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【場】『 湖畔 ―自然公園― 』

1『星見町案内板』:2016/01/25(月) 00:04:30
『星見駅』からバスで一時間、『H湖』の周囲に広がるレジャーゾーン。
海浜公園やサイクリングロード、ゴルフ場からバーベキューまで様々。
豊富な湿地帯や森林区域など、人の手の届かぬ自然を満喫出来る。

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                 ミ三ミz、
        ┌──┐         ミ三ミz、                   【鵺鳴川】
        │    │          ┌─┐ ミ三ミz、                 ││
        │    │    ┌──┘┌┘    ミ三三三三三三三三三【T名高速】三三
        └┐┌┘┌─┘    ┌┘                《          ││
  ┌───┘└┐│      ┌┘                   》     ☆  ││
  └──┐    └┘  ┌─┘┌┐    十         《           ││
        │        ┌┘┌─┘│                 》       ┌┘│
      ┌┘ 【H湖】 │★│┌─┘     【H城】  .///《////    │┌┘
      └─┐      │┌┘│         △       【商店街】      |│
━━━━┓└┐    └┘┌┘               ////《///.┏━━┿┿━━┓
        ┗┓└┐┌──┘    ┏━━━━━━━【星見駅】┛    ││    ┗
          ┗━┿┿━━━━━┛           .: : : :.》.: : :.   ┌┘│
             [_  _]                   【歓楽街】    │┌┘
───────┘└─────┐            .: : : :.》.: :.:   ││
                      └───┐◇      .《.      ││
                【遠州灘】            └───┐  .》       ││      ┌
                                └────┐││┌──┘
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★:『天文台』
☆:『星見スカイモール』
◇:『アリーナ(倉庫街)』
△:『清月館』
十:『アポロン・クリニックモール』
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214雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/07/29(金) 01:34:58
>>213

「いえ。コインもおひねりも必要はありませんよ?」

「私、暇を持て余しただけなので」

黒い髪、黒い瞳。
だが、その瞳は黒すぎる。おそらくカラーコンタクトだろう。
薄手のカーディガンを羽織り、ズボンをはいている。
服はゆったりとしたサイズのものを着ている。
髪には前髪を分けるために四つ葉の装飾のヘアピン。

「あぁ、警戒なさらず。私、雑賀華(さいか はな)と申します」

「サイカでも、ハナでもお好きなように」

手のコインをカーディガンのポケットに突っ込む。
握り込んだ拳をポケットから出して、開いて見せた。
その手には一輪の花。

「いります?」

215稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/07/29(金) 22:56:50
>>214

「あっそ……じゃあいいか……」

   フン

鼻を小さく鳴らして、スマホを持つ手を下ろす。

恋姫は桜色の瞳を細めた。
そこに、突然一輪の花が映りこんだ。

       ビク…

「花とか。えひ。キザすぎるぜ……乙女ゲーかよ。
 そういうのはさ……ほら、事務所通してくれなきゃ……」

       「このご時世だし……
         警戒しちゃうかな……」

ダウナーな語調で、恋姫は拒否した。
もちろん手品には少しだけ、目を丸くしたが――

「……」

それを口に出しはしない。

「なあ、その花……いつでも仕込んでるの……?」

              「常備アイテムなの……?」

・・・何となく気になって、そんなことを聞いてみるのだった。

216雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/07/29(金) 23:32:45
>>215

「事務所、ですか……」

「弱りました。どこに電話をすべきなのか、見当が付きませんので」

「それに、警戒もごもっとも」

また、ポケットに手を突っ込んで花を戻す。
俯きながら上目づかいでその眼を見る。
そして、顔に微笑みが浮かぶ。

「常備? 常備、ですか?」

「どうでしょう? 確かに、持ち歩くことは多いですが毎日ではないですし」

「準☆常備、ですかね」

217稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/07/29(金) 23:42:06
>>216

「……冗談で、言ったんだぜ。
 こういうの、言わせんなよな恥ずかしい……」

「まあ……冗談でも、
 受け取りはしないけど……」

それについては気持ちの問題だ。
黄色い声を上げるような、がらでもない。

「……えひ。なんだよ、そのテンション……?」

『☆』。

「この暑いのに……」

何だかわからないが、
……☆が見えた気がする。気のせいか?

「スター性に全振りしてるのか…………
 じゃあ……他にも何か……仕込んでるの?」

        「マジシャンなの……?
          それとも怪盗か……えひ。」

それほど長話をするつもりもなかったし……
別に、マジックが好きというわけでもないけれど。

・・・・話の掴み、という意味では、花は実を結んだのか。

218雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/07/30(土) 00:11:52
>>217

「そうですか。それはますます残念」

「? テンション、ですか? いたって平常、ですが」

うそぶく。
大げさに両手を挙げて見せて。
ちょっと姿勢が☆っぽい。

「スター性なんて、仕込んでおりませんよ」

けらけらと雑賀が笑う。
そして、ズボンの裾をめくり、偽物らしいナイフを取り出す。
ズボンの後ろポケットからはカード。

「色々仕込んでますけど」

「色々な場所に。でも、マジシャンではありませんよ?」

「手品が趣味なだけです。えぇ、それだけですよ」

219稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/07/30(土) 00:20:18
>>218

「えひ……ハイテンションに見えるけど……」

「まあ……そう思うなら……
 お前の中ではそうなんだろうぜ……」

      『☆』。

ワザとではないのか……?
そうは思えないので、陰気な笑みを浮かべた。

「……」

  ビク

そしてナイフに多少驚く――

「……えひ。」

「装備が趣味全開すぎる……」

が、次々出てくる手品っぽいアイテム。
趣味とは言うが、これは驚く。

「さっきの……あの、コイン。
 あれもなんか、手品の奴なの……?」

「別にそこまで興味あるとかじゃ……ないんだけど。」

ややわざとらしい口調で否定を付け加えつつ、聞いてみるのだった。

220雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/07/30(土) 00:44:57
>>219

「どうでしょう。私自身、私を理解しているわけではないので」

「そういうものかと」

似たように笑って見せる。
といっても、物まねのセンスはない様だ。

「偽物ですよ」

刃を押すとかしゅっと持ち手の中に刃が沈む。
やはり偽物。
いや、本物を持ち歩いていた方が不味いのだが。

「コイン、ですか?」

「あれは種も仕掛けもないものですよ」

「手品でも使いますがね」

くるくるとナイフをまわす。

221稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/07/30(土) 00:57:07
>>220

ものまねとは分からなかった。
本物ほど陰気ではないなら、いいことだ。

「えひ……まあ……
 現実にステータス画面は無いし……」

「自分を理解とか、難しすぎ……えひ。
 自分探しの旅は超大作RPGだよ……」

恋姫はもっと陰気に笑って、言った。
それから。

「まあ……そりゃそうだ……」

と、ナイフを見て呟いた。
本物のナイフのはずがない。

「ふうん……」

    ジ…

「えひ……TECのステータス高そう。
 それこそステータス見なきゃ、解らないけど……」

      「サブクラスは大道芸人……?」

それはさりげないが、見事な気がした。
ナイフを回す動きを、猫のように、なんとなく目で追う。

222雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/07/30(土) 01:19:09
>>221

「スマホゲームの次はRPGですか」

「ゲーム、お好きなんです?」

あまり陰気な気配のない人間だった。
しかし陽気という訳でもなさそうではある。
相手の方を見ているが、どこか別の所を見ているような気もする。

「テクニックは重要ですよ。手品に置いて。いえ、人生において」

「芸を支えるものは人生を支えるものです」

「大道芸人よりは吟遊詩人や遊び人でありたいですね」

手の甲も使ってナイフが回転する。
くるくるくるくる。
ふわりとナイフが宙を舞う。
ナイフが雑賀の胸の辺りまで落ちてくる。
雑賀は両腕を胸の前で交差するように振る。
そして、手のひらを向けて両手を上げる。
ナイフはなかった。

「あなたのサブクラスはトレーナーでしょうか?」

「電子の海にモンスターを探す、一流トレーナー」

223稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/07/30(土) 01:40:48
>>222

「ゲームは大好きだよ……
 嫌いならこんな事言わないぜ……えひ。」

視線に違和感を多少感じた――
が、それを形には出来なかった。

恋姫はナイフを見る。
見ていると、消えた。

「おぉ〜〜……」

   パチ  パチ…

やや湿った、うるさくない拍手。

「えひ、吟遊詩人か…… 
 確かに詩的な言い方する……」

芸は人生を支える。
何となく、恋姫はそれを実感できている。

「僕は……メインクラスがゲーマーかな……?」

       「別にトレーナーだけじゃないし。
         サブクラスは……隠し職業。えひ。」

別にどうしても隠す物、でもないけれど、自分から言うほどでもない。
恋姫は暗く、悪戯っぽい表情を見せて。

「…………詳しいのか? ゲームとか。」

今の物言いに、若干の『理解』を感じた気がするから、だ。

224雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/07/30(土) 23:37:16
>>223

