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エレン「この長い髪を切る頃には」2

1進撃の名無し:2014/07/25(金) 18:53:56 ID:Yeod/N2g0
*続編です。ミカサ「この長い髪を切る頃には」→エレン「この長い髪を切る頃には」の続き。もう1回エレン視点で書いていきます。

*現パロです。現在、エレンの髪がちょっとずつのびています。(ミカサよりちょい長め。小さいしっぽ有り)

*舞台は日本ですがキャラの名前は基本、カタカナのまま進めます。漢字の時もあるけど、細かいことは気にしない。

*実在の人物とかは名前やグループ名等をもじっています。時事ネタも有り。懐かしいネタもちらほら。

*原作のキャラ設定は結構、崩壊。パラレル物苦手な方はご注意。

*原作のキャラ性格も結構、崩壊。原作と比べて「誰だてめえ」と思った方はそっと閉じ推奨。

*レスに対するお返事レスは返せない事が多いかも。体力温存の為。無視している訳じゃないんで、OK?

*感想は毎回有難い。でも自分の妄想話を書くのはNG。読んでいる人が混乱するから。本編と混ぜるな危険。

*雑談は雑談スレでお願いします。雑談嫌いな読者の方もいらっしゃるからね。

*現在、ジャン→ミカサ、ジャン(?)→サシャ、オルオ→ペトラ→リヴァイ←ニファ リヴァイ→ハンジ←モブリット ライナー→クリスタ←アルミン←アニ(?)←ベルトルト イアンリコあたりもちらほら。というか、そのつもりで書いています。

*安価時以外のアイデア・オリジナルの設定等の提案は禁止させて頂きます。(エレン「この長い髪を切る頃には」の時にトラブルが発生した為です)

*その代わり、安価出した時は出来る限り(多少無茶振りでも)採用する方針でやっていますので、宜しくお願いします。

*モブキャラも多数出演。オリキャラ苦手な方もご注意。キャラ濃い目。

*そんな訳で、現在設定しているオリキャラをざっとご紹介。


マーガレット(2年生♀)→大道具リーダー。漫画描ける。腐ってる女子。皆のお姉さん的ポジ。

スカーレット(2年生♀)→大道具。立体造形専門。ロボットもいける。たまに腹黒。

ガーネット(2年生♀)→大道具兼衣装。コスプレ好き。ちょっと大人しめのオタク。

アーロン(2年生♂)→役者。元野球部。高校から演劇始める。

エーレン(2年生♂)→役者。元サッカー部。高校から演劇を始める。

カジカジ(1年生♂)→役者。外見はエレンに似ています。明るい男子。愛称は「カジ」。

キーヤン(1年生♂)→役者。ジャンよりイケメン。歌上手い。

マリーナ(1年生♀)→役者。少年の声が出せる。ナレーションうまい。ほんわか系女子。


*原作のモブの名前が判明すれば……途中加入もあるかもです。

*外伝のキュクロとシャルルも出ています。二人は野球部投手とマネージャー。

*先生方の年齢設定が原作より(恐らく)若干高め設定になっています。

*リヴァイ先生(38歳)というおっさん設定に耐えられない方は御免なさい。

*加えてリヴァイ先生の潔癖症が病気レベル扱い(笑)になっているので、御免なさい。

*リヴァイ先生の性癖(?)も大分、斜めってる設定になっています。ご了承下さい。

*エルヴィン先生(43歳)も相当なオタク設定になっています。リヴァイより更に斜め方向に変態です。本当に御免なさい。

*ハンジ先生(36歳)が昔は美人だったよ設定です。ややモテキャラですが、リヴァイに比べれば蟻の触覚程度です。

*リヴァイ先生がモテ過ぎ設定です。気持ち悪いくらいモテキャラです。愛され過ぎて御免なさい。



*ラスト100レスは完成する迄、レス自重お願いします。レス足りないと書き手としてプレッシャー過ぎる。

*そんな訳で、現パロ(エレン視点編)を始めます。OK?

280進撃の名無し:2014/08/05(火) 16:06:11 ID:o50/jKL60
お掃除リヴァイは次回に回します。今日はここまでです。ではまたノシ

281進撃の名無し:2014/08/05(火) 16:40:41 ID:wuoVDYSk0
発情期の犬みたいでミカサ可愛い本当かわいい…結婚…結婚してくれ….

282進撃の名無し:2014/08/05(火) 17:39:05 ID:cdEUdb3oO

ミカサが小悪魔ならリヴァイが魔王だな

283進撃の名無し:2014/08/05(火) 19:34:12 ID:0SNHlKZQ0
リア充に対するジャンの反応がいちいち楽しい

284進撃の名無し:2014/08/06(水) 00:21:01 ID:nX1JzykI0
朝の7時にリヴァイ先生のいる職員マンションの前に全員集合して、ゾロゾロ歩いて新居に移動する事になった。

メンバーは、オレとアルミン、ジャン、マルコ、ミカサ、アニ、マーガレット、スカーレット、アーロン、エーレン先輩達、加えて3年の四人全員だった。

ガーネット先輩は衣装の方でまだ仕事が残っているので今回はお休みだ。カジ達もちょっと用事があるらしくて来られないという事だった。

ニファ先輩も来ていた。体操部のメンバーも数人、来られる人だけ来ているようだ。

ハンジ「皆、ありがとうね! 人手があると助かるよ!!」

エルヴィン先生もピクシス先生も来ていた。凄い人数だな。団体様って感じだ。

皆でわいわい移動して、新居を訪ねる。

玄関がすげえ広かった! 横に開くタイプの玄関を開けると、何だか懐かしい匂いがした。

畳の匂いかな。田舎の匂いって感じだ。

サシャ「ん? ちょっとカビ臭いですね(くんくん)」

リヴァイ「ああ。古い建物だからな。多少はカビもあるだろう」

サシャ「私達は、草むしりをすればいいんでしたよね?」

リヴァイ「ああ。庭の方に案内するよ。こっちだ」

玄関を一旦出て、庭の方に移動すると、そこには……

おおおおおお。これは確かに人数がいるな。草ボーボーだ。

荒れた庭を目の前にしてサシャは「ううーん。手ごわそうですね」と呟いた。

リヴァイ「だろ? 放置していた物件だったからな。草がかなり生えている。人海戦術でどんどん草を毟ってくれ。根から掘らないとまたすぐ生えてくるから、スコップはこっちで用意している。皆、これを使ってある程度、土を掘っていいから草を撤去してくれ」

という指示だったので、大中小のスコップをそれぞれ借りて早速、皆で草むしりをする事になった。

285進撃の名無し:2014/08/06(水) 00:33:40 ID:nX1JzykI0
なんかやる事は学校の清掃活動みたいなもんだな。

小学校、中学校時代、校内の草毟りはよくやらされたもんだぜ。

リヴァイ先生は口と頭を布巾でおさえて、早速中の掃除に入るようだ。

ハンジ先生は庭でダンゴムシを見つけてちょっと興奮している。いいのか? 手伝わなくて。

リヴァイ「ハンジ! 遊んでいるんじゃない! お前も中の掃除を手伝え!」

ハンジ「あ、はいはい! めんご!」

と、我に返って中に入るハンジ先生を複雑そうな顔で見つめるペトラ先輩だった。

やっぱり目の前で見ると辛いんだろうな。でも、それでもお手伝いに来るんだから、すげえよな。

ペトラ先輩はニファ先輩と一緒に草毟りを始めた。オルオ先輩とは少し距離を置いているようだ。

目が合う度に、気まずそうに逸らしている。お互いに。まだ仲直りしてねえのかな。

サシャ「うおおおおお?! 土を掘っていたら、じゃがいも出てきましたよ?! 堀り忘れでしょうか?!」

ジャン「馬鹿! いつのじゃがいもか分からんのに! 捨てろ!」

サシャ「食えるかもしれないじゃないですか!」

ジャン「腹に当たったらどーすんだ?! 馬鹿! 芋女!!」

と、向こうは向こうで仲良さそうだ。ナンダカンダでジャン、サシャの世話する事多いよな。

アニ「ふん! ふん! (むしりむしり)」

アルミン「アニ、超ペース早いね。飛ばすと後で疲れるよ?」

アニ「大丈夫。こういうのは結構、得意だから」

寿司パワーでやる気に満ちているアニが可愛らしい。あいつ、現金なところあるんだな。

286進撃の名無し:2014/08/06(水) 00:41:20 ID:nX1JzykI0
マルコ「あ、蚊に食われたかも……腕が痒い……」

ミカサ「虫よけスプレー、あるけど使う?」

マルコ「いいの? じゃあお願いしようかな」

あ、そう言えばオレもスプレーかけるの忘れていたな。

エレン「ミカサ、オレも頼む」

ミカサ「了解(プシュー)」

こういうところ、ミカサらしいよな。やっぱり園芸が趣味なだけある。

腰の高さくらいまである雑草などを撤去していったから、結構大変だったけど、皆でやれば割とサクサク進んだので、思っていたよりは時間をかけずに大体の作業を終えられた。

草が無くなると、庭の広さが一層良く分かった。いい物件だな。

午前中で庭の作業を終えて、12時になると出前がやってきた。本当に寿司の出前、頼んでくれたんだな。

ハンジ「休憩しようかー皆、1回作業やめて、うちにおいでー」

というハンジ先生の合図で皆、「やったー」と言ってうちの中にお邪魔した。

まだ飯台とかはないけど。畳の上に直接、寿司を広げて皆で頂く事にした。

うめええええ。肉体労働した後の飯は、本当にうめええええ!

サシャが掃除機みたいな勢いで寿司食ってる。まずい。あいつに取られる前に食わないと!

287進撃の名無し:2014/08/06(水) 00:55:28 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「思っていたより足りないようだな。追加でピザも頼むか」

サシャ「ピザあああああ?! (涎)」

リヴァイ「5枚くらいでイイか?」

サシャ「何枚でもOKです!」

という訳で寿司だけじゃなくて、ピザまで追加注文してくれた。本当、サービスいいよな。

エレン「金、大丈夫ですか? サシャ、大食いですよ?」

リヴァイ「ああ。心配するな。足りない時はエルヴィンに借りる」

エルヴィン「おっと、あてにされたようだ」

クスクス笑っているけど嬉しそうなエルヴィン先生だった。

リヴァイ「さて。部屋の中の掃除も大体済んだし、後は何をするか」

ハンジ「午後から荷物、ぼちぼち入れちゃう?」

リヴァイ「あーそうだな。やれる事は、今日のうちにやってしまうか。ハンジの本とか私服は先にこっちに移動させてもいいよな」

ハンジ「うん。いいよー。あ、でも、本棚の位置まだ決めてないや。そっち先に決めていい?」

リヴァイ「ああ、分かった。家具類の配置、先に決めるか」

と、言いながら図面を元に計画を立てる2人だった。

ハンジ「リヴァイは自分の部屋を何処にする?」

リヴァイ「別に何処でもいい。ハンジはどこを使うんだ?」

ハンジ「私の場合、書斎と夫婦部屋は分けて使いたいんだよね。鰹(かつお)君の部屋に本と机をまとめてしまってもいい?」

リヴァイ「日当たりは1番悪い部屋だが、いいのか?」

ハンジ「うん。本が焼けない方がいいかな。それに北側の光が入るから大丈夫だよ」

288進撃の名無し:2014/08/06(水) 01:12:33 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「分かった。ではそこをハンジの書斎部屋にするか。オレの部屋は…その隣の部屋でいいか」

ハンジ「居間を使うの? でもそこは押入れがないよ」

リヴァイ「あ、それもそうか。ではその南側でいいか」

ハンジ「じゃあその隣がリヴァイの書斎だね」

リヴァイ「いや、俺の場合は書斎部屋は必要ない。夫婦部屋で事足りるだろ」

ハンジ「あ、そうなの? んじゃ書斎は私の分だけでいいんだ」

リヴァイ「むしろ俺の場合は台所の方が自分の部屋みたいになるだろうな」

ハンジ「だったら、床の間のある方を夫婦部屋にした方がいいんじゃない? 台所からの動線考えるとそっちが近いよ?」

リヴァイ「しかしそうなると、ハンジが仕事中の時、遠く離れ過ぎているような…」

ハンジ「同じ家の中だから、歩けばすぐ会えるでしょ!」

リヴァイ「そうか。すまん……」

リヴァイ先生、寂しがり屋なのかよ!

リヴァイ「………やっぱり、居間にベッドを置かないか? その方がハンジの書斎に近いし、台所からも近いだろ」

ハンジ「えええ。折角の畳なのにベッド置くのー? 絨毯敷いて、その上に置くの?」

リヴァイ「別に出来なくはないだろ」

ハンジ「…………やけにベッドを推すね? 何か企んでない?」

リヴァイ「んんー……別に何も企んじゃいないが」

ハンジ「何か怪しいなあ。こっち見て言ってよー」

怪しい。確かに怪しい。

289進撃の名無し:2014/08/06(水) 01:25:01 ID:nX1JzykI0
エルヴィン「ベッドの方がいろいろ都合がいいだけだよ。男の都合って奴だよ」

と、その時、エルヴィン先生が余計な事を言ったから、リヴァイ先生が睨んだ。

リヴァイ「エルヴィン! しっ!」

ハンジ「えええ? そうなの? んもうーしょうがないなあ。でもご飯食べる時、居間を使わないの? 台所で食べるの?」

リヴァイ「これだけのスペースがあれば、わざわざ居間で食べる必要はない。台所にテーブル置いてそこで食べても大丈夫だろ」

ハンジ「そうかなー? 狭くない? ギリギリな気がするけど」

リヴァイ「気になるなら、床の間のある方を居間の代わりにすればいい。動線的には問題ない」

ハンジ「んーじゃ、ちょっと変則的になるけどそうしよっか。客間は誰かが泊まりに来た時の為に空けておこうか」

エルヴィン「一番日当たりのいい場所なのに。そっちを空けちゃうんだ」

リヴァイ「エルヴィンが泊まりに来た時にそこで寝ればいいだろ」

エルヴィン「リヴァイ……(じーん)」

リヴァイ「喜ぶんじゃない。同居の件は承諾出来ないが、まあ、たまに泊まりに来るくらいなら、別に構わん」

エルヴィン「うん。ありがとう。嬉しいよ」

ピクシス「大体、方針は固まったようじゃの」

ハンジ「はい。後はぼちぼち私物を先に入れていく感じですねー」

と、ハンジ先生がスケジュール帖に何やらメモをしていた。

290進撃の名無し:2014/08/06(水) 01:42:01 ID:nX1JzykI0
ハンジ「……よく考えたらベッド、リヴァイのと私のシングルを隣同士くっつけたら問題ないんじゃない? 新しく買う必要なくない?」

リヴァイ「いや、真ん中が凹むだろ。それは気持ち悪いから嫌だ」

ハンジ「そう? じゃあくっつけて改造しちゃえば? 私、大工仕事するよ?」

リヴァイ「お前はどうしてそう、ケチケチするんだ。買いなおす必要があるなら金を出すとあれ程……」

ハンジ「だって、その……リヴァイにばっかり、お金出させるのも、ねえ?」

リヴァイ「むしろ出させて欲しいんだが?」

ハンジ「やだよー。私も一応、働いているから金はあるけど。貯金は2000万くらいしかないんだよね」

リヴァイ「充分だろ。それだけあれば。2人合わせたら1億いくじゃないか」

ハンジ「そうだけどさ。私、出来ればそういう事に金を使いたくないんだよね。節約できるところは節約したい派なのよ」

リヴァイ「はー……(ため息)」

ピクシス「良い嫁じゃないか。浪費家の嫁よりいいと思うがの」

リヴァイ「いや、しかし……」

ピクシス「まあ、遠慮する女だからこそ、してやりたい気持ちは男としては分かるがの。引くべきところは引くのが夫婦生活のコツじゃよ?」

と、したり顔をするピクシス先生だった。

リヴァイ「………ベッドの高さが合わない場合はどう改造するんだ?」

ハンジ「んーDIYのお店の人に相談すれば何とかなるんじゃない? 心配しなくても大丈夫だよきっと」

291進撃の名無し:2014/08/06(水) 01:52:27 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「仕方がないな。分かった。ただ、店の人が『改造は無理だ』と判断した場合は、ベッドを買いなおすからな。それでいいな?」

ハンジ「了解しました! (ビシッ)」

リヴァイ「後は、和室の上に敷く絨毯を新調する必要性が出てきたな。買いに行くか」

ハンジ「待って。誰か要らない絨毯、持ってないかな? 貰えるなら貰っちゃおうよ」

リヴァイ「おいおい、そこまで人に甘えるのは……」

ニファ「ああ、ありますよ。使っていない絨毯なら」

と、其の時、ニファ先輩が口を出した。

ニファ「もし良ければ差し上げます。使っていいですよ」

リヴァイ「いいのか?」

ニファ「はい。絨毯って、捨てるのは重いし、使わなくなると、ついつい収納の肥やしになるんですよね」

その気持ち分かる。オレも捨てるの面倒臭くて押入れに仕舞っていたからな。

買い替えた時とか、前使っていた絨毯、捨てるのは面倒だしな。

ニファ「私の場合、模様替えで色変えたくて買いなおしただけなので、物は悪くない筈ですよ」

リヴァイ「そうか。すまないな」

ニファ「いえいえ。利用出来る場所がある方がいいですよ」

という訳で、またもや新調する機会を失うリヴァイ先生だった。

嬉しいけど複雑そうな顔だな。

292進撃の名無し:2014/08/06(水) 02:12:32 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「後はぼちぼちハンジの私服から入れていくか。あ、でも収納場所がクローゼットはないから、タンスが必要になるな」

ハンジ「あ、そっかー。教員用の方はクローゼット備え付けだったから楽だったけど。和風の家ってタンスが必要なんだよね」

リヴァイ「クローゼットの方がいいならそれごと買ってもいいけどな。どっちでもいい。新調するか」

ハンジ「待って! タンスも誰か持ってない? 貰える物は貰おうよ!」

リヴァイ「いや、さすがにタンスくらいは新調していいだろ。それを持っている奴なんて……」

アルミン「…………祖父が使っていたタンスなら一応、ありますけど」

リヴァイ「?!」

アルミン「祖父が夏に亡くなったので。祖父の荷物はある程度、整理したので今はタンスを使っていません。遺品が無理なら差し上げられませんが、再利用して頂けるなら差し上げても構いませんよ」

