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【場】『 湖畔 ―自然公園― 』

1『星見町案内板』:2016/01/25(月) 00:04:30
『星見駅』からバスで一時間、『H湖』の周囲に広がるレジャーゾーン。
海浜公園やサイクリングロード、ゴルフ場からバーベキューまで様々。
豊富な湿地帯や森林区域など、人の手の届かぬ自然を満喫出来る。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
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★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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656美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/03/17(日) 22:18:48
>>655

「自信に裏打ちされている貴女は輝いてる」

「貴女には、これからも輝いていて欲しいわ」

「――私の分までね」

私は輝きを失った過去の星。
かつての栄光を夢見る事も、時にはある。
だけど、少しでも誰かの支えになれるのなら――今の私も、そんなに悪いものじゃないわよね。

「そうね」

「いつかゲストに来て貰えたら嬉しいな」

「――なんてね」

クスッ

「ええ、私も頑張るわ」

明るい微笑を浮かべながら、彼女の前に片手を差し出す。
この出会いの締め括りとして、最後に握手を交わしたかった。
これは、いつの日か共通の場所で再会したいという気持ちの表れでもあった。

「――いつか何処かで、またお会いしましょう」

657高宮『リプレイサブル・パーツ』:2019/03/18(月) 01:13:07
>>656

「……私の分までなんて、言わないで下さい……」

「今でも美作さんは輝いてますから……」

場所こそ変われど、輝く星に変わりわない。
嘘偽りのない言葉で返す。

「ゲストになった時はよろしくお願いします。ぼくはもっといいアイドルになりますから」

「またどこかで」

優しく、しかし確かに手を握った。

658美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2019/03/18(月) 19:33:21
>>657

真摯な言葉を受け取って、静かに息を呑んだ。
私は輝きを失ったんじゃなく、以前とは異なる種類の輝きを纏っている。
その意味を噛み締めて、緩やかに口元を綻ばせた。

「アハハ、そうね」

「――ありがとう」

言われてみれば、その通りだった。
忘れていた訳じゃない。
ただ、改めて再認識させて貰えたのは確かだ。

「私も、その時までに腕を上げておくわ」

「『See You Again』」

似通った点を持つ二人の間で、穏やかに握手が交わされる。
それぞれの場所で輝く二つの星の交わり。
夜空に瞬く星々が、その光景を優しく見守っていた。

659三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2019/03/22(金) 21:36:21

   ザック ザック
             ザック ザック

そろそろ辺りが暗くなり始めた時間のことでした。
林の奥から規則的な音が聞こえます。
地面を掘っている音のようです。

   ザック ザック
             ザック ザック

近付いたら、地面に穴が開いているのが見えると思います。
かなり大きな穴です。
人一人は十分に入れるくらいでしょうか。

   ザック ザック
             ザック ザック

穴を掘っているのは、『シャベル』を持った『墓堀人』です。
目深に被ったフードの奥で二つの目が光っています。
近くには人の姿はありません。

    ピタリ

         《――――…………》

ふと、『墓堀人』が動きを止めました。
何かの気配を感じたような気がしたからです。
でも、もしかすると気のせいかもしれません。

660三枝千草『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』:2019/03/25(月) 20:45:44

        ザクッ
              ――――フッ

穴から出てきた『墓堀人』が、穴の手前の地面にシャベルを突き立てました。
次の瞬間には、穴は消えてなくなっていました。
それを確かめた『墓堀人』は、シャベルを肩に担いで歩き去っていきました。

661夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/04/07(日) 00:25:48

「――――『パーティーかいじょう』はココだな…………」

          ザッ

ピクニックの用意をして、自然公園にやって来た。
『春の一大イベント』である『花見』に興じるためだ!!
しかし――――。

「ヒトがおおい!!おおすぎるぞ!!」

桜は『満開』で、天気は『快晴』だ。
おまけに今日は『週末』と来ている。
桜の花が咲き誇るこの場所に、人が集まらないワケがなかった。

「サクラくらいであつまってくるなんて、みんなケッコーヒマなんだな〜〜〜」

      キョロ
           キョロ

自分のことを棚に上げて、周囲を見渡す。
空いている場所を探しているのだが、大抵の場所は埋まっていた。
特に、『桜の真下』は人が多い。

「マズいな……。『ベストスポット』は、スデにヤツらのテに……!!
 ムッ!?アレは……!!むこうのほうにスペースがあいているぞ!!
 いそがねば!!ヤツらにおさえられるマエに、『あのポイント』をカクホする!!」

        ダダダダダッ

巧みな動きで人々の合間を縫って、全力ダッシュで駆け抜けていく。
速やかに目的地に到着し、背中に背負っていたリュックを下ろす。
『ウサギ』の形のアニマルリュックだ。

         バサァッ

「――――『カクホ』!!」

リュックからレジャーシートを出して広げ、素早く地面に敷く。
その上に腰を下ろして、ランチとして準備してきたサンドイッチを取り出した。
なお他の場所は大体埋まっているが、この辺りはまだ多少の空きがあるようだ。

662夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2019/04/14(日) 16:33:45
>>661

「ソレにしても――――」

リュックを枕代わりに、レジャーシートに寝転がる。
頭の上には、溢れそうな程に咲き乱れる桜の花。
サングラス越に、その光景に見入る。
その時、やや強めの風が吹き抜けていった。
枝が揺れて花びらが散り、薄桃色の花吹雪となって舞い落ちる。

「――――キレイだな」

こんなキレイなモノを見られなかったなんて、ジンセー損してたな。
だからこそ、これから今までの分を取り戻さなきゃ。
ジンセーは短いんだ。
その間に、たくさんのモノを見ないといけない。
セカイには、もっとスゴいモノやキレイなモノやフシギなモノがいっぱいあるハズ。
それをゼンブ見てみたい。
『セカイのゼンブ』を見るのが、わたしのユメだから。

「おん??」

気付けば、ケッコー時間が経っていたようだ。
ぼちぼち日が傾きだして、ヒトも徐々に少なくなっている。
起き上がり、片付けを済ませてから、近くに立つ桜の樹を見上げる。

「――――んじゃッ!!」

桜の樹に向かい合い、片手を上げて別れの挨拶を送る。
そして、軽快な足取りで歩き出す。
こうして『アリス』は、次の冒険に向かうのだ。

663今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/06/13(木) 00:45:58

        ザ ァァァ ァ ァ ァ  ァ …… 

「うわ〜っ」

暑いから油断してたけど、梅雨なんだった。
傘は、ちゃんと持ってきておくべきだったな。

「先生、傘になりそうなもの作れたりしないんですか?」
「こう、テープで布を貼り付けたりして・・・」

      『先生ハ ソウイウ〝能力〟デハ ナイデスヨ』

「わかってますけど〜」「ああ」
「木の下で雨宿りって漫画とかで見ますけど、やっぱり濡れちゃいますねえ」

「・・・早く止まないかなあ」

このあたりで雨宿りができるのは、ここしかないから、出るにも出られないんだよね。

664小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2019/06/13(木) 01:31:46
>>663

そいつは傘をさしていなかった。
黒い髪も、服も、全てが雨ざらしになっていた。
それでも走ることは無く、焦った雰囲気もなく、小鍛治明は歩いていた。
ゆっくりと、晴れと変わら無いテンポで歩いていた。

「……」

同じ木の下に入ってきた。
ぼんやりと髪を手ですく。

「いい雨ね」

そうとだけ呟いた。

665今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/06/13(木) 20:41:32
>>664

「え?」「あ、はいっ、そうですねえ」
「『梅雨』っぽい感じの雨ですねっ」

         ザ ァ ァ ・・・

湿っぽい雨で、あんまりよくはないけど。
この人は……雨が好きなのかな?

「いきなり降ってきたし」
「すごい勢いで降ってるし」

「……」
「あのーっ、びしょ濡れですけどっ」
「タオルとか、使います?」

濡れてるの気にならないのかな。雨が好きだから?

666小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2019/06/13(木) 22:08:35
>>665

「いいわ、別に」

タオルはいらないらしい。
彼女が髪をかきあげると額に髪が張り付いていた。
濡れているものの、雨ざらしの子犬のような風情はなかった。
シャワーでも浴びたあとのようだ。
黒い彼女の髪が艶やかなひとつの塊になっていた。

「雨宿り?」

667今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/06/13(木) 22:41:55
>>666

「あ、そうですか……冷たくないんです?」
「まー拭いてもキリないといえば、ないですけど」

この人は、雨に濡れてもいい人なのかも。
私にはわからないけど、そういう自信がありそうだ。

そういえば、先生は引っ込んでいた。
人が来たからかもしれない。

「そうですね、傘忘れちゃいまして」
「屋根があるところも、ないですし」        
「予報も、たしか晴れでしたし」 

「えーと」
「あなたも雨宿りですかっ?」

そうじゃなきゃここには来ないとは思うけど。
もしかして、私に用事とかだったらってこともある。確認はしておく。

668小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2019/06/13(木) 22:52:09
>>667

「別にそういうのは気にしないわ」

ぱてぱたと雫が服から滑り落ちた。
彼女の肌は元から白いらしく、血色の程はわからないらしい。

「雨宿りよ。人と待ち合わせたのだけれど」

「この天気だと厳しそうね」

669今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/06/14(金) 00:09:57
>>668

「待ち合わせですか〜っ」
「災難ですねえ・・・」

     ザ ァァァ ァ ァ ・ ・ ・

雨は、とてもじゃないけど止みそうにもない。
私はもう用事とか終わってて、まだマシだったのかも。

「これ……止みそうにないですもんねえ」

「ちなみに」
「どこに行く予定だったんです?」

670小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2019/06/14(金) 01:11:37
>>669

「どこに行く……そうねぇ」

「山、かしら?」

ぼうっと遠くに視線を投げてそんなことを言った。
確かにそちらには山がある。
だが車で行った方がいいような遠い所だ。

「彼が来て欲しいって言ったのだけれど」

「この天気だとそんなに早くは来れないかもね」

671今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/06/14(金) 02:00:34
>>670

「山……」「えーと」

「この辺で山ってありましたっけ」
「……あっちの方だったかな?」

この人が見てる方を見たら、あった。
でも、あんなところにある山行くのに、なんでここいるんだろ?

まあフツーに家がこの辺だから、とかなのかな。

「ここ、自然公園から車で行くんです?」
「って言っても、止んでしばらくしないと山は危ないですか」

672小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2019/06/14(金) 02:38:03
>>671

「車というか、なんというか」

一瞬視線を外す。
答えにちょうどいい言葉を頭の中で探す。
が、結局途中で諦めてしまった。

「そうね、山道がぬかるんでると崩れる可能性もあるし、良くはないわね」

「……私の話ばかりしても良くないわね」

「あなたは何かをする途中? それとも、し終わったのかしら?」

673今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/06/14(金) 03:00:30
>>672(小鍛治)

「えーっと? バスとか?」
「まあいっか」

「え、私ですか? 大した用ではないですけども」
「友達とちょっと買い物してきた帰りでして〜」

カバンをちょっとだけ開けて、見せる。
買ったのはアクセサリーとか。

別に見せていいものしかないから、いいよね。

「だから、し終わった方ですねっ」
「・・・後なら降っていいわけじゃないですけどっ」

「スカイモールまで行ってたんです」
「その時、傘も買っておいたらよかったな・・・」

折り畳み傘は通学カバンに入れっぱなしだし。
もう一つくらい買っておいた方が便利な気はするんだよね。

674小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2019/06/14(金) 15:32:56
>>673

カバンに視線を向ける。
覗き込むようにして見ないのは自分の体から落ちる雫が入らないようにするためだ。

「仕方ないわ。予報は晴れだったんですもの」

「傘が必要だなんて誰も思わないわ」

雨はまだ降り続けている。

「備えあればと言うけれどね」

「本当に備えておけることなんて少ないのよ」

675今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/06/14(金) 22:47:47
>>674

「そうですよね、それがフツーですよねっ」
「全部に備えるなんて、無理ですよね」

       ザ ァ ァ ァ ・・・

「雨……全然緩くならないですねえ」

もう濡れてもいいから帰ろうかな。
夜まで止まなかったら、どうしようかな。

「そういえば」

「お名前、聞いてませんでしたっけ?」
「あっ」「私、『今泉 未来(イマイズミ ミライ)』って言います」

676小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2019/06/14(金) 23:53:35
>>675

「小鍛冶明」

「小さな鍛冶屋は明るいで小鍛冶明」

微笑みながら、話した。
冷たい印象の目元が少しだけ和らいだ気がした。

「どこかで会った気もするけれど」

「よろしくね、今泉さん」

677今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/06/15(土) 00:10:12
>>676

「小鍛治、さん……小鍛治明さん」「あれ?」

聞いたことあるような。
……どこでだっけ?