「なるほど。いかにも現代人的……いえ、そうでもないですかね」

腕を組み、うんうんとうなずく。

「隠し職業? それはそれは、少し気になりますね」

「かなり気になります」

小首をかしげる。
それから腕を下す。
だらりとカーディガンの袖が手のほとんどを隠す。

「ゲームです? いえいえ、詳しいというほどでは」

「人並み、でしょうか。なにをもって人並みとするかは不明ですが」

「しかし、ゲームの知識はあります」

ポケットからスマホを取り出し、指し示す。
カバーのつけられていない白いスマホだ。

「先ほどやられていたものがどういう類のものかは分かりますよ」

225稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/07/30(土) 23:59:01
>>224

「……お前だって現代っ子だろ。
 常識的に考えて……違うのかよ。」

      エヒ

「なんか違うなら面白いけど……
 それこそ、ゲームみたいに……
 いや……どっちかと言うと、ラノベ感か。」

などと、1人で何か納得したように言う恋姫。
その表情は笑みだが、暗い。

「隠しは隠し……えひ。
 フラグが立ってないから、教えない……」

そして、一応のヒミツってものも、暗く隠す。
それはたぶんきっと、単なる雑談の延長のようなものだった。

「……分かるのか。
 えひ、まあ……あれは、な。
 リア充でもわかるくらい、人気だし……」

           チラ

下げていた画面を、上げた。
伏せがちだった目が、少し大きく広がる。

        「……レアなのキタコレ。」

   ソワ

何か、良い物があった――というのは、いらない説明かもしれない。

226雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/07/31(日) 00:22:49
>>225

「確かに、私もそうでした」

はっとしてみせる。
しかし、どこか嘘っぽい顔だ。

「しかし私がもしもなにか特殊な事情を持っているなら、現代人ではないでしょうね」

「自分のことを理解できていないので可能性はあります」

今度は真面目に頷いて見せる。
ころころと表情の変わる奴だった。

「おっとそれは残念、でもないですかね」

「隠し事を暴かれるのは手品の天敵」

「私が暴く側に回るのはまずいでしょう」

手品師を気取る雑賀。
しかし、たしかに手品をしている側からすれば死活問題。
その恐怖を雑賀は知っている。

「おぉ、レア。それは素晴らしい。じつにじつに」

「私の手品でも、電子データは取り出せませんから。えぇえぇ」

「おめでとうございます」

227稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/07/31(日) 00:37:41
>>226

「……えひ、なんだそりゃ。
 自分探しRPG、レベル1って感じ……」

      エヒ

くすくすと笑う。
真面目な顔、ウソっぽい顔。

悪意のある嘘は大嫌いだが、それは感じなかった。
あるいは巧妙に隠されていたのかもしれないけれど。

「僕のは手品じゃないけど……
 まあいいや、詮索されるのもだし……」

         「それに……」

   ソワ

      ソワ

画面に視線を向ける恋姫。
このゲームでは……レアは出て終わりじゃない。

『捕まえなくては』――!

「えひ、タネ明かしする時間もないし……
 ありがとな……んじゃ、早速捕まえに行くから……
 こればっかりは……消えたら、ポケットから出たりしないし。」

       「……あ、僕……『稗田』。
        えひ、苗字くらい教えてやんよ。んじゃ、おつ〜」

   トコ

        トコ

そうして、恋姫は雑賀の前から歩き去った。
電子の世界を追い求めたから、だが――現実の繋がりも、出来たかもしれない。

228雑賀 華『イッツ・ショウ・タイム』:2016/07/31(日) 00:45:37
>>227

「さようなら、稗田さん」

ぺこりと頭を下げた。
そして、ぱっと袖からナイフが飛び出る。
しっかりとそれを手で握った雑賀。
ナイフをまたズボンの裾の方へと戻す。

「綺麗な方でした……そしてとても不思議な……」

「おっと、悪い癖」

「……少々、どうしたものでしょうか……はぁ……」

コインを取り出し、コイントス。

「どちらでも。たまにはおしとやかでありたいものですが……」

雑賀はコインを掴んだ。
その結果と、それからどうなったのかは雑賀だけがしっている。

229小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/15(木) 23:08:56

ある晴れた日の昼下がり、湖の手前にある木陰に、一つの人影が腰を下ろした。
洋装の喪服姿と、それに合わせたような黒のキャペリンハットを身に着けた、黒衣の女だ。
涼しい風が吹いているせいか、まだ残暑が残るこの時期にしては、今日は比較的過ごしやすい一日と言える。

     パカッ

おもむろに、ハンドバックの中から小振りのランチボックスを取り出し、その蓋を開ける。
中に詰められているのは、手作りのサンドイッチだった。
表面を軽くトーストしたパンにマーマレードを塗り、たっぷりのパセリと、薄く切ったハムを挟んである。
やや奇妙な取り合わせだが、これが好物なのだ。
一口齧ると、ハムの塩気とマーマレードの甘みとパセリのほろ苦さが一つとなり、口の中に広がった。
目を閉じて、それを静かに味わう。

――そう……。彼も、この味が好きだった……。

ふと、そんな思いが胸の奥を掠め、誰ともなしに薄っすらと微笑んだ。

230稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/09/18(日) 00:16:16
>>229

「…………あ」

       ザ

やや俯きがちに歩いていた。
やや遠くから、その女性を見た。

その黒い装いには、見覚えがあったからだ――場所含め。

「……」

(何笑ってんだ……?
 思い出し笑いかな……)

     (女子力高そうな物持ってんな)

ランチボックスと、手に持ったサンドイッチが目に入る。
女子力に、基準値の低い目を細めつつ。

(まあ……別に、邪魔するわけじゃ、ないし……)

        (背景の村人Aみたく……
         通り過ぎさせてもらおうかな……)

木陰の前を、通り過ぎる。
別に、気づかれなくても、良いし。

気づかれたとしても、それはそれで、別に良いから。

231小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/18(日) 00:48:31
>>230

目の前を通り過ぎていく見覚えのある少女。
それに気付いていないのか、やや俯いた状態で、沈黙を守っている。

       スッ

やがて、おもむろに顔を上げる。
そして、立ち去りかけている少女の背中に声をかけた。

   「――こんにちは」

少女に呼びかける声は柔らかい響きを持っていた。
その口元には、穏やかな微笑をたたえている。

   「お久しぶりね。稗田さん」


少女の特徴のある桜色の瞳は、強く印象に残っていた。
そういえば、以前に彼女と出会った場所も、ここだった。
思いがけず、また会えたことは、嬉しいことだった。

232稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/09/18(日) 01:02:52
>>231

「ん…………」

    ピタ

  クル

        「……よう」
  
恋姫は、掛けられた声に、振り向いた。
同じような――しかしもっと陰気な微笑を浮かべて。

「えひ、久しぶり……
 ここでよくエンカするな……」

        ニタ

「あー、小石川……さん。」

あまり、人に敬称はつけないのだが、
何となく釣られて――さん、と付け足した。

       ヒョイ

やや離れた位置の、木陰に腰掛ける。

「何してんの……
 女子力のトレーニング……?」

「えひ、飲み物がココナツウォーターとかなら完璧だぜ」

女子力という言葉は何となく湧いただけだが、言ってみた。

233小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/18(日) 01:34:44
>>232

   「覚えていてくれてありがとう……」

傍らに腰を下ろした少女に、まず感謝の言葉を述べる。

   「――そうかも、しれないわね」

そう言って、くすりと笑う。
やや悪戯っぽさを感じさせる、ほんの少し明るい笑い。
真夏の太陽とまではいかなくても、雪が降り止んだ晴れた冬の日のような笑いだった。

   「もし良かったら、食べてみてもらえないかしら。
    味を見て欲しいの。口に合えばいいんだけど……」

おもむろに、手の中にあるランチボックスを差し出した。
そこには手頃なサイズに切られたサンドイッチが幾つか入っている。
少なくとも、見た目は綺麗に整っているようだ。

   「――ラベンダーティーならあるわ。
    これを飲むと、気持ちが落ち着くから……」

バッグの中から小型の水筒を取り出して、そう付け加えた。

234稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/09/18(日) 01:45:58
>>233

「えひ。昔のゲームじゃないし……
 セーブデータは簡単には消えない……」

           「……」

    ス

座る位置を少しずらした。
小石川のランチボックスに、手が届く、ように。

「味見ぃ……?」

    ニタ

提案に少し笑みを深めて。

「まあ……んじゃ、貰おうかな。
 砂糖と塩、間違えるようには見えないし」

(今日はオフだし……貢物、とかじゃないしな……)

多分、おいしいだろう。
見た目もそんな感じがする――ひと切れ、取った。

「ラベンダーティー……
 えひ、なんか……しゃれおつぅ」 

           「……いただきます」

     モッ

小さな口を開いて、静かに、手のひと切れにかじりついた。

235小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/18(日) 02:08:27
>>234

   「――どうかしら……?」

恋姫がサンドイッチを口にしたのを確認して、静かに尋ねる。
どちらかというと、あまり一般的ではない取り合わせなだけに、口に合うか少々不安もあった。
ハムとパセリとマーマレードのサンドイッチ――少し変わった味がするかもしれない。
一口食べれば、塩気と甘みとほろ苦さが一つになり、口の中に広がるだろう。

   「私は、この味が好きなの……。
   色んな味が一度に感じられるから。それに――」

一度言葉を切り、そして再び口を開く。

   「私が愛していた人も、この味が好きだったから……」

それは、まるで遠い過去を振り返るような口調だった。
しかし、実際には、それほど昔のことでもないのだ。
未だ心の中に強く残る傷が、そのことを裏付けている。

   「――お茶をどうぞ」

恋姫が食べ終わるのを見届けてから、水筒のカップにラベンダーティーを注いで差し出す。
季節に合わせているらしく、よく冷えているようだ。

236稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/09/18(日) 02:19:03
>>235

          モッ

    モッ…


        ゴクン

「……食べた事無い味だぜ」

飲み込んでから、恋姫は短く、そういった。

(ハム……と、マーマレードと。
 この苦いのなんだ……パセリか?)