ハンジ「いいの? 御爺ちゃんの遺品なのに、貰っていいの?」

アルミン「んー……実は僕自身も、近いうちに引っ越すかもしれないんですよね。今は独り身になってしまったので、近いうちにもう少し安い物件に引っ越そうと考えていていたんで、荷物を減らそうかなって思っていたから丁度いいですよ」

ハンジ「ありがとう! 大事に使わせて貰うね!!」

と、タンスも話がついてしまって、ちょっぴり残念な顔をするリヴァイ先生だった。

293進撃の名無し:2014/08/06(水) 02:19:34 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「………飯台くらいは新しく買ってもいいよな?」

ハンジ「ええ? そんなの、DIYコーナーで木を買ってくれば安く作れるじゃないの。作るよ? 私が」

リヴァイ「いや、仕事忙しい癖に無理するんじゃない。ベッドも改造する癖に、これ以上自分の首を絞めてどうする」

ハンジ「んじゃ、飯台も誰かに貰おうよ。誰か持ってない?」

リヴァイ「おいおい、さすがに飯台は……」

マルコ「ああ、そのくらいならこっちで作りますよ」

リヴァイ「?!」

マーガレット「大道具組に任せて下さい。その程度の物だったら1日あれば作れます」

スカーレット「うん。材料さえあれば、いけるよね」

ハンジ「というか、演劇部に材料探せばあるんじゃないの?」

マーガレット「ありそうだよね。ちょっと探してみようか」

という訳で、飯台も新調出来ずに落ち込むリヴァイ先生だった。

皆、察してやれよ。リヴァイ先生、新調したくて堪らないのに。

むしろ分かっててわざと意地悪しているのかな。皆、ひでえな。

294進撃の名無し:2014/08/06(水) 03:20:01 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「あー……本棚、増やしても構わんぞ? もうひとつくらいなら置けるだろ」

ハンジ「ええ? それは有難いけど、それだったら、私が今使っている食器棚っぽいアレを本棚に変更するよ。リヴァイの食器棚にお皿を統合させちゃえば、本棚2つ目作れるから要らないよー」

リヴァイ「………エアコン、新しいのを買ってもいいよな?」

ハンジ「エアコンもそれぞれ1個ずつ持っているでしょうが。夫婦部屋と書斎だけで良くない? とりあえずは」

リヴァイ「居間にも必要だろうが。客間にだって、エアコンつけた方が……」

ハンジ「エアコン4台も設置するの?! 電気代とんでもない事になるよ?!」

エルヴィン「客間はさすがにエアコン要らないんじゃない? 今からの時期なら電気ストーブでもあれば十分だよ」

ハンジ「電気ストーブなら、うちにも1台あるよ。居間だって、それで十分だよ」

リヴァイ「…………カーテンは」

ハンジ「それも既に持ってる。長さだって足りているよ。サイズ同じだから大丈夫だったし」

リヴァイ「………ブルーレイとかは要らないのか?」

ハンジ「まだレコーダーの方が生きているから移行しなくてもいいよ。パソコンだってあるし、今はネットでも観れる時代だよ?」

リヴァイ「………新しいテレビとか」

ハンジ「テレビならあるよ。別に買い替えなくていいよ」

リヴァイ「………照明器具は? 和風の照明器具、必要じゃないか?」

ハンジ「あー照明かあ」

やっと、必要な物を見つけて嬉しそうにするリヴァイ先生だったけど、

ハンジ「ん〜じゃあ、それは買いに行こうか。さすがに照明器具を予備に持ってる子はいないだろうし」

やっとリヴァイ先生がガッツポーズした。

余程、買い物に行きたかったらしいな。ちょっと可愛い。

………と、思ったのもつかの間、

ピクシス「照明器具ならわしがお祝いに買ってやっても良いぞ?」

リヴァイ「?!」

ピクシス「新婚祝いじゃ。それくらいならわしが出してやろうじゃないか」

ハンジ「いいのー? やったー!」

リヴァイ「ええええ……(げんなり)」

ピクシス「その代わり、早く子供の顔を見せるんじゃぞ? (ニヤニヤ)」

ハンジ「うっ……頑張ってるけど、あんまり期待はしないでね」

おや? 「まだ早い」とかじゃないんだ。へー。子作りもう始めているのかな。

295進撃の名無し:2014/08/06(水) 03:37:41 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「くっ………出番がない」

ハンジ「いいじゃないの。甘えようよ。有難い事じゃないの」

リヴァイ「それはそうだが……」

ハンジ「リヴァイは自分の事にお金使いなよ。あんた、趣味が少なすぎて本当、自分に関しては掃除と料理に関する事くらいしか使わないじゃないの。これを機会に、調理器具とか増やしたら?」

リヴァイ「………俺自身の為に買っていいのか?」

ハンジ「いいんじゃない? 包丁とか、新調したら?」

リヴァイ「ふむ……」

と、やっと金の使い道を考え始めたリヴァイ先生は納得した様だ。

リヴァイ「そうだな。ハンジの事に気を取られ過ぎて自分の事を忘れていた。調理器具を増やしていいのであれば、いくつか買いたいと思っていた物もある」

ハンジ「じゃあそれを買おう。それでいいじゃない。リヴァイの新作料理楽しみだなー」

リヴァイ「分かった。ではそれを今度、買いに行くぞ」

エルヴィン「ふむ……では私からの贈り物も、そういった調理器具関連がいいだろうか?」

リヴァイ「え?」

エルヴィン「ピクシス先生ばかりずるいよ。私にも何か贈り物をさせてくれ」

リヴァイ「いや、しかし……」

ハンジ「あはは! 本当、お金出す機会がないね! でもいいじゃない。甘えようよ」

リヴァイ「………欲しいと思っていたのは、寸胴鍋だ。専門店にいかないとなかなか見つからない特大サイズだが。いいのか?」

エルヴィン「構わないよ。それを買ってあげよう」

リヴァイ「はー……」

何だかもう、皆、わくわくし過ぎだろ。リヴァイ先生、嬉しそうだけど困惑しているぞ。

296進撃の名無し:2014/08/06(水) 03:56:22 ID:nX1JzykI0
リヴァイ「こういう時の為に金をためていた筈なのに。意外と何とかなるもんだな」

ハンジ「でも子供増えたら一気に使いそうじゃない? 子供にはお金かかるでしょ?」

リヴァイ「いや、それも何だかいろいろ貰って何とかなりそうな気がしてきたぞ。ピクシス先生、くれそうだし」

ピクシス「わしの孫の使っていた物なら譲る事が出来るぞ? (ニヤニヤ)」

リヴァイ「ああ、やっぱりそうですか……」

ピクシス「まあ、そうやって人は人に伝えていくもんじゃ。気にするな。譲る方も助かるんじゃよ」

リヴァイ「なら、いいんですが」

ピクシス「それよりも、1番大事な物はもう見に行ったのか?」

リヴァイ「ん? 大事な物……」

ピクシス「結婚式に使う『指輪』じゃよ」

リヴァイ「!」

ハンジ「あ! すっかり忘れていたね! どうしよっか」

リヴァイ「そうか。そこに1番金をかけるべきだという事を俺もすっかり忘れていた。ハンジ、この後、買いに行くぞ」

ハンジ「ええええ……荷物、運び入れるんじゃなかったの?」

リヴァイ「指輪が優先だろうが! 9月の誕生石は何だったか」

ハンジ「さあ? 私、そう言うの詳しくないから分かんない」

リヴァイ「スマホで調べろ。知ってる奴は教えてくれ」

と、其の時、すぐさまミカサが発言した。

ミカサ「……確か、サファイアだったと思いますが」

リヴァイ「助かる。サファイアの指輪をオーダーメイドしに行くぞ!」

ハンジ「えええええ?! ちょちょちょ、オーダーメイドって! 普通のでいいよー。ほら、銀色の無地の。地味な奴。結婚指輪ってそういうのじゃないの?」

ピクシス「その辺は特に決まりはないが、2人で決める事じゃな。わしは小さなダイヤモンドを装飾した指輪を贈ったぞ。ただ、普段つける指輪はあまり華美でない物が普通ではあるが」

リヴァイ「つまり、2種類用意しても構わないって事か」

ピクシス「その通りじゃな。普通は『婚約指輪』を贈ってその後に『結婚指輪』を贈るのが通例じゃけど、今は結婚指輪だけの者も多いぞ」

リヴァイ「じゃあ、婚約指輪が先だな。そっちを派手にして、結婚指輪は地味目の物を選べばいいよな」

ハンジ「ええええちょっと待ってよ。リヴァイ。浮かれ過ぎ! 2個も買う必要ないよ! 結婚指輪だけでいいって!」

リヴァイ「しかし、今のこの時期は『婚約期間』に入るんじゃないのか?」

ハンジ「そうだけどさー。ええええ……本当に買っちゃうのー?」

297進撃の名無し:2014/08/06(水) 04:16:44 ID:nX1JzykI0
今度はハンジ先生が困惑し始めた。

何でだろ。さすがにそこは貰っておいた方がいいと思うのに。

リヴァイ「何か不都合があるのか?」

ハンジ「いや、そうじゃないけど。そうじゃないけど………(ぷー)」

リヴァイ「不満があるなら、言え」

ハンジ「不満じゃないけどー」

リヴァイ「だったらなんだ」

ハンジ「いや、そのね? その……こそばゆくて」

リヴァイ「は?」

ハンジ「だーから、その、むずむずするんだよ! こういうのは! ふわふわ通り越して、舞い上がっちゃう自分が恥ずかしいんだよおお」

リヴァイ「ははっ……」

リヴァイ先生が安心したように笑った。

リヴァイ「なんだ。そんな事か。だったら問題ないな」

ハンジ「問題はないけどさーその、やっぱり、結婚指輪だけでいいって。サファイアなんて、必要ないよ」

リヴァイ「分かった。だったら結婚指輪の方に金をかけよう。それでいいな?」

ハンジ「うん………(照れる)」

皆、ニヤニヤして話を聞いているけど、一人だけ、複雑そうにしている人がいた。

ペトラ先輩だな。やっぱりこういう会話を聞くのはきついんだろうな。

でも今日、お手伝いに来たって事は覚悟の上で来ている筈だ。

耳を塞ぐわけにもいかないし、ペトラ先輩もいつまでも引きずる訳にはいかないだろう。

298進撃の名無し:2014/08/06(水) 04:29:05 ID:nX1JzykI0
ジャン「いくらくらいの物を買うんですかね? こういう時は」

と、其の時、さり気に耳ダンボしていたジャンが質問した。

ピクシス「ピンキリじゃよ。それは2人の愛が決める事じゃ。ただ、相場は10万くらいから100万くらいまでじゃろうな。金持ちであればもっと高い物でも普通に贈ったりするぞ」

ジャン「最低10万ですか……」

ピクシス「まあ、1万からでもいいとは思うが、安いよりは高い方が喜ばれるじゃろ。ここは男を見せるところじゃて」

ジャン「分かりました。今から貯めます」

ピクシス「いい心がけじゃな」

と、ピクシス先生がニヤニヤしている。オレも貯金しよ。

そんな訳で皆、おしゃべりしながら昼飯を食って、そこで解散となった。

午後からは本当に指輪を見に行くらしい。結婚式までに間に合わせるそうだ。

そして別れ際、ペトラ先輩が残って、ハンジ先生に話しかけていた。

他の生徒は先に玄関を出て、そのタイミングを見計らって、頭を下げたのだ。

ペトラ「ハンジ先生、すみません」

ハンジ「ん? 何?」

ペトラ「あの時は、本当にすみませんでした……」

ハンジ「?! え?! 何で謝るの?! むしろ悪いのは私の方だよ?!」

ペトラ「でも、皆が見ている前で、あんな事したのは……」

ハンジ「?! ああ、いや、むしろペトラの方がきつかったでしょ? 私は大丈夫だよ? だから頭を下げないで。ね?」

ペトラ「でも………」

ハンジ「私、ぶたれて当然の事をしたんだよ? だからいいんだって! むしろ感謝しているくらいなんだから、謝っちゃダメだよ!」

その瞬間、ペトラ先輩はやっぱり涙ぐんでしまった。

ペトラ「本当に、すみませんでしたあ……」

ハンジ「うわああん! 泣かないでよー! 私も泣いちゃうよー!」

と、一緒にポロポロ泣いてしまう2人だった。

299進撃の名無し:2014/08/06(水) 04:47:47 ID:nX1JzykI0
ペトラ「でも、でも……あんな事、して、ハンジ先生、辱めたようなもんだし……」

ハンジ「え? ええ? そんな事ないよ? むしろ辱める事で言ったら、私、何度リヴァイにぶん殴られたか! 生徒の前で!」

リヴァイ「それはハンジが悪いんだろうが」

ペトラ「でも、やっぱり、生徒が先生、に暴力、なんて……」

リヴァイ「俺も過去に教師を殴った事あるけどな。何度も」

ペトラ「え、えええええ?! (びっくり)」

リヴァイ「まあ、勿論、やり過ぎて停学くらったり、最後は退学勧告くらって中退させられたけどな。そういう話じゃないんだから、気にするな。ペトラ」

ペトラ「え、でも………」

リヴァイ「人間なんだ。そういう事もある。冷たさの中にある「愛」は、ちゃんと伝わっている。だからいいんだ」

ペトラ「リヴァイ先生………(うるっ)」

いい言葉だな。リヴァイ先生の言う「冷たさの中にある愛」っていう言葉。

そうだよな。甘やかすだけが「愛」じゃねえもんな。

一見、酷いように見えても、そこにちゃんと「理由」があって、人は動く事もある。

俺の親父だってそうだな。ミカサの為に、あの誓約書、考えて書かせた訳だしな。

300進撃の名無し:2014/08/06(水) 04:59:55 ID:nX1JzykI0
ペトラ「でも、なんていうか、私、その、偉そうに、言ってしまったし、その……」

ハンジ「ペトラ。それでいいんだよ」

ペトラ「え?」

ハンジ「あのね。聞いて欲しい。教師という仕事はね、教師が生徒に教える事だけが仕事じゃないの」

と、其の時、ハンジ先生が真剣な表情になって言った。

ハンジ「教師もまた、生徒に教わるの。いろんな経験を通して、成長していくんだよ。そういう「姿勢」を持てないような教師は教師になんてなれないよ。だから、教えてくれてありがとう。ペトラのおかげで、私はひとつ「学ぶ」事が出来たんだよ?」

ペトラ「ハンジ先生……」

ハンジ「ペトラも教職希望しているんでしょ? リヴァイから聞いているよ。いつか一緒に、お仕事しようね? 待ってるからね」

ペトラ「はい……!」

何だか感動の場面だった。ペトラ先輩がやっと落ち着いたみたいで、オルオ先輩が話しかけていた。

オルオ「終わったか?」

ペトラ「うん。ハンジ先生、あんたの言う通り、気にしてなかったよ」

オルオ「だろ? ハンジ先生の事だから、そうだと思っていたよ。体面を気にするような教師なら、元々、リヴァイ先生が選んでいる筈がねえ」

ペトラ「本当だよね。完敗過ぎるよ。いっそ、そういうの、気にする先生だったなら、良かったのに」

オルオ「普通じゃねえんだよ。リヴァイ先生も、ハンジ先生も、な。でも、だからと言って、それを真似する必要はねえぞ」

ペトラ「うん。私達は私達の道を頑張らないとね」

と、お互いに言い合っている。こっちの2人も一件落着したのかな。

301進撃の名無し:2014/08/06(水) 05:29:02 ID:nX1JzykI0
最後に残ったオレとミカサは、リヴァイ先生達と少し話す事にした。

リヴァイ「ん? 何か忘れ物か?」

エレン「いえ……その、ちょっと気になった事があって」

ミカサ「下世話な話を聞いてもいいですか?」

ハンジ「え? エッチな話?」

ミカサ「いえ、そちらではなく、ここのお家賃とか……」

エレン「すんません。気になっちゃって」

お互いにバツ悪そうに聞いてしまう。だって気になるんだもん。

オレ達もいつか、家出るかもしれないし。相場は聞いた方がいいだろ?

リヴァイ「ああ、家賃か。確か6万5000円くらいだったかな」

エレン「それって安い方なんですかね」

リヴァイ「この地区だったらかなり安い方だぞ。ただ、安い理由は、建物が古いだけじゃないんだよな」

ハンジ「うふふふふ……出るかも? みたいな噂話、聞いちゃったんだよね」

エレン「え?」

出る? 何が?

