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エレン「この長い髪を切る頃には」

1進撃の名無し:2014/05/02(金) 03:31:01 ID:VspzaOfE0


*続編です。ミカサ「この長い髪を切る頃には」の続き。今度はエレン視点で書いていきます。

*現パロです。現在、エレンの髪がちょっとずつのびてます。(ミカサよりちょい長め。小さいしっぽ有り)

*舞台は日本ですがキャラの名前は基本、カタカナのまま進めます。漢字の時もあるけど、細かいことは気にしない。

*実在の人物とかは名前やグループ名等をもじってます。時事ネタも有り。懐かしいネタもちらほら。

*原作のキャラ設定は結構、崩壊。パラレル物苦手な方はご注意。

*原作のキャラ性格も結構、崩壊。原作と比べて「誰だてめえ」と思った方はそっと閉じ推奨。

*レスに対するお返事レスは返せない事が多いかも。体力温存の為。無視してる訳じゃないんで、OK?

*安価以外の提案は基本拾えません。もし展開が被ったら読者に先を読まれたって事。OK?

*感想は毎回有難い。でも自分の妄想話を書くのはNG。読んでいる人が混乱するから。本編と混ざると話の筋が追いづらくなるよ。

*ラスト100レスは完成する迄、レス自重お願いします。レス足りないと思ったら書き手としてプレッシャー過ぎる。(ガクブル)

*現在、ジャン→ミカサ、オルオ→ペトラ→リヴァイ←ニファ リヴァイ(?)→ハンジ←モブリット ライナー→クリスタ←アルミン←アニ(?)←ベルトルトあたりもちらほら(?)見えてます。というか、そのつもりで書いてます。

*しかし基本はエレミカ(ミカエレ)です。エレンから告白しちゃったしね。前回。

*モブキャラも多数出演。オリキャラ苦手な方もご注意。キャラ濃い目。



*そんな訳で、現在設定しているオリキャラをざっとご紹介。

マーガレット(2年生♀)→演劇部大道具リーダー。漫画描ける。腐ってる女子。

スカーレット(2年生♀)→演劇部大道具。立体造形専門。ロボットもいける。

ガーネット(2年生♀)→大道具大道具兼衣装。コスプレ好き。

アーロン(2年生♂)→役者。元野球部。高校から演劇始める。

エーレン(2年生♂)→役者。元サッカー部。高校から演劇を始める。

カジカジ(1年生♂)→役者。名前にちょっとコンプレックス有。

キーヤン(1年生♂)→役者。歌はうまい。

マリーナ(1年生♀)→役者。少年の声が出せる。ナレーションうまい。


*モブキャラが多いのは演劇部のメンバーが足りなかったからだよ。(主要キャラ全部演劇部員にするのも変だしね)

*原作のモブの名前が判明すれば……途中加入もあるかもです。

*あ、外伝のキュクロとシャルルも出てます。二人は野球部投手とマネージャー。


*そんな訳で、現パロ(エレン視点編)を始めます。OK?

892S:2014/07/22(火) 08:35:01 ID:ugNHFVGE0
あああああ

893S:2014/07/22(火) 08:35:18 ID:G/Np1jc20
あああああ

894S:2014/07/22(火) 08:35:48 ID:G/Np1jc20
あああああ

895進撃の名無し:2014/07/22(火) 08:38:59 ID:05njGAbo0
ジャン「でもオレも誰かさんのおかげで片思いの辛さは身に染みているからな」

エレン「うぐっ……!」

やっぱり抜け駆け的に先にミカサに告白した事をまだ根に持ってやがるなこいつ。

ジャン「出来る事なんて何もねえだろうけど、心の中でひっそり応援させて貰うぜ」

と、そう言いながら、ジャンは昼飯を食い終わったのだった。







そして10月3日。文化祭の前日。

その日は丸一日、準備の為に時間が設けられて最後の追い込みとなった。

クラスの出し物である『コスプレ写真館』は写真さえ出来上がってしまえば、後はそれを飾っていくだけだったのでそこまで面倒な作業ではなかった。

壁を一面、一色に統一して、椅子も用意して休めるようにして、端っこで写真を撮れるようにスペースを作る。

ユミルの采配が的確だったからか、予定していた時間より早く全ての準備が終了したのだった。

ユミル「ふーこんなもんかな。上出来だな」

と、出来上がった教室を眺めてユミルが言った。

エレン「イイ感じに出来上がったなー」

ユミル「まあな。いや、まさかこんなに皆、協力的に仕事をやってくれるとは、始めた当初は思ってなかった。絶対、誰かサボる奴が出てくると思っていたんだがな」

エレン「やっぱり、ナンダカンダで皆、楽しかったんじゃねえの? 準備が」

ユミル「そうかな。ま、今回の出し物はアルミンが言いだしっぺだし、あいつが陰でいろいろサポートしてくれたのも大きいけどな」

エレン「ああ、なるほど……」

むしろ気合入れすぎて「大丈夫か?」と言いたくなる程、頑張っていたもんな。アルミンは。

他の男子も割と好意的にコスプレ写真館に参加してくれたのは、やっぱりアルミンの戦略のおかげだろう。

ユミル「あと、サシャの家に協力して貰ったのも大きい。勿論、広告は入れさせて貰うけど、それにしたってすげえ安上がりで撮影させて貰ったしな」

エレン「サシャが何気に活躍していたな。今回は」

ユミル「ああ。あいつには個人的に何か、餌付けしてやらねえとな」

サシャ「はいはい?! 何か呼びましたかユミル?!」

ユミル「後でな。後でご褒美やるって言ってんの」

サシャ「マジですか?! 今、下さいよ!」

ユミル「文化祭が終わってからな!」

とか何とかいろいろしゃべりながら、皆、教室でまったりムードだ。

出来上がった写真を眺めてそれぞれ感想を言い合っている。

896進撃の名無し:2014/07/22(火) 08:46:26 ID:05njGAbo0
ミカサ「エレン、エレン」

エレン「ん? どうした?」

ミカサ「エレンの王子様、格好いい…(うっとり)」

エレン「ああ、眠りの森の美女か」

ミカサは目を閉じている。それにキスしようとしているオレがいる。

ミカサ「キスをする時は目を閉じる事が多いので、エレンがどんな顔をしているのか、一度見てみたかった」

エレン「あれ?! それが目当てでそれを言い出したのか?!」

ミカサ「うん……ごめんなさい(照れる)」

エレン「ああ、別にいいけど。何だよ。何か照れるなそれ」

オレも釣られて照れていると、その隣には、ぷりきゅあの恰好で戦うミカサとアニの、合成写真があった。

エレン「おお! ちゃんとアニメになぞって構図を作ったのか。なんか、こういうシーンあったよな」

ミカサ「そうなの? エレンはぷりきゅあ見た事あるの?」

エレン「子供の頃、ちらっとな。割と格闘シーンが多かったから、男の子も見れる女の子向けアニメだったぞ」

ミカサ「そうなのね。私の家は小さい頃、テレビがなかったので知らなかった」

エレン「え? そうなのか」

ミカサ「うん。母がそういう方針だった。中学に上がってからようやくテレビがうちに来たので、それ以前のテレビの話題についていけなくてがっかりした記憶もあるけど」

おお、それは現代人にとってはきつい生活だな。

897進撃の名無し:2014/07/22(火) 08:54:04 ID:QmzC0LLo0
ミカサ「でもその分、テレビが見れない時間は身体を動かしていたりした。子供の頃に鍛えたので今の自分がいるのだと思う」

エレン「なるほど。いいこともあるな」

ミカサ「うん。なので、昔の作品は今からでも観ようと思う。ぷりきゅあも今度まとめて観てみる」

エレン「大きくなってから昔の作品を観るのも味があっていいぞ」

見え方が変わってくるからな。オレはたまにそういう見方もしたりする。

ヒッチ「やっぱり次元、やばいって! これ、ファン泣いちゃうんじゃない?」

ジャン「うるせえな! 格好いいだろ?!」

マルロ「まあ、悪くはないが、何か違う感があるな」

マルコ「まあまあ、そこはほら、役に入っている訳だから」

と、ルパンチームも何やら話している。

そう言えばジャンの次元、まだ見てねえや。

ミカサと一緒に移動して見てみると、あ、確かにこれは何か違う。

エレン「ジャン、お前、思い切ったな……」

ジャン「エレンまで言うのかよ?!」

エレン「いや、まあ、悪くはないんだけど。ちょっとナルシスト入ってるぜ」

マルロ「ああ。それは俺も思ったな」

ジャン「うぐぐぐ……」

可哀想だがそれが現実だ。まあでも、ヒッチの富士子ちゃんが似合ってるからいいんじゃねえかな。

898進撃の名無し:2014/07/22(火) 09:09:32 ID:05njGAbo0
アルミン「ユミル、お釣りの方は大丈夫? 小銭足りそう?」

ユミル「ああ、一応、多めに用意はしているぞ」

アルミン「1枚100円で売る訳だから、千円を出す人の為に500円硬貨と100円硬貨は多めにね。あと、万札出す人もたまにいるから、5千円札も少しはあった方がいいって、マーガレット先輩が言ってたよ」

