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ミカサ「この長い髪を切る頃には」2

1進撃の名無し:2014/09/16(火) 01:02:02 ID:lKgQbpZ20
*続編です。

ミカサ「この長い髪を切る頃には」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/6689/1388735631/l50

エレン「この長い髪を切る頃には」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/6689/1398969061/l50

エレン「この長い髪を切る頃には」2
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/6689/1406282036/l50

の続きになります。ミカサ視点で物語が進みます。


*現パロです。現在、エレンの髪がちょっとずつのびています。(ミカサよりちょい長め。小さいしっぽ有り)

*舞台は日本ですがキャラの名前は基本、カタカナのまま進めます。漢字の時もあるけど、細かいことは気にしない。

*実在の人物とかは名前やグループ名等をもじっています。時事ネタも有り。懐かしいネタもちらほら。

*原作のキャラ設定は結構、崩壊。パラレル物苦手な方はご注意。

*原作のキャラ性格も結構、崩壊。原作と比べて「誰だてめえ」と思った方はそっと閉じ推奨。

*このシリーズでは適宜、性的表現も挟みます。性的描写が苦手な方はご注意。

*レスに対するお返事レスは返せない事が多いかも。体力温存の為。無視している訳じゃないんで、OK?

*感想は毎回有難い。でも自分の妄想話を書くのはNG。読んでいる人が混乱するから。本編と混ぜるな危険。

*雑談は雑談スレでお願いします。雑談嫌いな読者の方もいらっしゃるからね。

*現在、ヒッチ→ジャン×サシャ←コニー、エルヴィン→(リヴァイ×ハンジ) オルオ×ペトラ ユミル×クリスタ←ライナー&アルミン←アニ(?)←ベルトルト イアン×リコ、マルコ×ミーナあたりもちらほら。というか、そのつもりで書いています。

*安価時以外のアイデア・オリジナルの設定等の提案は禁止させて頂きます。(エレン「この長い髪を切る頃には」の時にトラブルが発生した為です)

*その代わり、安価出した時は出来る限り(多少無茶振りでも)採用する方針でやっていますので、宜しくお願いします。


*モブキャラも多数出演。オリキャラ苦手な方もご注意。キャラ濃い目。

*そんな訳で、現在設定しているオリキャラをざっとご紹介。


マーガレット(2年生♀)→大道具リーダー。漫画描ける。腐ってる女子。皆のお姉さん的ポジ。

スカーレット(2年生♀)→大道具。立体造形専門。ロボットもいける。たまに腹黒。

ガーネット(2年生♀)→大道具兼衣装。コスプレ好き。ちょっと大人しめのオタク。

アーロン(2年生♂)→役者。元野球部。高校から演劇始める。

エーレン(2年生♂)→役者。元サッカー部。高校から演劇を始める。

カジカジ(1年生♂)→役者。外見はエレンに似ています。明るい男子。愛称は「カジ」。

キーヤン(1年生♂)→役者。ジャンよりイケメン。歌上手い。

マリーナ(1年生♀)→役者。少年の声が出せる。ナレーションうまい。ほんわか系女子。


マリア・レイス(旧姓)→リヴァイ先生の元彼女。セレブなオタク。現在、海外在住。4人の子持ち。

ヒロ→コニーの元彼女。小学館高校の女子生徒。同級生。


*原作のモブの名前が判明すれば……途中加入もあるかもです。

*外伝のキュクロとシャルルも出ています。二人は野球部投手とマネージャー。

*先生方の年齢設定が原作より(恐らく)若干高め設定になっています。

*リヴァイ先生(39歳)というおっさん設定に耐えられない方は御免なさい。

*加えてリヴァイ先生の潔癖症が病気レベル扱い(笑)になっているので、御免なさい。

*リヴァイ先生の性癖(?)も大分、斜めってる設定になっています。ご了承下さい。

*エルヴィン先生(43歳)も相当なオタク設定になっています。リヴァイより更に斜め方向に変態です。本当に御免なさい。

*ハンジ先生(36歳)が昔は美人だったよ設定です。ややモテキャラですが、リヴァイに比べれば蟻の触覚程度です。

*リヴァイ先生がモテ過ぎ設定です。気持ち悪いくらいモテキャラです。愛され過ぎて御免なさい。



*ラスト100レスは完成する迄、レス自重お願いします。レス足りないと書き手としてプレッシャー過ぎる。

*そんな訳で、現パロ(ミカサ視点編)を始めます。OK?

534進撃の名無し:2015/08/19(水) 00:01:34 ID:HbLCN5Ks0
ジャン「あー……そこはアルミンが決めていいんじゃねえ?」

アルミン「何でも僕に丸投げしないでよ。迷っているからこそ聞いたのに」

ジャン「んー……」

ジャンは心あらずだった。何だか集中していない。

ジャン、部活中はちゃんと集中して欲しい。

其の時、私の方をじっと見つめ返してジャンは言った。

ジャン「だったらミカサとエレンが思うところで休憩を挟んだらいいんじゃねえか? 2人の集中力次第だろ」

ミカサ「それは実際に通し稽古をやってみないと分からないと思う」

マルコ「あのさ……それよりもツッコミたいところがあるんだけど」

マルコが台本を持ちながら挙手した。

アルミン「どこ? 変なところあった?」

マルコ「いや、この……ハンジ先生の『彼女がどんな気持ちでここに〜』の後半部分、これ本当にやっても大丈夫かな」

アニ「ああ、『二日酔いを差し引いても、今のあんたはピー(自主規制)を切って〜』のところだね」

マルコ「正直、これやったら観客はドン引きするんじゃないかな」

アルミン「でもその台詞、改変してそれだよ。本当の台詞は『あんたのあそこを大学の研究用に保管させてやろうか? 貴重なサンプルになるだろうから、その方が余程、人様の為になるからな! それとも今ここで、再起不能になるように尿道に針をぶっ刺してグリグリと……』」

マルコ「アルミン、分かった。このままでいこう(キリッ)」

どうやら元の台詞はもっと酷かったようだ。

どれだけ本当は罵倒したのかちょっとだけ気になったけど本題から逸れるから止めておく。

535進撃の名無し:2015/08/19(水) 00:03:49 ID:HbLCN5Ks0
今日はここまで。中途半端ですみません。ノシ

536進撃の名無し:2015/08/19(水) 21:42:11 ID:vWnDp4l20
乙〜!待ってるよ〜!

