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【ミ】『フリー・ミッションスレッド』 その1

1名無しさん:2016/01/18(月) 01:58:24
短編、単発のミッションなどにお使いください。
長編やシリーズものの予定でしたら、自分のスレで行うことをお勧めします。

2『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/01/31(日) 23:56:48
ある日の新聞の『三面広告』。
『急募』――『畑荒らし捕獲求ム』 『経歴不問』『報酬20万 即金』
『上ノ田村 樋倉(ひのくら)地区 区長 米原乙次』

『星見駅』から、電車で『一時間』の『千田原駅』。
そこから『巡回バス(一日5本)』で、更に『45分』。
四方を山に囲まれた、河川豊かな農村、『上ノ田村』。

如何なる理由があってか――ともかく求人に応じ、
バス停留所に降り立った『稗田』と『宗海』は、
ただひたすらに『田畑しかない』風景を目の当たりにしていた。

ヒ ュ ゥ ―ーz__ ッ

北風が、二人の間を吹き抜ける。
と……そこに一台の『ワゴン車』がやってきた。
半開きの車窓から、タオルを肩にかけた『おっちゃん』が手を振る。

「おー、おー、良く来てくだすった!
アンタたちがあの『広告』見てきてくれた人だね。
私が、広告を出した『米原』です。よろしく」

「まあ乗って、寒いだろうからまずはお茶でも飲みィに、
うちのカアちゃんに話は付けてあるから」

男――『米原』は、気さくな調子で声を掛けてきた。

※『稗田』『宗海』両名は、
『スタンド能力』『所持品』を提示されたし。

3稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 00:02:13
>>2(GM)

大きなフードのついた、黒いぶかぶかコート。
それに、烏のようなマフラーと、ドットで青い太陽が刻印された伊達眼鏡。

ヒ ュ ゥ ―ーz__ ッ

     「さむぅ……」

      ブルッ

寒さに身を震わせる。
いつもなら今頃暖炉で温まっているところなのだが・・・・

         ――と、そこにワゴン車。

「どーもぉ……今日は一日がんばるぞぃ……えひ。」

「あー……まあ……
 広告は僕じゃなくて、お婆ちゃんが見たんだけど……」

依頼を受けたのは……恋姫の育ての親――祖母の存在あってのことだ。
『上ノ田村』だか、その近くに、農家の知り合いが住むらしい。
祖母の心配そうな顔は、どうにも見ていられないし、お金も魅力的だ。

「……んじゃ、お言葉に甘えて。
 僕は……稗田。稗田 恋姫(ヒエダ レンヒメ)……」

     トコ
        トコ
 
       「……『ハイエース』する気じゃないよな? えひ。」
  
恋姫は陰気な調子で、そう返し、乗り込む。
事務所の許可は(ケガするなと念を押されたが)得た。

           ・・・・しかし。

(やっぱこれ……やばいやつじゃないか……?
  えひ、これで車がまじでハイエースならもっとやばかったが……)

              チラ

     横にいるもう一人の『パーティ』を見る。
       妙な再開だ。しかし即金20万円、経歴不問とは――訳アリか?

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

掌に水晶様の『結晶』を備えた人型のヴィジョン。
結晶から生み出す『光球』は着弾した『浮遊物』を削り取る。
また、この『光球』は着弾した『接地物』を吹っ飛ばす性質を持つ。

『ブルー・サンシャイン』
破壊力:E スピード:C   射程距離:C(6メートル)
持続力:D 精密動作性:B  成長性:C

詳細:ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/10-11

所持品:
ポケット:スマホ、イヤホン、ティッシュ、ハンカチ、カイロ
リュックサック:ゲーム機(折り畳み式)、携帯充電器、眼鏡ケース、タオル、リップクリーム、着替え、のど飴

4宗海『エトセトラ』:2016/02/01(月) 00:11:01
>>2
「ハイ、……エース?」

トヨタの車が何故ここに、と訝しげに視線を向けるが、
すぐに得心したとばかりに表情を和らげ、唇は朧な三日月を描く。

      「きっと、貴方の思うような『肉体労働』じゃあないわ。
       フフッ、昭和の頃には『タコ部屋』もあったけれど、
       今となってはそうしたプロレタリアも過去の遺物よ。

       『ブラック企業』なんて、今もまだ滅びちゃあいませんけれど。
       今日はきっと、――――多分、大丈夫な、はず。

       ……『久遠 宗海』よ。久しいに遠い、宗教の宗に、海でムネオミ。
       恋姫さん、ね。貧血の方は、もう心配ないのかしら?」

配管工事や清掃業に愛用される『ハイエース』を別の意味と取った。
そのまま『ワゴン車』に乗り込み、『米原』へ挨拶をする。

      「ところで、お話は『害獣退治』でしょうか?
       サルやイノシシでしたら、何とかなりそうですけれど」

--------------------------------------------------------------------------
【スタンド能力】
『22体』のネズミ型スタンド。
『牙』で齧った物体を体内に『貯蔵』し、『解除』と共に『霧散』させる。
尚、『視線』を浴びた『エトセトラ』は『強制解除』される。

『エトセトラ』
破壊力:D スピード:B 射程距離:B(44m)
持続力:D 精密動作性:C 成長性:A

【記】能力詳細まとめスレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/14
--------------------------------------------------------------------------
【服装/所持品】
外ハネの黒髪ショート、ネイルアート。
アイボリーカラーのダッフルコート、暖色のフレアスカート。
ネイビーブルーのストール、手袋。

ハンドバッグに財布、スマートフォン、ハンカチ、ティッシュ。
コスメポーチ、ハンドクリーム、文庫本、一円玉300枚(リアルマネー)。
--------------------------------------------------------------------------

5『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 00:16:43
>>3
「『はいえーす』? 何です、それァ」

きょとんとした顔の『米原』はさて置き、
ワゴン車に乗り込む『稗田』。

「おォ、よろしくお願いします、稗田さん。
お婆さまがねえ……いや、有難い限りです。
しかしアレだ、あなた私の孫くらいの歳に見えますなァ」

一緒にワゴン車に乗り込んだ『宗海』が、声を掛けてきた。

>>4
『稗田』に声を掛け、ワゴン車に乗り込む『宗海』。

「はっはっは……まあ、『肉体労働』にゃ違いないが、
わざわざ来ていただいた方に、粗末な扱いはしませんよ」

米原は、宗海の言葉に朗らかに笑った。
やはり、『ハイエース』の意味は理解していないようだ。

「久遠さんですな、いや、ご丁寧にどうも。
よろしくお願いします」
「いやあ、それがね……『害獣』なら、『猟友会』の面々に
頼むところなんですが」

車内で、宗海の言葉に米原が少し口淀んだ。
しばらくして、溜息混じりに続ける。

「どうも『人間』がやっとる痕跡がありましてね。
まあ――『犯人』の心当たりが無いわけでもないんですが」

>>466-467
「……いや、しかし、本当に有難いですわ。
正直、あの広告を見て来てくれる方がいるか、
不安だったもんですから――」

米原は、真剣なトーンでそう言うと、
座席越しにも分かるほどに深く頭を下げた。

「――ありがとうございます」

「んじゃ行きますが、ちぃと道が悪いからね。
ちゃんと掴まっといて下さいよォ……っと」

ガタン

言った端から、デコボコした路面に足を取られて
ワゴン車が揺れる。
山間なのもあってか、『坂』の多い地形のようだ。
路面の整備もあまりされておらず、勿論
『ガードレール』なんてものは存在しない。

車窓から眺める景色は、『家』『畑』、それと『山河』が全て。
『単調』と捉えるか、『平穏』を感じるかは、
人それぞれだろう。

……そうして悪路をゆくことおおよそ『10分』。
君の視界に、平屋の建物が映る。
ちょっとした『山小屋』のような風情の、木造の一戸建て。
ワゴン車は、その脇にゆっくりと停車する。

「着きましたよ。ちょっとした『地区の集会場』なんですがね、
今回はこの仕事のために貸し切らせてもらってます」
「……ああ、だいぶ揺れたと思うンですが、大丈夫でしたかね」

米原が、話しかけてくる。
『集会場』の扉が静かに開き、軒先に小柄な初老の女性が出て来たのが見える。
恐らくは米原が話していた『妻』なのだろう――穏やかな笑みを湛えている。

6宗海『エトセトラ』:2016/02/01(月) 00:18:59
>>5
ろくな舗装もされていないデコボコ道、坂とカーブの連続。
最早、『景色』をじっくりと干渉する余裕はなかった。


      「ぅ、ぇ ぷ

       ……ちょ、ちょっと、まだですか?」


10分という時間を永遠に感じられる。
白い貌を真っ青に染め、勝手に窓を開けては外の風を浴びていた。


      「や、やっと着いたのね?
       ええ、まずは、お茶を一杯、頂けるかしら?」


ヨロヨロとワゴン車から降りると、女性に軽く会釈をし、飲み物を求める。

7稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 00:20:53
>>6(宗海)
>>5(GM)

「……ハイエースは……まあ、専門用語。
 えひ。大丈夫そうならいいんだが……
 『肉体労働』か……専門外だな……やれるかな……」

         (タコ部屋ってなんだ……?
           意識高い系ワードか……?)

恋姫はダンスはやっているが、体力は不足気味だ。
あまり自信はないが、ゲームではないのだ。受けた依頼はそうそう蹴れない。

「…………『米原』さんも……
 僕のお婆ちゃんと一緒くらいに見えるよ。えひ。」

     トサ

背もたれに体重を預ける。
そして、宗海を横目で見て。

「えひ……貧血は、もう大丈夫……
 ゲームの『状態異常』みたいに、パッと治った感じ……」

「……ゲームは、あんま、しないんだっけ。
       宗海、ね……あー……なんだ、まあ、今日は、よろしく……」

実際、きれいに『五日間』で良くなった。
後に引く物もなく、今日も平常運転の恋姫だ。

「…………」

(人間って……まじでやばいんじゃないのか……?
  ……今さらにげられないわな……常識的に考えて。)

ガタン

    「うおっ……」


   ・・・・

         ・・・・


着いたと聞いて、恋姫は体を起こす。

「……ぅ…………」

        フラッ

元から白い顔は、色を打ち間違えたように蒼白に。

          「僕も……水……」

車が発進してから恋姫が発した、10分ぶりの意味のあるせりふだった。
その俯き具合は会釈に見えないことも、ない。

              (……悪路とかそういう次元じゃない……)

――――――――――――――――――――――――――――――――――
>GM
持ち物に財布を入れ忘れていました。
今から追加することは可能でしょうか?

8『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 00:29:02
>>7
>持ち物に財布を入れ忘れていました。
>今から追加することは可能でしょうか?