ユミル「あ、5千円の存在は忘れていたな。分かった。明日の朝までに万札を崩しておくよ」

と、つり銭の事について話し合っている。

アルミン「この間、コミケ行ってきた時にいろいろ、ノウハウは聞いておいたよ。電卓はある? 暗算出来る子はいいけど、一応用意した方がいいらしいよ」

ユミル「それは大丈夫だ。サシャとコニー用に真っ先に準備しているからな」

コニー「なんか言ったか?」

ユミル「いや、別に」

と、コニーの声にユミルは誤魔化す。

ユミル「あと何かやる事あったかな……忘れていそうで怖いな」

ベルトルト「アンケート用紙を書くスペースに飴玉とか置いたらダメかな? 無料で」

ユミル「ああ、それはいいかもしれないな。ちょっと疲れた時ように置いておくか」

と、当日までにする事を追加するユミルだった。

ユミル「よし、皆! とりあえずこれでクラスの出し物の準備は終了だ! 部活ある奴は行ってきていいぞ! あと、他のクラスの事が気になる奴は見に行って来い! 私が許す!」

一同「「「はーい」」」

という訳でオレも他のクラスの準備をこっそり覗きに行く事にした。

899進撃の名無し:2014/07/22(火) 10:28:09 ID:pDPmBMOQ0

キス前のエレンが見たいミカサかわいい

900進撃の名無し:2014/07/22(火) 10:31:56 ID:05njGAbo0
オレとミカサは2人で他の教室を見て回る事にした。

エレン「まずはどこ行く?」

ミカサ「マーガレット先輩のところの占い館をみてみたい」

エレン「そうだな。ちょっと覗いてみるか」

という訳で最初は2年1組に行ってみる事にした。

エレン「あ、マーガレット先輩がコスプレしている」

廊下を歩いていた先輩を見つけて声をかけた。占い師っぽい格好になっている。

マーガレット「あ、エレン、ミカサ。そっちは準備終わった?」

エレン「あ、はい。大体終わったんで解散しました。後は本番を待つだけです」

マーガレット「そっかそっかーそっち、フライングで見に行きたいけど、今、宣伝中なんだよね。あ、良かったら当日も遊びに来てね」

ミカサ「はい。勿論。あの、占いはどんなものをするんですか?」

マーガレット「いろいろやるよ。タロット、12星座、血液型、手相……全部まとめてやっちゃう感じ。何なら今、試しに二人の相性占いやってあげようか?」

ミカサ「是非お願いします(キリッ)」

マジか。やった。ラッキー。

という訳で2年1組にお邪魔してオレ達はマーガレット先輩に占って貰う事になった。

マーガレット「誕生日を教えてくれる?」

エレン「3月30日です」

ミカサ「2月10日です」

マーガレット「お羊座ボーイと水瓶座ガールか……あ、相性は悪くないみたいだよ」

本当か。それは良かった。

901進撃の名無し:2014/07/22(火) 10:42:35 ID:05njGAbo0
マーガレット「エレンはねー『実直で男気があり、常に前向きで好奇心の旺盛な行動派』だってさ。当たってる?」

エレン「男気は分かりませんが、まあ行動派っていうのは当たってますね」

ミカサ「そんな事はない。エレンは男気がある」

エレン「あ、そうなのか? 自分じゃ良く分からんが」

マーガレット「ミカサはねー『恋愛に関しては興味津々。好奇心が旺盛』とあるけど、つまり結構、エッチって事?」

ミカサ「うぐっ!? (赤面)」

ああ、まあ、間違ってはいないな。

ミカサ「え、エッチかもしれない……(赤面)」

マーガレット「へーそうなんだ。やるー(口笛)」

エレン「先輩、続き」

マーガレット「あ、はいはい。2人の相性だと、どうもミカサの方がエレンに惚れ込む可能性が高いとあるね。ミカサから告白したの?」

エレン「あ、いや、それはさすがにオレからですけど、へーそうなんだ」

オレって結構、愛されているのかな。だとしたら嬉しいけど。

マーガレット「2人の恋愛関係を保つには、彼氏側が常に変化のある内容の濃いデートを心がけるといいでしょう。ってあるよ。マンネリは厳禁みたい。エレン、ミカサにちゃんと構ってあげないとダメみたいだよ」

エレン「あ、そっか…デートか」

そう言われて気づいた。オレ達、まだまともなデート、2人でしてねえ。

エレン「今度、落ち着いたら2人でどっか行くか?」

ミカサ「え、エレンに任せる……(ゆでだこ)」

マーガレット「相性は相性度数だと10段階中9、パーセントの方だと75%以上ってあるから、かなり高めだね。いいんじゃない? なかなか」

エレン「おお、思っていたより相性いいんですね」

それは嬉しいな。素直に嬉しい。

902進撃の名無し:2014/07/22(火) 11:11:40 ID:05njGAbo0
マーガレット「ええっと、ついでに運命の人も占ってあげよう。エレンは『自分の言い分に耳を傾けてくれる、自然体な自分でいられる人』で、ミカサは『頭脳よりも感覚で動く人』とあるね。当てはまっているなら、お互いが運命の人かもしれないよ?」

エレン「あーそうだと嬉しいですね」

頭で考えるより体が先に動いちまうタイプのオレは、ミカサの運命のパートナーに当てはまるのかな。

もしそうだとしたらいいな。ミカサが運命の人であって欲しい。

エレン「あの、ついでに他のカップルを占うのって出来ますかね?」

マーガレット「出来るよ。誕生日だけで占えるから」

エレン「では、リヴァイ先生とハンジ先生、こっそり占って貰えないですかね?」

ミカサ「エレン?! ま、まさか、エレンはやっぱり、リヴァイ先生贔屓……」

エレン「いや、そういうんじゃないけど、ほら、あれだけ喧嘩ばっかりしているから、相性悪いんかなと思ってな」

と、いう言い訳をしつつ、ちょっと打診してみた。すると、

マーガレット「ええっと、誕生日はいつだっけ?」

エレン「リヴァイ先生は12月25日だそうですけど、ハンジ先生が分からないんですよね」

マーガレット「あ、待って。だったらメールで聞いてみる」

という訳で、尋ねたところ、

マーガレット「9月5日だって。誕生日過ぎていたんだ。こりゃ後でプレゼントしないといけないね」

といいつつ、今度はリヴァイ先生とハンジ先生の相性を占う事になった。

マーガレット「ええっと、リヴァイ先生は『ルール重視、誠実だが融通の効かないタイプ』でハンジ先生は『思慮深く、慎重なこだわり派』とあるね。山羊座は『一見大人しめに見えるけど、内側は情熱家。唯我独尊的に融通が効かない時があるのが欠点。誠実で朴訥な一方、その内在パワーは相当な物。誠実さの押し付け過ぎで彼女側が息苦しくならない様に気を付けよう』ってあるけど、何かやらかしたの? エレン」

エレン「ぶは!!!!」

スカート事件の事だなこれ。すげえ! 当たってる!!

マーガレット「まあいいや。続けるよ。乙女座は『様々な術数で恋愛相手をいろいろと振り回す事がありますが、いざという時は本音を必ず出してくるので、彼女のサインを常によく見極めてあげましょう』とあるね。『几帳面で神経質。ピュアでロマンチックな面もあり、いくつになっても夢を持ち続ける乙女チックなロマンスを求めすぎる事も。異性に関してはチェックは厳しい方です』ともある。あれ? でもハンジ先生って、几帳面でもないし、神経質でもないよね? 当たってない?」

エレン「あーまあ、でも、ロマンチストであるのは間違いないですよ」

いまだに「青春」や「トキメキ」を追い求めているんだから間違いない。

903進撃の名無し:2014/07/22(火) 11:33:16 ID:05njGAbo0
マーガレット「あ、そうなんだ。じゃあまあ、その辺は大体合っていればいいか。相性度数が6で、%の方が90%っていう、変な数字が出ているね。まあでも、同じ『土』の属性同士だから相性は悪くない筈だよ」

エレン「土? 何ですかそれは」

マーガレット「ええっと、RPGゲームでいうところの『属性』みたいなもので、エレンは「火」でミカサが「風」属性になるんだ。リヴァイ先生が「土」でハンジ先生も「土」なるんだよ」

エレン「そうなんですか。オレは勝手なイメージでハンジ先生は「風」かなと思ってましたけど」

マーガレット「自由奔放なところがそう見えるよね。でも、案外中身は違うのかもよ? 土属性の人はどっしりとした価値観を持っていて揺らぐことが少ない事が特徴だって。所謂、大器晩成型が多いのが特徴だよ」