537進撃の名無し:2015/08/20(木) 22:29:45 ID:mgtX2/8o0
今回の他の配役は兼任するものも多かった。特に負担が大きくなってしまったのはアニとジャンだった。

マリアさんの役は最初、マーガレット先輩がやる筈だったけれど変更してアニが負担する事になったのだ。

アルミン「暗転と場転が続くからね。マリアさんをマーガレット先輩がやるとなると、裏方の人数が足りないと思うんだ」

アニ「そうだね。マリアさんのシーンは場面転換が多いから仕方がないか」

アルミン「覚えられそう?」

アニ「その台詞はミカサとエレンに言うものだと思うけど?」

話を振られて私はエレンと見合った。

エレン「あー。完璧には無理かもしれんな。でも話の流れを掴んでおけば、語尾とかは多少変更しても大丈夫だよな?」

アルミン「勿論だよ。台詞が飛んじゃった時はアドリブでどうにか乗り切ってね(笑顔)」

ミカサ(ぶるぶるぶるぶる)

アルミン、可愛い顔をして怖い事を言わないで欲しい。

するとエレンが苦笑してこっちを見た。

エレン「大丈夫だ。ミカサはナンダカンダでリヴァイ先生の事を良く理解してる。リヴァイ先生に成りきれば失敗はしねえよ」

ミカサ「ふ……複雑(微汗)」

そんな訳で完成版の台本を片手に読み合わせの練習に取り掛かる。

読み合わせだけでもかなり時間がかかった。読み終わった後は喉がカラカラになった。

ミカサ「ふぅ………」

休憩に入ってお茶を飲んだ。其の時、ジャンがこっちに近寄って来たので、しれっと逃げた。

ミカサ「アルミン、話があるのでいいだろうか?」

アルミン「え? ああ、いいよ」

ジャン「……………」

ジャンが露骨に落ち込んでいるようだが知らない。

部活中は仕方がないが、休憩時間までジャンに構う事はない。

アルミンに話があったのは本当の事だ。

538進撃の名無し:2015/08/20(木) 22:43:12 ID:l32M4Qlw0


539進撃の名無し:2015/08/20(木) 23:01:23 ID:mgtX2/8o0
ミカサ「アルミン、やっぱりお願いがあるのだけど」

アルミン「ええ? 例の手首クイクイの件なら……」

ミカサ「違う。それではなく、ハンジ先生の回想シーンのセクハラの件なのだけど」

アルミン「ああ、そっちか。もしかして、やめて欲しいの?」

ミカサ「エレンの身体が穢されるようで嫌なので………」

アルミン「ううーん。後ろからハグするだけの軽いものだけど、それでも嫌なんだ?」

ミカサ「うん………」

私情を入れ過ぎだと言われてしまうかもしれないが、嫌な物は嫌なのだ。

アルミン「そっか……エレンはそれくらいならまあ、妥協するって言っていたんだけどね」

ミカサ「ううう………」

アルミン「分かった。ミカサがそこまで嫌ならちょっと考え直すね」

ミカサ「折角、台本を完成させたのに、ごめんなさい」

アルミン「あー。いいよ。多分、いろいろやりながら他の人も変更したい部分は後から出てくるだろうしね。其の為に皆で読み合わせたり、通し稽古をする訳だし」

ミカサ「うう………」

アルミン「その辺はエルヴィン先生が来られる日に相談してみるね」

ミカサ「ありがとう。アルミン」

アルミン「それ以外で気になる点はある?」

ミカサ「………あると言えばあるけれど」

アルミン「どこ?」

ミカサ「舞台の上でかつ丼を用意するシーンだけど、ここは食べるふりだけでいいのでは?」

アルミン「え? 食べないの?」

ミカサ「舞台の前にリヴァイ先生の披露宴の食事をとるので、食べきれるかどうか……」

アルミン「あ、そっか。忘れていたよ。だったらゴーヤチャンプルーの方も真似だけでいいかな」

エレンの方を見たら、マルコ達と何か話しているようだった。

ミカサ「エレンに後で聞いて確認した方がいいと思う」

アルミン「了解。後でエレンに確認しておくね。後は……」

ミカサ「あの、女1の役にユミルがふってあるけれど、いいのだろうか?」

アルミン「え?」

ミカサ「ユミルの役はもうエキストラの領域を越えた立派な役のように思える。おまけにキスシーンまである……ので」

540進撃の名無し:2015/08/21(金) 00:30:18 ID:urtg3AmU0
台詞の量とか、要求される演技とか、これはもう部員がやった方がいいような気もしたのだが。

アルミン「ああ、ユミルの役か。その辺は本人にも了承済みだから安心していいよ」

ミカサ「そうなのね」

それなら安心した。

アルミン「リヴァイ先生とも確認したんだけど、ユミルが1番、当時の彼女の面影があるんだって。その頃から、すらっとした体型の女性と付き合うことが多かったような……とか言ってたから」

もう突っ込む気も失せるけれど。やっぱりリヴァイ先生は馬鹿である。

アルミン「こっちに合流して練習できる回数は少ないだろうけど、ユミルなら大丈夫だと思うよ」

ミカサ「了解した」

確かにユミルなら、度胸もあるし頭もいいし、大丈夫だろう。

そんなこんなでアルミンといくつか確認し合っていたら、他の人もアルミンに確認したい事が出てきたようで、質問し始めた。

マリーナ「ピー音を入れるタイミングは、完全に被せる感じでいいのかな?」

アルミン「うん。単語を完全に隠すようにお願い」

カジカジ「ヤクザのシーンからイザベルの場転まで何秒くらいかな。服は内側に着ていいよな?」

アルミン「そうだね。そこは前もってイザベルの衣装を着た上でスーツを着るしかないか」

と、次から次へと確認事項が出てくる。

その全てに的確に答えて台本にメモを取っているアルミンは頼もしいと感じた。

そして休憩時間終了のタイマーが鳴る。

ジャン「………………休憩終了だな」

ジャンが立ち上がった。こっちに来るなり、ジャンは言った。

ジャン「練習再開だ。時間ねえから、さっさとやるぞ!」

表情が違った。がらりと変わったジャンの雰囲気に私は驚いた。

さっきまでの目つきと違う。休憩中に何かあったのだろうか?