ここまでの移動手段を考えると、財布の所持は
『自然』なので、問題ありません。

――――――――――――――――――――――――

>>6
「……だ、大丈夫ですかい、久遠さん」

深刻な『車酔い』を見せる宗海の様子に、
米原がいささか慌てたような声をあげた。
>>7
「あ、ああ、稗田さんまで!
ちょ、ちょっと辛抱して下さいね」

更に顔面蒼白な稗田を見て、米原は急ぎ
ワゴン車のドアを開けた。
冬の清涼な空気が、二人を包む。
多少は、気分もマシになるだろう。
>>6-7
「いや、こりゃあ、車に酔ったかな。カアちゃん、
ちょっとお茶を――」

「はい、はい。あらあ、顔が真っ青じゃない。
ゴメンなさいねぇ、この人運転が乱暴だから」

米原の呼びかけに、穏やかな調子で応えると、『カアちゃん』は
スッと中に引っ込み、ササッと湯飲みをふたつ持って戻ってきた。
中身は、程よく冷ました番茶のようだ。
飲みやすく、気分を落ち着けてくれることだろう。

「乙次の妻の『トキ』です。この度はよく来てくれました。
こちらで手伝えることがあったら、何でも聞いて下さいねぇ」

番茶を差し出しながら、『トキ』が柔和に微笑む。

「いやあ、すんません。私はすっかり慣れてるもんで、
ついついスピード出して運転しちまいます」

申し訳なさそうに頭を掻きながら、米原が言う。

「とりあえず、しばらく気分を落ち着けて頂いて……
そうしたら、ここに入って来て下さい。
今回の『仕事』について、簡単に説明しますよって」

9宗海『エトセトラ』:2016/02/01(月) 00:34:06
>>8
「ありがとう、ございます」

湯のみに口を付け、程よく温んだ茶を啜る。
胃を落ち着けながら、『米原』の話を聞いている。

    「人間、それが『畑泥棒』なんて。
     言ってはなんですけれど、
     キャベツやじゃがいもをせっせと盗んでも、
     それなら別の稼ぎ口があるんじゃあないかしら」

    「今時、『ほたるの墓』じゃあ、ないでしょう?」

ねえ、と『恋姫』に同意を求め、『米原』の話を待つ。

10稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 00:35:35
>>8(GM)
>>9(宗海)

「ぷはッ……」

     すぅ――

            はぁ――

                「おえ”っ……」


深呼吸。
息を吐きだすとき、ややえずくが、踏みとどまり。


「…………どーも……」


冷えた番茶を受け取り。

          コク     コク

飲む。ゆっくり、ゆっくり。

       「ぷは……」

「えひ……『レースゲーム』よりハードだった。
 んじゃ……お言葉に甘えて、ちょい休憩タイムで……」

田舎特有の清涼な空気とのコンボで気分は幾分か、マシだ。
少し待って、気分を落ち着けよう・・・・

    「……金目当てじゃないじゃね?」

       「DQNとか……そういうやつら、
         遊びで『万引き』するっていうからな……」

                   ・・・・宗海には、そう返す。

11『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 00:38:25
二人は、気分を落ち着けてから『集会所』へ。
建物の内部は、古い木材がむき出しの、野趣のあるビジュアルだ。
音を立てる『灯油ストーブ』が、いい味を出している。

「もう大丈夫で? ……どうぞ、お掛け下さい」

米原は、『会議室』につき物の『長机』を挟んで、椅子を二人に勧める。
しごく一般的な『パイプ椅子』だ。
>>9
「うむ、まったくその通り。私もそう思いますわ」

きょうび、『畑泥棒』もないだろう――そんな宗海の言葉に、
米原はこくりと頷いた。

「それで私らも、『金目当て』の犯行ではないと思っとります。
この季節、盗まれるのはジャガイモやダイコンが大半ですが」

そう言うと、米原は一枚の『写真』を出した。
収穫済みの農作物が『軽トラック』の荷台に袋詰めで積まれている。
……よく見ると、荷台の上に妙なスペースがあることに気付く。
おおよそ袋『3つ分』、隙間が空いているのだ。

「この状態で、持ち主がちょいと用を足しに離れた隙に
持っていかれたとか。イノシシやシカには、出来ない真似です」
「特に良くやられるのは『ジャガイモ』ですな。
単純に皆よく作っとる、ということもあるようですが」
>>10
「…………ええと、『どきゅん』ちゅうのは、
『不良』ってことで良いんですかね」

宗海に向けた言葉だったが、米原が反応した。

「我が村にも、そういうのはおりましてな」
「こっからバスで『1時間』ほどの『中学校』に
通ってる連中ですが、そいつらがなかなかの『悪童』で」

米原は、新たに二枚の写真を示した。
学生服姿の『少年』と『少女』が写っている。
年齢は、『稗田』と大差ないように見える。

少女は、背は低そうだが少々『恰幅のいい』体格で、
にこやかな笑みを浮かべている。真っ赤な『頬』が印象的だ。

少年の方は、見るからに『田舎のヤンキー』ド真ん中の風貌だが、
背丈は少女とあまり変わらない。妙につぶらな瞳が、目につく。

「このクソガキ……失礼、男子は『栗原一吉(くりはら いちきち)』、
こっちの女の子が『鎌田穂似子(かまた ほにこ)』。
二人は『向かい』に住んどりましてな。小さい頃からいつも一緒にいました」
「昔は可愛いもんだったんですが、二人揃ってすっかりヒネてしまって」

12稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 00:39:12
>>11(GM)

「……おかげさまで……どーも。えひ。」

      ギシ

陰気な笑み。気分は、さっきより遥かに良い。
ポケットの中の懐炉を揉みつつ椅子に着く。

「DQNは……
 そう、不良みたいなもん……」

    「どこにでもいるよな……
      えひ、ザコ敵……『スライム』みたいに……」

恋姫はそういう人種が『嫌い』だ。
示された写真――その双方に、嫌悪の意思で、目を細めて。

           ボ  ボ ボ

      ・・・・一瞬、烏面のヴィジョンが重なる。

「こいつら、捕まえんのな……
 えひ……まあ、一応聞いとくが……」

「オトナが何人かいれば、普通に……
 つーか、イージーに……捕まえられないの……?」

いくら悪童でも、二人でも。
大人が複数人いればどうにもならないはずだ。

        ・・・・では、なぜ依頼する?
              それも、あんな条件で。

13宗海『エトセトラ』:2016/02/01(月) 00:42:07
>>11
「なんだか『素朴』な二人ね」

写真の二人については素っ気ない感想を述べて、
視線は『軽トラック』を写した写真へと移動する。

     「一つ、気になる点があります。
      男女のコンビでありながら、
      袋は『3つ』盗まれていますね」

     「もしも『イヤガラセ』でしたら、
      それぞれに『1つずつ』で十分。
      ――――わざわざ、余計に『1つ』持って行った」

人為的なものだという『米原』の言葉には首肯で同意を示す。
しかし、単純な『イヤガラセ』なのかという点には、疑問符が浮かぶ。

     「深い意味はないのかも知れません。
      写真で『遠近感』が解らないだけで、
      実は『片手』で持っていけるほど、軽いモノでしたり……」

     「しかし、もしかしたら『3人目』がいるのかもしれません」

     「彼らの『2人』が犯人であるという、『確証』はあるのですか?
      その『証拠』も掴みたいのであれば、
      ――――勿論、この私もご協力させて頂きます」

ニコリ、と薄い笑みを浮かべて『米原』に話の続きを促す。

14『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 00:50:54
>>12
「『すらいむ』……?」

稗田の発言に、またも首を傾げる米原。
どうも『ジェネレーションギャップ』があるようだが、
ともかく話を進める。

「あー……それがですな。
そりゃあ、捕まえようと思えば、出来ないことは
無いかもわかりませんが」

稗田の疑問は、もっともだ。
仮にその『悪童』たちが犯人だったとして、
大人たちが『実力行使』に訴えれば、
押さえつけるのは可能だろう。

しかし……眼前の米原は、渋い顔をしていた。
それが『出来ない』、または『やらない』理由が、
あるかのようだった。

「まず、彼らが『犯人』だという決定的な『証拠』。
これが無いんですよ」
「決まって、我々が目を離すタイミングを
『見計らった』ように『盗まれる』もんでして」

「――それと、その」

言いよどむ米原。

コトン

そこに、『トキ』が歩いてきた。
机に、淹れ直した三人分の番茶を並べながら、静かに口を開く。

「いくら『悪ガキ』といっても、『村の身内』だからねぇ。
みんな、そこまで『追求』しようとはしないのよ」
「それに、あの子たちがヒネくれちゃったのは、
村の私らにも『原因』はあるよって――」

「トキ!」

何かを口走りかけた『トキ』を、米原が制する。

「それは、今回のこととは関係ない」

>>13
「良いところに目を付けられますなあ」

盗まれた『袋の数』を指摘する宗海に、
米原が感心したように言った。

「確かに、少し『妙』ではあるんです。
その『ジャガイモ』は一袋『20kg弱』ですから、
『栗原』の小僧なら、二つ持てないことはないんですが」

とはいえ、それを持って、少なくとも畑の主人に
バレないように立ち去るのは、なかなか苦労するはずだ。

「『三人目』――しかし、この村に子供はその『二人』しかおりませんし、
わざわざ協力するような『大人』も心当たりは無いですな」

うーむ、と米原が唸る。

「『確証』は無いもんで、勿論『証拠』は得たいです。
久遠さんが協力してくださるなら、心強い」
「状況的には、ほぼ彼らが犯人で良いだろうとは思っとります。
犯行の日時は『休日』ないし、『学校』の終わった『夕方』に
限られてますし、そもそもここの住民はほぼ全員が
『農業』を営んでますから――『悪戯』でもない限り、
人の作物をとる理由が無い」

コトン
宗海の前にも、『トキ』の淹れた番茶が置かれる。

「『三人目』ねえ……『鬼っ子』でもいるのかしらねぇ」

宗海と米原の会話を聞いていたらしいトキが、
冗談めかして呟いた。

「この村の裏山には、古いお社があるんだけど、
そこには言い伝えがあってね……」

「トキ!」

『昔話』のような調子で語り始めようとしたトキを、
米原が止める。

「何言っとるんだ、お前は」

15稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 00:52:49
>>14(GM)

「あ―……スライムは……あれだ。
 ゲームの敵で……いっぱい出てくるやつ。」

一応だが解説をしつつ。

「…………えひ、ありがと。」

置かれた番茶に、礼を言う。
しかし、『トキ』を制する『米村』の態度――

    イラ

   (なに隠してんだ……捗らないだろ。
     常識的に考えて……村社会ってやつか……?)

