気は済んだ。
それを証明するように、表情も柔らかいものに変わっていた。
改めてスタンドを見つめ、自分の胸に片手を添える。

「私は『美作くるみ』。
 もう知ってると思うけど『星見FM放送』のパーソナリティー」

「よかったら、あなたの名前を教えてくれる?」

783『エド・サンズ』:2021/09/22(水) 00:11:14
>>782

『ア、アア・・・・スマネェ・・・・約束スルゼ
 俺ハモウ金輪際「ラジオ番組」を荒らす真似ハシネエ!』

頭を上げて、直立不動の姿勢で宣言する

『俺ノ名前ハ「エド・サンズ」ッテンダ・・・
 本体ノ名前ハ、イヤ・・・「元々の本体」ノ名前ハ「氷山 あきは」』

『俺ノ「放送」ヲ聞イテタナラ知ッテルト思ウガ
「夏の魔物」ニヤラレタスタンド使いの犠牲者・・・・ソレハ俺ノ本体の事ダ』

顔を俯かせて悲しそうに呟いた

784美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2021/09/22(水) 00:31:15
>>783

「『エド・サンズ』ね。覚えておくわ」

「あれだけの事をしたんだもの。
 それが『重要だった』っていう事は、
 私も理解してるつもりよ」

『ジャック』された時は混乱して頭に入っていなかったが、
改めて『マイク』から聞いて事情は把握していた。
そして、このスタンドの『本体』も被害者に含まれる事も、
今の言葉で分かった。
つまり、あの『珍事』は、
『本体を助けるための行為』でもあった訳だ。

       スッ

「これ、私の『名刺』。
 もし手伝って欲しい事があったら連絡して。
 放送で言ってたけど、『仲間』がいるんでしょう?
 その人達に見せてもらっても構わないから」

名刺入れから取り出した一枚の名刺を、
『エド・サンズ』に手渡す。

「私のスタンドは『プラン9・チャンネル7』。
 あんまり言いふらさないで欲しいんだけど、
 『音響機器』から『情報』を引き出す能力よ」

「『今、私の前に誰かいる?』」

《ハイッ!『エド・サンズ』ガイマス!》

肩の上に留まる『機械の小鳥』を通して呼び掛けると、
『ファン』にしたスマホが応答する。

「と…………こんな風に色々と聞けるの。
 とりあえず教えられるのは、ここまでね」

785『エド・サンズ』:2021/09/22(水) 00:42:05
>>784

『アリガタイ・・・・恩ニ着ルゼ』

差し出された『名刺』を受け取る
一般人から見れば『名刺』が宙に浮いているように見えるかもしれないが
人通りが少ない所を通ればなんとかなるだろう

『「プラン9・チャンネル7」・・・
 ナルホド、情報ヲ集メルニハモッテコイノ「スタンド」ジャネエカ
 一応、俺ノ能力モ伝エテオクトヨォ・・・・コンナ風ニ』

    バシュッ!

美作の手元に『提灯』が出現する

『岡っ引きガ使ウヨウナ捕具ヲ出現サセル能力ダゼ』

『ア〜〜〜、トコロデヨォ・・・・手伝ッテクレルッテ言った矢先ニ申し訳ネエンダガ・・・・
 クリスマスに配レルヨウナ「プレゼント」ニ何かアテはネェカ?
 俺ハクリスマスが始マッタラ「サンタクロース」ニナロウト思ッテルンダケドヨォ
 配ルタメノ「プレゼント」ガ用意出来テネェンダ・・・・』

『ラジオ局ニ何かソーユー物ガアレバ、ガキどもニ配ッテヤリテェンダガ・・・・』

786美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2021/09/22(水) 01:09:34
>>785

名刺くらいなら、風に飛ばされているように見えなくもない。
幸い、今日はそれなりに風がある日だった。
一瞬目を向けられるかもしれないが、
誤魔化すのは難しくないだろう。

「『名は体を表す』とは良く言ったものね」

「ありがとう、よく分かったわ」

発現された『提灯』を目にして、素直な感想を漏らす。
『和風』を思わせるヴィジョンにも合致する。
おそらくは『江戸』という事なのだろう。

「そうね…………」

腕を組み、立てた人差し指を頬に添えて、
少しだけ考えてから口を開く。

「――――『ノベルティ』なんてどうかしら?
 うちの局で作ってる『オリジナルグッズ』」

「基本的には無料配布してるものだから、
 そんなに大仰なものじゃないんだけど」

「でも、作りはしっかりしてるから安っぽくは見えないはずよ。
 『プレゼント』にも使えると思う」

「数は十分あるはずだから、
 何とか出せるように取り計らっておくわ。
 準備が出来たら、そこの『掲示板』で知らせるから」

「それでいい?」

掲示板を横目で一瞥し、
『エド・サンズ』に自分の『案』を伝える。

787『エド・サンズ』:2021/09/22(水) 01:15:37
>>786

『「のべるてぃ」・・・・イイナ、ソレ!』

出現した『提灯』は音もなくふっと消える
後には何も残らず、最初からそんなものは存在しなかったかのようだ

『ソレジャア、ソノ「のべるてぃ」をアリガタク配ラセテモラウ事ニスルゼ!
 コレデアル程度の目途ガツイタナ・・・・』

『アリガトヨォ、美作!
 コレナラ・・・・「クリスマスのサンタクロース」モヤレソウナ気ガスル
 ソレジャアナ! 「のべるてぃ」ノ準備・・・・頼ンダゼ!』

そんな事を言いながら『エド・サンズ』は去って行く
先程のシュン・・・・とした態度はどこにやらの快活っぷりだ

788美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2021/09/22(水) 01:36:02
>>787

「ええ、『プレゼント』の調達は任せておいて。
 なるべく早い内に用意できるようにするから」

『ノベルティ』の配布。
『星見FM放送』としても『宣伝効果』というメリットがある。
人助けのみならず、こちらの利益にも繋がるなら、
やらない理由はない。

「それじゃ、また会いましょう」

『エド・サンズ』と別れ、駐車場に歩いていく。
スクーターのシートに腰を下ろし、エンジンを始動させる。
よく故障する愛車だが、今日は機嫌がいいようだ。

          ドルンッ

    「さて、と――――忙しくなりそうね」

                 バァァァァァァァァ――――――ッ

アメカジスタイルの女を乗せたカナリアイエローのヴェスパが、
大通りを颯爽と駆け抜けていった。

789小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/24(金) 17:58:43

あれから新たな連絡はなかった。
おそらくは時間も多くはないだろう。
気は進まなかったが、『最後の手段』に頼らざるを得ない。

>>稗田
>>卜部

既に張られている張り紙の横に、新たに『別の張り紙』を張る。
『小石川文子』の名前と、連絡を求める旨が綴られていた。
憂いを帯びた表情で二つの名前を見つめ、
掲示板の前から歩き去っていく。

790『ぶどうプロダクション』:2021/09/24(金) 22:19:35
>>789(貼り紙)

     ・・
 ( ……また 『こいひめ』への嫌がらせか? 
   最近は減ってきてたってのに…………
   ……もし万が一仮に本当に用があっても、
   彼女の連絡先を知らないくらいの間柄で、    
   しかも他の人間にも声を掛けてるんだ。
   悪質なストーカーともまた違いそうだが、
   マトモな用事とは思えないな……いや。
   そうか、こいひめならネット繋がりの……
   待て待て、なら実名を書き連ねないだろう )

  「…………」

          ピリ ……

 ( 本当にどうしても必要な連絡なら……
   普通、こんな方法は取らないはずだ。 
   …………とりあえず、回収しておくか。
   こいひめが見て愉快な物とは思えないし、
   駅員に許可も取られてないだろうしな。  )

      クシャ

『稗田』が見る前に、追加分の貼り紙は回収された。
もちろん『卜部のり夫』は見たかもしれないが――

( ……繰り返し貼られるようだったら、
  俺の方から『こいつ』に連絡を取るか。 )

            ゴソ

稗田恋姫がそれを見るタイミングは無かった。
彼女は二重の意味で『一般人』とは異なる素性だ。
本人が小石川の名を見れば察しはするだろうが、
事情を知らない『事務所』が『先に見つけた』。
ほとんど『運が悪かった』としか言いようがないが、
駅を利用する頻度からして、自然な帰結ではあった。

……こうした事態が起き得るのも、『最後の手段』たる所以だろう。
いずれにせよ『稗田恋姫』に連絡を取るなら、この手段は適さないようだ。

791小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/25(土) 00:33:46
>>790

彼女の『素性』は知っていた。
ゆえに苗字しか書かなかった。
それだけの情報では、当事者以外の人間には、
誰にコンタクトを取ろうとしているかは分からない。
苗字だけですら剥がされる程の、
過敏さまでは読めなかった。
普段の自分なら、これで断念していただろう。
相手には相手の事情があるのだからと。
しかし、今は例外だった。

―――――――――――――――――――――――――

  初めてお会いした場所を覚えていますか?
  『森の湖』。
  『ハムとパセリとマーマレードのサンドイッチ』。
  『ラベンダーティー』。
  もし覚えていて下さったなら、
  この掲示板にお返事をお願いします。

                          【喪服の女】

―――――――――――――――――――――――――

暗号めいたメッセージを掲示板に残す。
『昔の話』だ。
その答えは当人だけが知り得る。
相手が覚えている保証はないし、
そもそも見るかどうかも定かではない。
いずれにせよ、自分にできるのは待つ事だけだった。

            コッ コッ コッ……

792朝山『ザ・ハイヤー』:2021/09/26(日) 00:12:34
(明日が過ぎるまでに誰も絡みなければ、一般人に
配った処理で〆ます)


「ぬぉ〜〜〜!!! 号外 号外っス!」

「もう一週間ほど! 〇日に冬のイベントを開催するっス〜!
皆さん是非とも読み込んで、当日は盛り上げ欲しいっス!!」

 クルクル シュッ タンッ シャキーンッッ!!

お面を被った悪の首領 モーニングマウンテン!
 こと普段の悪の部下の募集はお休みにして、今日より期間限定で
冬のイベントのビラ配りだ!

 大通りで大声で、踊りを交えつつ冬を盛り上げようと盛んに騒ぐ。

「ぬぉーーー!! みんな冬を盛り上げるっス〜〜!!!」

793 朝山『ザ・ハイヤー』:2021/09/28(火) 09:12:40

「よーーし!! 大体配り終わったっス!!
次に向かうっスよ!」

悪の首領は、冬の告知のチラシを通りすがりの人々に渡し終えると
意気揚々と去っていった……。

794小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/29(水) 22:19:44
>>(各位)

駅前に『喪服の女』が佇んでいる。
『小石川文子』は『小角宝梦』に『調査』を依頼し、
『同席者』として『二名のスタンド使い』に声を掛けた。
『朝山佐生』と『朱鷺宮笑美』の二人は、
ここで小石川と待ち合わせる事になっている。
『探偵』である『小角』も同様に――。

795朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2021/09/29(水) 22:34:01
>>794
【駅前に佇んていたのはもうひとりいた】
【そこにはゆったりしたワンピースを着た、見た目年齢二十歳くらいに見える女性。】

「…失礼しまーす」
【どうやら一足先に来ていたようであたりを見回していた。】
【やがて視線は小石川の方へと向く】

「どうもすいませんー。朱鷺宮ですー。
 顔を合わせるのは別荘以来、ですかね?」
【手を振りながら、小石川の方へと歩いていく】

796小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/29(水) 22:48:43
>>795

  「――……こんにちは」

         スッ

その人物を見て、静かに頭を下げる。

  「ええ――先日、少しだけお会いしましたが……」

  「『お子さん』も、お変わりありませんか?」

チラシを配っていた姿を思い出す。
学校で何か催しをするというような話だったはず。
声を掛けながら、軽く周囲に気を配る。
まだ『二人』の姿は見えない。
少し待つ事になるだろうか。

  「……『クリスマス』の件についてですが」

  「『業務用アロマディフューザー』を『100台』手配しました。
   『設置』と『見張り』に必要な『人手』も揃えてあります」

  「私と朱鷺宮さんを含めて『20人』――
   一人あたり『五台』の割合です」

  「今日の『調査』で『確認』と『調整』を行い……
   それから最終的な計画を全員に周知する予定です」

朝山と小角の到着を待ちながら、
計画の進行具合を説明する。

797朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2021/09/29(水) 23:34:02
>>796
「涙音は今も元気ですよ。
 その、クリスマスのことも色々手伝ってくれていますし。」
【軽くほほえみながら答える。自分の活動がどれだけ貢献したかはまだ良くわからないが…】


「100台も、本当に大変でしたね…
 そこまでしないといけないということでもあるのでしょうが」
【改めてアロマディフューザーの量を効いてみるとびっくりするものだ】

「設置するのに必要な人でもわかります…
 やっぱり、それを『阻止』しにやってくるものが居る、かもしれないですし
 なかなか簡単ではなさそうですね。」
【一人5台もなかなかの負担が掛かりそうだと考える。】
【ひとまず笑美も他の協力者が来るのを待つ様子である。】

798小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/30(木) 00:13:15
>>797

  「私にできる範囲で、
   あらゆる手を尽くして人を集めました。
   今も『呼び掛け』は続けていますが……」

言いながら、掲示板に視線を向ける。
その先には一枚の『張り紙(>>753)』があった。
どうやら、『人手集め』に利用しているようだ。
数名の名前が記されている。
後から追加されたらしい『卜部のり夫』という名前も見える。

  「生憎、まだ『連絡』がありませんので……
   『今以上の人数』は難しいかと思います」

元々が急な呼び出しだ。
そもそも『張り紙』を見ない可能性も高い。
応じてくれる人間がいただけでも幸運だった。

  「現在……『一抹』という方が、
   『例のスタンド』の影響下にあるようです。
   『夏のスタンド』に取り付かれた人間は、
   正気を失ってしまうと聞いています。
   こちらの行動を阻止しようとする可能性は、
   十分に考えられます……」

  「……『一般人からの妨害』も課題の一つですが、
   そちらについては大よそ織り込み済みです」

  「設置場所は『業務用エアコンの室外機』を利用します。
   その陰に隠しておけば、
   見つかってしまう可能性は低いでしょう……」

  「ディフューザーから広がった香りは、
   まず『室外機周辺』に拡散します。
   そして……室外機は『稼動』しています。
   室外機から発生する『風』を利用すれば、
   通常よりも早く香りを広げる事もできるはずです」

  「……これによって『隠蔽』と『拡散』を両立させます」

朱鷺宮の意見を聞くため、そこで話を一旦区切る。

799朝山『ザ・ハイヤー』:2021/09/30(木) 09:51:27
>>798(お待たせしました)

「ぬおおおぉっっ」タッタッタッ!!

「おはようっス! 小石川おねーさん!! なんか久しぶりな感じだけど
元気で大変よろしーっス!」

 クルクルッッシュッ タンッ シャキーン!!

今日の服装はスノーマンの描かれたシャツに薄手のジャンバーに短パンっス!

800朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2021/09/30(木) 18:16:50
>>798
「…ふむ、これだけの人が集まった分でも
 かなりのものだと思います。」
【うなずきながらその張り紙を見つめる。】
【人集めが大変だったのだろうということが伺える。】

「一抹さんという人がその…夏のスタンドの影響を受けている…
 だとしたらスタンドを持つ人が設置作業を行うのが一番いいでしょうね…」

「そして室外機を利用した拡散…
 なかなか良い作戦ですね…」
【しばらく彼女のプランを聞いてから口を開く】

「なるべくこの街全体にクリスマスムードを拡散させるには
 100台使うとしても、なるべく万遍なく行き渡る配置にしたいですね…
 それぞれの設置ポイントは概ね決めていますか?」
【星見町も決して小さな町ではないだろう。】
【笑美にとっての心配事はどのような配置をするべきかということだろう。】

>>799
「おや?」
やや騒がしい声に笑美は声のする方を振り向いた。

「どうもこんにちは…
 あなたも協力してくださる方ですね?」
小石川の隣、一足先に来ていたのは見た目お姉さんみたいな感じの女性である。

801小角 宝梦『イル・ソン・パティ』:2021/09/30(木) 20:28:35
>全体

           トコ

        トコ


あたりを見回しながら、やってきた。

鹿撃ち帽に、サスペンダー付きのパンツという、
古式ゆかしい『少年探偵』風の装いはよく目立つ。
目立ってでも保ちたい『格好』だった。

(………………むっ、あの『喪服』は小石川さんか)

    小石川の方も目立つ格好なので、
    それを目指して人混みの中からやってきた。

802小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/09/30(木) 20:55:49
>>799-800

  「今回、私が集めた方々は全員『スタンド使い』です。
   能力によっては、
   『戦闘向き』ではない方もいらっしゃいますが……」

  「何か問題が起きた場合は、全員で連携を取れば、
   ある程度は不測の事態にも対処できるはずです」

  「『場所』につきましては……たとえ『100台』でも、
   星見町を端から端までカバーする事は難しいでしょう。
   無理に全体に散らばらせようとすれば、
   今度は『密度』が犠牲になってしまいます」

  「人の多い場所――主に『街中』を中心に据えます。
   『匂い』は衣服に付着します。
   『人に付いた匂い』は、
   そのまま別の場所にも運ばれていく事になります。
   それが大量の数になれば……
   拡散も速やかに進められるでしょう」

  「通行人を『運び手』として利用し……
   より効率的な拡散を目指します」

  「……『匂い』は『微細な粒子』です。
   『湿度』が高いと、
   粒子が『水分』を吸って重くなってしまうので、
   遠くまでは届きません。
   湿度が低く、風が強い日を狙って、
   『決行』するつもりでいます……」

説明が一段落した所で、朝山の姿を見つけた。
そちらに身体を向けて、静かに頭を下げる。
最後に顔を合わせたのは『オープンカフェ』だっただろうか。

  「朝山さん――来て下さってありがとうございます……」

  「……お久し振りですね」

  「今、こちらの『朱鷺宮笑美』さんとお話していた所です」

  「朱鷺宮さん……こちらは『朝山佐生』さんです」

二人の名前を告げ、それぞれを紹介する。

>>801

           スッ

ふと、歩いてくる『小角』に気付き、お辞儀をする。
そして、一緒にいる『朱鷺宮』と『朝山』に視線を向けた。
この二人が『同席者』である事を示すためだ。

803朝山『ザ・ハイヤー』:2021/09/30(木) 23:09:54
>>800-802

「どうもっス! 自分、朝山 佐生っス! 清月学園の中学二年生っス!」

同席してる皆にパワフルに挨拶するっス!

「へー! つまりクリスマスムードのアロマ大作戦って事っスね!」

正確にはアロマでは無いが、朝山の頭脳で説明を聞いた感じだと
そんな内容なのだろうと解釈した。

「そー言えば『調査』だとかどうとかって何をするっスか?
危ない秘密組織を偵察とかなら、悪い奴が出て来るなら
この私がケッチョンケッチョンにするから安心して欲しいっスよ!!」

シュッ! と虚空に正拳突きを決めつつ朝山は受け答えする。

804朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2021/09/30(木) 23:39:21
>>802(小石川)
「確かに…
 相手は少なくとも…スタンド使いは一人だけかもしれませんからね…
 他に敵がいたらそれはそれで厄介ですけど…」
少なくとも夏の魔物にとりつかれたスタンド使いは一人だけのはずだ…
そう考える。

「いい作戦ですね。これなら移動範囲もそこまで大きくなくて済みそうです。
 万が一、他の場所への支援が必要になったときも距離がそこまで大きくなければ対応できそうですね。」
笑美は彼女の考える計画に前向きだ。

「その丁度いい日がわかればすぐにでも、行動できるようにしておきますね。」
後の不安はその日がいつ頃になるかだろう。

>>803(朝山)
「元気な子ですね。
 頼りにさせていただきます。朝山さん。」
朝山に対して礼儀正しく頭を下げる。

>>801(小角)
小石川の視線を見て、そちらを向くと小角の姿が見える。

「こんにちはー」
彼女に向けても笑美は手をふる。

805小角 宝梦『イル・ソン・パティ』:2021/10/01(金) 00:14:02
>>802-804

「どうやら、わたしが待たせていたようだ。
 小石川さん、今日は調査の依頼をありがとう。
 ……と、なると、そちらのお二人が協力者かね?」

(となるとこの人が朱鷺宮さんの……む、むう。
 どう見てもお姉さんくらいにしか見えないのだが……)

      チラ

           「わっ……き、きみは……
            い、いや、今はいいだろう!
            小石川さんの信頼するメンバーだ、
            やたらと素性を探ったりはしないとも」

『朝山』――――『どこかで見た気がする』し、
朱鷺宮母とは話す事もあるかもしれないが、
今日は『調査』の為に呼ばれた。全員がそうだ。

「なにせ、時は一刻を争うのだから。
 ……い、いや、待たせたのは悪いと思ってるとも。
 おほんっ、それで小石川さん……
 調査を行う『場所』まではどうやって向かうのかね?」

             キョロ ・・・

辺りに小石川のものらしき車か何かはあるだろうか――――

「むろん、歩きだというなら、わたしはそれでもかまわないぞ。
 探偵とは頭脳派、しかし体が資本でもあるからね、元気なんだわたしは」

806小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2021/10/01(金) 00:30:26
>>803

  「いえ――『調査』自体に危険はありません……」

朝山を見つめながら、緩やかに首を横に振る。

  「……まずは移動しましょう。
   『小角』さんがいらっしゃったようなので……」

  「『小角宝梦』さん――彼女も『協力者』の一人です」

  「詳しい話は、私の『自宅』でご説明しましょう……」

>>804

  「ここ――『星見街道』や『星見横丁』……
   『スカイモール』周辺など、
   人が多く集まる場所に設置するつもりです」

  「取り付かれたスタンド使いは、現在『一人』です。
   複数で同時に掛かれば……
   おそらくは取り押さえられるはずです」

  「……『決行』は、そう遠くはないでしょう。
   今日の『調査』は、そのためのものです」

小角に視線を移しながら、口を開く。

  「――『小角宝梦』さんです。彼女も『20人』の一人です」

>>805
 
  「いえ……こちらこそ、来て下さった事に感謝しています」

改めて、挨拶と共に深く礼をする。

  「はい――こちらが『朝山佐生』さんと……
   『朱鷺宮笑美』さんです」

二人に片手を差し伸べながら、手短に紹介を済ませる。

  「――『場所』までは『タクシー』でお連れします……」

>>(全体)

          コッ コッ コッ……

客を待って停車しているタクシーに歩いていく。
運転手に告げるのは『自宅』の方向だ。
全員が乗り込んだら、『目的地』に向かって走り出すだろう。



(以後のレスは、【場】『自由の場』 その2
 ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1621051851/
 にて行います)

807一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/10/08(金) 03:00:27
>>792
彼等も必死なはずだ。本来は『クリスマス』など行われない時期に流行らせようとしているのだ。
最中派を使ったような『アリーナ』による宣伝の痕跡があるはずだ。

「あっ、この馬鹿っぽい感じのビラは朝山さんだ。絶対
 えっ、こんな、アホな、間抜けな理由で『Xデー』の
 開催日が判明しちゃっていいのかな…」

困惑しながら『ビラ』を片手に去る。

808黒羽 灯世『インク』:2021/10/08(金) 04:12:13

――――学内新聞は作ったが、まだ『足りない』。
ラジオやテレビのCMは小林の資金力任せだが、
火を放つ前に『着火剤』がなくてはならない。

「巷を騒がせる『クリスマスブーム』について、
 簡単なアンケートにご協力いただけますかしら!?」

駅前を通るサラリーマンや、
大学生などを狙って、無差別に声を掛ける。
中学生一人の行動。最悪でもお咎め程度で済むだろう。
成果も99%無視されるだろうが、それはそれでいい。

        (…………ま、邪道な手ではあるけど、
         最終的には事件の真相に行き着くため。
         人命も掛かってるし、手抜かりはしない。
         私の武器は、記事だけでなく取材行為そのものも、よ!)

『変なヤツがいた』と印象付けられれば、
それは後々、クリスマスの前触れとなる。
まだ段階として巷を騒がせてなんていなくとも、
『そう言われればそんな気もする』のが人間だ。

    「今なら謝礼品も配ってるのだわ!」

また――学園の会議にいた『関寿々芽』に頼んで、
謝礼品として『クリスマス柄のペン』(※)を買い取った。
降って沸いた金だ。この事件のためなら惜しくない。

これについてもプールに墨を垂らす程度だろうが、
『ペン』は貰ったものをそのまま職場や学校で使う人間も多い。
当日までに『前触れ』を広める一助くらいにはなるだろう。

       (問題は妙な者に絡まれた場合、くらいかしら?
        ……ま、その為の手も、あの場で手に入れられたけどね)

――――――――――――――――――――――――――
※柄付きボールペンは100均でも販売。
 見た目は『ペイデイオリジナルブランド品』。
 支払PCは黒羽。『10000円』消費で『50本』入手。

809美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2021/10/09(土) 00:47:19
>>808

    バァァァァ――――――ッ

                  ――――――キィッ

駅前の駐車場に、
鮮やかなカナリアイエローの車体が停車する。
イタリア製スクーター『ヴェスパ』だ。
シートから降りたアメカジファッションの女が、
掲示板に近付いていく。

  【 『約束の品物』は歓楽街の『Quince Nail』に

         『プラン9・チャンネル7』より愛を込めて 】

「ちょっとカッコつけすぎかしら」

「でも――こういうの一度やってみたかったのよね」

        フフッ

『エド・サンズ』宛てのメッセージを掲示板に残し、
立ち去ろうとした所で声を掛けられた。

(『クリスマスブーム』のアンケート?)