541進撃の名無し:2015/08/21(金) 00:35:15 ID:urtg3AmU0
眠いので今回はここまで。
ちょっとずつしか進められなくてすまんぬ。ではノシ

542進撃の名無し:2015/08/24(月) 21:24:48 ID:78rt37QM0

続き期待

543進撃の名無し:2015/08/25(火) 17:56:16 ID:gRTVBU0o0
乙 楽しみに待ってるからお手すきの時にでも続きまってる

544進撃の名無し:2015/08/29(土) 20:19:02 ID:9DZGGvo.0
エレンの様子も何だかおかしい。

ミカサ「エレン? 何かあったの?」

エレン「あー後でな」

エレンが曖昧に誤魔化したので余計に心配になった。でも今は部活中なので深くは聞きだせなかった。

そしてエレンと柔道の寝技とか、人工呼吸とか、接触の多い部分を改めて演技したのだが。

エレンが集中していない様に見えた。エレンの中にハンジ先生が入っていない。

スイッチが切り替わっていないせいか、自分の顔が赤くなってしまった。

エレンをエレンとして見ると、その、私も私になってしまう訳で。

アルミン「こらーエレン! 君は今『女役』だよ?! 男の顔しちゃダメだよ!!」

エレン「うっ………」

アルミン「ミカサも女らしくならないで! 男女逆転劇なんだから、そこんとこ、注意!」

ミカサ「う、うん………」

アルミンにもバレてしまった。エレンが頭を抱えて私から離れてしまった。

エレン「悪い。アルミン、さっき休憩いれたばっかりだけど、便所行って来ていいか?」

アルミン「ああ……OK。気持ち切り替えて来てね」

何だか足取りがフラフラしているように見えた。

アルミンはエレン抜きでやれるシーンを先に練習するようだ。

アルミン「エルヴィン先生とリヴァイ先生のシーンを先に練習しようか」

ミカサ「……………」

アルミン「ミカサ?」

ミカサ「アルミン、ごめんなさい!」

私はどうしてもエレンの事が気になってしまったので、頭を下げた。

アルミンにはそれだけで伝わったようだ。頭を掻いているけれど。

アルミン「…………5分だけ、だからね?」

アルミンの了承を得て私は音楽室を出た。

545進撃の名無し:2015/08/29(土) 20:20:09 ID:9DZGGvo.0
エレンを追いかける。ここから1番近い男子便所まで走って移動する。

女子は男子便所に入ってはいけないので、入り口に立って私は悩んだ。

エレンがいる気配はある。呼吸の音が微かに聞こえる。

周りを一度、確認して、私の他に誰も来ない事を確認したのち、男子便所の中にしれっと入った。

個室のドアの前で確認してみる。

ミカサ「エレン? お腹痛いの?」

私が声をかけると、一度沈黙が落ちた。

そしてエレンの掠れた声が聞こえて来たのだ。

エレン「ああ。悪い。急に下痢がきた。なんか調子悪いかも」

ミカサ「それはいけない。薬を貰いに行かないと……」

エレン「大丈夫だ。出してしまえばすっきりするからさ。もうちょっと便所籠るから。アルミンにそう言っておいてくれよ」

ミカサ「そう………」

全然大丈夫そうな声ではないのに。

どうしよう。何か、エレンにとって大変な事が起きているような気がするのに。

ミカサ「……………正露丸、要らないの?」

エレン「薬は出来るだけ頼らない方がいい。本当にヤバい時の為にとっておかないと。薬に慣れ過ぎると免疫力が落ちるって親父が言ってた。こういう時は出すだけ出したら、後は水分とって暫く安静にするのが1番なんだよ」

エレンが変だ。まるで何かに言い訳するようにまくし立てている。

ミカサ「…………何か、あったの?」

休憩時間に何かあったのだ。きっとそうに違いない。

エレン「何でもねえよ」

ミカサ「嘘。エレンもジャンも、何かおかしい」

エレン「……………」

エレンが答えてくれない。

546進撃の名無し:2015/08/29(土) 20:20:52 ID:9DZGGvo.0
ミカサ「ジャンの雰囲気が、急に変わった。以前のジャンに戻った。というか、熱っぽい視線がなくなった。エレン、ジャンに何か言ったの?」

エレン「…………それはミカサには言えない」

やっぱりジャンと何かあったのだ。

どうして? どうしてエレンは教えてくれないの?