ウワサにこそ聞く田舎の閉鎖性。
いまひとつ、気にくわない。

「つまり……あれか? 要するにだぜ……
 現行犯で見つけて、捕まえろってことでおk……いいのか?」

それが手っ取り早そうだ。
が、宗海の会話を聞き。

「あーいや……そうか。
 先に証拠見つけちゃうって手もあるのか。」

     「推理ゲーみたいに……えひ。
       ……まあどっちにせよ、僕もやってやんよ。」

もちろんゲーム感覚とはいかないのは理解している。
話を聞くに……相手も、『ふつうの子供二人』ではないみたいだし。

          ズズ

           ・・・・番茶を啜る。

16宗海『エトセトラ』:2016/02/01(月) 00:58:55
>>14
>その『ジャガイモ』は一袋『20kg弱』ですから、
>『栗原』の小僧なら、二つ持てないことはないんですが」

  「それはますます、『奇妙』な話ですね。
   イタズラ目的なら『1つ』で十分。

   やはり、『3人目』がいると考えた方が『必然』ですね。
   それぞれが『共犯』となって『連帯感』を強めるのは、
   『少年犯罪』にはよくあるパターン――――」

                                 「ッ!?」

穏やかに思えた『米原』の口調が、『伝承』の話に移ると打って変わった。
思わず、小さな肩をヒクつかせて動揺を示すも、
すぐに息を吐いて落ち着きを取り戻そうとする。

  「とにかく、『証拠』を得るのが優先です。
   『三人目』が誰にせよ、二人を捕らえればどうとでもなります。

   簡単な方法としては、『トラップ』はいかがでしょう?
   地元の『郵便局』や『コンビニ』にある『カラーボール』、
   荷物に触れれば『破裂』する仕組みを作りますので、
   後は、それを『証拠』にすれば、一目瞭然です」

仕組みとは当然、『エトセトラ』の解除を利用した『散布』だ。

  「犯行の『周期』は解りますか?
   それに合わせさえ出来れば、簡単ですけれど――――」

17『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 01:00:07
>>15
「いっぱい……『すらいむ』ちゅうと、あの
グニャグニャした……缶に入っとるやつですかね」

噛み合わない。

「ええ、そういうことですな」

何かを『隠す』米原の態度にイラつきつつ、
話を進める『稗田』。
米原は取り繕うように頷き、『トキ』はやや
不服そうな表情を浮かべた。

>>16
「そうですか……ふうむ」

『三人目』の存在――それまで想像だにしなかった
可能性を示され、米原は考え込むような様子を見せた。
釘を刺された『トキ』は、渋い顔をしている。

「ほう、ほう……面白いものを考えますな。
しかし、その――『作物』に影響は無いのでしょうか。
『塗料』なんかが含まれていなければ、良いんですがね」

『トラップ』に、米原は興味を持ったようだ。
ただ、農作物への影響が同時に気がかりな様子も見せる。

「『周期』ですか……ううむ、今は年末で
『学校』も休みですからなあ。
ただ、『午前中』には、被害にあったことはありませんな。
『夜間』も同様です」

「一応、こちらで被害にあった畑をリストアップして、
地図上にまとめておきました」

米原は、そう言うと机上に街の『地図』を出してきた。
少々『手書き感』のある簡素なものだが、立地くらいは分かるだろう。

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■□□□□□□□川□□□□□□↑裏山□■
■□□家家家□□川□□□□□□□|□□■ ※印はすでに被害にあった田畑
■―――――――=――¬□□□栗|鎌□■ ◆は現在地(集会所)
■□田田田□※※川※※|家□家□|□□■ 家は民家。鎌は『鎌田家』、栗は『栗原家』。
■□田田田□※※川※※,ト――――/□□■
■□□□□□※※川※※|※※※□□□□■
■□□□□□※※川※※|※※※□□□□■
■□家□家□※※川※※|※※※□□□□■
■―――――――=――十―――――――■
■←隣町□※※※川畑畑|◆◆□□他区→■
■□□□□※※※川畑畑|□□□□□□□■
■□□□□※※※川畑畑|家□□□□□□■
■□□□□□□□川□□|□□□□□□□■
■□□□□□畑畑川畑畑|□□□□□□□■
■□□□□□畑畑川畑畑|他区□□□□□■
■□□□□□畑畑川畑畑|↓□□□□□□■
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

18宗海『エトセトラ』:2016/02/01(月) 01:06:13
>>17
「盗まれた場合を考えましたら、
 『塗料』の被害は諦めて下さい」

     「荷台に積んだ『荷物』にだけ、
      『トラップ』が作動するようにしましょう。
      荷物を開封すれば、『破裂』が起きる仕組みです」

そうねぇー、と周囲を見回しながら、地図とニラメっこする。
ふと、顔を上げると民家の窓からある『一点』を指差し、
そちらに全員の『視線』を誘導し、『エトセトラA』を発現する。

     「やはり、実際に『現場』を検分しなければ務まりませんね。
      ――――ええ、それが良いわね。『米原』さん。

      私を畑までご案内頂けますか?
      ステキな地図ですけれど、やはり実地を見なければ。
      それに、畑で何を作ってるか、ちょっとキョーミがあるんです。
      良い機会ですから、たまには『土』の匂いを味あわないと……」

薄い笑みを浮かべながら、静かな語り口で『米原』にねだる。
『エトセトラA』を『恋姫』のリュックサックの中に入れる。
空いているサブポケットがあれば、そこに入れてしまいたい。

     <私が『米原』さんを畑まで誘導しますから、
       貴方は『トキ』さんから『言い伝え』を伺ってくれるかしら?>

     <どうにも不思議な点があるの。
       彼らは『野菜』をどこに運んでいるのかしらね?>

スタンド会話で『恋姫』にお願いしてから、自分は立ち上がる。

19稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 01:06:33
>>17(GM)
>>18(宗海)

「……まあ、そういうスライムもあるけど。
  例え話だから……あんま気にすんなし……」

こう噛み合わないと説明も出来ない。

       イラ

また少し、いらいら。
知識はしょうがない。恋姫は農業を知らない。それと同じ。
 
         ・・・・ともかく。 

「マップあんのか……あー、僕は罠とかは苦手だかんな。
 見張りなら……えひ、案山子よりは役に立つと思うけど……」

     ス

    「この辺……畑の……
     まだ被害無い辺りで……」

などと言い、地図に指を這わせていると――

「……? どうした……?」

『宗海』が指を指したので、そっちを見て。

      スル

         「……!」

  オォォォオオ ――

リュックから聞こえる声に、スタンドを発現する。
青い焔を灯す、烏面の頭部だけを、頭に重ねる形で。

    <……えひ……頭回るんだな、お前。
      意識高い系じゃなくて……まじで意識高いやつか……>

          <……おk、把握した。こっちは任せろ。
              えひ、バリバリ……上手くやってやんよ。>

スタンド会話で返す。
スタンド使いであることも、それなりに驚きだが……

「僕は畑はパス……えひ、インドア派だから。
 ここで留守番して……スタミナ、温存させてもらうよ……」

          ニマ

陰気な笑みを浮かべる。
ここは彼女に乗るのが、優れたやり方だと判断する。

                もしトキも一緒に畑に行ってしまったら?
                 自分も強制的に、畑に連れて行かれそうなら?
                   ・・・・その場合のことは、恋姫なりに考えている。

20『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 01:11:18
>>18
「むう……まあ、それで『証拠』が上がって、
奴らが少し『痛い目』見るなら、良いでしょう。うん」

しばし考えたのち、『米原』は『宗海』の案に乗ることを決めたようだ。

「――ん?」

そこで不意に『指』を指し、視線を誘導――

ギャンッ

ひっそりと『エトセトラ』を発現させ、人の目を縫って
『稗田』のリュックの『ポケット』に滑り込ませる。

「あの、今のは……ああ、『視察』ですか。
もちろんですとも、久遠さん」

『指差し』を『畑の方を示した』と解釈したのか、
米原が気前よく言い、席を立つ。それに続いて立ち上がる『宗海』。
……どうやら、『稗田』の方もうまくやったようだ。

>>19
『米原』の反応にイラつきつつも、応対する『稗田』。
と――『宗海』から『スタンド会話』が向けられた。
その提案に従い、米原にここに残ると伝えることにした。

「そうですか? まあ、確かに『仕掛け』は
久遠さんがやるようですしな。分かりました、
何しろヤンチャ盛りの連中ですからな……しっかり鋭気を養って下さい」

少し考えて、米原はその申し出を快諾する。

「あー、『トキ』や。稗田さんにおもてなしを」
「はいはい、分かってますよ。……行ってらっしゃいな」

トキと短く言葉を交わし、米原は立ち上がる。宗海も、後に続く。
残されるのは、『稗田』と『トキ』だ。

21宗海『エトセトラ』:2016/02/01(月) 01:14:26
>>20
この『集会場』からなら全ての『畑』を見られるが、
『恋姫』と『トキ』の様子を探られないように、
南側に有る『民家』まで移動し、『畑』と『川』を眺める。

     「さて、この『畑』はまだ『被害』に遭っていませんね。
      ここまでの『広範囲』に渡って『犯行』を成したなら、
      次は、この『畑』を狙うのが『セオリー』だと思います」

そう言いながら『家屋』から『農道』を通じ、『畑』へと向かう。
その際、一度屈んでから『畑』の土に触れておきたい。

     「『土地勘』を考えるなら、逃走経路は『自宅方面』。
      現に、自宅に近い方向から『被害』に遭っている。
      彼らが『中学生』という点も考慮すれば、不思議ではありません。

      この眼の前にある『畑』から『作物』を奪う、そう仮定しましょう。
      ――――確か、『バス』で通っていると言いましたね。
      でしたら、ここへ到着する、おおよその『時間』は解りますか?」

『一時間に一本』ならば、特定は難しい話ではない。
ならば、『工作』に使える『残り時間』も解るはずだ。
そう、『米原』に伝えたい。

     「(『恋姫』ちゃんは、うまくやってるかしら?
       なんとなく、『孫』っぽい雰囲気だから、
       任せて見たけれど、……少し、心配だわ)」

22稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 01:15:36
>>20(GM)
>>21(宗海)

「……えひ。いってら……
 しっかりスタミナ、溜めこんで……頑張るぜ……」

   ズズ

   番茶を啜って。
   『米村』たちが十分に離れるまで、待つ。

「……二人ぼっちだ。」

「えひ、どうしようかな……
 あー……トキさん、なんか喋ろう……?」

    グニ

     ポケットから出した懐炉を、
     ゲームのコントローラーのように、弄びつつ。

             …グニ

「あー、さっきの……言い伝え。
 鬼っ子の話ぃ……聞きたいな、僕。」

「常識的に考えたら、今回の件に関係ないかも……だけど。
 ゲームだったら……関係なさそうな話が、攻略フラグだったりするし……」

        緊張感。これはゲームではない。
         セーブボタンなどない。ぶっつけ本番、初見攻略。

              ・・・・向こうは上手く、やっているところだろうか。

23『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 01:21:46
>>21
南の『家』の前に移動する宗海と米原。

「ふむ、なるほど……そういえば、同じ田畑が
『二度』被害に遭うことは、無かったですな」

宗海の言葉に、感心したように頷く米原。
更に、『畑』へと向かう……

ガサッ

屈みこんで『土』に触れる。
適度に柔らかい、いい土だ。心なしか暖かい。

「なるほど……そう言われれば、その通りですな。
奴らの家がある方向には、人もあまり住んどりませんし」
「今は中学校は『冬休み』ですが――確か、今日は『朝一』の
『巡回バス』で出掛けたのを見かけたもんがいたと覚えとります。
あれは『一日五本』しかありませんし、今日はあと『二本』だけです」