ハンジ「だーから、もしかしたら、『幽霊』っぽいものが出るかもー? みたいな?」

リヴァイ「そのせいで、借り手がなかなかつかなくて余っていた物件だったらしいんだが、俺は別にそういうの気にしないし、ハンジに至っては「むしろ見てみたい」と言い出してな。だったらいいかと思ってここに決めた」

エレン「えええええ……呪われたらどうするんですか」

リヴァイ「その時は霊媒師でも呼んでお祓いしてもらうさ。まあ、死者に会えるというならば、俺はかえって会ってみたい気持ちの方が強いんだが」

エレン「こ、怖くないんですか?」

リヴァイ「全然。むしろ生きている人間の方が何倍も怖いだろ。もし会えるなら、会ってみたい奴もいるしな」

ミカサ「それって、誰か知人とか亡くされているんですか?」

リヴァイ「高校時代のダチとかな。若い頃に無茶やって、死んじまった馬鹿もいる。他にも、卒業生の中にも運悪く早く亡くなった奴もいる。生きていれば、いろいろあるんだよ」

と、少しだけ切なそうに目を細めるリヴァイ先生だった。

302進撃の名無し:2014/08/06(水) 05:39:27 ID:nX1JzykI0
ミカサ「その気持ち、分からなくはないです」

リヴァイ「ん? お前も誰か知人を亡くしているのか」

ミカサ「父親を、幼い頃に」

エレン「俺も母親を、亡くしているので、気持ちは分かります」

リヴァイ「そうか」

ハンジ「霊感があれば、見れたりするのかな。リヴァイ、霊感ない?」

リヴァイ「さあな。少なくともそういう経験はまだ1度もないが。そういうのは見ようと思って見れるものじゃねえだろうからな」

ハンジ「そうだよねー。しょうがないよねー運に任せるしかないかー」

と、しみじみ言い合って、オレ達は新居を出て行った。

まさか幽霊屋敷の噂のある場所に新居を構えていたとは思ってもみなかったけど。

エレン「ミカサは幽霊の存在、信じるか?」

ミカサ「うん。いるとは思う。見えなくても、きっとどこかに」

エレン「そうか……」

ミカサ「父の姿を見る事が出来るなら、会ってみたい気持ちもある。でも、それは許されない事のような気がするので我慢する」

エレン「そうだな。オレもそんな気がするよ」

と、そんな風に話しながら、オレとミカサは最後に玄関を出て行ったのだった。

303進撃の名無し:2014/08/06(水) 05:41:58 ID:nX1JzykI0
ここまでにします。
まさかの幽霊屋敷の新居ですが、
リヴァイの事だから幽霊見ても動じないで普通にしゃべっていそうです。

では続きはまたノシ

304進撃の名無し:2014/08/06(水) 08:56:22 ID:ZBcdMIv20
まさかの栄螺さん幽霊屋敷(笑)
このリヴァイはウエディングドレスにも金かけて嫁がドン引きしそうだが、
リヴァイプロデュースの久々美人ハンジさんに期待してる

305進撃の名無し:2014/08/06(水) 09:42:14 ID:nyoCyqAo0
エレミカ誓約書の件が落ち着いてよかった
エレミカのやらしい行為したいしてる

306進撃の名無し:2014/08/07(木) 03:28:46 ID:cDm/jWQ20
再現劇にアテられてエレミカ盛り上がっちゃいそうだなワクテカ

307進撃の名無し:2014/08/07(木) 04:48:54 ID:QQRxSOu.0
皆、期待していてワロタw
でも再現劇よりもっと厄介な問題がまだ残ってますよん。ふふ。

308進撃の名無し:2014/08/07(木) 04:49:43 ID:QQRxSOu.0





11月24日。月曜日。その日は勤労感謝の日の振り替え休日だった。

その日は学校も休みで、部活も午後からの予定だったので、午前中は暇だった。

アルミンは午前中に早速、リヴァイ先生にタンスを運び入れる事にしたらしい。

リヴァイ先生が軽トラをレンタルして、アルミンの家に行って自分達で運び入れる予定だそうだ。

しかしその日の午前中は、ミカサの様子が変だった。やけに顔が赤い。

熱でもあるんかな? そう思って近づいたら何故か「近づかないで」と拒否られてショックだった。

エレン「なっ……熱、測ろうとしただけだろ!」

ミカサ「違うの。そういう事ではないので」

エレン「え? 何が違うんだよ」

ミカサ「エレン、私は今、危ない状態なので」

エレン「え? え?」

ミカサ「排卵日が、恐らく終わったので、ムラムラするので、近づかないで欲しい」

エレン「!」

ミカサ「エレンと付き合うようになってから、生理の不順が治ったおかげで、予測がしやすくなった。計測上、明日までは危ない日になるので、その………(ハアハア)」

エレン「分かった! 分かった!」

オレは慌ててミカサと距離をとった。そっか。もうそういうのが分かったのか。

というか、そういうモードに入ったミカサの雰囲気って、いつもにも増して艶っぽくなるんだな。

309進撃の名無し:2014/08/07(木) 04:50:59 ID:QQRxSOu.0
>>308
訂正
アルミンは午前中に早速、リヴァイ先生の家にタンスを運び入れる事にしたらしい。

「の家」が抜けていました。

310進撃の名無し:2014/08/07(木) 04:57:30 ID:QQRxSOu.0
ミカサ「エレン、ごめんなさい。以前、コミケに行った時も、計測上、どうやら危険日の期間だったみたい」

エレン「え? そうだったのか?」

ミカサ「うん。クラスの出し物を決めた時も、その期間だったみたい。通りであの時、自分でも妙にテンションが高いと思った……」

エレン「そうなのか」

やる気満々だったな。そう言えば。アルミンに便乗して。

ミカサ「その……私の生理は28日周期でドンピシャで来るようになったから、生理開始から13〜17日の間が特に危険な時期になるそうなので、その5日間だけは、エレンも気をつけておいて欲しい。私自身も、気をつけるけど、その……自分でも熱っぽさを堪えるのがとても難しい」

エレン「分かった。気をつける………」

うーん。なんか目がうるうるしているな。いつもにも増して。

いかん。あんまり見ると、こっちも釣られてしまう。

人間のサイクルってよく出来ているんだな。そういう「発情モード」になると、いつもより綺麗に見えるように出来ているのか。

生殺し、バージョンアップだよなあ。これって…。

311進撃の名無し:2014/08/07(木) 05:07:05 ID:QQRxSOu.0
ミカサ「今日はこの状態で部活に出る訳にもいかないので、ちょっと運動して熱を発散してくる……」

エレン「え? 走ってくるのか?」

ミカサ「うん。ランニングでもして発散してくる。というか、もう、ムズムズして自分でも困る」

エレン「………………」

其の時のオレは、発情したミカサに、自分も少し当てられて。

理性の声は「いかん」と止めていたのに、本能の方が勝手に、口を動かした。

エレン「そんな事するより、自慰したらいいじゃねえか」

ミカサ「え?」

エレン「!」

しまった。オレ、何言ってるんだ。

エレン「いや、何でもない。すまん」

ミカサ「自慰? 何の事?」

エレン「………所謂、オナニー行為だよ。女でも、ムラムラ鎮めたいなら、抜いた方がいいんじゃねえの?」

って、オレ、馬鹿か。何、変な事、勧めているんだよ。

でも、ミカサはその提案に驚いたようで、

ミカサ「その発想はなかった」

エレン「え?」

ミカサ「体がムズムズする時は身体を動かしていた。女の子も、そういう事、していいとは思わなかった」

エレン「え? 別にしちゃいけないって事はないだろ」

ミカサ「………なんとなく、してはイケナイ行為のような気がしていたので」

おおお。なんという純粋無垢。いや、そんなミカサにそれを勧めるオレがゲスいんだろうけど。

312進撃の名無し:2014/08/07(木) 05:16:59 ID:QQRxSOu.0
ミカサ「体を動かしても、それでも足りなくて、体が濡れてどうしようもない時もあった。なので、以前、エレンに「どうしたらいいの?」と聞いてしまった」

エレン「ああ、アレってそういう意味だったのか」

ミカサ「(こくり)誰か、相手がいればもっと発散出来たと思うけど。一人だとやはり身体を動かすのに限界がある。エレンが相手だと、本末転倒になりそうな気がしていたし……」

そりゃそうだな。オレもそう思うわ。

エレン「そっか……もっと早く、オレも勧めたら良かったな」

ミカサ「では、その、オナニーとやらを自分でやってみる」

エレン「……………」

ミカサ「でも、具体的にはどうしたらいいのだろうか? マニュアルはある?」

エレン「いや、そんなのは、独自に編み出すもんだけど……」

其の時、オレの頭の中で悪魔の囁きが聞こえた。

本能の、声が、オレを勝手に動かしてしまったんだ。

エレン「…………電話越しに指示してやろうか?」

ミカサ「え?」

エレン「オレ、自分の部屋にいるからさ。携帯で、電話越しに指示してやるからさ。その通りにやってみれば?」

ミカサ「いいの?」

エレン「初めてだから不安なんだろ? 手助け出来るならしてやるよ」

ミカサ「では、お願いしたい。私は自分の部屋でやってみるので」

エレン「おう」

これは違反ではない。決して違反行為ではない。

天使の方のオレもOK出しやがった。こんな機転を咄嗟に出す自分が怖いけど。

オレの口元はにやけていた。所謂、テレフォンエッチって奴を、初めてやってみる事にしたんだ。

313進撃の名無し:2014/08/07(木) 05:27:17 ID:QQRxSOu.0
休みの日の午前中から何やヤッてんだよ。というツッコミは却下だ。

これはあくまでミカサの熱を発散する為に必要な事で、悪い事ではない。

そう、自分に言い聞かせて準備を整える。ミカサと携帯で声だけで繋がった。

ミカサ『エレン、まず何からしたらいい?』

エレン「んーと、まずはティッシュの箱をすぐ傍に用意しろ」

ミカサ『OK。用意した』

エレン「その後は、そうだな……布団、もう片付けたか?」

ミカサ『うん』

エレン「出来れば布団の上でリラックスした状態で、仰向けになった方がいいな」

ミカサ『分かった。では、1回、布団を出す(よいしょ)』

エレン「…………準備出来たか?」

ミカサ『出来た。仰向けに寝ればいいのね? (ごろん)』

エレン「そうだ。んで、まずは服の上から、自分の右手で左胸を触ってみろ」

ミカサ『うん………』

エレン「オレに触られた時の事、思い出せ。あの時の感覚を思い出してみろ」

ミカサ『うん……っ……ああっ』

一気に声が艶っぽくなった。おおお。やべえ。これはクル。

こっちも片手でスタンバイ中だ。いつでも出せるようにしている。

314進撃の名無し:2014/08/07(木) 05:33:07 ID:QQRxSOu.0
エレン「ブラジャーは出来れば外してくれ。全部脱ぐ必要はないけど。右手で直接、左胸を触れる状態にしろ」

ミカサ『うん……出来た』

エレン「準備出来たか? 次は乳首を右手で摘まんで、人差し指で軽く引っかけ」

ミカサ『うん……うん………』

エレン「感じるか? オレに触られているっていう、妄想も重ねるんだ。コリコリしてくるだろ?」

ミカサ『ああっ……ちょっと、固くなってきたみたい。ああん』

エレン「よし。固くなってきたら、もう少し強く挟んでちょっと右に回したり、左に回したり、乳首を回転させるんだ」

ミカサ『ああああ……エレン、これ、気持ちいい……!』

エレン「だろ? 気持ちいいなら、どんどん弄っていい。遠慮するな。好きなだけ弄れ」

ミカサ『ああああ……はああ……ん……んー……』

やべええええええ。これ、楽し過ぎる!!!

変態だと蔑まれてもいい。今、この瞬間、至福のひと時だ。

315進撃の名無し:2014/08/07(木) 05:40:48 ID:QQRxSOu.0
ミカサ『やあ……あの時の事、思い出しちゃう……! あああん!』

エレン「思い出せ。オレも思い出すから。あの時、その後はどうして欲しかった?」

ミカサ『ズボン、脱がせて欲しかった……濡れたあそこにも、エレンの手で触れて欲しかった』

エレン「そうか。んじゃ、次はそっちに手を伸ばすぞ。ズボンのチャック、緩めろ。まずはパンツの上から、優しく撫でてみるんだ」

ミカサ『布の上から擦るの?』

エレン「そうだ。こっちは中指の腹で、優しく撫でる感じだな」

ミカサ『あああ………こ、こんな感じ?』

エレン「ああ。気持ちいいだろ? 湿って来たか? パンツ、濡れて来たか?」

ミカサ『うん、だんだん……濡れて来た』

エレン「よし。次は、ガラケーを耳で挟んで、下と乳首を当時に弄るんだ。出来るか?」

ミカサ『ちょっと待って……ん……何とか、出来た』

エレン「準備は出来たな? 左胸は左手で。右手はあそこを弄るんだ。同時にだ。いけるな?」

ミカサ『うん……うん……こう、かしら? ああっ……』

エレン「気持ちいいか? ミカサ……」

ミカサ『うん、気持ちいい。エレン、気持ちいい……あああっ……はああ……!』

吐息がすげえ。携帯電話越しなのに。すげえ耳に響いてくる。

これが発情期バージョンのミカサの威力か。目の前にしたらコンドームつけ忘れそうで怖いな。

316進撃の名無し:2014/08/07(木) 05:47:01 ID:QQRxSOu.0
エレン「パンツ、ぐちょぐちょになってきたか?」

ミカサ『なってきた……』

エレン「よし、なら直接触ってみるぞ。中指で、自分の気持ちいい場所を探してゆっくり弄ってみろ」

ミカサ『うん……はああああ……あああっ……んー……ん……』

自慰行為に耽っているミカサの声、すげえ色っぽい。

出来るだけ声は殺しているけど。それがかえって、そそる。

家の中だからな。あんまり大声で嬌声をあげる訳にもいかない。

親父は仕事に出ているし、おばさんもパートで今、いないけど。

隣近所に聞かれたらまずいから、これ以上はまずいって分かってる。

だからこその、携帯越しの声だ。

ミカサ『ああ……ああ……また、ふわふわしてきた……』

エレン「そろそろじゃねえの? 体が浮くような感覚、きたか?」

ミカサ『た、多分……あの時のような、前兆が来ている』

エレン「だったら、一旦、休憩しろ。一気にイクと勿体ない」

ミカサ『えええ………』

エレン「我慢しろ。イク手前で一旦、休憩した方が、もっと気持ち良くなれるぞ」

ミカサ『分かった……休憩する……』

ハアハア言ってるミカサがすげえ、可愛い。

あーダメだ。オレの方もだんだん限界が近づいてきたぞ。

317進撃の名無し:2014/08/07(木) 05:47:37 ID:QQRxSOu.0
途中ですが、すんません。お預けで。
ちょっと休憩します。

318進撃の名無し:2014/08/07(木) 06:34:21 ID:RPwGYQ1o0
ミカサまじぶちおか
布団になりたい

319進撃の名無し:2014/08/08(金) 00:36:16 ID:VFgBdTe2O
エレンの言葉に柔順でくそかわ
風呂とかリビングとか家中でオナらせたい

320進撃の名無し:2014/08/08(金) 04:26:58 ID:uq1R4p0s0
正直キモイ

321進撃の名無し:2014/08/08(金) 09:13:24 ID:Va1zPT3s0
>>320
正直、そう思いながら書いている。
毎回思う。エレンファン、サーセンと。

322進撃の名無し:2014/08/08(金) 13:11:20 ID:9rJqlNgQ0
1は穏やかですごいな
エレミカ続き本当期待してます

323進撃の名無し:2014/08/08(金) 16:49:34 ID:Va1zPT3s0
ミカサ『はあ……はあ……はあ……はあん……』

最後の吐息がすげえ色っぽかった。なんだ今の『はあん』って。

ああもう、だんだんこっちも辛くなってきた。

ミカサが自分の部屋で自慰行為していると思うと、すげえクル。

どっちが先にイクかな。いや、オレが先にイク訳にはいかねえか。

指示しないといけねえしな。ミカサを先にイカせてやらねえと。

エレン「そろそろ、いいか?」

ミカサ『うん………』

エレン「自分の指、中に入れられるか? 中の方、緩んできたか?」

ミカサ『大分、緩い……あ、入った』


ドックン……!


不意に言われた『入った』の台詞にオレも興奮が一際高まった。

ミカサ『エレン?』

エレン「いや、何でもない。入ったなら、入れたり出したり、気持ちいいところを擦りながら出し入れしてみてくれよ。………オレのだと、妄想して」

酷い指示だと我ながら思うが、そう言った直後、

ミカサ『あああ……エレンのはこんなに細くないのでは?』

エレン「ぶふっ……」

ミカサ『体位のモデルをした時の、布越しに当たったエレンの、アレ……結構、太かった……』

エレン「や、やめろ。何か査定されているみたいで恥ずかしいだろ!」

ミカサ『エレンだって、私を査定する癖に』

エレン「いやまあ、そうだけど。とにかく妄想すればいいんだよ。妄想を重ねて気持ち良くなるのがオナニーなんだから!」

ミカサ『ああん!』

いかんいかんいかん。どんどんミカサがエッチになっていく。

いや、オレのせいなんだけど。オレもどんどん、変態になっていく。

自分でもキモいと思っている。でも楽しい。滅茶苦茶、楽しいんだ。これ。

ミカサ『指じゃ、足りないっ……もっと、奥まで、何かで、貫かれてみたいっ……!』


ドックン……!


ミカサ『エレン……やっぱりこれでは、かえって酷くなるような……ああっ……性欲が、止まらない……!』


ドックン……!


ミカサ『辛い……身体が、火照って、ぬるぬるして、ダメ……自分が自分じゃないみたい……』


ドクドクドクドク………!


ミカサ『エレンと、エッチ、したい……のに………』


ブッチン…………


携帯でのテレフォンエッチで止めるつもりだったのに。

その音が聞こえた瞬間、オレは自然と立ち上がって、ミカサの部屋に足を運んでいた。

ミカサの涙声のせいでもう、完全にオレはブチ切れていた。

ふすまを開けると、そこは桃源郷だった。

ミカサが乱れて仰向けになっていて待っていた。その光景を目に焼き付けると、それに覆い被さる様に、オレは………

324進撃の名無し:2014/08/08(金) 17:03:33 ID:Va1zPT3s0
ミカサの唇にキスした。午前中から何やってるんだという理性の声は遠すぎて聞こえていない。

乱れたミカサにキスの嵐を。手はもう、暴走してミカサの濡れたあそこに指を突っ込んだ。

服は完全に剥ぎ取った。破れないように気を遣う余裕はなく、もしかしたら、ビリッといったかもしれない。

とにかく、一気に全裸にしてやった。ミカサの中に指を入れてみる。

1本、OK。2本、OK。3本目は、少し痛がったけど。多分、大丈夫かな。

オレ自身の息子は準備万端だ。ゴムは親父に持たされた新品がいつもポケットに1個忍ばせている。

一気に封を開けようと、そう決意したその時………


ピンポーン…………


玄関のチャイムが鳴って、オレとミカサは同時に顔面蒼白になった。

エレン「え、まさか……親父か?」

忘れ物かな。でも鍵は持って出ている筈だから、チャイムなんて押さない筈だが。

ミカサ「はあ……はあ……エレン」

エレン「ああ、分かってる」

現実に一気に引き戻されてオレは気を鎮めた。

急いでズボンを着なおして、自分の服を整えると、玄関に向かった。

来客はただの宅配便だった。何だよ。親父宛の通販かよ…。

ハンコ押して物を受け取ると、オレはそれを親父の部屋に置いて、一気に脱力した。

あー。時間もそろそろ、昼飯食って部活いかないといけない時間だな。

とほほ…。しょうがねえ。今日はここまでしか出来ないか。

オレはミカサの部屋に戻って「タイムリミットだ」と言った。

エレン「悪い。なんかかえって暴走させたみたいだな」

ミカサ「ううん……」

エレン「明日までそんな感じなんだよな。多分」

ミカサ「うん……まだ、ムズムズするけど。後は自分でする……」

エレン「今日は部活休んでもいいと思うぞ。というか、そんな状態のミカサを他の奴らにあんまり見せたくねえかも……」

ミカサ「お休みしても、いいの?」

エレン「そんな状態のミカサと劇の練習したら、その、オレもヤバい気がする」

オレも自分で抜いてから学校に行こう。その方がいいな。

325進撃の名無し:2014/08/08(金) 17:16:05 ID:Va1zPT3s0
ミカサ「分かった。今日はそうさせて貰う。皆には、調子が悪いと言っておいて欲しい」

エレン「分かった。じゃあ、オレも準備するから」

という訳で便所に逃げ込んでいつもの処理を済ませてから、オレは自分の身支度を整えた。

でも危なかった。宅配便が来なかったら、あのまま部活の事を忘れて、きっとミカサとエッチしていただろうな。オレは。

エレン「……………」

怖い、と思った。ミカサの事もだけど。自分自身が。

オレってこんなにルーズな奴だったっけな。自分で自分にびっくりしちまう。

いや、ミカサが可愛いのが悪い。あいつが色気強いのが悪い。

と、責任転嫁しながら、オレはその日、午後から部活に出かけた。

家に残ったミカサは、恐らく残りは自分で自分の処理をするだろう。

それを聞けないのは残念だけど。それはもう、妄想の中で想像するだけに留めておいた。

そして部活に顔を出すと、アニに「珍しいね」と言われてしまった。

アニ「ミカサ、調子悪いんだ。何かあったの?」

エレン「いや……大丈夫だ。大して悪い訳じゃないけど、用心の為に休ませて来たんだよ。オレが」

アニ「ああ、あんたの過保護のせいか。分かった。それなら仕方がないね」

良かった。オレが過保護だという事になった。これなら疑われずに済むだろう。

アニ「………やり過ぎて足腰立たなくさせたとか、じゃないよね?」

エレン「ぶふううううううう?!」

何でその発想になる?! いや、当たらずとも遠からずだけどな!!!