ミカサ「何故? もしかして、ジャンと何かあったの?」

エレン「それも言えない。悪い。ミカサ、とりあえず今は音楽室に戻ってくれないか」

ミカサ「え? え? どうして? 私………」

エレン「いいから戻れって言ってるだろ!!!!!」

エレンに怒鳴られて心臓が止まるかと思った。

ドクドクドクドクと、強い鼓動が聞こえて、胸が痛くなった。

エレンに拒絶されて頭が酸欠したようにくらくらしたけれど。

其の時、私は思い出した。

文化祭でのマーガレット先輩の占いの言葉を。

マーガレット『風属性のミカサがある程度、エレンの頑固な面に目を瞑らないといけないみたいだよ』

マーガレット『今はまだ見えてないかもしれないけど、エレン、相当頑固な気質を持っていて、一度「こうする」と決めたら梃子でも動かないのよ』

エレンの頑固な面に目を瞑らないといけない………。

と、すれば、ここで私がやるべき事はひとつしかない。

ミカサ「…………分かった」

私はエレンにドア越しにそう答えて男子便所から出た。

547進撃の名無し:2015/08/29(土) 20:52:23 ID:9DZGGvo.0
私が今やるべき事は、エレンを信じる事だ。

何があったのか。それを聞き出すのは後回しにしよう。

音楽室に戻ってみると、皆、それぞれ練習に戻っていた。

アルミンがこっちに来たので、エレンは下痢をしているようだと伝えた。

アルミン「あらら……何か当たったのかなあ?」

ミカサ「出してしまえば大丈夫だと思う」

アルミン「まあ、大したことないといいけど」

アルミンがエレンの容体を他の人達にも伝えて、とりあえずその場は和やかに練習が進んだ。

アニとマルコが何度かこちらをチラチラ見ていたのが少しだけ気になったけれど。

練習中に余り私語をしてはいけないので、口を噤んでいるようだ。

そして少しの時間が流れて……30分くらい時間が過ぎた頃、エレンが何故かリヴァイ先生も連れて戻って来たのだった。

アルミン「エレン!!! お腹、大丈夫だった?」

エレン「え? ああ……出しちまえば問題ねえよ」

アルミン「ミカサから聞いたよ。急性の下痢だって。なんか変なものを食べたの? 売店とかで」

エレン「あー牛乳でもあたったのかな? 最近、飲み過ぎたのかもな」

アルミン「あー飲み過ぎるとダメていうよね。僕も気をつけよー」

エレンの周りに皆が近寄って「下痢大丈夫かー?」と言い合っている。

最後に私はエレンにこっそり言った。

ミカサ「…………と、いう事にしておいたので」

エレン「サンキュ。さすが気の利くオレの彼女だ」

ミカサ「本当の事、まだ言えない?」

エレン「後でな。今は部活だから。時間みつけて話すから。必ず」

くしゃっと笑ったエレンの笑顔にほっとした。

548進撃の名無し:2015/08/29(土) 21:42:14 ID:/HF9QVxA0
目が少しだけ赤いのが気になったけれど、この様子なら大丈夫だろう。

練習再開だ。ハンジ先生との掛け合いのシーンを演じて終えて、リヴァイ先生が渋い顔をした。

リヴァイ「あー俺ってそんなにいつも眉間に皺寄っているのか?」

ミカサ「大体こんな感じですが(キリッ)」

リヴァイ「そうか……」

アルミン「結構、ミカサの物真似は似ていますよ。かなり正確にトレース出来ていると思いますが」

リヴァイ「いや、まあそうなんだろうな。何か自分を客観的に見るのって変な感触だなと改めて思っただけだ」

ミカサ「背丈は違いますけど。そこは脳内で修正してください」

リヴァイ「うぐっ……(青ざめ)」

ミカサ「ダンスシーンの時も、ナレーションで『身長差は想像で補って下さい』と言った方がいいと思う」

アルミン「ああ! 確かにその方がいいかもしれない(メモメモ)」

リヴァイ「…………」

リヴァイ先生が何も言えずに落ち込んでいる。ふふっ♪

アルミンがマリーナに新しい指示を伝えていた。本当にナレーションを追加してくれるようだ。

リヴァイ先生は小さなため息をつきながら、

リヴァイ「まあ……順調に練習は進んでいるようだな」

ミカサ「そうですね」

リヴァイ「演じにくいところや、疑問に思う部分はないか?」

ミカサ「それは脚本の内容についてツッコミを入れていいという事ですか?」

リヴァイ「平たく言えばそうなるが」

ミカサ「ではひとつ、質問を」

リヴァイ「どこだ?」

ミカサ「ハンジ先生が三十路のプレゼントを暴露した時、何故『それを早く先に言え!』と言ってヘッドロックを?」

この時点での脚本では何故かハンジ先生がヘッドロックをかけられていたのだ。

私の質問に対し、リヴァイ先生はよそを向いて答えた。

リヴァイ「…………照れ隠しだ」

ミカサ「酷い」

リヴァイ「うるせえ。その、あの時の事は、俺もうまく言い表せねえんだよ」

ミカサ「おまけにヘッドロックの前に、1発頭を殴っていますよね? プレゼントをくれた相手にこの仕打ちはどうかと」

リヴァイ「身体が先に反応しちまったんだよ。仕方がねえだろ……」

ミカサ「私はエレンをこんな理由で殴りたくない。ここはカットでもいいのでは?」

リヴァイ「まあ、その辺はどっちでもいいが………」

549進撃の名無し:2015/08/29(土) 22:00:40 ID:9DZGGvo.0
アルミンに相談すると、

アルミン「ん〜……そうなると、『隠していてごめんね〜』のところから、飛んで『ハンジ』まで繋げる形にする?」

ミカサ「不自然ではないと思う」

アルミン「分かった。その流れも後で練習してみて、比べてから決めようか」

ミカサ「了解した」

其の時、唐突にエレンに呼ばれた気がした。

エレン「………………………………なあミカサ」

ミカサ「呼んだ?」

ジャン「うぐ……じゃあオレ、本当に出番無しか……」

ミカサ「何の話?」

エレンはジャンと話していたようだ。

エレン「ジャンはもう、ミカサの事を諦めて、もう一人の相手との事を真剣に考えてみるって話」

ジャン「?! エレン、いきなりバラすなよ!!!!」

ミカサ「それ本当?! ジャン!! (ぱあああ)」

ジャン「え、まあ……うん。すまん。気持ちが固まった」

何が起きてそうなったのかは分からないけれど、ジャンの気持ちが固まったのは良い事だ。

ミカサ「それは良い事! だったら私もそれを応援する!」

ジャン「ええええ(青ざめ)」

ミカサ「陰ながらだけど。ジャンとサシャがくっついたら、手料理を振る舞ってお祝いしてもいい!」

ジャン「………………………」

エレン「ジャン、今、邪な事考えたな? (ジロリ)」

ジャン「いやいやいや!? 考えてねえよ? ぜんぜーん考えてねえよ?!」

エレン「ほー。本当か? 今、『ミカサの手料理食えるのか』って思った癖に」

ジャン「何故バレたし」

エレン「お前もオレと同じで『顔』に出やすいんだよ。心の中がな!」

ジャン「うぐ……!」

ミカサ「え? では、嘘なの? ジャン、嘘をついたの?」

これ以上、嘘をついたら、絶対許さない。

550進撃の名無し:2015/08/29(土) 22:09:13 ID:9DZGGvo.0
ジャン「嘘じゃねえよ! その、ミカサの事を諦めるのは本当だ。その……サシャの事をこれから考えてみるのも、本当だし」

ミカサ「本当? 嘘ついたら、私、許さないけど<●><●>じーっ」

穴が空くくらいにジャンをじーっと見つめる。

するとジャンはガクガクブルブル震えだして、

ジャン「絶対嘘じゃない!! 本当!! もうサシャ一本に絞るから!!! 今まで、本当にごめん。不快な思いをさせて……」

ミカサ「なら良かった。(ニコッ)」

と、言ってくれたので胸がすっとした。

エレン「ジャン、嘘ついたらコニーのケツバットの相手100本な」

ジャン「多すぎるだろうが!!」

ミカサ「1000本でもいいと思う(キリッ)」

ジャン「あれ?! 意外とミカサってドSなのか?!」

ミカサ「何を今更……ククク……(黒笑顔)」

アニ「本当、今頃気づいたの? (黒笑顔)」

アニと一緒に笑った。

ジャンが酷い顔になっているのがちょっとだけ面白かった。

ジャン「OH……何か意外な側面を知ったぜ」

エレン「普段は優しいからな。怒らせると怖いぞ。アルミンもそうだしな」

アルミン「ん? 呼んだ?」

エレン「いや、優しい人間ほど、怒らせると怖えなって話」

アルミン「そうかもね。反動がくるんじゃない? ジャン、知らなかったの?」

ジャン「ああ。そうかもしれないな。いや、そこはそこで可愛いけど………」

ミカサ「コニーに電話してみようか」

アニ「そうしよう(スマホ構える)」

ジャン「すんませんでしたああああ!!!(速攻土下座)」

ジャンの件はこれで一件落着した。と、其の時は安心していた。

それが偽りの物だと気づいた時、私は自分が馬鹿だったと思い知った。

551進撃の名無し:2015/08/29(土) 22:22:32 ID:9DZGGvo.0
ジャンに対して私は思いやりがなかったのかもしれない。

本当は私からもっと早く、私の気持ちを彼に伝えるべきだったのかもしれない。

でも当時の私は、ジャンの事より、エレンの事で頭が一杯で。

エレンが便所に籠ってしまった理由の方が気になっていて。

だからジャンに対しては、申し訳ない気持ち以上の物を持つ事は出来なかったのだ。

552進撃の名無し:2015/08/29(土) 22:24:58 ID:9DZGGvo.0
ミカサが私情を挟み込みまくりな子になってますね。
今回はここまで。次回またノシ