米原は、そう言うとポケットからサイフを取り出した。
中に、くしゃくしゃの紙切れが入っている。
『バス』の時刻を記したメモのようだ。

「ええと、次のバスは『45分後』ですな。
その次は『二時間後』になります」

>>22
「そうですねぇ……ふぅ」

米村を見送った『トキ』が、番茶を一啜りして溜息をついた。

「あの人は本当、『忙しなく』ってねぇ。
なんだか私まで釣られてバタバタしてしまいますよ」

パチ パチ
『ストーブ』の火が、小さく音を立てた。

「『鬼っ子』の話?もちろん良いですよ、
どこまで話したかしら……ええと」
「そう、そう。
この村の裏山には、古い『お社』があってねえ。
そこには大きな『お石様』が祀られてるんだけどもね」
「昔々のことだけど、この辺りはとても人の住めるような
場所じゃ無かったそうで」

ズズズ

「ここに流れ流れやって来た私たちのご先祖様も、
そりゃあ大層苦労したんだそうな」
「それを哀れに思いなすったのか、山の『神様』は
その『お力』を、大きな『石』に込めて
山の中に『降ろした』そうだよ」
「ご先祖様は、その『石』から『知恵』や『神通力』を
お借りして、この村を拓いたんだそうな」

トキは、とうとうと語りだした。
頭の中に完璧に話が入っているようで、
全く淀みなく、言葉が連なっていく。

「そうして村がやっとこさ出来あがってきた、ある日のこと。
違う山から来た『鬼』が、その『お石さま』を奪い取りに
やって来た」
「ご先祖様たちも沢山殺されたけれど、最後は授かった『神通力』で、
『鬼』たちを追い返した。でも、その後に傷ついた
『鬼の子』が残されたんだと」
「大人たちは、鬼の子を殺してしまおうと思った。
でも、一人の娘っ子が、それを哀れんだ。
『親に見捨てられた上に、殺されるなんて忍びねえ』って。
娘っ子のおっ母は早死にし、父親は鬼にやられて亡くなった。
だけど娘っ子は鬼を恨まなかった。ただただ、これ以上血が流れて欲しくねえと思った」

「大人たちに伝えれば、きっと殺されてしまう。
だから、娘っ子は、ひっそり鬼の子を匿うことにした。
自分の『神通力』でもって、お社の中に『隠れた扉』を作って」
「『隠れた扉』は、招かれないと『見えない』し『触れない』。
娘っ子は、自分と鬼っ子、それに自分の『許婚』だけを、
この扉に『招いて』、鬼っ子を介抱したんだと」

ズズズ

長く喋って喉が疲れたのか、『トキ』が一息入れた。
つかの間、『集会所』の中を、静寂が包む。

24宗海『エトセトラ』:2016/02/01(月) 01:25:06
>>23
(※『エトセトラA』の聴覚を介し、
  『トキ』からの言い伝えを聞けたとしてよろしいでしょうか?)

  >「ふむ、なるほど……そういえば、同じ田畑が
  > 『二度』被害に遭うことは、無かったですな」

   「……それは、非常に『重要』ですね。
    一度荒らした畑には、もう用事がないことになります。
    『ゲーム感覚』でターゲットを変えると考えるなら。
    遠くの『田んぼ』に手を付けないのは、不自然ですね」

周辺の作物は『似たり寄ったり』だと聞いている。
ならば、わざわざ『ターゲット』を変えるのは『不自然』だ。
宝石をあしらったネイルの尖端を甘く噛み、思考をまとめていく。

   「――――むしろ、『逆』かも知れませんね。
    例えば、前回に手を付けた『田畑』では『失敗』したことを、
    別の『田畑』で実行しようとし、『失敗』を繰り返している。

    ある『目的』があって、連続的に『田畑』を荒らしている。
    そして、それは『作物』が目当てということになりますが……」

普通に考えるならば『荷台』に盗まれた『作物』が目当てとなる。
つまり、この田畑のどこかに『特別』な野菜が育てられているのか。

ハンドバッグから『コスメポーチ』を取り出し、『口紅』を抜く。
『エトセトラB』を『ハンドバッグ』の内側に発現し、『リップグロス』を喰わせる。

   「『カラーボール』も考えましたけれど、
    ちょっと『物騒』ですものね。止めておきましょう。

    代わりに、私の『グロス』を散布するようにします。
    洗えば落ちますけれど、真冬の川で『寒中水泳』なんて、
    ――――フフッ、ゾッとしない話じゃありません?」

25稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 01:26:33
>>23(GM)
>>24(宗海)

「『にほんむかしばなし』……
 あれの読み聞かせ、聞いてるみたい。えひひ。」

ほおを少しほころばせる。昔、してもらった覚えがある。
そう、ずいぶん昔で、枕もとの祖母の顔も、思い出せないけれど――

      ズズ

「なんていうか……リアルっていうか……
 伝承はフィクションじゃないから、そりゃそうだけど……」

それだけ聞けば、単なる言い伝え。
遠すぎる過去は事実であれ、お話とそう変わらない。けれど。

(……質問タイムは、後のがいいか。)

神通力。日ごろ聞きなれない言葉。
しかし、それが人によって違う、『力』なのだとしたら。

「えひ……それで……
  鬼の子は? どうなったの……?」

       「人間のやさしい……夫婦、に育てられて……
         めでたしめでたし? それがベストエンドだけど……えひ……」

話の続きを促そう。
神通力使い、それが、現代にも続く物語ならば。

        ヒソ

        <……宗海、聞こえてるか?
            ……この話、なんか、それっぽい。>

                       ・・・・リュックにスタンドの顔を寄せて、ささやく。

26『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 01:31:57
>>24
>(※『エトセトラA』の聴覚を介し、
>  『トキ』からの言い伝えを聞けたとしてよろしいでしょうか?)

申し訳ない、描写不足だった。
『言い伝え』は、『エトセトラA』を介して宗海にも聞こえている。

ー――――――――――――――――――-―――――――

>>24
「うーむ……同じ畑を狙わん理由……
それは、さっぱりですな」
「何か特別な『作物』があるわけではなし、
強いて言うなら、一箇所から続けて盗めば
当然『監視』が厳しくなる、というのはありますが」

唸る『米原』。
『宗海』は、ひそかにリップグロスを『エトセトラB』に食わせた。

「『ぐろす』ちゅうと、ええと、『口紅』ですかな。
はは、そりゃ良いかも知れませんな。簡単に落ちるもんじゃない。
しかし、どんな仕掛けなんです?」

『エトセトラA』からは、引き続き『稗田』と『トキ』の会話――
というか、トキの『昔話』が聞こえてくる。

>>25
「この村の人も、今ではあんまり信じちゃおりませんがね、
私は信じてますよ……きっと、本当にあったことだと」

『トキ』は、確信めいた調子だった。

「そうだねえ。そうなったら、良かったんだけども」

鬼の子の運命について。
トキは、ふと悲しげな表情を浮かべた。

「娘っ子は鬼の子を親身になって介抱した。
その甲斐あって、鬼っ子は一人で出歩けるまでに『回復』したんだと。
娘っ子も、許婚も、我がことのように喜んだ。
――だけど」

ふ、と空が翳った。そんな感覚があった。
トキの語り口が、そんな印象を与えさせる。

「ほんの一時、二人が『食べ物』を取りに、
社を出て、帰ってみると――」
「『猟師』だった。『イノシシ』を狩りに出た帰り、
ばったり鬼っ子と出くわして」
「おっかない『鬼』を、猟師はよく覚えていた。
咄嗟に振り下ろした『斧』が、額に――」

ズズズ
トキは、目を伏せて深く息をついた。
話を、続ける。

「あとは、言わなくても分かるかね?」
「鬼っ子は、綺麗な『木の実』を持っていた。
それを拾って、二人に見せたくて、『扉』に戻らずに
山を歩いていたんだろう」
「娘っ子と許婚は、深く悲しんだ。
特に可愛がってた娘っ子は、別人のようにやつれてしまって、
それから暫くして、倒れてそのまま……」
「許婚も、世を儚んで、早晩村を出て行ったそうだ。あとの便りは、
とんと聞かない」


「それから暫くして、やにわに『嵐』が来て、『雷』が起こった。
翌朝、村人たちが『社』に行ってみると、
『お石さま』が粉々に砕けていたそうだよ」
「村人たちは、神様の『怒り』と、鬼っ子の『祟り』を
怖れて、『石の欠片』で『鬼っ子』の像を作って、祀ることにした」

「それからも、社の周りでは、木の実を持って
『娘っ子』を探す鬼っ子の声が、聞こえるらしいよ――」

27稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 01:36:56
>>26(GM)

「えひ。僕もそういう……
 ウソみてえな『不思議』なことは……けっこう、信じてる。」

         (……リアルもたいがい、だしな。)

オカルトを愛好はしないが――『信じる理由』はある。

    ・・・・

       ・・・・

   ズズ

番茶を、啜る。
懐炉は机の上に置いた。語りに耳を傾ける。

「…………おしまい、か。」

    (……鬱展開マシマシのバッドエンド……
      まじで救えねえやつ……実話、なんだよな……)

   コト

目を細めて、番茶を置く。やや俯きがちに顔を上げて。

「……畑荒らしの『三人目』が、その鬼っ子……だとしたら。」
 
                  ボソ

「木の実より良いものなら、見てくれるって……
 また会えるって、思って……野菜にも手ぇ出したのかな……」
      
      クル
             「……えひ。
              まあ……妄想乙だけど……」

陰気な笑みを、小さく浮かべて。
長い髪を一房指で巻きつつ、そのようなことを言って。

「…………その、鬼っ子の像のある社。
 今も見に行けるの? ……えひ、事件に関係ないか。」

         「それに『米村』さんが……
           また、げきおこ(※激怒)しちゃう……?」

何かがあるとしたら、そこかもしれない、と思った。
『米村』が話を制した理由は――この伝承の、社の、あるいは村のどこにあるのだろうか?