(もしかして…………)

        シュンッ

肩に『機械仕掛けの小鳥』を発現させて、
笑顔で首を縦に振った。

「いいですよ。今は時間があるので。
 学生さんからアンケートを受けるなんて、
 滅多にない経験ですし」

「それに私も『クリスマスブーム』には関心がありますから」

黒羽の『アンケート』を受ける。
一人でも足を止めたという事実を作れば、
若干の足しにはなる。
僅かな助力だろうが、何もしないよりはいい。

「――――どうもありがとう」

          ソッ

別れ際、謝礼品の『ペン』と引き換えに、
『名刺』を渡して去っていった。

810黒羽 灯世『インク』:2021/10/09(土) 04:43:09
>>809

目に付くスクーターに目を向けた。
特に知り合いが来たという事でもなかった――――が。

          「…………!」

「ご協力、どうもありがとう。
 新聞作りに大いに役立てさせていただくのだわ!」

       「…………」

          シュルン

アンケート内容はごく簡素な物だ。
欲しいのは『真実』ではなく、
町にも『興味』が拡がっているという事実。

     《互いに。上手くやりましょう。
       『情報』を武器にする者同士ね》

一瞬だけ、『振袖』様の制服の中に、
『筆』のスタンド――『インク』を発現して見せた。
相手にだけ見せられるのは気に食わないのだ。

(…………さて!
 何人かには足を止めて貰えたし、
 日もだいぶ落ちてきた。そろそろ潮時かしらね)

       (……他にも、やる事が出来たのだし)

美作以外にも若干名の協力は得られた。
町中に『情報』を拡散し、ブームの花を咲かせる。あと一押し、だ。

811ダイアナ『オンリー・ガール』:2021/10/10(日) 23:58:15

「最近『クリスマス』が流行ってるみたいだけど――――」

一人の『幼稚園児』が歩いている。
三つ編にしたプラチナブロンドの髪と、
煌くエメラルドグリーンの瞳が印象的だ。
その身を包むのは、
いつもの私立名門幼稚園の制服ではなく、
『サンタクロース』風のファッション。

「この格好は別に『そういうの』じゃないわ!」

「そう…………私が着たいから着たのよ!フフン!」

自分に言い聞かせるように、力強く口にする。
実際は、ただ『流行に乗っただけ』である。
しかし、他人に『乗せられた』というのはプライドが許さない。

「何だかスゴい事が起きてるみたいだし、
 ついに私の出番ね!ここから私が大活躍するの!」

「悪いやつは皆やっつけてやるわ!フフン!」

(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1456056964/261)
実は、だいぶ前に『関』から連絡を受けていたのだが、
色々あって延び延びになっていた。
そして、もう『間近』まで迫っているという事を、
ダイアナは知らない。
これから活躍できると勝手に思い込みながら、
意気揚々と『サンタ姿』で町を練り歩くのだった――――。

812常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2021/10/18(月) 23:00:45
「ふむ……『奥様』から言われたはいいものの」

「クリスマス? 見当がつかない…」
「………『世俗』がわからない!!!何が起きているかも!!!!!俺には!!!」


(PLの多忙とかで)状況をぜんぜん掴めていないのだ。
まるで年末に屋敷を大掃除するかのような慌ただしい空気だけは感じるのだが。


「出遅れたな……俺に出来る事はもう無いのか?
 せめて自分の『衣装』くらいは何とかなるといいんだが…
 …俺のスタンドで縫いぐるみとか作れないか?」


『古着屋の冬物コーナー』や『裁縫用具店』のあたりをウロウロしてみる。
何かわかると良いのだが。教えてくれる親切な人とかいませんかね?
というか期日ギリギリっぽい雰囲気ですけど今から何かやって許されますかね!?!?!?

813常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2021/10/19(火) 00:50:38
(新規場スレ禁止の旨確認しました。申し訳ありません…撤退します…
 ……ルール違反は承知ですがちょっとだけロールします…マジ申し訳ありません…)

「……?」

「これは」
「…………俺、『オフ』のつもりだったので」
「………着のみ着のままなのですが。」

マズいぞ。

814りん『フューネラル・リース』:2022/01/07(金) 11:06:52
「通りゃんせ 通りゃんせ
 ここはどこの 細道じゃ♪」

10歳程の年齢の、頭 か ら 鈴 蘭 が 咲 い た 少 女 が
八百屋で買い物をしている

籠の中には芹、薺、御形、繁縷、仏の座、菘、蘿蔔が入っている
春の七草だ

815りん『フューネラル・リース』:2022/01/08(土) 16:42:15
>>814
八百屋のおばさん「あらりっちゃん、今夜は七草粥?」
りん「ふふふ、うちはねぇ、七草粥ならぬ八草粥なんだよ!」
おばさん「えっ、八草?」
りん「うん、芹、薺、御形、繁縷、仏の座、菘、蘿蔔
   それに鈴蘭!(保存してた奴)」
おばさん「それは…
     あんたにしか食えないね」
りん「いつかみんなに食べてほしいな〜」
おばさん「お、おう
     食べてもらえるといいね…」

        ズズーッ
     ∧_∧   (⌒─‐⌒)    ∧_∧
     ((・)ω(・))  ((´^ω^`))   (´・ω・`)   
     (O=[__]O)  (O=[__]O) =と [__]O)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|

        終
      制作・著作
      ━━━━━
       ⓃⒽⓀ

816熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/01/15(土) 18:41:47

「あの・・・・少しだけよろしいですか?」

寒風が吹きすさぶ早朝
大通りにはたくさんの若者達が道を歩いていた
大学入試を控えた受験生達の多くが受けるであろう『共通テスト』・・・・本日はその初日なのだ

そんな学生達の群れの中から一人の女性が列を抜け出す
仕立ての良いコートを着た女性だ。顔立ちを見るに年齢は受験生達とほぼ同世代だろう
彼女は道を歩いていた君(>>817)に話しかけると道を聞くかのように、こう話しかけた

「ここのお店・・・・『パチンコ屋』に入りたいのだけれども
 こういうお店って何か作法とかがあるのかしら?」


   ゴゴゴゴゴ・・・・

気迫と若々しさに満ちた学生達が行き交う大通り・・・・
そこから一つ裏路地に入った先に猥雑な騒音を響かせる店がある
早朝7時に開店していたこの店は、土日だというのに特にやる事もない方々の溜まり場だ!
生気に欠けた眼をした、影の濃い人々が、泥のように店内に吸い込まれていく

817宗像征爾『アヴィーチー』:2022/01/16(日) 06:48:42
>>816

裏路地に近い寂れた通りから、
カーキ色の作業服を着た中年の男が歩いてきた。
両手に革の手袋をはめている。
足元を覆うのは、頑丈な安全靴だ。

「期待に沿えなくて悪いが、『助言』は出来そうにない」

『パチンコ屋』を一瞥し、相手に視線を戻す。
今までに入った経験は一度もなかった。
『作法』を知っている筈もない。

「他の客を観察すれば分かるかもしれないな」

「『習うより慣れろ』という言葉もある」

店内に踏み込む人波を眺め、自らの考えを口にする。
入りたいというのなら、入ってみればいい。
それが最も手っ取り早い方法だろう。

818熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/01/16(日) 09:10:37
>>817

「なるほど。郷に入っては郷に従えとも言いますしね」

「店に入る人達を見てみましょうか」

物珍しい動物を見るような目で、店に入る人々を見つめる女性
こんな時間にこんな店に入る者達だ・・・・その多くは人間のクズとしか言い様のない者どもであった

「あ! 見て見て、あの人はあんなにも背筋が曲がっているわ!
 しゃっきりとした姿勢はここではマナー違反なのかしら?」

「向こうの人は店に入る前にキョロキョロと忙しなく目を動かしてる!
 誰かに見つからないように警戒しているのね。まるでハイエナみたい!」

そんな彼らの様子を見て、初めて動物園にやってきた童女のようにはしゃぐ女性
人目を気にする事もなく、純真な・・・・いや、かなり失礼な物言いを繰り返す

「あっ、あっちの強面のお兄さんは肩を怒らせながら歩いてる・・・・威嚇行動かしら」

        「アァッ!?」

そんな言動を繰り返したせいだろう
どう見ても『その筋』だとわかる筋肉質の男性がこちらにやって来る
怒りで上気した表情は、明確に彼女に対する敵意と害意を示していた

819宗像征爾『アヴィーチー』:2022/01/16(日) 18:25:41
>>818

成り行き上、隣に立って入店する客を見ていた。
俺自身、他にする事がない。
『公衆電話』を見つけたが、『相手』が出なかったからだ。

「言い方が悪かったな」

どの時間に誰が何処に来ようと、
他人に口出しする権利はない。
何をするかは本人自身が決める事だ。
しかし、『責任の所在』というものがある。
観察を勧めたのは俺だ。
その結果として問題が起きたのなら、
それは俺の責任という事になるだろう。

「次からは黙って見る事だ」

一歩進み出て、二人の間に割って入る。

「『連れ』の言う事が気に障ったなら謝る」

「――悪かった」

近付く男に向かい、一礼する。

820熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/01/16(日) 19:16:55
>>819

「あっ」
   
       「アアァァンッッ!?」

    スッ

筋肉質の男性が近づいてきた瞬間、女はどこか期待しているような顔をぱっと浮かべた
男性が威圧のために声を上げた瞬間に、宗像は両者の間に割って入る

             「アァ? んだよ・・・・わかりゃあいいんだよ」

宗像の謝罪を聞き入れて大人しく食い下がる男性
これは、宗像の風貌がカタギ離れしている事もあるかもしれない
お互いに拳を向けあえば、怪我では済まされない者同士では喧嘩のハードルは上がる事だろう

男性はなあなあの様子で店へと戻って行った

「ねえ。」

騒動の元凶である女が宗像に声をかける

「あんなに怖い人が近づいてきてるのに、怯えた様子が少しもなかったわ
 あなたって本当に強いのね」

白々しい程に悪びれる事のない様子で称賛する

821宗像征爾『アヴィーチー』:2022/01/16(日) 20:18:16
>>820

この場で殴り合いをするつもりはなかった。
気が済むなら、相手に好きなだけ殴らせてもいい。
それで片付くなら安いものだ。

「俺からも十分に言って聞かせよう」

立ち去る男を見送り、傍らの女を振り返る。

「俺には君を焚き付けた責任がある」

「その『義理』を果たしただけだ」

だが、根本的な問題は残る。
この様子では、また新たなトラブルを招きかねない。
そして、俺は時間を持て余している。
誰かがやらなければならない仕事があるなら、
体が空いている人間がすべきだろう。
俺にとっても『する事がある』というのは悪くない。

「個人的な意見だが、『この場所』に君は向いてない」

「どこか『他所』へ行ってみる事を勧める」

「俺の見る限りでは――」

周囲を見渡し、その一隅に目を留める。

「『あの辺り』にしておくのが無難だろう」

視線の先に立つのは、一軒の『ゲームセンター』だった。
パチンコ屋に入った事はないが、
そこには何度か行った経験がある。
いつだったか、『桜色の瞳の少女』と、
『ガンシューティングゲーム』をやった覚えがあった。

822熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/01/16(日) 22:03:42
>>821

「あら、私にお勧めスポットを教えてくれるの?」

宗像の視線を追いかけるように『ゲームセンター』に視線を注ぐ
先程の『パチンコ屋』がゴミの吹き溜めだとすれば、こちらは黴の生えた物置だろう
女の年齢や口振りを考えると、こちらの方がずっと安全だ

「でも、駄目。向こうのお店には『危険な匂い』がしないもの」

だが、彼女の同意は得られなかった
『危険な匂い』がしない・・・・そんな理由で宗像の提案を袖にする

「だから私は・・・・・」

       『オ嬢様・・・・・・』

   ズゾゾゾゾゾ・・・・・

言葉の最中に不意に女の背後に気配が現れる
古風な侍女服を着た様な外見・・・・しかし、彼女の姿は幽霊のように透けている・・・・スタンドだ!

823宗像征爾『アヴィーチー』:2022/01/16(日) 22:53:58
>>822

「なるほど――」

女の言葉を脳裏で反芻し、納得する。
無意識の内に、『塀の中』で出会った連中を思い出した。
そこに来る顔ぶれは多種多様だが、
『刺激』が『動機』だった人間も少なくない。

「『危険な場所』に行きたいのか?」

「どうにかする『当て』があるなら、それもいいだろう」

不意に現れた『ヴィジョン』を一瞥する。
『スタンド使い』は出くわしやすい。
潰れたコンビニの駐車場で、
以前『喜古美礼』に言った事を思い出す。

「――珍しい『型』だな」

『独自の意思を備えたスタンド』というのは、
あまり目にした記憶がなかった。
『ノコギリザメ』も『自我』を持つが、
延々と恨み言を吐き出すだけだ。
そもそも『聞く耳』そのものが存在していない。

「俺の言葉が通じるなら言っておく」

        ズ ズ ゥ ッ

『スタンド』を見据え、そちらに向けて口を開く。
同時に『アヴィーチー』を発現する。
その右腕には『1m』の『鋸』が備わっていた。

「二度と戻れなくなる前に引き返させるべきだ」

824熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/01/16(日) 23:18:07
>>823

――――一触即発の空気。
お互いにスタンドを出し合ったこの場は、刃を向け合う果し合いの場のようでもある
『侍女服のスタンド』はゆっくりと右手を振り上げ・・・・


『コノお馬鹿ッ!!!』

     バシッ!
              「痛っ!」

思いっきり本体の頬を引っ叩いた!

『「痛っ!」デハアリマセン!
 今日の所ハこの御仁ニ助ケテイタダキマシタガ、場合ニヨッテハ「痛い」デハ済マサレナイ所デシタヨ!』

どうやら自分の意思を持つタイプのスタンドらしい
彼女のスタンドは、ヨヨヨ・・・とハンカチで目元を抑えるように両手を顔の前に翳している

『アア・・・・「社会見学」ダト言ウから、ココに来るノヲ許シタノニ・・・・
 コンナ事ヲスルヨウナラ、旦那様ニ言イツケテヤリマスカラネ!』

「言いつけるのはいいけど、お父様は『エヴァ』の声が聞こえないでしょ」

「・・・・あれ?」

自分のスタンドに殴られて、痛そうに頬を撫でる女・・・
どうやら彼女はここにきてようやく『アヴィーチー』の存在に気が付いたようだ

「へぇ・・・・やっぱり、思った通りだわ
『危険な匂い』がするから、『何か』あるものだと思っていたけど
 あなたもどうやら・・・・  『オ謝リナサイ、お嬢様ッ!』

台詞の途中で再び『侍女服のスタンド』の手が伸びる
彼女の頭を押さえて無理やりに頭を下げさせた

『申し訳アリマセン・・・・何分、世間知ラズナものデシテ・・・・
 コノ通リ、頭モ下ゲサセマスノデ、何卒何卒・・・・』

825宗像征爾『アヴィーチー』:2022/01/17(月) 00:06:47
>>824

「『よく出来たスタンド』だ」

両者のやり取りを眺め、感想を漏らす。
本体とは大きく異なる精神性。
しかし、スタンドは持ち主の精神に由来する。
その原理に則るなら、
このスタンドも『本体の一部』には違いない。
『アヴィーチー』が俺の一部であるように。

「俺のスタンドは騒ぐだけで『会話』は出来ない」

言葉に反して、『アヴィーチー』に喋る様子はない。
沈黙を守ったまま、動く事なく佇んでいる。
『鋸』を有する右腕は『ノコギリザメ』の意匠を持っていた。

「『社会見学』は『その先がある』事が前提になる」

どんな経験も『死んだ後』では価値を失う。

  「『活かす』気があるなら――」

         グッ

不意に、『アヴィーチー』が『右腕』を振り上げた。

          「――『程々』にしておく事だ」

                     ブ ォ ン ッ ! !

躊躇なく『鋸』を振り下ろし、女に当たる手前で『寸止め』する。
あるいは『スタンド』に止められるか。
どちらでも構わない。
今の状態では、相手を納得させる事は難しい。
『危険』を味わって満足するというのなら、
『そうする』のが早いだろう。

「今日のところは『これ』で帰った方がいい」

               フ ッ

          「俺も帰らせてもらう」

『アヴィーチー』を解除し、踵を返す。
これ以上の干渉をする気はなかった。
呼び止められなければ、その場から立ち去るだろう。

826熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2022/01/17(月) 00:48:57
>>825

>「『活かす』気があるなら――」

>         グッ

>不意に、『アヴィーチー』が『右腕』を振り上げた。

         『貴様ッ!? 何ヲ!』

     「・・・・いいえ、大丈夫よ」

『アヴィーチー』の予備動作を危険な兆候とみたスタンドは両手を構える
しかし、同じものを見た女は逃げる事も慄く事もなく、ただその動作を見つめていた

>          「――『程々』にしておく事だ」

>                     ブ ォ ン ッ ! !


――――振り下ろされる『鋸』。
しかし、人間を容易く引き裂くその得物は女に当たる直前で止められていた

「うふふふ・・・・ほら!
 あなたの事を見ていたけど、全然危険そうじゃなかったもの!
 でも、とても気に入ったわ!」

女の読みが間違えていたら、あるいは宗像の気分が途中で変わっていたら、
女の頭は無残にも引き裂かれていただろう
しかし、その事が予想出来ていたのか、それともそんな事すらわからない程に愚かなのか
女はまるで『たかいたかい』をされた幼児のように喜ぶだけであった

「ええ・・・・今日の所は帰る事にするわ」

「色々と・・・・面白い経験も出来た事ですし、ね?」

踵を返す宗像の背中に言葉をかけるが、女には彼を呼び止めるつもりはないようだ
そのまま、彼に背を向けて帰路についた

827宗像征爾『アヴィーチー』:2022/01/17(月) 18:45:53
>>826

「よく動かずにいられたものだ」

寂れた裏通りを歩きながら、先程の光景を思い返す。
『アヴィーチー』のスピードは、そう速くもない。
状況的には不意打ちだったとはいえ、
目の前で振られた『鋸』に対処するのは難しくなかっただろう。
だが、避けようともしなかった。
『当たらない』という確信があったのか。

「『筋金入り』らしいな」

似たような人間を『塀の中』で見た記憶があった。
あれは気の迷いの『出来心』ではない。
『常習者』に近い特徴だ。
そういった者は変えようとしても変わらない。
『どうしようもない部分』というのは存在する。

「――それは認めざるを得ない」

828『お前も鬼にならないか?』:2022/02/04(金) 18:46:44
『お前も鬼にならないか?』

寒空の下、君たちは手に『ある物』を抱えながら大通りを歩いていた
今日は2月3日・・・・『節分』の夜である
そう・・・・君たちは近年の流行りに乗っかり、『恵方巻き』を購入したところなのだ
今年の恵方は『北北西』・・・・帰宅したら、恵方巻きを存分にほおばろうと考えていたところである

「クソッ垂れが! ここにもねえ!!」

剣呑な叫び声が君たちの耳に聞こえてきた
大通りに店を構える居酒屋『喧嘩上等』の前で一人の男が悪態をついている
手にはコンビニで買ったのか、パッケージに詰められた炒り豆が握られていた

「俺はよォォォ〜〜〜!毎年毎年節分の日には豆を蒔いてたからよォォォ〜〜〜〜!
 今年くらいは流行り物に乗っかって『恵方巻き』を食べようかって思ってたのによォォ!」

「どこにもッ! ないんだよッ! これが!」

この男の奇行にビビってか、周囲の人間達は遠巻きに見つめている
そんな中、男の挙動が変化し始めた

「ならよ・・・・奪ってやるぜえ・・・・『福』をよぉぉ!
 いくぜ『オウガバトル』!! お前らの『福』をよこしなァ!」

男の顔面を『4つの目がついた仮面』が覆う
周囲の人間は気にした様子はない・・・・これは『スタンド』だ!
『仮面のスタンド』を身につけた男は手に持った豆を周囲にばらまき始めた!

  「痛っ」

              「うわっ!」
        「なんだ!」

大通りをあるく人々に『豆』が当たる!

※ 完全コメディのシナリオです
危難DD。最大2人まで参加可能
『ラン&バトル(追いかけっこと戦闘)』。期間は2週間程度。

829大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/02/06(日) 22:34:10
>>828
そこへ、手品師じみた黄リボン付シルクハットを被った緑髪・右青目・左赤目・改造済清月学園黒制服の男装少年(16歳♀)が通りがかった。

「やや、これは一大事。なにやら危険なスタンドの香り」(↓ハスキーボイス↓)

「なので、ひとまず危険が降りかかりそうな、一般の方々にはご退場いただこう」(↓ハスキーボイス↓)

大きく息を吸い込んで……

「うわあああ!鬼だあ!鬼が出たぞお!」(↑はくしんのえんぎ↑)
大声で周囲の注目を集める!!!

…………

「えっ? どこに鬼が出たのかって?」(耳を澄ませて辺りを見回すポーズ)

「どこかな? どこかな?」(いないいないのポーズ)

「ここだよ〜〜〜ん!!!」(いないないバァのポーズ)

大神の姿が『恐ろしい鬼』へと変わった!!!

……と見せかけて、これは『偽の毛皮』3枚で作った『鬼面』と『鬼の衣装』(赤い肌の『着ぐるみ』や『肉じゅばん』の類)と『金棒』(ステッキが化けたもの)だ。
それを被って『外見を変えただけ』。

質疑:ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1519311943/152

d.『美しい絵』や『恐ろしい絵』など、見ただけで見たものになんらかの感情を与える創作物
  Lv1.一般人を騙せる(『贋作』程度には『真作』に迫っている)

大神の能力では『特定の人物の精巧なマスク』は作れない。
……でも鬼は架空の存在だ。
誰も真の姿を見たことが無い。
それでいて芸術やメディアとして『恐ろしい鬼の面』や『恐ろしい鬼の姿』と言うものは沢山作られている。
『そういった、恐怖の鬼の姿をここに持って来る』。

だから、周囲の一般人からすれば『(様々なメディアで見覚えのある)恐怖の鬼が突然現れた』ように見えるだろう。


「はよう逃げんと食うてまうどオラアアアア!!!」(はくしんのえんぎ)

金棒(元はステッキ)を振り回し、周囲を威嚇する。
ボクは『オオカミ少年』。
『オオカミが来たぞ!』なんて『お手の物』。



意図:一般人たちに『恐怖の鬼の姿』を見せる。
できれば、恐怖を感じて逃げてほしいところだ。
『何かの撮影』と勘違いされてしまうかもしれないが、
ある程度の異質感を感じさせれば、自然と距離は取るだろう。
(例えば『撮影の邪魔!』とでも言えばある程度の距離を取るだろう) 

能力:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1519310970/122-123

持ち物:いつもの学校帰りの格好(改造制服+シルクハット+ステッキ)、財布、スマホ、リュック式の学校カバン(教科書、ペン・消しゴム・ハサミ・カッター、定規、コンパスなどの文房具)

830『お前も鬼にならないか?』:2022/02/07(月) 00:04:10
>>829

「うわあああ!鬼だあ!鬼が出たぞお!」

大声で周囲の注目を集めようとする大神
オオカミ少年の逸話よろしく、ここは嘘をついてでも人々を逃がそうという作戦だ
その作戦は功を奏し、遠く離れた場所からは絶叫が上がる

 「う、うわああああああ!『鬼』だ!」

    「お、鬼!? 鬼だ!」

       ・・・
「鬼が・・・・・・『何匹も』いるぞォォォォォ!」

     『『『グオオオオオォォォォッ!』』』

咆哮が上がる
それは君から見て至近、男に豆をぶつけられた人々と同じ座標だ
豆をぶつけられた人間が鬼に変じたとでも言うのだろうか!?

「むぅ・・・・?貴様は俺の『鬼』ではないな・・・・?
 くんくん・・・・」

「・・・・・!?」

「持っているな・・・・・貴様・・・・・!
 俺が探し求めてやまない・・・・『アレ』を・・・・・!」

10m程離れた場所から男が君に指先を向ける
男の周囲には数人の『鬼』達がグルルと唸り声を上げながらたむろしている

「持っているなァァ―――――ッ!?」

『鬼』が2体、君に向かって突撃を仕掛ける!
どうする・・・・・?

※あと一人まで参加可能です

831夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2022/02/07(月) 13:31:29
>>830

『恵方巻き』を買って帰る途中で、
たまたま『喧嘩上等』の近くを通りかかった。
何故かは知らないが、
食べ方に決まりがあるらしい事は知っている。
つーか『ホクホクセイ』ってドッチだよ??
『ホクホク』ってコトは『あったかい』ってコトだな…………。
たぶん『ハワイ』あたり??

「――――おん??」

「ココって、『チョットまえ』にバタバタしたトコだ」

         ズギュンッ

「またナニか『めずらしいモノ』とかないかなぁ」

『ドクター・ブラインド』を発現し、
『超人的聴覚』で周囲の声や音に気を配る。

           ピクッ

「なに!?『オニ』がでただと!!いますぐいくぞ!!」

通行人の声を聞きつけて、現場に向かってダッシュする。
そんなオモシロいモノがあったら、
みにいかないワケにはいかない!!
ところで『オニ』ってどんなだっけ??
よく『オニのように○○○』とかいうよな…………。
つまり『なんかスゴい』ってコトだ!!

           ザ ッ

「おお!!ナンかやってる!!わたしもまぜろ!!」

>>829

「おぉ〜〜〜い!!が〜〜〜み〜〜〜ん!!」

大神に駆け寄りながら、
『ドクター』の両手で地面に落ちている豆を拾う。

「こないだはイロイロあったよね〜〜〜!!」

『練炭事件』が起きて『ツボ』を押して『かりんとう』を食べた。
要約すると大体そんな感じだ。
しらないヒトは、コレをよめばわかるぞ。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1621051851/660-682)

■外見
―――――――――――――――――――――――――――――
・年齢16歳
・身長160cm
・金髪のセミロング
・ブルーのサングラス
・アリス風ファッション
・頭にリボン風のスカーフを巻いている
・両手の爪にトランプ柄のネイルアート

■所持品
―――――――――――――――――――――――――――――
・スマホ
・財布
・ハンカチ
・エコバッグ
・ピンクグレープフルーツジュース(500mlペットボトル)
・恵方巻き三種セット(サラダ巻き・海鮮巻き・特選七種具材)

■能力詳細
―――――――――――――――――――――――――――――
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/56

爪で切り付けた物に五感を『移植』する能力。
四感は非常に鋭敏だが、視覚のみ有しておらず、
存在しない視覚を移植された相手は『盲目』になってしまう。

『ドクター・ブラインド』
破壊力:D スピード:B 射程距離:D(5m)
持続力:E 精密動作性:B 成長性:D

832大神 或真『ネヴァー・グローイング・アップ』:2022/02/07(月) 19:57:17
>>830(GM)
(よし、何人かはちゃんと逃げてくれたな。そして犠牲になったであろう、2人の『鬼』が突っ込んできた)

「くくく……このボクこと、『人の世の恐怖を顕現したかのような鬼』に正面から突っ込んでくるとは……
 愚か者どもめ……

 くらうがいい!『幕末オープンゲット』!」 (↓大魔王のような低い声↓)

〜〜〜【幕末オープンゲット】とは〜〜〜

   【幕末の頃 数では圧倒的に劣る維新志士達が使った手段でな、まずは飛んで逃げるでござる】
   【逃げる?】
   【そう まあ正確には逃げるフリをするでござるよ】
   【敵は当然追ってくるが、個人差で速さにバラつきが生じるから自然 速いものから順に追いついてくる事になる】
   【そして、斬られる寸前で幕末オープンゲットでござるよ】
   【幕末ゲッターチェンジで合体した後、力づくで一掃するでござる】
   【いつだって維新志士の若い命は真紅に燃えているのでござるな】

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「きゃー! こわーい!」 (↑甲高い声↑)

   おおかみ(おにのすがた) は にげだした! ダダダッ(例のSE)


……と言っても、ただ逃げるわけじゃない。
『手近な曲がり角』・『一時的に身を隠す障害となるモノ』の方向へ逃げる。ここは町中なのだからそういうところは沢山あると思う。

……大神的には『鬼2人に同時に襲ってこられる』のが脅威なだけだ。
だから、あえて逃げて、襲ってくる鬼2人を『速い方』と『遅い方』に分断する。
『先に追いついてきた方』から叩く。これはその布石だ。

また『逃走』には『相手の能力射程を測る』目的もある。
『奇面の男』の能力が『豆に当たった者を鬼にして操る能力』だとすると『能力で操作できる射程』というものがあるはずだ。
現在の距離が『約10m』ならば、『相手がどう動くか』で『能力射程が10mより長いか・短いか』を測ることができるだろう。

そして、『操作能力』ならば、『操作』には『操作者の感覚』の問題もあるはずだ。
例えば『ラジコン』を『操作者の視界外で動かす者』が居るだろうか?
いるとしたら、それは『操作や地形の把握に自信があるか』もしくは『そこまで考えていないか』だ。
だから、大抵の場合、『操作』には
『視界内でだけ操る』、
『カメラなどで視覚で操る』、
『大まかな命令をして細かい動きはラジコン側に任せる』
などの『制約』がかかってくるはずだ。

『逃走』することで、それらを測る。

まずは逃走、その上で前述の『手近な曲がり角』や『身を隠す障害』まで逃げられたら、次の行動に移る。

>>831(夢見ヶ崎)
多分、『大神の声』(演技なしの甲高い声)で叫ぶ『赤鬼』が逃げる光景が目に入るんじゃないかな……。(GMさん、判断頼みます)

833『お前も鬼にならないか?』:2022/02/07(月) 21:13:55
>>832

―――『幕末オープンゲット』ッ!