553進撃の名無し:2015/08/31(月) 17:00:45 ID:KAjvUsTE0
ume

554進撃の名無し:2015/09/13(日) 13:10:13 ID:GFYVro66O
諦めて暫く来てなかったが>>1生きてたのか 乙
ゆっくりでもいいから続けてくれると嬉しい
>>1の過去SS読み返しながら待ってるよ

555進撃の名無し:2015/09/14(月) 02:04:35 ID:2isk5EPc0
>>554
プライベートが忙し過ぎて以前のようにはいかんとです。すんません。
ぼちぼち少しずつやっていきますのでよろしくお願いします。

556進撃の名無し:2015/09/14(月) 02:05:12 ID:2isk5EPc0



休憩を挟んだ後、皆で意見を交換しながら脚本についての細部を調整する事になった。

その際、私が追加して頼んだ部分について意見が分かれてしまった。

スカーレット「ん〜エレンを殴りたくないから、リヴァイ先生側の暴力はカットっていうのはなんかちょっと違うんじゃない?」

ガーネット「ここはカットしない方が、リヴァイ先生らしさが出ていいと思うけど……」

ミカサ「うぐっ……」

スカーレット「それにそんな事を言いだしたらエレン側だって複雑だよね? もっと酷いシーンあるし」

エレン「そうですね。思いっきりぶん殴るシーンありますからね」

ミカサ「そこは物語の重要な部分だからカット出来ない(キリッ)」

アルミン「まあねえ。それはそうなんだけど……」

ジャン「オレは別にカットしてもいいと思うけどな」

マルコ「うん。僕もジャンに賛成」

エレン「そうか? オレはそのままでも別に……」

わいわい。ワイワイ。シーンのカットについて意見交換が続く。

すると、そこにリヴァイ先生が頭を掻きながら付け加えた。

リヴァイ「あー。一応、削った結果がソレなんだがな」

ミカサ「え?」

リヴァイ「本当ならもっと、ハンジを殴ったり絡んだり、その……酷い時はプロレス技をかけたりもした。アルミンが『それは流石に酷い』と言い出したから、これでも割愛しているんだが……」

エレン「え? そうだったんですか。まあ、それはそれで、オレは構わないですけど」

ミカサ「駄目! エレンを酷い目に遭わせるのは……!」

エレン「そんな事言い出だしたら、劇にならねえだろ」

ミカサ「でも……!」

エレンと意見をぶつけ合っていると、今度はアルミンが頭を掻いた。

アルミン「というか、通しの読み合わせの時点で結構、時間を食っているから、細かい部分は時間短縮の意味でも削った方がいいかもしれない」

ミカサ「!」

アルミン「ミカサの意見を通す意味じゃなくても、削れる部分は少しずつ、削って行こうか」

ミカサ「いいの? アルミン……」

アルミン「ああ、いいよ。10時間分のリヴァイ先生とハンジ先生のインタビューを元に台本を掻き上げた時の苦労に比べたらどうってことないって」

10……10時間?!

録音を聞き直すだけで大変な作業である。

557進撃の名無し:2015/09/14(月) 02:06:02 ID:2isk5EPc0
アルミン「先輩方、すみません(ぺこり)」

スカーレット「まあ、最終的な決定権はアルミンにあるし、いいよ」

ガーネット「脚本を書いた人がそういうんじゃしょうがないよね」

アルミンが先輩達に謝っている間、私はリヴァイ先生をじと目で責めた。

ミカサ「リヴァイ先生、アルミンに苦労を掛け過ぎ」

リヴァイ「………すまん。ハンジと話し込んだせいで、話が長くなった」

エレン「10年以上、2人の愛の歴史があるんじゃ長くもなりますよ」

ミカサ「全部、リヴァイ先生が悪い」

リヴァイ「……そうだな。その分の償いはこれからやる事にしよう」

そう答えたリヴァイ先生の表情には、年相応の皺が見えたけれど。

ふとエレンの方を見て、意地悪な笑みに変わった。

リヴァイ「………エレン、柔道の寝技をかけられている時、しっかり精神集中しておけよ」

エレン「え? (ドキッ)」

リヴァイ「バレるぞ。気持ちは分かるがな」

エレン「! は、はい……!」

ミカサ「2人だけで分かる話をしないで欲しい(じと目)」

リヴァイ「ん? 気づいていねえのか? 成程。うまく当てねえようにしてんのか」

エレン「リヴァイ先生、それ以上言わんでください!!!」

エレンにポカポカ背中を叩かれて、何故かニヤニヤするリヴァイ先生だった。

558進撃の名無し:2015/09/14(月) 02:08:31 ID:2isk5EPc0
短いですがここまで。次回またノシ

559進撃の名無し:2015/09/14(月) 13:43:14 ID:2QJjciuA0
こっちも乙

560進撃の名無し:2015/09/24(木) 00:04:57 ID:wBncng4.0

頑張ってくれ

561進撃の名無し:2015/09/25(金) 06:15:26 ID:hAuZ1bwY0
     /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
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 1:::::::::::::::::::::::「 `┤l:::::::::::::::::l          ̄   ,  ヽ ̄ l
  `l:::::::::::::::::::::ヽ  :l li:::::::::::::/           /´   `l  |   <ヴッ!!!
  ヽ::::::::::::::::::::::\_」 lヽ::::/            !:-●,__ ノ  /   
  ノ:::::::::::::::::::::::::::ノ | l `゙゙            ,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,  /ヽ
,/ ヽ::::::::::::::::::::::(  l l::::::::..         /.:''/´ ̄_ソ  /  `ヽ
     ヽ:::::::::::::::ヽ | l:::::::::::...      /::// ̄ ̄_ソ  /    \
        ヽ:::::::\| l::::::::::::::::...    / :::.ゝ` ̄ ̄/ /       ヽ
           ヽ:::l l:::::::::::::::::::..      ̄ ̄;;'' /         ヽ
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              l l '''''''''''''''''''''''''''''''''''''' ̄l |             |

http://y2u.be/z2qK2lhk9O0

562進撃の名無し:2015/10/17(土) 17:57:23 ID:S1GLcTCM0
待ってるよー

563進撃の名無し:2015/11/07(土) 17:02:13 ID:wR.92YNg0
期待

564進撃の愛知県:2015/11/08(日) 21:19:33 ID:gYHS8/ts0
頑張ってノシ

565進撃の名無し:2015/11/19(木) 00:00:27 ID:GktHjqrs0
その日の部活動がひと段落して後片付けをして全員解散した後、私は忘れ物を思い出して音楽室に戻った。