口の中に残る味。
不思議な――重なり合う味だ。

「けっこう美味しい……かな」

          ・・・悪くはない。

「……」

「…………ん、ありがと」

重なるのは味だけでなく、思い出も――なのかもしれない。
恋姫はやや重い物を感じつつ、カップを受け取り、口をつけた。

            クィ

                「えひ、つめた……」

237小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/18(日) 02:47:29
>>236

   「――そう……。良かった」

胸をなで下ろし、微笑みを浮かべる。

   「少し冷やしすぎたかしら。ごめんなさいね」

そう言って、軽く頭を下げる。
やがて、緩やかな風が、二人の間を通り過ぎていく。
少しの沈黙が流れ、ややあって、静かに声をかける。

   「――今、私はこの町で叶えたいと思っている目標があるの……。
   稗田さんにも、あるのかしら?」

何か含みのある口調だ。
もしかすると、『Veraison』のことを言っているのかもしれない。
この町に住んでいる住人なら、その存在を聞くこともあるだろう。
実際、その通りなのだ。
つい最近、星見街道を歩いている最中に、ふと小耳に挟んでいた。

   「お互いに、叶えられるといいわね……」

そう言って、恋姫の方に向き直り、ふわりと笑った。

238稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/09/18(日) 03:03:23
>>237

「今日は……まだ、暑いし……」

          「美味しいよ」
 
   ク

喉を小さく鳴らして、カップ一杯飲み干した。
緩やかな風も、快さを後押しする。

「目標か……
 ……えひ。唐突だな」

      「…………あるよ」

知られていても。
・・・いなくても、同じこと。

「叶っても、エンディングじゃないから……」

         「早く、叶えたいな……えひ」

陰気に笑った。

それ以上何かをつけたすことはない。
穏やかな沈黙か――あるいは、小石川が何かを返すか。

少し、この、快い時間に……身を任せてみたいのかもしれない。

239小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/09/18(日) 03:25:16
>>238

   「挫けそうになった時、稗田さんのことを思い出したかったから、かしら」

自分の心に問いかけるように胸に手を当て、ぽつりぽつりと話し出す。

   「もし――私が挫けそうになった時に、
   自分と同じように頑張っている人がいることを思い出せたら、
   それが支えになってくれると思えたから……」

自分にとっては、それが文字通りの意味で命綱となってくれるかもしれない。

   「だから、稗田さんには、これからも進んでいって欲しいと思うわ。
    勝手な考えかもしれないけど……」

   「私も、頑張るわ……。
    自分にできる限り……。精一杯……」

   「だから稗田さんも、何かあったら、
   私のことを思い出して少しでも励みにしてもらえれば嬉しいわ……」

その後は、何も言わなかった。
後に残るのは、似て非なる二人の人間と、静かに流れ行く時間だけだ――。

240稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/09/18(日) 04:52:03
>>239


「…………ん」

         コク

恋姫は――小さく頷いた。

思い出したい――という言葉に?
励みにして欲しい――という言葉に?

あるいは両方かもしれない。
恋姫は、人に希望を与える存在――アイドルだから。
支えとなる人の存在というのは、誰にとっても嬉しいから。

「………………」

            「えひ」


それから、最後に、こらえきれないように少し笑って。

                ・・・時間は、静かに流れていく。

241小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/10/15(土) 22:47:42
――AM9:00――

いつ来ても、この場所は居心地が良い。
湖の周りを散策しながら、改めてそう思う。

この町で暮らし始めてから、できる限り多くの場所に足を運ぶようにしているが、
ここには特に惹かれるものを感じていた。
樹木の香りや枝葉の揺れる音に囲まれていると、
自然と心が落ち着き、穏やかな気分になれるからだ。
ここにいれば、胸の奥にあり、時折表に出てきては心を悩ます『誘惑の囁き』を、
一時だけ忘れることができる。

この自然公園は、いわば心の安息所のような場所だった。
しかし、この町のいい所は、ここだけではない。
今日は、一日かけて、町を回ってみるつもりなのだ。
深呼吸して森の空気を味わい、しばしの森林浴を楽しんだ後で、次の場所へ向かって歩き出した。

242神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』:2016/12/18(日) 00:40:43
ある日の夕暮れ。
人もほとんどいないような時間。
シーズンならバーベキューを楽しむ人たちでいっぱいになっているはずの場所にそいつはいた。

『よき体を作るものは』

「いいトレーニング」

『そして?』

「食事」

燃える火。
そしてその火に焼かれる多くの肉。
たった一人でバーベキュー、ではない。
その傍らには赤褐色の人型ヴィジョン。スタンドが一体。

しかしこの二人、肉の焼き加減を見守っているわけではない。

『そこ、またズレたぞ!』

「……」

ダンスを踊っていた。

243小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/12/20(火) 00:09:34
>>242

人気もほとんどなくなり、穏やかな時間が流れているその場所に、もう一つの人影があった。
洋装の喪服を身に纏い、その上からやや色味の違う黒いコートを羽織り、黒い帽子を被っている。
ふと、夕方の自然公園を少し歩いてみたくなり、散歩に出てきた途中なのだ。
不意に、その足が止まり、ある一点に視線が集中した。

  ――……?

男性の傍らに、見慣れない『誰か』がいる。
その姿に興味をそそられ、そこに立ち尽くしたまま、目の前の光景を見つめる。
無意識の内に、静かに見守るような形になっていた。

244神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』:2016/12/20(火) 00:24:27
>>243

『ここの振り付けは、こうだ! こう!』

「大将?」

『どうした?』

「確かに、僕普段使わない動きをトレーニングに入れたいなーって言ったよ?」

『あぁ』

「でも恋ダンスは違うくない?」

切れのいい動きで踊る人型。
本体らしい男は困った様子で頭を掻いている。

「肉焦げちゃうよ」

『よし、いったん休憩だな』

焼けた肉を紙皿の上に乗せる男。
そこで、あなたと目が合った。

「わ、人がいる」

245小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/12/20(火) 00:46:36
>>244

  「こんにちは」

挨拶と共に深く頭を下げた。
肌の色は新雪のように白い。
身に着けている衣服の色のせいで、それが余計に際立っている。

  「ごめんなさい。失礼とは思ったのですけど――」

  「その――少し気になってしまったものですから……」

そう言って、申し訳なさそうに顔を伏せる。
見つめていたことに気付かれたという気恥ずかしさのせいか、頬には若干の赤みが差していた。
まもなく気を取り直して、再び顔を上げた時には、頬の色は元に戻っていた。

  「何かスポーツをなさってるんですか?」

穏やかな、しかしどこか陰のある微笑みを浮かべて、そう尋ねた。

246神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』:2016/12/20(火) 00:55:38
>>245

「あぁ、どうも。こんにちは」

頭を下げる男。
黒と金がまじりあった長髪を一つ結びにしている。
服もまた黒と金がまじりあうジャージだ。
その上にジャンバーを羽織っていた。

「気にすることじゃないよ」

『うむ。その通りだ』

にこりと笑って言う言葉を隣の人型が後押しする。

「スポーツっていうか、ダンス?」

『いや、これもプロレスだ。プロレスである。プロレスだろう』

「うん。ちょっと黙ってくれないかなぁ」

『なっ……』

247小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/12/20(火) 01:21:40
>>246

  「お気遣いありがとうございます」

まず男性を見て、それから人型の方へ視線を移す。
線の細い自分とは対称的に、筋骨隆々とした姿からは、生命力に溢れている印象を受ける。
おそらくは本体であろう男性を反映しているのだろうと思えた。
『彼』が何者なのかは、最初に見た時から。おおよそ理解はしていた。
それでも、珍しいことには変わりがない。
今までに、自分のもの以外のスタンドを見たことは少なかった。

  「プロレス……ですか?そう――プロレスをされてるんですね……」

人型の言葉を受けて、小さく頷き、何気なく呟いた。
スタンドはスタンドを使う者にしか感じ取れない。
目の前にいる男性――神原が、そのことを知っていたとしたら、
この喪服の女もスタンド使いだということが分かるだろう。

248神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』:2016/12/20(火) 01:28:27
>>247

「そう。僕はレスラーなんだ」

『そして俺がトレーナーだ』

「ん?」

肉を噛みしめながら小首をかしげる。
しばしの思案。

「大将が見えるの?」

『師匠と呼べ』

「師匠、ああもういいや。君もそういう人?」

そういう人。
つまりはスタンド使いであるのだろうか。
男は念のために確認した。

249小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/12/20(火) 01:50:59
>>248