エレン「へーそうなんだ」

マーガレット「属性の観点から言えば、火属性と風属性は、またちょっと結果が違ってくるんだけどね」

エレン「え?」

マーガレット「いい時はいいけど、悪い時はとことん悪い……そんな感じで波乱万丈な感じになりそうよ。悪い方の結果も聞きたい?」

エレン「うー怖いけどお願いします」

マーガレット「分かった。あのね、ぶっちゃけると、風属性のミカサがある程度、エレンの頑固な面に目を瞑らないといけないみたいだよ」

ミカサ「目を瞑る?」

マーガレット「うーん、今はまだ見えてないかもしれないけど、エレン、相当頑固な気質を持っていて、一度「こうする」と決めたら梃子でも動かないのよ。心当たりあるでしょ」

エレン「うー……中らずと雖も遠からずな気がしますが、そうですね。当たっていると思います」

マーガレット「ただ、他人から言われてもどうってことない事が、風のミカサに言われると「カチン」と来たり、喧嘩の原因になったりする事もあるそうよ。そこは気を付けようね」

ミカサ「わ、分かりました……」

何だか未来を案じているようで怖いな。まあ、でも一応、耳に入れておこう。

904進撃の名無し:2014/07/22(火) 12:12:25 ID:05njGAbo0
マーガレット「リヴァイ先生とハンジ先生は同じ「土」同士だから、恋愛に関しては物凄く時間がかかるのが特徴だね。所謂「遅咲きの恋」になりやすいのが土属性の特徴だから。逆に火属性のエレンは結構、最初からガンガン行くタイプでしょ?」

エレン「えっと、はい。まあ、結果的にはそうなりましたね」

好きになってから、堪え切れずにすぐ告白しちまったからな。

マーガレット「やっぱりね。まあでも、基本的に火と風は相性いいから。心配はしなくていいと思うよ。大丈夫」

エレン「そうですか……」

そう言って貰えると嬉しいな。

マーガレット「むしろ心配なのはリヴァイ先生とハンジ先生の方だね。ずっと同じ関係のままでいるつもりなのかな」

ミカサ「ハンジ先生はモブリット先生の方がいいと思います(キリッ)」

マーガレット「ええ? でも、私はリヴァイ先生、本当はハンジ先生の事、好きなんだと思うけどなー。ハンジ先生も、かなりリヴァイ先生に依存しているでしょ。どう見ても」

と、マーガレット先輩もいろいろ気づいているようだ。

先輩達はオレ達よりも長く2人の関係を見ている筈だから、そう思うのも無理ねえと思う。

ミカサ「でも、リヴァイ先生は乱暴過ぎる。ハンジ先生が可哀想」

マーガレット「いや、そこはSとМがうまく噛みあうんだったら相性がいいって事になるし」

さすが腐った女子。観点がそこから始まるのか。

ミカサ「うむむ………でも、しかし」

マーガレット「ま、どれだけ相性が良くても、結局は本人達がどうするかだもんね。占いはあくまで天気予報みたいなもんだから、当たってる時は頷いて、当たってないところはスルーでいいよ」

と、ケロリとしたもんだった。

そんな訳でマーガレット先輩のところは一旦、出て今度は別の教室に向かう事にした。

エレン「次は何処に行こうかな〜あ、次はガーネット先輩ところに行くか」

確か手芸店をやっていた筈だ。ミカサが好きだから、見に行こう。

905進撃の名無し:2014/07/22(火) 12:24:22 ID:05njGAbo0
一旦、区切ります。休憩します。ではまたノシ

906進撃の名無し:2014/07/22(火) 16:05:45 ID:05njGAbo0
お邪魔すると、そこにはいろんなぬいぐるみや可愛いグッズ。あと皿とかタオルとかも売ってあった。

ここは小さなフリーマーケットみたいなブースだな。バザーだからそうなるか。

ガーネット「あ、エレン、ミカサ。そっち、終わったんだ」

エレン「はい。準備は終了しています。もう終わりました?」

ガーネット「うん。大体。まあ、コミケでこういうのは慣れているから段取りは楽勝よ」

値札シールまでちゃんとついている。おお、すげえ。うちはそこまではしてない。

ミカサ「ふおおおおおおお………(キラキラ)」

ミカサが興奮している。欲しい物が見つかったようだ。

丸っこいゆるキャラらしき何かを触っている。

ミカサ「これ、欲しい……(フニフニ)」

ガーネット「ありがとう。でも予約は出来ないから早めにうちに来てね」

ミカサ「分かりました。すぐに来ます(キリッ)」

ミカサは本当に可愛い物が好きだよな。どんどん部屋を占領されていきそうだ。

ガーネット「今日は演劇部の方はどうなるのかな。クラスによっては進行状況が違うから、練習出来ないかもしれないけど。ジャン、何か言ってた?」

エレン「あーそっか。カジのところは人形劇もやるから練習大変だって言ってたな」

声は別撮りで、それに合わせて動きをつける人形劇をやるそうだ。

多分、今頃、舞台の上で最終チェックをしている最中だろう。

エレン「ジャンは多分、どっちでもいいっていいそうですね」

ガーネット「どのみち、場見は文化祭1日目が終わってからになるけど、今日は他のクラスの練習もあるから、舞台での練習は難しいんじゃないかな」

エレン「やるなら音楽室ですかね」

ガーネット「うん。そうなるかも。後で一応、一回音楽室に集合しようか」

エレン「了解しました」

という訳で、下見が終わったら音楽室に移動する方針になった。

エレン「他に見たいところ、あるか?」

ミカサ「食品ブースも見てみたい」

エレン「お、そうだな。そっちも見てみるか」

という訳で今度は食品ブースに足を運んでみるとする。

907進撃の名無し:2014/07/22(火) 16:23:20 ID:05njGAbo0
第一体育館が舞台中心だとすると、第二体育館が食品ブースだ。

雨天の時も考えて、体育館の中で食品販売をするそうだ。

オレはこういうの、小さい頃、外でやっているのしか見た事ないけど、体育館の中でやるっていうのはちょっと斬新だなと思った。普通は外にテント張ってそこで作るもんな。

でも、いろんな店が並んでいるのを見ると出店を思い出す。お祭りみたいだ。

文化祭のパンフレットには食品ブースの配置も確か掲載されていた筈だ。

ちょっと確認しよう。


     【舞 台】

カレー屋       アイスクリーム屋
(3年1組)     (2年10組)

ヤキソバ       ミックスジュース
(3年6組)     (2年2組)

お好み焼き      わたあめ
(3年7組)     (2年5組)

焼鳥屋        クレープ屋
(2年6組)     (1年6組)

たこ焼き屋      から揚げ屋
(2年4組)     (1年8組)


     【入 口】

908進撃の名無し:2014/07/22(火) 16:38:04 ID:05njGAbo0
こんな感じだ。通路は広めに取られていて、入り口側にはテーブルと椅子も有り、そこで食べられるようになっている。