326進撃の名無し:2014/08/08(金) 17:24:58 ID:Va1zPT3s0
ジャンがこっち見てる。まずい。すげえ険悪な表情だ。

ジャン「てめええええええ」

エレン「やってないから!!! そういうんじゃねえから!!!」

アニ「そう。ならいいけど。ミカサとやらしー事するのはいいけど、ある程度は自重してよ。あんたたち、今回の劇のダブル主役なんだから」

エレン「え? あ、そっか。今回は、2人が主役になるのか」

マルコ「そうだね。脚本はリヴァイ先生寄りの台本になりそうだけど、ハンジ先生のパートも結構あるからね。ダブル主演と言っても過言じゃない劇になりそうだよ」

エレン「そういえばアルミン、まだこっちに来てないのか? 遅くないか?」

と、思ったその時、アルミンが音楽室にやってきた。

そしてその後ろには、何故か機嫌の悪いリヴァイ先生と、顔の赤いハンジ先生が……。

アレ? これって、まさか。

アルミン「皆、ごめん………やっちゃった」

マーガレット「え? やっちゃったって、まさか!」

リヴァイ「おい。今度の冬公演の演劇、今までダミーの練習をしていたそうだな?」

ギクリ。あちゃー。バレたのか! まずいぞこれは!

リヴァイ「俺とハンジの物語を勝手に公演しようとしていたらしいな? 仮台本、読ませて貰ったぞ」

ひえええええええ。怒ってる。超怒ってる! どうすんだコレ!

327進撃の名無し:2014/08/08(金) 17:41:08 ID:Va1zPT3s0
リヴァイ「どうせアレだろ。発案はエルヴィンなんだろ」

アルミン「おっしゃる通りで……」

リヴァイ「全く。あいつの場合はサプライズというより毎回ドッキリだからな。未然に防げて幸いだった」

ジャン「あの、でも……もう、練習は始めていますし、その、途中で劇の内容を変えるというのも……」

リヴァイ「ああ。それは分かっている。ただいくら何でも本人達の許可なく、プライベートな部分を劇で皆の前で発表するのはどうかと思うから、一応、内容はチェックさせてくれ。特に俺の事より、ハンジの過去はナイーブな部分もある。俺も今日、台本を読んで初めて知ったんだが」

ハンジ「あははは……ごめんねー。今まで黙っていて」

リヴァイ「それは別に構わないが、とにかく、アルミンの台本を一部、修正を加えさせてくれ。アルミンの台本には想像で補完した部分もあったから、そこは事実を混ぜて修正を加えていい。それと、ハンジの大学時代の話は、1部カットして貰いたい」

エレン「あーやっぱりその方がいいですか。セクハラシーンとか、まずいですもんね」

リヴァイ「いや、そこは本人的には『もう昔の事だからいいよー』って事らしいが、伏せて欲しいのは研究内容の方だ。守秘義務があるから、それに関わっていた事は公には出来ないんだそうだ」

ハンジ「ごめんね。例の某細胞に関する事はデリケートな問題だから。いろいろ突っ込まれたらまずいから。そこはあんまり詳しく描写しないで欲しいのよ」

エレン「ああ、そっちですか」

何だ。ハンジ先生にとってはセクハラとパワハラは過去の事なのか。

リヴァイ「しかし、ハンジ……」

ハンジ「ん?」

リヴァイ「どうしてお前は、先にその事を言わなかったんだ。その……わざと汚い女を演じていたなんて、これじゃ俺がまるでただの馬鹿な変態にしか思えないじゃないか」

実際、そうだと思う。と言ったらげんこつ食らうので言わないけどな。

328進撃の名無し:2014/08/08(金) 18:00:02 ID:Va1zPT3s0
ハンジ「んー厳密に言えばわざとではないんだけどね。割と本気で汚女だったよ。私は。ただ、それがだんだんエスカレートしていっただけって話だから。実際、リヴァイがちょっと綺麗にしてくれると、その後は変なナンパに絡まれたりした事もあったから。リヴァイと一緒に風呂入る日は、出来るだけあんたと一緒に部屋に籠っていたでしょ?」

リヴァイ「…………だから俺が『折角綺麗にしてやったのに、出かけないのか?』って勧めても部屋から出たがらなかったのか」

ハンジ「まあね。今はさすがにそういうのも減ったけど。20代の頃はまだ、ね。私も一応、女子力あった時代ですから」

リヴァイ「はー……(*凹んでいる)」

ハンジ「いいじゃない。もう過去の事だし。リヴァイのおかげでその必要性、なくなったし。最強の虫よけスプレー、つけてくれてありがとうね」

と、言ってハンジ先生が左手の薬指を見せてくれた。

あー! 金色の指輪だ! もう結婚指輪はめているのか!

リヴァイ先生の方も左手の薬指に銀色の指輪がはまっている。

そうか。籍は先だけど、指輪は先にはめる事にしたのか。

ハンジ「さすがにリヴァイという最強の男を乗り越えてまで手出すような馬鹿はいないでしょ?」

リヴァイ「そうだといいがな」

ハンジ「落ち込まないでよー。私、この指輪、気に入っているんだよ? 太陽をイメージしたデザインだって言われて、あんたが『ハンジみたいだな』って言ったの、嬉しかったし」

うはあ。砂吐きそうな甘さだな。

あ、ジャンが吐血したような顔でぐったりしている。

リヴァイ「その後、ハンジは『だったらリヴァイはお月様だね』って言ったから、俺がこっちの指輪になったが。普通は男女、逆にはめるらしいぞ」

ハンジ「いいじゃーん。実質、リヴァイが私の嫁みたいなものでしょ?」

リヴァイ「昼間は、そうだな。夜は逆転させて貰うが」

ぶふうううう!!!??? さり気に何言ってるんだ?! リヴァイ先生!!!

329進撃の名無し:2014/08/08(金) 18:10:36 ID:Va1zPT3s0
ハンジ「え? あーうん。まあ、その辺は、ね? 確かにその通りですけどね」

リヴァイ「何だ? 何か不満があるのか?」

ハンジ「いやいや、不満なんて何もないよ?」

リヴァイ「だったら何で、距離を置く? ん?」

ハンジ「やだなーふふふ……その、昼間はダメだよ? 逆転しないからね?」

リヴァイ「ちっ……」

何で舌打ちしているんだよ。リヴァイ先生。

この先生、以前より自分のエロ親父度、ガンガン前に出す様になったな。

いや、元々エロ親父だったんだろうけどな。ファンの女子達はきっとこんなリヴァイ先生は知らないんだろうな。

リヴァイ「話が脱線したな。とにかくそういう訳だから、これからは出来るだけ、こっちの練習にも顔を出す。俺の役はミカサがやると聞いたが、今日はミカサの気配がないが?」

エレン「あ、今日はちょっと休ませています。調子悪いんで」

リヴァイ「ふむ……一応、声をかけてやろうとかと思ったが、まあいいか。俺の役をする以上、アクション満載になりそうな感じだったから、今回も怪我だけには十分気を付けろとエレンが代わりに言ってやってくれ」

エレン「はい。分かりました」

やっぱりこういうさり気ない気遣いはリヴァイ先生らしいな。

330進撃の名無し:2014/08/08(金) 18:14:58 ID:Va1zPT3s0
途中までですが今日はここまでです。
宅配便のせいで邪魔入ってすみません。グリシャさんの買い物のせいです。

331進撃の名無し:2014/08/08(金) 18:56:17 ID:1dta4eDo0
ミカサが可愛すぎて生きるのが辛い…こんなこと言われたらまじやばいって…

332進撃の名無し:2014/08/09(土) 02:43:21 ID:XaWdQkhk0
最後の良心グリシャお父さんは通販まで神憑り的タイミングなのかw

333進撃の名無し:2014/08/09(土) 15:35:00 ID:ZmngTvqs0
グリシャさんの鉄壁のディフェンスww

334進撃の名無し:2014/08/09(土) 21:25:15 ID:MK6RAXDc0
最近のおまいの小説は冴えてるね。読める。

俺の有料小説買ってね
https://fujiwaraaki.booth.pm/
新企画いっぱいだよ
待望の女体化ベルトルト!
他にもエヴァンズの日々とかタイバニの日々とかですノートとか幅広く取り揃えているよ。
前作では実現しなかったあの企画、この企画全部見せます!
太っ腹な一冊500円だよ〜ん☆

335進撃の名無し:2014/08/10(日) 00:43:34 ID:lJz.ncwQ0
リヴァイ「ああそれと、ガーネット。今、時間あるか?」

ガーネット「なんでしょう?」

リヴァイ「結婚式の時にちょっとしたサプライズを頼みたいんだが、俺の体のサイズを測って貰えないか?」

ガーネット「ん? オーダーしますか?」

リヴァイ「ああ。とある服を、頼みたいんだが……」

ごにょごにょ。急に内緒話を始めたリヴァイ先生にガーネット先輩が爆笑していた。

ガーネット「本気ですか?! いいんですか?!」

リヴァイ「ああ。普段、エルヴィンにはいつもドッキリを仕掛けられるから今回くらいはこっちも仕掛ける。あいつを絶対、驚かせてやりたいんだが」

ガーネット「それ、エルヴィン先生だけじゃなく、生徒も教師も全員、びっくりしますよ? いいんですね? 後悔しませんね?」

リヴァイ「頼む。ハンジの分も頼めるか?」

ガーネット「お任せ下さい。気合入れて作ります(キリッ)」

エレン「結婚式の衣装ですか?」

リヴァイ「ああ。折角だからガーネットの家に頼もうかと思ってな」

ハンジ「ごめんねー。生徒を利用しちゃって」

ガーネット「いえいえ。うちもいい宣伝になるので一石二鳥です」

と、ガーネット先輩の眼鏡が光った。何だ? どんな衣装にするつもりなんだろ?

336進撃の名無し:2014/08/10(日) 00:52:45 ID:lJz.ncwQ0
リヴァイ「後は、そうだな。披露宴の時に何を振る舞うか、迷っている。何か食いたい物あるか? 俺が全部作って振る舞おうと思っているんだが」

エレン「え? 新郎が料理までやっちゃうんですか?」

リヴァイ「よそに頼んでもいいんだが、折角だから自分でやろうと思っている。ケーキはさすがに外注しようと思うが、振る舞う料理は俺がやる」

エレン「じゃあ、御刺身とかも自分でやるんですか?」

リヴァイ「魚捌くのは得意だからな。いいぞ。刺身も出してやる」

すげえええ。ある意味贅沢な結婚式になりそうだな!

アニ「チラシ寿司とか……巻き寿司とかもいいですね」

リヴァイ「了解。お前、寿司関係好きだな」

アニ「はい。まあ、そうですね。後は伊勢海老とかも」

リヴァイ「海老か。めでたい席には定番だな」

アニ「鯛も是非(キリッ)」

リヴァイ「分かった。その辺りの和風の料理をメインに考えておこう」

道場三四郎みたいだな! 料理の鉄人みたいだぜ!

エレン「お品書き、やって下さい! リヴァイ先生!」

リヴァイ「ああ? まあ、料理の鉄人を真似てもいいが」

と、ニヤニヤしているリヴァイ先生だった。

337進撃の名無し:2014/08/10(日) 01:05:34 ID:lJz.ncwQ0
リヴァイ「後はそうだな……結婚式自体は、結婚式場で午前中に軽く済ませて、そのまま午後は披露宴の形を取ろうと思っている。劇部の中で式場の方に来たい生徒はいるか?」

エレン「え? 結婚式と披露宴、別にやるんですか?」

リヴァイ「結婚式の方は招待制だな。会場のキャパの関係で、さすがに全員の生徒は式の方には連れて来られない。披露宴の方には主にOBOGを集めるつもりでいるから、現役のお前たちは来たいなら来てもいいぞ」

おおおおおどうする? 甘えてもいいのかな。

エレン「それは是非、行きたいですけど……いいんですかね」

リヴァイ「構わんぞ。特に、エレン。ミカサ。お前たち2人には特に来て貰いたい。俺達は、お前らのおかげで結婚まで漕ぎついたようなもんだからな」

エレン「え? そうでしたっけ? オレ、何かやりましたっけ?」

リヴァイ「………覚えていないのか?」

エレン「はあ……まあ。なんかいろいろ遭遇しちゃったのは覚えていますけど。でも、特別何か「した」覚えはないですが」

リヴァイ「そうか。なら、思い出させてやる」

と、言ってリヴァイ先生は懐かしむように笑った。

リヴァイ「俺とハンジがいつものようにシャワー室で会話した時の事、覚えているか?」

エレン「え? ああ! アレですか。覚えてますよ。リヴァイ先生、裸だったのに、普通にハンジ先生とシャワー室で会話してましたよね。お互いに裸見ても平気で会話していたから、オレが「つきあっているんですか?」ってうっかりツッコミ入れたアレですよね?」

リヴァイ「そうだ。今思うと、アレが全ての始まりだった」

エレン「え……」

リヴァイ「あの時の、エレンの素朴なツッコミがなければ、俺達は今も、ぐるぐる同じところを走り回ってずっと平行線を辿っていただろう。俺達の関係を変化させてくれたのは、エレン。お前のおかげだ。本当に、ありがとう」

エレン「ええええ?! アレがきっかけだったんですか?! いや、でもアレは、オレじゃなくても、多分、ジャンが見ていたとしてもツッコミ入れていましたよ?!」

ジャン「あ? それはどういう意味だ。エレン」

エレン「後で詳しく話す。いや、だから、オレだからって話じゃなくて、きっと皆、ツッコミたくて堪らなかったと思うんですが……」

338進撃の名無し:2014/08/10(日) 01:24:29 ID:lJz.ncwQ0
オレがそういうと、今度はハンジ先生が笑った。

ハンジ「ああ、だろうねー。でも、実際その言葉が『届いた』のはエレンが初めてだったんじゃないかな? それまでは、どんなに周りから冷やかされても、リヴァイはそれを認めようとはしなかったからね」

エレン「そうだったんですか?」

ハンジ「うん。私が以前、『友人でいよう』なんて言っちゃったせいで、リヴァイの気持ちを封印させてしまっていたからね。今思うと、本当に酷い事したと思ってるけど……」

リヴァイ「まあそのツケは今、払って貰っているからいいとして、だ。つまり、エレンの言葉が俺の中で『響いた』のが全ての切欠だったんだ」

エレン「そうだったんですか」

リヴァイ「ああ。今思うと、『付き合っているんですかー?』とか『夫婦みたいですねww』とかそういう類の冷やかしは受けても、エレンのように具体的に『恋人同士くらいに親密じゃないとやらない』という指摘をしてきた奴は初めてだったんだ。それを冷静に考えてみた時に初めて俺の中で『あれ?』っていう違和感が出てきてな。そこからだ。エルヴィンですら、思っていたけど指摘まではしてこなかったのだから、よほどおかしな関係だったんだと、我ながら笑いたくなったよ」

と、リヴァイ先生が苦笑を浮かべていた。

リヴァイ「それ以外にも、エレンにもミカサにも沢山、世話になった。いつかお前たちが何か困った事が起きた時は、力になってやりたいと思っている。だから、式に2人とも出てくれないか?」

エレン「分かりました。ミカサは渋るかもしれませんが、説得します」

リヴァイ「頼んだぞ。何なら、ミカサが欲しがるような物を用意して釣ってやるから」

エレン「はい。お願いします」

という訳で、皆もそわそわしているけど、式に出ようかどうか迷っているようだ。

アルミン「うーん。でも、いいんですかね? 僕らが式に出席したら、リヴァイ先生のファンの子達から嫉妬されませんかね?」

アニ「あーあるかも。怖いよね。何か嫌がらせされそう」

リヴァイ「何なら式の方は、オフレコにしてもいいけどな。判断は任せるが」

ジャン「いや、それはもう、いいんじゃねえか? いちいちファンの子達のご機嫌伺うのも変な話だろ」

マーガレット「そうですね。私達はリヴァイ先生との繋がりも強いし。体操部の子達も来られる子は来るんですよね」

ハンジ「そうなるね。勿論、希望制にはなるけど」

339進撃の名無し:2014/08/10(日) 01:31:55 ID:lJz.ncwQ0
マルコ「だったらいいんじゃないかな。折角招待してくれるなら甘えようよ。皆で」