  「はい」

投げかけられた質問に対し、特に隠すこともなく、呆気ない程に素直に肯定した。
敵対的なスタンド使いに出会ったことがないため、警戒心が薄いというのもある。
元々の性格として、嘘をつくことを好まないからというのも理由の一つだ。
何よりも、この男性が悪い人には見えなかったからというのが、一番の理由だった。

  「私も同じものを持っています」
  
  「そちらのトレーナーさんのようにお話はできませんが……」

  「見せていただいたお返しに――私も少しお見せします」

利き手である左手を持ち上げ、軽く握る。
すると、その手の中に一振りの『ナイフ』が出現した。
その後ゆっくりと手を開くと、『ナイフ』の像は徐々に薄れ、最後には霧のように掻き消えた。

250神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』:2016/12/20(火) 02:00:17
>>249

「わぁ、ナイフか」

『俺とは違うタイプのスタンド』

男自身もあまり自分のもの以外を見たことがないのだろう。
素直に驚いた声をだす。

「ナイフかぁ。使いどころありそうだなぁ」

「料理するときとか……あ」

「食べる?」

バーベキューの網を指さし問うた。

251小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/12/20(火) 23:09:20
>>250

  「誘って下さってありがとうございます――」

  「では……お言葉に甘えて、少しだけお邪魔させていただきます」

少し考えてから、そう答えた。
見知らぬ男性とバーベキューをするというのは、傍から見ると奇妙な光景だろう。
しかし、自分と同じような人間と出会えたことは嬉しいことであり、もう少し話をしてみたかった。
こうして町の中でスタンド使いに出会うことはあまりない。

もしかすると、自分でも気付かない間に出会っているのかもしれないが……。

  「こちらには、よく来られるんですか?」

252神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』:2016/12/20(火) 23:39:25
>>251

「好きなだけ食べてね。お酒が好きならそれもあるよ」

こんと足で蹴った先には箱型のカバン。
その中に酒もあるのだろう。

「はい。紙皿と割りばし」

『しっかり食ってトレーニングッ。それすなわち肉体増強の道なり』

肉を焼き、野菜も焼く。
次々と肉をひっくり返し、紙皿の上にのせていく。

「こっち、か。トレーニングできるならどこにでも。面白いもの、刺激のあるものがあるならどこにでもいる」

「巡業中はいろんなところ行くけど、コッチでの試合も結構あるから」

253小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/12/21(水) 00:03:39
>>252

  「どうもありがとうございます」

左手で割り箸を、右手で紙皿を受け取る。
両方の薬指にある結婚指輪が、夕日を受けて小さく光っていた。

  「お酒は嫌いではありません」

  「ですけど――今日の所は、お気持ちだけいただいておきます」

そう言いながら、先程からの陰を帯びた表情で、穏やかに口元を綻ばせた。
アルコールは必要な時だけ摂ることにしている。
幸いなことに、今はその時ではなかった。

  「色々な場所へ行かれてるんですね」

  「私は存じ上げない世界ですけど……」

  「もし、この町で試合をされるのなら、私も一度拝見させていただきたいです」

254神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』:2016/12/21(水) 00:41:54
>>253

「そう。残念だなぁおいしいのに」

おかまいなしに男はカバンから酒瓶を取り出す。
ブランデーであった。コップに注ぐとそれを一気にあおる。

「うん。ぜひ来てね」

「マスメディアが盛り上げてくれる分僕らも頑張るからね」

「今は休みの期間だからチケット持ってないけど」

「あ、神原幸輔(かんばる こうすけ)の名前があるポスターがあったらその団体のチケットを買うといい」

「僕が出てるからね」

255小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/12/21(水) 01:13:13
>>254

  「神原さん――ですね。分かりました。その際は是非……」

ちょうどいい焼き具合になった肉と野菜を網から拾い上げ、口の中に入れる。

  「おいしいです」

素直に感じたままを口にし、柔らかい笑みを浮かべた
野外でバーベキューというのはあまり馴染みがないため、自分にとっては新鮮な経験だった。
なによりも、自分と同じような人間――スタンド使いと会話していることで、
心の触れ合いを感じていることが大きいのかもしれない。

  「私は何も差し上げるものがないのですけど……」

  「今日ここで出会った記念に、せめて名前をお教えしておきます」

  「私は小石川――小石川文子といいます」

そう言って、再び微笑んでみせた。

256神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』:2016/12/21(水) 22:17:48
>>255

「それはよかったよ。いいお肉かったからね」

「おかげで素寒貧だけど」

『レスラーは男を売るのだ。即ち見栄の商売なりッ!』

「うん。師匠はお金払わないもんねぇ」

また酒をのむ。
今度は瓶から直接ラッパ飲みだ。

「小石川さんかぁ。よろしくね」

『さぁ、幸輔踊るぞッ』

「え? ほんと?」

二人はまた踊り始める。
それは先ほどよりちょっぴりうまい踊りだった。

257小石川文子『スーサイド・ライフ』:2016/12/21(水) 23:42:05
>>256

息の合った二人のやりとりを見て、自然と口元が緩む。
同時に、ほんの少しの寂しさが胸の内をよぎった。
いつでも誰かが傍らにいてくれる。
かつては自分のそばにも、そんな人がいた。
幸せだった時のことを思い出して、その顔に浮かんだ陰の濃さが、不意に増す。

  「――ふふッ」

しかし、再び目の前で踊り始めた二人の姿で、その暗さも打ち消されてしまった。
つられたように、自身も小さく笑う。
先程よりも、少し明るい微笑み。
それが彼らによってもたらされたものであることは言うまでもない。
しばらくの間、自分に明るさをくれた二人を、優しい視線で見守り続けていた。

258常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2017/02/02(木) 01:22:45
相変わらず主人は見つからず。
近辺にいるとされる『大柄で声の大きい変態女装不審者』の足取りも掴めず。
仕方がないので社会奉仕をするのだ。

  カラン  ガサガサ

「ポイ捨て厳禁の看板のそばなのに汚すぎます!!!!!!!」

     バサリ 

「うわあああああああエロ本ですよ!!!!!破廉恥!!!!」

259烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2017/02/03(金) 22:27:22
>>258
(……)
そんな時、たまたま通りかかった一人の少女

(な、なんか変なの見つけちゃったぁあああ!?)
思わず声が出そうになるくらい異様な出で立ちの…?
とにかくよくわからないがうるさい人の姿を見かけた

(まさかアレが、いま噂の…『大柄で声の大きい変態女装不審者』!?)
もし違ったら失礼だなーと思いつつも
改めてその姿をじっくり見てみるのであった

260常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2017/02/03(金) 23:00:04
>>259
君が公園で偶然発見してしまったその不審者疑惑の珍獣は、
『メイド服』を着用している20代くらいの体格のいい男であった。

『執事服』ではないのだ。『メイド服』だ。
男が膝ほどの丈のワンピースとフリルの装飾のエプロンを着ている。
なるほど異様な出で立ちである。

  「しかも!!!!5冊も!!!!」
   「虫が!!!!!!湧いてます!!!!!きったないですよ!!!!!!」

トングと町指定のゴミ袋を手に、どうやら『ゴミ』拾いなんかをしている様子だ。

    ギ ョロ

   顔を向けてきた。左目に眼帯をしている。かなり不機嫌そうな表情。
   …という訳で、君と男の視線が合ったぞ。

261烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2017/02/03(金) 23:12:21
>>260
(うわー、でっかい声でゴミ拾いしてるよー…
 一見すれば……ボランティア活動だけど)
そして、その体格のいい男の格好を見れば
まさにメイド服である

(…なんだか、噂のそれとかなり合致するんだけど…)
どうしようかどうしようかと思っていると

「むぅっ!?」
顔をこっちに向けてきて、ゾワッとした表情になる

「あ、えーっと…
 何をして…らっしゃるのでしょう…?」
思わず敬語で震えた声で話しかける

(だだだ、大丈夫…
 いざという時にはスタンドを使えばなんとかなる…
 変質者とかそういうのなんて怖くない…!多分……)

262常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2017/02/03(金) 23:21:49
>>261
「『奉仕活動』です」
即答された。

 バサバサ
    ガサガサ

男は小汚い18禁雑誌をゴミ袋に放り込むと…

 「……」
 「………何か捨てるなら…」

ゴミ袋を前に突き付けながら烏丸にノシノシと接近!

263烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2017/02/03(金) 23:25:43
>>262
「えーっと…つまりボランティア?」
と、彼の様子を見ながら答える。

(別に悪いことはしてなさそうだけど…)
若干警戒心を薄めようとしたが、そんな時、

「え、え!?」
のっしのっしと接近してくるメイド服の男!
ゴミ袋を持ってくるが

「い、いえまだ何も捨ててはいませんが!」
と、ふと思い出した

「あ、そう言えば…
 ゴミは持ってましたが…」
コンポタの空き缶を持っていたことを思い出し、
軽くその手を上げた

「えっと、もちろん…
 ゴミ箱に捨てますとも……」

264常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2017/02/03(金) 23:39:26
>>263
「でしたらこの袋にどうぞ」
「この辺りはゴミ箱が少ないので、探すのも一苦労ですから」

「…どうぞ!」

 男は表情を緩めると、ゴミ袋の口を開けて見せた。


「……そいうえば、俺の顔に『何か』ついてますか?」
「…身だしなみが崩れていましたか?」

君の不審げな態度に不思議そうにしている。

265烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2017/02/03(金) 23:45:37
>>264
「えーっと、はいどうも…」
割りと普通そうな人だなーとか思いながら
ゴミ袋の中にコンポタの空き缶を

(…投げ込んだら怒りそうかも…)
と考えて投げずに
そーっと入れた。表情はまだ固い

相変わらず不審者かもみたいな目線は消えないでいるが…
「え、えーっと…?なにか…ですか?」
と言われて少し悩む

「うーん…いや、身だしなみは崩れていないというか…
 その…その格好はなんでしてるんです?」
思い切って、そのメイド服に目線を向けた。
気になってしょうがなくなってきたのである。

266常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2017/02/03(金) 23:57:34
>>265
「はいはい、ありがとうございます」
「清掃のご協力に感謝します!」

そ〜〜〜っと投げ入れられた空き缶は何事もなくゴミ袋に落ちた。



「えッ『なんで』って」
「それは俺が…」

「………『メイド』だからです!!!!!」

満面の笑み。
これに納得するか答えになっていないと感じるかは君次第。

267烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2017/02/04(土) 00:03:58
>>266
「あー、そのどうもです…
 私もゴミまみれなのはやっぱり苦手ですから…」
と言って頭を下げる、
さて、どうしてメイドを着ているのか、と聞いてみれば…


「は、はぁ…メイドだからですか…
 しかし…」
ちょっと冷や汗を垂らしながら聞いてみる

「男性で奉仕活動と言えば…
 なんだか執事っぽい服を連想するんですが…
 メイド服…なんですか?」
なおも疑問は続く
果たしてどんな返答が来るのだろうか

268常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2017/02/04(土) 00:26:18
>>267
「ですね!!!!汚いより綺麗な方が良いです!!!」


君が追って質問をすると
「うえ〜〜〜っ 初対面の人に言うのは恥ずかしいですよォ」

    モジ 
        モジ

「エエト……恩人というか、『憧れたひと』が、その…『メイド』だったんです」
「だから、俺も…その、メイドに……」

  「うははははははッ やだあ やっぱり恥ずかしいですよォ〜〜〜!!!!!」

はにかみながらそう答えた。
なんだかんだ羞恥という感情は持ち合わせている事が判明した。

269烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2017/02/04(土) 00:32:03
>>268
「ええそれはもう!
 いろんなことは綺麗が一番です」
なんとなく意気投合したような気がした

「ん、ふんふん……


 まぁ…恥ずかしかったんで…


 あ、いやその……」
一瞬すごく意外そうに
失礼なセリフを言ってしまいそうになった

「あこがれの人…ですかー。
 ということはあなたにとってのヒーローみたいな人ってことですねー…
 ん、どんな人なんです?
 その……色々と教えてもらったとか?」
またメイド服を見る。
コレもそうなんだろうかとか思ってたり

270常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2017/02/04(土) 01:13:16
>>269
「色々とスゴイ方でしたが…
 …そうですね、『愛』をもって仕事の出来る方でした。」

「おれはその『愛』に救われて」
「あのひとを『師匠』として多くを学ばせて頂きました。
 ……師匠の元で学んだおかげで、今の俺があります!!!!」


だそうだ。
学ばない方が良かったんじゃないか、とは言わないでくれ(懇願)。

 「服ですか?」
 「合うサイズがなかったので、自分で型をとって縫製したんですよ!!」
 「優れた弟子ではありませんでしたが、『裁縫』については師匠もよく誉めておられました!」
 「イイ感じでしょう!」


フリルふりふり、リボンがピラピラしたそのファンシーなメイド服は男の手によるものらしい。
師匠の話と裁縫の話、どちらも男は誇らしげに話した。

271烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2017/02/04(土) 01:24:19
>>270
「むー……いろんなことを学んだんですねー…
 …良いことを色々と…」
どんなことを学んだんだろうか…
と思いつつ改めて衣装を見る

「はぁー、それは自作なんですかー。
 すごくいい出来じゃないですか…
 うむむ……ここまで上手くは出来ない…」
改めて見てみてば
まるで店売りのようなとても良い出来の一品だ。

「…確かに、そういう系のスキルはかなり高いみたいですねー。
 その師匠って人は今どこにいるんでしょうねー?」
ちょっと気になって聞いてみることにした。

272常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2017/02/04(土) 01:41:31
確かにメイド服としては出来も良くカワイイ。
ただどんなに贔屓目に見てもサイズと着用者は『異常』であるのが玉に瑕か。


「所在、ですか……」
「師匠は『流浪のメイド』で…あっ俺もなんですけどね」

 「ひとりの主人を持たず、いろんな場所を転々としながら、
  いろんな場所でメイドのスキルを活かして働くんです」
 「なおかつ師匠は『極秘任務』とかにも携わっていると聞くので……場所は、ちょっと」


 「でも俺の連絡先なら明かせますよ!!!!」

 ┌――――――――――――――――┐
  ☆・゚:*:゚ヽ                *:・'゚☆  
          常原 ヤマト 

        家政婦やります
 
    電話番号 XXX-XXXX-XXXX
   E-mail *******************.com
 
 └――――――――――――――――┘

名刺を渡してきた。どうやら『常原』というらしい。

273烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2017/02/04(土) 12:41:05
>>272
「流浪のメイド……?
 それってアルバイト…
 とかじゃなくて……?」
流れ者と聞くとなんだかかっこいい響きを感じるが、
レイはまさか現実に居るとは…と考える。
表情もキョトン顔である。

「極秘任務…
 もしかして裏で変身ヒーローだとか…?
 なーんてコトは流石にないかな…」
と軽く笑ってから、その名刺を見る

「あ、これはどうも…
 常原ヤマト…さんですね。
 わざわざすいません…」
名刺をじっと見つめてみる。

「そういう仕事なんですか…
 ん、あー、名刺もらったので私も…」
名刺は持たないが、ひとまず挨拶しようと考えた

「えー、私は烏丸レイです。
 まぁ、単なる学生をやってますー。」
と言って頭を下げた

274常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2017/02/04(土) 23:02:28
>>273
「アルバイト…とも言えなくもないです
 俺はいま勤め先がないので『無職』ですから」
「溢れ出る『奉仕』の気持ちを抑えきれずに、社会奉仕をしているワケです」

「変身ヒロインとかは俺も嫌いじゃないですよ!妹がよく見ていました!」

頭を搔きながら答える。なんだか後ろめたそうである。


「学生さんでしたか!!この辺なら…『清月学園』の生徒さんですかね。
 面倒でも勉強は頑張ってくださいね!」


君が自己紹介をすれば、笑いながら素直に励ましてくれた。

275烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2017/02/05(日) 00:14:24
>>274
「ふむー…
 やっぱり自分を売り込んだりするんでしょうかねー、奉仕活動をするときは…」
と、不思議そうな顔をする

「へー!私も変身ヒロイン大好きです!
 ○リキュアとかそういうのですよねー!
 私、特撮とはまた違うかっこよさがあると思うんですよねーあれ!」
彼女は特撮関連であれば色々大好きである
そういうこともあってか、変身ヒロインものの作品は同じく大好きなのだった

そんなわけで随分と興奮して答えている。
「…と、どうしたんですか?」
ふと、落ち着いて彼の後ろめたそうな顔を見た

「あ、はい。
 勉強はまぁ、人並みにはできるように頑張ってます。
 安定が重要ですからねー」

276常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2017/02/05(日) 19:18:42
>>275
「口ぶりからするにヒーローものがお好きなのですね」
「弟が、変身グッズとか、そういうので遊んでいました気がします」


「ああいえ、俺自身が不甲斐なくて」
「メイドのくせして特定の誰かにご奉仕できず…
 地域の安全のため不審者を探せど、尻尾も掴めず…」

 「いえ、掃除とて大事な仕事なんですけどね」

彼自身、ロックなナリに反して、悩みなども抱えているようだ。
見た目ではわからない、心情は普通な所もあるのである。


   「…いけない、仕事を放棄して歓談にふけってしまいました」
   「そろそろ職務に戻らせていただきます」

277烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2017/02/05(日) 20:08:04
>>276
「ん、あーそれはもちろん!
 私も変身グッズ的なものはよく買ってもらったりしてましたねー」
そう言って嬉しそうに何度も頭を縦に振る。
心底楽しそうな感じがする。

「…そんなことはないと思いますけどねー。
 見ている限り、結構真剣に
 作業をしていたようですし…」
と、励ますように答えるが
(…不審者って言うと…
 やっぱり…)
改めて彼の姿を軽く見回した。

「あ、忙しかったですか…
 私も結構話続けちゃいましたねー……」
と、頭を軽く下げた

278常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2017/02/05(日) 22:38:06
>>277
「こちらこそ、引き留めてしまって」
「俺、気が休まりました。こういう何気ない会話って、いいですね!!」


「では俺はこれで!!」
「掃除洗濯料理にお困りの時、また『不審者』を見かけたときは、先ほどの連絡先にどうぞ!!!」
「……いえ、不審者を見つけたらまずは警察に通報、ですからね!!!」

たぶん君の『不審者』に関する予想は正しいだろう……通報する?

279烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2017/02/05(日) 23:09:57
>>278
「ああ、そうですねー…
 なんだかこっちも…話してるだけで楽しいですよ」
と言って頷く


「あー、その…検討しておきますね…あーその…
 不審者って言うと…」
そう言って彼の姿をじっと見る

「…もうちょっと声が小さいほうが
 不審者が現れにくくなる…かもしれないです。
 何故かそう思います」
と、彼の姿を見て答える。

(むむう…結構いい人そうだから
 なんだか言い出しづらい…すごく……)

280常原ヤマト『ドリーム・ウィーバー』:2017/02/05(日) 23:35:46
>>279
「?」
「えっと、そうですか………!声を…小さく……!!ですね……!」

声量が落ちた。『!』の数もなんだか減る。
君が話して分かった通り常原は、内面は比較的善良な男。
この人の良さゆえに、未だポリ公のお世話になっていないのかもしれない。

「…では…行きますね……!
 公園が…汚いと…!!困る方も……いますから!!!」

ゴミ袋を揺らしながら、常原は公園の奥へと歩き出した。


  「ではまた!!烏丸様!!!!!」

けっきょく大きな声で別れの挨拶をしている。

281烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2017/02/06(月) 01:05:24
>>280
「んー、そのくらいがいいですね。はい」
そう言ってうなずき

「あ、でっかい声……
 っと、またどこかであいましょうねー!」
若干大きな声にビビりつつも
彼を見送っていった

「変質者かー…
 悪いことはしてないんだけど…
 なんと言えばいいのかなー…」
ヤマトの様子をちょっと困ったように見送ってから
彼女も公園をあとにした

282ジェイク『一般人』:2017/02/22(水) 23:39:50
夜の湖畔。
その傍で座っているものがいる。
赤い長髪、赤く長いヒゲ。
まだ少し肌寒い夜にも関わらず半袖のシャツ。
オレンジの光が輝くランタンが足元に置かれ、ずた袋も傍に置いてある。
目深に被った帽子がランタンの上に落ちた。

「……」

男は、下を向いたままランタンを取らなかった。
目を閉じている。

283小林『リヴィング・イン・モーメント』:2017/02/25(土) 23:57:40
>>282

 ザッ……

 シャリ シャリカリカリ クリ シャッ カリカリシャリ シャリカリカリ クリ シャッ カリカリカリカリガリ…………

「月光は何も語らずとも、あの森にひっそりと佇む水の冷たさは変わる事ない
よって 闇夜の語る名もなき音もまた 月夜と同じ美しさを秘めてるのだろう」

 シャリ シャリカリカリ クリ シャッ カリカリカリカリ シャ シャ シャリシャリ

「だが、月は其の輝きの中に隠すように。触れる事の出来ない窪みをもって
僕らの軌跡の中に作り上げたような傷痕がある。それは…… おや?」

 中肉中背の、清月の学生服のブレザーを軽く着崩した若者が
ペンを走らせながら、執筆と朗読を交えて歩いていた。貴方へと気づく

 「……大丈夫ですか? 何処か具合でも悪ければ人を呼びましょうか」

 暫し様子を見るようにしてから。
貴方の姿勢から、そう身を案じるようにして声をかけた。

284ジェイク『一般人』:2017/02/26(日) 00:05:07
>>283

声に反応して男が目を開く。
静かに帽子を手に取って頭の上に持っていく。

「必要はない」

「……何をいている」

男は静かに言った。

285<削除>:<削除>
<削除>

286小林『リヴィング・イン・モーメント』:2017/02/26(日) 19:00:02
>>284

 >何をしている

青年と思える年若い顔に、歳月を幾分経たかのような古びた光を黒い瞳へと
宿した私は、貴方の言葉に少しだけ目を閉じて言葉を吟味して、そして手を動かす。

 カリシャリ クリ シャ カリカリカリ

「天光は鈍く二人の間を交差する中、問われた枠組みはそっと静けさの中を通り過ぎた」

 「……私が何をしてるかと言えば、文を 冊子の中を飾るに相応しい言葉を
捜しに夜更けの中を探索しに参った次第で……謂わば。
 小説を作るにあたっての気紛れな散歩ですよ」

 シュゥ ゥ……

 夜が髪を梳かす それはやや乱暴であって また優しい

 「此処の辺りの風は、冷たく それでいて木々を吹きすさぶ中に
想像と創造をつかさどっている。
 私はこの湖畔が好きです。このような常闇も、夜明けも 
燦と明るい日中もね。……貴方は此処で何を?」

 自身を一介の名もない小説家と称する若者は、柔らかな闇夜と同じほどの
温度を伴った目線で、帽子を被る彼へと言葉を投げかけた。

287ジェイク『一般人』:2017/02/26(日) 23:35:25
>>286

「そうか」

そういうとまた目を閉じる。
ただ静かに座っている。

「黙とうだ」

「魂が震えている」

何をと問い返され男は答えた。
目は閉じたまま、その体は石のように動かない。

288<削除>:<削除>
<削除>

289小林『リヴィング・イン・モーメント』:2017/02/27(月) 00:02:46
>>287

 更に若者は、筆を滑らせる。

 カリカリカリ シャッ カリカリカリ キュ

 「木枯らしの中で、余多の安らぎの喧騒が耳打ちながら……」

 そこで、筆を止め。男に再度視線を向ける。

 「何へ、と訊くのは無粋ですかね?」

「ですが、私は貴方が只たんに狂人のように野晒しに此処で佇んでるようには見えません」

 「宜しければ、貴方の胸の内に秘める。その心情を教えてくれませんか?」

 小林には、ジェイクの石のような無機質さの中に確かなるものを
肌に脈動のようにして感じ得た。

 それを『文章』にしたい。そう願望を抱き、彼へと尋ねる

290ジェイク『一般人』:2017/02/27(月) 00:29:46
>>289

「聞いてなんとする」

「俺の空間を踏み荒らすか?」

目を開き、相手を見る。
特に興味もなさそうな目線だ。

291小林『リヴィング・イン・モーメント』:2017/02/27(月) 19:41:17
>>290

>俺の空間を踏み荒らすか?

 「お気を悪くされたのなら、謝罪します。
物書き故の、性分のようなものでして。
 誰かの明確な意思や情熱を秘めた科白は、生きてる言葉です。
私は、生きてる言葉を包み込んだ墨として、まっさらな無地へ埋め
息衝いた本へ変えたい……まぁ、そう言う俗な欲から来る行為です」

 ペンを若者は仕舞い込む。そして、踝を返すのを見ると来た道を引き返すのだろう。

「貴方の様子を見るに、反響するのは鉛色で余り澄ますような時でないんでしょう。
また、日を改めて私の望む答えを頂けたら、と所望します。
 ……名前は小林と言います。宜しければそちらの名前をお伺いしていいですか?」

 これ以上暇はしないと暗に告げ、小林は名乗って彼へと尋ねた。

292ジェイク『一般人』:2017/02/28(火) 00:04:26
>>291

「謝罪は必要ない」

「作家はみな勝手な人間だ。物語を書き、その結末がどれだけ悲惨であってもけろりとした顔でいる」

「人魚姫の結末に涙した少女に救いの手は差し伸べない」

ランタンを持ち上げる。
そしてしばらくいじった後、中の火を息で消してしまった。

「お前の望む答えをか……」

「……」

「ケイディだ」

男はただそうとだけ答えた。

293小林『リヴィング・イン・モーメント』:2017/02/28(火) 22:06:42
>>292

 「では、また何時か月夜でなくとも。
お会い出来る事を望みます ケイディ」



 ……

 
 シャリカリカリ クリ シャッ カリカリ カリカリカリカリ シャ キュリキュリ シュッ…

 「硝子の涙を透かす中に映える現世に 天の架け橋を渡すかのような
山谷を駆け抜けた一番風の音を感じ起こすように あの胸に秘める熱を私は欲するのだ」

 「……うん、良い文字が書き起こせそうだ。
しかしケイディ ケイディ……こう言う事を呟くのは如何だと思うが
名と姿に少し一致しないような気がしたな」

 別離を果たす後に、青年は嘯く。僅かに見える月光を少し仰ぎ見たあと
闇夜を伴として、あるべき場所へ あるべき場所へとと追い風にせかされるまま。

294伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/20(木) 23:29:40
「はぁ……」
湖畔のほとりで、やや憂鬱そうな様子で
一人の少女が湖を覗き込んでいる。

光が反射して鮮明にその顔が映る。

「第二の人生…
 なーんて、どうすりゃいいんスかね……」
自分の頬をぱちぱち叩く。

まるで漂白剤を頭からかぶったかのように
自分の姿は全身蒼白だ。

自分の体に「黒」という色は殆ど全く見られない。
過去の自分の姿を思い起こして

「とりあえず……
 学校に行って大丈夫なのかなぁー……」
自分の制服も色落ちしたかのような雰囲気である。

命を落としたショックよりも
これからどうすりゃいいのか、そんな思いで彼女は悩んでいるのであった。

295小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/21(金) 23:57:36
>>294

人影もまばらな、静かな湖畔のほとり。
そして、湖の傍で思い悩む全身に白みを帯びた少女。
そこから少し離れた所に、一人の女が座っていた。

年の頃は二十台後半。
すらりとした細身の体型で、女性にしては背が高い。
楚々とした喪服に身を包み、つばの広い黒い帽子を被っている。

少女とは対照的に、その姿には『黒』が際立っていた。
ただ、左腕にはギプスが付けられ、三角巾で腕が吊られている。
そのため、そこだけは『白』が目立っていた。

  ――……『第二の人生』?