あと食品ブース以外にも、食べるところは当然ある。

和風甘味とか、あと料理部の調理室とか。麻雀同好会と棋道部(将棋)も部室の室内で喫茶店をするらしい。

茶道部ではお茶を飲めるんだったかな。お菓子も頂けるらしい。

園芸部は苗を販売するって書いてあった。グラウンドにテントを作ってそこで販売するそうだ。

校門の方は何やら凄いでかい立体造形物が出来上がっていた。

なんだアレ?! 巨人か?! 顔が怖いけど。上半身だけの、変なのが出迎えている。

壁画の方はでっかい校内案内図を描いたようだ。それを入り口のところに立てて、分かりやすく立札も作られていた。

エレン「すげえ……なんか、こう、わくわくしてきたな」

ミカサ「うん……明日が凄く楽しみ」

エレン「全部見て回れるかなー時間足りねえ気がする」

ミカサ「エレン、どうしても行きたい場所を予めピックアップしておくべき」

エレン「そうだな。明日に備えてそれ、やっておくよ」

という訳で、第二体育館の中の方に入ると、ペトラ先輩、オルオ先輩がエプロン姿で出迎えてくれた。

ペトラ「あ、エレンだ。ミカサもこっちに来た。前売り券、要る?」

エレン「え? 前売り券?」

ペトラ「あれ? 知らないの? 希望者は前売り券買えるよ? これあった方が会計早く済むから、こっちとしては有難いんだけど」

エレン「あ、そうだったんですか。すんません、見過ごしていました」

ミカサ「では1枚ずつ、買います」

ペトラ「はいはい。1杯300円だよ〜」

エレン「やす! え? それ、なんでそんなに安いんですか?!」

ペトラ「あ、大盛りなら400円だよ。特盛が500円。量に合わせて値段が変わるよ」

エレン「ど、どれくらいが並なんですかね」

ペトラ「んー……口で説明するのは難しいわね。しゃもじでご飯1回が並。2回が大盛り。3回以上が特盛かな?」

なるほど。それならオレは大盛りにしよう。

909進撃の名無し:2014/07/22(火) 16:55:31 ID:05njGAbo0
ミカサ「私も大盛りにします」

ペトラ「毎度あり〜そっちも準備終わったのかな?」

エレン「はい。もう終わっているんで他のブースの様子を見に来ました」

オルオ「そうか。俺達もそっちに行きたいが、もう少し時間がかかりそうだ」

ペトラ「うん。下ごしらえがね。あと、もうちょい」

エレン「あ、すんません。作業邪魔して」

ペトラ「いやいや、いいのよ。ちょっと休憩もしないとね」

オルオ「他のところもぼちぼちって感じだな。明日に備えて、ある程度終わったら早めに寝ろよ」

エレン「そうですね。遠足前の子供みたいになりそうですけど」

ミカサ「私もなりそう」

ペトラ「気持ち分かるわ〜私らもそうなるかも」

と、笑いながら雑談して、他のブースに移動した。次はスカーレット先輩のところだ。

スカーレット「お? ご両人、前売り券買わない? 1枚100円だよ」

エレン「どんなジュースがあるんですか?」

スカーレット「ミックスだから、自分で選べるんだよ。オレンジ、りんご、パイナップル、いちご、キウイ、バナナ、ヨーグルト、大体何でも揃っているよ」

エレン「へーそうなんだ。美味しそうっすね」

ミカサ「オレンジとりんごとヨーグルトで」

エレン「オレも同じのでいいかな。カレーにミックスジュースが合うのか分からんけど」

スカーレット「た、多分、合うんじゃない? んじゃ、前売り券渡すね。はい」

と、言う事でこちらも前売り券を買う事になった。

エレン「アーロン先輩んとこも行くか」

ミカサ「たしか、たこ焼き屋だった筈」

という訳で、次は2年4組のブースに移動した。

アーロン「お? エレンとミカサが来たな。前売り券、買わないか?」

やっぱり前売り券を推している。まあ、いいか。買って行こう。

エレン「いくらですか?」

アーロン「8個入りで400円だ。4個だと200円になる」

エレン「あ、こっちも量に合わせて値段変えているんですね」

アーロン「ああ。子供連れの客も想定して設定しているんだ。子供だけが食べる場合は4個で十分だろ」

エレン「へー。なるほど。だからカレー屋も量によって値段変えてあるんだな」

アーロン「ま、その分こっちは手間がとられるが、そこは仕方がない。何個買う?」

エレン「じゃあ8個を1枚。ミカサと一緒に食べます」

アーロン「了解。毎度あり〜」

さてさて。とりあえずこんなもんかな。時間的に、見て回れるのは。

前売り券を買ったオレ達は一度教室に戻って、荷物を持って音楽室に移動した。

910進撃の名無し:2014/07/22(火) 17:23:28 ID:05njGAbo0
音楽室にはジャンとマルコとアルミン、アニ、後、エルヴィン先生とリヴァイ先生が先に来ていた。

リヴァイ「ああ、2人ともこっちに来たのか」

エレン「はい、一応。今日の練習はどうしますか?」

リヴァイ「舞台の方が使えないからな。音楽室でやるしかないが……2組は人形劇の方の練習もあるから、通しの稽古は出来そうにない。今日は出来る部分だけ、やっていく方針にしようと、さっきジャンと話していた」

エレン「分かりました。衣装に着替えますか?」

リヴァイ「いや、今日はもう軽く流す程度でいい。今日、衣装を洗濯して明日中に乾かして、本番まで衣装を汗で汚さない様にしたい」

エレン「て、徹底してますね」

リヴァイ「やるんだったら、汗臭い衣装でやるより、綺麗な衣装できっちりやりたいだろ」

確かに。今までの練習のせいで相当、汗は染み込んでいる筈だ。

そう言う訳で、その日の練習は音楽室で軽めの練習になった。今までの復習のような練習だ。

仕上がりは上々だと思う。このまま無事に進めばいいな。

………と、思ったその時、何故か嫌な予感がした。

そうだ。前回も同じことを思った瞬間、トラブルが起きた。

尺がオーバーしたり、衣装を破ったり。

フラグ乙! っていう事だよな。いかんいかん。考えたらいかん。

そう、思っていたのに。



フラッ………



練習の途中で目の前で、リヴァイ先生が片膝をついたんだ。

ミカサ「? どうしたんですか?」

リヴァイ「……何でもない。ちょっと汗で足を滑らせた」

そんな雰囲気じゃなかった。おかしい。

異変に気付いたのはオレだけじゃなかった。エルヴィン先生もすぐに険しい顔になって、

エルヴィン「リヴァイ。今日の睡眠時間を言いなさい」

リヴァイ「ちゃんと6時間は寝ているぞ」

エルヴィン「それは、横になっただけで、本当は寝ていないんじゃないかい? 誤魔化してもダメだよ」

リヴァイ「………ちっ」

え? リヴァイ先生、寝てないのか? 何で……。

リヴァイ「夕べ、紅茶を飲み過ぎたかな」

エルヴィン「自分を誤魔化すんじゃない。何か、気にかかる事でもあるんじゃないのか」

リヴァイ「……………」

リヴァイ先生は答えない。何でだろ。

911進撃の名無し:2014/07/22(火) 17:56:10 ID:05njGAbo0
リヴァイ「てめえのせいだろ。エルヴィン」

そして大分、間をとってから絞り出すような声でリヴァイ先生が答えた。

エルヴィン「私?」

リヴァイ「お前が意味深に笑うから、気になって仕方がないんだ。明日、何か仕掛ける気じゃないかって」

エルヴィン「ああ、その事……別に何も仕掛けないよ。私は」

リヴァイ「本当か? ハンジの奴にも一応、確認したが、あいつはミスコンには出ないと言っていた。あの時笑っていたのは、その件じゃないんだよな?」

エルヴィン「うん。ハンジはミスコンには出ないからね。出るのはフィーリングカップルと野球拳の司会だ」

リヴァイ「そのどちらかで、何かする気なんじゃないのか? エルヴィン」

エルヴィン「だから、私は何もしないって。どうしてそう疑うんだい?」

リヴァイ「………お前、オレとハンジがくっつけばいいと心の中で思ってないか?」

見破った! 遂に見破った! というか、言っちまった!

エルヴィン「お似合いだとは前々から思っているよ。でも、それを決めるのは君達次第だろ?」

リヴァイ「いや、そういう類の物じゃなくてだな。……まあいい」

リヴァイ先生、その勘は当たってます。エルヴィン先生、賭け事してますから。

意味が若干違う事をなんとなく悟っているんだろう。リヴァイ先生は苦々しい顔だ。

リヴァイ「明日、ハンジとモブリット先生がフィーリングカップルに出るんだから、それを切欠に、2人が付き合い出せば、俺の役目も自然に消えていくだろう。俺はそれまでの、繋ぎでいい」

なんだそれ?! えらい自虐的な発言ですよ?!

この間、飯を作り続ける約束をハンジ先生としたばかりなのに、何でそうなるんですか先生!?

エルヴィン「そうやって、前もって最悪の事態を想定して心を準備する癖、相変わらずだね」

リヴァイ「最悪じゃない。むしろ最良だ。ハンジが幸せになる選択をして欲しいと、友人として、思っているからな」

うわああああ……もう、殴りてえ。リヴァイ先生を殴りてえ。

拳をプルプルさせて、俺は必死に自重した。

ここでこっそり、エルヴィン先生がウインクしなかったら、多分、殴っていたと思う。

912進撃の名無し:2014/07/22(火) 18:05:25 ID:05njGAbo0
エルヴィン「友人ね。便利な言葉に甘えているのはリヴァイだけなのかな?」

リヴァイ「は?」

エルヴィン「まあいい。今日の練習はここまでにしよう。体力温存も大事だしね」

という訳で、その日の練習は軽めに済ませてオレ達は帰る事になった。

帰り際、エルヴィン先生はオレにこっそり耳打ちした。

エルヴィン「明日のフィーリングカップル、爆弾仕掛けておいたから。今のやりとりで、着火準備は整ったよ」

エレン「!」

ああああああやっぱり、ミスコンじゃなくて、そっちが本命だったんだ。

つまり、ミスコンはブラフ! リヴァイ先生の気持ちを揺さぶる為の、ただのダミー。

うわああああどうなるんだ。嫌な予感しかしねえええええ!