「どうでしたっけ……言われてみれば」
「会ったこと、あったかも」

「・・・」「どうでしたっけ」

何となく会ったような……気はする。
あっ。……そうだ。

「あっ」

他にびっくりすることがありすぎて、忘れてた。

「あ〜〜〜っあの、ほら、白い街で!」
「これ見せたら小鍛治さんも思い出すかな」

「――――『先生』」

           『今泉サン』

           『……貴女ハ、〝小鍛治〟サンデスネ』

    コール・イット・ラヴ
「ほら、私の『先生』」

「あの時は、あまりゆっくりお話しできませんでしたよねっ」

                   「状況が状況でしたし」

678小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2019/06/15(土) 00:46:46
>>677

「あぁ、やっぱり……」

「お久しぶりね」

軽く、頭を下げた。

「状況が状況でしたものね」

「あれから状況はどう?」

679今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/06/15(土) 01:41:48
>>678

「すみません、顔見ただけで思い出せなくって」
「あの後ですか……特に変わりはないですね」

「うーん」
「いやまあ、少しはありますけども」

ほんとに、派手な話とかないんだよね。
引っ越そうとしてるとか、私事というか。
そもそも家の話もしたことないヒトだし。

「何かスタンド絡みの事件とか」
「そういうのもないですし」
「あは、それは無くてフツーですけどっ」

フツーな事しかない。いいことだけど。

「小鍛治さんは……」
「特にお変わりとか、なさそうですかね」

見た目とかはあんまり変わってない。
元気じゃなさそうとか、そういう感じでもないし。

「いや、変わる前をほとんど知らないんですけども〜っ」

「ほんと、出会いがフツーじゃなさすぎましたもんねえ」

680小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2019/06/15(土) 02:37:57
>>679

「そんなものよ」

「そんなに目立つこともしてなかったし」

気付かないのも仕方がないと小鍜治が言う。
事実がどうであったかはその目で見た人のみが知る。

「……そうね、変わらないわね」

「普通じゃない出会い、そうね。確かに普通じゃなかったわ」

白い指が唇に触れて、思案顔。
ほんの少しの間があったが概ね言った通りなのだろう。

「普段なら、変わる前を知らないなら今から知ればいいじゃないの、なんて言うんだけど」

また、髪を撫でる。
降りてきた髪が指の股に入り、ゆっくりと持ち上げられる。
生え際の辺りまで手の底が上がる。
上目遣いをするような形で、口元を緩めて言葉を吐き出す。
真っ白な肌と真っ黒な髪、ほのかに感じる血の色の赤みがコントラストになっていた。

「どうかしら、今泉さん?」

681今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/06/15(土) 03:11:16
>>680

「私もあんまり目立ってなかったですしねえ」
「目立ちたかったわけでもないですけど」

小鍛治さんも私のこと忘れてたっぽいし。
でも、あれは仕方ないと思うんだよね。

芽足さん、個性すごいし。
カレンさんとかタマキさんも濃かったし。
小鍛治さんと一緒にいた人も和服だったし。

私と小鍛治さんは、『スタンド使い』だけど『フツーなほう』だったんだよ。

「そうですねっ」
「自己紹介だけじゃ、分かんない事もありますし」

「……」

なんだか『色気』っていうのがある人だ。
私あんまり、たぶん、そういうのないんだよね。
そういうのもやっぱり、よくわかんないしさ。

「今からお互いのこと、知りましょっか小鍛治さん!」
「とりあえず……」

   ゴソッ

「『連絡先』とかからでも!」
「何か『変わった』りしたら連絡できますし〜」

682小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2019/06/15(土) 12:07:52
>>681

「そう、じゃあそうしようかしら」

小鍜治もスマホを取りだした。
カバーも何も無い、むき身のそれ。

「じゃあ何か変わったことがあれば」

「それこそ、前見たいことがあればよろしくね」

683今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/06/15(土) 20:27:42
>>682

あ、スマホにカバー付けてないんだ。
私のは……白いカバーにマステを巻いてる。
カバー無しで持ちにくくないのかな。滑らない?
無しが普通だと、むしろ付いてる方が邪魔なのかな。

「スマホ、カバーとか付けない派なんですね」
「えーと」「じゃあQRで……」

「……よしっ」

「これでいつでも連絡できますねっ」

      『〝異常〟ハ ナイニ コシタコトハ ナイデスガ』
      『モシ ソノヨウナコトニナレバ、ヨロシクオ願イシマス』

          ペコーッ

先生が頭を下げてた。

「私からもよろしくお願いしますっ」
「おかしなことじゃなくて、フツーのことでも」
「何かあったら、連絡してきてくださいね!」

だから、私も小さく下げておいた。

それから、スマホをカバンにしまった。
雨は相変わらず、止みそうにないけど・・・どうやって帰ろうかなあ。

684小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2019/06/15(土) 23:45:43
>>683

「これでいいのよ、人間じゃないんだから着飾らなくても」

「作ってる人だってカバーをつける前提でデザインしているわけでもないでしょう?」

そういう理論らしい。
そして、頭を下げた『先生』に礼を返す。
不思議な光景だった。

「ええ、連絡させてもらうわ」

そう言葉を返し、空を見上げる。
まだ雲は重い。
だけれど構わず一歩を踏み出した。

「仕方ないわね」

また雨模様の中に自分を放り投げる。

685今泉『コール・イット・ラヴ』:2019/06/16(日) 08:38:29
>>684

「…………なんだか、かっこいいですねっ」

「私はそれでも、飾らせちゃいますけど」
「人間じゃなくっても」「おしゃれな方がいいかなって」

人間は、着飾るものだもんね。
それがフツーだしそうするべきだ。
でも、人気じゃなくても着飾ることは出来る。

「あっ」

「……はいっ、連絡待ってますね!」
「小鍛治さん、それじゃあまたっ」

         『風邪ニハ オ気ヲツケテ』
         『サヨウナラ、小鍛治サン』

そうだった、この人は濡れても平気なんだ。
いや……平気とは違うのかもしれない。
雨で濡れるのも、きっとカバーを付けないのと同じ。
そういう『前提』だって、受け入れられる人なんだ。

         『今泉サン、帰リマスカ?』

「いやー、私はもうちょっとだけ、待ってみます」
「小鍛治さんみたいに、かっこよくはないから」

木の下から、その後ろ姿が遠ざかるのを見送る。
私が帰るのは、それから1時間くらいしてからになった。

686小鍛治 明『ショットガン・レボルーション』:2019/06/17(月) 04:04:07
>>685

「なんてことないわ」

「私はこれを飾らないだけだもの」

黒のスマートホンを黒いままにして使う女が言った。

「ええ、さようなら」

「またいつかね」

雨の中を歩いていく。
不意に着信が入って、通話と書かれた画面をタッチする。

「もしもし、カレンさん?」

「ええ、問題ないわ。これも仕事みたいなものだしね」

687ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/20(木) 22:33:51

青々とした芝生の上に、花柄のワンピースを着た少女がいた。
年の頃は、小学校に上がったくらいだろうか。
彼女の足元には、小さな黒い塊があった。

「よーし、あっちまで先についた方が勝ちだからねー」

少女が元気よく声を発し、足元の塊が動く。
それは一匹の『チワワ』だった。
『スムースコート』と呼ばれる短毛種で、毛の色は黒一色だ。

「――スタートッ!」

パッ

少女の合図で、一人と一匹は同時に走り出す。
犬の方が速いと思われたが、実際のスピードは似たようなものだった。
正確には、チワワが少女に合わせて速度を落としているらしい。

タンッ

「ゴールッ!」

少女とチワワは、一本の樹の前で足を止める。
少女は腰を下ろし、チワワが隣に座った。
チワワの首輪には『DEAN』という名前が入っていた――。

688音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2019/06/21(金) 22:26:03
>>687

       キキキィィー

「おぉー、微笑ましいものだな」

ポロシャツに七分丈パンツというスポーツウェア姿で、
ロードバイクを乗っていると、思わずブレーキを掛けた。

    「(何かの拍子にビックリして、
      急に走り出したら危ないからな……。

      どーれ、ちょっと様子を見てみようかね)」

少し離れたサイクリングロードの路肩で、
飼い犬とかけっこをする少女を見守っている。

689ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/21(金) 23:24:38
>>688

「アハッ、一緒だねー」

「ね、ディーン。ヨシエ、前より速くなったかなー?」

少女は、横に座るチワワに話しかけている。
チワワの目線は少女に向けられていた。
まるで彼女の話を聞いているようにして。

「もう一回やろうよ!今度は勝つからねー!」

少女は立ち上がり、そのまま走り出した。
視線はチワワに注がれており、前を見ていない。
早い話が、余所見をしていたのだった。

バッ

「――わッ」

前方を見ていたチワワが駆け出し、少女の前に飛び出した。
そして、停まっていたロードバイクと少女の中間辺りで立ち止まった。
ぶつかるのを阻止しようとしたらしい。

「あ、ごめんなさい……」

ペコッ

そう言って、少女は頭を下げる。
チワワは少女の無事を確かめるように彼女を見上げてから、男に視線を向けた。
元々超小型犬だが、大柄な男が近くにいると、少女といるよりも更に小柄に見える。

690音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2019/06/21(金) 23:37:05
>>689
「賢いワンちゃんだ」

     「君がぶつかる前に、
      ちゃんと教えてくれたんだね」

傍に樹立するケヤキにロードバイクを立て掛ける。
新品の『U字ロック』がハンドルの中央に引っ掛けられている。

     「気にすることはないさ。
      お兄さんも、君とワンちゃんが転ばないか、
      よぉぉ〜〜〜く、見てただけだからね。うん」

ウェーブ掛かった黒髪に鳶色の瞳、潔く割れたケツアゴ。
スポーツウェアから伸びる四肢は、樹皮のように逞しい。

     「気にせず、元気に遊んでおいて。
      だけど、こっちの『道路』の方は危ないから、
      なるべく、……そうだな。向こうの『丘』の方で遊ぶといい」

公園とはいえ、『サイクリングロード』の方は、自転車やランナーも通る。
広場の中央に位置する、小さく盛り上がった『丘』を指差した。

腰を落とし、視線を少女に合わせながら、朗らかに話をする。
走り寄ってきた『チワワ』を無造作に撫でながら、柔らかく口角を上げた。

691ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/22(土) 00:07:13
>>690

(……デカい人間だな)

それが俺――『ディーン』から見た第一印象だった。
サイズとしては、今まで見てきた中で一番かもしれない。
少なくとも、直接お目にかかった中ではそうだろう。

「…………」

普通、ガタイが良いものほど力が強いというのが『自然の法則』だ。
それに従えば、この男も相当なものなんだろうな。
だが、俺にとっての問題は、どちらかといえば『内面』の方だ。

「はーい!今度からは、あっちの方で遊ぶねー!」

軽く見た限りでは、『そっちの方』も問題はなさそうだ。
そう考えながら、俺は男に撫でられていた。
気持ち良いものは気持ち良い――これもまた『自然の法則』というヤツだ。

チラッ

「変わった自転車ですねー。見たことない!
カッコいいねー、ディーン?」

少女はロードバイクが珍しいらしく、そちらに視線を向けた。
彼女に名前を呼ばれたチワワも、同じ方向を向く。

692音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2019/06/22(土) 00:19:51
>>691