それは幕末の頃、数で圧倒的に劣る維新志士達が用いた常套手段!
現代を生きる大神が何故、このような方法を知っていたのか
彼女の知識の原点について書き記すにはこのスレは少々余白が足らない

ともかく、男から一旦距離を置く大神
それを追いかける2体の『鬼』達
大通りを駆けると目の前にケバブ売りのキッチンカーが見えた
大急ぎで車体の影に隠れる・・・・・だが!

   ドタンッ!
             ビタンッ!!

  『アギャッ!』

            『テギャッ!』

車体に隠れた瞬間、追いかけてきた鬼たちが何かに躓いて転んでしまったようだ
このまま、大急ぎでこの場を離れれば逃げ切る事も出来そうだが・・・・
そうなった場合、鬼にされた人々はどうなるだろうか?
勿論、そんな事を君が気にする必要はない。君はこのまま逃げてもいいし、立ち向かってもいい

>>831

大通りに通りかかったところで、先日の『練炭騒動』の時に聞いた甲高い声が木霊する
見れば、『居酒屋喧嘩上等』の方から見るも恐ろしい姿の赤鬼が走ってくる
赤鬼は後ろに2体の別の『鬼』を引き連れており、どうやら鬼同士で追いかけっこをしているようだ
甲高い声は赤鬼が出しているようだが・・・・?

『豆』を拾おうとしたが、流石にこんな所まで『豆』は届かなかったようだ
『喧嘩上等』の前までは15m程度の距離がある
どうやら店の前では多くの『鬼』達が『仮面を被った男』を護るように立っているようだ

   ドタンッ!
             ビタンッ!!

  『アギャッ!』

            『テギャッ!』

目の前で『鬼』達がこけた!

>>all

「ケェ〜〜〜〜ッ!
 出涸らしの『福』じゃあこの程度が限界かよォォ〜〜〜ッ!
 でもなあ、『恵方巻』を持ってる奴がもう一人! ノコノコと現れおったぜぇ!」

「その『恵方巻』をよォォ〜〜〜! 俺によこしなッ!」

男が急接近する!
その手にはやはり『豆』が・・・・!

「ケェ〜〜〜〜〜〜ッ!!」

男の手に握られた『豆』が散弾銃の様にばら撒かれた!
広い範囲に弾幕をばら撒くように、豆の散弾が君達へ向かう! スピード:B

この先は【ミ】『むべ山風を嵐といふらむ』にて!
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1600335547/

■■■■□□□□□□■■■■
■■■■□□□□黒黒■■■■
■■■■◎□□□黒◎■■■■
■■■■□□□□□□■■■■
■■■■□□□□□□■■■■
■■■■□□□□□□■■■■
■■■■□□□□□□■■■居
■■■■□□鬼□□□扉■■酒
■■■■□□□□鬼□■■■屋
■■■■□鬼□□□□■■■■
■■■■□□男□□□■■■■
■■■■□□↓□鬼□■■■■
■■■■◎□□□□◎■■■■
■■■■□□□鬼□□■■■■
■■■■□鬼□□□□■■■■
■■■■□□□□□□■■■■
■■■■□□□□□□■■■■
■■■■□□□□□□■■■■
■■■■□□□□□□■■■■
■■■■□□□□□□■■■■
■■■■□□□転□□■■■■    北
■■■■□□転□□□■■■■    ↑
■■■■◎□□□□◎■■■■  西←〇→東
■■■■◇◇□□□□■■■■    ↓
■■■■◇◇□□□□■■■■    南
■■■■◇◇□□□□■■■■
■■■■◇◇□□□□■■■■
□□□□□大□□□夢□□□□□□□□□□

大神=大 夢見ヶ崎=夢
鬼=鬼 男=『仮面の男』
◎=円柱 ◇=屋台用のワゴン車(ケバブ)
●=ゴミ箱 黒=所々黒焦げになった地面

834宗像征爾『アヴィーチー』:2022/02/21(月) 19:11:39

    ザッ ザッ ザッ

日が落ちた夜の街を歩く者がいた。
カーキ色の作業服を着た中年の男だ。
使い込まれた革の手袋が両手を覆い、
無骨な安全靴が乾いた音を立てる。

                    ――――ザッ

男が立ち止まったのは『駅前』だった。
時刻は『午後十時』。
設置されている時計の前に佇み、駅舎の方向を見つめる。

835宗像征爾『アヴィーチー』:2022/02/23(水) 15:27:07
>>834

「『あの時』に君がいなければ、
 俺は死んでいたかもしれないな」

駅舎を眺めて独り言のように呟きながら、
『一人の人物』を思い返す。
顔を合わせたのは一度だけだ。
以前、『同じ仕事』を引き受け、
『この時間』に『この場所』を訪れた。

「俺は君の事を何も知らない」

『風の噂』が耳に入ったのは、退院した後の事だった。

「何があったのかも分からない」

『一人の少年が命を落としたらしい』という話だ。

「俺が君にしてやれる事は何もないだろう」

その『名前』には聞き覚えがあった。

「だが――この町に、
 『青山流星』という人間が存在した事実は、
 俺の記憶の中に留めておく」

「俺が死ぬまで決して忘れない事を誓おう」

        ザッ

「それが俺からの『弔辞』だ」

踵を返し、駅舎に背中を向けて歩き始める。
進む先は闇の中だ。
徐々に遠ざかる後姿が、夜の帳の奥に消えていった。

836伏見『パルサーグリッジ』:2022/03/03(木) 13:59:13
「重て〜」

昼間、大きなレジ袋を持って歩いている女がいる。
両手にひとつずつ、片方には2Lのペットボトルが山ほど入っていた。
もう片方には大袋のお菓子類が入っている。

「やっぱり手伝って貰えばよかったなぁ……」

一人、そう呟いている。
特になんてことの無い光景だ。
とはいえ、のんびりしてもいられないことは起こる。

「あれ」

ボトン、と音がして袋がちぎれた。
中のものがどんどんと地面に落とされていく。

「ああああ……」

837ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/03/06(日) 22:39:01
>>836

「おっ?」


道端にしゃがみこんでいた金髪の子供が、音に反応して振り向く。
そしてのこのこと近寄って来た。


「落とし物か?
 そういえば聞いたことがあるの。
 落とし物を届けると8割貰えるとかなんとか……」


独り言がデカい。
ゴミ捨て場を見るカラスのような視線が狙うのは……ペットボトルだ!

838伏見『パルサーグリッジ』:2022/03/07(月) 00:03:15
>>837

「あはは」

「ひとり声でけ〜」

愉快そうに笑っている。
別に気にもしてないのだろうが。

「欲しいの?」

839ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/03/07(月) 00:17:02
>>838

「わしは『交換屋』をしておるんじゃが、
 仕入れは落ちてるものを拾ったりしておる」

「これとか、これとか。どうじゃ?」


話しかけられた子供が見せてきたのは、手袋(右手用)と、ペンのキャップだった。
道端に落ちてるものとしては納得のラインナップだろう。


「まあ、今はお前さんの落とし物を拾うとするか」

「ふぬっ」


子供は小学校低学年くらいだろうか。
2リットルは重い。


「くっ」

840伏見『パルサーグリッジ』:2022/03/07(月) 00:43:50
>>839

「なにそれ。交換ってそういうもん?」

「まぁいっか。そういうルールなんだ」

「……手袋、落し物? 汚くない?」

そんなことを言いつつ、自分は自分でお菓子の大袋を拾っていく。
とはいえ、袋は破れてしまっているのでまた袋に詰め直すとかは出来ないんだが。

「あぁ、大丈夫だよ。私が持つし……」

「あ。そうだ、袋とかないの。適当なのでいいからさ」

ず、と何かが現れて消える。
それは空気に溶け込むように散っていった。

841ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/03/07(月) 00:55:21
>>840

「袋? おお、袋か」

「ふう」


一旦ペットボトルを置き、再度手袋を取り出すと、中にペンのキャップを放り込む。
それから手袋の中に指をつっこむと……
中からずるずると、『ビニール袋』が出てきた。結構大きめだ。


「お前さんが欲しいのはこの袋じゃろ!」

「もっと欲しいか?」


よく文章を見たら2リットルペットボトル1本じゃなくて山ほどとか書いてあった。
山ほど……!?
お菓子の袋の方も破けてしまっているなら、袋1枚じゃ足りないだろうか?


「……?」


一瞬何か見えたような気がして、目をこする子供。
気のせいか……

842伏見『パルサーグリッジ』:2022/03/07(月) 01:00:17
>>841

「ああ。そういうのそういうの」

いつの間にか君が置いたペットボトルを手に持っている。
そして、一旦破れた袋を下敷きにしてペットボトルを袋に詰めていく。
これでペットボトルは大丈夫だろう。

「? どうかした?」

目を擦るのを見てそんなことを言う。
お菓子の袋は相変わらず破れていてお菓子の大袋が落ちそうだ。

「あ、交換屋なんだよねー? このお菓子いる? どうせ出ちゃうし交換するのもいいかな」

843ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/03/07(月) 01:16:50
>>842

「いや……気のせいかの」

「ううむ。菓子は好きじゃが、『記録』には菓子が多いんじゃよな。
 どんなじゃ?」


一体どんなお菓子を買ったのか。
大袋ということは詰め合わせ系とかだろうか。


「……ん?」

「袋が足りんならもっと出せるが」


何か一瞬、目の前の光景に違和感を覚えながらも、
子供自身も、手袋を握りこんで、開くとビニール袋が出てくるという、手品のような動きをしている。

844伏見『パルサーグリッジ』:2022/03/07(月) 01:34:07
>>843

「んー?」

お菓子の袋を見せていく。
チョコレート菓子だとか三角パックに詰められたゼリービーンズだとかポテトチップスとかそんなのだ。

「え、まだ出せるの? ありがとー助かりまーす」

「……そんなに手袋に袋つめてるの?」

「袋イン袋なんだ」

ぱっ、と手を差し出す。
確かにそこにはペットボトルを入れた袋があったはずだが、何故か反対の手に袋が移動している。

「あぁ。お菓子と交換があれだったら別のと交換する?」

845ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/03/07(月) 01:47:20
>>844

「まだ出せるぞ」


手袋にビニール袋が入っていた、というより、いつのまにか手袋自体が無くなっている。
さらにポケットに手を突っ込むと、そこからも『ビニール袋』が出てくる。
まあ、ポケットから出てくるのは普通だし、そんなに沢山はいらないかもしれないが。


「そういえば甘いのは多いが、
 しょっぱい菓子はあんまりなかった気がするの」


ポテトチップスに興味を示したようだ。


「とはいえ、『ビニール袋』はあれじゃろ?
 わしはあまり買い物しないから知らんが、1円とからしいの。
 そんな沢山入った菓子と『交換』するのも悪い気がするの……
 お前さんも、必要だからそんなに沢山買ってるんじゃろ?
 パーティとかするのか?」


この『ビニール袋』の大きさなら5円くらいはしそうだが、2枚でも10円。
昨今ではうまい棒一本買えないのだ。
道端で袋が破けたという機会的な付加価値はあるが……


「菓子以外だとどんなじゃ?」

846伏見『パルサーグリッジ』:2022/03/07(月) 02:19:54
>>845

「あ、ポテトチップスがいい? いいよいいよ。持ってって持ってって。交換交換」

「サークルの飲み会? みたいな? この時間だからノンアルでって感じなんだよねぇ」

ずい、と破れた袋の上にポテトチップスの大袋を置く。
持っていけということだろう。

「えーっと、何あるかな」

上着のポケットなどをゴソゴソとまさぐる。

「ネックレス、指輪、伊達メガネ……」

次々に物を出していく。
それから、ふと手首に視線を落として。

「腕時計〜」

自分が身につけていたものを外す。

「あ、このピアスもいる?」

847ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/03/07(月) 02:47:09
>>846

「綺麗じゃな」


ネックレスや指輪、腕時計を覗き込む子供。
口調がおかしくて小さくても女の子ということだろうか。


「耳についてるのか? 取ったら血が出んか?」

「いや、違う。
 そんな良さそうなものを出してよいのか?
 お前さん、お金持ちか?」


しばしキラキラしたものに心奪われていた子供だが、プルプルと頭を振って気を取り直した。
菓子でもちょっと価値に差がありすぎて悪いかな。と思っていたというのに、
指輪だのネックレスだのは、実際の価値はわからないものの、さすがにビニール袋とは釣り合わないだろう。


「しかしわしも釣り合うようなものは……
 いや、無いというわけではないぞ。
 しかし、荷物を増やすのもホンマツテントじゃしの」

「……そうじゃ。わしが荷物を運ぶのを手伝ってやろう。
 しかもお前さんは何も持たなくてもよい。
 どうじゃ?」

848伏見『パルサーグリッジ』:2022/03/07(月) 10:44:59
>>847

「お金持ち……? いや、そこまででは無いかな。持ってる方だと思うけどね」

「まぁ、いるかいらないかで言ったらもういらないの」

ケラケラと何が楽しいのか笑っている。
とはいえ、いま出したものを金に換えればそれなりの額になるだろう。
それをこの女自身も承知している。

「ふうん。じゃあお願いしようかな」

「お菓子の袋持って。ペットボトルは重いからダメでーす」

849ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/03/07(月) 16:34:30
>>848

「いらない? なんでじゃ?
 耳が痛いからか? 穴開けてつけるんじゃろ? それ」


事情を聞かない。という気づかいは無いらしい。
そこまで興味もなさそうなので、はぐらかせば追及もしてこないだろうが。


「ふむ、まあ待て。聞くんじゃ。
 と言ってもなんと説明したらいいかわからんが……」

「お前さんは何も持たなくてよい、というのは、
 わしが荷物の重さをゼロにすることが出来るからよ」

「この『シールセット』とお前さんの荷物を『交換』しれくれれば、
 送料無料! 目的地に着いた時、さらに2倍にして品物を出そうでないか」


ABCD……の形のシールを取り出してそんな事を言った。
ちょっと立体的でぷっくりしている3Dなシールだ。
内容は怪しい通販を通り越して、詐欺のような発言だが……?

850伏見『パルサーグリッジ』:2022/03/07(月) 22:08:57
>>849

「別に? 痛くないけど」

「……ほら、食べたあとのフライドチキンの骨とかさ」

「もう飽きちゃったお人形さんと一緒だよ」

感情の色のない目でそう言う。
温和そうに笑っていたのに、その目になるだけでどこか冷たい雰囲気が浮び上がる。

「へぇ。いいねぇ」

「そういうのが、出来るルールなんだね」

「OK、そうしようか」

「そのシール、面白そうだしね。さすが交換屋さん」

851ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/03/07(月) 22:37:38
>>850

「なるほど、飽きたのか」


子供は納得した様子だ。
ふむふむと頷いている。


「うむ、ではこれはこれとで、これはこれと『交換』じゃ。よいか?」


剥離紙に貼ってある『シール』1つ1つを指さし、お菓子やペットボトルに割り当てていく。
真剣そうな表情からして、何か意味がある行為らしい。


「よっこらせ」


それから渡された『シール』は……特に何の変哲もない、普通のシールだった。
一方子供は、背負っていたリュックを下ろし、その中にお菓子やペットボトルを詰め込んでいく。


「よし、行くかの!」


大人用だろう不釣り合いな大きさのリュックは、品物を詰め込まれ……しぼんだままだった。
子供が再度軽々と背負っている様子から見ても中身が入っているようには見えない。

852伏見『パルサーグリッジ』:2022/03/07(月) 22:53:00
>>851

「そう。飽きちゃった。タイミングが良かったらスマホもあげるよ」

さも当然のように言ってのける。

「はい、行こー」

853ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/03/07(月) 23:13:29
>>852

「飽きっぽいんじゃな。
 スマホは、なにか、個人情報とか、
 そういうのがあるから大切にした方がいいんじゃあないかの」


行先も知らないのにずんずん進んでいく子供。
この先、如何なる艱難辛苦が待ち受けているいるのか……!?


       ___
     /×( ゚Д゚)
     |×( ´∀`) キングクリムゾン
    ⊂××××つ
     |××××|



特にどうという事も無く目的地に着いた。多分。
元々重い荷物を背負って伏見が徒歩で行ける距離なんだから、
普通にちょっと歩いたら着くはずだ。そうであろう!?
何かあったというなら盛ってもいいよ!


「よし、出すぞ」


そして子供は宣言したように、リュックからお菓子やペットボトルをずるずると引きずり出す。
約束通り『2倍』だ。
増えているのもおかしいが、そもそもリュックに入っていたとは思えない量だ。


「そのネックレスとか指輪とか、本当に要らないならもう1倍出してもよいぞ!
 でもこれから皆で遊ぶならおしゃれしておいた方がいいんじゃないかの?」


そもそも3倍もあって食いきれるのかという問題があるが……

854伏見『パルサーグリッジ』:2022/03/07(月) 23:26:55
>>853

「別にいいよ、その時はその時は多分」

「私がどうでも良くなった時だからさ」

目的地について、二倍になった荷物を受け取る。
うんうん、と頷いた。

「あー……なるほど。交換するルールだもんね」

「別にこんなのいらないからいいんだけど」

「もう一倍はもっといらないから」

「これで、いいかな」

そう言うと、また柔和に笑って見せて。

「またね」

どこかへと歩いていった。

855ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/03/07(月) 23:41:18
>>854

「楽しんでくるとよいぞ」


サークルの飲み会に行く女の背を見送る。


「飽きっぽいというかなげやりというか……
 不思議な子じゃったな。
 今どきの若者というやつかの……」


自分が年長者であるかのような事を言いながら、子供も去っていった。

856リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/04/28(木) 17:09:51

       コトッ コトッ コトッ

小さな物音が聞こえる。
それは規則的なリズムを持っていた。
『足音』に近いが、厳密には違う。

       コトッ コトッ コトッ

音の主は『人間』ではない。
それどころか『生物』ですらなかった。
一体の古めかしい『市松人形』が独りでに歩いている。

       コトッ コトッ コトッ

何らかの『トリック』か。
あるいは『怪奇現象』か。
それとも『他の何か』だろうか。

    ――――コトッ

ふと、『人形』が足を止めた。

857赤月『サクソン』:2022/04/28(木) 21:37:57
>>856

「ん・・・・?」

『人形』が歩みを止めた時、一人の少女が人形の方を振り向いた
どうやら、中学生の女子生徒のようだ・・・・『人形』へと近づく

「人形か・・・・
 伝統的で、随分としっかりした出来に見えるけど、
 こんな場所に・・・・ 捨てられたのか?」

ひょい、と『人形』を持ち上げてじっと見つめようとする

858リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/04/28(木) 22:36:14
>>857

赤い着物姿の『市松人形』。
こんな代物が外にあるというのは妙だ。
捨てられたにしても、近くにゴミ捨て場がある訳でもない。

「『こんにちは』」

不意に『声』が聞こえた。
幼い少女を思わせる愛らしい声色だ。
だが、周囲にそれらしい人影は見えない。

「『一緒に遊びましょうよ』」

再び『声』がする。
ごく近い場所から聞こえてくる。
そう――――――『赤月の手元』から。

859赤月『サクソン』:2022/04/28(木) 22:45:27
>>858

「―――――ッ!?」

持ち上げた『人形』から発せられた突然の声に
肩をびくりと震わせる
普通の少女であれば、驚きのあまり『人形』を放り捨ててもおかしくはないだろう・・・・だが

「――――凄いな。喋れるのか」

この少女は違った
驚きに目を丸くさせたのも束の間、『人形』をひっくり返しながらさらに見つめる

「伝統的な人形のように見えるけど、何らかの電子機器を積んでいるのか?
 ううん・・・・やはり、この国の玩具は面白いな
 私は布を丸めたやつしか持ってなかったから・・・・」

一通り眺めると、再び人形を目の前に持っていく
そして、顔と顔を見合わせる様にして・・・・

「こんにちわ。 何をして遊ぼうか?」

いつもよりも少し高い声で人形に話しかける
周囲に誰もいない事は確認済みだ
いつもなら恥ずかくてやれない事でも、この場には誰もいない

860リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/04/28(木) 23:14:59
>>859

人形をひっくり返すと、着物の裾の隙間から、
草履を履いた足が見えた。
その外観からは、
動く装置や喋る機構などの存在は窺い知れない。
だが、内部に仕込まれている可能性はある。
そうだとすれば、かなり高度な機器と呼べるだろう。
見た目は古風な人形だが、
これも現代技術の産物なのだろうか。

「ウフフフフフフフフフフフフフ」

赤月の答えを聞いて、人形は嬉しそうに笑い声を漏らした。
間違いなく喋っている。
口こそ動いていないが、
その声は確かに口元から発せられているようだ。

    「――――――『あっち』」

       ス ゥ ッ

人形が指差した先には、小さな公園が見えた。
そこには、いくつかの遊具が設置してある。
子供が遊ぶには丁度いい広さだ。

「私、『ブランコ』に乗りたいわ。ねえ、一緒に乗りましょうよ」

持ち上げられたまま、人形は赤月にねだる。

861赤月『サクソン』:2022/04/28(木) 23:29:02
>>860

「『あっち』か。 よぉし」

何の変哲もない古びた人形が、動き、喋り、指を指す
この国の普通の環境で育ってきた人間であればぎょっとするような光景である

「ブランコ・・・・あまり、やった事はないけど・・・・うん
 たぶん大丈夫だ」

そう言いながら、ブランコに腰を掛ける
『人形』は膝の上に乗せ、腿で軽く固定する

幼少期の赤月は、『とある事情』から一人遊びが多い子供であった
そのためか、『人形』に話しかける仕草も堂に入っている
だが・・・・『ブランコ』に乗るその動きはややぎこちない

「よっとっ・・・・・うわ!」

不器用な動きで足を漕ぐと、体幹がぐらぐらと左右にぶれ始める
両翼の鎖が協調せずに動いてしまっているせいだ・・・
その揺れは当然、『人形』へと伝わっていく

862リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/04/28(木) 23:53:51
>>861

赤月に連れられた人形は、
まるで意思を持っているかのように振舞う。
もしこれが真夜中で、出会ったのが気の弱い者なら、
見た瞬間に逃げ出していてもおかしくない。
そうでなくとも、まともに相手をする人間は、
そうはいないだろう。

    「ウフフフフフフフフフ」

ブランコに揺られながら、人形は楽しそうに笑う。
真っ当に相手をしてくれる人間。
それは人形にとって貴重な『友達』だった。

         ソ ッ

地面に落ちないように、両手を赤月の膝に添える。
小さいナリだが、平均的な人間並みの力は持っているようだ。
また、『バランス感覚』も同等にはあるらしい。

「私、『お船』に乗ってきたの」

「『お友達』をたくさん作りたかったから」

この人形の本体――――『リトル・メリー』も、
かつて『外国』からやってきた存在である。
人と人を繋ぐ『親善大使』として、
また『子供達の良き友人』として。
こうして遊んでいると、その時の事を思い出す。
当時の記録が現存していたとすれば、
かれこそ『100年』近く前になるだろうか。
だが、いつ『魂』が宿ったのかは分からなかった。

863赤月『サクソン』:2022/04/29(金) 00:03:37
>>862

「っと・・・・ととと・・・・」

ギコギコと揺れるブランコの上で二人は会話を重ねる
最初は危うい軌道を描いていたブランコも、徐々に安定した動きとなる
動き方のコツを掴んで、慣れてきたのであろう

「そうか、君は船に乗ってやって来たのか」

「私と一緒だな」

元々、ここではない別の国で暮らしていた赤月
諸々の裏工作は行ったとはいえ、入国の際は船を使って不法な手段を取らざるを得なかった

「狭くて、たくさんの人が乗ってた
 世の中にあれ程多くの人間がいると知ったのは初めてだったよ」

当然、客室としての環境は悪く、雑魚寝の様な状態で何日も過ごしていた
あの時は・・・・・今ほど落ち着いた精神状態ではなく、到着を待ちきれない程に焦燥感を抱えていた

「それで、『お友達』は出来たのかな?」

ぎぃこ、ぎぃことブランコが揺れる

864リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/04/29(金) 00:38:10
>>863

  「ウフフフ」

      「私たち、おそろいね」

              「ウフフフフフフフフフフ」

揺れるブランコは、船の振動を思い起こさせる。
多くの姉妹達と共に箱に収められて、
港に到着した日の事を。
それらは各地の学校に寄贈され、
『リトル・メリー』もその内の一体だった。

「初めてここに来た時、『歓迎会』を開いてくれたの」

青い目の人形達は『友好の使者』であった。
また、当時の子供達にとって、
外国の人形は非常に珍しかった。
それらの事もあり、まるで人間の友達のように、
盛大に迎え入れてくれたのだった。

「とっても嬉しかったわ」

その時は、まだ『魂』はなかったのかもしれない。
だが、『記憶』はある。
奇妙な話だが、『メリー』自身にも自分の事は分からなかった。

「『お友達』がたくさんできて、みんなと一緒に遊んだの」

「どの子も仲良くしてくれた」

「とってもとっても楽しかったわぁ」

『あの日』が来て、『愛情』が『憎悪』に変わるまでは。
何もかもが突然変わってしまった。
多くの『姉妹達』が故意に壊され、
炎の中に投げ込まれて、この世から消えた。
『リトル・メリー』が無傷のままでいられたのは、
『そうしなかった人間』がいたからだ。
『人の悪意』に曝された『メリー』は『人の良心』に救われた。

              「私、『メリー』」

  「――――『お友達』になってくれる?」

ついと赤月を見上げて、人形が尋ねた。

865赤月『サクソン』:2022/04/29(金) 01:04:16
>>864

「そうだな・・・・」

ぎぃこ、ぎぃこ、と船が揺れる
潮騒は聞こえず、遠い彼方に行くことはなくとも、同じ景色を共有しているのだと

「『歓迎会』か・・・・君は祝福されてここに来たんだ」

事ここに至って、『人形』が機械仕掛けかどうかなどどうでもよくなってきた
まるで古くからの友人に話しかけるように言葉を交わす

「祝福してくれる友がいたなら良い事だ
 一人でいると寂しいからね」

赤月は『兄の仇』を探してこの国にやって来た
『後見人』の指示に従って・・・たった一人でこの国へと
『外の世界』への恐れを抱えながら、港に足をつけた時は世界に圧し潰されるようだった

『復讐』を望む心が無ければ・・・・潰れてしまっていただろう

「『メリー』か・・・・私の名前は『赤月』・・・・
 『赤月ナカレ』だ・・・・こちらこそよろしく、メリー」

かつては、こうして何かと繋がりを作る事を忌避していた
繋がりを作る事は『復讐心』の妨げになると思っていたからだ
今はどうだろう・・・・迷いながらも、『繋がり』を作る事をそれほど悪く思っていない自分の心を感じる