ミカサ「エレン?」

エレン「い、いや何でもねえ……」

他人事だけど、何かもう、可哀想になってきた。リヴァイ先生が。

でもその事を誰にもいう訳にもいかず、オレは項垂れながら家に帰るしかなかったのだった。






そして遂に10月4日。文化祭1日目が始まった。

学校の先生の挨拶、諸注意があって、舞台設営が早速始まる。タイムスケジュール上は10;00から開始だけど、早く準備が済んだら、フライングで開店しても構わない。

オレ達はまずは自分の教室に戻って、店番のローテーションを確認したのち、各自自由時間となった。

913進撃の名無し:2014/07/22(火) 18:50:11 ID:05njGAbo0
オレ達演劇部員は1日目の方のローテーションに主に入れて貰った。2日目は殆どこっちに来ることが出来ないからだ。

後、接客に向いてない奴はそう長い時間は入らせない。

計算が得意な奴と、人当たりのいい奴は少し多めに負担して貰う事になった。

ちなみに店番のスケジュールはこんな感じだ。


文化祭 1日目 

コスプレ写真館 店番ローテーション

10:00 ユミル クリスタ アルミン ダズ

11:00 ライナー ベルトルト トム ユミル

12:00 サシャ コニー アルミン クリスタ

13:00 ミーナ ハンナ フランツ マルロ

14:00 ミリウス ナック サムエル トーマス

15:00 ジャン マルコ サシャ ヒッチ

16:00 アルミン アニ ライナー ベルトルト

17:00 エレン ミカサ ジャン マルコ


オレとミカサは接客にはあまり向いていないので夕方の17:00からの1時間だけ店番をする事になった。

アルミンは計算が早いから3回入る事になっている。というか、本音はコスプレ写真を眺めたいんだろう。

914進撃の名無し:2014/07/22(火) 19:06:28 ID:05njGAbo0
という訳で、ここから先は暫くは自由に散策できる。

ミカサ(ウズウズ)

エレン「ミカサ、あのぬいぐるみ、買いに行くか?」

ミカサ「い、行ってもいいの?」

エレン「ああ、早く買わないと売り切れるかもしれないだろ? 一緒に行くぞ」

という訳でさっさと移動する。バザーの方のお客さんはボチボチだった。

ミカサはぬいぐるみ以外にもいろいろ吟味しているようだ。ついでに他の物も買うようだ。

エレン「オレはどうしようかなー」

と、商品を眺めていると、籠の中に大量の懐かしいゲームソフトがあった。

誰かが要らなくなったゲームソフトを出したのかな。ごそごそ漁っていると……

思わぬ掘り出し物を見つけてしまったのだ。

エレン「何?! これ、ゲームボーイ版のSAGA3〜時空の覇者〜じゃねえか! 今、これなかなか手に入らないんだぞ?!」

DS版は持っているが、白黒時代の方のSAGA3は持っていない。かなり古いゲームだからだ。

エレン「やっべええええ! いくらだ? 100円?! 馬鹿だ?! これ、売るところ、絶対間違えているぞ!」

やった! 超ラッキー! これ、買って行こう♪

白黒の方のゲームボーイは確か親父が保管していた筈だ。1回やってみたかったんだよな。これ。

ミカサ「エレン、買い物終わった」

エレン「オレも終わった。いやー超いい買い物したぞ。早めに来て正解だった」

ミカサ「それは良かった。次はどこに行こう?」

エレン「ん〜そうだな。>>915に行ってみるか」

>>719>>721>>722を参照。舞台でも可)

915進撃の名無し:2014/07/22(火) 20:24:02 ID:W465hvA.0
お化け屋敷(・∀・)

916進撃の名無し:2014/07/22(火) 21:00:15 ID:05njGAbo0
エレン「お化け屋敷行こうぜ。お化け屋敷!」

ミカサ「お、お化け屋敷? (ドキッ)」

エレン「なんだ? お化け怖いのか? (ニヤニヤ)」

ミカサ「べ、別に怖くはない」

エレン「へーそうなのか。じゃあ行こうぜ♪」

オレ、こういうアトラクション系の物も好きなんだ。わくわくするだろ?

お化け屋敷のある1年5組に向かうと、まだ時間帯が早いおかげか、人の数はそこまで多くなかった。5分くらい待ったらすぐ順番が回ってきた。

受付「はい。男女ペアの方は割引価格で御1人様1回100円です。それ以外だと200円になります」

エレン「分かりました。はいどうぞ」

受付「では、ごゆっくり〜」

中に入ってミカサと手を繋いで進んでみると、そこは真っ暗な空間だった。

エレン「おお! 意外と本格的だ。教室が真っ暗だ」

ミカサ「エレン、手を離さないで」

エレン「おお。足元気を付けろよ………うお?! (ベチ!)」

こんにゃくが降ってきた。定番だけどびびる!

ミカサ「ひゃああ! 足元に冷風が! (ドキドキ)」

エレン「さむ! くそ! 地味に攻撃してくるな!」

と、恐る恐る次に進む。そして、壁沿いに落ち武者の首が沢山並んでいるのを見た。

うわあああ! 生首来たああああ!

くるっとこっち向いたあああああ! 全員一斉に来たああああ!

ニタリと、笑ってくる。これ、人形なんだろうけど、すげえいい出来だな。

生首役「人形だと思った? 残念! 本物でした! (生首役の人が出てくる)」

エレン「うわああああああ?!」

生首役「ははははは! いいね! その反応! はい、飴ちゃんあげるよ」

と、何故か飴ちゃんを貰って次に進む。

エレン「あーびっくりした。人形の中に本物が混ざっているなんて、思わなかった」

ミカサ「びっくりしたー(ドキドキ)」

とまあそんなこんなで、ゆっくり進む。ミカサとの距離は近いまま。

917進撃の名無し:2014/07/22(火) 21:15:14 ID:05njGAbo0
ミカサの胸がオレの二の腕に当たっている。当ててんのか?

まあいいや。しっかり握ってくれていた方が助かる。

あ、小さな小池がある。ここは跨がないと進めないみたいだな。

エレン「よいっしょ」

と、マリオになった気分で池の中の小石をちょんと乗って、飛び越えていると、

河童役「きゅうりをおくれええええ(壁から出てきた)」

エレン「うあああああ?! (*死角の外だった)」

ミカサ「?!」

河童役「きゅうりをくれないと悪戯するぞおおおおお!」

それ、ハロウィンだからな! 間違っているぞ!!

河童のおねだり攻撃をかわして先に進む。

今度は回転ドアを潜って先に進まないといけないようだ。

ミカサと一緒に狭い回転ドアを潜る。キス出来るような距離感に、思わず、ドキッとするけど。

回転ドアを何度も通り抜け、出た先には、いきなり両手が壁から飛び出てびびった!

何だよもう! 予想してねえ攻撃ばっかりくるな!

お化け屋敷だからしょうがねえけど、意識が別のところにいっている隙に攻撃がくるもんだから、本当、びびる。

そんな感じで時間にしては15分くらいでクリア出来る簡単なお化け屋敷だったけど、結構面白かった。

ミカサの息がちょっと荒くなっていた。びびったんだな。

ミカサ「はあ……はあ……結構、ドキドキした」

エレン「おう。オレもだ。予想出来ねえ攻撃ばっかりだったな」

ミカサ「エレンと回転ドア、潜ったの、楽しかった……」

エレン「ああ、オレもアレは別の意味でドキドキしたな」

ミカサ「うん……楽しかった(赤面)」

ああああもう、可愛い。ミカサ最高だ!

今、オレ、人生の絶頂期なんじゃねえかな。そう思うくらいに気分が浮かれてしまう。

918進撃の名無し:2014/07/22(火) 21:32:06 ID:QmzC0LLo0
エレン「次は何処に行ってみる? 今、10:40分か」

ミカサ「次はゲームセンターに行こう」

エレン「え? いいのか?」

ミカサ「エレンはゲームが好きなので、きっと行きたいだろうと思っていた」

エレン「サンキュ♪ じゃあ行くか!」

次は2年8組まで移動すると、そこにはお祭りで見かけるような「射的」「金魚すくい(もどき)」「輪投げ」「ボーリング」「型抜き」「くじ引き」等いろんな遊び場が出来ていた。

エレン「おおおお! 射的やろうっと!」

当てて落としたらその景品は貰えるらしい。ぬいぐるみもあるし、取りたいよな。

まだ子供が来る時間帯ではなかったので、生徒達が先に遊んでいた。

エレン「あーくそ! 当たらない!」

ミカサ「エレン、私がやってみせよう」

エレン「えー自力で取りたいんだよ!」

ミカサ「そうなの?」

エレン「そうそう。こういうのは何度か失敗して、やっと取れた時が楽しいんだよ!」

と、射的で何度か失敗して、10回目でやっと1個当たった。

エレン「よしゃあああ! ころ助GETだぜ!」

ころ助のぬいぐるみを取って見せた。時間かかったけど、取れて良かった。

次は輪投げをしてみた。ミカサにやらせてみたら、全部呆気なくクリアして、担当者が青ざめていた。

輪投げの係「うそー全部持っていかれたら、もう次の人が遊べないよー」

ミカサ「いえ、商品はいいです。輪投げ自体が楽しかったので」

輪投げの成功回数によって景品が貰える仕組みだったけど、ミカサがやると総取りになっちまう事が分かった。

エレン「難易度、少しあげてもいいと思いますよ。難し過ぎると子供泣くかもしれんけど」

輪投げの係「そうですねーそうしますー」

とまあ、こんな感じで遊んでいたらボチボチ子供達も集まってきた。

今、11:00か。20分くらいここで遊んじまったな。

11:00を過ぎると人の数が大分増えた。生徒の保護者や親兄弟が来て楽しんでいる様子が分かる。

919進撃の名無し:2014/07/22(火) 21:48:19 ID:05njGAbo0
エレン「次は何処に行こうかなーあ、漫画研究同好会! マーガレット先輩のところ、顔出さないと!」