カジカジ「いいと思います!」

マリーナ「うん! 皆でお祝いしよう!」

キーヤン「賛成だな」

ジャン「3年の先輩達も勿論、いいんですよね」

リヴァイ「勿論だ。あいつらには絶対、来て欲しいと思っている。あ………」

と、其の時、リヴァイ先生が少し困った顔をした。

リヴァイ「いや、…………ペトラはどうしたらいいんだろうな」

ハンジ「……………」

リヴァイ「呼んでもいいんだろうか。あいつは……」

ハンジ「そこはリヴァイに任せるよ。私が口出せる問題じゃないからね。でも、ニファは来るって言ってたよ」

リヴァイ「そうか」

リヴァイ先生が複雑そうな顔をしていた。

そうか。ペトラ先輩はどうするんだろうな。

披露宴は我慢出来ても、実際、式の方を見たら泣いてしまうかもしれない。

340進撃の名無し:2014/08/10(日) 01:37:24 ID:lJz.ncwQ0
リヴァイ「分かった。少し時間を置いて考える。さて、今日はこの後の練習風景を見学させて貰うからな」

ハンジ「私は体操部の方に戻るね。んじゃ、皆頑張ってね〜」

と、言って先にハンジ先生が帰って行った。

そんな訳で結局はリヴァイ先生へ見せる舞台がバレてしまった訳だが、まあ、もうしょうがねえか。

本人監修の元で行う劇になったからかえって良かったかもしれないな。

そして練習の途中、小休止していた時、アニがオレに話しかけて来た。

アニ「エレン、ちょっといいかい?」

エレン「ん? どうした?」

アニ「いや……あんた、いつまでジャンに遠慮してるの?」

エレン「へ?」

何の話だ? いきなり。

アニ「いや、さっきの会話も気になったんだけど。あんた、もう少し強気でいても別に問題ないんだよ? ジャンに変に遠慮しなくても。何で気遣っているのかなって思って……」

エレン「え? え? だから何の話だよ」

アニ「………私が『やり過ぎて足腰立たなくさせたとか、じゃないよね?』ってからかった時、ジャン、怒ったじゃない? それに対して『やってねえから!!!』って言ってたでしょ?」

エレン「あーそれの事か」

やっと思い当たって、オレも頭を掻いた。

341進撃の名無し:2014/08/10(日) 01:44:33 ID:lJz.ncwQ0
エレン「まーアレだ。アレは条件反射で答えただけだ。深い意味はねえよ」

アニ「じゃあ、本当にやってないんだ」

エレン「まだ最後まではやってない。その……オレもいろいろ問題抱えているせいで、頭悩ませている最中なんだよ」

と、アニにどこまで話していいものか悩んでしまう。

エレン「そもそも、最初にくっつく段階で、オレ、ジャンを裏切ったようなものだからな」

アニ「ああ、先に告白したってやつ?」

エレン「そうだ。オレ、ジャンの気持ちを事前に知っていたからな。オレも後からミカサを好きになって、告白するんだったら、せめてジャンに一言『オレもミカサ好きになったから先に告白するわ!』って軽く宣言してから告白すれば良かったな、って今でもちょっと後悔している」

アニ「ええ? 別にそれは、関係なくない?」

エレン「まあ、そうかもしれんが。でも、やっぱり卑怯な事しちまったかなっていう思いは拭いきれてはいねえんだよ」

アニ「うーん。私はジャンみたいにいつまでもイジイジしているのは嫌いだけどね。しかもあいつ、最近、サシャの事も気になっている様子じゃない? 乗り換えるなら、さっさと乗り換えろよカスが! ってつい……」

エレン「アニ、それは本人の前では言うんじゃねえぞ?」

アニもオレと同じくらい口悪いな。まあいいけどさ。

342進撃の名無し:2014/08/10(日) 01:54:50 ID:lJz.ncwQ0
アニ「あ、うん。ごめんごめん。カスは言い過ぎた。『優柔不断が!』だね」

エレン「あんまり変わらん気もするが、ジャンが恋愛事で優柔不断なのは今に始まった事じゃねえだろ。あいつ、ヘタレだしな」

アニ「たまに見ているとイライラするけどね」

エレン「そうかもしれんが、そこはまあ、ジャンの個性の一部だろ」

アニ「あんた、本当に大人よねえ。意外とジャンの事を認めているんだ?」

エレン「え? ああ……まあ、腹立つ事も多いけど、根は悪い奴じゃねえからな。ジャンは」

ジャンは今も部長職をこなして頑張っている。根は真面目な奴だしな。

エレン「ただ、その辺の事ってどこまで独占していいのか分からねえっていうのもあるんだよ」

アニ「どういう意味?」

エレン「今は、オレとミカサは付き合っているけどさ。分かんねえだろ? 未来がどうなるかなんて」

一寸先は闇ってよく言うだろ?

エレン「このまま順調に交際が進めば、そりゃ結婚も視野に入れる。家庭だって子供だって欲しい。でも、人生ってどこでどう変化するかなんて、分からんだろうが」

人の死も含めて。人生は、何が起こるか分からない。

343進撃の名無し:2014/08/10(日) 02:05:32 ID:lJz.ncwQ0
エレン「だから、その……『ミカサはオレのだから』って言いたい気持ちもある反面、それを言っていいのか迷う時もあるんだよ。いや、オレも十分ヘタレではあるんだが、その……ジャンに対しては、オレも複雑な気持ちなんだよな」

アニ「まるでそれじゃ、もしもミカサがジャンに対して揺れたら、追いかけないって言ってるようにも聞こえるけど?」

エレン「そこまでは言ってねえよ。その時は『行くな』って引き留める。絶対に。でも、なんていうかな。初めのやり方を間違えたせいで、オレもその、なんだろうな? もやもやするんだよ。それでもジャンには『もうミカサの事は諦めてくれ』ってオレから言っていいのか? この場合」

アニ「むしろ早く言って。もういい加減、ジャンがウザい(黒笑顔)」

エレン「ええええ………」

アニがアルミンと匹敵する黒笑顔になった。

アニ「いや、女の立場からすれば、の話なんだけどね。ごめん。私は女だから。つい、ミカサの贔屓をしてしまうんだよ」

エレン「そ、そういうもんか」

アニ「ミカサも喜ぶと思うよ。その方がいいって」

エレン「でもなあ、ミカサは、ジャンとの「友人」としての関係は切りたくねえんじゃねえかな」

アニ「下心ある時点で、その関係は破綻しているじゃないの。ミカサももう、いい加減、薄々気づいているんだし」

エレン「…………見ないようにしているだけって話か?」

アニ「そうだと思う。たまにため息ついているしね」

エレン「そっかあ……」

344進撃の名無し:2014/08/10(日) 02:14:08 ID:lJz.ncwQ0
アルミン「1番いいのは、ジャンが別の子とくっつく事だよねー」

と、しれっとオレの横にきて会話に加わるアルミンだった。

エレン「アルミン、聞いていたのかよ」

アルミン「こそこそ2人が話しているから気になってこっちに来ちゃった。ごめんね☆」

アニ「いや、いいよ。アルミンともその件に関しては前から話していたんだよね」

アルミン「うん。さっきのジャンの発言、『お前がそれ言うか?』ってちょっと思ったもんね」

アニ「そうそう。『いや、それはもう、いいんじゃねえか? いちいちファンの子達のご機嫌伺うのも変な話だろ』って、言った時、ちょっとイラッとしたね」

エレン「え? 何で?」

アニ「だって、さっきのエレンとジャンの会話がまさにそうじゃない」

エレン「あー」

そう言われればそうなるのかな。

オレがジャンの機嫌を伺っているのが変な話って意味だよな。ここでは。

アニ「自分の事は完全に棚上げ状態だからね。もういい加減、どうにかして欲しい」

アルミン「サシャとジャン、どうにかしてくっつけられないかなーと、アニとも話していたんだよね」

エレン「つっても、サシャは演劇部員じゃねえし、接点は同じクラスって事くらいだろ?」

アニ「それと、漫画家のアシスタントの関係かな。今もたまに収集かかって、アシさんやってるらしいよ。2人とも」

エレン「あ、そうなのか。それはすげえな」

なんかもう、そっちの道に進んでもいいんじゃねえか? 2人とも。

345進撃の名無し:2014/08/10(日) 02:22:13 ID:8NI.32VI0
アルミン「うん。だからねー何とか2人もカップルに仕立て上げたいんだよね。リヴァイ先生とハンジ先生をくっつけたエレンの手腕を借りたいんだけど」

エレン「オレ、殆ど何もしてねえぞ?! 無茶言うなよ!」

アニ「いやいや。10年近くくっつかなかったカップルをくっつけた功績は大きいよ?」

アルミン「僕もそう思う。エレンなら、きっと出来ると思うよ」

エレン「えええええ」

なんか無茶ぶりされているような気がするが。

オレにどうしろと言うんだよ…。

エレン「そんな事、オレなんかより、もっと適任の人がいるだろ」

アルミン「え? 誰?」

エレン「エルヴィン先生とかかな? 進路指導の傍ら、生徒の「愛の」進路指導もしてくれるぜ? 頼めば」

アニ「え? 何それ。初耳なんだけど」

エレン「知らなかったのか? エルヴィン先生、すっげえゲスい性格しているからな。生徒の恋愛事でも平気で首突っ込んでくれるぞ」

アルミン「それはいい事聞いたね。アニ、いっちょやっちゃう?」

アニ「やろう。ジャン×サシャ大作戦、決行しよう」

マルコ「何か楽しそうな事、話している?」

と、其の時、マルコまでこっちに来た。

アルミン「詳しい事は後でメールするよ。ジャンがこっちを怪しみだした」

マルコ「了解。じゃあまた後で」

おいおい。リヴァイ先生とハンジ先生の次はジャンとサシャかよ。

皆、ゲスいなー。まあ、その方が助かると言えば俺は助かるんだが。

ジャン「おい! 休憩そろそろ終わるぞ!」

エレン「了解」

やれやれ。ジャン。お前にもときめきの導火線、仕掛けられるフラグが立ったぞ。

どーなっても、オレは知らね。

と、無責任に考えながら練習を再開するのであった。

346進撃の名無し:2014/08/10(日) 02:25:59 ID:lJz.ncwQ0
リヴァイ×ハンジの次はジャン×サシャフラグ立ちました。
こっちもときめきの導火線仕掛ける気満々です。皆、ゲスい。

という訳で今回はここまで。続きはまた次回ノシ

347進撃の名無し:2014/08/10(日) 07:05:01 ID:LDkNbgOU0
ガーネット先輩に頼んだ衣装…
エルヴィンへのサプライズならリヴァイのウエディングドレスwだろうが、本人絶対やらないだろうからな
ここは新居にちなんで着流しと割烹着で波平&フネさんと予想してみる(笑)

348進撃の名無し:2014/08/10(日) 10:27:44 ID:lJz.ncwQ0
>>347
ふふふふ………まあ当日までのお楽しみです。

349進撃の名無し:2014/08/10(日) 10:28:25 ID:lJz.ncwQ0










火曜日の1限目は世界史だ。アルミンはまたエルヴィン先生に授業後、相談していた。

エルヴィン「あらら……バレちゃったか。それは勿体ない事をしたね」

アルミン「すみません。リヴァイ先生にうちに来て貰った時に、タンス運ぶ前に、僕の机の上を見られちゃって。僕も隠しておけば良かったんですけど。メモ書きを見られてしまって……」

エルヴィン「まあそういう事もあるよ。むしろそれはそれで好都合だよ」

アルミン「え? どういう意味ですか?」

エルヴィン「舞台は囮って事さ。本命のサプライズは別にある(ニヤリ)」

アルミン「え? 舞台だけじゃないんですか?」

エルヴィン「結婚式にはね、普通『スピーチ』っていう演目をやるんだよ。私はむしろ、そっちでリヴァイを泣かせようと思っている」

アルミン「ああ、なるほど。リヴァイ先生への『お祝い』のスピーチですね」

エルヴィン「そうそう。舞台の事に気を取られているなら好都合だ。不意打ちの感動スピーチで泣かせてやろうと思っている」

エルヴィン先生の方もサプライズを用意しているらしい。

こりゃサプライズ合戦になりそうな気配満々だな。

エルヴィン「で、舞台の件が本人にバレたのはいいとして、今日はそれだけかな?」

アルミン「いえ、実は……」

と、其の時、急に声を落としてアルミンが言った。

アルミン「エレンから聞きました。『愛の』進路相談、やっているんですよね?」

エルヴィン「うん。むしろそっちの方が本業にしたいくらいだけど」

それはダメだろ。

エルヴィン「誰か悩める生徒がいるのかな?」

アルミン「詳しい事は放課後、いいですか?」

エルヴィン「いいよ。ピクシス先生も呼ぶけど、いいかな?」

アルミン「人手が多い方が助かります。では、また放課後……」

エルヴィン「うん。先に進路指導室で待っててね。鍵は職員室に来れば借りれるから」

アルミン「分かりました」

という訳で、本当にアルミンはジャン×サシャ大作戦を決行する気でいるらしい。

そしてその日の放課後、オレとミカサとアルミンとアニとマルコは進路指導室に先に足を運ぶ事にした。

ジャンには「?」という顔をされたが、アルミンが「全員、進路の件でちょっと話があるから」という事で誤魔化した。

350進撃の名無し:2014/08/10(日) 10:43:58 ID:lJz.ncwQ0
そして待つこと数分。エルヴィン先生とピクシス先生が進路相談室にやってきた。

エルヴィン「おや。意外と人数が多い。誰から相談するのかな?」

アルミン「いえ、今日は僕達ではなく、別の2人の事について話したいんですが」

という事でアルミンが代表して事情を説明する事にした。

そして一通り話を聞き終えると、ピクシス先生が悪い顔をし始めた。

ピクシス「それはなかなか……面白い事になっておるのう」

エルヴィン「んーつまり、今、ジャンはどっちつかずな状態でフラフラしている訳だね?」

アニ「そうです。見ていてイラッとします(キリッ)」

マルコ「僕も親友として見ていて、たまに頭を張り倒したくなる時もありますね」

温和なマルコが言うくらいだ。相当だな。

エルヴィン「ふむ。ミカサはどの辺でジャンの気持ちに気づいていたのかな?」

ミカサ「ええっと……怪しいなと思う時は何度もあったのですが」

と、前置きしてからミカサは言った。

ミカサ「1番変だと思ったのは、夏合宿をした時ですね。野球の練習に混ぜて貰った時、あの時のジャンの熱っぽい視線にはさすがに違和感を覚えて……後日、周りの人に確認したら『今頃気づいたの?!』と言われました」

ああ、野球の話をした時のアレだな。ミカサがいるから演劇部にいると宣言したようなもんだしな。

さすがにアレは気づくよな。オレも途中で止めて正解だった。

ミカサ「それ以降、私もどうしたらいいのか分からなくて。曖昧なまま今の関係を続けているので、どうしたら良いのかと」

エルヴィン「うん。その件に関しては放置でいいと思うよ。別にジャンの方から襲い掛かってくるとかいう話ではないんだよね?」

ミカサ「はい。表面上はあくまで「友人」として接してくれます」

エルヴィン「だったら見て見ぬふりをするのも、女の腕の見せ所だよ。放置でいい」

アニ「でも、ウザくないですか?」

エルヴィン「ウザいと思うなら、距離を置いてもいい。だけどミカサの性格を考えればそれは出来ないんだろ?」

ミカサ「……はい」

エルヴィン「曖昧なままでいいんだよ。何も全てに白黒をつける必要はない。灰色の関係だってあっていい。ミカサの方から何かしたら、ミカサが悪者になっちゃうでしょ?」

アニ「ああ、そうか。そういう考え方もあるんですね」

エルヴィン「うん。女の子なんだから、多少ずるくても構わないよ。弄ぶくらいで丁度いいから。ミカサの特権だと思えばいい」

ドS発言きたな。ジャンはドМだからいいのかもしれんが。

351進撃の名無し:2014/08/10(日) 10:56:26 ID:lJz.ncwQ0
エルヴィン「こういう時は、確かにもう一人の女の子、サシャとジャンが付き合う方が都合がいいのは確かだが、それはあくまで、ミカサからみた場合だよね」

ミカサ「そう、ですね」

エルヴィン「いいのかな? キープ君、手放しても本当にいいんだね?」

キープ君って! なんだその言い方! ひでえな。

ミカサ「キープ君?」

エルヴィン「そういう、2番目の男の事を『キープ君』と呼んだりするよ。いい女は、常にそういう男を隠して持っているものだよ」

ミカサ「ええええ………(げんなり)」

ミカサが露骨にげんなりした。なんか可哀想だな。

ミカサ「それって、私が周りから「そう思われていた」って事ですか?」

エルヴィン「まあ、そうみる人はそう見るだろうね。でも別にいいと思うよ。ミスコンの女王に選ばれるくらいの女の子なんだから、男が1人や2人や3人いたって」

ミカサ「1人で十分です(キリッ)」

エルヴィン「ミカサはそういう性格だろうけどね。でも、実際いるからね。そういう女の子も。だから一応、確認しただけだよ。気に障ったならごめんね」

ミカサ「いえ……それならいいんですが」

エルヴィン先生、本当、いろいろぶっ飛んだ先生だよなあ。

エルヴィン「ミカサの方にその気がないなら大丈夫かな。後で惜しくなっても後悔しないね?」

ミカサ「それはあり得ないと思います。むしろ祝福したいと思っているので」

エルヴィン「分からないよ? 実際、そうなってみたら、勿体なかったかなって後悔する場合もあるからね。後で寂しくなっても知らないよ?」

やけに念押しするな。エルヴィン先生。

まさか、ミカサの方にそういう「気配」があると読んでいるのかな。

352進撃の名無し:2014/08/10(日) 11:06:12 ID:lJz.ncwQ0
ミカサ「大丈夫です。私はジャンを祝福したいので」

エルヴィン「分かった。そこまで言うなら、私も協力しよう。ジャンとサシャの2人にも「ときめきの導火線」を仕掛けようじゃないか」

アルミン「ときめきの導火線……なんか聞いたことある」

アニ「私もある。そういう「歌」なかったけ?」

エルヴィン「今の子達は知らないかー世代が違うとしょうがないよね」

と言って、エルヴィン先生がスマホで音楽を流してくれた。

女性? 男性? 中性的な声が流れた。昔のアニメのEDソングらしい。

エルヴィン「いい曲でしょ? 私が恋の罠を仕掛ける時に使うコードネームに使わせて貰っているんだ。「ときめきの導火線」ってね。着火準備が整うまでに少し時間はかかると思うけど、私とピクシス先生で大まかな作戦を考えるよ」