「もし良ければ、うちに来る?
 元々の持ち主がいなければ・・・・だけれども」

866リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/04/29(金) 01:42:05
>>865

「『赤月ナカレ』――――」

『リトル・メリー』の中には、相反する『二つの心』がある。
『愛情』と『憎悪』。
それは、『メリー』自身が人間達から受け取ったものだった。

「『ナカレちゃん』ね」

『メリー』は人間が好きだった。
だから『友達』になりたかった。
しかし、裏切られた。
そして、『人間に対する憎悪』が生まれた。
『復讐』を志す赤月と似てはいるが、また違うものだ。

    「ウフフフフフフフフフフフフフフ」

脆くて、弱くて、儚い。
何の前触れもなく、ある日突然壊れてしまい、
二度と元には戻らない。
『愛情』なんて、そんなもの。
どうせ裏切られるなら、もう『友達』なんて欲しくない。
手の平を返し、『姉妹』を壊した人間達を、
恨んで恨んで恨み抜くだけ。
そう思う一方で、まだ『信じたい気持ち』も残っている。
現代まで、こうして自分が原型を留める事が出来たのも、
紛れもなく『人間がいたから』なのだから。

             「私、忘れないわ」

    「  『  絶  対  』  」

だから、『リトル・メリー』は、まだ『友達』を求めている。

「ナカレちゃんも、私のこと忘れないでね」

     「私達、『お友達』だから」

           「ウフフフフフフフフフフフフ」

表情を変えないまま、人形は楽しげな笑いを零す。

「連れてってくれるの?」

「ナカレちゃんの『おうち』、行きたいわ」

赤月を見上げながら、人形は嬉しそうに答えた。
このまま持ち帰っても問題なさそうだ。
そして、『メリー』は『赤月ナカレ』の事を『絶対に忘れない』。

867赤月『サクソン』:2022/04/29(金) 19:48:55
>>866

「・・・・『友達』は忘れない」

「決して・・・・・ね」

この町に来る以前の人間関係が希薄な赤月にとって
『友達』といえる人間なんて両手の指で数える程しかいない
だからこそ・・・・忘れないし、忘れたくない、と思っている

「うん。 今は学校の学生寮に住んでいるんだ
 そこまで連れていくよ」

そう言うと、ブランコを降りて自室のある寮への帰路につく
以前は殺風景極まりなかった部屋も少しずつ物が増えてきた・・・・
何もなければ、『人形』は自室にある棚の一角に収まる事になるだろう

868リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/04/30(土) 00:40:54
>>867

人間達の間に、友好と親愛の輪を広げる。
遠路遥々この国にやって来た時、
それが『リトル・メリー』に課せられた役割だった。
『メリー』は自分の役割を果たそうとしたが、
その末に迎えたのは『不幸せな結末(バッドエンド)』だった。

「ウフフフフフフフフフフ」

結果的に人間に救われた『リトル・メリー』は、
無差別に人を襲うまでには至っていない。
好意的な人間に対し、明確な敵意を向ける事はないだろう。
しかし、心に根付いた『憎悪』が消える事はなかった。

「『学生寮』」

その場所の名前を『魂』に刻み込む。

「『ナカレちゃん』――――」

「もし私がおしゃべり出来なくなっても大事にしてね」

「メリーとナカレちゃんは、ずっと『友達』だから」

正確には、この和人形は『リトル・メリー』ではない。
『魂の持ち主』である『本体』は、
ここから遠く離れた場所にいた。
だが、『人形』は身内同然。
丁重に扱って欲しいと願っている。
こうして『体』を借りて動いていたのも、
大事にしてくれる人間を探すためだった。

「メリーはナカレちゃんに会えて、とっても嬉しいわ」

「――――ありがとう、ナカレちゃん」

やがて、拾われた和人形は、
『赤月ナカレの部屋』に置かれる事となった。
次の日になると、人形は喋らなくなった。
独りでに動く事もなくなった。
だが、人形は依然としてそこにいる。
赤月ナカレの『友達』として、これからも、
そこに居続けるだろう――――――。

869赤月『サクソン』:2022/04/30(土) 15:09:17
>>868

「・・・・・・・・?」

「・・・・うん。」

『和人形』が口にした言葉に疑問符を浮かべながらも答えるも
その言葉の本当の意味について思考を巡らせる事はなかった

翌朝になり、『和人形』が赤月に語りかける事はなくなった
赤月は「壊れてしまったのかな?」と少し残念な気持ちになったが、
だからといって『友達』を捨てるような事はなかった

「いってきます」

朝、穏やかな日差しの中で彼女は登校のために家を出る
かけられた挨拶の先には、棚に並べられた『人形』達
少しだけ塗装の欠けたサンタ人形の隣には、古い『和人形』が佇んでいた

870ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/28(土) 22:51:17


  バシャバシャバシャバシャ


「はあはあはあはあ」


大通りの片隅で、小さな金髪の女の子が水の中でもがいていた。
小さいというのは年齢もそうだが……手のひらサイズという意味だ。
具体的には家のミニチュアと、その横の小さなプールに小人のような子供が入っていた。


     ぷかー

「ふう…………」


ちなみに実体化しているので普通に一般人にも見えるが、
行きかう人々は今のところ忙しなく歩いており、目を向けていないようだった。

871リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/29(日) 13:51:56
>>870

            「『青い目をしたお人形は』」

                  コトッ

     「『アメリカ生まれのセルロイド』」

            コトッ

  「  ?  」

    ピタッ

童謡『青い目の人形』を口ずさみながら歩く『モノ』が、
『奇妙なミニチュア』を見て足を止めた。
それは人間ではなく、ましてや生物ですらない。
古風なドレスに身を包む『西洋人形』だ。

    ジィ――――――………………

無機質なガラス製の眼球が『小さな家』を覗き込み、
『小人のような子供』を観察している。
人間と人形の関係性が逆転したかのような構図。
『動く人形』も相当に奇怪な光景のはずだが、
やはり人々の目には留まっていないらしかった。

          ス  ゥ  ッ

興味を惹かれたらしく、手を伸ばして子供に触れようとする。

872ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/29(日) 16:32:05
>>871

「おぶぶ」

       バシャバシャ

「……」

     ぷかー


定期的に水の中で暴れては浮かぶ子供。
『西洋人形』がやってきたのは、ちょうど子供が水死体のように浮かんでいた時だった。
暴れていたことと、水中に顔をつけて浮いていたことで接近してくる『西洋人形』には気づかなかったらしい。
手を伸ばし、指先が振れると、またも子供は暴れ出す。


「!?」

     バシャシャシャ


「のわ!? なんじゃ!?」


慌ててひっくり返ると、空には巨人……いや、巨大な人形。
と言ってもこの場合は子供が小さいだけなので相対的に、だが。


「……ん? 人形……か?
 驚かせおって」


手を伸ばしたポーズで人形が倒れこんできた。
全景が見えていないこともあり、そう思ったらしい。

873リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/29(日) 17:21:24
>>872

              「ウフフ」

         チョンッ

血の通わない人差し指の先で、少女の体を軽くつつく。
珍しかったので、つい触れてみたくなったのだ。
他意はない。

  「ウフフフフフ」

     「『人間』の女の子なのね」

         「こんなに小さくって、とってもかわいいわぁ」

                   ズ イ ッ

              「ウフフフフフフフフフフフ」

相対的に巨大な顔が、少女に近付いてきた。
それと共に、表情の変わらない口元から、
あどけない声が発せられる。
無機的な姿とは対照的に、喋り方は至って流暢だ。

  「私、『メリー』。ねえ、一緒に遊びましょうよ」

                    「――――――ねえ」

『小さな少女』を見下ろし、『大きな人形』は楽しげに笑う。

874ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/29(日) 17:48:50
>>873

「落とし物か?
 誰の物でもないなら貰っておくかの」


リトル・メリーを一瞬、『引きずり込む』ような力が働く。
抗えば拒絶できそうだったが、大人しく従うが、抗うかの選択の前に、その力は霧散した。


「ぬお!?
 喋った……」


『西洋人形』の笑い声を聞いた子供が、驚いたからだ。
小人のような女の子をつつくと、意外と重たい感触がする。
実のところミニチュア化しても体重は変わらないのだ。


「ええ? 腹話術か?
 遊ぶのはべつにいいが……
 メリー……ちゃん、はその、誰の名前じゃ?
 人形の名前か? 操っておるやつがいて、そいつか?」


笑い声と裏腹に表情の変わらない姿に、腹話術のように思ったらしい。
(喋っても口も動かないのだろうか?)
自分が小人のような姿のくせに、喋る人形を純真に受け入れるわけではないようだ。

875リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/29(日) 18:48:43
>>874

      「  ?  」

                キョトン

一瞬だけ体験した『力』に首を傾げる。
これと似た感覚を、リトル・メリーは知っていた。
『他の体』に『魂』を移す時に似ているように思えたのだ。

      「もう、失礼しちゃうわ」

            ス ッ

   「メリーは『落し物』じゃないんだから」

両手を腰に当て、機嫌を損ねたようなポーズを取る。
リトル・メリーは喋る事が出来るが、口が動く訳ではなかった。
しかし、手足は動いている。
奇妙なようだが、『そういう風』になっているらしい。
何故なのかはリトル・メリー自身も知らなかったし、
別に気に掛けてもいない。

                   「ウフフフフフフ」

           「『わたし』がメリーよ」

        「今、『あなたの目の前』にいるの」

     「だから、『操ってる人』なんていないわ」

  「ウフフフフフフフフフフ」

近くに人がいたなら、腹話術に見えただろう。
しかし、人形の傍には誰もいない。
スピーカーか何か仕込んであるのかもしれないが、
機械を通した声らしくはなく、立って動く姿も自然だった。

876ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/29(日) 22:20:02
>>875

「そうじゃったか……それは失礼したの」


プールから上がり、ちょこんと頭を下げる小人。
ちなみに服は着ている。びしょびしょのTシャツ一枚だが。
髪は金髪で、目はメリーと同じく青い。メリーも金髪だろうか?


「わしの名前は無い。……が、まあそのままナイと呼ばれる事も多いの。
 『交換屋』をしておる。
 菓子とか出せるぞ。まあ、人形は菓子とか食わんか?」


手足は動くが表情は動かない……。
関節の有無とかだろうか?
舌も無いだろうに喋っているあたり、特に基準も無いのかもしれないが。


「それで、遊ぶと言っておったが、人形ってどんな遊びをするものなんじゃ?
 プール入るか? いや、濡れるのはあんまりよくないかの……錆びたりとか……
 そもそも人形って暑いとか感じるのか?」


メリーに錆びるようなパーツがあるのか知らないが。

877リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/29(日) 23:08:02
>>876

   「『ナイちゃん』ね」

               「ウフフフフフフフ」

楽しげに笑うメリーは、青い目と金色の髪を持つ。
もちろん『材質』は異なる。
ただ、同じ色と呼んでもいいだろう。

「『お友達』の『天音ちゃん』も、
 わたしに『チョコレート』をくれたの」

首を横に振るメリーの声には、
心なしか寂しそうな響きがあった。

「だけど、食べられなかったわ」

リトル・メリーは一度『友達』になった人間の事は忘れない。
『絶対に』。
『何があろうとも』。
『甘城天音』の『名前』も『顔』も『声』も、全部覚えている。
『人形』ゆえに食べる事は出来なかったが、
お菓子をくれた気持ちはとても嬉しかった。

「『ナイちゃんのおうち』のお庭で遊びたいの」

         「ねえ、連れてってくれる?」

さっきはどうするか決める前に、『力』が霧散してしまった。
今なら、メリーは大人しく従うだろう。
食事も取らなければ呼吸もしていないので、
プールに落ちても溺れはしないが、
泳ぎが得意な訳でもないし、びしょ濡れになるのは困る。

878ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/29(日) 23:21:34
>>877

「じゃあ人形って何食べて生きてるんじゃ?」


そもそも生きてない。が正解だろうか?
外部からの補給無く動き続けるのは、不思議な感じだが。
心霊現象と考えると数百年くらいは動きそうでもある。


「庭……今回はプールサイド以外は芝生くらいしか設定していないが、
 この庭でよいのか?
 何か希望があれば、別の庭にするが」


子供らしく説明が足りないが、『屋敷』の外観は自由であり、再発現で設定しなおせるのだ。


「滑り台とかブランコとか」

879リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/29(日) 23:51:07
>>878

「よく分からないわ」

ナイの問い掛けに、リトル・メリーは小首を傾げる。
メリーには『謎』が多く、本人でさえ全てを認知していない。
『魂』の宿った『無機物』。
『生きていない』とすれば意味合いは違ってくるが、
『永遠』に近い存在なのかもしれなかった。
その代わり、人間よりも壊れやすく、
受けた傷が自然治癒する事もない。

「この前はブランコで遊んだの」

その時は『別の体』を使っていたのだが――――。

「だから、今日は滑り台で遊びたいわ」

弾んだ声色で、リトル・メリーは言葉を返した。
『屋敷』の再設定が完了したなら、『庭』に降り立つだろう。
リトル・メリーの身長は、およそ『60cm』程度。
当然、『本来の比率』なら、子供のナイよりも背丈は低い。
状況が逆転する形になるだろうか。

880ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/30(月) 00:01:27
>>879

「では一旦出るぞ」


『屋敷』から小人のナイが消え、横に普通の大きさのナイが現れる。
身長は130cmちょっと。


「メリーちゃん、ちっちゃいの。
 そんなので出歩いてて不思議に思われんか?」


先ほどのお返しか、メリーの頭をつんつん突きながら言う。
そう言うナイは道端で小人化して水浴びしていたのだが。


「こんな感じかの?」


『屋敷』が消え、一拍置いてから別の形の『屋敷』が再出現する。
長、普通、短と滑り台が揃った庭付きの建物だ。
長いのは建物を取り囲むようにカーブしている。


「入ったら勝手に出ると『消滅』するから気を付けるんじゃぞ」


何か怖い注意をしつつ、『屋敷』へと『誘う力』がメリーへ働く。

881リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/30(月) 00:39:01
>>880

       「ウフフフフフフフフフ」

  「ナイちゃんは許してあげる」

         「メリーの『お友達』だから」

無遠慮に頭をつつかれながらも、
リトル・メリーは相変わらず楽しそうに笑っていた。

            「ビックリする人もいるわ」

    「だけど、わたし『かくれんぼ』が得意なの」

別の人形に『魂』を移せば、その体を使って動き回れる。
安全面で言えばそれが一番なのだが、
やはり『自分自身』で出歩きたくなるものだ。
ちょうど今も、そういう気分だった。

      「それに『意地悪な人』はやっつけるから」

そういう人間に出会った時は、腐らせてしまえばいい。

           「だから、『大丈夫』よ」

          コ ト ッ

   「でも、メリーのこと消さないでね」

今度は『誘う力』に逆らう事なく、『屋敷の庭』に立つ。

          「ウフフフフフ、滑り台がたくさん」

       「とっても楽しそうね」

   「最初は、あれを滑ってみたいわ」

そう言って、標準型の滑り台に向かって歩いていく。

882ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/30(月) 01:01:38
>>881

「かくれんぼが? なるほど。小さいからの」


単純に小さいので隠れるのが得意と解釈した。
そんな事を言うナイは、中に入らなかったようで、
先ほどとは逆に元の大きさのまま、ミニチュア化したメリーを覗き込んでいる。
今のナイから見るメリーは本当につまめるくらい小さい。


「運んでやろう」


実際つまむ。
いや、重さは変わらないのでさすがに指の力だけでは無理か。
小さすぎて逆にやりづらいが両手で持って、
そして滑り台の上に設置しよう。

883リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/30(月) 01:23:19
>>882

小柄な体は隠れるのに向いている。
それは正しかった。
今の大きさなら尚更だろう。

           「ありがとう、ナイちゃん」

               ヒョイッ

       「ウフフフフフフフフフフ」

豆粒サイズになったメリーが、
巨体となったナイによって摘み上げられた。

              「ウフフ」

   シュパァァァ――――――………………ッ

                       コトッ

        「ウフフフフフフフ」

   「『楽しい』わ」

ナイの手から離れ、滑り台を降り始める。
まもなく地面が迫り、やがて着地する。
滑るのは楽しい。
ただ、ふと思う。
ナイはどうなのだろう、と。

     「でも、『二人』で遊んだら、もっと楽しいと思うの」

最初とは逆に、今度はメリーが頭上を見上げた。

  「ねえ、一緒に遊びましょうよ」

地上でパタパタと両手を振りつつ、
小さなメリーがナイに呼び掛けている。

884ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/30(月) 01:43:38
>>883

「お。滑っておる滑っておる」


小さなメリーがちょこちょこ動くのを楽しむナイ。
ハムスターが回し車で遊んでいるのを見るようなものだ。


「うん?
 そうか?」


一緒に遊ぶことを提案してくるメリー。しばし考えるナイ。
確かに、2人いるなら一緒に遊ぶのが普通かもしれない。
しかし滑り台は2人で一緒に楽しむのに向いた遊具だろうか……?


「そうか?
 ……そうか。
 まあよいか」


身長差があるので抱きかかえれば一緒に滑れないこともないだろう。
それで楽しさが増すかどうかかというと微妙だが。
ともあれ、積極的に断る理由も無いし、やってみたら楽しいかもしれない。
一つ頷き、大きなナイが消えたかと思うと、ミニチュア化してメリーの横に出現した。

885リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/30(月) 02:08:36
>>884

精巧なミニチュア内を、チョコチョコと動き回るリトル・メリー。
まさしく『お人形さんの家』。
それを眺めるのも楽しいかもしれないが、
『魂の宿る人形』には、今一つ伝わらなかったようだ。

             「一緒に『長いの』を滑りましょうよ」

       「ウフフフフフフフ」

そう言って、先に立って歩いていく。
向かう先は一番大きな滑り台だ。
滑り降りる時には、ナイに抱きかかえられて滑っていくだろう。

    「ナイちゃんと一緒に遊べたら、メリーは楽しいわ」

       「ナイちゃんはメリーの『お友達』だから」

実のところ、友達と遊べる事が楽しいのだ。
遊びの種類も無関係ではないが、
一人より二人の方が楽しいのは間違いない。
リトル・メリーは、そう考えている。

  「ナイちゃんはメリーと遊べて楽しい?」

滑り台のスタート地点で待機しつつ、『その時』を待つ。
二人で滑る事で楽しさが増すかは定かではない。
ただ、少なくとも、リトル・メリーは楽しむだろう。

886ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/30(月) 02:23:35
>>885

「待て待て」


ガチャリとドアを開け、建物の中へ。
長い滑り台は、なにしろ長いので、スタート地点も相応の高さにある。
建物の中から階段で屋上へ上がるのだ。
内装は適当だ。発現時に中身を考えてなかったので新築の何もないビルのようだ。


「うーむ」


楽しいか? どうだろう。
ここで「つまらん!」というほど空気が読めないわけではないが、
かと言って本心でもないお世辞を言うような社交性も無い。


「わしは普段、商談ばっかりしておるからな。
 取引が成立した時が一番楽しいかもしれん。
 メリーちゃんは何か『交換』したいものとかないかの?」


そもそも楽しいかどうか言えるほど遊んでいないので、
楽しいかどうかは、滑り台を滑ってからの話かもしれないが……
道中そんな事を話しながら、2人は長い滑り台のスタート地点へたどり着く。

ナイが座り、その足の間にメリーを手招きする。
ちなみにナイの服はびっちょりと濡れていた。

887リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/30(月) 03:01:06
>>886

『魂』を持つとはいえ、リトル・メリーはやはり人形だ。
人の気持ちの全てを推し量る事は難しく、
人間達に愛憎入り混じった感情を抱く。
その結果、精神に歪みが生じ、
ある種の『極端さ』を秘める結果となった。

  「すっごく大きな滑り台なのね」

       「ウフフフフフフ」

            「わたし、ビックリしちゃった」

遠くからだと分かりにくかったが、間近で見ると、
思った以上に大きい事が分かった。
こんなに大きな滑り台は、今まで見た事がない。
ナイと並んで歩いていく姿は、遠目からだと姉妹のようだ。

「『商談』って、モノを売ったり買ったりするお話でしょう」

     「ウフフフフ、メリーは人間の事も知ってるの」

およそ『一世紀』近く前、この国に渡ってきた。
子供に似たメンタリティの持ち主だが、
人間の営みも大抵の事は知っている。
もっとも、『魂』が宿った具体的な時期は不明なのだが。

       「ねえ、ナイちゃん」

           ゴソ ゴソ

   「わたしの『お気に入り』を見せてあげる」

ドレスの内側――その背中に当たる部分から、
銀色に光る小物を引っ張り出す。
シンプルな『安全ピン』だ。
それを手にして、ナイの足の間に収まる。

  「ウフフフフフフフフフフ」

             「――――『交換』する?」

滑る準備は万端。
『安全ピン』が必要かは別として、
ついでに『取引』も出来るかもしれない。
『人形が欲しがるもの』を用意するのも、
それはそれで困難があるかもしれないが。

888ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/30(月) 03:17:09
>>887

「お気に入りなら別に『交換』しなくてもよい。
 欲しい物を手に入れるためにするのが買い物というものじゃからな」

「まあ、わしがもっと良いものを出せたら別なんじゃが……
 人形って何が欲しいものなんじゃろうな」


滑る準備は万端……メリーは多少濡れるくらいなら気にしないということか。
そもそも濡れるのが不快とかいう皮膚感覚があるのか怪しい。


「まず食べ物は駄目じゃろ……うーむ
 ま、とりあえず滑るか」


ぐっと身を押し出す。
すると……ナイに押し出されたメリーが射出されて滑っていった。
位置エネルギーにより長い滑り台を下っていく。


「……」


一方ナイは、濡れた服が張り付いて滑りが悪く、その場に留まった。

889リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/30(月) 03:36:35
>>888

取り出した『安全ピン』は、『10cm』程のサイズだった。
この手の製品の中では、かなり大きい方だろう。
収納されている針先は見えないが、当然ながら鋭い。

  「そう――――――」

             「ウフフフフフフフフフフ」

それだけ言うと、『安全ピン』を元通りにしまい直し、
『出発』の時を迎える。

                   グイッ

     シュッパァァァ――――――………………ッ

移動エネルギーが運動エネルギーに変換され、
なかなかのスピードで滑り降りていくメリー。

  ポォォォォォ――――――ンッ

重量が軽かったせいか、そのまま空中に放り出された。
宙を舞う『西洋人形』。
さほど高度はないが、このまま地面にぶつかると、
何処かしら壊れるかもしれない。

890ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/30(月) 03:55:16
>>889

「ぬう。
 あれじゃな。コロコロがついた滑り台にすべきじゃったか」


滑っていくメリーを見ると、ナイはそのままひょいと滑り台から飛び降りた。
高さは2階の屋上。それは感覚的に見た話だ。
小人のようなサイズで、ミニチュアの『屋敷』を見れば、そう見えるというだけのこと。


「よっと」


『屋敷』の実寸は20cmちょっとに過ぎない。
体感として2階から飛び降りたのだとしても、実際は20cmほど落下しただけなのだ。
怪我は無い。


「そうじゃな。シャンプーとかどうじゃ?
 人形って髪洗ったりするのかの?」


一足先に庭に着地して、メリー相手の商談を考えるナイ。
メリーも壊れることなどないだろう。
とんで行って『屋敷』から出ると『消滅』するので、そんな事になりそうなら頑張って止めるだろうが。

891リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/30(月) 23:58:47
>>890

    ――――――ス ト ン ッ

ナイの後に続いて、尻から地面に着地する。
傷付きやすい人形も、実寸20cm程度なら壊れる事がない。
ゆっくりと立ち上がり、ナイの方を見た。

「ナイちゃん、一緒に来てくれると思ったのに」

        「ウフフフフフフフフフフ」

ほんの少しむくれたようだったが、
さほど不機嫌にはならなかったようだ。

    「時々、『歯ブラシ』で髪のホコリを落としたりするわ」

リトル・メリーはアンティークドールだ。
本来であれば、手入れも慎重に行う必要がある。
刺激物は避けるのが賢明だろう。

     「ウフフ、メリーは『尖ったもの』が好きなの」

         「もしあったら見せてね」

メリーからリクエストが入った。
『安全ピン』を持ち歩いているし、そういう嗜好なのだろう。
応えられるものはありそうだろうか。

892ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/31(火) 00:23:05
>>891

「むう。滑りたくなくて滑らなかったわけでは無い。許せ」


いじわるでメリーだけ滑らせたわけではないのだ。
ただ想像力が無かっただけだ。


「尖ったものが? なんでじゃ?
 危なくないか?」


刺さりにくい材質……陶器とか磁器なんだろうか?
だとしても、それが好きになる理由になるかは別だが。


「さすがに針より尖ったものというのは難しいの」


そう言うとナイは全裸になった。
代わりに出現するのは『無地の布』と『新聞紙』
濡れたTシャツをパンツを『交換』したのだ。
『布』で体を拭きつつ、『新聞紙』をちぎる。


「ペンとかどうじゃ? 尖り具合では負けるが、字が書ける。
 あと……このなんて言ったか、黒い石は切れ味が刃物より凄いらしい。
 普通の刃物もあるが」


ちぎられた『新聞紙』が『三色ボールペン』『万年筆』『黒曜石の小刀』『果物ナイフ』に姿を変える。

893リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/31(火) 01:04:59
>>892

体が濡れている事を考えると、
服を脱ぐのは自然な行為だろう。
それでも、いきなり全裸になれば、
同性であっても驚かれたかもしれない。
しかし、人形であるメリーは、特に気にしていなかった。

「メリーはね、チクチクしてるものを見ると楽しくなるの」

「ウフフフフフフフフフフフフフフフ」

単純に観賞用というだけではない。
『痛み』を与える道具だ。
他者を苦しめる者に、同じ苦しみを与えるのは愉しい。

「わぁ、すごいわ。手品みたい」

      パチ パチ パチ

「ナイちゃんは色んなモノが出せるのね。
 『おうち』も作れるし、とってもビックリしちゃったわ」

次々に現れる品物に拍手を送る。
当のリトル・メリー自身も奇妙な存在である。
第三者が見れば、かなり異質な光景に思えただろう。

「メリーの手で持ちやすいものがいいわ」

四つの品物を両手で持ち上げ、重さや大きさなどを確認する。
リトル・メリーの身長は、ナイの半分にも満たない。
場合によっては扱いに支障が出るかもしれない。

894ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/31(火) 01:28:23
>>893

『布』と『新聞紙』を再度『Tシャツ』と『パンツ』に変えると着直す。
『屋敷』の庭なので、一応外で丸見えなのだが……
ミニチュアで見下ろせば一望できるあたり、普通より丸見えと言えるかもしれない。
とはいえ、この場でツッコむ者は誰もいない。


「変わっとるな……いや、人形界だとそれが普通なのか?」


人形界隈などがあるわけではないし、メリー個人の嗜好だろう。
しかしメリーにチクチクという肌感覚があるのだろうか?
共感性が無いからこそなのかもしれないが……


「そうじゃろうすごいじゃろう。
 わしの『ベター・ビリーブ・イット』は一度『交換』したものを何度でも『交換』できるんじゃ」


ガチャリとドアを開け、麦わら帽子をかぶった人型スタンドがスタスタと建物から出てきた。


「そしてこっちは『ディスタント・ラバー』さん」


特に用事は無い。『ディスタント・ラバー』さんはスタスタと建物へ帰っていった。
『三色ボールペン』『万年筆』は標準サイズだ。
子供らしく握って書くなら問題ないだろう。
正しいペンの持ち方をするには指が短いかもしれないが……
『黒曜石の小刀』は子供の手のひらサイズ。
『果物ナイフ』は刃渡りは短いが柄は普通サイズなのでメリーには大きいかもしれない。

895リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/31(火) 02:09:24
>>894

おそらくは、尖っていて刺さりそうなものを、
チクチクすると表現しているのだろうか。
どちらにしても、人間と感覚が異なるのは間違いなかった。
他の人形はどうなのか分からないが、
自分で喋って独りでに動き回る人形は、
少なくともこの町にはそうそういないであろう。

   「こんにちは、わたしメリー」

        ス ゥ ッ

    「ウフフ、素敵な帽子ね」

『ディスタント・ラバー』に小さくお辞儀をする。
『スタンド』が見えるようだ。
しかし、この体はあくまでも『ただの人形』であり、
『メリー・バッドエンド』の根幹は『魂』にある。

      ブンブンッ!