しかしその時、2年の先輩達が全員、音楽室に集まって話し合っていた。

どうやら1年だけを先に帰して、2年だけは居残っていたようだ。

スカーレット「………でもさあ」

私はドアをスライドさせる手を一瞬、止めてしまった。

何だか開けてはいけないような空気を感じたからだ。

マーガレット「気持ちは分からなくはないけどさ」

ガーネット「そういわれたらそうだけど」

エーレン「そこはしょうがないと思うよ」

スカーレット「でも、本当にそれでいいと思う?」

何だろう? 何だか深刻そうな相談をしている様子だ。

私はその話を聞く為にドア越しに聞き耳を立てた。

スカーレット「だって、今回のミカサの意見って、殆どエレン絡みの自己中心的なものばかりじゃない?」

ギクリ!

スカーレット「劇そのものを良くしようっていう意志が感じられないんだよね。これって本当にいいことなのかなー……」

マーガレット「まあまあ、そこら辺の価値観は人それぞれだし」

ガーネット「そういう部分があるのは否めないけど」

アーロン「それは彼氏を中心に考えるのは良くないという意味か?」

スカーレット「うーん。それは別にいいんだけど。彼氏に気遣うのは女の立場としては分かるしさ。ただ、なんていうか……バランスを考えて欲しいというか」

ガーネット「ちょっと極端すぎるってこと?」

スカーレット「そうそう。その辺のバランス感覚は、アルミンのは絶妙だよね」

マーガレット「あー分かる。あの子の調整力、ぱねえって思うわ」

何だか私の事を批判されているようだ。

うう……ちょっと心が重い。

確かにエレンを中心に考え過ぎたのかもしれない。

我儘を言い過ぎて先輩達に嫌われてしまったのだろうか?

スライドドアを開けづらくて困っていると……

566進撃の名無し:2015/11/19(木) 00:02:35 ID:GktHjqrs0
リヴァイ「成程。つまりスカーレットはミカサの我儘な言い方そのものが問題だと思っているわけか」

スカーレット「我儘なのは別にいいんですよ。人間、皆そんなものですし。ただ、伝え方がたまにストレート過ぎて、「ん?」と思ってしまう部分もあるというか。それって彼女の為にもならない気がして……」

うう……。ここでも私の残念な言語力が批判されているようだ。

確かに私は言い方が悪いのかもしれない。

先輩の言い分は正論過ぎて何も言い返せなかった。

マーガレット「アルミンの場合は自分の目的を遂行する為に、一番ベストな物の言い方を選んで人に話していますしね」

ガーネット「気遣いの仕方がたまに怖い時もあるくらいだよね」

エーレン「常に先の先を読んでいる感じだな」

アーロン「確かに」

リヴァイ「アルミンは口が達者な奴だからな。まあ、そこはアルミンとミカサを同じように考える方が酷だろうな」

スカーレット「彼女には何も言わない方がいいですかね?」

リヴァイ「迷う気持ちも分からんでもないがな。ただ、ミカサ自身が、劇を良くしようと思ってないという訳ではないと思うぞ」

スカーレット「そうなんですかねー」

リヴァイ「むしろ、いい傾向なんじゃねえかと思っている。今までは、指示された事はやっても、自分から積極的に周りに意見を言おうとする行動自体が少なかっただろ」

マーガレット「あー。確かに、文化祭の時より、今の方がミカサは自分で動いてますね」

リヴァイ「自主性が出てきた時点で、それはもう演劇を楽しんでいる証拠じゃねえか?」

スカーレット「まあ、確かにそういわれたらそうかもしれないですね」

リヴァイ「多少の役者の我儘は聞いてやれ。役者側が裏方に合わせるようになったら、その演劇はおしまいだ」

マーガレット「裏方が役者に合わせろ。……ですね」

リヴァイ「そうだ。それが裏方の一番の心得だと俺は思っている」

スカーレット「分かりました。じゃあ今回の件は、胸に留めておくだけにしておきますね」

その時、私はドアをスライドさせて先輩達の前に顔を出した。

567進撃の名無し:2015/11/19(木) 00:04:52 ID:GktHjqrs0
ミカサ「あの………」

リヴァイ「ああ、ミカサ。なんだ。聞いていたのか?」

ミカサ「すみません。忘れ物があって、戻ってきました」

スカーレット「あっちゃー。今の聞いちゃった?」

ミカサ「………はい」

スカーレット「気、悪くしちゃったならごめんね。でも、やっぱり気になったからさ。私としては。皆に相談していたんだよ」

ミカサ「……………」

スカーレット「ミカサがエレンを大事にしている事は常々分かっているし、周りもそれを理解しているけどさ。エレンを理由に劇の内容を変えたり、我儘を通すようになると、それはなんか違うって思うのよ。これは他の人にも言えることだけどさ」

マーガレット「例えば、この演出は自分には身体的に無理だから演出を変える。とかは皆が納得するけど、この演出はエレンには合わないから変えて下さい。みたいな事はやっぱり周りも納得出来ないしね」

ミカサ「あの、では……」

そこで私は先輩達に尋ねてみた。

ミカサ「私が、エレンのセクハラシーンを削って欲しいといった要望なども、我儘になるんでしょうか?」

リヴァイ「まあ、そこら辺の最終的な判断はアルミンに委ねる事になるな」

と言ってリヴァイ先生が腕を組んだ。

リヴァイ「劇そのものを楽しめないのであれば、嫌なシーンはカットや変更をするべきだとは思うが、ただ、今回の劇に関して言えば、そこまで気を負うもんじゃねえよ」

ミカサ「というと?」

リヴァイ「大会に出る為の演劇じゃねえしな。ただの余興なんだから、完成度とか、そんなものより大事なものがある」

マーガレット「自分達が、楽しめる劇にすること、ですね」

リヴァイ「そうだ。束縛がない分、自由に楽しんでやれ。やりたい事をやっちまっていい。やらないという選択肢も有りだ。その辺は思う存分、話しあって煮詰めろ」

スカーレット「了解っす」

リヴァイ「忘れ物はこれか? ミカサのだろ。このヘアピン」

ミカサ「何故分かった」

リヴァイ「お前が俺風のメイクをする時にヘアピンを使うと聞いていたからだ」

ミカサ(ガクブルガクブル)