アルミン「よろしくお願いします。もういい加減、僕もイライラしてきたんで」

アニ「本当、お願いします(ぺこり)」

周りにそこまでイライラさせていたのか。何か、かえって気遣わせてしまったな。

申し訳ないような気持ちでいっぱいだ。頭を掻いていると、エルヴィン先生が言った。

エルヴィン「にしても、ちょっと気になったけど。エレン、いいかな?」

エレン「あ、はい」

エルヴィン「君はジャンを出し抜いた件について、まだ罪悪感を残しているんだね」

エレン「まーそうですね。勢いっていうか、オレ、考え無しに告白しちまったようなもんだから」

エルヴィン「うん。でも私は、もうそれは気に病む必要のない事だと思うよ」

エレン「………そうですかね」

エルヴィン先生は紅茶を飲みながら頷いた。

353進撃の名無し:2014/08/10(日) 11:16:13 ID:lJz.ncwQ0
エルヴィン「そもそも、ジャンの方が君の気持ちに早い段階で気づいていた筈だからね」

エレン「え?」

エルヴィン「無意識に抑え込んでいるエレンの気持ちに、恐らく……そのGWに一緒に遊んだ時点で確信した筈だ。男なら、その時点ですぐにミカサに対してのアプローチを仕掛けるべきだよ。いつ、エレンが覚醒するか分かったもんじゃないんだから。私なら、絶対その隙に逆に出し抜いたと思うけどね」

エレン「そうですか……」

エルヴィン「うん。ジャンの方にも何回か、仕掛ける機会はあった筈だし、それをスルーして怖気づいた結果がコレなんだろ? だとしたら、ジャンが文句を言う筋合いはないね。必要以上に、ジャンに対して気を遣う必要はないよ」

エレン「うーん……」

アニと似たような事、言われちまったな。

エレン「つまり『オレのだから』って宣言してもいいって事ですかね」

エルヴィン「君達の事はもうとっくの昔に有名になっているよ。校内でも。知らないの? リヴァイのファンの子達の嫌がらせとかの防護壁になっていた件とか」

エレン「え? 何ですかそれ」

初耳だ。なんか嫌な予感がする。

エルヴィン「ミカサ、リヴァイと一緒にずっと殺陣の練習していたりしたでしょ? もしアレがリヴァイとミカサの2人で行われていたら、今頃ミカサも嫌がらせの対象になっていた筈だ。エレンが傍に常についていたから、皆が「ああ、あの子は違うんだ」と認識して、ミカサは嫉妬の対象から外されていたんだよ。だからエレン、君はミカサを知らない間に守っていたと言えるんだよ」

エレン「えええええ」

マジか。そうだったんだ。全く気付かなかったぜ。

354進撃の名無し:2014/08/10(日) 11:24:44 ID:lJz.ncwQ0
エルヴィン「体操部の子達から聞いたよ。朝から結構、イチャイチャしていたんだってね? リヴァイが赤面するくらいに」

エレン「うわああああ! まさか、見られていたんですかね?!」

エルヴィン「朝の7時きっかりにくる子ばかりじゃないよ? 少し早めに来た子達は、中に入りづらくてちょっと居た堪れない気持ちだったって言ってたなあ」

エレン「すんませんでしたああああああ!」

あの時の事が蘇って思わず頭を下げるオレだった。

エルヴィン「まあ、若いんだから当然だよね。運動したてのミカサにクンクンしたくなるのは男として当然だ。健全な男子だよ」

ミカサ(真っ赤)

ミカサまで赤くなった。ああもう、本当にいろいろ御免なさい。

エルヴィン「そう言う訳だから、あんまりジャンがしつこいようなら、エレンの方から話をつけてもいいと思うよ。まあ、私の個人的な意見になるから、どうするかはエレンに任せるけど」

エレン「そうですね。オレも機会を出来れば設けて、1度あいつと話してみます」

今のままじゃいけないような気もするしな。ちゃんと腹割って話し合いたい。

オレはジャンの事は、嫌いな部分もあるし、好きな部分もある。

親友とは呼べないけど、少なくとも、友人の一人にしてやってもいいくらいは思っている。

………あいつにそれ言ったら「ざけんな」と言われそうだが。

355進撃の名無し:2014/08/10(日) 11:37:28 ID:lJz.ncwQ0
ピクシス「ふむ………わしはエレンの気持ちも分からんでもないがの」

エレン「え?」

ピクシス「出来る事なら正々堂々と宣言してから告白するべきだった。そう思う事は間違ってはおらんと思うぞ? むしろ男気があって良いでないか」

エレン「そ、そうですか?」

ピクシス「ただ人間じゃからの。予定通りに事が運ばない事も多々ある。元々は、エレン自身もミカサにそんなに早く気持ちを伝えるつもりはなかったんじゃろ?」

エレン「そうですね。そもそも、家族としてやっていくべきだと最初は思っていた訳なんで」

ピクシス「だとすれば、それはもう自然の「流れ」のようなものじゃ。美しいと思った瞬間に、言葉が溢れ出た。人間じゃからそういう事もあって当然じゃ。わしなんか、美女に出会った瞬間に口説き落とそうとして怒られた事も多々あるぞ」

手が早い。ピクシス先生ならやりそうだな。

ピクシス「じゃから、むしろ何故、ジャンの方が先に行動を起こさなかったのかがわしからみたら『疑問』に思うの。そこをちゃんと確認した上で腹を割って話せば、案外何とかなるのではないか?」

エルヴィン「私もそう思います。まあ、私の読みが当たっていれば、ジャンは「ミカサ」の方の気持ちも早い段階で気づいていたんじゃないかと思いますが」

ミカサ「え…?」

意外な意見だった。どういう意味だ?

356進撃の名無し:2014/08/10(日) 11:50:35 ID:lJz.ncwQ0
エルヴィン「男っていう生き物は、自分の方に気持ちの向いていない女に、なかなか自分から告白する勇気の持てない臆病な生き物だっていう事だよ」

エレン「え? そ、そういうもんですかね? オレの場合は、そうじゃなかったですけど」

ピクシス「いや、そうとも限らん。エレン、お主は潜在意識の中の何処かで「イケる」と判断したから、告白出来たのかもしれんぞ」

エレン「んー……」

そうなんだろうか? あの時のオレはそこまで考えていたんだろうか?

いや、深い事は何も考えていなかった気がする。

ただミカサが「綺麗」で、腹の奥から、自然と言葉が出て来た感じだった。

後の事、あんまり考えずに先走った感じだったんだけどな。

ピクシス「まあその辺は、ミカサとも答え合わせをしないと分からん。告白された時点では、ミカサはエレンの事をどう思っておったんじゃ?」

ミカサが真っ赤になっている。あれ? どうしたんだ?

ミカサ「今思うと、私がエレンを好きになったのは、恐らく、6月の時点です」

エレン「え………」

6月?! オレより早くねえか?

ミカサ「梅雨の時期、私がついつい、ゲームにはまって家事仕事をサボってしまったのに、エレンは笑って許してくれて。むしろ、家の中で寛いで欲しいと言ってくれた。あの時、ふわっとする感情が出て来て。エレンの前なら、多少の失敗はしてもいいんだって思ったら、すごく、その、安心して。エレンに包まれているような感覚を覚えて。温かいって感じてしまって、その……多分、そこからです」

ええええ? あの逆転のゲームがオレ達を結んだって事かそれって?!

いや、確かにあの時のミカサ、可愛かったけどな! 異様に!

そうか。そんなに早い段階からミカサ、オレの事、好いてくれていたのか。

ミカサ「ただ、それに気づいたのは、夏の海の件があってからで、加えて、サシャの美少女っぷりに嫉妬している自分とか、いろいろ重なって……なので、今思うと、告白された時点では、私の中では「OK」以外の選択肢はなかったです」

そうだったんだ。いや、それを聞けて嬉しいな。

357進撃の名無し:2014/08/10(日) 12:01:15 ID:lJz.ncwQ0
エレン「オレとしては、いつも完璧なミカサがドジやってくれた方が可愛いから好きなんだけどなー」

ミカサ「ううう……あんまり期待しないで欲しい」

と、変な会話をしていたらエルヴィン先生が「やっぱりね」と言った。

エルヴィン「という事は、むしろミカサの方がエレンの言葉を「引き出した」と言えるのかもしれないね」

ピクシス「じゃの。つまりジャンも気づいておったんじゃよ。エレンだけでなく、ミカサの方の気持ちにな」

エルヴィン「だから告白出来なかった。玉砕覚悟で突っ込む覚悟がなかった。つまりそういう事なんだろね」

アルミン「うーん。でもだったら尚更、今になってもチクチク嫉妬するのは筋違いだよねえ?」

アニ「言えてる。もういい加減諦めなよって思うけど」

マルコ「僕もサシャの件が出て来なかったらここまでイラッとはしなかったと思うけどね。片思いで思い続けるのは自由だけど。フラフラするのは、ちょっとなあって思うよ」

エルヴィン「その肝心のサシャの件だけど。彼女は今、本当にフリーなのかな?」

アニ「だと思いますけど」

エルヴィン「親しい男友達とかいないの? ミスコンの準優勝するくらいの可愛い子なんだから、1人くらいいない?」

エレン「あー一応、いますけど。コニーは彼女いますからね」

アルミン「一緒に馬鹿やってるだけの、男友達って感じですけど」

エルヴィン「へえ……」

その瞬間、エルヴィン先生が悪い顔になった。すっごく。

358進撃の名無し:2014/08/10(日) 12:10:20 ID:lJz.ncwQ0
エルヴィン「まさかとは思うけど、リヴァイとハンジの2号ペアって可能性はない?」

エレン「え?! そっちの可能性、考えますか?!」

エルヴィン「わかんないよー? 友人関係程、怪しいものはないからね。コニーの方に「今」は彼女がいるところも、リヴァイとそっくりな状況じゃないか」

ああそっか。リヴァイ先生、ハンジ先生と付き合う前に結構、彼女いたんだよな。

え、でも、付き合った期間は短い筈だし。そのまま当てはめるのは違うような気がする。

エレン「でも、中学時代からの彼女だって言っていたんで、長いんじゃないんですかね」

アルミン「中学卒業時から付き合い始めたなら……もう7か月目だよね」

アニ「じゃない? コニーはサシャの事、そんな風には思ってないんじゃ……」

エルヴィン「7か月なら、まだ分からないよ。リヴァイにも、そのくらい付き合った彼女がいなかった訳じゃない」

エレン「え……そうなんですか?」

エルヴィン「ハンジの前にも「恋」をした経験がない訳じゃないよ。…………先に死んでしまったそうだけど」

?! 衝撃の事実をさらりと言われてしまった。

エルヴィン「むしろ10代の頃のその経験があったからこそ、何処か恋愛に対して「臆病」だったのかもしれないね。大事な人を亡くしてしまったから、今でも『死者に会えるなら会ってみたい』と呟いている事もあるよ」

あ、だから幽霊が「怖くない」のか。なんか納得した。

359進撃の名無し:2014/08/10(日) 12:17:39 ID:lJz.ncwQ0
エルヴィン「なるほど。今、サシャの選択肢には「ジャン」と「コニー」という2人の男性がいる訳だね」

アニ「いや、コニーは違うんじゃ……」

エルヴィン「それは決めるのは私達じゃないよ。自分の勝手な都合でサシャの選択肢を狭めてはいけない」

まあ、それはその通りだが。

エルヴィン「分かった。まずはサシャ自身の「潜在意識」がどちらに傾いているのか調査しないといけないね。話はそこからだ」

と、方針を固めてしまったようだ。

ピクシス「そうじゃな。場合によってはジャンとサシャは結ばれぬかもしれんが、其の時は其の時じゃ」

アルミン「えええ……それはちょっと……」

エルヴィン「ダメだよ。あくまで私達は「相談」を受けるだけだ。実際にどうなるかは、本人次第だ。私達も何でも屋をやってる訳じゃないからね」

アルミン「………はい」

まあ、ここはエルヴィン先生が正論だな。

オレもなんかちょっと安心した。そういう事なら、オレだって応援するぞ。

ジャンとサシャを無理やりくっつけるんじゃなくて、あくまでサシャの気持ちを後押しする方向なら協力するのに迷いはない。

360進撃の名無し:2014/08/10(日) 12:26:46 ID:lJz.ncwQ0
サシャ自身は今、どう思っているんだろうな。あいつの事だから「分かりません」って即答しそうだけど。

そんな訳で、怪しい「愛の」進路相談は終わって部活に戻る事にした。

すると、そこに何故か話題のサシャが部室に来ていて、ジャンと話していた。

ジャン「だーから、その「レイヤー」っていうのはどういう意味なのかもうちょっと分かりやすく説明しろよ!」

サシャ「ええと、透明なミルフィーユみたいなもんですよ? それがないと、フォトショが使えません」

ジャン「ダメだ。サシャの説明の仕方がわけわかめ過ぎる…」

と、頭を悩ませていた。

アルミン「ああ、フォトショの使い方を説明していたんだ」

サシャ「はい! ジャンの方から『俺もフォトショ使えるようになりたい』と言い出したんで。出来る限り分かりやすく説明しようと思ったんですが」

アルミン「ジャン、レイヤーっていうのはね、透明な『紙』を重ねていくようなものだよ」

ジャン「紙……あああ! そういう事か! ミルフィーユとかいうからケーキ連想したじゃねえか!!」

サシャ「だから、重ねるイメージを伝えたかったんですが」

ジャン「紙でいいじゃねえか! なんでそこで『ミルフィーユ』を選択するんだよ!!」

と、こっちはこっちでいいコンビな気がする。

そんな様子をミカサが可笑しそうに笑ってみている。

この様子だと、エルヴィン先生の言うような心配は要ら無さそうだな。

361進撃の名無し:2014/08/10(日) 12:28:35 ID:lJz.ncwQ0
ジャンとサシャがお馬鹿な会話をしていますが、今回はここまで。
続きはまたノシ

362進撃の名無し:2014/08/10(日) 16:10:30 ID:WhMDH7820
うーん、死者は強いからな〜

いよいよジャンサシャか!
エル&ピク爺はほんとエグいなww

363進撃の名無し:2014/08/10(日) 18:45:04 ID:lJz.ncwQ0
サシャ「私にとっては食べ物の方が頭の中で処理しやすいので(キリッ)」

アルミン「その辺はイメージの問題だからね。まあ、普通は『透明な紙』として認識するかな。でもどうして? ジャンは作画のアシスタントじゃないの?」

ジャン「いやー……その、なんかどんどん仕事を任されるようになっちまってな。先生が『フォトショ使えるようになったら時給上げる』って言い出しているし、だったら覚えようかなって思って」

アルミン「もういっそ、そっちの道でやっていったら? ジャン、才能あるじゃないか」

ジャン「いやいやいや! あくまで小遣い稼ぎだからな! 趣味と実益を兼ねた、いいバイトだと思っている。サシャもアシスタントのおかげで深夜のバイト全部辞めたからな」

サシャ「はい! おかげで今は財布がホクホクです! たまにマーガレット先輩のご自宅から学校に通わせて貰っているくらいですからね!」

ジャン「同じ深夜に働くなら、アシスタントの方が断然いいからな。ま、そういう意味じゃオレも安心したんだけど……」

おや? やっぱりジャンの奴、サシャの事、気にかけているな。

手のかかる妹みたいな感覚か? サシャを見る目が以前より柔らかい気がする。

サシャ「私の場合、フォトショの作業と飯スタントの両方の賃金貰っていますからね! ジャンよりお金貰っているんですよ! 2倍働いているので! むふー!」

ジャン「オレの場合はサシャより入る時間が短いっていうのもあるけどな」

マーガレット「いやーでも、頼りになる後輩がいてこっちは助かっているよ! おかげでうちの母、つやつやしているからね! 肌が!」

サシャ「栄養管理は任せて下さい! 食べ物の事なら詳しいですから!」

マーガレット「いつでも嫁に行けるよね! サシャを嫁に欲しいけどね!」

サシャ「女同士なのが残念ですね! むふー」

男だったら嫁に行くのか。サシャよ。

ジャン「……………」

ジャンが頭を掻いている。やっぱりサシャの事、意識し始めているよな。コレ。

サシャもサシャで、料理美味いんだよな。食いしん坊なだけあって。

ジャン「皆が戻って来たから、そろそろ練習始めるか。サシャはこの後、どうするんだ?」

サシャ「今日は暇なので、ここに居てもいいですよ? 皆の様子を見学してもいいですか?」

アニ「勿論いいよ。あ、お菓子でも食べな(餌付け)」

サシャ「ありがとうございます! (しゅぱー!)」

手が早いな。まあ、お菓子でも食べながら見学しておけばいいか。

しかし練習を重ねていたその時、アルミンがふと、言い出した。

364進撃の名無し:2014/08/10(日) 18:47:07 ID:lJz.ncwQ0
アルミン「ううーん」

エレン「どうした。アルミン。唸って」

アルミン「いやね。リヴァイ先生ってさ。学生時代にかなりモテたって話だったんだけど」

エレン「あーそういやそう言ってたな」

アルミン「だったらさ。女子の人数、アニとマリーナとマーガレット先輩だけでいいのかなって思って。もう少し人数、増やした方がいいんじゃないかな」

エレン「スカーレット先輩もガーネット先輩も出て貰うか?」

アルミン「いや、そういう次元じゃなくてね。エキストラ役でいいからさ。綺麗どころの女子、もう少し出て貰えないかな」

ジャン「つまり人数が全然、足りないって事か?」

アルミン「そうなるね。なんか取り巻きが20人くらい常にいたらしくて、リヴァイ先生、早く学校に来ると騒ぎになるから毎日、遅刻ギリギリに登校していたらしいよ」

ジャン「…………羨ましいこった」

と、半眼でつい答えるジャンだった。

リヴァイ先生のモテ方ってもう芸能人のレベルだもんなあ。

アルミン「なんかリヴァイ先生曰く、入学したての頃は全くそんな事はなかったのに、徐々に徐々に人数が増えていって、自分でも『何でだ?』と首を傾げていたそうだよ。ハンジ先生曰く『リヴァイは遅行性の毒と同じだから』とか言っていたから、取り巻きの女子をどんどん増やしていく場面が欲しいんだよね」