                 ・・・・これは現実だが、伝奇に入り込む気分だ。

28宗海『エトセトラ』:2016/02/01(月) 01:40:21
>>26
>強いて言うなら、一箇所から続けて盗めば
>当然『監視』が厳しくなる、というのはありますが」

    「ですが、畑は遮るもののない、『平地』にあります。
     『監視』をする状況を招いたのならば必然、
     他の畑にも目が向けられる、若しくはその『リスク』を加味したか――――」

この言葉は特別に意識しているわけではない。
何故なら、聴覚を『エトセトラ』に割いているからだ。

    「(『鬼』が実在したかはともかく、
      『座敷牢』のように『隔離』出来る場所というのが気になるわね。

      『米原』さんが警戒するとしたら、
      昔話なんかよりも、事故の起きやすい『牢屋』に向かうはず――――)」

    「とにかく、二人を誘うように『農産物』を用意しましょう。
     『20kg』ごとに農産物を袋に詰め込んで、
     その中に『機構』を設置する予定で、動きますから……」

29『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 01:41:53
>>27
「そう。このお話は、これでおしまい。
暗いお話でしょう?私も子供の頃は、もうちょっと
幸せな結末になって欲しい、って思ったもんだよ」

『民話』の類には、悲劇的な結末に至るものが少なくない。
それは、子供に語り継ぐ『人生訓』であったり、
あるいはその地方の『禁忌』を教えるためであったり、
理由は多様なのだろうが……

「ああ、そうかも知れないねえ……」

ズズ

『トキ』は番茶を飲んで、目を細めた。
『稗田』が冗談を言った、そう受け取ったようだ。

「お社かい?ここからなら、裏山まで歩いて、そこから……
そうだねえ、『15分』くらい歩けば見えるよ」
「私は足がもう思うように動かないから、ちょっと大変だけど、
稗田さんくらいの子なら、大丈夫だろうし、
必要なら、地図に印を付けておきましょうかね」

歩いて『15分』。今から向かえば、彼らが戻ってくるまでには
十分到着できる距離だ。ただ、『宗海』のスタンドは恐らく『射程外』になる。
……それはさておき、トキは小さく溜息をついた。

「最近は、あそこに足を運ぶ人もめっきり減ってねえ。
このお話も、知らない人が随分増えたもんだよ。
でも、『一吉』と『穂似子ちゃん』は、裏山に家が近いのもあるけど、
よくあの辺りで遊んでたねえ」

米原の話をすると、トキは小さく笑った。
そうして続ける。

「あの人は、いつでもあんな感じ。ちょっと『せっかち』なのよ。
一つのことに集中すると、他のものが見えなくなるし……
でも、あの『二人』のことに関しては、ちょっと『負い目』みたいなものも
あるのかもねえ」

トキは、そう言った。

「あの二人が、私ら『村の大人』を信用しなくなったのは、
ちょっとした『事件』が原因だからねえ」
>>28
「む、むう。
いや、久遠さんは難しいことを考えますな」

『米原』が困ったように声をあげた。
内容に対してなのか、『リスク』という横文字が
ピンと来なかったからなのかは分からないが。

「……そうですな、確かに一つの畑を監視すれば、
当然、他の畑にも目は通る。そちらを注視はしないにせよ、
目立つ行動は、どのみち取れなくなりますか……」

逆に考えるなら、そういった『監視』を掻い潜って、
『畑荒らし』はこれまで犯行を重ねてきたことになる。
監視の隙をつく『移動手段』を持っているのか、あるいは監視者を
更に『監視』するような『情報収集手段』を有しているのか……

「はい、ここの持ち主にも話は通してありますよって、
すぐ済むでしょう。ちょっと失礼……」

『農作物』を用意する、という話をすると、
米原はそう言って、携帯電話を取り出した。

「あー、私です。米原です。
はい、例のアレの件で、はい」
「『罠』を仕掛けますによって、イモでも集めて、
軽トラで、はい」

ピッ
米原は、テキパキと用件を伝えると、電話を切った。

「すぐに『軽トラ』に道具やら積んで来るそうですから、
『3分』もかからんでしょうが、少しお待ちください」

『エトセトラ』の聴覚を通じて、『稗田』と『トキ』の
会話が聞こえてくる。
『社』までは、徒歩で『15分』。十分余裕のある距離だが、
そちらに稗田が向かう場合、流石に『エトセトラ』の『射程外』に
出てしまうだろう。

30宗海『エトセトラ』:2016/02/01(月) 01:45:54
>>29
>「あの二人が、私ら『村の大人』を信用しなくなったのは、
>ちょっとした『事件』が原因だからねえ」

気になる話だが、これは『恋姫』に任せるしかないだろう。
自分は『米原』をどのように『誘導』するか、全力を注がねばならない。

      「それだけの『リスク』を侵す、『リターン』があるという話です。

       ――――フフッ、難しい話をするのはきっと、『緊張』かしら。
       私、こう見えて『臆病』なんです。『失敗』や『至らなさ』は、常に恐れてます」

双眸を細めると控え目に口角を吊り上げ、唇は三日月を描いた。
流れる川へとそっと視線を遠ざけて、耽るように息を吐く。

      「今までの話だって、『思い過ごし』だったらいいな、って考えてますもの。
       きっと、何もない田舎に退屈した中学生が、ちょっとした非行に走って、

       ……けれど、謝れば許されるように、ちょっとした予防線を張っていて、
       そんな『イタズラ』で済むのなら、私が出る幕なんてありませんものね」

『トラック』が来るのであれば、『エトセトラ』を仕掛けるだけで済む。
それまでは『米原』と話をし、少しでも『情報』や『心情』を図らなければならない。

31稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 01:48:01
>>29(GM)
>>30(宗海)

「…………僕も、そう思う。
 でも、ほんとの話なら、どうしようもないわな……」

『現実』は、『過去』は変えられない。
いくら暗くても、痛ましくても、一度起きたことは――

「……」

     ズズ  

        ・・・・番茶を啜る。

「15分か……えひ、どうせだし、行ってみようかな。
 山登りなんて……したこと、ほとんどないけど……」

           「スタミナは……えひ。
            使う時は使うもんだし……」

体力不足とはいえ、まあ問題はないだろう。
小さく笑みを浮かべて、窓の外に視線を遣って。

「……せっかち、ね……負い目?」

目を細める。

「常識的に考えて朗報の予感はしないけど……
 ……あー……その事件ってのも、僕、聞いて……いいの?」

         (また……鬱展開じゃないだろうな……)

やや躊躇いつつ、促す。
人が人を信じられなくなるのは――何かきっかけがある。恋姫はそう思う。

32『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 01:50:54
>>30
「『りたーん』、ええと、つまり、『見返り』ですな?
ううむ……畑泥棒の、見返りとは何でしょうな、
さっきも言いましたが、『金になる』とは到底思えませんし……」

『米原』は考えながら、『宗海』に釣られるように川に
視線を投げた。

「そうなんですがなァ、『悪戯』にしちゃあ『悪質』ですし、
あー……奴らも、こんなことする連中とは思いたくはないんですがね」

少し、苦しそうな物言いだった。
どことなく、『悪ガキ』二人を、糾弾しきれないような
『苦悩』めいたものを、感じさせる。

「しかしこりゃあ、れっきとした『窃盗』だ。
謝って済む問題じゃあないし……なにか事情があるのなら、
私らに『相談』してくれれば――」
「いや、それをしてくれるんなら、こんな事態には
なっとらんのですがね」

と――視界の端に、古臭い軽トラがトロトロと
川沿いの悪路を走ってくるのが見えた。
もう少しで、到着するようだ。

>>31
「そうだねえ、その『事件』は、さっきのお話に比べたら
特別大変なことじゃあないよ」
「でも、あの子達にとっては、同じようなことだったのかも
しれないね」

『トキ』は、記憶を辿るように、目を閉じた。
ゆっくりと語りだす。

「そうそう、確か『8年前』くらいかね、
あの子達が7つか、8つのときだわ」
「当時、裏山から『イノシシ』がたくさん下りて来て、
農作物を荒らしていた。人にも危害を
くわえるかもしれないっていうので、『猟友会』が張り切ってたもんだ」

「そんなときに裏山に遊びに出た『穂似子ちゃん』が、
罠にかかったイノシシを見つけてねえ。
まだ小さい、子供と言っても良いようなイノシシだった――」

ズズ

番茶をすする。

「そんで、一緒にいた『一吉』と一緒に、罠から逃がしてやってくれ、と
猟友会の狩人に頼み込んだ。
何しろまだ子供だし、ひどい怪我だったから、
狩るまでもないだろう、と狩人も思った」
「……それで、逃がしてやったんだそうな。
もし山で見掛けても、手出しはしない。そう約束さえした」
「穂似子ちゃんは家から出た『傷物』のニンジンや
ジャガイモをもらって、そのイノシシにあげようと
上機嫌で家に帰った」

トキは、小さく息をつくと、続ける。

「……その次の日、イノシシが一頭撃たれて『鍋』にされてねえ。
何しろ子供だったし、足に深い傷があったから――
穂似子ちゃんは、一目で気付いてしまった」
「イノシシは木陰を歩いていたから、狩人は撃つまで、
それと気づかなかったそうだけど……
そうは言っても、穂似子ちゃんと一吉にとっては
『裏切られた』、そう思っても不思議じゃない」

「しかも、村の大人たちは事情がよく分かってないもんだからねえ……
『害獣』が捕まったのに文句を言うとは何事だ、って
かえって二人を責めた」

誰が悪い――という話でもない、ほんの少しの『食い違い』。
だが、子供にとってそれは、自分の信じていた世界が
崩れ去るようなものだ。

「……それ以来、二人は私たちを決して頼ろうとしなくなった。
こじれた関係は戻らないままで、今まで来てしまった」
「でも、私はね」

トキは、悲しそうな笑みを浮かべた。

「それでもあの二人が『畑泥棒』なんてするとは
信じられないわ。せめて、『事情』を聞かせてくれれば……」

33宗海『エトセトラ』:2016/02/01(月) 01:53:41
>>32
>「しかしこりゃあ、れっきとした『窃盗』だ。
>謝って済む問題じゃあないし……なにか事情があるのなら、
>私らに『相談』してくれれば――」

言っても解らない問題というのは、
多かれ少なかれ、誰だって抱えているのだろう。
だから、それを口にはせず、視線はずっと流れる川に向けていた。

    「きっと、私や『恋姫』ちゃんのような、
     『外』の手が、事態を変えられます」

         「だからまずは、
          ちょっとだけ『驚かせ』ましょう」

『トラック』がやって来次第、『グロス』を喰わせた『エトセトラB』、
同様に『パウダー』を喰わせた『エトセトラC』、
『マニキュア』を喰わせた『エトセトラD』を作成し、
それぞれを手前の『出荷品』へと仕込ませる。
聞いた犯行と同じ、『大袋』の中に潜ませるのだ。

     「重要なのは、『再現性』です。
      もしも『愉快犯』でないのならば、
      より大きな犯行よりも、『一貫性』を求めるはず」

          「何故なら、『目的』があるのだとして、
           それを『満たす』為のターゲットを、
           狙い続けるという『心理』が働くからです」

>「しかも、村の大人たちは事情がよく分かってないもんだからねえ……
>『害獣』が捕まったのに文句を言うとは何事だ、って
>かえって二人を責めた」

     「――――そう、重要なのは『再現性』」

     「私達はか細い『弱者』である故に、
      『大樹』に寄り添い、『山嶺』を敬う」

     「私にとっては『社会』であり、『倫理』であり、
      『理論』や『法則』に、納得を覚えられる――――」

確信的な呟きを残して『民家』の影に隠れ、二人の到着を待つ。
『射程距離』が許すのならば、『集会場』へ移動する。
――――『射程距離』と言えば、『恋姫』に追従して離れていく『エトセトラA』は、
ひとまずは捨て置いて置く。『恋姫』自身に特別な『指示』を出したりもしない。

34稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 01:54:27
>>32(GM)

「……」

     ズズ

やや伏し目がちに、番茶を啜る。

       ・・・
           ・・・

「……昔より、悪くなってんじゃん。
 べつに……誰が悪いとかじゃ、ないけど……」

      「……」

事実は伝承より奇なり。
何が悪いのだろう? 何もかも悪いのか?