ミカサ「漫研の部室はどこだろう?」

エレン「ええっと、4階だな。美術室の近くだ。行こうぜ!」

という訳で、2年の教室からまた上に上って漫研に顔を出しに行った。

マーガレット「あーエレン! ミカサ! 来てくれてありがとう!」

エレン「どんな感じですか?」

スカーレット「こっちはまったりムードだよ。出来上がった合同誌を読んでいたよ」

と、先輩二人と人見知りっぽい1年女子が何名かいた。男子は1人だけ居た。黙々と漫画を読んでいる。

エレン「おお、マーガレット先輩達の本、売ってるんですね。買いますよ」

マーガレット「いやあああ恥ずかしいいいいいい」

エレン「恥ずかしがっちゃダメですよ。1冊いくらですか?」

マーガレット「300円。コピー本でごめんね。予算なくて。同人誌の方はオフセット出せるけど。お母さんに借金すれば」

親子間で借金って。ダメ過ぎるだろ。

エレン「じゃあ漫画本、読ませて貰いますね(ペラペラ)」

マーガレット「あ、今読まなくてもいいよ。持って帰ってからで十分だよ。時間勿体ないし、他のところにも遊びに行きなよ」

エレン「ええ? いいんですか?」

マーガレット「漫研は、本来ならおうちでの活動が一番だからね。ここは、漫研の歴史というか、今まで出してきた歴代の合同誌とかを展示したり、イラストを展示しているくらいだよ。あ、一応、ポストカードとかしおりとか、グッズもオリジナルで作っているけどね」

エレン「へー。じゃあしおり1枚買いましょうか?」

マーガレット「いやあああ恥ずかしいいいいい!」

商売っ気がなさ過ぎる。大丈夫なのかいろいろと。

920進撃の名無し:2014/07/22(火) 21:57:36 ID:05njGAbo0
そんな訳でしおりを無理やり(?)1枚だけ買って、漫研を後にすると、

美術室の近くを通ったので、折角なのでそこにも顔を出してみる事にした。

エレン「おおお。授業で描いたのとか、展示してある」

ミカサ「! わ、私の絵が展示されている……」

エレン「え?! どこだ?! うわ! ジャンの絵、展示されていたのかよ!!」

完成した鉛筆デッサンが展示されていた。

ミカサをモデルにして描いた、アレだ。チャイナドレスの。

すげえ! 足綺麗だ。まるで写真のようだし、表情も綺麗で、売れるんじゃねえかってくらい上手い。

良く見ると、ジャンの絵を見ているのはオレ達だけじゃない。

他のお客さんも「おお」と言ったり、「これはなかなか」と呟いている。

ミカサ「なんだか少し照れくさい」

エレン「だろうな。やっぱりあいつ、女の絵はぴか一だな」

ミカサ「私、ここまで美人ではない」

エレン「いやいや、そんなことはねえぞ? 絵より本物が美人だからな」

ミカサ「う……うーん」

と、ミカサは困った顔をしていた。

さてさて。こんな感じであちこちいろいろ見て回っていたら、あっと言う間に12時を過ぎてしまった。

エレン「あ! そろそろ飯、食いに行くか! 食品ブースに行こうぜ!」

ミカサ「うん」

第二体育館に向かうと、人の数が一気に多くなっていた。

昼休みだから、皆、わらわら食事にありついている。

さて、腹ごしらえしたらその後は、第一体育館の方に移動しようかな。

エルヴィン先生の企みが何であれ、やっぱり気にかかるしな。うん。

921進撃の名無し:2014/07/22(火) 22:24:14 ID:05njGAbo0
舞台の方も12:00〜13:00までは幕が降りている。

その間は仕込みの時間として使うんだろう。バタバタ音だけは聞こえている。

と、その時、舞台の裏から大道具の恰好をしたユミルが飛び出てきた。

ユミルは10:00〜12:00の間はコスプレ間の店番やっていた筈なんだが。

昼飯抜きで働いているのか? 実行委員、大変だな。

エレン「ユミル?! お前、何、裏方やってるんだよ」

ユミル「ああ?! 今、忙しいんだよ! 話しかけんな! モブリット先生、見なかったか?」

ミカサ「いえ、見てないけど……」

ユミル「何でこっちに来てないんだよ。段取りと違うだろ。進行表、勘違いしてやがるのか?」

ミカサ「もしかして、フィーリングカップルの件?」

ユミル「そうだよ。モブリット先生も参加する予定なんだが、こっちに来てない。くそ……放送は出来るなら使いたくねえんだが、どこほっつき歩いてやがるんだ。あと10分しかねえのに」

エレン「何なら探してこようか? オレ達、昼飯食い終わったし」

ミカサ「もしかしたら昼ご飯をまだ食べているのでは……」

エレン「だったら食品ブースから探してみるか」

ユミル「もしモブリット先生がこっちに間に合わなかったら、代役立てるからって本人に伝えておいてくれ。じゃあな。頼んだぞ」

エレン「ああ、分かった」

代役か。しょうがねえよな。

…………………………。

その瞬間、オレは圧倒的閃きに襲われた。

その時、オレの脳裏に電流が走るー!

ミカサ「エレン?」

エレン「やべえ……そういう事だったのか」

エルヴィン先生のときめきの導火線は、つまり。

エレン「ミカサ、やっぱりミカサはモブリット先生の方の味方をするのか?」

ミカサ「え、ええ……でも、何故今、その話を」

エレン「だったら早く探さないと、手遅れになるかも」

オレは事情を説明する間もなく、とにかく食品関係のところを探し回った。

922進撃の名無し:2014/07/22(火) 22:25:57 ID:05njGAbo0
校内放送もモブリット先生を第一体育館に呼びつけている。5分前だ。

ミカサ「ど、どういう事なの? エレン……」

走りながら、ミカサは問う。オレは説明する時間がなくて、とにかくモブリット先生を探した。

すると………

エレン「いたあああああ!」

何故かモブリット先生は1年5組のお化け屋敷のところから出てきた。

モブリット「どうしたんだい? 2人とも」

エレン「モブリット先生、時間! 時間ヤバいですよ!」

モブリット「え? 何で?」

エレン「フィーリングカップル、出場するんでしょう?」

モブリット「ああ、その件なら野球拳とプログラムが急遽、入れ替わる事になって、順番が逆になった筈だよ。朝、そういう連絡が来て……」

エレン「それはおかしいですよ。さっき、実行委員の子がモブリット先生を探しまくってましたよ! 予定は変更されてないんじゃないんですか?!」

モブリット「えっ………」

モブリット先生は慌ててスマホを取り出して、実行委員と連絡を取っていた。

裏付けが取れたモブリット先生は顔面蒼白になって、そのまま急いで走って第一体育館に戻った。

演目は既に始まっていた。本来、モブリット先生がいるべき席には、別の男性教員が座っている。

まるで逆転のなるほど君が、絶体絶命のピンチに陥った時に頭を抱える。

あのポーズをとって、その人物は項垂れていた。

モブリット「なんで………何で、リヴァイ先生が舞台に……」

エレン「ユミルが言ってました。モブリット先生がこっちに戻ってくるのが間に合わない場合は代役を立てると。恐らく、野球拳の準備の為に早めに舞台袖近くに待機していたんですよ。リヴァイ先生しか、代役の出来る男性教員がいなかった」

このフィーリングカップルは独身女性教員と独身男性教員のバージョンと、生徒バージョンがある。

先生バージョンを先にやるという話だったが、つまり、エルヴィン先生は最初からこれを狙っていたのだ。

モブリット「そ、そんな………」

モブリット先生が可哀想だった。

連絡がどう行き来したのか分からないけど、エルヴィン先生がきっと、情報操作をしたに違いない。

つまり、これがエルヴィン先生の「ときめきの導火線」作戦の全容だったのだ。

巧妙だ。なんてえげつない。心、折れるだろ。これ…。

923進撃の名無し:2014/07/22(火) 22:33:50 ID:05njGAbo0
モブリット先生が魂抜けた顔で舞台を見ている。

死人のような顔色だ。思わずがくりと倒れそうになったので支えてやる。

ミカサは「あのクソちび教師!」と、抗議に行こうとするが、

エレン「ダメだミカサ! 舞台に乱入したら、演目が無茶苦茶になる!」

ミカサ「でも!」

エレン「もう、舞台は始まっちまったんだ。オレ達に出来る事は何もねえ。どんな理由があっても、邪魔したら、ダメだろ!」

ミカサ「うぐううううううう!!!!」

ミカサもその辺の事は演劇部の経験で理解しているのか歯がゆそうだった。

ミカサ「悔しい! あのリヴァイ先生が、フィーリングカップルに出るなんて。モブリット先生を差し置いて!!」

でも、会場の盛り上がりは凄かった。リヴァイ先生に対する黄色い声援がすげえ。

女子生徒は「いやー!」と叫びつつも、リヴァイ先生を舞台の上で観れるのが嬉しいようだ。

そんな訳で、エルヴィン先生の「ときめきの導火線」は見事に着火して、もう、その火を止める事は誰も出来なかった。

オレとミカサとモブリット先生は、その火の行方をただ、黙って見守るしかなかったのだ…。

924進撃の名無し:2014/07/22(火) 22:35:30 ID:05njGAbo0
ときめきの導火線、着火!