              ズイッ!

それから品物に向き直り、両手で持って振り回したり、
見えない相手を突いたりし始めた。
『果物ナイフ』は少し扱いにくい。
『ボールペン』や『万年筆』は、『見た目の危なさ』が強くない。

   「『これ』がいいわ」

         「ウフフフ、とっても危なそう」

最終的に選んだのは、『黒曜石のナイフ』だった。
鋭くて、いかにもよく切れそうな雰囲気がある。
それはメリーの好みと合致していた。

     ゴソッ

         「――――――『交換』する?」

代わりにメリーが取り出したのは、文房具の一種である、
ごく一般的な『ゼムクリップ』。
ドレスと同じ赤色だ。
それ以外は、特にこれといったところはない。

896ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/31(火) 02:26:46
>>895

「オメガ高いの。人気商品じゃ。
 割らんように注意じゃぞ」


人気らしい。
見た目的にも、紐でもつけて首からぶら下げればアクセサリーとして通用するだろう。


「ほう。これは……」

「これは何に使うものじゃ?」


小首を傾げるナイ。
一見して用途が分からなかったらしい。

897リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/31(火) 02:48:24
>>896

リトル・メリーの眼球と同じく、『黒曜石の小刀』もガラス質。
他者を傷付けやすく、自らも傷付きやすい。
そんなところも、メリーの興味を引いたのかもしれない。

「ウフフフ、教えてあげる」

「これはね、紙を一つにまとめる時に使うの」

        スッ

    「『ここのところ』に挟むのよ」

実際に動かしながら、使い方を説明する。
『ゼムクリップの用途を人形に教わった人間』は、
この町ではナイくらいだろう。
メリーにとっても、
人間にクリップの使い方を教えたの初めてだ。

「他にも薄いものだったら挟めると思うわ」

        ソッ

   「ウフフ、大事にしてね」

『黒曜石』と引き換えに、『ゼムクリップ』をナイに差し出す。
釣り合う価値かはともかく、これで『交換成立』になるはずだ。
『取引』が済めば、メリーは今度こそ二人で遊びたがるだろう。

898ナイ『ベター・ビリーブ・イット』『D・L』:2022/05/31(火) 02:55:52
>>897

「ほう、中々物知りじゃな、メリーちゃんは」


まあ学校にも行っていない子供だ。知らないのは仕方ないというものだろう。
むしろ人形なのに知っているメリーは、使う機会があるのだろうか?


「うむ。では『交換』じゃな。
 わしにかかればいつでも新品同様じゃ」


『交換』で出したものはいつでも最初に『交換』した当時のままで出てくる。
いつでも元の状態のものを取り出せるのだから「大切にする」というのとはズレた回答だが……


「体も拭いたし服も新しいの出したから、今度はちゃんと滑れるぞ。
 行くか」


1人と1体は滑り台でめちゃくちゃ遊んだのだった。

899リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/05/31(火) 03:14:47
>>898

元々リトル・メリーは、
『親善大使』として学校に寄贈されていた。
通ってはいないが、ある意味『学校にいた』と言える。
ナイとは対照的だ。
しかし、メリーにクリップを使う機会はない。
ただ、使い方を知らないナイに教えられたのなら、
メリーの知識にも価値はあった。

           「ウフフフフフフフ」

     「ありがとう」

言葉のズレはあるが、気持ちのズレはおそらくないだろう。

      「たくさん滑りましょうね」

  「二人で滑る方が、きっともっと楽しいわ」

リトル・メリーは『友達』の事を忘れない。
もし相手の心が離れたとしても、『絶対』に。
いつまでもいつまでもいつまでも覚えている。

   「ウフフフフフフフフフフフフフフフ」

これからも、メリーはナイの事を忘れない。

900宗像征爾『アヴィーチー』:2022/06/15(水) 04:53:32

人通りの多い街道沿いに店を構える大きな『花屋』。
その店内に、一人の人間が佇んでいた。
カーキ色の作業服を着た中年の男だ。
『花を買いに来た』という風情には見えない。
だが、何かを探すように、
並べられた花々に視線を巡らせている。

「申し訳ないが、聞きたい事がある」

やがて、近くにいた人間に声を掛ける。
『店員』と間違えたようだ。
あるいは、本当に従業員なのかもしれないが、
詳しい事情を知る由はない。

「どれが『鈴蘭』か教えてくれないか」

ここ数日、『頭に花を咲かせた少女』を探している。
そんな人間が何人も存在する可能性は極めて低い。
見分けるには十分な情報だろうと考えていたが、
万が一という事もある。
一度『現物』を見ておく必要性を感じた。
『どんな花なのか』すら知らないのだから。

901薄島漣『イカルス・ライン』:2022/06/16(木) 17:25:44
>>900
「え?あ、僕ですか?」

話しかけられた男は素っ頓狂な声を上げて振り向く。
背格好にも服装にも取り立てて特徴のない、なにか言いたげな眼差しだけが妙に印象的な青年だった。

「ええと……すみません、僕はここの店員じゃなくて……ただの配送のバイトなんです」

その青年はカートに大量の植木鉢や用土、肥料などを乗せて運んでいた。
確かに、詳しくない人間が見ればこの花屋の店員だと思ってもおかしくないだろう。
よく見れば店のユニフォームであるエプロンを付けていないので見分けられるのだが。
男は配送屋として、ちょっと離れたところに停車したトラックから商品を店に納入しているところだった。

「店員さん……は接客中か。どうしようかな」

本物の店員はレジで中年女性の客と話し込んでいる。
花屋だからというわけでもないが世間話に花が咲いているようで、しばらく終わりそうにない。

「スズランならそこの奴ですよ。たぶん」

そういって配送屋の男はあなたの足元にある鉢を指さす。
そこにあったのは、大きくてざらざらした皴のある葉が互い違いに広がっている植物。
花束にして持っていくための『切り花』ではなく、園芸が趣味の人のための『花の苗』だった。
鉢にさしてある商品タグには『君影草』と書かれているが、小さく『(スズラン)』とも付記されている。
目の前にあるにもかかわらず気付けなかったのはこれを見落としていたからである。

そして、花は付いていなかった。
ちょっと前まで花が付いていたらしい、ひょろっとした茎のようなものだけが葉の束の中央で所在なくブラブラしていた。
商品タグには『開花時期:4月〜5月』と書かれていた。

902宗像征爾『アヴィーチー』:2022/06/17(金) 09:54:21
>>901

相手の返答を聞き、その姿を改めて確認した時に、
『間違い』に気付いた。
長く『塀の中』で暮らしていた事で、世事には疎い。
その事実をまざまざと意識させられるのは、
こうした『些細な出来事』に対面した時だ。

「俺の勘違いだったようだ」

       スッ

「仕事の邪魔をして悪かった」

簡潔な詫びの言葉を告げ、青年に一礼する。
そして、指摘に従って『鈴蘭の鉢』に視線を向けた。
『花が付いている』と思い込んでいた事も、
見落とした一因なのだろう。

「『別の名前』があったのか」

使い込まれた革手袋に覆われた両手で『鉢』を持ち上げ、
商品タグを一瞥する。

「『花』を見たかったが、少し遅かったらしいな」

鉢を足元に下ろしながら、淡々とした声色で呟く。
『鈴蘭の花』を見た覚えはない。
正確に言えば、『見た記憶』がなかった。
実際には、昔どこかで見た事があったのかもしれない。
だが、俺は多くの事を忘れてしまっている。

903薄島漣『イカルス・ライン』:2022/06/17(金) 15:18:27
>>902
「『春を告げる花』っていうくらいで、暑くなってくると散るらしいですよ。
逆に言うと涼しいところではまだ咲いているかもしれませんね。
そういえば『自然公園』にも『スズラン畑』がありましたが、水辺で涼しいから残っているかも」

薄島は過去に自然公園を探索していた。
『ここで戦いになったら自分の能力をどう使うか』……そんなシミュレーションを兼ねてのことだ。
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1621051851/58
そこで印象的な『スズラン畑』を発見した。その時は5月だったので咲き誇っていたが。

※上記レスは喜古美礼『ビトウィーン・2・エンズ』が見た、自然公園スズラン畑付近での出来事
参照:ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1621051851/42-43


「この辺で『スズラン』っていうとあそこは有名ですよね。『変な噂』があることも含めて」

904宗像征爾『アヴィーチー』:2022/06/17(金) 19:22:58
>>903

花に『時期』がある事は辛うじて覚えていた。
だが、『鈴蘭の開花時期』までは考えが及ばなかった。
しかし、まだ『望み』はあるようだ。

「『自然公園』には何度か行った事がある」

「『鈴蘭畑』は知らないが」

最近になって出来たのか。
あるいは、昔から存在していたのか。
多くを忘れた俺には分からなかった。

「『噂』――――」

投げ掛けられた言葉に引っ掛かるものを感じた。
現状、『鈴蘭』という点しか手掛かりがない。
『求める答え』に繋がる可能性は、
小さなものであっても当たっておく価値がある。

「どんな話か教えてもらえないか」

虚無的な光を宿した瞳が、青年を見つめた。

905薄島漣『イカルス・ライン』:2022/06/17(金) 22:33:34
>>904
「なんでも女の子の幽霊が出るだとかなんとか……
通行人が話してるのを小耳に挟んだことがあります。
こういうオカルト話、好きな人は好きですよねぇ」

そう言いながら、しかし、薄島には宗像がオカルト好きの好事家には見えなかった。
なんらかの理由でスズランの花に興味があるだけの人なのだと解釈していた。
なので、こんな噂で『怖いから行きたくないなぁ』などと思ったら可哀想だ──そう考えて付け加える。

「まあ、大丈夫ですよ。僕は見た事ないし。
昼間に行けば出ないでしょう。たぶん」

その時、薄島の背後から男性の怒鳴り声が聞こえた。


「ゴルァ!バイト!さっさと終わらして戻らんかいッ!次の配達が残ってるんぞォ!」


怒号を上げたのは薄島の上司の配送トラックのドライバーだった。

「ああ、すみません仕事中だった。
それじゃあ失礼します。スズラン、まだ残ってるといいですね」

そういうと、何かを訴えるような目をした運送屋のバイトの青年はカートを転がして花屋の店内に消えていった。

906宗像征爾『アヴィーチー』:2022/06/18(土) 06:13:19
>>905

「それなら『夜』に行けば出るかもしれないな」

「参考になった」

『鈴蘭の少女』と『少女の幽霊』。
両者に関係があるかどうかは分からないが、
確認する値打ちはある。
『鈴蘭畑』とやらに足を運んでみなければならないようだ。

「貴重な意見に感謝する」

謝意を込めた一礼と共に、立ち去る青年を見送った。
足元に視線を戻すと、『花のない鈴蘭』の鉢が視界に入る。
葉と茎だけの姿を見下ろし、
やがて店の外に向かって歩いていく。

       ザッ

少なくとも『四人』を殺したらしい『鈴蘭の怪物』。
この町に災いを招く存在であるなら摘み取るべきだ。
これ以上、無関係の人間が犠牲になる前に。

             ザッ ザッ ザッ

「罰を受けるのは『罪のある者』だけでいい」

907門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/16(土) 06:30:12

「―――なかなか。『前途多難』だね」

駅から少し離れた古ぼけたビル―――
『門倉』が半ば道楽で経営する『門倉不動産』のテナントはこの一階にあった。
かつては不慮の事故で半壊していたが、さすがにそれは『修復』出来ている。
ただ、『門倉』の興味はすでに『不動産』とは別の仕事に移っており、
ここ10カ月ほどは、ずっとその仕事についての『下準備』に奔走していた。

                  「重要なのは、『人材』なんだよな」

『門倉』が目指しているのは『アリーナ』の『派閥構築』。
『スポンサー(金)』や『観客(宣伝)』というのは、
確かな『興行』があればついてくるだろうし、最悪、『漣派』と再交渉してもいいだろう。
ただ、肝心のその『興行』―――それを行う『人材』が思った以上に見つからない。
というか、率直に言えば、今は『門倉』以外は『ゼロ』だ。

『派閥』というが『人材』はとりあえずは『派閥員』にせず『一夜限りの関係』でも良いだろう。
むしろ、『興行』にあわせ、フレキシブルに『人材』を調達した方が効率が良いのかもしれない。

ただ、『誰でもいい』というわけではない―――
特に『初回開催』は肝心だ。ここでコケれば、後に続けるのが相当難しくなるだろうから。

「………とはいえ、『店の前』で道行く人を眺めていても、

      見つかるわけはないかァ〜〜〜〜」

『門倉』が求める人材―――
『アリーナでバトルではなくイベントやショーを行える人材』。
そんな『貴重な人材』が奇跡的に、
トコトコ店の前に現れるなんて事は………

908美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/16(土) 15:23:33
>>907

      バァァァァァァ――――――ッ

道路の向こうから颯爽と走ってくる一台のスクーター。
鮮やかなカナリアイエローの『ヴェスパ』。
乗っているのは『美作くるみ』。

            キィッ

ちょうど『門倉不動産』の手前で停車した。
ビルに用事がある訳ではなく、信号が『赤』に変わったからだ。
門倉との面識はないが、それなりの『知名度』はあるので、
相手側には知られているかもしれない。

909門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/16(土) 17:57:07
>>908(美作)

「あれは―――」

『門倉』は『美作』を知っている。

「ちょ、ちょっと………今、ヒマですか?」

だから、つい声をかけてしまった。
『美作』を知っている理由、それは―――

※ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1617983099/923n
※上記説明が分かりづらかったかもしれませんが、夏ミ報酬受理の場合、
※夏ミの報酬捜査による『聞き取り』で会った事がある、という設定とさせて頂いています。
※ただ、どうしても『理不尽』と感じる場合は、会わずに済ませた、という形も検討します。

910美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/16(土) 18:31:58
>>909

今日は『オフ』だ。
しかし、特に予定が入っている訳でもなかった。
こういう日は、気ままに街を流す事にしていた。

      「――――え?」

          ジッ

そして、『声の聞こえた』方向を見た。
だいぶ前に、どこかで顔を合わせたような…………。
人の顔と名前を覚えるのは得意なのだが、
この時は咄嗟には出てこなかった。

     「あぁ――『門倉さん』」

よって答えるまでに、多少の『間』が開いてしまったのだった。

「ええ、そうですね。ちょうど体は空いてます」

「『お誘い』ですか?」

表情は『スマイル』。
理想的な形と呼んでいい笑顔だ。
これも『特技』の一つと言える。

911門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/16(土) 18:55:47
>>910(美作)

「体が空いている………それはいい。
               いや、とてもいいです」

『美作くるみ』―――『例の夏の魔物事件』の際に知り合った『ラジオDJ』の女性。

多様な娯楽がある今の時代………正直に言えば、それまで
『ラジオ』なんて数えるほどしか聴いた事がなかった『門倉』だったが、
彼女と知り合ってからは時々、彼女のラジオ番組を聴くようになっていた。
そんな事もあって、ちょっとした『芸能人』にあったような心持ちになっている。

「『お誘い』―――そう、『お誘い』ですとも。

           ここが俺の『職場』でしてね。

           ちょっと、『休憩』していきません―――?」

そんなふうに誘ってしまってから『門倉』は『しまったかな』と思う。
いつもの『お遊び』での声かけならこんな調子で構わなかっただろう。
だが―――『門倉』の野望に、彼女の『才能』は最高に具合が良い。
       真剣に話を聴いてもらう事に注力すべきだったか?

912合歓垣 瑛『ブラス・コンストラクション』:2022/07/16(土) 19:20:36
>>911

「わー! お金くばりおじさんだー!
 おじさん、ひさしぶりー」

 そう言って『夏の報奨金』の時に会話をしたであろう子供が声をかけてくる。
 右手を振りながらも左手は鞄につけた『防犯ブザー』の紐を握りしめている。
 以前小学生がまず持つことのないような大金をなぜか渡してきた男だ、おそらく警戒しているのだろう。
 特に何事もなければこのまま通り過ぎる…かもしれない。

913??の良い??紳士『??人』:2022/07/16(土) 19:36:03
>>910-912
「スイマセェン・・・」

そんな彼彼女らの傍で。

なにやら本を片手にスマホで電話している禿頭の紳士がいたりする。

「こちら・・・住所は○○○で・・・あってる。アアハイ・・・」

まさに『ここのビル』の住所を口にしたりしている。

914美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/16(土) 19:37:17
>>911

「確かに――『そうみたい』ですね」

            チラ

門倉の言葉を受けて、『彼の職場』を見やる。
『門倉不動産』。
前に会った時は、お互いに個人的な話はしなかった。

「実を言うと、『ちょっと一休みしようかな』と思っていたところなんです」

表情を崩さないまま、スクーターのハンドルを切り、
緩やかに車体の向きを変える。

「お邪魔でなければ寄らせてもらいますよ」

当然ながら、『真意』は知らない。
しかし、どこか引っ掛かるものを感じたのも事実。
それを確かめるために、門倉の『誘い』に乗った。

>>912

「――――…………ン」

声のする方を見て、少女の姿を目に留めた。
見覚えはない。
こちらとしては初対面だが、門倉の知り合いなのだろう。

「もしかして……『彼女も』ですか?」

小声で門倉に尋ねる。
『お金くばり』という言葉から、事情を察したのだ。
おそらくは、彼女にも『渡した』のだろう。
つまり、あの少女も『関係者』だった事になる。
無論、何をしたかまでは分からない。

915門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/16(土) 20:12:05
>>914(美作)

『夏の魔物事件』において、『彼女のラジオ』は大きな役割を果たしていた。
また、『クリスマスラッコ』を『夏のクリスマスの象徴』として
広めた功績は評価出来るものだと判断した記憶がある。

「よし―――では、こちらへ」

『門倉』は思わず笑顔になり、『門倉不動産』に『美作』を誘導する。

………『この笑顔、警戒されなければいいのだが』と直後、また少し反省。
     今までと違い、今回は『狙った獲物』を逃したくないのだ―――

 ………

>>912(合歓垣)

と、そんな『門倉』の耳に甲高い子供の声が響く。

    「やあ………久しぶり」

声の方を見やると………これまた『夏の魔物事件』で知り合った子供。
ねむ………なんだったか、珍しい名前だった気がする。
『スタンド』が行った『サンタ行脚』を手伝ったとかで、
その功績を無邪気に話してくれた。
『サンタ』という『クリスマスの象徴』を補助した功績はフェアに評価したつもりだ。

        『今は美作への交渉に注力したい』

そう考えていた『門倉』は子供を適当にいなそうと思ったが―――

                    『二つの点』から考えを変える。

一つは『美作』が、いつ『怪しい話をする男の根城に二人で居る事』に不安感を抱くか分からない点だ。
今回、『門倉』は『そういう話』をしたいわけではないので、下手な誤解は一切されたくない。
この『子供』を適当に居させておけば、そういった方面の『警戒心』はかなり薄れるのではないだろうか。

もう一つはこの『子供』自身が、『ショー』に貢献してくれる可能性がある点だ。
『サンタ』を補助した際に『空を飛んだ』ときいた。それが彼女の能力であれば、
非常に『映える』能力であるのは間違いがない。
少しばかり小遣いを握らせれば、ホイホイ手伝ってくれそうな点も『好印象』だ。

>>914(美作)
「ええ………そうです。例の『夏の魔物』の。
 折角ですし、あの娘も誘ってみましょうか?」

『門倉』は再度、 『美作』に笑顔を向ける。
今度の笑顔は爽やかな『紳士的なもの』になっていただろうか?

            ………

>>913(紳士)

 「あ………そうですね」

『門倉』は気のない返事を『紳士』に送った。誰?

916美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/16(土) 20:33:44
>>912(合歓垣)

「――――こんにちは」

       ニコッ

少女に向けて、気さくな印象を与えるスマイルを見せる。
外見から判断すると、『今時の子供』といった雰囲気だ。
どことなく『ナイ』や『りん』とは違う雰囲気を感じ取っていた。

>>915(門倉)

「ありがとうございます。
 それじゃ、『休憩』させてもらいますね」

『愛車』を適当な場所に停めてから、門倉の案内に従う。

「ええ、構いませんよ。私も子供は好きですからね」

現れた少女から門倉に視線を移し、笑顔を返す。
彼女も『例の事件』に関わっているのなら、
話をしてみるのもいいだろう。
それに、少女の果たした『役割』についても、
多少の関心があった。

>>913(紳士)

「………………?」

一方、こちらの『男性』については何も分からない。
反応から見ると、『門倉の知人』でもなさそうだ。
謎ではあるが――――今は気にしない事にした。

917合歓垣 瑛『ブラス・コンストラクション』:2022/07/16(土) 20:35:20
>>914

「おねーさん、はじめましてー!」
「あれぇ…?
 なんかおねーさんの声、聞いたことある気がするー。
 えれ…えれくとぉ…。なんだっけ?」

 合歓垣には『耳がいい』という特技がある。
 かつて『父の聞いていたラジオ』で流れていた声が記憶の端に引っかかっているのかもしれない。
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1619194604/68

>>915

「ここ、もしかしてお金くばりおじさんのおうちなのー?
 ふぅん? ……なんかひみつきちみたいかも! おもしろそー!」

 合歓垣はそう言いながら右手を腰に当てて、小さな胸を張る。
 気分は小さな探検隊のようだ。
 『クリスマス』の時に窓を外したりして不法侵入したのがなかなか楽しかったのかもしれない。
 子供が持つには危険な悪癖だ。 

「ねむがきたんけん隊、今からこのお金くばりおじさんのひみつきちにとつにゅーする!
 ……おじさん、いいよね?」

 念のため、家主の許可を取ろうとするらしい。
 以前は『和風サンタ』という保護者がいたが今は一人で道を歩いていたのだ、保護者などいない。
 勝手に人の家に上がってはいけないという自身の常識に基づいて許可を得ようとしている。

918??の良い??紳士『??人』:2022/07/16(土) 20:45:11
>>914-916
電話をしているわけであってそちらには気が付いていない。ただ・・・

「ええ、はい。一時間後に・・・あ、えーと。」

男の目はどこまでも澄んでいた。

「コースは『ぶひぶひこぶたさん』コース、ですね。」

彼には道が見えていた・・・『光り輝く道』が・・・

「『メイドさん』と『お散歩』を追加で・・・ええはい。」
「改めて・・・よろしくお願い申し上げます。」

自分が納得する、自分だけがなじむ道。
自分だけの『気持ちのいい道』だ!!その先には光がある筈(はず)だ・・・ッ!!

というわけで怪しい雰囲気の君たちの後ろで怪しい雰囲気を助長するかのように。
このビルの4階あたりの『フーゾク』に行こうとしている紳士のエントリーだ!!