            ・・・・今はそれより。

「……そいつらがやったって、決まったわけじゃないんだろ。」

         「……捕まえてやる。
          僕……鬱展開は、嫌いなんだ。」     

老婆の悲しそうな顔は見たくない。
目を細めて、顔を上げる。

          キュ

懐炉を手に取って、席から立ち上がる。聞く話は聞いた。
番茶の残りを、飲み乾して。

         コト

「……社、見に行ってくるよ。
 トキさん……お茶と、話……ありがとな。」

リュックサックを背負い直して、『トキ』にそう告げる。

       「……上手くやるよ。
         コンティニューはないんだから……」

『宗海』は止めるだろうか? 
だが、彼女に言われたことはした。あとは上手くやるだろう。

35『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 02:00:06
>>34
>「……そいつらがやったって、決まったわけじゃないんだろ。」

>         「……捕まえてやる。
>          僕……鬱展開は、嫌いなんだ。」 

「…………ありがとうね」

『トキ』はそう言って、静かに茶を啜った。

「気をつけて、行ってらっしゃい」

トキに見送られ、『稗田』は集会所を出る。
『社』のある裏山を目指し、歩を進める……

歩くこと『3分』、裏山の入り口へと差し掛かった。
『登山用』に整備された『行楽』のための山と異なり、
地元の人間、それも一部しか利用しない『参道』だ。

踏みしめられた道には、『荒縄』が
『命綱』のように用意されている。
これを握って登れ、ということなのだろう。

>>33
>    「きっと、私や『恋姫』ちゃんのような、
>     『外』の手が、事態を変えられます」

>         「だからまずは、
>          ちょっとだけ『驚かせ』ましょう」

「……そうですな」

『宗海』の言葉に、米原は素直にうなずいた。
やがて『軽トラ』が到着し、
予定通りに着々と『準備』を済ませる。

「いやァ、さすがに『乙次さん』が
言ってた通り、『手際』がよろしいですな」

『軽トラ』に乗ってきた男――米原に似ている、
兄弟か親戚、といったところだろうか――が、
感嘆の声を上げた。

「『再現性』――ですか?」

宗海の呟きを理解できなかった米原が、
不思議そうな声を漏らした。

『射程距離』から言って、集会所に戻るのは問題なかった。
留守中に『稗田』が出て行ったことについて、
米原は怪訝そうな顔をしていたが……
ともかく、後は――『バス』の到着を待つだけだ。

36稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 02:02:48
>>35

     ・・・・

         ・・・・3分後。

恋姫は入り口の前で立ち尽くす。
寒さでやや赤らんでいた頬は、真っ白になっていた。

「……まじで?
 思った以上にハードなやつ……」

     ガシ

          「つめたっ……」

荒縄を掴む小さな手。
おっかなびっくり、『参道』を進むこととする。

「…………」

(これ……えひ、アクションゲームの主人公でも、落ちたらやばいレベルだよな……)

危険な道だが、まあ、やるしかない。
強制スクロールではないが、後に引く道もないだろう。

                    ・・・・万一が無いことを、祈る。

37『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 02:03:43
>>36
ガッ… ガッ… ガッ… ガッ…

一歩一歩、山道を踏みしめながら登る『稗田』。
参道は『急峻』ではあるが、一応は『道』の体裁を保っている。
『滑落』の危険は少ないだろうが……しかし、
華奢な稗田にはかなり厳しい道程だ。
それでも、何とか登ることおおよそ『15分』。

…………ヒョォオ――z___ッ

相当『疲労』したが……山の中腹に到着した。
そこは体を落ち着ける『平坦』な場所であり、
山肌から吹き下ろす風が暫し留まっては、
積もった『落ち葉』を巻き上げ、散らしている。
『荒縄』は、その奥へと伸びているようだ。

38稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 02:04:54
>>37(GM)

…………ヒョォオ――z___ッ

「……」

    ハァーー

           ハァ――

                「え、えひ、セーブポイント……」

     ペタン

腰を下ろし、足を伸ばす。
これでようやく、中腹というところか。

             ・・・・体力はまだ残ってはいる。


(時間制限も……あるにはあるし……
 えひ、まじでハードなルート選んじゃったな……)
 
           (これがゲームなら……
            ハードモードの先には報酬があるが……)

   ハァー       ハァー

疲労に値するだけの何かが、社にあるか、どうか。
まあ何もなければないで、それは確認になるけれど。

        ハァー ・・・

「……」

            スク

(……まあ、出来るだけ……急ぐべきだわな。
 ゲームじゃないが……時間かけ過ぎて折れるフラグもある……)

       オォォォ

スタンドを発現。
社に近付けば、いざということがあってもおかしくない。

「えひ…………
 がんばれがんばれ恋姫……」

            ガシ

          ・・・・立ち上がり、荒縄を掴んで、道の奥へ進もう。

39『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 02:05:42
>>38
荒縄を掴み、歩を進める……と、すぐに気付いたことがある。
足元の『落ち葉』が、既に何者かによって『踏みならされ』ている。

それによって、落ち葉に埋もれていたと思しき『石畳』が、
目に見える状態になっているようだ。

――――

『蔦』の絡まった『鳥居』を抜けた奥には……
古い、『壊れかけ』の『社』があった。『岸壁』に寄り添うように建てられている。
傍らには、『石造り』の『像』がある。『子供』を象ったもののようだ。
石は奇妙な『質感』を持っている……周りの『岩壁』とは明らかに
異なる材質であることが、詳しくない『稗田』にも一目瞭然だ。

社は相当『年季』を経たもののようで、すっかり色褪せてしまっている。
……だが、『扉』だけは、『奇妙』なことに
鮮やかに色付き、まるで時の経過を感じさせないかのようだ。

『…………』

――ふと、
稗田は、誰かの『声』を聞いた気がした。

40稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 02:06:12
>>39(GM)

(踏んだ跡……誰か来たのか?
  ……えひ、我ながら推理ゲーみたいな発見。)

         フゥ
                フゥ

鳥居を抜けた。人形のような顔の額に汗。
壊れかけの社。どこか伝奇的な風景。

    キョロ    キョロ

       (あれが例の……像か。
        お石さまで作ったとか、いう……)

社の傍らの、鬼っ子であろう像。
奇妙な材質は気になるが、今はそれより。

 (しかし……まじで、漫画みたいな場所。
    ……ん? なんだあの扉……えひ、まさかいきなり――)

         ピク

             「――!」

『声』――恋姫は立ち止まり、耳を澄ませる。
近くに隠れられそうな物陰はあるだろうか? あれば素早くそこへ。

また、スタンドの視界で、後方も警戒しておく。
不意打ちされればどうにもならない。

            (今度はステルスゲーか……?
              えひ、大盤振る舞いステージだな……)

41『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 02:06:43
>>40
ド ド ド ド ド ド ド ド

突然の『声』に、辺りを見回す。
幸い、ここは山中。『落ち葉』が積もっていることからも
分かるように、周りは『林』だ。そのうちの、
比較的幹の太い木陰に隠れる……

ドギャンッ

その上で『ブルー・サンシャイン』の視界も使い、周囲を警戒する『稗田』。
だが、視界内に動くものは見当たらない。

『………………いで』
『お……………さい』

『声』は、岩壁に反響して聞こえてくるが、
意識を集中してよく聞くと、『社』の方から発されているように感じ取れた。

42稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 02:07:40
>>41(GM)

     ジ ィ ――― ・・ ・

木陰に隠れ、様子を伺う恋姫。

「…………」

    (……あっちから……いや。
      あの、中からか……? 声……)

ここからでは聞き取れない。
周囲をスタンド視界で警戒しつつ、林から抜け出す。

(……乗り込むのはNGだ。
 そもそもあの扉が……『伝承通り』なら……)

             ソロォ 〜

               ・・・・ゆっくりと社に近付く。
                   深追いも危険だが、証拠は得たい。

43『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 02:08:59
>>42
林から出て、ゆっくりと『社』に近付く。
それに従って、徐々に『声』は鮮明になる。

『……………おいでください』
『おはいりください』
『……………おいでください』
『おはいりください』

近付くと、はっきり分かることがある。
声は、明確に『扉』から発せられている。

『……………おいでください』
『おはいりください』
『……………おいでください』
『おはいりください』

……声は絶え間なく続く。
『稗田』は、『トキ』から聞いた『伝承』を想起する……

『……………おいでください』
『おはいりください』
『……………おいでください』
『おはいりください』

――さて、どうしたものか。

44稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 02:09:44
>>43(GM)

聞こえてくる声は、まるで儀式――
あるいは、気づかれてでもいるのか?

「っ…………」

      (今度は……ホラーかよ……)


    ドクン

          ドクン


(この声。……僕に言ってんのか? えひ、まさかな。
  タイミング的に考えて…………ずっと言ってんのか……?)

           (いやなフラグが立ってきやがったな……)

伝承上の社の扉。
『招かれた者』は入る事を許される――

            ・・・・招かれたのか?

「…………」

(開けたら即エンド……ってことないよな……?
 なさけむよう……なんて、現実でやられても、困る……)

          (…………がんばるか。
           よーやるぜ、僕も……ひゅーひゅー……)

     ゴク

           目をぱちくり。
             動悸を自覚する。
               ・・・・扉に手を伸ばす。

45『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 02:10:52
>>44
『……………おいでください』
『おはいりください』
『……………おいでください』
『おはいりください』

稗田の考えを裏付けるように、どこか『機械的』に
繰り返される『声』。何度も聞くうちに、その声に、
先ほどまで『エトセトラ』を通して『宗海』と交わしていた
『スタンド会話』に近いものを感じた。

そして、『扉』に近付く……すると、扉の『奥』に、
もう一つ、『朽ちた』扉があることに気付く。
手前の『鮮やか』な扉に手を伸ばし……その瞬間、
視界が『真っ白』になった。
それと同時に、触れた瞬間、君は扉が『スタンド』であることを理解する――

『……………おいでください』
『おはいりくだsssssssssssssss――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――


『声』が遥か後方に流れ去っていく感覚がある。
真っ白に染まった世界が、中央から少しずつ形を成し始める。
足元の感覚に、違和感を覚える。……先ほどまで
『石畳』の上にいたはずだが……今立っているのは『畳』の上だ。

『よくお越し下さいました』
『そのまま……楽になさっていて下さい』

『声』が聞こえる。先ほどまでのものとは異なり、
人間的な、自然さを感じさせる口振りだ。

46稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 02:11:38
>>45(GM)

「――――――――!!?」

        ・・・・

            ・・・・

「なん、だ……ここ……?」

気づけば畳の上。
そして、声……繰り返しではない声。

    キョロ

「社の中か……? え、えひ……
 『ゲームオーバー画面』じゃないだろうな……」

         「コインいっこなら……
           持ってるけど……えひ。」

周囲を見渡す。
この『声』の主らしきものは見当たるだろうか?