少女の発した言葉が耳に入り、不思議に思った。
年若い少女が口にする言葉にしては不釣合いだ。
まるで、既に『第一の人生』が終わっているかのような……。
そんなことを考えながら、つい少女の方を見つめてしまっていた。
もしかすると、こちらの視線に気付かれるしれない。

296伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/22(土) 10:23:31
>>295
「とりあえず染めてみるかなぁー…」
などと悩みながら、湖に映る自分の姿をずっと見ていたが、

「おや…
 誰かに見られている気配がスるっス…」
ハッとして、顔を上げる。
蘇ったから感覚が鋭敏になっているのかは定かではないが
とにかく、じっと見られているような感覚を覚えたのである。

(いやー、この格好は目立ってしょうがないスからねー…
 興味津々なヒトもいるのかも……)
と、周囲を見渡していると

「…おんなじ白いのが…!」
と、文子の腕を保護しているギプスを指差して驚いている。
この時同時に二人の目があった。

彼女、梨央奈の姿は
『真っ白』という言葉がふさわしいくらい
全身白ずくめであった。
かなり特異なのは、文字通り
肌から髪の毛、僅かな濃淡で判別できるものの
眼球まで、まさしく『全身が』白ずくめなことであった。

297小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/22(土) 21:40:51
>>296

  「――あ……ごめんなさい……。つい、見つめてしまって……。   
   気に障ったのなら謝ります」

少女に近寄っていき、頭を深く下げて謝罪する。
自分の骨折した左腕に対して、少女は驚いているようだ。
どちらかというと、ギプスよりも『色』に反応しているのが気にかかったが……。

実際の所は、こちらの方が内心よほど驚いていた。
ただし、表情には出さないようにしている。
あからさまに驚いた顔をしてしまっては相手に失礼だ。

けれども――確かに不思議な姿だとは思う。
肌が色白だというなら分かる。
自分も肌の色は白い方だ。

しかし、ここまで全身が真っ白というのは見たことがない。
そういえば『アルビノ』という言葉を聞いたことがある。
遺伝子や色素の問題で身体全体が白くなるらしい。
もしかすると、彼女もそうなのだろうか?

  「……隣に座っても構いませんか?」

了承が得られたなら、彼女の隣に静かに腰を下ろす。

298伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/22(土) 22:14:36
>>297
「えーあ、気にしないデも大丈夫スからー…
 白いのが見えてちょっとびっくりしただけっスー」
と、随分と元気そうに答える。
そういう自分なんて真っ白なのにだ。

「あ、隣デスか?
 私は別に構わないスけど……」
不思議そうにしながらも返す。

「あー、えっと…
 怪我大丈夫スかね…?」
ギプスとかが気になってしょうがないようだ。

299小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/22(土) 22:53:10
>>298

  「ありがとうございます」

お礼を言って梨央奈の隣に座る。
その顔に浮かぶのは柔らかい微笑み。
しかし、どこか陰のある微笑だった。

  「これは――道で転んで、手をついた拍子に腕を折ってしまったんです」

これは嘘だ。
実際は、ある事件に巻き込まれて負った怪我だった。
とはいえ、初めて会った人にする話でもないと判断した。

  「全治一ヶ月だそうですけど……。
   でも、もうすぐ治りますから大丈夫です」

これは本当だった。
あれから、もうすぐ一月が経過する。
もうじきギプスも外れるだろう。

ギプスが付いているのは左腕。
それを目で追っていたなら、左手の薬指に指輪がはまっているのが見えたかもしれない。
位置を考えれば、それが何か分かるだろう。

  ――『白』が気になるのかしら……。

この少女の真っ白な姿と関係しているのだろうか?
確かに、気にかかることではあった。
しかし、それを直接尋ねてもいいものかどうか……。
そんな時、二人の間を一匹の蝶が横切った。
その色は――『白』だ。

300伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/22(土) 23:24:41
>>299
「まぁー、誰かがいると
 なぜだかちょっとだけ安心してたりスるんス…」
何か不安だったのかもしれない。
自分の姿を見てもあんまり動揺してなさそうなのが
安心したのだろうか

「へー、それは大変スね…
 でも大変なことにはならなくて何よりデスよー」
骨折で済むならまだいいなーなどと考えながら、
そのギプスをじっと見る。

と、そこに横切るのは一匹の『白』い蝶
「んぁ!?何時の間に……ん?」
ひどく驚いた様子で蝶の姿をじっと見る。
なんだか妙なことを口走っているようにみえる

「…何だただの蝶だった……
 はぁびっくりした…」
(…無意識に能力を使ったのかと思ってしまった…)
白い蝶、白い生物に妙に反応するようになった
そんな自分を思い返しているようだ。

文子から見るとそれはどう映るのだろうか……

301小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/22(土) 23:54:27
>>300

梨央奈から見ると動揺していないように見えたかもしれない。
しかし、実際には少なからず動揺はしていた。
それを表に出していなかったというだけのことだ。

けれども、今は既に落ち着きを取り戻していた。
それなりに人生経験を積んでいるがゆえだった。
それでも、目の前の少女のような姿をした人間には出会ったことがない。

  「――『何時の間に』……?」

梨央奈の反応を見て、小さく呟く。
ただの蝶に対する反応にしては大げさだった。
蝶が苦手という感じでもない。

今までのことから考えると、やはり『白』に反応しているのだろう。
なぜ彼女は『白』に過剰な反応を示すのだろうか?
それが気にかかる。

  「あの――失礼ですけれど、高校生の方ですか?
   それとも中学生でしょうか……?」

気にはなるが――いきなり訊くのは躊躇われた。
まずは答えやすい所を尋ねた方がいいだろう。
そう思い、とりあえず無難な質問をしてみることにした。

302伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/23(日) 00:12:00
>>301
「ん…ん?」
ちょっと何かつぶやいたらしい文子のことを軽く見つめる。
(もしかして、変に思われてる…?)
なんだか心配そうである。

「あ、在学はってことっスね?」
と、話題が変わったのに安堵している。

「あー、一応中学生デス…
 確か中学3年位スかねー
 14、うん、14歳スからねー」
そう言ってウンウン頷く。

「と、そういうあんた…じゃなくて、
 あなたはどのくらいの学年なんスかね?」

303小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/23(日) 00:47:46
>>302

  「ふふッ――」

梨央奈の質問を聞いて、帽子の陰で思わずクスリと笑う。
まさか今になって、そんな質問をされるとは思わなかった。
なぜなら、自分が学生だったのは昔の話なのだから。

  「ごめんなさい、笑ってしまって。
   あんまりにも意外だったものだから」

  「もう学校は卒業しているの。
   今は28歳。ちょうど、あなたの『倍』ね」

やや砕けた言い方で訂正するが、特に気を悪くした様子はない。
若く見てもらえたと解釈すれば悪い気はしなかった。

  ――それにしても……。

『一応』、『確か』という言い方が妙に引っかかる気がした。
自分のことを話している割には、妙に客観的な印象だ。
まるで、『本当にそうだったか』確認しながら話しているような……。

  「私は、よくここへ散歩に来ているの。今日も、ね……」

  「――あなたは?」

そういえば、彼女は何かしら思い悩んでいた様子だった。
『第二の人生』という言葉のこともある。
この真っ白な少女が抱えているのは、何かとても大きな悩みであることが察せられた。

304伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/23(日) 01:00:51
>>303
「あ、そうだったんデスか?
 じゃあチョー後輩じゃないスか!
 びっくりしたなー!みえないっス!」
取り繕うように慌てた様子で答える。
ちょっと失礼だったかなと思っているんだろうか


「へー、じゃ先輩はココの常連なんスねー!
 私?あー私は……」
と言って少し湖を覗き込んでいた。

「まーその、色々と
 今後の進路についてかんがえて…おりましてスねー…」
ちょっと悩んだ表情をしている。

305小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/23(日) 01:24:52
>>304

  「進路……。学校のこと?」

中学三年生で進路といえば、まず思いつくのは進学のことだ。
それは自分にも経験がある。
しかし、彼女の様子を見ていると、単に進学で悩んでいるとも思えなかった。

もっと何か別のことのような気がする。
それが何かまでは分からないが……。
彼女の真っ白な姿のことも含めると、少なくとも普通の悩みではなさそうに思えた。

  「もし――嫌じゃなければだけど……。
   良かったら、聞かせてもらえないかしら……」

  「ほんの少しだけでも、あなたの手助けができるかもしれないから」

  「もちろん、無理にとは言わないけれど……」

そう言って、慎重に話を切り出す。
梨央奈の素性が気にならないと言えば嘘になる。
だけど今はそれよりも、目の前で悩んでいる少女の苦しみを、
少しでも軽くしてあげたいという気持ちの方が強かった。

306伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/23(日) 01:36:47
>>305
「あー、まぁそっちでもありまスがねー…
 もっとこう……大きな…」
と探るように答えるが…
暫く考える。

「ん…そうスか?
 言ってもいいスけど…
 信じられない話だと思うっスよ?」
と言ってからしばらく考え…
口を開いた。

「まぁその…
 あれはちょうど一昨日くらい…」
と言って彼女は語りだした。

いつもの学校の帰り
普段通りの帰り道だったのだが

その日、一台の車が信号を無視して高速で
横断歩道を渡る自分に接近して……

「…ココで記憶が途切れたんスよねー…
 それで…気がついたらこんな感じに…」
と言って自分を指差した。

(えーっと…
 此処から先は…)
「なんて言ったかなー…
 そうそう『音仙』!
 悩みを聞いてくれるっていう噂があった
 あの人のところに行ったんス!」

307小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/23(日) 08:36:41
>>306

  「……」

真剣な表情で、黙って梨央奈の話に耳を傾ける。
その内容は、確かに信じられないくらい不思議で奇妙なものだった。
普通なら、とても信じられなかったかもしれない。

しかし、自分は信じる気になれた。
奇妙な現象を現実に起こし得る可能性に心当たりがあったからだ。
そうした類の能力は自分の中にも存在している。

  「――『音仙』。そう、あなたも……」

思い出すように、ぽつりと静かに言った。
自分も、そこへ行ったことがある。
梨央奈と同じように、胸の内にある悩みを聞いてもらうためだった。

その結果、自分の中に眠っていた異能の存在を知らされることになった。
おそらくは梨央奈も同じなのだろうと思った。
そう思うと、なんとなく彼女に対して親近感を覚えた。

  「それで――その後はどうしたの?」

穏やかな口調で先を促す。
今この時――湖の水面に映っているのは、
漂白されたかのように真っ白な少女と、喪服と黒い帽子を身に纏った黒尽くめの女。
対照的な白と黒のコントラストが、そこにあった。

308伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/23(日) 11:16:15
>>307
「はぁーえっと…
 その後はどうしたんだっけな…」
と、少し考えるが…
文子の『音仙』を知るらしき発言に耳を傾ける。

「知ってるんスか?
 それじゃぁー…
 先輩も何か相談を…?」
と興味津々に彼女の言葉を聞いている。
そういえば自分はそれで自分の能力を自覚したのだった、と思い出し、

「あー、あの人の言うことにゃーね…
 私は一度死んで生き返った…とか言う話らしいんス…
 そして何か…『能力』?そういうものを持っていると
 教えてもらったんスよね…」
ふう、とため息を付いて顔を上げる。

「試しに出してみたらまさしくその通りの『モノ』が
 現れたんで信じるしかなかったっスねー…
 それで今後どうしようかな〜とお悩み中なんスね……」
と、湖に映るのは黒と白の2つの姿。
対極の色であった。

309小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/23(日) 18:47:50
>>308

  「……ええ。
   私も相談に行ったことがあるわ。
   今のあなたと同じように『進路』についての相談を……」

やや曖昧な返事を返しながら、視線を手元に落とす。
右手の薬指には、左手の薬指と同じ指輪がはまっている。
左手の指輪は自分のもの、右手の指輪は夫の形見だった。

生きるべきか死ぬべきか。
それが自分の抱えている悩みだ。
今も消えてはいないし、おそらく生涯に渡って消えることはないだろう。

夫が死んだ時、後を追って命を絶つつもりでいた。
しかし、彼は『自分の分まで生きてくれ』と言い残した。
だから、死にたいという衝動を抑えて生きてきた。

しかし、いつまで抑えていられるか不安を感じていた。
自分の中にある死を望む気持ちが高まっていくことが怖かった。
『音仙』に行ったのは、ちょうどそんな時だったと思う。

  「――『死んだ』……?」

梨央奈の言葉に、今までとは少し違う反応を見せる。
哀れみの中に、ほんの少しの羨みが混じっているような、複雑なニュアンスがあった。
そんなことを思ってはいけないと思いながらも、それを止めることができなかった。

ともかく――梨央奈が言った『第二の人生』という言葉の意味が、これで分かった。
事故で命を落としながらも、彼女は新たな姿で蘇った。
それはつまり、梨央奈自身が生きることを強く望んでいたということだろう。

なんという偶然だろうか――。
生きることを願いながら死んでしまった彼女と、死ぬことを望みながら生きている自分が、
こうして同じ場所にいる。
そのことに対して、奇妙な縁を感じていた。

  「私は、あなたのように死んで生き返るという経験をしたことがないから……。
   だから、そういう時にどうすればいいか――
   その助言をしてあげることは、とても難しいことかもしれないわ……」

     スッ・・・・・・

そう言いながら、おもむろに左手を開く。
その中には何もない。
ただ空っぽの手があるだけだ。

  「でも……私もあなたと『同じもの』を持っているの」

唐突に、左手の中に一本の『ナイフ』が現れ、次の瞬間には幻のように消えてしまった。
多くの人間には見えないが、梨央奈には見えたはずだ。
形は違えど、彼女が持つ『能力』と同質のものなのだから。

  「だから――もし良かったら、お友達になってもらえないかしら……?
   私にできることは、それくらいだから……」

梨央奈の悩みは特異かつ深刻であり、簡単に解決できるものではないだろう。
けれど、同じ『能力』を持つ者が近くにいれば、少しは心強いかもしれない。
そう考えた上での提案だった。

310伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/23(日) 21:01:03
>>309
「へー…
 やっぱあそこは人生相談…みたいなところなんスねー・・・」
と感心するように答える。

「あはは、そのー…
 びっくりしちゃったっスかねー?
 自分もわけわかんなかったんスけどね…はぁ」
そう言ってまたため息を付いた。
見れば彼女も、文子も
互いに悩みを持つかのような表情に見えた。

「まぁ、そんな体験できる人なんて
 めったにいないスからねー…
 助言は無理かも…デス」
と、空っぽの手があるのみの
文子の手を見る。

「ん…なにか…」
と思ってじっと手のひらを見ていると
突然ナイフが現れ、消える。
「うおっ!
 これってあれっスか?!
不思議な力ってやつ!」
やけに興奮した様子で答えている。

「あーえっと…いいっス!
 おんなじ能力なんて私にとって
 とても嬉しいことスよ!!」
とても嬉しそうに彼女のお友達になってほしいという
提案に笑顔で答えた。

311小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/23(日) 22:06:27
>>310

  「――ありがとう」

そう言って微笑を浮かべる。
少しでも梨央奈の悩みを軽くすることができたなら幸いだ。
自分にとっても、同じような能力を持つ友人が増えるのは嬉しい。

自分自身の悩みが何なのかは――今は黙っておくことにした。
相手のことを聞いておいて自分のことは話さないのは失礼かもしれない。
ただ、今はやめておこうと思った。

別に秘密にしているわけではない。
ただ、梨央奈は彼女自身のことについて悩んでいる最中だ。
今話したとしても、余計に混乱させてしまうだろう。

  「私の名前は小石川……。小石川文子よ」

  「あなたは?」

自分の名前を名乗り、同時に少女の名前を尋ねる。
友達になった記念といったところだ。

312伊須河 梨央奈『ウィッシュフル・シンフル』:2017/04/23(日) 23:54:18
>>311
「はぁー、こちらこそっスねー。
 能力を持ってる人が一人じゃない…
 って思うとなんだかやってけそうだなーと
 思えてきましたス!」
と、ニカニカと笑ってみせる。
友人というのは素晴らしいもんだなーと考えていた。
今の友人のことをきにしながらもそう思った。

「あー、文子先輩どうもよろしくっス!
あーえっとうちの名前は伊須河…伊須河梨央奈(いすかわれおな)ともうしまスっス!
 こ、これからよろしくっす!」
そう言って深々と頭を下げた。
まるで舎弟みたいである。

313小石川文子『スーサイド・ライフ』:2017/04/24(月) 00:46:36
>>312

  「そう――良かったわ。少しでも力になれたなら、私も嬉しいから……」

屈託なく笑う梨央奈を見て、こちらも微笑んでみせる。
誰かが救われるのを見るのは好きだ。
自分も希望を失わずに生きていこうと思えるから。

  「こちらこそ。どうぞ、よろしく」

大げさな梨央奈の様子を見て、思わずクスリと笑う。
そして、こちらも頭を下げる。
年の離れた友人が、これで一人増えた。

それからしばらくの間、梨央奈と二人で色々なことを話し合った。
大体は客観的に見れば他愛のない内容だった。
けれど、少なくとも自分にとっては、とても有意義な時間を過ごすことが出来た。

その後、梨央奈と別れ、帰っていく彼女を見送った。
やがて、自分も湖畔から立ち去っていく。
湖面から白と黒の人影は消え去り、透明な水をたたえた湖だけが後に残された――。


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