     ワシ ワシ ワシ ワシ ッ

喉下や耳の後ろ、脇腹を丹念に揉み摩っていく。
十指が代わる代わる『ディーン』の身体を圧し解していく。

   「お目が高いね、お嬢ちゃん。

    故郷のフランスから運んできたんだ。
    オーダーメイドだからね、世界に一つきりなんだよ」

頑強さとしなやかさを兼ねた、優美なフレームが陽光を照り返す。
それを語る口振りは何処か愛しげに。

   「この子は『ディーン』っていうのかい。
    ……おっと、『首輪』にも書いてあるね。

    私は『音無ピエール』だ。
    この国じゃあ、カタカナの名前は珍しいからね。
    少数派同士、仲よくしような。ディーン、よしよしっ」

    ウシ ウシ ウリ ウリ

子犬を撫でる感触にすっかりハマってしまい、中々離そうとしない。

693ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/22(土) 00:53:55
>>692

「『オーダーメイド』?それって、ヨシエも聞いたことあるよー!
えっと――『特別』なんだよねー!」

ヨシエは自転車を見ながら、そんな事を言っている。
言われてみると、いかにも速そうな印象を感じるのは確かだ。
いつかテレビで見た『野性の豹』のような、それに近い雰囲気を感じた。

「ピエールさんって、フランスの人なのー?
フランスって、どんなところー?」

ヨシエは自転車から視線を外し、男――『ピエール』に問いかける。
ところで、そろそろ俺から手を離してもらえると有り難い所だ。
撫でられるのは悪くないが、限度ってものがあるからな。

クーン

ここは、ヨシエに手を貸してもらう事にしよう。
『ワン・フォー・ホープ』を使うという訳にもいかないからな。
そう思って、俺は軽く鼻を鳴らした。

「?ディーン、ヨシエはここだよー?」

俺の意図を読み取ってくれたか定かじゃないが、ヨシエは俺を呼んでくれた。
これで、ピエールが俺を解放してくれるんじゃないかと期待した訳だ。

694音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2019/06/22(土) 01:16:30
>>694
「今は色々と騒がしくなってしまったが、
 私にとっては『ステキ』な故郷だよ」

     「この『ロードバイク』が唯一の『名残』だけどね。
      そういう意味でも、この自転車は『特別』なんだ」

『ヨシエ』の呼びかけに任せるように、
『ディーン』をワシャワシャする手を離す。

     「おっと、君の友達をすっかり引き留めてしまったね。
      小さいけれど意外としっかりした身体だ。毛並もサッパリしてるし」

     「ついつい、長く遊んでしまったよ」

爪の間に残った短毛を払い落しながら、
『ロードバイク』のハンドルを掴むと、己の身傍に引き寄せる。

     「それじゃあ、日が暮れる前に帰るんだよ」

     「『H湖』を照らす『夕焼け』はキレイだけど、
      見惚れていたら、真っ暗になっちゃうからね」

『ヨシエ』に優しく忠告すると、長い脚を蹴り上げてサドルに跨った。

695ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/06/22(土) 01:38:25
>>694

「その自転車は、ピエールのお兄さんの『大事なもの』なんだねー」

「それって――ヨシエとディーンみたい!」

「だって、ディーンは『特別』で『一番大事な友達』だから!」

ヨシエは、どこまでも明るい笑顔でピエールに言った。
俺にとっても、ヨシエは特別な存在だ。
少し違うのは、ヨシエが俺の『守るべき存在』だって所だろう。
もっとも、さっきは俺の方がヨシエに助けてもらった訳だが、
何はともあれ、ようやく解放してくれたのは素直に有り難かった。

「ありがとー、ピエールのお兄さん!ディーンも、きっと喜んでたと思うよ!」

まぁ、撫でられるのは嫌いじゃない。
特に手荒でもなかったしな。
ほどほどにしておいてくれると、もっと良いんだが。

ワンッ

俺は一声鳴いた。
今度はヨシエに対してではなく、ピエールに向かって――だ。
ちょっとした別れの挨拶ってヤツさ。

「バイバーイ!ピエールのお兄さーん!」

ヨシエはピエールに手を振って、また歩き出した。
行き先は『丘』の方だ。
斜面は転びやすいから、注意しておかないとな。

696鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/19(金) 22:42:21
『H湖』を一望できるベンチに腰掛けている、学生服の少年。傍らには、『竹刀袋』がかけられている。
特に何をするでもなく、ぼおっと静かな湖を見つめていた。

(…何だかこうして日常に帰ってくると、一月ほど前に命を懸けたやり取りをしていたのが…ウソみたいだな)

「・・・・・・・・・・」


>私に言わせれば、あんたは危なっかしいんだよ。
>一見すると、『生真面目なヤツ』って印象だったが………決定的なところが、危なっかしい。
>『危険』だ。


(塞川さんの通りだと思う。…思ったより、自分は人を傷付ける事に対して『抵抗』がなかったな)
(このまま日常から、段々と離れていくことになるんだろうか)

697一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/07/20(土) 01:41:21
>>696
これほど思索に耽るのに適した場所はないだろう。
そう、湖面を揺るがす者が現れなければ…

「噛みつき亀! 『インダルジェンス』ッッ!」
「良い感じに捕獲して! お小遣い!」

涼しく刺すような玲瓏とした風貌のあどけない少年が騒いでいる。
傍らに発現した近距離パワー型と思わしきスタンドが日光浴中の
亀を網で的確に捕獲している。

「ルンバとマスミも逮捕されたし、当面は夏休みを満喫!」

S県警に押し買い詐欺集団が逮捕された話を知っていれば、
『班目倫巴』と『神原真純』の名前である事に気づくだろう。

698鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/20(土) 03:50:38
>>697

湖面を騒がす水音に、そちらの方へと視線を向けた。

「・・・・・ッ?!」

驚いた。あの少年、『スタンド使い』か。
しかも無警戒にスタンドを出している。少年故に無鉄砲なのか、あるいは、逆なのか───?
『スタンド』に亀を取らせているようだ。恐らく、危険な子ではないだろう。

彼が口にした『犯罪者』の名前も気になるが、ひとまず話しかけてみよう。
立ち上がり、竹刀袋を肩にかける。そうして湖の方へと近付いた。

「こんにちは」「その亀には、『自由研究』にでも協力してもらうのかい?」

699一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/07/20(土) 08:05:00
>>698
声を掛けられた少年は不思議そうに振り返る。
捕まえた亀が口を開くも強引にスタンドが指で閉じる。

「違いますよ。近所の中華亭で買い取ってもらうんです。
 売るも良し、自分で食べるも良し」

「お兄さんは駆除のバイトに雇われた大学生さんでしょうか?」

淡い青色に微かなエメラルドの反射が混じる瞳で鉄を見つめる。
竹刀袋に視線を移して小首を傾げた。

「いや、指導役の人が見当たらないし、部活帰りに奇妙な子供が
 居たから話し掛けてみたってところですね」

小学生の癖に可愛い気というものがない。
逆に観察されてるように感じるかもしれない。

700鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/20(土) 21:09:48
>>699

「買い取ってもらう…?食べられるのか?カミツキガメって」
「確か、危険な外来生物で駆除の対象になってるんだったか…エラいな、君は」

幼いのに勤労とは、と口にしようとして止める。
恐らく五歳以上年齢が離れているとはいえ、あまり子供扱いをするものではない。
こんな利発そうな子なら尚更だ。

「ああ、オレは─────」

>「いや、指導役の人が見当たらないし、部活帰りに奇妙な子供が
> 居たから話し掛けてみたってところですね」

「…おや」

自分が答える前に答えられ、思わず驚く。それも、極めて正解に近い答えだ。
利発そうどころか、かなり聡明だ。子供にされた名探偵が現実にいたら、こんな風なのだろうか?

「その通りだ。まぁあえて付け加えるなら、その奇妙な行動に『スタンド』を使っていたから、かな」

鉄は微笑みながら、傍らに己のスタンド、『シヴァルリー』を発現する。騎士のような姿の人型スタンドだ。
そして鉄も、刃先のような前髪の下、灰色の瞳でその小学生を見つめ返した。

「オレは清月学園高等部二年生、鉄 夕立(くろがね ゆうだち)だ」「スタンドは『シヴァルリー』」
「君の名は?」

701一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/07/20(土) 21:51:43
>>700
「内臓を傷つけないように解体すると美味しいです。
 未知なる寄生虫を持つ場合もあるので油断ならない子達ですよ」

「おおっ、意外とスタンド使いって多いんですね。
 この王道な感じのスタンド! 凄く真っ当で嬉しいです」

騎士の姿をしたスタンドに目を輝かせる。
今の今まで変り種のヴィジョンしか見た事がなかったから新鮮だ。

「私は一抹貞世です。中学一年生になったばかりです
 よろしくお願いしますね? 先輩?」

年上っぽいので彼を先輩と呼ぶことにしよう。
それにしても本当に真っ当なスタンド使いだ。
短期間に薄汚いクズを見過ぎたせいで彼の爽やかな雰囲気が心地良い。

「シルバ…『シヴァルリー』ですか。見た目的に近接パワー型。
 竹刀袋を持ち歩いてるから武器に関連するタイプでしょうか?」

「しかし、本当に王道な見た目で素敵です…」

702鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/20(土) 22:21:45
>>701

「そうなのか…君は博識だな」「『中華料理屋』か。今度食べてみるとしよう」

亀の肉は食べたことはなかったが、美味なら食べてみたい。ましてや害を及ぼす生物となれば、一石二鳥だろう。
頷きながら、自分も湖面へと近付いていく。『カミツキガメ』を探してみよう。

「あぁ、よろしく一抹くん」
「そうだな…少なくとも会った限りでは、一学年に一人はいてもおかしくなさそうだったな」
「中学一年生では、今のところ一抹くんしか知らないけれど」

同じ学年には三枝さんがいたが、彼女はスタンド使いではないだろう。…恐らく。

「そこまで褒められると照れるな…」

もちろん悪い気はしないが。

「しかし、君のスタンドも中々カッコいいと思うよ」
「ああ、『シヴァルリー』は刃物を能力のキーとするタイプだ」
「君のスタンドはどういう能力なんだ?」

703一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/07/20(土) 23:09:15
>>702
湖面に近寄ると器用に泳ぐ亀が数匹ばかり見えた。
侵略的外来種ワースト100に指定された凶悪な生物だけあって
漁師も駆除に駆り出されるという。

「私の『インダルジェンス』は無痛と鎮静が能力。
 敵の口を割らせるなら鎮静。戦闘は強く当たって砕けろで…」

「お陰で毎回、現地の同行者に命を救われる始末。
 最近は『通り魔』が色々とやらかしてるようですし、
 私達も気をつけないと」

未だに夢の中には残党が潜み、現実では『通り魔』が暗躍。
『通り魔』もスタンド使いではないかと疑ってしまう。

「鉄先輩はスタンド使いとの戦闘経験は…?
 私のスタンドを見て怯える感じがしなかった」

「とても強いのか、既に怯える域を通り過ぎたか。
 ちょっと気になります」

704鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/20(土) 23:51:01
>>703

「なるほど、こいつが…」

見様見真似で、自分も『シヴァルリー』でカミツキガメを捕まえる。
思ったより素早い動作に驚くが、注意をこちらに向けつつ背後からスタンドを回せばそう難しくはなかった。
『シヴァルリー』の精密動作性もあるのかもしれない。
とりあえず、これは一抹くんへ渡すとしよう。

「『無痛』と『鎮静』」「優しいようで、恐ろしくもある…面白い能力だな」
「それは一抹くんの性格と関係があるのか?」

少し笑いながら、冗談めかして訊ねてみる。


>「お陰で毎回、現地の同行者に命を救われる始末。
> 最近は『通り魔』が色々とやらかしてるようですし、
> 私達も気をつけないと」

「…そうだな。もし『通り魔』がスタンド使いなら、対抗できるのはスタンド使いだけだしな」

『通り魔』。その単語を聞いた瞬間、細めの鉄の目が更に鋭くなる。

「いいや、スタンドでの戦闘経験はたった一度だけだ。それもつい最近だな」
「『インダルジェンス』を見ても恐れなかったのは…君が『危険な子』そうじゃなかったからだ」
「まぁ、ただの勘だけど」

「…ところで一抹くんは、さっき『詐欺集団』の犯人の名前を叫んでいなかったか?」
「事件に巻き込まれてしまったとか?」

705一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/07/21(日) 10:55:23
>>704
『シヴァルリー』の手から逃れようと足掻く亀。
同種の鼻先をも食い千切る恐ろしい気性の荒さだ。