リヴァイ先生の記憶力はやっぱりキモイ。

568進撃の名無し:2015/11/19(木) 00:07:24 ID:GktHjqrs0
リヴァイ「ほらよ。じゃあ俺は先に帰る。戸締りはちゃんとして帰れよ」

リヴァイ先生からヘアピンを受け取って、私はそこに居残った。

先輩達にどうしても伝えたい事が出てきたからだ。


ミカサ「あの、先輩達に聞いて欲しい事があります」

そして私は、この劇を楽しむ為の一番の「演出案」を先輩達に提案したのだった。


すると、先輩達は全員、口元を押さえて笑いを堪えながら、

スカーレット「マジで? 今、そんなことをこっそりしてるの?」

マーガレット「すごいね。諦めてないんだ?」

ミカサ「はい。まだ諦めていません」

ガーネット「1回却下されたのに、やるねえ」

エーレン「あーでも、あそこのカットは確かにしない方がいいと思う」

アーロン「ああ。カットするべきではないと客観的には思う」

スカーレット「した方が面白いよね」

ガーネット「ごり押し、賛成」

マーガレット「確かに。私も実は賛成」

スカーレット「そっか。ミカサはちゃんといろいろ考えていたんだね」

ミカサ「エレンについて、我儘を言ったのは、すみません……でも」

スカーレット「分かった分かった。今の言葉でミカサがこの冬公演にどれだけ意気込んでいるかは伝わったから」

先輩達に分かって貰えたようだ。それが嬉しかった。

スカーレット「どうにかしようか。水面下で」

マーガレット「了解。私もそっちの方向で準備しておくわ。こっそりと」

ガーネット「ふふふふ……リヴァイ先生、自分の言った言葉に責任を持ってもらいましょうか」

そして全員で「おー」とこっそり、拳をぶつけて、

私達は冬公演に向けて団結したのだった。

569進撃の名無し:2015/11/19(木) 00:25:45 ID:GktHjqrs0
久々過ぎますが今回はここまでです。
ではまた次回までノシ

570進撃の名無し:2015/11/19(木) 15:35:05 ID:BMylOPhs0
乙、続き待ってます。

571進撃の名無し:2015/12/07(月) 23:13:54 ID:wM13nS3A0
がんばれ、期待してる

572進撃の名無し:2015/12/19(土) 23:01:02 ID:W4ug8MqUO
age

573進撃の名無し:2016/03/15(火) 21:17:02 ID:QGZhgCls0







その日の慌ただしい部活が終わり、自宅に戻ってから一息ついたのち、エレンに呼ばれて部屋

で話す事になった。

エレン「今日、皆と話したんだけどさ」

ミカサ「うん」

エレンは少し気まずそうに視線を逸らしながら、頭を掻きながら続けた。

私は黙ってエレンの続きを待つ。少し間を置いて、エレンはゆっくり続けた。

エレン「オレは最初、ジャンにもう、サシャの方に行ったらどうだ? って話したんだけど、

その時に、浮気について話す流れになって」

ミカサ「うんうん」

エレン「女って、浮気者に対してはすげえ厳しい目を持つんだぞってジャンに言って」

ミカサ「それは当然」

エレン「そしたら、マルコがそこで『ミカサがもしも浮気者だったら許せるのか?』って言い

出して」

ミカサ「? 何故、そんな話の流れに???」

エレン「いや、そこは重要じゃなくて、だな」

ミカサ「???」

エレン「オレは最初、ミカサにもしも浮気されたら、それは自分に非があるせいだから自分の

反省が先だと思ってたんだけど」

ミカサ「? 浮気は浮気をした側が悪いのでは?」

そもそも浮気なんてしたいと思った事すら、私はない。

エレン「ええっと、今はその話は置いといて、とにかく、マルコに突っ込まれたんだよ」

ミカサ「マルコに?」

エレン「ああ。『無理に自分を大人に見せようとしていない?』ってさ」

ミカサ「……………成程」

それは思い当たる節がある。

エレンは子供っぽい部分があるのに、それを余り人に見せたくないのか、そういう時がある。

574進撃の名無し:2016/03/15(火) 21:20:10 ID:QGZhgCls0
エレン「マルコに言われて、自分の本心に気づいちまって。オレ、ジャンを正面から見てなかった。あいつがミカサの事を好きだっていうのを知っていたけど、あいつは何も出来ないでいるから、慢心していたのかもしれねえけど。でも、正直言えばうぜえって思う事もあって」

ミカサ「うっ……それは私も同じ」

ジャンの態度が中途半端だから、私も曖昧な態度でいた。

エレンはそこで、頭を振って少し悲しげに続けた。

エレン「でも、よく考えたらオレ、やっぱり嫌だったんだよ。ジャンがミカサを見ている事も。ジャンだけじゃねえ。他の男がミカサを見ている事も。手出して来るんだったら、殺してやりたいって思うほど、そういう自分を無理やり抑え込んでいただけなんだって。マルコの指摘のおかげで気づかされちまったんだ」

ミカサ「だからジャンの態度も変わったの?」

エレン「ああ。その場でオレの気持ちをジャンに伝えた。手出したら殺すぞって。オレの本心を伝えたら、あいつも思うところが出てきたみたいでさ。サシャの件について真剣に考えてみるって、結論が出たみてえだ」

ミカサ「……………」

私がアルミンと話し込んでいる間にそんな急展開が起きていたなんて。

頭の中を整理して、そしてエレンの表情を見ているうちに私は自然と涙が溢れてきた。

エレン「何で泣く?!」

ミカサ「だって……嬉しい………」

エレン「え?」

ミカサ「エレンが、そこまで私を想っていたなんて、思わなかった。嬉しい……」

エレンの気持ちを知れたのが本当に嬉しかった。

ジャンの事が切っ掛けで、エレンの本心が見えたのが嬉しかった。

ミカサ「エレンの本当の気持ちが聞けて良かった。私、ずっと分からなかったの」

エレン「え?」

ミカサ「エレンが何となく感情を『抑えて』いるのは伝わっていたけど。それがどこまでの物かは分からなかった。エレンはジタバタする自分を嫌だと思うかもしれないけど。私は、エレンの泥臭い部分も含めて好きなの」

エレンの本心が見えない事が不安だったのかもしれない。

そうなのだ。私はもっと、エレンに求められたかったのだ。

ミカサ「エレンがリヴァイ先生の件を嫉妬した時もそうだった。あの時、私の体に電流が奔る様な感覚があって……体が一瞬で濡れてしまった。許されるならあのまま、あの場所で、エレンと繋がりたいとさえ思った」