919門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/16(土) 21:07:19
>>916(美作)

「よかった―――じゃあぜひ、こちらに」

『門倉』は笑顔を崩さず、『美作』を『不動産』の応接スペースへと誘導する。

>>917(合歓垣)

「………いいよ、とつにゅーね」

『合歓垣』の方も自発的に来てくれるようで何よりだ。
小学生―――だとは思うが、近くにこのくらいの年頃の娘がいないので、
こんなノリが普通かどうかはイマイチ分からない。
『女兄弟』は居るが………こんな感じではなかった気がする。

『合歓垣』もまた応接スペースへと誘導した。

  ………

『門倉不動産』はいかにも個人事務所といった様子で、
すぐに目に入るのは門倉のであろう『デスク』と『書類棚』。
入り口脇に『ローテーブル』と『ソファ』が置いてあり、そこが『応接スペース』だ。
こだわりがあるような感じは受けない―――量産型の家具だ。

そこに座るよう誘導される『美作』と『合歓垣』。

「飲み物はコーヒー、紅茶、お茶あたりでしたら。
 今の時期はもうアイスですよね。

                何が良いです―――?」

『美作』の方中心に話しかける『門倉』だが、
『合歓垣』も当然、応えていいだろう。
『門倉』が飲み物を用意している間、二人で話し続けても良いかもしれない。

 ………

>>918(紳士)

「………あ」

あまりにも『美作』や『合歓垣』に気を取られていた為、
『スマホでの会話』に声をかけてしまうという失態を犯してしまった。

どうやら最近できた『アダルト店』の客らしい。
『こういう事』が続くなら、『引っ越し』も考えなければならない。

『門倉』達は『一階の不動産屋』に入っていってしまった。

920美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/16(土) 21:35:23
>>917(合歓垣)

「あはは、『Electric Canary Garden』よ。
 私は『パーソナリティー』の『美作くるみ』。よろしくね」

少女の声に応じて、自分の『身分』を明かす。

「『パーソナリティー』っていうのは、
 『ラジオ』でお喋りする人の事なの。
 もし聞いてくれた事があったら、とっても嬉しいわ」

ひょんなところで、小さな『リスナー』と出会えたようだ。
自然と頬が緩む。
主な聴取層は、もう少し『上の年代から』なのだが、
『未来の支持者』が貴重なのは違いない。

>>919(門倉)

『門倉不動産』に足を踏み入れたものの、
あからさまに内部を見る事はない。
ただ、さりげなく間取りや家具をチェックしておいた。
『アイドル時代』に身に付いた癖のようなものだ。

「そうですね。最近は暑いですから」

「じゃあ、『アイスコーヒー』を頂けます?」

門倉に注文を出しながら、隣に座る少女に目線を向ける。

「ええと――『夏の魔物』って知ってるかしら?
 私も、それに関わった事があるのよ」

飲み物が来る間、『共通の話題』で間を持たせる。
『パーソナリティー』の『職業病』と言えるかもしれない。
それとは別に、個人的な興味もあったのだが。

921合歓垣 瑛『ブラス・コンストラクション』:2022/07/16(土) 22:11:37
>>919

「おじゃましまーす」

 そう言って門倉と美作に続き門倉不動産に入る。
 きょろきょろと見慣れないものを見るように店内を見回す。
 探検したいが椅子を勧められた以上座るべきと考えているようでそのまま座る。

「んー…なら『アイスコーヒー』。
 ブラックで」

 両親の真似をしているようですこしお澄ましした様子だ。
 こう言えば『大人っぽい』と思われると思っているのだろう。
 とはいえ届かない足をばたつかせている以上、『大人っぽい』とは思われないだろうが。

>>920

「あー! それ!
 『えれくとりっく・かなりあ・がーでん』!
 『サンタのラッコ』さんのやつ、かくさんしたよ!」

 自己紹介を受けて合歓垣はしっかりと思い出せたようだ。
 スマホを弄り、SNSの自身のアカウントを表示する。
 どうやら表示したのは引用した『サンタラッコ』の写真とアンケート結果のようだ。
 [ほしみまくろうとぼく、どっちがかわいいかなっ?]という文章が添えられている。どちらが勝っているだろうか。

「あ、自己しょーかい!
 あたし、合歓垣(ネムガキ)っていいます。
 小学3年生です」
「『えれくとりっく・かなりあ・がーでん』、パパがよく聞いてて、いろんな曲が流れるからいっしょに聞いてるの。
 そっか、あれってお仕事だったんだ」

 世界には仕事が溢れている。
 だが、子供である合歓垣には当たり前に日常に流れているラジオが誰かの仕事でできていたというのは想像の埒外だったようだ。

「『夏の魔物』って、『サンタの代わりのおじさん』の本体さんを『かき氷』にしたの?
 あたしも知ってるよ、『トナカイ』だったもん。
 『トナカイ』になって『サンタさん』のお手伝いしたんだー」

 すこし自慢気に語っている。

922??の良い??紳士『??人』:2022/07/16(土) 22:17:37
>>919-921
そのままワクワクしながらフェードアウトしていった。

一時間後に彼は『天国』に向かうのだろう・・・

923門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/16(土) 23:00:12
>>920(美作)

小ぢんまりとした空間。
奥はちょっとした給湯室や『トイレ』などのスペースが
あるのだろうが、『衝立』で見え辛くなっている。
掃除や整理整頓はそれなりにしてあるようだが、
いかんせん設備は古く、量産品で高級なものは無さそうだ。
こだわりが薄い―――というより単純にそこに
『お金がかけられない』のだろうという印象を受けた。

「アイスコーヒー………承知しました」

『門倉』は仰々しく礼をして、『衝立』の向こうへと消えた。

>>921(合歓垣)

「コーヒー………ブラックね」

そう言いながら、『門倉』は『合歓垣』のコーヒーに
『シュガースティック』を一本入れるつもりだった。
偏見かもしれないがこの年齢の女の子には、そうした方がいいだろうとの判断だ。

『合歓垣』にとっては見慣れない『オフィス』といった様相の空間。
『衝立』の向こうが見え辛いが、『トイレ』などがあるのだろう。

『門倉』が『衝立』の向こうに消えた。

>二人
二人はもう少し話してても良いかもしれない。

924美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/17(日) 09:20:17
>>923(門倉)

『職場』の様子については、
『外観』からおおよその想像はしていた。
予想した通りだったのだが、特に気にはしていない。
仕事柄、『過去』から『現在』に至るまで、
様々な場所に出向いてきた経験がある。
それに、何か無礼な態度を取られた訳でもないのだ。
むしろ、『小さな子供』が同席している事の方に、
美作の注意は向けられていた。
そういう意味では、
『門倉の思惑』は正しかったと言えるだろう。
『アイスコーヒー』を待ちながら、合歓垣と会話を続ける。

>>921(合歓垣)

画面に表示されたアカウントを覗き込む。
『拡散の発端』を用意したのは自分だが、
こうした協力があったからこその成功だった。
どうやら、最終的に勝ったのは『ラッコ』のようだ。

「ありがとう、合歓垣さん。
 私の番組は『メッセージ』を受け付けてるし、
 『電話』でお話する事もあるの。
 合歓垣さんも『リスナー』になってくれたら嬉しいわ」

         ニコッ

「お父さんにも宜しく言っておいてね」

親が聴いているから子供の耳にも入る。
そういう層は意外と多い。
今後のために、何か新しい案を考えておくべきだろうか。

「『トナカイ』?もしかして『空飛ぶソリ』の事かしら?
 私も『Electric Canary Garden』でお話した事があるのよ」

『その話』には聞き覚えがあった。

《なんと町の中で『空飛ぶソリ』が目撃されているんです!
 見た人の話によると『サンタクロースが乗っていた』そうで。
 他にも『天使のような歌声が聞こえた』とか、
 『雪が降ってきた』とか…………》

このように――『ラジオ』で喋った事があるのだ。
(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1631985077/458)

「あれは合歓垣さんだったのね。
 すごいわねぇ。私には、とてもマネ出来ないわ」

『サンタ役』は知っていたが、
こんな小さな子供が『トナカイ役』だったとは。
内心、よくソリを引けたものだと感心していた。
大人の自分であってもキツい仕事だ。
おそらくは、それが『能力』なのだろうが。
『自分の能力』は、そうした『力仕事』には全く向いていない。

            ――――――パッ

不意に、美作の肩の上に『機械仕掛けの小鳥』が現れた。
背中には『マイク』、口の中には『スピーカー』が備わっている。
こうしたデザインの『ガジェット』にも見えるヴィジョンだ。

「紹介するわ。『プラン9・チャンネル7』よ」

『スタンド』を明かす事に関しては、今は躊躇いはなかった。
おそらく門倉が戻ってきたら、
どちらにせよ見せる事になるだろうと考えていた。
それなら、今の内に伝えた方が話は早いと踏んだ。

925合歓垣 瑛『ブラス・コンストラクション』:2022/07/17(日) 12:41:55
>>923

「…………ごくっ」

 苦いのを覚悟しているようで眉根が寄った表情で合歓垣はコーヒーを啜る。
 門倉の考えた通り、砂糖を足したのはよかったようで、思いのほか甘いと目を瞬かせる。
 ……とはいえ、それでも苦いようで合歓垣が飲むスピードはとても遅い。

>>924

「うん、せっかくだしまたパパと一緒に聞いてみるっ!
 電話とかで曲のリクエストとかってできたりするの?」

 合歓垣は普段接することのない『パーソナリティー』という職業の人間に興味を抱いているようだ。

「そう、『空飛ぶソリ』の『トナカイ』!
 えー、ラジオで流れてたなら聞きたかったなー…。
 たぶんパパに怒られてたときとかかな、あのときなんにも遊んじゃダメー!って言われてたから…」

 そう言うとしょぼくれた様子で足をばたつかせる。
 テレビやYouTubeに友人が取り上げられればクラスは大騒ぎだ。『ラジオ』もそのようなものになるだろうと考えているのかもしれない。

「小鳥さんだ、かわいいー!
 あたしのはね、これなの」

 合歓垣はばたつかせている足にスタンドを発現すると足を覆うようにパイプで作られた『ブーツ』のようなスタンドが現れる。
 そのまま『トランペット』のような音と共に合歓垣が座っている『ソファ』が50cmほど浮き上がる。

「『演奏』して空を飛べる『ブーツ』!
 『ブラス・コンストラクション』って名前なの」

 小さな胸を張って渾身のドヤ顔をしてみせる。

926美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/17(日) 21:03:38
>>925

「へえ――――」

身に纏うタイプのスタンドと対面したのは初めてではない。
『ドレス』や『鎖』を見た事があったからだ。
しかし、『靴』というのは見覚えがない。

「それで『ソリを飛ばした』って訳ね。
 素敵じゃない。よく似合ってるわ」

      パチ パチ パチ

浮き上がる合歓垣を目の当たりにして、小さく拍手を送る。

「同じ『スタンド使い』同士。
 せっかく知り合えたんだから、連絡先を交換しましょう」

               ジッ

そう言いながら、『合歓垣のスマホ』に視線を向けた。

  「『あなたの電話番号を教えてくれる?』」

  《ハイ!『×××-××××-××××』デス!
   ワタシ、アナタノ『ファン』デス!
   ナンデモカンデモ教エチャイマス!》

『小鳥』のスピーカーから、機械的な『人工音声』が流れる。
『プラン9・チャンネル7』を通して、
『合歓垣のスマホ』が喋っているのだ。
その内容は、『合歓垣のスマホの番号』。

「――――と、私の場合は『こういう事』が出来るの」

美作自身は、この能力を多用していない。
『情報の扱いには慎重に』というのが、美作くるみの『信条』。
だが、『デモンストレーション』には、これが一番伝わりやすい。

「これが『私の連絡先』よ。どうぞ、よろしくね」

         スッ

そう言って、『名刺』を差し出した。

―――――――――――――――――――――

           星見FM放送

        Electric Canary Garden

       パーソナリティー:美作くるみ

―――――――――――――――――――――

その下に連絡先が付記されていた。
隅の方には、手描き風の、
『電気コードが付いたカナリア』が添えられている。
イメージキャラクターの『電気カナリア』だ。

927美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/17(日) 21:12:00
>>926

「『リクエスト』でもいいし、
 最近の趣味とか悩んでる事とか、
 聞いて欲しい事だったら何でもいいのよ。
 『パーソナリティー』は『お話する』のが仕事だけど、
 『お話を聴く』のも大切なの」

「だから、合歓垣さんも気軽に電話してみてね」

名刺を手渡しながら、そのように付け加えた。

928合歓垣 瑛『ブラス・コンストラクション』:2022/07/17(日) 21:37:18
>>926-927

 合歓垣は褒められたことに気をよくしたらしい。嬉しそうに足をばたつかせている。

「れんらく先? いいよー?
 えーっとねぇ、番号は…」

 そうしてスマホを見ていると自身のスマホから想定外の『声』がし、びっくりしたのか思わず足を止めてしまう。
 当然、足を止めれば『演奏』も止まり――

  ガッターン

 ――『ソファ』ごと落ちてしまった。

「えー!! すごいすごい!
 アニメの『スパイ』みたい!! カッコイイ!」

 『ソファ』のおかげか、それとも興奮が勝ったのか、合歓垣はなんともなかったかのように自身の『スマホ』をまじまじと眺めている。
 本当にそこから声が聞こえたのか確かめようとしているようだ。
 そして『名刺』に気付くと跳ねるように立ち上がり、受け取って嬉しそうにしている。

「おねーさんすっごいね!!!
 すごいおねーさんのれんらく先だー! やったー!」

「すごいおねーさんのやってる『ラジオ』、たくさん聞かないと!
 クラスのみんなにもこんなすごい人がいるんだーって教えてもいい…?
 みんなで聞いたらきっと楽しいと思うんだー。だめー?」

 小首を傾げ見上げるように『おねだり』をしてきている。
 子供故の口の軽さがあるかもしれない。
 ある程度の口止めをしなければ、なにか想定外のことになりそうだ。

929門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/17(日) 21:37:32
>>924>>927(美作)
>>925(合歓垣)

『門倉』が『コーヒー』を運ぶと、
二人がちょうど『スタンド使い』ならではの『自己紹介』をしていた。
『スタンドを隠すかどうか』は個人の信念に大きく影響されるが、
彼女たちは比較的フランクな考え方をしているようだ。

二人の会話の区切りのいいところで『門倉』が口を挟む。

「仲がよさそうでなにより―――」

 『門倉』はそう言いながら、自らの傍らに『人型のスタンド』を出す。

「俺のは『ソウル・ダンジョン』―――ありがちな『人型スタンド』さ。
 君たちみたいな個性的なヴィジョンでは無いけれど、
  まァ、それなりに便利だし、気に入っている。

     能力は―――『部屋』を作ること。
              だから、『不動産屋』。分かりやすいだろう?」

『門倉』も自らの『スタンド』を簡単に紹介する。
今は少しでも彼女たちの心に寄り添う必要がある―――

 ………

「さて―――

 『夏の魔物事件』の『聞き取り』をした時に話したかもしれないけれど、
 俺はたまに『スタンド』絡みの仕事の仲介をしていてね。
 つまりは君たちに『仕事の依頼』をしたいというわけなんだけど―――

 といっても、今回は『仲介』ではなく、俺自身からの『依頼』でね………」

 そろそろ場が温まっているとみて、『門倉』は早速、『本題』を切り出し始める。

 「二人は、『アリーナ』という組織を知っているかい?
   この町の『スタンド使い』達が裏で行う、『闘技場での興行』を行う組織―――」

930合歓垣 瑛『ブラス・コンストラクション』:2022/07/17(日) 21:49:46
>>929

「しらなーい。
 『アリーナ』って、ゲームとかであったりするのみたいなの?
 『こーぎょー』って『工業』? それなら学校で習ったかもっ!」

 合歓垣は戻ってきた門倉の言葉に首を傾げながら答える。
 『興行』の発音がいまいち怪しいあたり、なにか違うことを考えていそうだ。 

「おじさんはひみつきち作れるスタンドなんだ、おもしろいねー」

 『部屋を作る』スタンドについてはいまいちイメージが湧かないらしく反応は鈍い。
 子供故に自身の家以外をあまり知らないというのが影響しているのかもしれない。

931美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/17(日) 22:08:44
>>928(合歓垣)

「もちろんいいわよ。
 『リスナー』が増えてくれるのは私も嬉しいから」

気さくな言葉の裏には『宣伝』という多少の『打算』もあった。
これくらいは許容範囲だろう。
しかし、『何もかも』という訳にもいかない。

「『プラン9』の事は内緒にしてね。
 私も『ブラス・コンストラクション』の事は秘密にしておくから」

口元の前で、人差し指を立てる。
さすがに『スタンド』の事まで吹聴されるのは困る。
自分のような能力の場合は特に。
『秘密の共有』というのは、子供の心をくすぐりやすい。
だからこそ、こういう手段を取った。

>>929(門倉)

「――――いただきます」

軽く頭を下げ、『アイスコーヒー』を口にしながら、
門倉の話に耳を傾ける。

「『ソウル・ダンジョン』――
 『才能』を『お仕事』に活かされている訳ですか。
 
「とても興味深いです」

しかし、それに続く内容は、もっと関心を引くものだった。

「ええ、『アリーナ』の事は私も知っています。
 一度だけ『参加』した事があるんですよ」

「いわゆる『試合』ではなくて、『五種競技』ですけど」

『以前の経験』を思い出す。
『カナリア』という『リングネーム』で舞台に立った。
かつて『アイドル』であった自分にとって、
それは久方振りの『ステージ』であり、
大きな『興奮』を感じた事を覚えている。

「『仕事の依頼』というのは、それと関係があるんですね?」

>>930(合歓垣)

「『興行』っていうのは、簡単に言うと『イベント』の事よ。
 『アリーナ』っていうところは、
 『スタンド』を使った『エンターテインメント』をやってるの」
 
「色々と『種類』はあるみたいだけど。
 私が出たのも、その一つよ」

合歓垣の反応を見て、補足の説明を入れる。
リアクションからすると、彼女は知らないようだ。
当然といえば当然かもしれないが。

932門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/17(日) 23:02:54
>>930(合歓垣)
>>931(美作)

「―――ああ。そうだね。
     『興行』というのは『美作さん』が言ったとおり、『イベント』………
     学校で言えば『文化祭』とか、『体育祭』とか、そういったものかな」

  厳密に言えば微妙に違うが『合歓垣』の分かりやすいであろう喩えを心がける。

「『美作さん』は『アリーナ』に参加した事があるのか!
 それはそれは―――話が早い。
  しかも、『試合』じゃあなく、『五種競技』だって?
   ふゥむ、そういう形式もアリなのか―――やはり、柔軟な発想がカギ………」

次に『門倉』は『美作』の言葉に喜びを示す。
単純な『試合』ではない別タイプの『アリーナ活用法』―――
それを受け入れる土壌はあるという事だ。

「………ああ、すまない。

     『アリーナ』。そう、『アリーナ』だ。

 俺はこの『アリーナ』で単純な『戦い』じゃあない『スタンド使い』達の『ショー』をしようと思っている。
 そのための『参加者』を探していて、君たちを『スカウト』したい、とそういうわけなんだ。

―――具体的にどんな『ショー』かといえば、そうだな、
     いくつか『案』はあるにはあるが………
     集まった『スタンド使い』達の『相性』というものもある。
     それに基づいて最終決定しようかと思っているが―――

     たとえば『サーカス』みたいなものだったり、『演劇』みたいなものだったり、
     『アイドルライブ』みたいなものだったり、そんな感じかな」

 『門倉』は話を続ける。

「特に『美作さん』には頼めるならば、大事な役割がある。
 『参加』した事があるのなら分かると思うが、『アリーナ』には欠かせない重要な役割。
 そう―――『実況』あるいは『解説』。
        人気のある『派閥』はまずこれが『強い』、と俺は分析している。
        俺がやってもいいけれど、『本職』にやってもらえるならそれが一番だ」

 続いて『合歓垣』に向けて語る。

「もちろん、『合歓垣ちゃん』にも大事な役割はある。
 『音楽』と『浮遊』は大抵のショーで応用が利く素晴らしい『能力』だ。
 『仕事』なんていうと大げさだけど、ちょっと手伝ってくれれば、『お小遣い』はあげられるよ」

『年端のない子供をアリーナに関わらせる』―――
この事に対する『罪悪感』は『門倉』には無かった。
そもそも他の『アリーナ』でも、むしろ未成年のスタンド使いの活躍の方が多いくらいだ。

どうもこの『スタンド』という能力は平均的に、『未成年』というか『年若い方』が
そのパワーを十分に発揮しやすいのではないか、と『門倉』は思っていた。
『精神活動が一番激しいのが思春期』と仮定すれば、それも当然と思われた。
であれば、『若年』である事を利用に、いちいちスカウトするかどうか
逡巡する事は、『時間の無駄』だという結論に『門倉』は達していた。


                        「―――さて、どうかな?」

あまりにもたくさんの情報をまくし立てるのは、
特に『合歓垣』が混乱してしまうだろう。
とりあえずはこのへんで『感触』を確かめてみよう。

933美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/17(日) 23:28:42
>>932(門倉)

「…………『スカウト』ですか」

耳に入った言葉を、頭の中と口の中で反芻する。

            フフッ

まもなく、その口元に艶っぽい笑みが浮かんだ。

「なんと言いますか――『魅力的な響き』ですねぇ」

『国民的美少女コンテスト』の『準優勝』。
そこから『事務所』にスカウトされ、
美作くるみの本格的な『芸能活動』がスタートした。
『スカウトしたい』という単語は、
美作の心に『心地良い刺激』をもたらした。

「そういうお話なら、こちらとしても、
 『前向き』に検討させていただきます。
 『興行』を一層盛り上げるためには、
 『そのための役割』が必要不可欠。
 私自身も、それを肌で感じてきました」

前回は『選手』としての参加であったが、
『そういうポジション』で活躍できるのも悪くない。
何より『必要とされている』というのは良い気分だ。
実際のところ、これ以上の理由は必要ないくらいだった。

「『トーク』なら誰にも負けない自負があります。
 私に声を掛けてくれた事は後悔させませんよ」

          ニコッ

「――――私も『プロ』ですから」

自信に満ちた笑みと共に、門倉に答えを返す。

934合歓垣 瑛『ブラス・コンストラクション』:2022/07/17(日) 23:47:56
>>931

「『ひみつ』…。
 うん、やくそくするっ」

 思惑通り、合歓垣はその『特別』な響きに目を輝かせて了承する。
 能力を披露することに抵抗がないことも考えるとまだ『スタンド使い』として能力を秘匿する方がいいということを知らないのかもしれない。

「『イベント』かぁ、『発表会』みたいな感じかなぁ。
 歌の発表は嫌だけど……スタンドなら楽しいかも…?」

 ほんのり嫌なことを思い出したような表情で、合歓垣は考え込む。

>>932

「『文化祭』は近くの学校でやってるの見に行ったことあるよ!
 なんか、『冬』みたいな『文化祭』で面白かったなー、あんな感じなんだ!」

 やや沈んでいた合歓垣は門倉の言葉に気分が上がったようだ。
 楽しいお祭りの一幕に参加することができ、その上でお小遣いまでもらえる。
 合歓垣にとってはとても美味しいだろう。

「あ……でも、お金配りおじさんにお金もらったら、パパに怒られちゃったんだ…。
 おこづかい、もらえない…。
 それにパパに相談しないと…お出かけもできないかも…」

 夜中に出歩き、その上出所の怪しい大金(10万)を後日持ち帰ってきた娘に父親はなにを思っただろうか…。

935門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/18(月) 00:20:44
>>933(美作)

『請けてくれる』―――『美作』のその言葉に『門倉』はほっと胸を撫で下ろす。

「ありがとう―――『運命』という言葉を使うのはとても陳腐だけれど、
           『美作さん』、今日、貴女に会えたのは俺にとって
           『運命』だったのかもしれないね」

そういって自然に、『美作』の手を握ろうとする。
『門倉』の悪癖というべきか………

「具体的な『報酬』については―――まァ、またあとで」

さすがに『合歓垣』の前で話す事ではないと判断したのだろう。

>>934(合歓垣)

「ああ………」

逆にこちらは難航―――ただ、その内容は『当然』とも言えるものだった。
『夏の魔物事件』での『聞き取り』で感じた事だが、この町の未成年スタンド使いは
どうにも放任主義の親が多いように感じていたが、彼女の親はしっかりしているようだ。

ただ―――『門倉』が親が説得するのは流石に難しいだろう。
どんなテクニックを使っても、そこには『怪しさ』が残る。

                      「――――ふゥむ」

『門倉』には『妙案』がない。チラリと『美作』の方に目を向ける。
本当は次の段階―――『何をやるか』と
それに基づく『更なる準備』について話そうとしたのだが、それ以前の段階か。
最悪、『合歓垣』は外すしかないかもしれない。

936美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/18(月) 00:52:11
>>934(合歓垣)

「――……?」

『歌の発表が嫌』というのは自分と真逆だった。
『アイドル』だった頃の美作にとって、
『歌う事』は何よりも大きな喜びであり、
生きる意味でもあったのだ。
だが、人間というのは基本的に違う。
『スタンドの違い』が、それを表している。
『ショー』においても『多様性』は重要な要素と言える。

「お父さんを心配させちゃうのは良くないものねぇ」

『スタンド使いの仕事』に『労働基準法』はない。
しかし、『子供を雇用する』というのが、
『倫理的に正しい』とは言えないだろう。
『スタンド』と関係なく働いている、
『猫柳林檎』のような『例外』もいるが……。

「合歓垣さんは、とっても『えらい子』なのね」

『こっそり出掛ける』とか、
『黙ってもらう』という選択肢が出ない辺り、
『育ちがいい』という印象を受けた。
もちろん、それは決して悪い事ではない。
門倉にとっては困る事かもしれないが。

>>935(門倉)

   「『私の握手』は高いですよ?」

           クスッ

今度の笑いには、冗談めかした色があった。

「でも、『運命』なんて言葉を使われてしまったら、
 手を取らない訳にはいきませんから」

         スッ

  「喜んで『お誘い』をお受けしますね」

握手に応じ、門倉の手を握り返す。
脳裏をよぎるのは『ファンとの握手』だった。
当然ながら、今は『仕事の話』。
それは承知している。
両方に共通しているのは、『スマイルを絶やさない事』だ。

>>934(合歓垣)

『門倉の視線』を受けて、しばし考えを巡らせる。
無理に合歓垣を引き入れるのは困難だろうし、
良くない事だと思っている。
しかし、そのための『アイディア』はないではない。

「ねえ、合歓垣さん。
 お父さんは『私の番組を聴いてくれてる』って言ってたわよね?」

「『私の事』も、お父さんは『知ってる』のよね?」

「それじゃあ『私』と――――『美作くるみとお出かけしない』?」

美作くるみには、それなりの『知名度』がある。
活躍の場が『ラジオ』なので、
『声だけしか知らない』という人も多い。
だが、『公式サイト』に『写真』は載っているし、
『SNS』でも『顔出し』している。
『知られている』というのは『信用』にも繋がるだろう。
少なくとも、『異性』であり、
『身元不明』の門倉より警戒されないはずだ。

937合歓垣 瑛『ブラス・コンストラクション』:2022/07/18(月) 05:56:31
>>935-936

 門倉の悩みを知ってか知らずか、合歓垣は美作と話している。

「歌うのね、きらいじゃないの。
 でもあたし、とっても『耳がいい』から…
 『ブラス・コンストラクション』はちゃんと思った『音』が出せて合ってることがわかるんだけど
 自分で歌うと間違っちゃうんだもん」

 そう言うと今度は『ソファ』を『共鳴』させずに自身の『スタンド』だけで浮かばずに『演奏』を始める。
 音はC、ピアノのドの音と同じだ。
 それに合わせて合歓垣が歌うと声が揺らぎズレているのがわかる。
 そして足を止めると美作の助け船に反応する。

「……おねーさんとお出かけ?
 パパ、おねーさんの『ラジオ』よく聞いてるからゆるしてくれるかもっ!」

 だが、叱られたことを思い出したのかすぐ顔を曇らせる。

「おねーさんはあたしのこと『えらい』って褒めてくれたけど、
 たくさん怒られちゃったし、あたしいい子じゃないの…
 ……おじさんのお手伝いしておこづかいもらうとたぶんまた怒られちゃう…」

 叱られたときのことを思い出しているのか、俯きながらそう答える。
 金銭のやりとりが発生すれば子供である合歓垣は手元にお金があればうまく隠すことはできないだろう。
 親というのは子供の隠し事には聡いものだ。

 『アリバイ』と『金銭のやりとり』、この二点さえクリアできれば合歓垣を説得できるかもしれない。

938美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/18(月) 16:41:21
>>937

「『お小遣い』は、門倉さんに預かってもらったらどうかしら?」

『手元になければいい』のならば、
それを解決する手段は至って簡単になる。

「『将来』のために、今から『貯金』しておくの。
 合歓垣さんが『大人』になる頃に役立てられるようにね」

美作としては、合歓垣がいなくとも問題はなかった。
『自分の役割』に差し障りはないし、
積極的に子供を関わらせたい意思も持っていない。
本当に『無理なら無理』で、
見切りをつけて潔く諦めてしまうのも手だろう。
下手に強行すれば、後で何かしらのトラブルが生まれかねない。
どちらにせよ、最終的に決めるのは自分ではないのだから。

             ジッ

そのような意を込めて、門倉を見つめ返す。

939門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/18(月) 22:37:57
>>936(美作)

『美作』の手を握る『門倉』。
そして自然な流れでそれを離す。
もう少し愉しみたい気もするが―――それは今じゃあないだろう。

いずれにせよ、『美作』との提携は、
『門倉』の野望の輝かしい大いなる一歩となるはずだ。

>>936>>938(美作)
>>937(合歓垣)

手際よく『合歓垣』を説得する『美作』を見て
『門倉』は更に『美作』の評価を高める―――

彼女に関しては、一時的ではなく、自分の派閥に『欲しい』。
ただ、『ラジオパーソナティー』の顔を持つ彼女を
本格的にこちらに引っ張り込むのは容易な事ではないだろう。
いや―――あえて、二足の草鞋を履いてもらう事で
更に彼女の価値は高まるのかもしれない。