「噛みつき亀は苛々すると同種の手だろうが鼻だろうが
 噛み千切ろうとするんです。『痛み』が存在するから」

「自分の生い立ちが分かって、取り巻くものを憎み続けて。
 私は人の醜さを消し去りたかった。だから、こんなに分かりやすい」

『インダルジェンス』が亀に触れた途端に亀の抵抗が止まった。
分かりやすく亀の恐怖と怒りを『鎮静化』して見せたのだ。

「こう見えてもやる時はやる派なんですよ?
 ニュースを見るにルンバは生きてるようですが」

「彼等は人の夢に不法侵入して夢の主を殺して歩くスタンド使いの
 集まり。自分たちに都合の良い世界を作り移住する気でしたよ」

マイルドに説明したつもりだが連中のクズさは衰えない。
清々しいまでのクズさに行動力が加わり碌でもない。

「また、あの二人と戦っても勝てる気がしません。
 あの連中のスタンド能力はヤバいですよ…」

706鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/21(日) 22:03:31
>>705

>「噛みつき亀は苛々すると同種の手だろうが鼻だろうが
> 噛み千切ろうとするんです。『痛み』が存在するから」
>「自分の生い立ちが分かって、取り巻くものを憎み続けて。
> 私は人の醜さを消し去りたかった。だから、こんなに分かりやすい」

「…すまない。気安く訊ねていい話題じゃあなかったな」

中学一年生という若さでありながら、彼のこれまでの人生は、決して楽しいものだけではなかったようだ。
もし、彼が自分と同じように『スタンド』を求めたのだとしたら。
そこも自分と同じように、常ならざる理由があったのだろう。
『インダルジェンス』の能力により、『鎮静化』された亀を見て、思う。
あるいは一抹くんも、同じように安らぎを求めているのだろうか。

「『捕縛』向きの能力だな」「人を深く傷付けることなく終わらせることもできる、いい『スタンド』だ」

『鎮静化』したカメを置き、『二匹目』以降を探していく。要するに彼のお手伝いだ。

「ああ、侮っているように聞こえたならすまない」
「いきなり見境なく人を襲うような『通り魔』には見えなかった、そんな意味だ」
「君の戦闘能力を疑っているわけじゃあない───」

むしろ、その後の話を聞けば彼の経験のほどが分かった。既に命を懸けたやり取りを、最低でも一度終えたということだ。
そしてあの『詐欺集団』が、実際にはより危険な犯罪者であったことも。

「…そういう『スタンド』もあるのか」「危険だな」
「しかし表向きはあの罪状なら、恐らく『死刑』にはならない」
「『スタンド使い』はそういった所が面倒だ」

基本的にはありとあらゆる状況で、『スタンド』は発現することができる。
例え両手を手錠で拘束されてもだ。そして、『スタンド』は一般人の目には映らない。
率直に言って、可能ならばその両名は始末しておきたい。

707一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/07/22(月) 01:46:28
>>706
『鎮静化』を受けた亀は抵抗もせずバケツに放り込まれる。
恐怖や怒りを抑圧して安息を得た先に存在するのは安心ではなく、
隷属や感性の緩やかな死だろう。

「いえいえ、既に『過去』で苦しむ段階は終わりました。
 『過去』を捨て去って都合良く人の居場所を横取り
 しようとする反面教師でしたからね、ルンバは…」

「それと連中は四人組なんですが最後のリーダー格に負けちゃった
 んですよ。夢の世界に詳しくスタンドも精神干渉が得意そうな男に」

「……あっ、無事に出所して来たら報復に来るかもしれませんね。
 二人揃って対人特化で片方が毒物散布を得意とする奴です。
 一緒に戦った方が居なければ毒殺行きでしたよ」

既に『解呪』されたルンバが夢に現れる事もないだろう。
次に会うとしたら現実で報復に現れた時だ。マスミ付きで…

「鉄先輩はどのような案件に巻き込まれましたか?
 近接戦闘が得意そうな先輩なら搦手以外は何とかなりそう」

亀とて恐怖の感情を有するのだろう。
二人で世間話をしてる間に亀たちは散開していく。

708鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/22(月) 22:13:48
>>707

「成る程」「戦いを糧に『過去』を乗り越えたってことか?」

人間万事塞翁が馬とは言うが、確かに敵を通して自分を見つめる機会もある。
自分が戦った『加佐見』は悪人ではあったが、特別な人間ではなかった。
誰にでも、ああなってしまう可能性がある。『悪』というのは特殊なものではない。
自分にも、戒める必要があると感じた。もっとも、目的に対して避けて通れないのであれば、『悪』もやむを得ないが。

「最後の一人とやらが、夢の世界に関する『スタンド使い』なのだろうか」
「何にせよ、もしそういった危険があれば『加勢』に向かうさ。連絡してくれ」

スマホを取り出す。そいつらが危険だというのも勿論だが、何より一抹くんの身が危ないのだろう。
こんな子供が理不尽に命を奪われるなど、あってはならない。

「オレかい?」
「『警察』の依頼を仲介してもらって、『窃盗犯』探しに協力したんだ」
「犯人からの反撃にあったけど、こちらは『二人』だったし無事に捕まえられたよ」
「オレの『シヴァルリー』よりも速度が上だった…なかなか手強かったよ」

もう亀を捕まえるのは難しいか。また今度ここに来た時に、駆除の手伝いをしておこう。

709一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/07/23(火) 00:12:21
>>708
「やっぱり背中を守ってくれる方が居ると心強いです。
 お役に立てるか怪しいものですが口を割らせるなら『鎮静』ですよ」

「『シヴァルリー』よりスピードが格上で窃盗向きのスタンド。
 痕跡を残さず本体はコソコソ隠れて戦うタイプでしょうか?」

「追いつめられても二人相手に抵抗可能な戦闘力と手数。
 条件付きのヴィジョン発現でスペックが変わる群像型かな?
 発現に制約を有するスタンドは厄介っぽいですから」

『インダルジェンス』の手の甲から『慈悲の刃』を発現する。
武器をトリガーに能力が発動する『シヴァルリー』の助けとなるかもしれない。

「こっちが『無痛』の斬撃を伴う力。最後の〆に丁度良い隠し札。
 初戦で使った相手にも、ルンバにもよく刺さりました」

「連絡交換! 前に夢の中で失敗したから再チャレンジです!」

スマホを取り出して連絡先を交換する。ライ…アレも便利なものだ。
能力の相性は分からないが非常に真っ当で爽やかな先輩である。
宗像さんと両親しか登録先のない連絡リストが埋まる喜びに目を輝かせる。

「しかし、ルンバとマスミも生き続ける事で変わるかもしれません。
 生きる事に『痛み』は付き物。罪を抱えたまま『無限地獄』を歩む
 知り合いも居ますし、延々と『痛み』を味わうのもまた罰となりましょう」

「さてと、あまり長く話してると亀がストレスで共食いを始めるので帰る事に
 します。それに『インダルジェンス』が微成長するようですから寄らないと…」

710鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/23(火) 00:35:13
>>709

「ご名答。『FAX』をキーワードとすることで、遠隔ながら近接パワー型並のスペックを発揮するタイプだ」
「紙を媒介としてヴィジョンを形成するタイプだった。『打撃』の類はカウンターでしか当たらない、厄介なタイプだ」
「もっとも、オレともう一人の仲間と相性は悪くなかったが」

『シヴァルリー』の斬撃、『クリスタライズド・ディスペア』のガラス化はどちらも有効打となった。
しかし、一抹くんは本当に聡明だ。言の葉の僅かな情報から正確な考察を作り上げる。
もし共闘する機会があったなら、頼りになるだろう。…できれば子供を戦闘に巻き込みたくはないが。
─────だが、しかし。

「…君との相性は、極めて良いみたいだな」
「オレの『シヴァルリー』、能力は『斬撃の統制』」「視認した『刃物』の切れ味を奪い、扱う」「例えば、こんな風に」

『インダルジェンス』が発現した『慈悲の刃』、その殺傷力を奪い。
同じように、『シヴァルリー』の手の甲から『慈悲の刃』を発現してみせる。
能力はすぐに解除するが。
もちろん奪っている間は『インダルジェンス』からその部分の能力は失われるが、
奪う際の引き寄せ、あるいは解除時の引き戻しの刃にも『能力』は乗る。
『死角』から飛来する『無痛』の刃。強力な武器だろう。

「…かもしれないな。本当に。改心してくれるなら、それに越した事はない」

互いの連絡先を登録し、スマホをしまう。
何事もないのが一番いい。深く反省して、二度と私利私欲のために『スタンド』を使わないのなら、それでいい。
…そう上手くはいかないことの方が多いだろうが。

「…成長?『スタンド』も、人間のように成長することがあるんだな…」
「了解、気をつけて」

頷き、そういえばと最後に一言付け加える。

「ああ、そうだ。三枝千草さんを知ってるかな?」
「君と同い年で、君と同じようにいい子なんだ。もし出会ったら、仲良くなれると思う」

711一抹 貞世『インダルジェンス』:2019/07/23(火) 01:48:23
>>710
紙を媒体にヴィジョン形成を行う上に近接パワー型に匹敵するスタンド。
打撃が通じないとなれば、濡らすか焼くかの選択肢しかない。
生半な傷では紙の補充によりヴィジョンの復元も可能だろう。

「タフな癖に並の近接パワー型のヴィジョンで打撃を受けつけない。
 ただし、射程距離の問題がある。紙も尽きれば追加しなきゃいけない」

「馬鹿正直に付き合ってやる必要もない。逃げながら本体を探せばいい。
 一度でも能力が判明したら対策されて終わり」

「それは敵も分かっている筈だから逃げられない密室、または
 自分のよく知る建物内でスプリンクラーと燃える物を片付けてしまう。
 よく勝てましたね。無限湧きほど恐ろしいものはないです」

マスミとルンバも徹底的に勝率を上げる状況を作り上げていた。
だが、肝心なところで『本気』を出す致命的なミスを犯した。
無敵のバシリスクも小林さんの手で窒息死する始末。
スタンド使い同士の殺し合いは最後まで結果は分からない。

「相性が良いと同時に私の天敵みたいなスタンド能力。
 刃が要となるスタンド泣かせですよ」

「えっ、私と同い年のスタンド使いが存在するんですか!?
 動物のスタンド使いも存在するし意外と多いものですね。
 仲良くは、うん、どうにかなりますよ。たぶん。きっと!」

暴れ始めた亀を『鎮静化』してバケツを手にする。
『音仙』の住まいに向かう前に軽く稼いで土産を買うとしよう。

「あぁ、でも、きっと世の中には地獄すら生温いクズが潜んでいる筈です。
 人に『痛み』を与える事が生き甲斐のような邪悪が」

「そのような者は殺すしかありません。それには人の理屈は通じませんよ
 見逃すのは手を貸すようなもの。出会ったら責任をもって仕留めなければ…」

「取り逃がした間抜けの戯言ですよ。気にしないでくださいね。
 普通に生きてたら絶対に出会わない類の輩です。では、お元気で!」

712鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/23(火) 02:12:17
>>711

「いや、『スタンド使い』じゃあないんだが…」
「…というか、動物の『スタンド使い』もいるのか?」「人間に対して友好的ならありがたいが」

思ったよりスタンド使いのバリエーションは広いらしい。
一体どの程度の知能を有する動物なら、『スタンド』を持てるのだろうか?
もし、小型の動物や昆虫のまでもが『スタンド』を持てるとしたら。
…あまり想像したくはない。そんな存在が人を容易く殺せる力を持つ可能性は。

>「あぁ、でも、きっと世の中には地獄すら生温いクズが潜んでいる筈です。
> 人に『痛み』を与える事が生き甲斐のような邪悪が」
>「そのような者は殺すしかありません。それには人の理屈は通じませんよ
> 見逃すのは手を貸すようなもの。出会ったら責任をもって仕留めなければ…」

「その意見には概ね同意だが、あまり自分を責めすぎないようにな」
「そこでやられてしまうよりは、生きて帰ってきた方が次に繋がる」
「もしまた戦う機会があれば、今度仕留めよう。それまで腕を鍛えればいいさ」
「それじゃあ、また」

カミツキガメを連れて行く一抹くんに、手を振って別れを告げる。

あんな子ですら、非日常にも身を置いている。進んで鉄火場へ飛び込んで行きたいかと言われれば
確実に否定するが、子供が傷付けられるのを見過ごすことはできない。やはり、覚悟を決める必要がある。

