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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その1

1名無しさん:2016/01/18(月) 01:58:24
短編、単発のミッションなどにお使いください。
長編やシリーズものの予定でしたら、自分のスレで行うことをお勧めします。

171『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/24(水) 19:07:54
>>169-170
 揺らさないように、慎重に慎重を重ねながら、
『袴田』が診療所へと車を走らせる。
到着すると、『一吉』と『米原』が、真剣な面持ちで
『鬼っ子』を診療所に運び入れた。

――二時間後。

 『宗海』と『恋姫』は、診療所の『待合室』にいた。

「……とりあえず、ここで出来ることは全部やったってさ」

 『穂似子』が、そう言う。傍らには、『一吉』がいる。表情は、やや疲れた様子だ。
特段何か袴田を手伝ったわけでもないが……気疲れ、というやつだろう。

「『脳震盪』なら、少なくとも『数週間』で意識は戻るらしいよ。
脊髄に異常は、今のところないし……気道を確保して、人工呼吸器で呼気を送り込めば……
あとは、意識さえ戻れば、何とかなるみたい」
「・・・ってことらしいぜ。俺には良くわからんが、
『無事』ってことが分かれば十分だッ」

 ざっくりとした『一吉』の理解に、苦笑する『穂似子』。

「本当に、ありがとう……あなたたちがいなかったら、
私たち、いつまでも『遠回り』し続けてたかもしれない……わっ」
「ほれ、穂似子ちゃん、一吉。疲れたろう、休みなさい」

 『米原』が、疲れた様子の二人の肩をぽん、と叩いた。
二人を休憩室に向かわせると、口を開く。

「私からも、お礼を言わせていただきます。
明日から――あの二人を連れて、謝りに回らにゃあいけませんが、
それが済んだら……寿司でも、奢ってやろうと思っとります」

 あいつらには内緒で頼みますよ、と『米原』は笑った。

「……おっと、お二人は『電車』で来られたんでしたね。
『終電』はまだですが……ここの夜は、寒い。
最寄駅まで遠いことですし、送っていきますよ」

 米原が、そう申し出る。
この村には『宿泊施設』の類がない。彼にとっても、
この提案が精一杯の『誠意』なのだろう。

 ここを去る前に、『袴田』と『鬼っ子』の様子を見ることができた。
袴田は、真剣な顔で少年を見守っている。
……いつか目覚めたそのときには、必ずお知らせする。
米原たちは、そう『宗海』と『恋姫』に約束した。

 『穂似子』と『一吉』に見送られ、二人は村を出て、
『星見町』へと帰っていった。

 しばらくして、二人の元に、現金『20万』が『書留郵便』として送付された。

172『上ノ田村からの手紙』:2016/02/24(水) 19:11:02
――二ヵ月後。

 二人は、自宅宛に、一通の『封筒』が投函されているのを見つけた。

 差出人の住所は、『上ノ田村』。

【 お久しぶりです。穂似子です。
 あのときは、本当にありがとうございました。

  あのあと、米原のおじさんと一緒に、迷惑かけた
 皆さんのところに、謝りにいきました。
  おじさんが昔のことを説明してくれたのかな、
 一杯怒られたあとで、一杯謝られました。

  今は、それなりに楽しくやっています。
 いっちゃんは、良くケンカを起こしてますけど……

  そうそう、私といっちゃん、お二人のいらした
 『星見町』の高校を受験することになりました!
 もし合格したら、そちらに下宿することになるかも
 知れません。私は多分大丈夫だけど、いっちゃんは怪しいかな。

  そのときは、よろしくお願いしますね】

【 栗原だ・・・じゃあ分からんか。一吉だ。
 色々、ありがとう。迷惑かけて済まん。
  大体のことは穂似子が言ってると思うから、
 改めては書かない。

  世話になった。きっと、恩は返す。それだけだ】

【 春の陽気が待ち遠しい今日この頃、いかがお過ごしですか。
 米原のトキでございます。

  年末の一件では、本当にお世話になりました。
 おかげさまで、あの子たちと我々の関係も
 ぐっと良くなり、乙次さんも心なしか活き活きとしているように
 感じられます。

  それと、もう一つ……あの『子』のことでございます。
 あなたがたが、村に伝わる悲話から、あの子を――そして恐らく、
 あの『娘』を、救い出してくれたこと、ふかく感謝しております。

  あの子は、もう『昔語り』の中の存在ではありません。
 この村の未来を、我ら一同、大切に、大切に育てていく
 所存でございます。
  またいつか、この上ノ田にお越しください。
 何もない村ではございますが、いつでも、お待ちしております。
 
  まだまだ寒い季節でございます。どうぞ、お体を大切に】

【立春

  米原です。その節は、大変お世話になりました。
  あれから、一吉のやつはいつもの調子ですが、
 それでも少しは、あいつなりの考えが分かるように
 なったように感じております。
  
  食い違ったままだった我々の間を取り持ってくださったこと、
 誠に感謝してもし尽くせません。
 もし上ノ田にいらっしゃる機会があれば、
 村を挙げて歓待する所存でございます。

  それでは。
  お二人のますますのご健勝、お祈りしております。

 追伸:
  村で採れた『収穫物』も、併せてお送りしておりますので、
 ご迷惑でなければ、ぜひお受け取りください】

 村の面々からの手紙……そして、最後に。
もう一通、素朴な『和紙』の手紙が入っていた。

 その差出人は、一目見れば、分かるだろう。

173『明日』からの『手紙』:2016/02/24(水) 19:13:56
【 たすけてくださって、ありがとうございました。
はかまだせんせゐのところて、このてがみをかゐてゐます。

  かあさまも、おふたりによろしく、といってゐました。

  よみかきは、まだよくおぼへていないのですが、
 どうしても、じぶんのことばで、つたえたかったので、
 せんせゐにおねがいして、てつだつてもらいました。

  まだなまえのなかつたぼくに、むらのひとたちがなまえを
 つけてくれました。

  『あすた』。ぼくは、『明日太』と、いひます。

  おふたりに、おれいをしたいです。
 また、きつと、このむらに、いらしてくださいね】


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