ジャン「だったら仕方がねえか。募集かけてみるか?」

アルミン「いや、一般公募は止めた方がいい。トラブルの元になるからね。僕としては、サシャとかクリスタとか、ミーナとか。うちのクラスの中から出てくれそうな子達を何人か引き入れたいんだ。ペトラ先輩も出来れば出て欲しいけど」

エレン「ペトラ先輩は大丈夫じゃねえか? ニファ先輩も頼めばやってくれそうだしな」

アルミン「そうだね。交渉してみようか。一応、その辺は身内だけで募集かけよう。サシャ、エキストラ、やってみない?」

サシャ「はい? エキストラですか? 何をすればいいんですか?」

アルミン「ミカサにくっついて『格好いい!』とか言えばいいよ」

サシャ「お安い御用です! 了解しました! (ビシッ)」

そんな感じで細かいところも煮詰める事になった。

そしてミカサのリヴァイ先生のスーツの方のコスプレ衣装が大体完成したそうだ。試着してみる。

スカーフをつけた男装のミカサが、すげえ格好いい。似合っている。

オレは白衣に伊達眼鏡だ。化粧は今回は殆ど要らないので、楽だな。

ミカサ「エレン、雰囲気が似ている…」

エレン「ん? そうか?」

ミカサ「エレンは喜怒哀楽が激しい方なので、ハンジ先生で良かったかも。私では、ハンジ先生を演じる自信はなかった」

エレン「あーまあ、適材適所ってやつだな。ミカサの動き、リヴァイ先生に似ているもんなあ」

そう言ってやるとミカサがガクブルし始めた。

365進撃の名無し:2014/08/10(日) 18:48:37 ID:lJz.ncwQ0
ミカサ「自分でも薄々気づいていたのに。やめて(涙目)」

エレン「あ、悪い。すまん……」

というか、動きだけじゃないんだけどな。たまに何処となく『似てる』と思う事は多々ある。

顔はミカサの方が『美人』だけど。綺麗好きだったり。料理が出来たり。

感覚的には『兄妹』みたいな近さか? 親戚とかじゃねえんだろうけど。

そんな訳で衣装合わせをしたり、台本を元に練習をしたりしてこの日はあっさり終わった。

濃厚なラブシーンの練習はまだもうちょっと先の話になりそうだ。

ミカサがその日をわくわくして待っているのが凄く良く分かる。

家に帰ってからも人工呼吸のシーンとかについて熱心に語っていた。

勿論、人工呼吸については親父にも話を聞いて、家で実際、簡単なレクチャーを受けたけどな。

知っていて損はないそうだ。かえっていい経験になったぜ。

そんな訳でオレはその日の夜、珍しく自分の方からジャンに電話した。

事前に言わないといけないと思ったからだ。あいつを呼び出して、しっかり話し合いたい。

出来れば1対1で。ぶん殴られても構わない覚悟で電話をかけたら、

ジャン『ああ、オレだけど。珍しいな。エレンか』

エレン「オレだ。今、時間あるか?」

ジャン『あーちょっと待ってくれ』

と、言って何やらごにょごにょしていた。

ジャン『今、ちょっとマーガレット先輩の家に寄っているんだ。明日じゃダメか?』

エレン「ああ。別に急ぎの用事じゃねえ。ジャンに話したい事がある。お前の方の都合に合わせるよ」

ジャン『分かった。だったら明日でいいか? 明日の昼休みとか』

エレン「了解。じゃあまた明日」

という訳で、明日の都合をつけて貰って電話を切った。

翌日。11月26日。昼休み。

昼飯を食ってからオレはジャンを呼び出した。

あんまり人に聞かれたくねえ話だから、何処で話すべきか迷う。

ジャン「話って、何だ?」

エレン「んー……教室じゃ話しにくいから、外行くぞ」

オレはジャンを第一体育館の外辺りに呼び出した。

体育館の周りには誰もいなかった。静かな昼休みだった。

366進撃の名無し:2014/08/10(日) 18:49:44 ID:lJz.ncwQ0
ジャン「で? 話ってなんだ?」

エレン「………」

どう切り出したらいいんだろうな。こういう繊細な話は。

エレン「………聞いてもいいか?」

ジャン「何を」

エレン「お前、ミスコンの最終決選、どっちに結局入れたんだ?」

ジャン「ぶふうううううう?!」

いきなり吹いた。この聞き方が一番いいかなと思ったんだがダメだったか。

ジャン「何で今頃その話だよ。何でお前に教える必要が……」

エレン「あれ? 『ミカサだよ!!』って即答じゃねえんだ?」

ジャン(ギクギク)

おおっと? 反応がおかしいぞ? これは釣れたか?

エレン「正直に言え。お前、今、サシャとミカサの間で揺れているだろ」

ジャン「うぐ………!?」

エレン「なんか、変だよな。以前はミカサの事ばっかり見ていたくせに、最近はそうでもねえだろ? サシャの方も気になっているんじゃねえのか?」

ジャン「…………」

エレン「アニに、言われたんだよ。オレがこの間、ジャンに対して『やってないから!!』って言っていたのが、気遣い過ぎだって。オレはそういうつもりなかったけど、あの時のお前、どういうつもりでオレに絡んできたんだ?」

ジャン「………………」

ジャンの沈黙が重かった。話づらいのは分かるからここは待ってみる。

ジャン「単純に嫉妬するだろ。童貞を先に卒業されたら、誰だって」

エレン「それって、つまり相手が「ミカサ」だから嫉妬した訳じゃねえって事だよな」

ジャン「………さあな。好きに受け取れ。オレもそこまで他人に強制はしねえよ。ムカついたんなら謝ってもいいが。お前も少しは自重しろよ。見ているこっちはイチャコラ見るの辛いんだぞ」

と、ジャンはこっちを見ないまま言った。

エレン「ああ、その件については謝る事しか出来ねえな」

ジャン「反省はしても改善はしねえって奴か」

エレン「そうなるな。そもそも人前でイチャコラするのはオレよりミカサの方が先に仕掛けてくる事の方が多いからな」

コミケ会場で誘惑仕掛けられた時はマジでびびったしな。

ジャン「それも分かってる! くそ……本当、羨ましくてムカつく」

エレン「そう思うならお前もさっさと彼女作ればいいじゃねえか」

ジャン「あー………」

ジャンが頭を抱えだした。

367進撃の名無し:2014/08/10(日) 18:51:05 ID:lJz.ncwQ0
ジャン「オレはお前みたいに死に急ぎ野郎にはなれねえよ……」

エレン「……………」

ジャン「本当、お前、すげえよ。自分から告白出来たんだろ? そんなの、想像しただけで心臓壊れそうになるだろうが。それが出来たお前が、正直、羨ましくて堪らねえよ」

手が震えていた。ジャンにとっては、それくらい勇気の要る事らしい。

ジャン「臆病者だって、ヘタレだって言われるだろうがな。自分から行動を起こすっていうのは、すげえ勇気が必要だろうが。オレにはとても………」

エレン「勇気、ねえ……」

オレにとってはちょっと感覚が違った。あの時は勇気なんて必要なかったからな。

エレン「そういうんじゃねえけどな」

ジャン「は?」

エレン「いや、オレは勇気を出して告白した訳じゃねえよ」

ジャン「はああ?」

エレン「自然と、溢れ出た感じだ。水が零れる様な。こう、抑えきれない感じで、さ」

と、アクションを交えて説明してみた。

エレン「うっかり、言っちまった感じだったんだよ。月の綺麗な夜だった。その月明かりの中に照らされた、ミカサがすげええ綺麗でさ。今、思い出してもゾクゾクするぞ。あの時の、ミカサの姿を思い出すと」

ジャン「…………」

エレン「そもそも、オレも自覚したからと言って告白するつもりなんてなかった。最初は隠しておくつもりだったんだ。でも、あの時のミカサに吸い寄せられるような感覚……磁石に引っ張られるような感じだったな。なんか、もう一人のオレが『いけ!』って命令出した感じでさ。つい、『好きだ』って言ってしまったんだよ」

ジャン「その感覚はオレには全く分からねえ」

エレン「かもしれねえな。オレの場合はそうだったって話なだけだ。きっと、オレは短気な性格しているから、堪え性がなかったのかもしれん」

ジャン「そうだとしても、やっぱりすげえよ。エレン……お前は………」

エレン「ん?」

ジャン「お前は、オレの出来ない事をやってのけた。だから、嫉妬するのは筋違いだってのも本当は分かっている。でも、止められないんだ。つい、嫉妬しちまう気持ちっていうのは……」

エレン「…………そうか」

ジャン「自分でもウゼエって思っているよ。こんな未練たらたらな男、アニとかすげえ睨んでくるしな。マルコも最近呆れているみたいだし。アルミンもたまに苦い笑みを浮かべるし。先輩達にも『そろそろ次の恋を探したら?』とか言われるしな。でも、どうやったら諦めがつくのか、自分でも分からねえんだよ」

エレン「……………」

ジャン「サシャに対する気持ちも、自分でも良く分からねえ。逃げているだけなのかなとも思うしな。自分の気持ちが届かないのを自覚したから、サシャで埋め合わせようとしている自分がいるような気がして。それって、ただ弱いだけじゃねえのかな」

エレン「でも、美少女サシャにドキッとしたのは本当だろ? 真っ先に動揺していたじゃねえか」

覚えているぞ。すげえ勢いでガタガタしていたのは。

368進撃の名無し:2014/08/10(日) 18:53:02 ID:lJz.ncwQ0
ジャン「ああ。まさかあそこまで酷いギャップを持っているとは夢にも思わなかった。あいつ、普段全く化粧しねえしな。よく考えたら、化粧しないであれだけ可愛いなら、相当の美少女だよな」

エレン「まあそうだろうな。ミカサは毎日、薄化粧しているしな」

ジャン「そうだったのか?」

エレン「あれ? 気づいてなかったのか? ムダ毛処理とかも超完璧だぞ。隙がねえよ?」

ミカサは派手な化粧はしないが、所謂「ナチュラルメイク」というベースメイク。つまりすっぴんに限りなく近いメイクは毎日ちゃんとやっている。

オレに言われせれば「すっぴん」と何処がどう違うのかイマイチ分からないが、日焼け防止の為にやっているらしい。

ジャン「そうか。だったらオレはミカサを勝手に「すっぴん美人」だと思っていた訳か」

エレン「まあ、大して差がある訳じゃねえけどな。ミカサはその辺、すげえ女らしいぞ。ちょっと完璧すぎるんじゃねえかなってこっちが心配になるくらいだけどな」

ジャン「すげえ理想的じゃねえか。ちくしょう……(涙目)」

エレン「お前、女らしい女が好きなのか? でも、サシャだってそういう部分はあるだろ」

ジャン「そりゃ、料理も出来るし、明るいし、たまにアホだが、決して嫌いじゃねえよ」

と、ジャンがまだぶつぶつ続ける。

ジャン「でもな……やっぱりオレの中ではミカサが「上」なんだよ。理想が絵から飛び出て来たのかってくらい一目惚れだった。集英高校を受験した時、同じ教室で試験を受けた髪の長い女、アレ、今思うとミカサだったんだよな。オレも集英落ちたけど。ミカサも受験だけは一応、受けていたんだよな」

エレン「お前、集英の受験の時にミカサに会っていたのか」

ジャン「恐らくな。すれ違っただけだったけど。今思うと、アレは絶対、ミカサだった。髪長かったけど。入学式で同じ顔を見た時、髪切っていたけど、すぐ分かった。あの子だって。なんでこっちに来たのか、ずっと不思議だったけど。内申点の方で落とされていたと後から知って合点がいった。だからもう、勝手に運命の出会いのような気がしていたんだ」

エレン「そうか」

謎がまた1個解けた。あの時のジャンがやたら後方を凝視していたのはミカサをガン見していたんだな。

ジャン「ミカサの傍にお前がいるのにすぐ気づいて『なんだ、彼氏持ちか。そりゃそうか』って思ったけど。すぐには諦め切れなくて。でも後でエレン自身が『家族だ』って言って、まだ2人がそういう関係じゃねえって知って浮かれて。だったらじっくり距離を詰めようと思っていたら、だんだんミカサの方の目の色が変わって来たのにすぐ気づいた。6月頃だったかな。正確には覚えてねえが。オレは何も出来ずにいた。今思うと、GWでお前と話した後、すぐに行動を起こすべきだったんだ。出来なかったのは、オレがヘタレなだけで、誰のせいでもねえんだよ」

エルヴィン先生も同じ事を言っていたな。

確かに、GWの時点ではまだ、ジャンにもチャンスがあったんだと思う。

少なくとも、自分の気持ちを伝えるチャンスはいくらでも、あった筈だ。

その結果、振られる事になったかもしれないが、それでも、やはりジャンは動くべきだったのかもしれない。

何もしないでいたツケがジャン自身を苦しめているのか。

369進撃の名無し:2014/08/10(日) 18:55:17 ID:lJz.ncwQ0
ジャン「そもそも2人も好きな女がいる自分って、どうなんだ? とも思うんだよ。正直言って自己嫌悪しかねえぞ」

エレン「あー浮気者っていう意味か」

ジャン「そうだよ!! しかもどっちも手に入らないだろうしな!」

エレン「ミカサはともかく、サシャは手を伸ばせば届くかもしれねえだろ?」

ジャン「どうだかな。サシャの奴、コニーと仲いいだろ」

エレン「あいつらは、ただの友達だろ?」

ジャン「そんなの信用できるかよ!!! もうオレは騙されねえぞ!! リヴァイ先生の件といい、オルオ先輩と言い、エレン、お前と言い、皆最初は誤魔化すもんだろうが!!!」

そう言えばそうでした。サーセン。

ジャン「もう、いいんだよ。オレは。好きな女と一緒になれずに一生独身でいろって事だろ(ブツブツ)」

エレン「自虐的過ぎるぞ! リヴァイ先生みたいになるなよ!!」

ジャン「ああ? リヴァイ先生? あの先生も自虐的なのか?」

エレン「落ち込むとそうなるな。いや、それは誰でもそうなんだろうけど。今、この時点で何もかも諦めるんじゃねえよ!!」

オレはジャンに喝を入れてやりたかった。下手くそな喝だろうけど。

エレン「お前、夢があるんだろ?! 早く独立して家庭持ちたいっていう、すげえ立派な夢があるじゃねえか! オレ感心したんだぞ?! こんなに早い年齢のうちに夢があるお前に!! 羨ましいとすら思ったんだぞ!!」

ジャン「そうか?」

エレン「ああ! だったらそう簡単に夢を諦めるんじゃねえよ! お前の場合『彼女』がどうしても必要になる。嫁にしたいと思う女がいるなら、まだ諦める必要ねえよ!」

アレ? 何でオレ、こんなにジャンの事を応援しているんだ?

ジャン「どの口がそれを言うか……(ギリギリ)」

エレン「ひはいひはい! 口ひっぱるは! (ひっぱるな!)」

ジャン「(手離す)はー。オレはお前が羨ましいよ。実直で、真っ直ぐだもんな。いつだって、そうだ」

エレン「……………」

ジャン「理想だと思うぜ。お前のような男は。でも、オレはエレンのようには生きられない。そういう性格じゃねえからな」

と、自分に諦めたようにそう呟くジャンだった。

ジャン「ミカサがエレンに惚れたのも分かるよ。お前、常にミカサの事を気にかけているもんな。ミカサもそれは同じだけど。2人の間に、割って入れるなんてもう、今更思ってはいねえよ」

エレン「………」

ジャン「きっかけが欲しいだけなのかもしれねえな。ミカサに振られるのが1番いいのかもしれないが。それをされたら、少なくとも暫くは学校に来られない自信しかねえし。サシャの事も、正直『今』はどうしたいと思っているのか自分でも良く分からねえし。オレ自身も最近、ずっともやもやを抱えたままなんだよ」

エレン「…………そうか」

もやもやするのは辛いよな。その気持ちはオレにも良く分かる。

370進撃の名無し:2014/08/10(日) 18:56:44 ID:8NI.32VI0
ジャン「時間が解決するのを待つしかねえのかな。オレは、本当、どうしたいんだろうな? お前みたいに、そういうのがすぐ自分で「分かる」性格だったら良かったんだが。心の中はずっと『曇り空』で、雨も晴れもない状態でどんよりしているんだよ」

エレン「ううーん」

困ったな。何も解決策が思い浮かばねえ。

思い浮かばないなら、何も出来ねえよな。しょうがねえよ。

エレン「じゃあ、仕方ねえか」

ジャン「え?」

エレン「ミカサも好き。サシャも好き。そのまんま、受け入れちまえよ」

ジャン「は?」

エレン「だってそうするしかねえだろ。それ以外、何が出来るって言うんだ?」

ジャン「待て待て。エレン。お前、オレに『ミカサの事を諦めろ』って言いに来たんじゃねえのか?」

エレン「オレも最初はそのつもりで話そうと思っていたんだが、気が変わった」

ジャン「はあ?」

エレン「だって、よく考えたらおかしくねえか? 人の心は他人に強制されるもんじゃねえだろ」

ミカサが好きになる気持ちそのものを他人のオレが止める事なんて出来ねえ。

しょうがねえよ。ミカサはそれだけ魅力的な女なんだから。

それを1番知っているのはオレだけど。

エレン「オレがジャンに『ミカサの事を諦めてくれ』って言っても、はいそうですかって受け入れられねえだろ? だったらそれはもう、言うだけ無駄だし。それこそ、自然と消える時を待つか。ずっと抱えて生きていくか。そこはもう、ジャンが決めるべき事でオレが口を出せる問題じゃねえ」

ジャン「…………」

エレン「サシャの事だってそうだな。サシャも可愛いっていうのは、オレも同じ男として分かるし。まあ、ミカサの方が可愛いけど。サシャがコニーとくっつくかどうかは知らんが、少なくとも『今』の時点ではサシャはフリーの筈だろ? だったらジャンが何もしないでいるのは勿体ないような気もするな」