(…その内、これも必要なくなってしまうかもな)

肩にかけた竹刀袋をチラリと一瞥し、自分も帰途へと付く。
さて、次はどこで『通り魔』の情報を得るとしようか。

713ディーン『ワン・フォー・ホープ』:2019/07/24(水) 21:22:43

俺は一人で――いや、『一匹』で走っていた。
遊んでいる最中に、ヨシエが急に具合を悪くしてしまったからだ。
おそらく、この暑さのせいだろう。

(…………俺の責任だ)

一緒にいながら、事前に防げなかった。
だが、今から助ける事は出来る。
そのために、俺は走っていた。

      シュルルルルル

首輪に結ばれた『リボンタイ』が、独りでに解けていく。
『光の紐』――『ワン・フォー・ホープ』を発現した。
先端にある『手』の中には、銀色の硬貨が握られている。

    チャリッ
          ピッ
               ガコンッ

ヨシエの小遣いである五百円玉を『自販機』に投入し、ボタンを押す。
こういう場面に出くわす度に、便利なものだと改めて思う。
『自販機』もだし、『スタンド』もだ。

(さて――急いで戻らないとな……)

水のペットボトルに『ワン・フォー・ホープ』を巻き付かせ、取り出す。
『何か』を忘れているような気はしたが――俺は無視して走り始めた。
事実、俺は『釣銭』を自販機に残したままだった。

714朝山『ザ・ハイヤー』:2019/07/25(木) 19:17:04
>>713

「んおっ! こりゃーめっずらしい光景っス!
権三郎! お仲間のワン君が自販機から飲み物買ってるっス!
賢いワンちゃんも居たもんっスね〜!!」

権三郎『パウッ!(すごいねっ!)』

今日も今日とて権三郎と悪の首領の日課としての体力錬成!!
お散歩けん悪のランニングっス!!!

けど、賢いワン君だけど釣り銭をとらないでいっちゃってるっス!
なんか急いでるっぽいけど、これじゃー損する事になるっス!!!

「お〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!! お金を忘れてるっスよーーーーー!!!」

権三郎『パゥーーーーーー!!!(待ってーーーー!!!)』


 急いで追いかけるっス!!!!!

715ディーン『ワン・フォーホープ』&ヨシエ『一般人』:2019/07/25(木) 21:28:28
>>714

後ろから、犬と人間の声が重なって聞こえた。
こういう取り合わせは、この辺じゃあ珍しくない。
もっとも、犬も人間も俺の知ってるヤツじゃなさそうだが。

(何か聞こえたが……今は急いでるんだ。悪いな。後にしてくれ)

俺は、そのまま走り続けた。
そう時間は掛からず、正面にヨシエの姿が見えてくる。
今、ヨシエは木陰で休んでいた。

「――あっ、ディーン」

       トスッ

俺は、ペットボトルをヨシエの足元に置いた。
そして、『ワン・フォー・ホープ』をヨシエに接続する。
これで俺とヨシエは、『種族の壁』を越えて会話が出来るようになる。

《具合はどうだ?水を持ってきたぞ》

「ありがとー。ヨシエは平気だよー」

ヨシエは水を飲んでいて、俺はそれを見守っている。
そういえば、さっき『何か』…………。
そう思って、俺は後ろを振り返った。

716朝山『ザ・ハイヤー』:2019/07/25(木) 22:00:06
>>715

「うおぉぉぉ!! 中々早いっス!! 権三郎!! 私達も
負けないっス!! いざ!!! パワフル全開っスぅぅうううう!!!!!」

権三郎『(`・ω・´) パァァァウウゥゥゥ!!!』

ドタドタドタ!!!

ワンコ目がけて全力疾走っス!! そうすると、一人の女の子が見えたっス!

日射病だったりしたら大変っスけど、お水を普通に飲んでるようだし
どうやら、そこまで深刻そうじゃないっス!!

「こんにちわっス!! そこのワンちゃんが自販機の
お釣りを忘れてたっスよ!!」 スッ!!

「自分、朝山 佐生っス!! 十四歳で清月学園の中学二年生っス!!!」シャキーン!

権三郎『パウッ パゥパウッ!(僕っ 権三郎っ!)』シュタッ!

権三郎も前足上げて決めポーズ! 自分も一緒に悪の決めポーズ!!

「お近づきの印に、塩ラムネもあげちゃうっス! 暑さは油断大敵!
ナトリウムもちゃんと摂るっス!!」 シャキーン スッ!!

権三郎と私用に、真夏は何時も携行している塩ラムネをちょっと分けてあげるっス!!

717朝山『ザ・ハイヤー』:2019/07/25(木) 22:06:45

あ! 権三郎のは塩無添加のおやつっス! それを少女の
ワンちゃん(ディーン)に分けてあげるっス!

718ディーン『ワン・フォー・ホープ』&ヨシエ『一般人』:2019/07/25(木) 22:44:07
>>716
>>717

《あ、ああ……》

今まで出会った中では、あまり見ないタイプの人間だった。
どうやら、犬の方も似たような性格のようだ。
『犬は飼い主に似る』って言葉があるらしいが、まさにソレだな。

「そうなんだー、ありがとう!朝山のお姉さん!権三郎さん!
 ヨシエはヨシエだよー。嬉野好恵!」

ヨシエは、俺が忘れてきた釣銭を受け取った。
『ワン・フォー・ホープ』と接続した人間は、『犬語』が分かる。
だから、ヨシエは佐生と権三郎の二人に――いや、一人と一匹に話し掛けている。

《わざわざ悪かったな。俺はディーンと呼ばれてる。アンタも、そう呼んでくれ》

一方、俺は『権三郎』だけに話し掛けた。
『ワン・フォー・ホープ』は実体化している。
だから、それが見えたからといってスタンド使いかどうかは判別出来ない。
それに何より、俺は『犬』だからな。
『犬』が『犬』と会話をするのは、『犬』が『人』と会話をするより自然な事だ。

「ありがとー!」

ヨシエは佐生に礼を言ってラムネをもらっている。
俺も、犬用のオヤツを分けられた。
これはまだ食った事がない。

《アンタの飼い主に『ありがとう』、と言っておいてくれ。
 いや――それは無理な話だったな……。アンタが『人間語』を喋れるっていうなら別だが》

俺は、権三郎にそう言った。
『ワン・フォー・ホープ』のようなスタンドでもない限り、犬と人間が会話するのは不可能だ。
だがまぁ――――たとえ『言葉』が通じなくても、『心』が伝わる事はある。

719朝山『ザ・ハイヤー』:2019/07/25(木) 23:15:44
>>718

「おーー!!  ヨシエちゃんはとっても元気が良いっス!
けども! まだまだ私には及ばないっス!! 私のパワフルさは
星見町!! いや日本一かも知れないと言われた事もあるっスからね!」フンッ!

「佐生ねーちゃんと気軽に呼んで構わないっス! 特別っスよ!!」

クルクルッ! シュタッ シャキーン!!


>アンタの飼い主に『ありがとう』、と言っておいてくれ。
 いや――それは無理な話だったな……。アンタが『人間語』を喋れるっていうなら別だが

『・・・おや、可笑しな事をおっしゃる。死するまで寄り添え合える存在ならば例え獣の身形で
あろうとも通じえあえるものでなかろうか? ディーン殿』 パゥ・・・ワフッ

そう短く犬語で伝えると、上目遣いで主人の朝山を権三郎は見上げて特に言葉を載せない
パウッ! と言う一声を発した。

朝山「ぉ? おー!! こっちのワンちゃんと、もう友達になれたっスか?
さーすが権三郎っス!! 私に似て友達作りのプロフェッショナルっス!!
おやつのお礼なら気にしなくて良いっス! その代わり!! 権三郎の
友達になってくれたら嬉しいっス!」 ナデナデナデ!!

『・・・な』

ディーンと一緒に揉みくちゃに撫でられつつも、穏やかな同意の眼差しを
権三郎はディーンに向ける。

720ディーン『ワン・フォー・ホープ』&ヨシエ『一般人』:2019/07/26(金) 00:16:42
>>719

《悪いが、俺は『リアリスト』でね。
 言葉が通じないから伝えたくても伝えられない事もある》

《俺は『もみくちゃにして欲しい』とは思ってないからな。
 言葉が伝わるなら、どんなボディランゲージを使うよりも穏便に解決できる問題だ》

激しく撫でられながら、権三郎と佐生を見つめる。

《だがまぁ――》

《『言葉が通じなくても伝わる事がある』のは同意見だ》

   フッ――――

俺は軽く笑った。
そして、権三郎と佐生から離れて背を向ける。

《ヨシエ、俺は走って少し疲れた》

《少しの間、あっちで休憩させてくれ》

俺はヨシエに言って、少し離れた木陰まで歩いていく。
『ワン・フォー・ホープ』が解除され、元通りの『リボンタイ』として首輪に結ばれた。
黒単色――『ブラックソリッド』の短毛で覆われた後ろ姿が遠ざかる。

「分かったー。じゃあー、あっちで見ててねー」

ヨシエは、俺に手を振った。
俺は、尻尾を軽く振って、それに答えた。

「――えっとー、ヨシエとお話してくれますかー?お散歩してたんですよねー?」

「近くに住んでるんですかー?ヨシエはー、けっこう近くですよー!」

『犬』と話すばかりじゃあなく、『人』と話す時間。
ヨシエには、こういう時間も必要だろう。
『たまには』――――な。

721斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/08/19(月) 23:21:00
――それが なんでもない事のように
マリーゴールドの花束を 湖畔に放り投げた。

病院に行ったところで 愛する人達になんて声をかけたらいいのか
わからなかった から。



『遠州灘』にほど近い『H湖』のほとりには
海への視界を遮るほどの樹木が、同様に海からのべたつく潮風も遮る

夏の日差しも木の葉に遮られ
水辺で有る事が熱気をも奪う、ここは 避暑地としては中々の物だ

 「それでも、夏の氷菓子は格別だね。」

森と水場特有の匂いが、ないまぜになって鼻をくすぐるなか
『斑鳩』は 新しいアイスキャンディーを頬張りながら

カーボン製の青い釣竿を放る、鏡のような湖畔に
まっかな浮きが漂いはじめた。

今日の空模様と同じく、真っ青なクーラーボックスには
幸福な胃袋のように アイスとドリンクが詰め込まれていて

その上で 同じ色の鳥のぬいぐるみをのっけた 古ぼけたラジオが
電波を拾って 洋楽のひとつを流している。

……傍には靴下を履いたような猫が、今日の晩ごはんを期待してか
気怠そうに尾をゆらしながら丸まっていた。

722宗像征爾『アヴィーチー』:2019/08/21(水) 20:25:50
>>721

釣り道具を持った男が近付いて来た。
カーキ色の作業服を着た中年の男だ。
そう遠くない場所で立ち止まって同じように釣竿を振る。

「アビシニアンではないな」

視界に入った猫を見下ろして呟いた。
過去の一件から猫を見るとアビシニアンという単語が頭に浮かぶ。
その名前が記憶の片隅に残っている。

「――全く違う」

専門家ではないがアビシニアンとは別物である事は分かる。
仮に同じ種類だったとしても奴である筈は無い。
今頃は何処かで少なくとも生きているだろう。

723斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/08/22(木) 20:37:12
>>722


宗像征爾に見下ろされた猫は、彼に一瞬だけ目を向けると、興味のなさそうなフリをして丸まった
ただ、その瞬間 少しだけ猫の口角が上がったように見えた。


――僕が彼を見た第一印象はこうだった。

(随分とガタイのいい人だなあ)

その壮年の男性は、斑鳩よりも一回りは上の背をしていて
作業服を着た上からでも 解る程度には鍛え上げられた身体をしていた。

(でも、作業服? ここの管理人……ではないよな 服が違うし。)

あまりじろじろと見るのも失礼だろう、そう考え、視線を戻す
しかし、釣り等と言う 待ち時間を楽しむような事をしていると、どうにも妙な方に考えがいく。

赤い浮きがぷかぷかと湖面を漂う最中

――彼を見て、斑鳩は1人の女性を思い出していた
夏に会った、何処か あの景色にはちぐはぐな印象を受けた、喪服を着た女性。

 (あの人は、大切な人を失っていたんだった。)