 ………

だがそれを考えるのは今ではない。
今は『合歓垣』の『説得』の時間だ―――

「『お金』については俺が責任をもって預かる事も出来るよ。
『貯金』というのは良いアイディアだけど、
それが不安だったら、いつでも返す事を約束しようじゃあないか。

     つまり―――『合歓垣ちゃん』。

君はこの『門倉不動産』にいつでも
お金を返してもらいに来ることが出来るというわけだ。

気軽な『別荘』―――いや、『秘密基地』といった方が良いかな?
そんなものがあるのはさぞかし楽しい事に違いないよ」

『美作』とのアイコンタクトで『無理強い』はしない事に決めている。
ただ、少しばかりのメリットを提示するくらいは良いだろう。

「あとは『美作さん』が親御さんに話すなら―――そうだな。
 それこそ、ちょっとした『芸能プロダクション』みたいな設定にした方が良いのかな。
 ラジオドラマのエキストラにリアルな『子役』が必要とか―――
 いや………そっちはそっちで『怪しい』のかな―――?」

そういう機微はいまいち分からない。
芸能界にも疎いし、『美作』に内容まで決めてもらった方がいいのかもしれない。

                     ………

いずれにしろ、最終的には『合歓垣』の自由意思に任せたいとは思っている。

940美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/18(月) 23:21:21
>>939(門倉)
>>937(合歓垣)

合歓垣が加入する事で、
美作に何らかのメリットがあるとすれば、
それは『自分の強み』をアピール出来るという点に尽きる。
『門倉との契約』において、有利に働くという意味で。
こうして『交渉』に当たっている理由は、
強いて言うなら『それ』だろう。

「そうですね。『ラジオドラマ』もいいですけど――」

「『次』に取っておいた方がいいのかも……」

これは『最初の段階』だ。
言わば、合歓垣と放送局との『繋がり』が出来る場面。
後々の事まで考えに入れると、
もう少し緩くした方がいいかもしれない。

「私が合歓垣さんに『放送局』を案内してあげる。
 『ラジオを流すところ』よ」

「『社会見学』なら、
 お父さんも納得してくれるんじゃないかしら」

先程の『名刺』を見せた上で、美作から連絡すれば、
おそらく『説得力』は増すだろう。

941合歓垣 瑛『ブラス・コンストラクション』:2022/07/19(火) 19:21:15
>>938,940

「『社会科見学』って知ってるよ、いろんなところに遠足して勉強するんだよね!
 すごいおねーさんの『放送局見学』、楽しそうっ」
「おねーさんにあん内されたって言ったらパパから『しっと』されちゃうかも。
 ……くすくす、たのしそー」

 3年生になり社会科が始まったばかりの合歓垣にとっては新鮮で刺激的なワードだ。
 嫉妬する父親の顔を思い浮かべているのか楽しそうに笑っている。

「おねーさん、よろしくお願いしますっ」

>>939

「あ、そっか…!
 お金がおうちにないならわかんないよね、パパもないものはなんにも言えないもん!」
「……バレちゃったら怒られちゃうけど…
 それでも『文化祭』みたいなの、やってみたいし…!」

 合歓垣はどうやら自分の中のいい子と悪い子との間で揺れたようだが…勝ったのは悪い子だったようだ。
 小さく何度も頷くと軽く浮いて門倉に近付くと握手しようとする。
 美作の真似のつもりらしい。

942美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/19(火) 21:36:39
>>941(合歓垣)

「ええ、きっと合歓垣さんの『将来』にも役立つと思うわ」

嘘をつくつもりはない。
『放送局を案内する』というのは本当だ。
ただ、その合間に『門倉を手伝ってもらう』だけで。

「お父さんには私からも説明しておくから」

『説得』は成功した。
ちょっとした『罪悪感』がないではない。
その分、彼女に『危害』が及ばないようにするのは、
自分の責任だと考えている。

>>939(門倉)

「ひとまず『話は纏まった』みたいですね」

門倉に目線を合わせ、小さく頷く。
やるべき事はやった。
『貸し』にしてもいいが――自分の『話術』を証明できたのなら、
それで十分だ。

「もう少し『具体的な内容』を聞かせてもらえますか?」

943門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/19(火) 23:34:46
>>940(美作)

「『放送局』―――」

なるほど、『美作』が健全なところに『合歓垣』を連れまわす事によって
少しずつ信頼を高めていく、というところか。

                「良いね、とても良い」

心から頷く『門倉』。

 『門倉』から『美作』への信頼は、少しずつどころか急激に高まっているようだ。

>>941(合歓垣)

そして、『合歓垣』も納得してくれた様子。その記念というわけではないが、
『門倉』は『美作』とは違う『合歓垣』の小さな手をまるであやすように握り、軽く振った。

          「………さて、こんなところで良いかな」

『美作』の時とは微妙に違う握手―――
その意味合いをどう捉えるかは『合歓垣』次第だ。

>ALL

「よし―――じゃあ、これからは『具体的な話』をしよう。

 ちょうど君たちに会った頃、『アリーナ』を本格的に知った俺は、
 一年かけてとりあえず一回分、クラシックな『アリーナ』を借りるだけの資金をかき集めた。
 そこで行う『初回のショー』が今後の進退を決めると言っていい。
 すなわち、『ショー』が成功すれば期待値も上がり『スポンサー』がつき、
 『二回』、『三回』と『ショー』を行う事が出来るというわけだ」

『合歓垣』の理解力はあえて尊重しない。
『合歓垣』は好奇心のある賢い娘だ。
こういう娘は知らない単語もある程度自身で解釈して理解しようとしてくれるだろう。

「『アリーナ』で定期的に興行を行う『組織』の事を『派閥』と呼ぶ―――
 少し理解が足りないかもしれないが、俺はそう認識している。
 そして、この『派閥』を作り、『アリーナ』で一定の立場を築くというのが俺の夢だ。
  二人にはぜひ、この夢の手伝いをしてほしい。

 先に話したとおり、まずは『一回目』だ。
 『夏の魔物事件』の時に思った事だけど、
 この町の活動的なスタンド使いには『若い女の子』が多い。

 ―――ちょうど、君たちのようにね。
     そして『キャッチーさ』と『インパクト』を考え、
     『一回目』はなんというか―――『アイドルショー』のようなものはどうだろうか?」

『門倉』は深い雪を一歩一歩踏みしめるかのように、
主として『美作』の挙動を探っているように思える。
『美作』の過去を知悉してのことなのか、それともただの偶然なのか―――

「それでよければ………よければの話だよ?

 君たちには『アイドル勧誘』を手伝ってもらいたい。
 『スタンド使い』である事が必須―――
 理想的なのは『スタンド』を用いた
 『パフォーマンス』が想定できる者だが、
 そうじゃなくても―――まァ、大丈夫だろう」

『アイドル』と言っても『男女』居る者だが、『門倉』の想定はあくまで女子らしい。
要はそれなりの人数、『スタンド使い』かつ
『この話に興味がある者』をスカウトする必要がある―――

ここまで語ると『門倉』は伺いを立てるように二人の方を見やる。
おそらく『美作』のような『芸能関係者』からの意見や、
『合歓垣』のような現役の小中学生の生の声を聴きたいという事なのだろう。
そこで明確な反対意見があれば、すぐさま『軌道修正』―――
おそらくだが『門倉』にはそういった意見をすくいあげる心の柔軟性がある―――

944美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/20(水) 00:22:17
>>943(門倉)

「『お話』は分かりました」

耳に届いた内容を、自分の中で噛み砕いて消化する。

「『スタンド使いのアイドル』を集めたいと……。
 可能であれば、
 『能力』を『パフォーマンス』に活かせる人材を発掘する」

「そう考えてよろしいですね?」

興味深い話だった。
同じ『スタンド使い』としてだけではなく、『元アイドル』とても。
自分だからこそ出来る役割であるように感じられる。

「以前『アリーナ』に参加した時、思った事があります。
 『試合』をするだけが『エンターテインメント』ではないと。
 もっともっと幅広い『可能性』がある」

心に浮かぶのは『過去の栄光』。
過ぎ去った日々だが、今でも鮮明に思い出せる。
『パーソナリティー』として新しい人生を歩んでいる今でも、
決して忘れらない思い出だった。

「門倉さんの考えに、心から『賛同』します」

『依頼人』の言葉が、それに『火』を点けた。

「私で良ければ――――『夢の手伝い』をさせて下さい」

門倉の目を見つめながら、『承諾』の言葉を口にする。
『報酬』が目当てではない。
自分の『キャリア』と『プライド』に掛けて、
この仕事を成し遂げてみたい。

945合歓垣 瑛『ブラス・コンストラクション』:2022/07/21(木) 17:16:42
>>943

 握手を返してくれたことに喜び、深い意図は気付いていない様子でそのまま浮いて元の位置に戻る。

――『アリーナ』ってところがあって、そこで『文化祭』する人たちがいて、それが『はばつ』って言う。
――お金配りおじさんの『夢』が『文化祭』でつよつよになること…ってこと、かなぁ。

「んと、『アイドル』って『TikTok』みたいなところでおどったりしてる人とかみたいなの…だよね?
 あ、あと『エイティーフォー』みたいなたくさんでおどって歌うのとか
 スタンド使える人でそういうことできる人を探すのがお仕事?」

 とりあえず話にはついてきているようだ。
 アイドル…『芸能関係』の仕事が小学生の将来なりたい仕事にランクインしたのは2012年、既に過去の話だ。
 存在は知っているがYouTuberやTikTokerのような存在の方が身近でイメージが強いらしい。

「やるのはいいよ。
 けど、たくさん人がいたらケンカしちゃったりしない?
 YouTuberとかでなかが悪くて大変とかよくあるみたいだよ…?
 さいしょはあんまり多くない方がいいと思うけど…」

 人同士の相性もある。
 どれくらいの規模感でどういう人材を集めるかは絞った方がいいのではないかと考えているようだ。

946門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/21(木) 23:14:12
>>944(美作)

「そのとおり………なんだけど」

自らの話に耳を傾ける『美作』の動向に
様子を窺うような表情を見せる『門倉』。

 そして―――

『心からの賛同』という言葉に思わず頷く。

「そう言ってくれると思っていたよ―――いや、本当に」

『美作くるみ』―――彼女が『門倉』の野望のキーとなると『門倉』は確信している。

>>945(合歓垣)

「そういう事………『たくさんおどって歌うスタンド使いのお姉さん』を探してほしいって事」

『お姉さん』と『門倉』は言う。さすがに『合歓垣』より下の
年齢の娘を積極的に集めようとは思っていないという事だろう。

「『規模』か―――そうだな」

『美作』にその視線が移る。
ケンカをしない、アイドルとしてスタンダードな最低数。
小回りが利き、現実的な数………

                  「とりあえず―――三人、てところかな?」


 ………

「あとは、決めておきたい事があるな。
 やはり、二人とも、『身バレ』は怖い感じかい?」

『合歓垣』は未成年もいいところ、また『美作』は『有名人』だ。
それぞれ『裏の仕事』に身をやつしているのを知られない方が良いのではないかという配慮だ。

「それだと―――『姿を胡麻化す』スタンド使いなんかも居た方が良いかもね。
 それか―――マスクみたいなものを被るとか」

『プライバシー』を重視する事は今後の『人員確保』を行うためにも大事だろう。

947美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/21(木) 23:41:16
>>945-946

「確かに……『ケンカ』するのは良くないものねぇ」

合歓垣の意見に、首を縦に振る。
『相性』は重要だ。
単独ならともかく、仮初でも『チーム』を組む以上、
それを無視する事は出来ない。

「『三人』は妥当なところだと思います」

異論はなかった。
経験上、一番『バランス』がいい人数だ。
『今後』の事を考えても、一つの『指標』として、
最も適していると言える。

「『可能性』として――ですけど」

それから、門倉を見つめ返した。

「とりあえず出来るだけ声を掛けて、
 最終的に門倉さんが『選考』を行うという形はどうでしょう?」

「私達は、あくまでも『スカウト』ですからね」

人数を絞るとしても、最初から厳選する必要はないと思えた。
選ぶ過程は、『頭数』が揃ってからでも遅くない。
そのためには、出来るだけ幅広い人材が必要になる。

「私の方は、『度を越えなければ』問題ありませんよ」

既に『アリーナ』に参加した身だ。
知っている者は知っているだろう。
今更、そこまで厳密に隠す意味もない。

948合歓垣 瑛『ブラス・コンストラクション』:2022/07/21(木) 23:47:16
>>946

「えと、じゃあまとめちゃうね。
 ひつよーな人数は『三人』、『女の子』で『歌っておどれる』くらい元気な『スタンド使い』のおねぇさん。
 『きゃっちー』で『インパクト』があるのだとなおよし…?
 ……んと、それでおねぇさん…ってことだから9才より上の人…」

 指折り数えながら要件を自身の口から改めて確認する。
 スタンド使いが多い街ではあるが、条件の厳しさから考えると探すのは難しい気もする。

「『身バレ』、したらパパにおこられちゃう…?
 それならこわい…けど、マスクでへんそーとか楽しそうっ」

 合歓垣はそう言うと楽しそうに足をバタつかせる。
 子供故の警戒心の薄さもあるのかもしれない。

>>947

「ケンカしたらかなしいもんね」

 うんうんと頷きながら美作の言葉に反応する。

「……そんなに、できる人見つかるかな…。
 あたし、スタンド使える人そんなに知らないよ?
 『歌っておどれる』なら歌が上手な人じゃないといけないし、
 おじさんにえらんでもらえるくらい見つけられるかな…」

 合歓垣はなにやら不安そうだ。

949門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/22(金) 00:09:40
>>947(美作)

『美作』の肯定に頷く。
少なくともこの『アイドル案』に関しては
芸能に通じた『美作』の知見を重んじた方が良い。

「『選考』か―――たしかに集まるのならそれが一番だろうね」

『門倉』はそう言ってから『合歓垣』の方を見やる。
『集まる』どうか―――これは未知数だ。

>>948(合歓垣)
「『スタンド使い』は惹かれ合う―――とも言うし、きっと見つかるよ」

これはあながち気休めでもない。少なくとも、
『今日』、二人に会えたのは一種の『運命』とも言えるだろう。

そして、いよいよ集まらなかったら、『門倉』のタブレット内に
『夏の魔物事件』で『聞き取り』した『スタンド使いファイル』がある。
それを活用する事も出来るだろう―――

「『変装』については、万が一、ついでに良い人が見つかったら連れてきてくれ。
 『身元』を隠す以外にも『ショー衣装』にも有用だからね。

 あとは、『ショー』に関して役立ちそうな人材なら………
 その人にもついでで良いから声をかけてくれれば嬉しいな」

『門倉良次』は二人にそう指示し、

 そして、後は『スマホ』を出し連絡を交換しようとする。

  何もなければそろそろ一度、お開きの雰囲気か―――

 ………

その流れで『美作』にさらりと『メモ』を渡す『門倉』。

そこには、

 『今度 二人で 一度 闘技場の視察へ行きませんか?』

と書かれている。

      これをどう捉えるかは『美作次第』―――

950美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2022/07/22(金) 18:45:28
>>948(合歓垣)

「もし難しいと思った時は、遠慮しないで私に連絡してね。
 いつでも相談に乗るから。
 私から合歓垣さんに聞く事もあると思うし……」

これからは、いわば『仕事仲間』。
お互いの状況は把握しておくべきだろう。
助け合う事で互いの不足を補うのだ。

「それから、何か『お手伝い』が必要な時も。
 相手が『大人の人』だったら、
 私から『説得』する事も出来るわ」

たとえば子供なら、合歓垣の方が話しやすいかもしれない。
逆に、もっと上の年齢層の場合は、自分が話した方が、
何かと都合が良さそうだ。
交渉は『ケースバイケース』ではあるものの、
一つの指標としては妥当なところではある。

「『歌』や『踊り』じゃなくてもいいんじゃないかしら?
 確かに『分かりやすい』のはそれだけど……」

「『見ていて楽しい』って思えるような事が出来る人なら、
 きっと大丈夫よ」

         コソッ

「もし見つからなかったら――――
 『私達』で『アイドル』になっちゃえばいいわ。
 合歓垣さんはとっても可愛いし、『才能』もあるんだから」

合歓垣に『耳打ち』する――フリをして、
実際は門倉にも聞こえるように喋っている。
要するに、合歓垣をリラックスさせるための行動だった。
とはいうものの、『万が一のプラン』としては、
一応それも考えには入れてある。
ただ、『プラン9』をパフォーマンスに活かせるかは、
正直『微妙』と言わざるを得ない。
その分、『本体自身の実力』でカバーしたいところだが、
あくまでも『最悪の場合の保険』だ。

>>949(門倉)

「『今回の選考』から外れたとしても、
 『次の内容』に活かせるかもしれませんし。
 『繋がり』は多くあっても損はないと思います」

「門倉さんの『事情』にも左右されますけど、
 場合によっては、『一人』か『二人』くらいは、
 『メンバー』を増やす事を検討してみてもいいのかも……」

「それぞれの『雰囲気』や『印象』を、
 なるべく被らせないように注意する必要もありますね」

『事情』というのは、主に『懐具合』の事だった。
合歓垣が言うように、『個々の相性』もあるが、
タダで『ショー』をさせる訳にはいかない。
あまり大勢だと、今度は『ギャラ』の面で困る事になりそうだ。

「でも、せっかくの『旗揚げ公演』ですからね。
 開催するなら『大成功』に越した事はありませんから」

何にせよ、『スカウト』という仕事に対し、
美作くるみは『意欲的』だった。
門倉の依頼に対し、『夢の手伝いをする』と言った。
それは、『門倉の夢』だけではない。
美作くるみにとっても、この仕事は『夢の続き』と言える。
だからこそ『成功』させたいと、強く心に思っていた。

(まずは……『彼女』から当たってみるべきかしら)

実の所、既に『目星』をつけている人材はいた。

「『最初の打ち合わせ』は出来ましたし、
 ひとまず今日は『解散』ですね」

         クイッ

出されたアイスコーヒーを飲みきる。
そして『門倉の連絡先』を入手し、
引き換えに『自分の連絡先』を渡した。
同時に、『メモ』の中身を覗き見る。

      ――――――パチッ★

今度は本当に『門倉だけ』に見えるように、
完璧な『ウインク』を返した。
『受け取り方』は門倉次第だが、
おそらくは『オーケー』と見ていいだろう。
美作も、『こうしたやり取り』は嫌いではないらしい。

951合歓垣 瑛『ブラス・コンストラクション』:2022/07/22(金) 19:51:57
>>949

「んー…。
 そーかなぁ、そーだったらいいなぁ…」

 合歓垣はいまだしっくり来ていない様子で軽く下を向く。
 出会えるのであれば何よりだが、見知ったスタンド使いでは『歌う』ことが得意な相手はいても『歌って踊る』ことができるかはわからないため、一からの捜索になりそうだ。

「『へんそー』のスタンド使える人がいたら、確かにお洋服の心配もいらないよねっ。
 だって見た目をごまかす?ことができるんだったらお洋服も自由だろうし!」
「あ、スマホスマホ…」

 合歓垣はそう言ってスマートフォンを弄り、門倉の連絡先を登録しようとしている。
 美作とのやりとりには全く気付いていないようだ。

>>950

「おねーさん、ありがとう!
 こまったりしたら、そーだんするねっ
 ……おねーさんからのそーだんも待ってるから!」

 小さな胸を張りながら嬉しそうにはにかむ。
 そして『耳打ち』にすこしばかり驚いたような表情をし、それもそうだと納得する。

「うん、あたしもおねーさんもかわいーし、きっとできちゃうと思う!
 そっかー…だれもいなくってもあたしがやればそれでいーんだ!」

 『ブラス・コンストラクション』であれば『歌って踊る』ではなく『演奏して踊る』なら充分可能だ。
 スタンド使い探しを完璧にこなさなければならないという重圧から逃れたようでその表情はやる気と晴れやかさに満ちている。

>all

「あ、そろそろあたし帰んなきゃ、またおこられちゃう!
 おじさん、おねーさん、またねー!」

 美作の『解散』ということで時間を思い出したように時計を見て、合歓垣は慌てて帰路につく。

952門倉『ソウル・ダンジョン』:2022/07/22(金) 22:51:17
>>950-951(美作&合歓垣)

『話』はひと段落する。『勧誘』は成功裏に終わった。

ここで、『門倉』は奇妙な感慨に浸っていた。
ここ一年ほど、『アリーナでのショー』に向け、下準備を行ってきた。
それは主に金策と『門倉』自身の『ショー適正』を高めるための鍛錬―――

『スタンド使い』の多いこの町では、正直、『人材確保』は
容易に出来るだろうとタカをくくり、後回しにしていのだが、
いざ始めてみるとなかなか上手くいかない………
率直に言えば、『焦って』いたのだが、今日ようやく、
二人の有望な人材が『協力』を申し出てくれた。

            「―――本当に、よかった」

楽し気に盛り上がる二人の話の文脈からやや外れた『門倉』の呟き。
これは、二人にあてたものではなく自分へのささやかな『労い』だ。

 ………

   「うんうん、それじゃあ、二人とも、頼んだよ」

二人を見送る『門倉』。
『美作くるみ』はもちろんのこと、『合歓垣瑛』も考えて行動できる人材だ。
こと、『アイドル』などという人材に関しては『門倉』が変に動くより、
二人に動いてもらった方が確実に『成功率』が高まるだろう。

それでもいよいよ誰も勧誘できなかったとなれば、
彼女たちが話すとおり、自分たちでやるしかない。

   つまり、『美作』と『合歓垣』と―――

              ………

          「―――『歌』と『踊り』の練習、やっておくかな」

 目指すアイドルは―――『三人』。

       『門倉』も、『覚悟』を決めなくてはならないだろう。

953三比『カルマ・レイン』:2022/07/23(土) 09:30:30
  コッ… カランカラン

 『缶ジュース』だろうか、『空き缶』を蹴飛ばしながら男性が歩いている。 

「俺がなにしたっつぅんだよ…ッと」

 大きく足を振り上げて『空き缶』を蹴り飛ばした。
 その先には…

954関 寿々芽『ペイデイ』:2022/07/23(土) 10:27:24
>>953

淡い緑色の薄手のワンピースのうえに、
枯れ草色のエプロンを着けて町を歩いていた。

         トソ

柔らかい靴に空き缶が当たり、
そっと止まって、それを見下ろした。

「……」

      キョロ

そして、緑と茶が混じった瞳で、
それが転がってきた方にいた男を見た。

「……あっ。あのう〜、ぜんぜん大丈夫ですよう」

口をついて出たのはそんな言葉だった。
糾弾する気はないが、無言もそうなる気がして、
だから『気を害していない』ということをただ伝えた。

955三比『カルマ・レイン』:2022/07/23(土) 10:49:36
>>954

「……あ…」

 慌てて男性が走ってくる、涼しげなブルーのシャツを着た関より年嵩とはいえ若い男性だ。
 男性にしてはやや長くウェーブのかかった黒髪をセンター分けにしている。

「ごめん、怪我しなかった?
 ちょっと苛立ってて…」

 そう言いながら先程まで蹴飛ばしていた『空き缶』を拾い上げると改めて関に頭を下げる。

「中は空だったけど、靴とか汚れてないかな。
 なにかお詫びとか…」

956関 寿々芽『ペイデイ』:2022/07/23(土) 11:22:19
>>955

「あぁ、いえいえ〜!
 私も……靴も全然大丈夫ですよう。
 それに仮に汚れちゃっても、
 すっごく安かったものですからねえ」

       フフフ

実際、靴はセール品だった。
それでも安い買い物でもないが、
汚れていない以上、気にする事もない。

「最近は暑かったり雨だったり、
 イヤ〜なお天気が続いて!
 ついついイライラしちゃいますよねえ〜っ。
 それとも……何か、嫌な事でもあったんですか〜?」

相談に乗ります、とまでは言わなかったのは、
無理に話してもらう事もないと思ったから。

それでも、ゴミを拾ったり謝ったり……
そんな態度がなんとなく放って置けない気はして、
お団子髪を風に揺らし、ゆっくりと首を傾げた。

957三比『カルマ・レイン』:2022/07/23(土) 11:47:42
>>956

「こんな可愛い靴なのに安かったのか。
 いい買い物だったんだ?」

 笑ってくれたことにほっとした様子で笑い返す。

「天気……うん、そうかなぁ。
 天気もだけど、『女心と』ってやつかな…。
 いや、天気が悪かったから『女心』も曇っちゃったのかなァ…」

 『女心と秋の空』、変化のしやすい秋の『空模様』に変わりやすい『女心』を喩えた言葉だ。
 どうやらこの男、失恋をしたらしい。

「悪いね、迷惑かけちゃった上にこんな愚痴なんて話しちゃって。
 俺、『三比(サンピ)』って言います」

 そう頭を掻きながら名乗る。

958関 寿々芽『ペイデイ』:2022/07/23(土) 12:01:45
>>957

「まぁっ、お上手なんですねぇ〜っ。
 ふふ、私も……お買い物だけは、
 ちょっとだけ『上手』な方でしてえ!」

       フフフ

褒められて悪い気は当然しない。

「『女心』…………あぁっ、そうなんですねぇ。
 私、恋愛は全然、からっきしで!
 ご相談に乗ったりは出来そうもないですけど……」

いつか『百目鬼』に話したように――
関はさほど嘘を厭わない方ではあるが、
これについては100%の真実だった。

「……ああ、いえいえっ。困った時はお互いさまです。
 愚痴って楽になるなら、お相手くらいしますよう。
 もちろん、話すのもイヤじゃなけれはですけど……
 あ、私は『関(せき)』って言います〜」

             ペコリ

「サンピさん、よろしくお願いしますねえ」

ともかく。愚痴を話したいなら、聞くのも良いだろう。
予定がないわけでもないが、急ぎもしない。困ってるなら助け合いだ。

959三比『カルマ・レイン』:2022/07/23(土) 12:49:16
>>958

「買い物上手な人は憧れちゃうなぁ。
 いや、俺よくいらないものまで買っちゃったりして怒られるんで」

 あははと笑いながら少しうつむく。
 できることできないこと、人それぞれだがどうやら三比は苦手らしい。

「『恋愛』も『女心』も難しい…」
「関さん…! ありがとうございます。
 『空き缶』の縁だし…『缶ジュース』一本分だけ愚痴を聞いてもらってもいいですか?」
「本当は喫茶店でも、とか思うんだけど…。
 なんかそんなことしたらナンパみたいだし、知らない人間と逃げにくいところに行くのって怖いだろうから」

 そう言って近くにある自販機とベンチに視線を向ける。
 どうやら奢ってくれるらしい。

「なにが飲みたいですか?」

960関 寿々芽『ペイデイ』:2022/07/23(土) 13:27:38
>>958

「私そんな、憧れるような人間じゃないですよう。
 ふふ、褒めていただけるのは嬉しいですけど〜。
 何もお返しなんて、出来ませんからねえ?」

愚痴を聞くことはお返しではない。
関が好きでやっていることなのだから。

「私には……『男心』が難しいですし、
 お互い様なのかもしれませんねえ」

脳裏に、『男』達の顔がよぎる。
あれから『彼ら』は、どうしているのだろうか?