 「…………」

(敵って感じの雰囲気じゃない……よな?)

                ストン

小さな腰を下ろす。
『ブルー・サンシャイン』は――傍らで待機。

         キョロ

    「……僕を呼んでたのか?
      誰だか知らんが……事案になるぜ……」

             「……」

間違いなく、不可思議な存在には違いないだろう。
スタンド会話――もしここに本体がいるなら、それを使う必要がない。

                  ・・・・恋姫の表情はこわばる。

47『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 02:14:22
>>46
腰を下ろす。極めて普通の『畳』だ。
白く染まっていた視界が、ようやく完全に開ける。

そこは、『四畳半』ほどの小部屋だった。
窓はないが、どこからか柔らかい光が差している。
部屋の中は、ほのかに暖かい。
右手側には机があり、部屋の右隅には『押入れ』が見える。
……人影は、見えない。

『貴女を――いえ、この『声』が聞こえる方を
お待ちしておりました』
『……あの『二人』のように』
『私は害をなすつもりはございません、どうか気を安らげて下さい』

声は、稗田の頭に直接語りかけるように響いてくる。『女性』の声だ。
と――周囲を見回した稗田は、部屋の左奥の隅に
何かが整然と積まれていることに気付いた。
『袋』か何かのようだ。
更に、机の上に何やら『本』が数冊置かれているのも目に付いた。

48<削除>:<削除>
<削除>

49稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 02:16:20
>>47(GM)

      オォォォーーーーォォ ・・・

  ボボ   
        ボ


     ・・・・ヴィジョンから噴き出す青い炎が弱まる。

「……無害ならいいんだけどな。」

(……この部屋自体スタンドか……?
 じゃなきゃ、和風ファンタジーの世界だわな……)

           (罠とかはなさげだが……)

        チラ

意味深な袋。そして、『あの二人』という言葉――
十中八九、犯人は確定している。

      (……まあ、分かってたことだ。
        しかし、二人そろってスタンド使いか……?)

謎の声は姿を見せない、が、敵意が無いのは何となくわかる。
黒衣から漏れ出る鬼火は、消えないながらも弱いままを保つ。

「RTAしてるわけじゃないけど……
  状況的に、のんびりもしてられないし……」

       チラ

わざわざ人を待つには、目的があるのだろう――

「……何か、してほしいことでもあんの?
  『握手』ならCD買ってくれなきゃ……だけど。えひ。」

それを聞きたい
目をやや細めて声に答えつつ。

「それか、あれか……?
 漫画のキャラ強化イベ的な……なんかくれるやつ……?」

絞られた桜色の視線を、机の上に動かして。

          (……なんだ、本?)

                  ・・・・謎めいた『本』に手を伸ばす。

50『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 02:17:31
>>49
『してほしいこと…………勿論、お話しします』
『この扉を通られた方には……みな、同じことを
お願いしているのですが……』

『稗田』は本に手を伸ばす。……何の変哲もない、現代の書籍だ。
一番上が『古語辞典』、二番目は簡単な『医学書』だ。
『応急手当て』の方法をレクチャーするもののようだが……

『その前に、そちらの『押入れ』をご覧下さい……
それから、ご説明いたします』
『申し訳ありません……今の私には、小さな戸を開けるほどの力も、
遺されてはいないのです……どうか、あなた自身の手で、お開け下さい』

『声』はそう言った。
先ほどから……声の主の姿は見えない。

『のんびり』してはいられない……そう口にしたとき、ふと気付く。
この部屋には窓もなく、時計の類も存在しないことに。
ここに入ってからどのくらい時間が経過したのか、
それを『判断』する材料が、この部屋には無いのだ。

51稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 02:19:18
>>50(GM)

「…………」

  フイ

普通の本……らしい。
恋姫は、視線を押入れの方に向けて、手を引っ込める。

「……誰でもいいから、ってやつ?
 まあ、僕も……選ばれしものってガラでもないわな……」

                   「……えひ。」

スタンド使いなら無差別に――
ということは、そうそう、厄介な話ではないのだろう。

「押入れぇー……か。
 あんまいい予感、しないけど……危険はないよな?」

          グイ

押入れに体を向けて。

(しかしこいつ、なんなんだ……?
 鬼っ子……じゃ、ないよな。伝承的に考えて……)

    (つーか……時間、今何時だ……?
      そもそも……ここ、時間……ちゃんと進んでるよな?)

逆らって、ここから出られる保証はない。
時間すら曖昧な、謎めいた空間――その主もまた、謎めいている。

    「…………んじゃまあ。
      オープン、っと…………頼むぜほんと……」

          スィ 

               ・・・・押入れの戸を、開いてみよう。
                   半目気味で、スタンドの掌を向けつつ。

52『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 02:20:07
>>51
『危険は、ございません……何も』

スゥー…………

ゆっくりと、押入れを開ける。
そこには、『布団』が敷かれていた。誰かが、その中に横たわっている。
サイズ的には『子供』のようだが……

『……その『子』を救う方法を見つけることと、この『部屋』を保つこと』
『それが、私が『ここ』にいる理由の全てでございます』

声は、そう語る。

時間が進んでいるかどうか、疑問を抱く『稗田』。
だが、この部屋の中にはやはり何の判断材料もない。
稗田自身の持ち物から、何か『時間』を表すものをチェックしてみても良いだろう。

53稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 02:20:47
>>52(GM)

「えひ、なら……いいんだけど……」

スゥ ――― 


          「……!」

押入れの向こう、布団。
横たわっている何者か――

            パチ

「……生き物、かこれ……?
 ……隠れて飼ってるペットって空気でもないわな……」

恋姫は目をぱちくりとさせる。

    「押入れの中に寝かせんのは……
      どうなんだ? 衛生的に考えて……」

            「……埃っぽくはないけど……」

そもそも、誰なのだろう?
それは今から説明があるのだろう。

          ゴソ

「『救う方法』……な……
 僕もハッピーエンドが望みではあるが……」

     「これ……布団、めくっていいのか?
       そういうのはNG……? むしろ推奨……?」

ポケットからスマホを取り出す。
現在の時間は、問題なく確認できるだろうか?     

                ・・・・布団はまだめくらない。

54『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 02:26:45
>>53
『万が一にも『灯り』で『刺激』を与えないように、と思いまして……
この中にいれば、『時』は経ずに済むにしても――』

押入れに寝かせているわけを、『声』が説明する。
『稗田』は、スマートフォンを取り出し、時間を確認する。
……時計は、『動いていない』。『一秒』たりとも。

『――何しろ、ひどい『深手』なのです……
私にも、『あの人』にも、手の施しようがなかった』
『それでも……まだ、息をしていたのです。
諦めるわけには、行きませんでした』

声に、『悲痛』な響きが混じった。
ちなみに……衛生面を心配する稗田だが、『押入れ』の中、
というよりこの『部屋』の中は、極めて『清浄』な空間のようだ。
先ほどから、『埃』一つ見受けられない……比較的、
年季の入った『和室』のように見えるにも関わらず、である。

『どうぞ……お確かめください。
ただ、丁寧に、お願いいたします……』

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
『私たちの大切な子……なのです』

布団をめくることは、構わないようだ。
……稗田は、どこか『予期』するところがあるかもしれない。
声は、『私たちの子』といったきり、黙してしまった。
部屋に、沈黙が流れる……

55稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 02:28:41
>>54(GM)

時間が進んでいないことを確認する。
これは、ある意味予想通りだ。とはいえ、衝撃はあるが――

      ピク

それ以上に。

「……お前らの……子ども……」

            「……なるほどな。」

     ォォ オオオオ 

スタンドの青炎が揺らめく。
恋姫は――察しつつあった。

          ・・・・烏面は黙して語らない。

 (事件……伝承のリフレインだと思ってた、けど……
    違う……まだ、エンディングは来てなかったんだ……)

           (ずっと……同じ話の、続きなんだ……)

清涼な空間。
時は、いつから止まっているのだろう。

       (……じゃあ、だぜ。)

(この部屋は…………何百年、あるんだ?
  常識的に考えて……どうなってんだ、こいつの精神力…………)

     ブル

          「……」

大切な、子。本来スタッフロ―ルも流れているはずの物語。
それを遮り続ける揺りかごだというのなら――

「……親ってのは…………………………」

        「……」

恋姫は頭を抱えて。
いくらかの沈黙のあと。

        「ああ……くそっ。」

    ワシャ

髪を掻いて。
それから。

「僕は……知らないからな……!
 僕が……バッドエンドのフラグでも…………くそ、くそ。」

       ・ ・ ・ スル

          ――布団を、ゆっくりとまくり上げる。

56『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 02:29:12
>>521
布団を、めくる。
『金色』が、目に入った。絹糸のように細い、金色の髪。
額の上で、綺麗に二つに分けられている。
剥き出しの額には、真新しい『包帯』が 巻かれている。
少々拙い巻き方だが、同時にとても『慎重』に巻かれているのが分かる。
包帯に添えられた『ガーゼ』の端から、深い『傷跡』がはみ出しているのが見える。
肉を裂いたそれは――『骨』を露出させたところで止まっている。

『…………あのとき、『猟師』の方は、斧を振り下ろす間際に、
相手が『子供』だと思い返したのでしょう』
『ほんの少しだけ、『躊躇い』が出来たのです。
だから、この子は『骨』を割られずに済んだのだと、私は思います。
それでも……目覚めないままには、変わりありませんが』

『社』で見た『石像』に、少しだけ似た幼い顔。
まるで死人のように『青い』肌。

『私は……この部屋を保つために、心の力を使い続けました。
弱りきった私の身は、流行病に罹って亡んでしまいましたが』
『……心は、今もここにあります。この『時のない』部屋に、この子とともに』

そう――この子は、『鬼っ子』だ。

57稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 02:30:48
>>56(GM)

「ああ……くそ……
 母は強しってか……良い事だよ、ほんとにな……」

           ハラ

めくられた布団――

     「……!」

絹糸のような金色の髪。
遥か昔には、『鬼』と見紛われたのだろうか――

「……う……わ…………」

目を細める。
見る覚悟はできていたが。

   フイ

       「…………」

傷跡から目を逸らす。
死体を見たことはあっても――こうも間近で『骨』を見るのは。

「ぜんぜん……『鬼』じゃ、ないじゃん……」

        「普通の……
          子供だ…………」

   ボ ボ ボ

火勢が、静かに揺れる。
……布団を直す。何もしてはやれない。

    「…………」

声の『主』はもはや、いない。
それは分かるが、天井に目を向けて。
 
「……こんなの……どうすりゃいいんだ。
 僕の『ブルー・サンシャイン』はゲームじゃない……」

          「……出来ないことの方が多い。
            ましてコインいっこで、蘇るもんでもないだろ……」

   ユラ

青炎が小さくなり、露になる黒。
帽子に、黒衣、ペスト医師の仮面。かっこいいだけだ。

「……どうすりゃいいんだ。
 えひ、 『霊薬(エリクサー)』でも……持って来いってか……?」

部屋に積まれた『袋』に、再び視線を遣る。

         「…………それか、食い物か……?」

状況的に考えて、畑荒らし事件の真相は、そういうことなのだろう。

                ・・・・立ち上がる。

58『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 02:59:23
>>57
『あの人には――悪いことをしたと、思っております。
きっと、村を出たのは、この子を何とかして『治す』手立てを
探してのことでしょうから……』