という訳で、最初からエルヴィンはこれを狙っていました。
フィーリングカップルに無理やり出場させられた、リヴァイでした。
続きはまた。トキメキながら次回へ続く!

925進撃の名無し:2014/07/22(火) 23:38:00 ID:lT./rDwc0
ほんと目的のために手段選ばないw
エルヴィンが言いかけた根拠は結局なんだったんだ

926進撃の名無し:2014/07/23(水) 00:59:43 ID:2eGzHfXM0
>>925
A.リヴァイが泥酔すると、その答えが分かります。詳細は後ほど。

ちょっと筆が進んだので延長戦投下しますね。

927進撃の名無し:2014/07/23(水) 01:00:30 ID:2eGzHfXM0






ピクシス『皆さん、では今回出場する独身の教員をご紹介するぞ!』

ピクシス先生がノリノリだった。燕尾服と蝶ネクタイでインカムをつけて司会をしている。

男女は左右に席を設けられ、それぞれ座っている。完全にテレビのバラエティ番組のノリだ。

ピクシス『まずはレディーファーストじゃ! エントリーナンバー1番! その眼鏡の奥の眼光で熱く睨まれたい女教師ナンバー1! 体育科担当のリコ先生!』

リコ『2年1組の担当教諭リコ・ブレツェンスカだ。宜しく。歳は24歳だ』

と、リコ先生らしい簡潔な挨拶が終わった。

ピクシス『続いてはエントリーナンバー2! そばかすっ子は萌えの印! 家庭科担当イルゼ先生!』

イルゼ『2年3組の担当教諭イルゼ・ラングナーです。26歳です。こういう場に参加するのは初めてなので緊張しています。宜しくお願いします』

ピクシス『エントリーナンバー3番! 女性からもモテる、ストイックな女性じゃ! 地理科担当のナナバ先生!』

ナナバ『2年2組の担当教諭ナナバです。30歳です。宜しくお願いします』

ピクシス『そして最後のエントリーナンバー4! 女性教員の中では最年長! 元祖眼鏡っ子の生物科担当のハンジ先生!』

ハンジ『3年2組の担当教諭、ハンジだよ〜! いえ〜い! (ピース)あ、年言わなくてもいい? オフレコしてもいい?』

ピクシス『ダメじゃ。全員の年齢を知りたいからな』

ハンジ『もう、女性の年齢バラすなんて酷い企画だよね。そこはオフレコのまま進めて欲しかったな〜9月で36歳になったばかりのハンジ先生だよー!』

と、会場は爆笑した。ハンジ先生、空気掴むの上手いなあ。

ピクシス『では続いては男性教員を紹介するぞ! エントリーナンバー1! その甘い朗読ボイスにメロメロされる女子生徒多数! 国語科担当のイアン先生!』

イアン『どうも。イアンです。1年2組の担当教諭です。歳はナナバ先生と同じ30歳です』

キャー! という黄色い声が聞こえた。

イアン先生も結構、女子に人気あるんだよな。

ピクシス『続いてエントリーナンバー2! 寡黙じゃがきっちり仕事はこなす化学科担当のミケ先生!』

ミケ『3年3組担当教諭、ミケです。32歳です。どうも宜しくお願いします』

ピクシス『エントリーナンバー3! いい加減、お主は結婚した方がいいぞ! 世界史科担当のエルヴィン先生!』

エルヴィン『いやはや、いつの間にかこの年齢になりました。3年4組担当教諭、エルヴィン・スミスです。歳は43歳です』

見えなーい! という野次馬の声が聞こえた。だよな。オレも驚いたよ。

ピクシス『ラストじゃ! 悲鳴はまだ上げてはならんぞ? お主もそろそろ結婚しろ! 体育科担当のリヴァイ先生!』

リヴァイ『……………』

ピクシス『リヴァイ先生? 自己紹介をお願いするぞ』

リヴァイ『3年1組担当教諭、リヴァイだ。歳は38歳。以上……』


きゃあああああああああ!!!!!!


リヴァイ先生がしゃべった瞬間、女子生徒が盛り上がりまくってヤバかった。

おいおい、今からそんなんで大丈夫か? どんだけ人気あるんだよ。リヴァイ先生。

928進撃の名無し:2014/07/23(水) 01:02:38 ID:2eGzHfXM0
ピクシス『ではルールをわしの方から説明させて貰おう。このフィーリングカップルは、いろんな課題をこなしながら、最も相性の良い男女を探し出すのが目的じゃ。クイズ形式で問題を出していくので、その正解数が一番多かったペアが晴れてカップルとして成立する。カップルとして認められた男女はこのカップルシートに座って5分間、2人だけの時間をゆっくり過ごして貰うという物じゃ』

カップルシートがかなりいかがわしいデザイン、もとい、派手なソファだった。

真っ赤なソファにハートのクッションが二つ。なんだこれ。

ピクシス『まずはお題を出していくぞ。1問目はこちらじゃ!』

ドン!

画面に出たのは、『初デートでは彼女を何処に連れていく?』というテーマだった。

ピクシス『まず、男性教員が先に全員、答えを書いていくので、パネルを出す前に、女性側はその人物が答えそうな内容を予想して出して貰うんじゃ』

ピクシス『まずはデモストレーション的にやってみるぞ。わしが回答するので、女性側はわしの答えを予想するのじゃ』

リコ『なるほど。了解した』

イルゼ『なるほどなるほど』

ナナバ『ふむ。ピクシス先生とデートか……』

ハンジ『ええっと、やっぱりこれしかないでしょ〜』

ピクシス『答えは終わったかな? では順にパネルをオープン!』


リコ→映画館

イルゼ→公園

ナナバ→海

ハンジ→居酒屋で飲み


ピクシス『ほほう、そう来たか。わしの回答は………ハンジ先生、正解じゃ! 『個室の居酒屋でデート』じゃ!』

会場が笑いに包まれた。ピクシス先生らしい回答だったからだ。

ピクシス『と、こういう感じで答えていって貰うぞ。まずはイアン先生からお願いしますぞ』

イアン『了解しました』

という訳でクイズ形式で進行していった。

オレは他の教員の答えより、何より、リヴァイ先生の事が気がかりだった。

これって、リヴァイ先生もハンジ先生も、案外お互いに当ててしまうんじゃ……。

ピクシス『ではそろそろ良いかな? 女性陣、答えをオープン!』


リコ→図書館

イルゼ→遊園地

ナナバ→自宅

ハンジ→居酒屋で飲み


ハンジ先生、どんだけ飲みたいんだよ。同じ答え書いているし。

ピクシス『イアン先生の答えは?』

イアン『図書館だ。静かにゆっくり時間をかけて話せるから、落ち着けると思ってね』


きゃああ! 連れてって!


という声も聞こえる。女子生徒もノリノリ過ぎてちょっと怖い。

929進撃の名無し:2014/07/23(水) 01:04:55 ID:2eGzHfXM0
ピクシス『リコ先生にイアンポイントがついたぞ! これでまずは一歩リードじゃ!』

リコ『そ、そういうものか。いや、他に思い浮かばなかっただけなんだが』

ピクシス『ふふふ…2人は案外、相性が良いのかもしれんのう。続いては、ミケ先生じゃ!』


リコ→買い物(モールとか?)

イルゼ→スポーツ観戦

ナナバ→山。またはキャンプ。

ハンジ→居酒屋で飲み


3回連続同じで吹いた。それはもう、ハンジ先生の願望なだけだろ。

ピクシス『ではミケ先生、お願いするぞ』

ミケ『………居酒屋で飲み、ですね』

おおおおおお?! 数打ち当たる戦法で当たった!