猫がひとつ 欠伸をして起き上がる。

 (……まさかな、僕の考えすぎだとも。)
 (でも愛犬を失った傷心を釣りで癒してるとかだったら、傷つけたりとかしたくないなあ……そっとしておこう。)

ふと思い出し、勝手についてきた雑種の猫に話しかける

 「君も邪魔するなよ、スリープ……」

 「あれ?『スリープ・トゥギャザー』?何処行った?」

困惑しつつも周囲を見渡して、驚愕と呆れに斑鳩は固まった
壮年の男、『宗像征爾』の背後に、いつの間にかこっそりとあの猫が忍び寄り、魚を釣る為の餌を貪り食う為に探している。

 意地の悪い笑みを湛えながら。

724宗像征爾『アヴィーチー』:2019/08/22(木) 22:03:13
>>723

猫を見て思い出したのは奴を殺し損ねた事だった。
その考えは間も無く霧散する。
既に過去の一部だ。

「君は俺より経験が有りそうだな」

釣り糸を垂らしながら少年に声を掛ける。
特に含みの無い口調だ。
視線は湖面に向いていた。

「俺は一匹も釣れた事が無い」

釣りを始めたのは最近の事だった。
これといった理由は無い。
釣具も借り物だ。

「何かコツがあれば教えてくれないか」

男は移動した猫に気付いていない。
そもそも注意を払ってさえいないだろう。
見つからない限り何をしようと自由だ。

725斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/08/22(木) 23:40:16
>>724

宗像に話しかけられて、少年は周囲を見渡す
勿論周りには斑鳩以外に当てはまる人物はいなさそうだ。

 「……あっ、僕?」

間抜けな声が出た。

(やばい。)
(あの剃刀のような眼ならサックリやりかねない。)
(口調が優しい所が、むしろ怖い。)

彼の背後で餌を盗もうとしている猫に、可愛げはまったくない
ましてやスタンド使いの猫である、ついた知恵を、いかに腹を満たすかに使う猫である

だが、ここで見捨てるのも後味が悪かった
なにせここで捨て置いたら、後日、東京湾に猫入りコンクリが浮かびかねない(と、彼は思っている)のだ。

(何とかして、猫の事をバレる事無く、こちら側に引きずり戻さねば……!)
(彼が、湖面をまだ!見ている内に!)

斑鳩は額から汗が流れないように祈った。
割と真剣に神様にお祈りした。

そして何とか上ずらないように舌を回し始めた。


 「そうだな、僕の爺さんの受け売りで良いなら話せるよ」
 「でも、人の事を『あんた』って呼ぶのは気が引ける、年上なら尚更。」

(考えろ……何とか考え出さなくては。)

 「名前を聞いていいかい?」
 「僕は斑鳩だ、斑鳩 翔。 ……空は飛べないけど。」

……ウキは未だに魚1つかかる気配がない。

726宗像征爾『アヴィーチー』:2019/08/23(金) 17:20:31
>>725

少年が何を考えているか分かる筈も無い。
その逆も同じ事だろう。
お互い様だ。

「空を飛べないのか?」

相変わらず魚は食い付かない。
腕が悪いのか道具が悪いのか。
あるいは両方という可能性もある。

「――俺も飛べない」

水面に浮かぶ枝から鳥が飛び立つ光景を目にした。
飛べない鳥は存在するが空を飛べる人間は滅多に見かけない。
少なくとも常識の範囲内の話だが。

「宗像征爾――」

主に意識を向けているのは湖と少年だ。
今は振り返る必要も無かった。
猫が餌を盗もうと思えば何の支障も無い。

「そういう名だ」

湖面から少年に視線を移す。
挨拶する時ぐらいは顔を合わせるべきだろうという考えがあった。
最低限の礼儀という奴だ。

727斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』:2019/08/23(金) 19:54:35
>>726

「むなかたさん、だね 宜しく。」

宗像の礼節に対して礼を返し、竿を右手に持ち替え、湖面に向き直る
斑鳩はそのまま背後に視線が行かない事を祈るしかない。

(釣りの事で、尚且つ即座に効果があるアドバイスと言えば、アレくらいか
 上手くいけば、彼はその場からは動かないし、湖面にも視線を集中させられる。)

心の中で深呼吸を一つ。
友人に話しかけるような気楽さで舌を回すべきだ。

「それじゃ、僕の爺さんから聞いた話だけど」
「普通の池なら、魚が隠れる事が出来る水草の周りを狙うらしい、でも」

手近な葉の一枚を千切って、池に投げ込む
ふらふらと空中を漂いながら、湖面に着水した葉っぱはそのまま……

漂わずに、一直線に流れていく
方向は【遠州灘】の方角だ。

「この池は、海に向かって行く 『流れ込み』 がある」
「水が混ぜられて、酸素や、餌になる虫とかが多い場所、魚もそこに集まる。」

斑鳩の視線がチラリと宗像の背後を見た
その後すぐに視線を戻す

汗は夏だからと言い訳もつくが
焦りに口調を変えないように努めるのは骨が折れる。

「後は、針を垂らせばいい 魚が待ち伏せしていた『餌の一つ』みたいに、だ」

 ゴホン ゴホン

「『馬鹿な魚が勝ち誇ったように食らいついた時、既にソイツは儂が釣り上げている』」

態と喉を抑え、しわがれた様な老人の話し方をする
おそらく彼の祖父の真似なのだろう。

「そうやって、魚を騙すのが楽しいんだって、捻くれた爺さんだと思うけど。」
「……でも、一番は待つのを楽しむ事だと思うな!うん!」

最後の言葉は斑鳩にとっては事実だが
同時に嘘も混じっていた。

(……そうじゃないと、『猫がスリしようとしてる背後』とかに、注意とか行くかもしれないからね!)
(後少しだけそのまま見ててくれよ、僕の『スタンド』の準備が完了するまでは。)

クーラーボックスの上、ラジオが一つの放送を終え、別の洋楽をかけ始める、そして

宗像の視界外、斑鳩少年の左腕には『半透明の鎖』が巻き付き
その掌には直径9cm、鎖を結合して作られた、銀色に鈍く輝く『スタンドの鉄球』が、僅かに造形を変えながら出番を待っていた。

728宗像征爾『アヴィーチー』:2019/08/23(金) 21:49:51
>>727

助言を受けて水中に沈んだ釣り糸を引き上げる。
当然のように当たりは来て無い。
それを確かめてから竿を軽く振り被った。

「分かり易い説明で助かる」

再び仕掛けを投じたのは先程とは違う位置だ。
後は同じようにしていれば良い。
掛からなければ何か他の要因があるのだろう。

「俺が釣れたら君の爺さんに礼を言っておいてくれ」

視線の方向は変わらない。
陽光を照り返す湖に注がれている。
そこから動いたとしても大きく逸れる事は無い。

「釣れなければ餌が悪いのかもしれないな」

依然として猫の動きは自由だ。
鎖のスタンドも確認は出来ていない。
それに気付くとすれば何かが起きた後になる。

729斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/08/23(金) 23:27:36
>>728

 「それは……どうも、爺さんも喜びますよ。」

(こういう人を騙してるのは気が引けるなあ……けど。)

 「幸運を」

猫を捕まえる準備は整った、後はチャンスだけだ
そしてそれは来た 湖面に浮かぶウキが沈んだ、宗像の竿に魚が食いついたのだ。

針の先にあるものが鮎か鱒かハゼか、はたまた根がかりかは知らないが

 (――きたッ!)

宗像が自らの浮きに目を奪われた瞬間に、行動を起こす。
回転、投擲、分離。

左手から遠心力で音もなく放たれた鉄球は、中にある5mの鎖を、引きずり出しながら猫に向かって飛翔し
同時に、鉄球は分割し、ボーラのようになって猫の腹に巻き付き、再結合してそれを引っ張る。


 だが、そう上手くはいかなかった
 人生とは失敗の連続である。


ボーラは、猫の胴体には確かに絡みついた
結合も出来た、無事に引っ張りもした。

そして猫、『スリープ・トゥギャザー』は引っ張られた瞬間
手近にある物に、反射的に『爪を出してしがみつこうとした』

具体的に言うと宗像の靴に。

畳をかぎ爪で引っ掻くような
特徴的な破壊音と同時に、靴のかかとに亀裂が走った。


同時に、鎖が巻き付いた胴体を中心に、『猫の下半身が分離して』斑鳩に向かって飛んできた。
――飛び蹴りの態勢で。

 「ぶっ!?」

 直撃。

頬に肉球の跡を付けて、斑鳩がひっくり返ったのと、
猫が前足だけで「ザマーミロ」とでも言うかのように顔を洗い出すのは、ほぼ同時だった。

730宗像征爾『アヴィーチー』:2019/08/24(土) 00:04:01
>>729

セーフティーブーツの踵に爪痕が走った。
その音を聞いて自分の足元に視線を向ける。
自然な流れとして両方の目が猫の姿を捉えた。

「さっきの奴らしいな」

餌として持参した魚肉ソーセージを狙っていたか。
どうでも良い事だ。
そいつがスタンド使いという事実に比べれば取るに足らない。

「――大丈夫か」

続いて少年の方へ視線を動かして言葉を投げ掛ける。
一撃を食らったようだが重傷を負わされたようには見えない。
少なくとも救急車を呼ぶ必要は無さそうだ。

「スタンド使いの猫――」

引いている竿を無視して再び猫を正面から見据える。
また出くわす事になるとは思いもしなかった。
だが考えてみれば意外な話でも無い。

「ここにもいたか」

スタンド使いの人間は数多く存在する。
猫であっても例外にはならないだろう。
複数いるのは当然の事だ。

731斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/08/24(土) 00:49:57
>>730

「この糞猫が……!」

悪態と共に咳込み、すぐに立ち上がって衣服を払う
ダメージは無いが、スカーフに土片が付かないかだけが心配だ

腕時計にも傷が無い事を確認して安堵し、彼に言うべき事が有る。

「すいません、その猫のコンクリ詰めだけは、どうかご勘弁を!
 ちょっとお腹減ってるだけなんです!靴の方は弁償を……できたらいいなあ。」

情けないが安易に責任が取れるわけでも無い以上、迂闊に発言するのは無責任である
そんな自分の焦りとは裏腹に、猫の方は宗像の足元で呑気に顔を洗っている

そして猫の下半身が『瞬間移動』して上半身にくっついた
切断面はもうどこにも見えない。

「……違うんです、それはマジックです、人体切断に類する感じの。」

自分で言っておいて何だが大分苦しいと思う
小学生すら騙せるか疑わしい。

「早く戻れ『スリープ・トゥギャザー』!」
「お前の……えーと……『スタンド』?」

靴下を履いているような柄をしたその猫は
傍目にはまったく他の猫と変わらない

指を鼻の前に差し出せば、反射的に嗅ぐ猫である。
ただし『体をバラバラにして瞬間移動できる』という点を除けば、だが。

「……もしや」
「宗像さん、『新手のスタンド使い』?」

宗像の発言にようやく思考が追い付き
斑鳩は一歩距離を取った。

猫は宗像に視線を合わせた後、鼻をひくひくさせ
目を輝かせている、当然諦めていない。

732宗像征爾『アヴィーチー』:2019/08/24(土) 01:20:58
>>731

魚肉ソーセージの束から一つ取り出してフィルムを剥がす。
それを丸ごと猫の足元に放った。
何処にでも売っている何の変哲も無い代物だ。

「弁償する必要は無い」

一連の行動を済ませた後で思い出したように竿を引き上げる。
針の先に魚はいない。
上げるのが遅かったせいで餌だけ取られたようだ。

「傷が一つ増えただけだ」

仕掛けを確認してから少年に向き直った。
視線は鎖のスタンドに向けられてる。
それが見えている事は明らかだ。

「ああ――」

スタンド使いの猫とスタンド使いの人間か。
それ自体は別に不思議な事でも無い。
両方と同時に遭遇する機会は多くないだろうが。

「そういう事になるな」

距離を置いた少年に変わらない口調で言葉を返す。
その場からは動かない。
動く理由が無いからだ。

733斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/08/24(土) 19:00:57
>>732