『許婚』のことを指してか、『声』は呟いた。

『ええ……普通の、子どもです。
それが『鬼』ともなるのが、『憎悪』と『恐れ』というもの、
なのでしょうか』

声が、翳る。
部屋の中に差し込む柔らかい光が、一瞬影を帯びた。

『……あの二人の『手当て』と、『食べ物』で、
少しだけ、この子の顔色が良くなったように感じました。
すり潰して、少しづつ、息の詰まらぬよう飲ませてあげるばかりですが、
時のないこの部屋では、いくらでも食べさせてあげられます……』

この調子では、『食べ物』の『入手先』は、
聞いていないのだろう。
声は、少しだけ明るいトーンになったようだった。

『もう発たれるのですか?
もっとも、ここでは何もかも『瞬きの間』ですが――
私は、こう思うのです』
『あの二人の持ってきた『医書』は、私には到底
わからない方法を用いていました。
もし、貴方のいる時の『医術』が、より良いものであるなら、
この子を『外』に出せば、あるいは――目覚めさせる術があるやも、と』

そのトーンが、再び翳る。

『そう二人にも相談してみたのですが……
「村の大人は信用できない、オイラ達のことなんて信じちゃくれない。
山から下ろしたら、どうなるか分かったモンじゃない」と、その一点張りで……』
『私も、恥ずかしながら……外界の人々が怖ろしいのです。
またこの子に何かあれば、もう、『魂』だけの私では、どうすることもできない……』

59稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 22:39:06
>>58(GM)

「…………人は……
 自分と違うと……すぐ、攻撃したがるんだ……」

           「……くそ。」

    ボ!  ボ 
            ボ!!

心の炎が揺れる。

今、食べ物の『入手先』――言えるか?
宗海なら言えるのだろうか? 少なくとも恋姫は……無理だ。

    (余計な事言って……
      それこそ、誰得だ……)

              (……どうしろってんだ。
                ……どうって、一つしかないわな。)

いや、選択肢は一つしかない。
それを選びたくないものが、多いというだけで。

        だから。

「さっきも言ったけど……
 僕の力は……出来ないことの方が多い。」

視線を『子ども』に向ける。

「……こいつ担いで山降りるとか、ハード通り越してむりゲーだ。」

山道は険しい。
帰りとて、それは同じだろう。

「だから……外の誰かを、人を呼んでくるしかない……
 選びたくなくても、選択肢が一個しかないなら……やるしかない。」

        「状況的に考えて……」

恋姫だけが今、事件の真相を知っている。
つまり恋姫だけが――ここに誰かを呼ぶことが出来るのだ。

(やっぱ……僕がフラグなんだぜ。
 こいつらを……ハッピーエンドにするための……)
 
「僕は……人、呼んでくるからな。
  何かあったら……ああ、僕が……守ってやる。」

流石に、見殺しなんて選択は、出来ない。
子どもに何の罪がある? 髪や目の色が違うだけの子どもに。
ヒーローぶるわけなんかじゃあない。

(そうしなきゃ……僕が嫌なんだ…………くそ。)

           ゴ  ォォ ・・ ・ ・
 
                 ・・・・止められないなら、この空間を出る。

60『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/01(月) 23:40:48
>>59
『稗田』が考える通り、この山道は、ほとんど『切り立った』といっていい険しい道のりだ。
痩身の稗田では、とてもではないが、『鬼っ子』を担いで
下山することは出来ないだろう。
応援が、それもこの道に慣れた者の力が、必要だろう。

 
>「僕は……人、呼んでくるからな。
>  何かあったら……ああ、僕が……守ってやる。」

『……どうか、よろしく、お願いいたします。
私には、心から外の人々を信ずることは出来ないかも知れません。
でも、あの二人や、あなたも、この子をもはや『鬼』とは呼びません。
あなた方の生きる『時代』が、そういう人々がいる『時』であることは、信じています』

『そしてきっと、それが、この子を救う、一番の道であると……
そう、信じています』

『声』は、止めない。
稗田は『扉』を開き、外へ出る――

光が体の周りを通り抜け……気付くと、稗田は『社』の前に立っていた。
扉を通る前と何ら変わらない風景がそこにはある。
ただ、誘うような『声』は、もう聞こえてはこなかった。

行かねばならない。
何しろ、『仕事』は、これから始まろうとしているのだから。

61稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/01(月) 23:52:33
>>60(GM)

「………………」

もはや聞こえない声を背にして、社の前に立つ。
これからすることは……恋姫の得意ではないことだ。
 
            ・・・・だが、今ばかりは、やらねば。

「……くそ。」

(大見得切ったけど……
  僕がどっちのフラグかは、これからだ……)

村の人々は閉鎖的極まる。本当に助けを借りられるか?
そして――『二人』は、恋姫のやることを邪魔するだろう。

        オォォォ ―― ――― ・ ・ ・

4mほど浮遊させたスタンドの俯瞰視界で周囲を警戒。

(とりあえず……宗海には、言っとかないとな……
  ……それから……トキさんには、どうするかな……)

          (難しすぎんだよ……現実、ゲームより……)

特に危険がなさそうなら。
来た道を戻り、『集会所』へと帰りたい。
 
            ・・・・来た道とはいえ、最大限気は付けよう。

62『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/02(火) 01:14:18
>>61
『ブルー・サンシャイン』の視界で周囲を確認する。
特に危険そうなものは捉えられなかったため、
来た道を戻ることにする『稗田』。

『行きはよいよい、帰りは怖い』とでも言うべきか、
急勾配の『下り坂』に悪戦苦闘し、行きより少しばかり時間を食いつつも、
どうにか『集会所』の前まで戻ってくることが出来た。

どうやらまだ『時間』ではないようで、
集会所の窓越しに、『米原』や『宗海』、『トキ』の姿が見える。

>宗海
「……いやあ、それにしても、一体どういう考えがあってか知りませんが、
華奢なお嬢さんがあの『裏山』に向かうとは驚きですわ……」

『集会所』の中で、時を待つ『宗海』。
『米原』は稗田が裏山に向かったと聞いて、
少しばかり心配そうにしている。『危険な道』なのだろうか。

「おや……帰ってきたみたいだよ」

窓の外を見ていた『トキ』が、呟いた。
確かに、『稗田』に姿が確認できる。
だいぶ『疲れている』ようだが……

『バス』の到着までは、あと『4〜5分』ほどだ。
何か『会話』を交わすなら、今のうちだろう。

63稗田 恋姫『ブルー・サンシャイン』:2016/02/02(火) 01:36:44
>>62(GM)
>宗海

  ハァッ 

           ハァッ       

「…………」

      「ゲホッ……ハァ、うぇっ……」

『二人』を捕まえるのは『別件』で必要だ。
どんな理由があれ、盗みは事実。

          ・・・・それより。

「え、えひ……ただいま……」

        ハッ    ハッ ・・・・

   (……まだ来てないかんじか。
      ぎりぎり……タイムアウトじゃない……?)

          (いや……別にあいつらは捕まっていいか……)

膝に手をつき、呼吸を整える。
意識を、スタンド側に傾ける。

    オォォォ ーー ・・・・

≪……宗海……宗海。≫

「ちょっと……座らせてもらうぜ……」

           スゥー    ハァー   


≪社、だ……山の社に、けが人の……子どもがいる。
  伝承通りなんだ……時間の進まないスタンドの部屋で……≫

      ≪そこに……食料、届けてんだ……
         でも……ゲームじゃないんだ、飯じゃ怪我は治らない……≫

                ≪医者に……病院に、そいつ、連れて行かなきゃ…………≫

疲労でまとまらない思考だが……要点は伝えたい。
やや早口気味になるが……聞き取ってくれるだろうか。

               ハァ    ハァ

                     ゲホッ   ゲホッ

64宗海『エトセトラ』:2016/02/02(火) 22:01:21
>>62
「『ピクニック』って道のりじゃあ、
 ……なさそうみたいですね」

心配そうな『米田』に反し、しれっとした表情のまま応える。
多少は汗を掻くのが『スタンド使い』という『強者』の義務、
お茶でも飲みながら平然と『時』が来るのを待つ。

>「え、えひ……ただいま……」

    「あら、遅かったのね」

息継ぎの合間に零される『報告』を耳にしながら、
その表情は剣呑さを増していく。

>≪医者に……病院に、そいつ、連れて行かなきゃ…………≫

    ≪ちょっと、いいかしら?
      ……そのケガって、額に『斧』が刺さったことでしょう?

      外に出たら、一気に『時間』が流れるわ。
      山道をえっちらおっちら登って来た『救急車』で、
      市内の病院を『タライ回し』にされたりなんかしてたら、
      その『子ども』は間に合わないわ。『免疫』だって怪しいもの≫

『伝承』という不確かな『ソース』が重要視されるからこそ、
『時間の進まない部屋』、『ケガ人の子供』、この二つのワードに着目する。
『空想』と『現実』を切り離し、確かな情報だけを吟味する。

    「……そろそろ、時間のようですね。
     そうね、仕掛けた『トラップ』次第では、
     軽い手傷を負うかも知れませんね。最近は『夜』も暗いですし」

           「この付近、『町医者』や『病院』はあります?
            『万が一』ということもありますので、
            出来れば『手配』を頂けますかしら」

65『オイラ達に明日はあるんか?』:2016/02/03(水) 01:54:02
>>63
「ほら、これ飲みンさい」

コト…

『稗田』に、『トキ』が湯呑みを勧めてくる。
適度にぬるくなった『番茶』のようだ。

『宗海』に、手に入れた情報を伝えた。
ひとまず、情報の『共有』は果たしたことになる。

>>64
「大の大人でも、好き好んで登るとこじゃありませんよ」

『米原』は、渋い顔だった。稗田の行動は、今回の仕事とは一見『無関係』だ。
その辺りに違和感を覚えているのかも知れない。

「医者ですか?それなら、この村には『診療所』があります。
中央の方の『大学病院』から、お医者様が『派遣』されとりましてね」
「今のお医者様は、元々『ご先祖』がこっちの出身ってのもあって、
だいぶ懇意にしとりますから、『一報』入れとけばすぐに駆けつけると思いますが……」

米原はそこで一回言葉を切ると、真剣な目で『宗海』を見た。

「あんまり、『物騒』なことにはならんのでしょう?
いや、やり方はお任せしとりますが、一応、ね」

そう言ってから、携帯電話を取り出す『米原』。
連絡を入れておいてくれるようだ。


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