「まあっ、そんな、悪いですよう〜っ。
 暑いですし、ご馳走になれるなら、
 遠慮せずにいただきますけど…………
 お気遣いしてくれて、ありがとうございます〜」

         「それじゃあ〜……ええとぉ、
          緑茶をお願いします」

三比に続くような形で自販機に向かう。
一瞬、『ペイデイ』ならもっと安く買えると思ったが、
初対面の相手の前で、しかも厚意に対してする事でもない。

「……サンピさんは何がお好きなんですか〜?」

本当に心底興味がある、というわけではないが、
頭によぎった考えを溜めておかないように、別の言葉を言った。

961三比『カルマ・レイン』:2022/07/23(土) 13:50:01
>>960

「お世辞なんかじゃないんだけどなー。
 っと、『緑茶』ね」

 チャリンッ ピッ ガコン
   チャリンッ ピッ ガコン

 そう言いながらペットボトルの『緑茶』と『コーラ』を買い、関に『緑茶』を手渡す。

「俺はこれ。好きなんだよね。
 ととっ…」

   プシュッ シュワァ

 自販機から落下した衝撃か、シェイクされていたらしい。
 蓋を開けた瞬間コーラが三比の手を濡らしたようだ。

「炭酸の醍醐味でもあり、困ったところでもあるね。
 んっ…」ゴクゴク

「『男心』は意外と単純だと思うよ。
 少なくとも俺の彼女…いや、元カノよりかはさ。
 彼女、俺より一つ年上なんだけど突然『お酒も飲めないような人と付き合ってらんない』って行ってきてさー。
 ……あ、関さんもたぶん未成年…だよね?」

 ベンチに座り込みながらそんな愚痴をこぼす。
 『も』ということは彼も未成年なのだろう。

962関 寿々芽『ペイデイ』:2022/07/23(土) 14:03:45
>>561

「緑茶、ありがとうございます〜。
 ふふ……お気持ちも大事〜に受け取りますねえ。
 あ、コーラ! たまに飲みますよう、私も。
 甘くってシュワシュワで、美味しいですよねえ……」

   プシュッ シュワァ

        「……あっ!」

「……ふふふっ! 醍醐味ですけど〜。
 そのままじゃ手がベトベトしちゃいますから。
 困った時は、ですよう」

       スッ

吹きこぼれたコーラを見て、
エプロンからハンカチを三比に渡す。
柄などはない、地味なものだった。

「……なるほど〜。たしかに、それは難しいですねえ。
 歳のことは分かってたはずなのに、
 いきなりそんなふうに言い出すだなんて〜」

ベンチに腰掛けながら、話にゆっくりと相槌を打ち、
大体話し終えたあたりで、そのようにつけ加えて。

「はぁい。私も『未成年』……今年で17です〜。
 サンピさんは……ええと、19歳!ですか〜?」

       キュ…

「その元カノさんがお酒の話をしてる、ってことは」

緑茶の堅い蓋を回そうとしながら、問い掛ける。

963三比『カルマ・レイン』:2022/07/23(土) 14:24:28
>>962

「わ、なにからなにまでありがとう。
 借りができちゃったなぁ」

 そう言いながら手を拭く。
 汚してしまったハンカチをじっと見て、あとで連絡先を聞かなければと考えているようだ。

「そう、そうなんだよ。
 最初から年齢もわかってて付き合ってるはずなのに急にそんなこと言われても年齢なんてどうしようもないだろ?」
「勉強ができないとか見た目が悪いとかだったらやれることはあるけどさ」

 そうぼやいてから関の年齢にすこし驚いたように目を見張る。

「関さん、しっかりしてる感じするし18くらいか俺と同じくらいかと思ってた。
 服の色が落ち着いてるからかもしれないなぁ」
「あったり。俺、19なんだ。
 もうちょっとで飲めるのになぁ」

 三比は手を伸ばして固いらしい関のペットボトルの蓋を開ける。

「はい、結構固いこと多くて困るよな」

 おそらく彼女にもよくそうやって開けていたのだろう、手慣れている。

964関 寿々芽『ペイデイ』:2022/07/23(土) 16:53:26
>>963

「いいんですよう、これくらい。
 お互い様、お互い様です〜」

おっとりとした笑みを浮かべて、頷いた。

「……それ、大人っぽく見えるって意味ですよねえ。
 ふふ、たまに言われちゃうんですけど、
 多分……そう、派手な服が苦手だからでしょうねえ」

     「褒められるのは嬉しいですけど、
      しっかりなんてそんなに……ですし」

関は……エプロンもワンピースも、
決して目立つような色ではないし、
季節に見合っているとも言い難い。
いつも、似た格好をしている。

「それは、そうですよねえ。
 ずっと分かってた事を急に言い出すなんて、
 なんだか……とっても、ずるい感じがしますねえ〜。
 それに、あと一年待てば……………………」

    「あっ」

蓋に伸びた手に、視線を落とし。

      「……あ。あぁ〜!
       ありがとうございます!
       本当に、すごく固くって」

          ペコ…

「サンピさん、力、強いんですねえ〜。
 ふふ、せっかくの貸し。早速返されちゃいましたあ」

三比の善意。それは想定の外からだったのだ。
開けてもらった緑の蓋を、受け取ろうと手を伸ばした。

「…………あっ、それと、ハンカチ!
 もう使わないんでしたら。
 ずっと持ってたら、またベタベタしちゃいますよう」

            スッ

「私でしたら、小さい袋とか持ってますので〜」

          それから……『ハンカチも』。

関からすれば、汚したハンカチを自分が回収するのは、
さまざまな意味合いで『自然』だった。

965三比『カルマ・レイン』:2022/07/23(土) 17:24:57
>>964

「ああ、わかる。わかるなぁ。
 『派手な服』って着るの度胸いるし、なんだか浮いて見える気がするよね。
 いや、こんな明るい色着てる俺が言うのもあれだけどさ」
「意外と堂々としてたらみんな気にしないでいてくれるし、
 しばらく見てたら自分も慣れてくるもんだし」

 そう言いながら自身のブルーのシャツを引っ張ってみせる。
 至って普通であるし、おそらく関には違和感などないだろう。
 しかし三比はそれを派手だと認識しているようで、やっと馴染んできたとばかりだ。
 もしかしたら元彼女の趣味だったのかもしれない。

「まあ、たぶん一年が待てなかったんだろうな。
 なにか理由でもあったんだろうと思う。
 それで悲しくて苛立ってあんなことしてたんだ」

 そう言ってコーラを一気飲みする。
 喉仏が上下する姿がしっかりと見て取れるあたり、脂肪は薄いのだろう。

「……っあー! ……ふぅ」
「ペットボトルの蓋くらいなら、ね。
 少なくとも関さんよりかは力があると思うから」

 そう言いながら腕を曲げて小さな力こぶを見せている。
 とはいえ、『隆々』と表現するには小さく学生相応のもののようだ。

「この『ハンカチ』、洗って返しちゃいけないかな?
 もちろんまた会うことになるから迷惑なら大丈夫だし、
 会うのに連絡先交換することになっちゃうから嫌なら全然気にしないで断っていいから。
 汚したものをそのまま返すのは悪いだろ?」

 そう言って『スマートフォン』を取り出す。
 『スマートフォンの連絡先』と『関のハンカチ』、どちらを受け取るかは関の判断次第ということだろう。

966関 寿々芽『ペイデイ』:2022/07/23(土) 18:56:18
>>965

「サンピさんには、よく似合ってますよう。
 その青い服……
 私も、たまには明るい服にしても良いんですけど、
 お洋服……あんまり、持ってないんですよねえ〜」

いつも似たような格好をしている。
お洒落に割けるものごとが、多くないから。

「ううん、わかりませんねえ、『女心』〜」

動く喉仏から視線を土に落とし、頷く。
本当は、そうなのだろう。
つまり『なにか理由』があって、
それを三比に言いたくなかったのだろう。

   「……でも! サンピさんならきっと、
    また良い人、見つかりますよう。
    とっても優しいですし、力も強いですし〜」

だが、関はあえてそれを口にはしない。
なあなあにしておく方が良いことは、ある。

   「私なんて、ふふ。  
    プニプニですもんねえ、腕」

服の上から自分の腕に指を添える。
この言い方も、その一環だった。
やわらかいが、『非力ではない』。

「ああっ、そんな、悪いですよう。
 そのハンカチだって安物なんですけど……
 ……………………………でも、そうですねえ。
 お言葉に甘えていいなら、ハンカチ。預けます」

       ス

「忘れちゃったら、そのまま貰っちゃっても大丈夫ですので〜」

スマートフォンを差し出して、連絡先交換を受ける。
厚意には応えたいし、三比は悪い人間には思えなかったからだ。

967三比『カルマ・レイン』:2022/07/23(土) 19:13:08
>>966

「ありがとう。関さんは優しいね。
 いろんな服似合いそうだし、俺がお金持ちで関さんの彼氏だったら買ってあげてたかもなー」
「しばらくは彼女作る気もないけどさ。
 本当にありがとう」

 三比はファッションセンスに自信があるわけでもない。
 だが、この親切で優しい子が彼女であれば自分はバイトを増やしてでもそうしていただろうとそう思ったようだ。
 おそらくは尽くすタイプなのだろう。

「女性は筋肉がつきにくいらしいよね。
 でもしっかりして『振袖』もなさそうで…っと、女性にこういう話題はダメだね」

 小さく頭を振ってごめんとつぶやく。
 『振袖』とは二の腕につく脂肪が垂れて振袖のように見えると揶揄する言葉だ。
 褒め言葉だろうとよろしくないと思い直したらしい。

「安物だろうと汚しちゃったのは俺だから。
 じゃあ、洗って返すね」
「迷惑かけたのに愚痴まで聞いてくれてありがとう、またね」

 そして連絡先を受け取ると開いた『コーラ』のペットボトルをゴミ箱に捨て立ち去ろうとする。

968関 寿々芽『ペイデイ』:2022/07/24(日) 14:57:59
>>967

「ふふふ! 照れちゃいますよう、もう!」

照れはするが、真に受ける事はない。
三比は良い人なのだろうとわかっているからだ。

「ああいえいえ〜、気にしないでください。
 こっちが言い出したことですしい、
 悪い意味じゃないってわかりますので!」

視線を、投げられたコーラのボトルに追わせて、
それからもう一度、三比を見て、頷いた。

「はあい、いつでもいいので、
 またいつか返して下さあい。
 それじゃあ……また!
 次に会うときは、元気な所を見られると嬉しいです〜」

           ヒラヒラ

そしてベンチから立ち上がり、その背に手を振って見送った。

969村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2022/09/02(金) 21:10:54
あの夏は終わった。そしてまた、別の夏が終わる。
終わったものは戻りはしない。季節は繰り返すけれども、決して同じではない。
ゆく川の流れは絶えずして、と詠ったのは誰だったろうか?

ガヤ ガヤガヤ

平日の昼であってもここは騒がしい。
ベンチに深く腰掛けて、深く息をつく。

 「『金欠』だ。」

騒ぎに使った『150万』は補填され、クリスマス用品を横流して得た『75万』はそっくり手元に残り・・・
謝礼としていくらかの金銭を得たが、所持金を全額合わせたとて、やはり『300万』には少々足りない。

 「やっぱり『食費』からか?
 『その気になりゃあ喰える』ってものはいくらでも手に入るわけだからな。
 もっとも、『その気』になりたいかどうかはかなりアヤしいが。」

それなりに困窮した学生の『独り言』が、雑踏に消えていく。

970城戸奏多『ハイフン・ハイフン』:2022/09/03(土) 05:30:47
>>969

   ギコッ

清月学園の(改造)制服を着た男子が歩いてきて、
(猫背/痩せぎす/ギョロ目/腰まである長髪/ギョロ目)
村田の座る二人がけのベンチの片方が空いてるのを見つけると、その空席を指差して無遠慮に座り込んだ。


    ペラッ ペラッ

そして、無言のまま手に持っていた下世話な週刊誌を開き読み始めた。

971村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2022/09/04(日) 10:06:47
>>970

「んん…」

顎を撫でながら、険しい顔でいくばくか思慮する。
肉は手に入るだろうが、それも『猟期』に入らなければ大手を振って出来たことではない。
寮の中庭に菜園を作るにしても、やはりすぐにとはいかない。となるとやはりすぐに手に入るのは…

 「おうアンタ。『海』と『山』、『どっちが好き』だね?」

険しい顔つきのまま、隣に座った学生へ不意に話しかける。

972城戸奏多『ハイフン・ハイフン』:2022/09/04(日) 10:16:10
>>971


ペラッ ペラッ…

学生服を着た男は、だらしなく鼻の下を伸ばしながら
週刊誌の巻頭グラビア特集を眺めている。
そして、村田に話しかけられると雑誌を膝上に置きそちらに向き直る。

顎に指を添え、空を見上げ考え込む仕草。
数秒ほどの間を置き。


          スゥィーーーッ


右手をすーっと波のようにうねらせながら切った。

973村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2022/09/04(日) 11:22:39
>>972

 「ああ?」

意図は伝わるが、期待した『言葉』が返ってこないことついて露骨に不快な顔をする。
とはいえ、目の前の男が『喋らない』のか『喋れない』のか『喋る気がない』のか判別がつかないのも事実だった。
どのみち不便であることに変わりはなさそうだが。

 「―――『海』ねえ。」

星見町の海は豊かだ。村田の故郷の三陸にも引けをとらない。
おそらく未利用にとどまっているがために漁業権のない魚介も多分にいるはず。
『猟期』に入るまでの数か月の間、腹を満たすことはできそうだ。

 「とすれば、『何を獲るか』だな。
 獲る手間がなくて、たくさん取れて、かつ美味いヤツがいい」

974城戸奏多『ハイフン・ハイフン』:2022/09/04(日) 14:24:47
>>973

      パタムッ


掌を合わせて小指側は揃えたまま、
親指側から開蝶番の様に開くジェスチャー。
貝類の殻が開く様を表している様子。
次に両手の中指と人差し指をたて『チョキ』を作る、
このジェスチャーは明らかに『カニ』だ。


スッ コンッ スッ 『コンッ』


手で作った貝を口元に運び、舌を鳴らす。
手で作ったカニを口元に運び、舌を鳴らす。
そして、腕で口元のよだれを拭うジェスチャー。、

975村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2022/09/04(日) 18:39:25
>>974

 「『蟹』に『貝』か。しかし『漁業権』がな。」

アサリやらハマグリ、アワビといった一般的な貝類は漁業権で守られているのだ。
カニに関しては取るのが大変だ。これも漁業権の問題で、使える道具が決まっているからだ。
場所にもよるが、罠を使って獲るのは違法行為に当たる。

 カチ カチカチ

 「『そうでないもの』もあるにはあるが」

パッ

 「たとえばアンタ、こいつ『食いたい』か?」

スマホを操作して、画像を見せる。
『カメノテ』と『フジツボ』だ。どちらも『動物界節足動物門』に属し、『エビの仲間』に当たる。
これらは漁業権の対象外で、いくらとって食おうが問題ない。問題ないが・・・

 「お世辞にも『美味そう』には―――」

思いっきり渋い顔をする。誰がどう見ても美味そうには見えないだろう。
岩にへばりついたクリーチャーにしか見えず、まだドブの『ザリガニ』の方が食欲がわく見た目だ。

 「それこそ、『カメ』やら『ザリガニ』でも捕まえて食ったほうがマシなのか?」

渋い顔は止まらない。
苦境にあるとはいえ、生活水準を下げたくないというのは欲張りな話なの重々承知。
そもそもすべてを失っただろう『あいつ』の苦労を考えれば、ずいぶんマシな苦境といえる。

976城戸奏多『ハイフン・ハイフン』:2022/09/04(日) 20:57:03
>>975

 スイーッ スイーッ


村田のスマホ画面を人差し指でタップし、
カメノテの画像を開き、検索窓に『イケる』と入力。
星見町は海の街でもある。
カメノテは決して日常的に食卓に上がるものではないが、
ごく稀に塩茹でやら味噌汁やらで出されたりするし、
味も決して悪くはない。


『清明学園』の噂の一つに、
中等部で入学してから一度たりとも声を発した事のない
2年生の『演劇部』の男子が存在する、と言ったものがある。
(村田がこの噂を知っているかは定かではないが)、
間違いなく目の前の男のことだろう。

977城戸奏多『ハイフン・ハイフン』:2022/09/04(日) 20:59:40
>>976
『清明学園』→『清月学園』

978村田瑛壱『ディズィー・スティック』:2022/09/13(火) 02:35:36
>>976

 「―――――」

にわかには信じがたいと言った顔でそちらを見る。
海産物の消費傾向には地域差があり、少なくとも村田の故郷では食卓に上がったことのないものだった。
今の村田にとって『カメノテ』やら『フジツボ』のあつかいは、『イナゴ』や『ザザムシ』のそれだ。
『食えるとは聞くが、可能であれば食いたくない見た目』のものだった。

そして目の前の男にまつわる噂についても、村田は知らなかった。
編入直後に病院送りとなった村田にそうした噂を吹き込むようなつきあいのあるものは数えるほどで、
しかもそのうち一人をこの世から消してしまったところだ。

 「とはいえ、気は進まねえが覚えておこう。
 飢えて死ぬよりはマシだろうからな。」

 ググ  グィ

ベンチから立ち上がって、軽く伸びをする。
心の底から気は進まないが背に腹は代えられない。

 「人前で『それ』はやめたほうがいいぜ」

 「かっこつけてんのか何なのかは知らないが、鼻の下が伸びてちゃ台無しだからな。
 あんた思ったより『喋ってる』ぜ。『顔』がな。」

男の膝上に置かれた『週刊誌』を指さしてそう言い捨てると、ゆっくりと雑踏の中へ消えていく。

979カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/09/30(金) 22:21:28
灰色の髪にロイド眼鏡を掛けた女が、
ベンチに座り込み黙々と手にした原稿用紙を捲っている。
そのうちの一枚が地面へと落ち、風で飛ばされようとしているのにも気づかない様子だ。

980石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2022/10/01(土) 00:28:30
>>979

 どひゅー ぴゅいーん

原稿用紙は風で飛んでいった。

「おっと」
そこへ逆毛の少年が通りかかって…

 ぴょいん (ジャンプの擬音
 ふよふよふよふよ (妙に長い滞空時間の擬音
 ぱしっ (キャッチの擬音
 ふよふよふよふよ (妙に長い滞空時間の擬音
 すとん (着地の擬音

少年は飛んだ原稿用紙を手に取った。

「コレ、アンタの原稿か? 飛んでたぞ」
少年はカリヤに原稿用紙を手渡そうと声をかける。

981カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/01(土) 01:06:16
>>980
「んん? ……何か?
誰だい。きみぃ……」

声を掛けられて気怠げな様子で頭を上げる。
石動を頭から爪先までじろじろと眺めた後、原稿の存在に気づいて受け取った。

「あぁ……それは確かに私のだねぇ……。
助かったよ。失くすと、少し困ったところだった。ナイスキャッチってね」

脇に置いた原稿と合わせて鞄の中へと戻して、
ベンチに座ったまま続けて喋りかける。

「君は、なんて名前だい」

982石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2022/10/01(土) 11:35:32
>>981
「そうか。なら良かった」
少年はカリヤに原稿用紙を手渡し安堵した。

カリヤが、少年の頭から爪先まで見渡した限り少年の姿は…
 ・清月学園の制服を着ている男子学生のようだ
 ・頭がシャチのヒレのように逆立っている
 ・身長はそこそこ(172cm)だが逆立った頭のせいで妙に縦に長い
 ・何かスポーツをやっているのか脂肪の少ない締まった体付き
といった雰囲気だ。

「俺が誰で、俺の名前を知りたい、だって?」

「俺は『オルカ』だよ。
漢字で『織る夏』って書くんだが、
なんの因果か『シャチの学名』と『同じ読み』。
何の変哲もないすぐそこの清月学園のただのいち学生さ」

少々ぶっきらぼうな話し方だが、どうも少年は『そういうヤツ』なようだ。
(名前だけ名乗って、名字までは名乗らないあたり、少しカリヤを警戒してるのかもしれない)

「それで、俺に名乗らせたアンタは誰で、なんて名前なんだい。
『Ms.(ミズ) ペイパーバック・ライター(ビートルズの楽曲)』かい?
それとも『全日本 原稿用紙をどれだけ高く遠くまで飛ばせるかコンテスト の出場選手』かい?」

ジョークを交えてカリヤに聞き返してきた。

983カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/01(土) 17:33:58
>>982
「なるほど、オルカ君かぁ。
……あははぁ、楽しい自己紹介だねぇ。
ストーリィのはじまりは、自己紹介がつきものだからね。
華美なものじゃなくても良いんだ」

意味不明な事を呟き、一人で納得するように頷く。

「私はカリヤという。
私の身分を保証するものは何もないけれど……そうだ。
君の制服、清月学園なら私も通ってたよ。なら、先輩だねぇ、先輩」

石動の当然の疑問を受けて簡潔に名乗り返す。
少し考えた後、石動の制服に触れて軽くひっぱり薄い笑みを浮かべて答えた。

「ぺいぱー……何だって? 
……知らないよ、すまないね。
私は読み専だからかな、あんまりユーモアのセンスはないんだよねぇ。
そこにいくと、君はお話が上手そうで良いね。
なにか楽しい『話』を知らないかな。
勿論悲しい奴でも良いけれど……
ほら、何かあるよねぇ。
君の事でも、この街の事でも……何でも良いんだけどなぁ」

不可解な要求を口にしつつ、ベンチの脇に少し移動して席を空ける。
当然のように、話し込むつもりらしい。

984石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2022/10/01(土) 21:21:23
>>983
「つまり清月学園のOBというわけだな。カリヤ先輩、チーッス」
少年はベンチのとなりに座った。

「『楽しかったり悲しかったりする話』? 知らないこともないが…」

「ン? 読み専?
…おかしいな、読み専なのになんで原稿用紙を持っていたんだ?
フツー、原稿用紙は『書く側』・『作家』が持つものだろ?
『読み専』は『読者』で『製本された本を読むもの』。

…俺はそういうふうに理解してるんだが、カリヤさんは『そういう常識の例外』だったりするのかい?」

質問を返してきた。

985カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/01(土) 22:14:13
>>984
「あはぁ、後輩が出来ちゃったよ。ノリがいいなぁ。
ほら話してよ……君の話。早く早く」

石動の背を軽く叩いて話を促す。

「んー、目の付け所が良いなぁ。名探偵みたいだ。
でも、私が編集者とか、そーいう可能性もあるよね」

疑問の内容に目を細めて、原稿用紙を軽く揺らす。
そのまま、ぱらぱらと数ページ捲っていく。

「ただまあ……確かにこれは私が作った文章だよ。
でも、私が書いたわけじゃあない。切り貼りして作ったんだ。
だから、私は作家じゃあない……私の中ではね。わかるかな?」

986石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2022/10/01(土) 22:40:19
>>985
「ということはアレか、『伝承作家』みたいなもんか。
各地の伝承・昔話・口伝・言い伝え・妖怪・都市伝説なんかを自分の表現でまとめるタイプの作家、
有名どころだと、柳田國男、小泉八雲、水木しげるみたいな人たちだな。
それはそれで『作家』だと思うぜ。
そういう作家が居なきゃあ『残されずに消えていくだけの話』もあるから『立派な仕事』だと思うぜ」

りっぱなおしごと!

「で、俺から提供できそうな『話』となると、そうだな…」

「昔々その昔、大雨が降った明くる日、ある少年と少女が川辺を歩いていると…」
なんやら話し始めた。

「大雨が流れ込んでごうごうと流れる川の川上から一匹の子犬が流されてきました…」

ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1600335547/151-174
この話をプライバシーに配慮しつつ、面白おかしく改変しながら話さんとするなり。

987カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/01(土) 23:09:35
>>986
「うーん、そんな良いものじゃあないよ。
私は色々な物語を知ってるから……
どういうのが『売れる話』なのか、なんとなくわかる。
そうやって作った話はお金になる。
そういう仕事なんだ。社会人だからね」

溜息をついて自嘲的に答えた。

「何々、昔話かい?
私……犬猫とか、子供が死ぬ話は少し嫌いなんだよねぇ。
大人が死ぬ話は大丈夫なんだけれど……。
ふんふん、それで?」

石動の語り出した話を興味深そうに聞きはじめる。
『スタンド能力』の部分がどのように改変され語られるかによって、
カリヤの注目度合いも変わってきそうだ。

988石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2022/10/01(土) 23:53:29
>>987
>『スタンド能力』の部分がどのように改変され語られるかによって、カリヤの注目度合いも変わってきそうだ。

「大水の中、みるみる流されていく子犬を見て2人はびっくり」

「少女が『まぁ助けないと』と言うと、その手から木がニョキニョキと生えてきました」

『ジャックと豆の木』みたいに!

「少年が『バカな飼い主に当たったな』と言うと、その足はひらりと空を駆けました」

『孫悟空の金斗雲』みたいに!

「そして、少女の木が子犬を受け止めると、すかさず少年の手が子犬を拾い上げました」

「……みたいな『荒唐無稽な話』だが、続けるか?」

「およそこれで半分くらいだ」

どうやら『あと1レスくらいの長さの話』のようだ。

989カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/02(日) 16:16:21
>>988
「……ねえ、それってなにかの『暗喩』かい?
意味が分からないし……あんまりおもしろくないよ。
話に整合性がないよねぇ。『超能力バトル系』の話にしてもさ」

話に割って入り、不満そうに感想を漏らす。

「そうでなかったら、『本当の話』?
事実を語っているなら、『整合性』がないのにも、一応の納得はあるよねぇ……」

990石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2022/10/02(日) 17:05:20
>>989
「やはりそうか」
カリヤさんの反応にオルカくんも【やっぱりな】という顔で頷いています。

「俺も話していて『荒唐無稽』と思ったのでその反応は当然と思う」

「では、この話はここで止めておこうか」
話を打ち切ってしまいました!

「なかなか難しいもんだな…。

なんというか『昔話の鬼』を初めて知る子供に、
『ソレは頭に二本の角・モジャモジャの髪・赤い肌・鋭い目・鋭い爪牙・大柄・筋骨隆々・虎のパンツを履く以外は全裸・金棒を持つ・凶暴な性格と言った特徴を持つ、ヒト型の怪物(諸説ある)』
と説明することの『難しさ』みたいなモノを俺は今味わっているよ…」

難しいですね…。

991カリヤ『タイプライター・トーメント』:2022/10/02(日) 17:36:19
>>990
「なあんだ、作り話か……才能ないよぉ、オルカ君。
君は『小説家』は無理だねぇ」

自分から無茶振りをした事を棚に上げて、
なぜか辛辣な評価で話を切り、首を振って立ち上がる。

「ふうん……ま、いいや。
またなにか、面白い話があったら教えてよ。
そいじゃあね〜」

肩越しにひらひらと手を振って、会話のはじまりと同じく唐突に立ち去った。

992石動 織夏『パイオニアーズ・オーバーC』:2022/10/02(日) 23:11:42
>>991
「やはりか。俺は噺屋にはなれんよーだ。
どうも俺にできることは泳ぐことくらいみてーだな。
水の中はいい、無心になれるから」

「んじゃ!おつかれさまっす、カリヤ先輩!『本』出せるといいっすね!」

手を振ってカリヤを見送る。
水のようにキャラが冷たかったり熱かったりしながらオルカ少年もその場を去っていくのだった。


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