足元に放られた それ に視線を移すと
ピンクの鼻を引くつかせながら近寄り
靴下のような前足で、器用に引き寄せて齧りつく。

(なんと言うか、一度や二度ではなさそうだな)

そんな猫と彼の様子を見ながらそんな事を考えた
彼の冷めた態度に起因している事も大きいのだろうが
妙に落ち着いているように見える

 「ああ、良かった……それはどうも。」

これなら猫は放っておいていい。

そう判断すると『鎖』を消し、再び放ってった釣竿を持ち上げる
斑鳩の竿の先にも餌は無い、クーラーボックスから取り出して粘土のような餌を引っかけ、放る

 「けどまさか、隣の人が偶々、同じとは……」

 「探すと見つからない物なのになあ。」

(しかし、この落ち着き用はそれ以上と言うべきか
 この人は何度遭遇して、何回戦っているのだ?そして……)

口から出そうになった疑問を飲み込んだ
何人殺しているのだ?等と、聞けるわけもないし
聞いても何も意味が無いだろう。

734宗像征爾『アヴィーチー』:2019/08/24(土) 21:30:51
>>733

針に餌を付け直して水面に投じる。
猫は好きにさせておく。
悪知恵が働くようだが今は放置しても問題は無いと判断した。

「俺も驚いた」

スタンド使いはスタンド使いと遭遇しやすいらしい。
だが日常的に出くわす存在でもない。
ここで出会った事に驚きがあったのは確かだ。

「隣の人間が偶然スタンド使いだった――か」

不意に硯研一郎の事を思い出した。
斑鳩と硯が同じぐらいの年齢に見えるからだろう。
硯もスタンド使いであり俺は彼と敵対した経験がある。

「――次に出会う時は敵同士かもしれないな」

変化の無いウキを眺めながら呟く。
あくまでも可能性の一つに過ぎない話だ。
しかし可能性は常に存在する。

735斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/08/24(土) 23:23:14
>>734

クーラーボックスから餌ついでに
アイスキャンディーと瓶入りコーラを取り出し
コーラの蓋を齧って飛ばす。

 「……あんまり、ぞっとしない話だな」

敵同士というのは、有り得ない事では無い
斑鳩の目的を妨害するか、両親を馬鹿にされれば
斑鳩は嫌でも自分から仕掛ける他は無い。

 「傷つくのも、傷つけられるのも好きではないし
  見知った人間なら尚更に。」

かつて共に戦った硯という男を思い出す
自分とは正反対の彼、あれから如何しているのだろうか
まだこの町の何処かで、不良相手に大立ち回りをしているのだろうか

勿論、斑鳩はその彼が、隣の宗像と敵対した事など知らない。

 「――じゃあ、次が味方だという事を祈っておこうかな、祈りは誰の邪魔にもならないし。」

猫はひとしきり食べ終わったらまた眠くなったのか
クーラーボックスの日陰でまた丸まり出した。

……ラジオからは相変わらず、古い洋楽が流れ
ウキは鏡のような湖面に沈む様子すらない。

736宗像征爾『アヴィーチー』:2019/08/25(日) 00:28:10
>>735

俺と斑鳩が敵同士になる可能性は極めて低いだろう。
硯と出会った時も同じように考えていた。
だが実際は敵対する事になった。

「同感だな」

大きな憎しみは相応の諍いを呼ぶ。
それが無かったとしても立場や価値観の違いで争いは起きる。
あの時も状況は似たようなものだった。

「気分の良い事じゃない」

それは紛れも無い事実だ。
だが各々に譲歩出来ない理由があれば話は違う。
それぞれの目的を達成する事を最優先に考えなければならなくなる。

「いや――」

釣竿を握ったまま自身のスタンドを傍らに発現する。
人型のスタンドだ。
ノコギリザメの意匠が施された右腕からは1m程のノコギリが伸びていた。

「俺は君のスタンドを見たが君は俺のスタンドを見ていない」

仮に敵対する事があったとして相手のスタンドを見ている方が幾らか有利になる。
その考えに従うと今は俺の方に多少の利点が存在する事になるだろう。
互いに相手のスタンドを見た事があれば情報の差は縮まる。

「――これで公平だ」

それだけ言ってスタンドを解除する。
実際に争いが始まれば相手を気に掛ける余裕は無い。
だから今の内に胸の痞えを取り除いておきたかった。

737斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/08/25(日) 01:41:03
>>736

左腕に『ノコギリザメ』の意匠を持つ
人型の近距離パワー型スタンド、『アヴィーチー』

斑鳩はそのスタンドを見た時
意図がまるで読めなかった

彼も争いを嫌悪し、それでもいずれ敵対するのなら
それは本来秘匿されるべき物だったからだ

見せた所で抑止にはならず
何の利益も無いのだから。

ただ、彼の、『公平』という言葉に
心の中で すとん と音がして、納得がいった。

 「――ああ」

人が言葉で伝えられるものは5%にすら満たないという
だが彼の行為と言動で、ほんの僅かにでも解った気になれたかもしれない。

 「……宗像さん、その生真面目さで苦労しますよ、絶対。」

苦笑交じりに、笑いながら斑鳩はそう零した
例え自らにとって不利益でも、筋を通すその真面目さが

敬愛する父を思い出す様で、嫌いではなかったから。

738宗像征爾『アヴィーチー』:2019/08/25(日) 02:10:35
>>737

敵になる事は望まないが万一という事もある。
いざという時に躊躇わないようにしておくという考えもあった。
その機会が訪れないのが最良である事は言うまでもないが。

「これでも俺は義理堅い主義だ」

受けたものは返す事にしている。
それが恩であれ仇であれ差別は無い。
俺は必ず返す。

「――君にも礼を言わなければならないな」

竿を握る手に力が入る。
沈んだウキの周辺の湖面に波紋が生じる。
どうやら獲物が掛かったようだ。

「助言を与えてくれた事に感謝する」

言葉と同時に水中から仕掛けを引き上げる。
針の先には一匹の鮎が食い付いていた。
そこそこの大きさだ。

739斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2019/08/25(日) 04:42:04
>>738

この出会いで一番良かったのは、彼の『スタンド』がどう見ても
『両親の精神を回復できるスタンド』では無いと言う事だ。

 「どういたしまして。」

……これで、『僕達』に後悔はない 『両親』 の為に
彼と戦う事が有っても、善悪関係なく、何の後悔も、ためらいもなく殺せる。

覚悟が有るかは、殺した後に解るだろう。

 「――初の釣果、おめでとう。」

透明な氷片を入れたような瞳で彼を見る

感謝の言葉を、どちらにどういう意味で言ったかは
僕自身にも解らなかった。

釣り針の先にかかった鮎の鱗が、夏の陽光を反射して煌めく

水音とラジオの音楽がない交ぜになり、仄かに潮の香りが漂い始めた
8月の終わりに近い、ある夏の休日の事だった。

740鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/09/09(月) 22:03:25
夜の公園。その敷地の中で奥側に位置する、静かに佇む木々の群れ。
そこに一人の学生服の少年が立っていた。
既に辺りは暗くなっているが、スマホの明かりを胸ポケットから付けて視界を確保している。

「・・・・・」

『シュッ!』

手にした何かを、5mほど離れた所にある木に向かって投げているようだ。
ただ、もしそれを近くで見る人がいれば気付いたかもしれない。少年の手は投擲物を持ってはいるが、動かずにそれが放たれている事に。

741比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/09/10(火) 20:55:53
>>740

「――あれは……?」

モノトーンのストライプスーツとフェドーラ帽を身に纏った男が、公園内を歩いていた。
仕事を終えた後の軽い気分転換のつもりで立ち寄ったのだ。
ふと視線を向けると、木々の間から光が漏れているのが見える。

(さて……『君子危うきに近寄らず』、『触らぬ神に祟りなし』とは言いますが……)

そのまま通り過ぎても良かったが、少し興味が湧いた。
そこにいるのは誰で、何をしているのか。
だから、確かめてみる事にした。

(とはいえ――絶対に『危険』がないとも言い切れません)

    シュンッ

手の中に五枚の『カード』――『オルタネイティヴ4』を発現する。
もう片方の手で一枚を抜き取ると、『カード』は『白い兵士』に変わった。
胸に刻まれたスートは『スペード』だ。

(念の為に、遠くから確認させてもらいますよ)

林に背を向けた本体は、近くに設置されてあるベンチに腰を下ろす。
同時に、『兵士』が光の方へ進んでいく。
その先で見つけたのは、制服姿の少年だった。

(これは少々意外ですね。見た所、素行の悪いタイプでもなさそうですが……)

何かを投げているようだが、何を投げているだろうか?
それを見極めるために、彼の手元を注視していた。
そうすると、妙な事に気が付いた。

(――手が動いていない?これは、ますます『奇妙』ですね……)

物陰に隠した『兵士』の視界で、少年の行動を観察する。
手を動かさずに物を投げる事など、普通は出来ない。
そう、『普通』なら――。

742鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/09/10(火) 21:27:23
>>741

『オルタネイティブ4』───発現した『スタンド』に偵察をさせ、少年の行動を伺う。
彼が手にし、また木に向かって投げつけていたのはどうやら『ダーツ』のようだ。
手が加えられているのか、木の表面に突き刺さる程度には鋭くなっている。

『ズキュウン!』 『シュッ!』

少年は、またもや鋭い軌道でダーツを投擲する。そして比留間は気付いただろう。
彼がダーツを所持している手、そこから幽体離脱かのように『騎士』のような腕が浮き上がり、
少年の手からダーツを抜き取り、代わりに木へ目掛けて投げつけているのだ。
間違いなく、『スタンド』だろう。

743比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/09/10(火) 22:28:34
>>742

(――なるほど。大体は分かりました)

夜中に人目につきにくい場所で、『スタンド』を使ってダーツを投げている。
これらから導き出されるのは、訓練をしているらしいという結論だ。
『力』を手に入れた人間なら、確かに練習は必要だ。

(しかし、『改造ダーツ』とは……。随分と物騒な小道具ですね)

ただ練習するためだけに、そんな物を用意したのだろうか?
自分が同じ立場だったとすれば、もっと身近な物で済ませる。
もっとも、何かしら『明確な目的』があるなら話は違ってくるが。

(単なる当て推量ですが――彼には何か目的があるのかもしれませんね……)

これで『誰が何をしているのか』という疑問は解決した。
このまま帰っても良かったのだが、少々惜しいような気もする。
自分と同じような力を持つ人間に出会った経験は少ない。
他のスタンドに関する知識も、十分とは言えない。
ここで『情報』を得ておくのは悪い事ではないだろう。

              ガサッ

(……おっと)

よく見ておこうと『兵士』を動かした拍子に、草が揺れる小さな音がした。
決して大きな音ではないが、人気のない林の中では目立ってしまう。
『兵士』は隠れているので見られないとは思うが、出てしまった音までは隠せない。

744鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/09/10(火) 22:51:52
>>743

>              ガサッ

「ッ?!」

「・・・・・・・・・・」

突然の草の揺れる音に反応して 、そちらを振り向く。
しかし、特に何か変わったものは見えない。
ただの風や小動物ならいいが、万が一そうでなかった場合少々面倒な事になる。
一応言い訳は用意してある、このまま大事はされたくない。
念のため『シヴァルリー』を前に発現しながら音の方へと近寄っていく。
一般人なら見えはしない、特に警戒させることはないだろう。

745比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/09/10(火) 23:23:42
>>744

『騎士』のスタンドを正面に立たせ、音の方へ近付いていく。
少なくとも人間ではないだろう。
そこは人間が身を隠せるような場所ではなかったからだ。
風や小動物の可能性はある。
あるいは、『別の何か』か。

(やはり気付かれましたか……。ですが――)

――――シュンッ

見つかってしまえば厄介な事になりかねない。
彼が危険な人物でなかったとしても、『隠れて見ていた』というのは攻撃される理由に成り得る。
そうなる前に『兵士』を解除する。
解除された『兵士』は『カード』に戻り、再び手の中に戻ってきた。
彼が辺りの物陰を探したとしても、そこにスタンドが潜んでいた証拠は何も残らないだろう。

(……私も、まだまだ訓練が足りませんね)