ミカサ「だから本当は………たまにはヤキモチ妬いてくれるのも悪くないと思ったけれど。でも、アレ以来、あの時のような激しさを表に出来るだけ出さないようにしているエレンに対して少し寂しさを覚えていたの。だから、その……」

ぐいっと、そのままエレンに抱きしめられて押し倒されてしまった。

エレンの声が、耳元で、囁いて。

エレン「………………ごめんな」

優しい、悲しい声だった。

エレンの複雑な感情が伝わってくる。混じり合った物が愛おしい。

575進撃の名無し:2016/03/15(火) 21:21:41 ID:QGZhgCls0
ミカサ「ううん。いいの。私は初デートの時も、嬉しかった。電話でのエッチも嬉しかった。エレンがたまに見せる、エッチな顔と声をもっと見せて欲しい」

エレン「オレ、そんなにエッチな顔していたか?」

ミカサ「うん。急に雰囲気がガラリと変わる瞬間が、ある。その時のエレン、物凄くセクシーになる」

表情がくるくる変わる、エレンが好き。

ミカサ「普段の優しい大人っぽいエレンも好きだけど。子供っぽくなる瞬間も、好き。だからお願い。もっと、エレンを私に良く見せて……」

エレンの手の動きが激しくなった。

心臓の音が聞こえる。

波打つ音が重なって、ドキドキする。

ミカサ「ん………ああっ」

もっとエレンが見たい。感じたい。

隠さないで欲しい。もっと、あなたを知りたい。

一気に飲み干したい。真夏の太陽の下で水をごくごく飲む時のように。

欲している自分に気づいて、遠慮なく声が漏れてしまう。

ミカサ「あっ……! んぐ!」

タオルを噛んで我に返った。そうだった。自宅で大きな喘ぎ声は良くない。

私の悪い癖だ。こういう時、すぐ、周りの事が見えなくなる。

ミカサ「ん…………」

反省した。エレンの眉が八の字だ。苦笑している。

そしてエレンの手が忙しなく動いて、私の衣服は緩められる。

エレンの唇が私の乳房に触れた。

ああ、もう、もっと、吸って。

私をもっと、エレンの中に、入れてほしい。食べて欲しい。

なのに、その時のエレンは、唐突に動きを止めた。

エレン「ミカサ」

ミカサ「?」

エレン「今日は生理初日だったよな」

ミカサ(こくり)

エレン「だったら、下は触らない方がいいか? 触っちゃダメだよな」

少しくらいなら、いい。

ミカサ(フルフル)

エレン「え?」

ミカサ(こくり)

エレン「い、いいのか?」

ミカサ(こくこく)

エレン「でも、血、つくし、衛生的には良くないんじゃ」

工夫すれば、大丈夫。

ミカサ(↓を指さしている。手の甲をトントン叩く)

エレン「調理用のビニール手袋、使っていいのか?」

ミカサ(こくり)

大丈夫。問題ない。

576進撃の名無し:2016/03/15(火) 21:22:46 ID:QGZhgCls0
エレン「だ、大丈夫なのか? 本当に」

ミカサ(こくこく)

エレン「………分かった。じゃあちょっと取ってくる」

エレンが一度離れて、そして急いで戻ってきてくれた。

エレンがビニール手袋を装着して私の中に触れてきた。

ドキドキする。何だか悪い事をしているような気持ちになる。

怖いけど、その先を知りたい。好奇心が止まらない。

エレンの心が揺れ動いているのを感じた。

エレン「嗅いでみていいか?」

ミカサ「…………」

エレン「あ、ダメならやめておくから」

本当のエレンを知りたいと思ったのは私。

ならばここは、引くべき時ではない。

エレンが知りたいというのであれば、私は隠さない。

……でも、知った後に、もしも気持ち悪いと思われたら?

微かに感じる嫌な感情と、求められる興奮が混ざり合って、迷った末。

私はこくりと頷いた。それが私の選択だった。

エレンに自分を見せる。それが私の答えだった。

ミカサ「ん………!」

無言のエレンに自分を委ねる。

エレンの体温と手の動きだけに集中していたら、その先は思わぬ場所に近づいていった。

ミカサ「んん……?!」

え? ええ? 今、変な場所に手が触れた気が。

ミカサ「んんー……ん……ん……ん……」

あ、でも、何だか、それが気持ちいい。

今まで感じた事のない、言い表すのがとても難しい感覚が、くる。

エレン「ミカサ………こっちの穴にも指入れていいか?」

ミカサ「……………」

ぞくっと、した。

寒気のようなものを感じた。

冷蔵庫をいきなり開けた時の冷気を思い出した。

何故、今そんな事を思ったのかが分からない。

頭の中が熱っぽくて、いつもの自分が消えている。

頭の奥で鐘がなっているような、そんな感じがするのに。

私はその時の自分を止められなかった。目を閉じてその先をエレンに委ねてしまった。

ミカサ「んんんー………ん………ん…………」

ぐるぐる回る。頭も、体も、心も、混ぜられている。

私の中の何かが、変化している。

気持ちいいけれど、同時に、怖い。

何が怖いのか、分からないのに、怖い。

怖いと思うのに止められない。

この感覚は一体、何………?

577進撃の名無し:2016/03/15(火) 21:25:22 ID:QGZhgCls0
ミカサ「んんんー!………ん!………ん!…………」

エレンに導かれて私は、堕ちた。

今までとは違う、明らかに違う場所に落ちた。

そこが何処かも分からない。エレンに引っ張られる。

腕を引かれる。痛いくらいに、強く。強く。

実際に引っ張られた訳ではないのに。何故、今。

分からない。この初めての感覚を言葉で言い表す事が出来ない。

何も考えられない。疲労感に包まれて、私は眠った。

エレンに包まれて、ひたすらに眠ったのだった。

578進撃の名無し:2016/03/15(火) 21:27:01 ID:QGZhgCls0
今回はここまで。
リアルが忙しすぎてなかなか思うように書けませんでした。
次はいつになるか分かりませんが、次回またノシ

579進撃の名無し:2016/04/02(土) 16:27:26 ID:a4JT0mAgO
期待

580進撃の名無し:2016/08/18(木) 01:01:00 ID:ZMkcsafQ0
やっと追いついた…
本当おもしろくて夜も寝ずに読んでました。

更新待ってます!

581進撃の名無し:2016/08/18(木) 04:41:18 ID:P5MnrWVE0
西日本限定でヤリまくれるサイト教えます
http://deai.nandemo.de/article/mintj1

582Sage:2016/08/25(木) 11:09:47 ID:XgrmKVfg0
Sage

583進撃の名無し:2020/05/22(金) 01:05:35 ID:wfNrE5T60
応援しています


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