ジャン「エレン、お前………本物の馬鹿だろ?」

エレン「よく言われるが、それでも構わん。少なくともミカサの事を好いているのはジャン、お前だけじゃねえからな」

リヴァイ先生もジャンとは違う意味でミカサを気に入っているし、それ以外の奴らだって、ミカサを密かに思っている奴もいるだろう。

でも、オレは負けない。ミカサの中で「トップ」で居続ける。その自信はある。

だからあんまりごちゃごちゃ考えてオタオタするより、どんと構えた方がいい気がしたんだ。

エレン「ミカサの心が誰かに奪われるかもしれない『危機感』は常に持っていた方がいいんだよ。奪うなら、奪って見せてみろ。それくらいの余裕がねえと、男として格好悪いだろ」

ジャン「………ッ」

その瞬間、ジャンが俯いて歯を食いしばった。

371進撃の名無し:2014/08/10(日) 18:58:40 ID:lJz.ncwQ0
ジャン「お前のそういうところ、本当にムカつくんだが……」

エレン「ああ? それがどうした」

ジャン「ちくしょう……格が違い過ぎる。なんでそんなに、先にいっちまうんだよ……お前は」

悔しそうに俯いている。そんな事言われてもオレにもどうしようもねえ。

オレ、あんまりごちゃごちゃ考えるのが元々、苦手なんだよ。

シンプルに考えた方がいい。それがオレの生き方だからな。

ジャン「それはつまり、オレがどっちの道を選ぼうが、お前自身は、干渉しないって事だよな」

エレン「妨害はするぞ。ミカサをみすみすジャンに渡すような馬鹿じゃねえよ」

ジャン「ははっ……そうかよ!」

其の時、ジャンはやっと顔をあげて笑って見せた。意地の悪い顔だった。

ジャン「その言葉、後悔すんなよ。分かった。オレはオレの思うままに、進んでみる。どう転ぶかは、自分でもさっぱり分かんねえけどな」

エレン「それでいいんじゃねえの。ま、ミカサは絶対渡さねえけどな」

とりあえずジャンの中の気持ちの整理がついたようだ。オレも腹を割って話せて少しほっとした。

こういうのは、自然の中に身を任せるのが1番だとオレは思う。

ジャンの嫉妬はうぜえええとも思うが、元々こいつ、こういう奴だしな。もうしょうがねえ。

ジャン「礼は言わねえからな! 絶対、後悔するなよ!!」

エレン「要らねえよ!」

という訳でなんとなくだけど解決(?)したような気もして、それぞれ教室に戻る事にした。

教室に戻るとミカサが心配そうにこっちに来た。

ミカサ「ジャン、大丈夫だった?」

エレン「あーうん。もう大丈夫じゃねえのかな。多分」

ミカサ「そう……諦めてくれたのね(ほっ)」

エレン「いや、それはないみたいだけど」

ミカサ「へ?」

エレン「なんかもう、開き直ったみてえだ。どっちも好きなんだってさ。『今』は」

ミカサ「……………そう(青い顔)」

エレン「ん?」

ミカサ「今、私の中でジャンの好感度のような物がマイナス1万くらい下がったかも」

エレン「えええええええ?!」

ミカサ「優柔不断な男は、ちょっと。エレンのように、スパッと決める男の方が好き」

しまった。なんかかえってオレが酷い事をしてしまったような気がする。

ミカサ「ジャンとは少し距離を置く事にする。最初からそうすれば良かった」

エレン「んんー……」

どうすっかなー。こじれちまったなー。あちゃー。まあいいか。もう、これも自然の流れだな。

ジャンには悪いけど。オレもミカサを独占したいんだ。まるで孔明の罠みたいな真似しちまったけど、許せ。ジャン。

そう心の中で思いながら、教室でマルコや他の男子と話すジャンを見つめるのだった。

372進撃の名無し:2014/08/10(日) 19:00:37 ID:lJz.ncwQ0
意図せず公明の罠を発動したエレンでしたwwww
ミカサの中でジャンの株が大暴落したのでもうあかんですww

という訳でここまで。次回はまたノシ

373進撃の名無し:2014/08/11(月) 01:35:45 ID:nKqw7bNM0







11月30日。日曜日。着々と舞台の準備が進んでいたその頃。

ちょっとお休みを貰ってオレとミカサは親父と共にちょっと高級な洋服店に足を運ぶことになった。

リヴァイ先生の結婚式に招待された件を親父にも伝えたら「これを機会にスーツを買ってあげよう」と言い出したんだ。

ミカサも結婚式用に新しいドレスかワンピースを購入するらしい。

おおおお。桁がすげえ。こんなの買って貰っていいのかな。ドキドキする。

ミカサも値札を見てぶったまげていた。こんなの買っていいの? って顔をしている。

グリシャ「予算はどっちも10万以内くらいでいいかな?」

エレン「いやいやいや、親父! 金出し過ぎだから!!!」

ミカサ「私も、そこまで高い服を買ったら汚した時がショック死します」

グリシャ「あ、そう? じゃあ1万円くらいのでいいの?」

エレン「それでも十分高いだろ……」

グリシャ「スーツとかはいいものになると10万くらい普通にするけどね。ワンピースも」

ミカサの母「そうねえ。1万は流石に安いんじゃないかしら。2〜3万の辺りでみてみましょう」

へー。1万が安いって。そういうものなのか。すげえなあ。

親父が金持ちだから良かったけど。もし貧乏だったらシンデレラじゃねえけど「着ていく服がねえ!」っていう状態に陥ったかもしれねえな。

グリシャ「これなんかいいんじゃない? 少し緑色も入っているけど。限りなく黒だ」

ミカサの母「シンプルでいいわね〜似合っているわ〜」

まっ黒という程ではない、深い緑色のスーツを当ててくれた。

うおおおお。でもこれも5万くらいするぞ。いいのかな。こんなの買って貰って。

グリシャ「灰色がかった方もいいね。真黒だと、葬式に着ていくスーツみたいになるし、結婚式なら少しオシャレなデザインでもいいと思うよ」

ミカサの母「は〜どれにするか迷うわね〜」

と両親の方がかえってテンション上がっている。恥ずかしいぜ。

374進撃の名無し:2014/08/11(月) 01:37:00 ID:nKqw7bNM0
ミカサ「OH………これも4万越える」

ミカサも値札を見ては下げてオロオロしているようだ。

グリシャ「ネクタイもついでに新調しようか。1本持っていればこれから先も使えるしね」

エレン「いいのか? 親父」

グリシャ「こういうのは機会がある時に全部一気に買ってしまうのがいいんだよ。エレンは何色がいい?」

エレン「ええっと、赤……とか?」

グリシャ「ネクタイを赤色にするなら、原色の強いものより暗めの色合いの方がいいかもしれない。コレとかどう?」

エレン「ああ……色が濃いな」

グリシャ「ネクタイを先に決めたなら、この色に合わせてスーツも決めて行こうか」

と、着々とコーディーネートされていくオレだった。

オレの方はダークレッドのシンプルなデザインのネクタイと、少し灰色がかったダークブラックというシンプルな組み合わせになった。

こんなんでいいのかな? 結婚式に出るのなんて、子供の頃親父に連れられていった以来で分かんねえ。

靴とかも一緒に合わせて買ってくれるようだ。至れり尽くせりで有難い。

ミカサ「エレンが赤色でいくのなら、私も似たような色でいきたい」

ミカサの母「あらそう? じゃあ同じようなダークレッドを探しましょうか」

おばさんも超はりきっている。

ミカサの母「これとか可愛いんじゃない? 背中出しちゃうけど。ミカサは背中綺麗だし」

エレン「ダメです!!! 背中冷えちゃう衣装はダメです!!!」

ミカサの母「あらそう? じゃあこっちの胸の大きく開いている方は?」

エレン「そっちもダメです! 色気有り過ぎます!!!」

ミカサの母「もー我儘ねえ。過保護過ぎるとダメよ〜?」

と言いながらもニヤニヤ服を選ぶおばさんだった。

ミカサの母「肩出しても上から羽織るものを着れば大丈夫よ〜冬の結婚式でもちゃんと暖房は完備されている筈よ?」

エレン「それは分かっているんですが、出来れば色気は控えめにお願いします」

ミカサに変な虫はつけさせたくねえ。シンプルなのでも十分なんだよ。

ミカサの母「肩出しがダメなら衣装も大分制限されちゃうわね〜どうする? ミカサ」

ミカサ「エレンに任せる」

ミカサの母「本当にいいの? ヤキモチ妬きの男でいいの?」

ミカサ「うん。ヤキモチは嬉しい」

ほやっと笑ってくれた。あああああああやばい! 何かオレの方が興奮してきた!

リヴァイ先生じゃねえけど、興奮する! ミカサの服はオレが選ぼう!

375進撃の名無し:2014/08/11(月) 01:37:48 ID:nKqw7bNM0
エレン「これ可愛い! 肩出してねえけど、シンプルなワンピースだな」

ミカサ「どれ?」

エレン「二の腕は半分隠れて、胸もそんなに開いてない。胸の下の方で絞っているけど、スカートの長さも丁度いい!」

ミカサの母「あら。本当にシンプルなワンピースね。いいの? ちょっとだけ胸を強調するワンピースだけど」

ミカサ「うん。大丈夫。私はペチャパイではないので(キリッ)」

ミカサの母「うふふ。いい心がけだわ。ではそれにしましょうか。色は同じダークレッドでいいのよね」

ミカサ「うん」

ミカサの母「じゃあ、それに合わせて靴とかも買いましょう」

ミカサは黒のシンプルな靴を購入した。少しだけ底が上がっている。

鞄とかも一緒に購入したようだ。もう何万飛んでいったのか考えると怖え。

エレン「親父、ありがとう」

グリシャ「いやいや。いい機会だったよ。いずれはエレンにもスーツが必要かなと思っていたしね。結婚式に招待されるなんて、エレンの交友関係が一気に広がった証拠じゃないか」

エレン「そう言えばそうだな。オレ、リヴァイ先生にいろいろ世話になったよ」

グリシャ「本当なら私の方からも挨拶したいくらいだよ。会場までは私が車で送ってあげよう。一応、顔だけ見せてもいいかな? 出来ればご挨拶したいよ」

エレン「ああ。多分、大丈夫だと思うぜ。それくらいなら」

という訳で、その日は結婚式に向けての衣装を全て揃えた。

他の皆はどうするんだろうな? どんな衣装を着てくるんだろう?

気になったけど、それは当日までのお楽しみにした方がいいかもしれない。

ミカサは購入したワンピースを見て「ふふふ」と笑っている。

ミカサ「エレンと御揃いの色……」

エレン「おう。ダークレッドにしたけど、大丈夫だったか?」

ミカサ「ん? 何故そう思うの?」

エレン「いや、ミカサってあんまり『赤』系統の色が好きじゃねえのかなって思っていたからさ」

そうオレが言った直後、ミカサの顔が少しだけ強張った。

エレン「ん?」

ミカサ「ううん。何でもない」

エレン「え? いや、今のは何でもない感じじゃないよな?」

ミカサ「…………この赤色なら、大丈夫」

ん? どういう意味だ?

376進撃の名無し:2014/08/11(月) 01:38:28 ID:nKqw7bNM0
ミカサ「海老色、葡萄色、蘇芳、茜色に近い色なら大丈夫。真紅のような、明るめ赤色が苦手なだけ」

エレン「え? 何で……」

そう言えば思い出した。オレ、昔見た事あるぞ。この状態のミカサを。

いつだったっけ。ぼんやりしているけど。

ミカサ「……理由は言えない。ごめんなさい。でも、大した理由じゃない」

エレン「そ、そっか……」

オレ、真紅とかの明るい赤色の服、結構昔着ていたよな。

男の痴漢が出るとか何とかの噂のせいで赤系統の私服は外で着ないようにしたけど。

エレン「!」

急に思い出した。あの時の、ミカサも何か様子が変だった。研修旅行でのアレだ。

あの時、オレが気にかけた時、反応が変だった。


エレン『オレは思った事を言っただけだ。赤色とかのがマシだ』


思い出した。あの時、ミカサ、急に吐き気が来たよな。

もしかして『赤色』って言葉に反応をしただけだったのか?

赤色に何かトラウマがあるのかな。触れていいのか、分かんねえけど。

エレン「ミカサ」

ミカサ「な、なに?」

エレン「もしかして、なんか、『赤色』にトラウマあるとか?」

気になったからつい、聞いちまった。すると………

ミカサ「…………」

あ、ダメだ。本当に言えないみてえだな。

エレン「悪い。なんとなくそう思っただけだ。言えないなら、無理しなくていい」

ミカサ「…………ごめんなさい」

エレン「いや、いいんだ。こっちも気になっただけだし」

と、重い空気になっちまった。

ミカサ「…………いつか話す」

エレン「ん?」

ミカサ「今はまだ、早い気がするので。いつか、必ず」

エレン「そっか……」

ミカサはそう言った。そういう事なら、それを信じよう。

そう思いながら、オレはミカサに対して頷くのだった。

377進撃の名無し:2014/08/11(月) 01:54:38 ID:nKqw7bNM0






ミカサがジャンに対して少しばかり距離を置くようになったから、ジャンの様子が物凄くおかしくなった。

その異変に気づいてアニとアルミンとマルコは事情をオレに聞いてきたので、とりあえずかいつまんでジャンと話した内容を大体話すと、アルミンには苦笑いされ、マルコにも笑われ、アニに至っては、アヘ顔に近いくらいの大爆笑をされてしまった。

アニ「腹、痛い……! 何、それ。ジャン、馬鹿じゃないの? アホなの? 死ぬの?」

エレン「ええええ……アニ、笑い過ぎだろ」

アニ「だって、だって……(壁バシバシ!)」

放課後。ジャンがまだこっちに来ていない時間帯を狙って話した。

今日は12月1日。委員会活動がある日だ。

オレ達は委員会の活動が終わってから音楽室に来たが、生活委員のジャンは毎回、時間がかかるから今日はこっちに来れないだろう。

ミカサ「アニ、あんまり笑い過ぎると過呼吸になる」

アニ「御免御免。まさか私もそんな展開になるとは思わなくてね」

と、目尻の涙を拭いながらアニが言った。

アニ「いや、まさか、エレンが『ありのままを受け入れろ』って言って、それをそのまんま本当に鵜呑みにしちゃうなんて、ただの馬鹿だよね」

アルミン「というか、エレン、それわざと? ただの孔明の罠にしか思えないんだけど」

エレン「わ、わざとじゃねえよ! 何かつい、そう口走っちまって、ついつい」

ミカサ「これでジャンは優柔不断過ぎると言う事が分かった。私の中で好感度マイナス1万」

アニ「いや、もう、10万くらい下げていいよ。100万でもいいけど」

エレン「いや、なんかすまん。オレ、やっぱり悪い事しちまったかな」

今頃になって罪悪感が出て来たぜ。

アニ「いいや? 別に。まあ「オレの女に手出すな」じゃなくて「手出せるもんなら出してみな。ふふん」って事でしょ? どっちにしろ、もう宣言したんだから、エレンは堂々としていればいいんだよ。もうこれでジャンに変に気遣う必要ないからね」

エレン「あーまあ、そうなるか」

アニ「私としては「手出すな」の方が1番男らしくて好きだけど。まあ、その辺はエレンの判断だしね。それ以上は言わないよ」

378進撃の名無し:2014/08/11(月) 02:07:13 ID:nKqw7bNM0
アルミン「あーでも、ミカサは複雑じゃない? エレンに「手出すな」って言われたかったんじゃない?」

ミカサ「んー……」

ミカサが考え込んでいる。

ミカサ「でも、エレンは元々、そういう人だと分かっているので。問題ない」

アルミン「まあ、それは僕も理解出来るけど。本当にいいの?」

ミカサ「ありのままの自分を受け入れる事、それ自体は大事だと思うので」

エレン「……………」

ミカサ「ただ、もしも、エレン自身がジャンと同じ状態になった場合は、私もちょっといろいろ考えるかも……?」

エレン「え?」

ミカサ「フラフラする男は嫌い。スパッと決めて欲しい。もし2番目の女が出て来た時は、私も容赦はしないと思う……ので<●><●>」

<●><●>の目キター!!! この目だけは苦手なんだよな! オレ!!!

エレン「絶対ないから!!! 2番目とか、作る予定全くねえから!!!」

ミカサ「本当に? 信じていいのね? <●><●>」

エレン「絶対ねえから! 一生、浮気はしねえから!!!」

アニ「でも、エレンは『ありのままで』生きるタイプなんだよねえ? それって、怪しいんじゃなーい?」

エレン「アニまで何でオレを責める?! オレ、そんなに悪い事言ったのか?!」

アニ「いいや〜? 別に〜? ククク……」

なんかオレの好感度まで下がってねえか? 気のせいか?

379進撃の名無し:2014/08/11(月) 02:18:37 ID:nKqw7bNM0
マルコ「でもそのせいで、ジャンのモチベーションだだ下がりだし、大丈夫かな」

アルミン「あーそうだね。あんまりつっつくと、演劇部を辞めるって言い出すかもしれないね」

アニ「まあ、そうかもしれないけど。でもこの問題って、ずっと棚上げする訳にもいかなかったでしょ?」

エレン「それはそうだな。見て見ないふりは出来ねえし。もし、ジャンが辞めるって言い出したら、それは止められない気もするけど………」

アルミン「え? そこは引き留めた方がいいんじゃない? 『恋愛事のトラブルで部長職辞める様な馬鹿が公務員なんてなれると思ってるの?』と言ってあげた方がいいよ」

エレン「アルミン、お前、オレよりたまにゲスくねえか?」

アルミン「愛の鞭だよー。だって事実そうじゃない? ジャン自身の将来を考えたら、ここで中途半端に辞めたらマイナスにしかならないよ。ジャンの為だよ」

エレン「なんか、ジャンが可哀想な奴に思えてきたな」

マルコ「………というか、エレンってちょっと不思議な奴だよね」

エレン「え?」

と、ちょっとだけ話題が転換した。

エレン「オレが不思議? なんで?」

マルコ「いや、ちょっと人と感覚が違うなあと思ってね」

エレン「……まあ、たまに『変人』とか何とか言われる事もあるけどな」


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