音に近付いた時、林の向こう側に設置されているベンチが見えた。
そこには一人の男が座っている。
背中を向けているため、どんな人物かは定かではない。
しかし、鉄が林に入った時には誰もいなかったはずだ。
その後で来た事は間違いない。

746鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/09/10(火) 23:55:35
>>745


『コ゛コ゛コ゛コ゛コ゛』


「・・・・・」

『ガサッ』

「・・・・・何もない、か」

少し神経質過ぎたか。流石にこのスペースに人間が隠れられるはずもない。
そして人間だとしたら、瞬間移動でもなければ見つかるはずだ。
もしそれが人間ならば、だが。あるいは人間だが、超能力を持っていれば話は別だ。

「・・・・・あの人は」

自分の記憶が正しければ、先程はいなかったはずだ。
これはただの偶然かもしれない。しかし、丁度休憩するのもいいと思っていた所だ。
木に突き刺さったダーツを回収すると、ポケットに入れてスマホの明かりを消してベンチの方へと歩いていく。

「こんばんは」「隣に座らせて頂いても、よろしいですか?」

747比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/09/11(水) 00:29:32
>>746

ベンチに歩いていくと、やがて男の顔が見えた。
年齢は三十台前半といった所だろう。
優男風の顔立ちだ。

「――ええ、構いませんよ。どうぞ、ご遠慮なく」

         ――――フッ

あくまで自然な態度を装い、少年の言葉に応じる。
そして彼が近付く前に、手元にある『オルタネイティヴ4』を解除した。
これで完全に証拠は消せるはずだ。

「この辺りを散歩するのが趣味でしてね。よく来るんですよ。
 明るい内に訪れるのも良いですが、夜は夜で違った趣がある」

「静かで――それでいて少しばかり非日常的で……。
 特に考えが纏まらない時は、こうした場所で思索に耽る事にしているんです」

何気ない調子で滑らかに口を開く。
ただし、これは『嘘』だ。
そういう趣味がある訳ではなく、たまたま気が向いたから来ただけに過ぎない。
自分の趣味は、『嘘をつく事』だ。
実害を及ぼさない『小さな嘘』をつく事が、自分にとって何よりの楽しみと言える。

「失礼ですが、あなたは何を?学生の方のようですが……」

「――ああ、いえ。他意はありませんよ」

『名目上』の自分の目的を語った上で、続けて相手に話を振る。
さっき目撃した光景に関して、より詳しい事情を知りたいからだ。
もっとも、彼が素直に事実を話してくれるとは思っていない。
何しろ、人目につかない場所を選んで投擲練習をしていたくらいだ。
だから、まず彼の返し方を見てから次の言葉を考えるつもりだった。

748鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/09/11(水) 00:39:23
>>747

「ありがとうございます」ペコリ

一礼をして、隣に座る。同時に『シヴァルリー』を解除。
決して警戒を解いたわけではないが、同時にもし相手が『スタンド使い』なら、相手にいらぬ警戒をさせるかもしれない。
そして仮に彼が『スタンド使い』なら、あの場面は見られていると考えていいだろう。
いきなり『スタンド』を発現した男に声をかけられて、全く動揺がないのは流石に不自然だ。
とはいえ、一般人である可能性が一番高い。取り越し苦労ならそれでいい。


>「静かで――それでいて少しばかり非日常的で……。
> 特に考えが纏まらない時は、こうした場所で思索に耽る事にしているんです」

「確かに、住宅街や繁華街とは違ってこういった場所には独特の静けさがありますね」
「オレもあなたと同じく、集中したい時などはよくここを訪れています」

「特に、少し『特訓』などをしたい時には」
「家の中でやるよりも、やはり外の方が身体も動かしやすいですし」
「申し遅れました。オレは鉄 夕立、清月学園高等部二年生。剣道部に所属しています」

749比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/09/11(水) 01:11:54
>>748

「あなたは真面目な方ですね。とても礼儀正しく、誠実な印象を受ける。
 初めて会った私が言うのも変な話ですが、そういった姿勢は見習いたいものです」

そう思ったのは本当だった。
『近頃の若者は』などという言葉があるが、彼には当てはまらないようだ。
そんな鉄に嘘を言った事に対して『罪悪感』を覚えた。
だが、同時に『心地良さ』も感じる。
これこそが、自分が『嘘』をつく理由なのだ。

「ご丁寧な挨拶、恐縮です。
 私は比留間彦夫という者で、『司法書士』をさせて頂いております」

これは嘘ではない。
名前や職業を偽るのは、自分にとっても相手にとっても実害に繋がる可能性が出てくる。
そして、教えたとしても不利益にはならないだろう。

「『剣道部』――では、今夜も『特訓』のために来ておられた訳でしょうか?
 見た所、『竹刀』などは持っていらっしゃらないようですが……。
 失礼、どうも『剣道』というと『竹刀』のイメージが強いもので」

鉄の周りを軽く見回してから、そう尋ねる。
自分が見た限りでは、剣道に関する道具などは持っていなかったようだった。
もちろん、あれが剣道の特訓ではない事は分かっていたが。

750鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/09/11(水) 01:28:17
>>749

「ありがとうございます。…ですが、自分はまだまだ若輩者で」
「正しくあるというのは難しいことだというのを、この前も痛感したばかりです」

いざとなれば、力尽くでも一般人から『霧絵』から情報を得ようとした。
『通り魔』を追うため、あるいは同じような犯人を捕まえる為にどうしても必要ならば、正しくない事も行うつもりだ。
ただ、そのハードルは低くてはならない。限界まで、諦めてはいけない。
それを止めてくれた『立石』さんには、改めて感謝しかない。

「『比留間』さん、ですね。よろしくお願いします」

再度、一礼。この人は自分を褒めてくれたが、比留間さんこそ礼儀正しいと思う。
それも自分とは違って、柔軟な印象を受ける。『司法書士』には法に関する書類を作成する仕事という
大雑把な認識しかないが、それでいてこうも人当たりに優れているとは。
それとも仕事関係なく、比留間さんの生まれながらの人格かもしれないが。

「・・・・・・・・」
「はい、今夜は道具を持ってきていません。というのも、今日は『剣道』の特訓ではなかったので」
「もちろん竹刀がなくても身体を鍛えることはできますが」
「…コレ、ですね」

そう言って胸ポケットからダーツの羽を見せる。
誤魔化すことはできたが、この人からは誠実な印象を受ける。
なるべく嘘はつきたくないし、悪意のない相手に、上手に嘘を付く自信もない。
もちろん、何故ここでと質問が来るかもしれない。さて、その場合はなんと答えたものか。

751比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/09/11(水) 02:04:36
>>750

「それは――『ダーツ』……ですか?
 確かに『剣道』に『矢』は使いませんね。『弓道』なら分かりますが。
 鉄さんは、ダーツがご趣味で?」

見せられたダーツの羽を見て、意外そうな表情を見せる。
既に見ていたので、これは演技だ。
さっき見た時は、本当に意外ではあったが。
ポケットから出して見せないのは、先端を鋭く尖らせてあるからだろう。
その事は確認済みなので、こちらから突っ込むつもりもない。

「自然公園でダーツというのも珍しいですが、目新しい新鮮さがありますね。
 気分が変わって、良い投げ方のコツが掴めるかもしれませんし」

「何年か前に、私も少しばかり挑戦した事がありますが、さっぱり上達しませんでした。
 きっと投げ方が悪いんでしょうね。
 鉄さんのように外で投げてみたら、良い練習になったかもしれませんね」

『ダーツを嗜んだ経験』というささやかな嘘を織り交ぜ、鉄の言葉に応じる。
彼が話しているのは、確かに事実だ。
ダーツの練習をしていたのは紛れもなく真実なのだから。

「鉄さんは、いつ頃からダーツをなさっているのでしょうか?
 私なんかは、『屋内』でしかした事がありませんからね。
 『屋外』で練習とは、かなり気合いが入っているように見受けられましたので」

「――もし何かコツなどあれば、ご教授願えませんか?
 やはり『手首』の動きでしょうかねえ」

片手を上げて、軽くダーツを投げる真似をして見せる。
あまり踏み込みすぎると、逆にこちらの首を絞めかねない。
突っ込む場所を慎重に吟味し、必要ならば何時でも引く心構えをしながら問い掛ける。

752鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/09/11(水) 21:44:52
>>751

「──────────」

「『今日から』、ですね」

「今のところ趣味ではありませんが…これを機に、案外ハマるかもしれません」

あからさまに不自然だと我ながら思う返答をしつつ。静かに比留間さんの瞳を覗く。
これ以上の説明をするなら、自然と『スタンド』の話題に踏み込むことになる。
だから、その前に確認しておきたい。果たして、この人は『一般人』なのか?

『剣道部』が特訓をしていると聞き、『竹刀』の有無を訊ねる。それは不自然ではない。
が、中にはどこか見えない所に置いているのか。あるいは筋トレの類なのか。
そう納得してそれ以上訊ねない可能性もある。あえて、それを訊いたのは、既に見ていたからなのでは?
だから、ここで分水嶺を作る。

「ですから、オレにはとても比留間さんに教えられることなどありません」
「・・・・・」「ただ一つ言えるなら」
「『超能力』があるならば、あるいは」

さて、どう出るか。一笑に付すか、更に質問を重ねてくるか。あるいは───。

753比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/09/11(水) 22:54:52
>>752

「ああ、そうですか。いや、失礼しました」

軽く微笑して、事も無げに返す。
今日から始めたなら、なおさら屋内でやるだろう。
第一印象でもそうだったが、あまり嘘をつくのが得意なタイプではないと感じた。

「『超能力』…………ですか?つまり、透視とか念力といったような類の?
 それとも、それくらい凄い特技という意味の比喩表現でしょうか?」

驚きと困惑の入り混じった表情を浮かべる。
いきなり超能力と言われた場合の一般人のそれだ。
それから少し考え込んでいたが――。

「――ええ、『ありますよ』。良ければ、お見せしましょうか?」

そう言って、懐から封筒を取り出す。
何の変哲もない『茶封筒』だ。
その中に入っていた『三枚のカード』を、ベンチの座面に並べる。

「この中から一枚選んで、その上にこの『マッチ箱』を置いて下さい。
 少しお時間を頂けるなら、私の『予知能力』をご覧に入れましょう」

『赤』、『白』、『青』の三枚のカードが並べられている。
そして、鉄に『マッチ箱』を差し出す。
後は、彼に選んでもらうだけだ。

754鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/09/11(水) 23:07:58
>>753

反応を見た雰囲気は、限りなく『シロ』に近い。
これでもし比留間さんが『クロ』ならば、相当に嘘が上手い人間なのだろう。
そして嘘を付くにはそれなりに理由があるはずで、その内容次第ではこちらも警戒すべきだ。
とはいえ、単に『スタンド使い』を危険だとみなし、あまり関わり合いたくないだけの可能性もあるが。

>「――ええ、『ありますよ』。良ければ、お見せしましょうか?」

「…是非」コクリ

頷き、次の動作を待つ。
果たして彼がスタンド使いなら、一体どんなスタンドを出してくるのか。
懐に手を伸ばした。『道具型』ということか?
しかし、そこに出されたのは一般的な茶封筒だ。これが比留間さんの『超能力』だというのだろうか。

「…『手品』ですか?」

トランプとは違うような、謎のカードが中から出てきた。その上に『マッチ箱』を置いてみてほしいと彼は言う。
それはあたかも手品のようだ。

「失礼ながら、『マッチ箱』の中身を改めさせて頂いても?」

755比留間彦夫『オルタネイティヴ4』:2019/09/11(水) 23:27:29
>>754

スタンドの能力は多種多様だ。
あるいは、『カード』に関するような能力もあるのかもしれない。
事実、鉄の目の前にいる男が『それ』なのだから。

「ええ、もちろん。確かめて頂いた方が、当てた時の効果が大きいですからね」

『マッチ箱』は、ごく普通の品物のようだった。
中には当然のように『マッチ』が入っている。
そして、それ以外は何も入っていない。
変わっている事と言えば、『トランプ』を思わせる絵柄であるという事くらいだ。
どうやら外国のものらしい。

「――確認が済みましたら、お願いします」

ふと、スカイモールで出会った女性を思い出した。
彼女にも、同じような事をして見せたからだ。
塞川という名前だった。
彼女も『スタンド使い』だった。
そして――『自分』も。


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