ピクシス『ほほう? その心は?』

ミケ『やはり、酒を飲みながらでないと、本音が話せないので』

ピクシス『意外とシャイじゃの! ハンジ先生、ミケポイント獲得じゃ!』

ハンジ『いえーい! 今度、飲みに行こうね!』

と、ハンジ先生は絶好調だ。

ピクシス『続いてはエルヴィン先生じゃ。お主はいろいろマニアックじゃからのう。当てられる女性がおるかのう?』

エルヴィン『ははは! まあ、難しいでしょうね。この年まで独身の男の思考を読むのは』

と、言っている。さてさてどうなるか。


リコ→ドライブ

イルゼ→ゴルフ

ナナバ→旅行

ハンジ→コミックマーケット


ピクシス『うむ? ハンジ先生。そのコミックマーケットとやらはなんじゃ?』

ハンジ『漫画のお祭りだよ! 所謂、漫画が好きな子が集まって、わいわいやるイベントの事だよ!』

えええええ。この間行った、コミケの事か。まさか、そんな……。

エルヴィン『ハンジ、正解。コミケに連れていくよ』

ピクシス『なんじゃと?! 色気のないデートじゃのう!』

エルヴィン『すみません。コミケに連れて行けば、相手の女性の大体の人間性が掴めるので。あえて連れて行きます』

ひでえ。心理テスト扱いだ。連れて行かれた女性達が可哀想だな。初デートなのに。

いや、コミケが悪いんじゃねえぞ? あれはアレで楽しかったし。

でも、初デートにそれっていうのは、あんまりな気もするんだ。

930進撃の名無し:2014/07/23(水) 01:07:20 ID:M8krhfLc0
ハンジ『やっぱりね! コミケ行ったら人間性出るよね! 分かる分かる!』

と、ハンジ先生とエルヴィン先生だけが分かる会話をしている。

会場は失笑の空気だった。

ピクシス『では最後にリヴァイ先生、回答を頼むぞ!』

リヴァイ『…………(すっごい嫌そう)』

ごくり。皆、ざわざわしている。答えが気になる。

女性陣は頭を悩ませているようだ。

リコ『全く予想がつかないな。リヴァイ先生といえば家事が趣味な事くらいしか……』

イルゼ『あ、だったら買い物とか、ですかね』

リコ『ああ、ありえそうだな。スーパーとかでもいいかもしれない』

と、こそこそ話し合いながら回答しているようだ。

ピクシス『では、女性陣、回答オープン!』


リコ→スーパーで食材購入

イルゼ→洋服を買いに行く

ナナバ→家電製品を買いに行く

ハンジ→相手の希望に合わせる


ピクシス『おや? ハンジ先生だけ、ちょっと違う回答じゃの?』

ハンジ『ん? 多分、これじゃないかなーと思ったんだけど。ダメ?』

ピクシス『それは回答を見ないと分からんからの。では、リヴァイ先生、どうぞ』

リヴァイ(頭を抱えている)

ピクシス『リヴァイ先生? どうされました?』

リヴァイ『いや、……………ハンジがほぼ正解だ』

あ、やっぱり。読んだな。

やっぱりそういうのも分かるんだろうな。

リヴァイ『厳密に言えば「相手が行きたい場所に連れていく。相手が出かけない場合は引き籠る」だな。俺自身はあまり外を出歩く趣味はない。家の中にいたい方だから』

ピクシス『じゃったら、「自宅でデート」でも良さそうなもんじゃが……そうではないのか?』

リヴァイ『それだと、相手が可哀想だろ。後、決めるのが面倒臭いというのもある』

女子生徒が「じゃあラブホテル連れてってー!」と、酷い事を言い出した。

おいおい、ちょっと、自重しろ! 誰だよ今の野次は! ひでえな!

しかし、リヴァイ先生はマイクを取って、

リヴァイ『女子高生は連れて行かない。残念だが、子供は俺の守備範囲ではないからな』

と、あっさり言われて、「いやあああん」と何故か女子が喜んでいた。

あ、今の、会話したかっただけっぽいな。すげえ。

ファン心理ってすげえな。リヴァイ先生なら何でもいいのかもしれない。

ピクシス『ふむ。なるほど。そういう答えも有りじゃの! という訳で、今回の女性陣のポイントは、今のところハンジ先生がトップじゃ!』

ハンジ『いえーい!』

意外と回答率が高くてびっくりした。やっぱり、年の功って奴なんだろうか?

リヴァイ先生だけかと思ったら、ミケ先生もエルヴィン先生も当ててきたもんな。

931進撃の名無し:2014/07/23(水) 01:12:11 ID:2eGzHfXM0
ピクシス『では、今度は逆の質問に行くぞ? 今度は男性側が女性陣の答えを予想して答えて貰うぞ。2問目のテーマはこれじゃ!』

ドン!

そして出た次のテーマは、>>932だった。

(*1問目の流れを参考に、女性側のテーマを決めて下さい。多少アダルトな質問でも可)

932進撃の名無し:2014/07/23(水) 01:58:36 ID:Kt0pZWv20
セックスしたい男性

933進撃の名無し:2014/07/23(水) 03:43:33 ID:RfPYldsU0
さすがに高校生の前で教師がそれはいかがなものか(笑)
男性のセクシーだと思う仕草、とか口説かれたい場所、とか

934進撃の名無し:2014/07/23(水) 05:12:04 ID:2eGzHfXM0
ぶふうううううう!? せ、セックスしたい男性だって?!

ストレートにも程があり過ぎる。さすがに観客も赤面しているぞ。

ハンジ『はいはい質問!』

ピクシス『なんじゃ? ハンジ先生』

ハンジ『それって、4人の中から選べって事? それとも、芸能人とか、架空の人物とか、歴史上の人物でもOK?』

ピクシス『イイ質問じゃ。勿論、4人の中から選んでも良し。芸能人、2次元、歴史上の人物もOK。または、具体的な条件を持つ男、でも可じゃ』

ハンジ『ああ、つまり「年収1000万以上の稼ぎがある男」とかでもいいんだ』

ピクシス『OKじゃ! 最低限、これがないと無理! という条件でも良いぞ!』

ハンジ『OK〜だったら書けるかな』

リヴァイ『……………』

リヴァイ先生が頭抱えている。だよなあ。

ピクシス『では、まずはリコ先生からじゃ! 男性陣、答えをオープン!』


イアン→精神的に大人な男性

ミケ→セクシーな男性

エルヴィン→体力のある男性

リヴァイ→金持ちの男性



あ、リヴァイ先生、結構投げやりに書いているぽい。字がいつもより雑だ。

ピクシス『では、リコ先生、答えをオープン!』

リコ『………これは、イアン先生が当たっているのだろうか。「自分より大人の男性」と書いたんですが』

ピクシス『意味合い的には近いな。じゃろ?』

イアン『んー……厳密に言えば違いますが、まあ、年下であっても、所謂性格が「大人」でないとダメなのかと思いまして』

リコ『ああ、なるほど。自分は「年上」という意味で書きましたが、そういう意味なら、イアン先生の意味の方が合っているかもしれないです』

ピクシス『なるほど! ではイアン先生にもリコポイントじゃ!』

何気にイアン先生とリコ先生、相性いいのかな。しれっと正解している。

935進撃の名無し:2014/07/23(水) 05:26:15 ID:2eGzHfXM0
ピクシス『なかなかいい感じじゃの! 続いてはイルゼ先生じゃ! 男性陣、答えをオープン!』


イアン→格好いい男性

ミケ→見た目が良い男性

エルヴィン→男前の男性

リヴァイ→顔がいいと思える男性


ピクシス『おおっと?! 意味合い的には殆ど同じじゃが、イルゼ先生、どうじゃ?』

イルゼ『もう………恥ずかしいですけど、はい。イケメンです。全員正解です』

ありゃ。イルゼ先生、面食いなんだ。

ピクシス『まさかの全員正解じゃ! 案外女心は単純じゃの! 続いてはナナバ先生!』


イアン→精神的にタフな男性

ミケ→オシャレな男性

エルヴィン→服のセンスがいい男性

リヴァイ→金持ちの男性


あ、リヴァイ先生。分かんない奴は「金持ちの男性」でいくつもりだな。

ナナバ『なんでバレた。お金持ちの男性……です』

ピクシス『おおっと、意外と腹黒いキャラじゃったか?! リヴァイ先生にナナバポイントじゃー!』

リヴァイ『まさか当たるとは思わなかった』

ナナバ『まさかリヴァイ先生に当てられるとは思わなかった』

ピクシス『まあ、そういう事もあるからこのコーナーは面白いんじゃ! 最後にハンジ先生じゃ!』

936進撃の名無し:2014/07/23(水) 05:45:46 ID:2eGzHfXM0

イアン→一緒に居て楽しい男性

ミケ→小柄な男性

エルヴィン→頑固な男性

リヴァイ→磯野波兵


ピクシス『む? 一人だけ人物名じゃの。これは、もしかして』

リヴァイ『2次元可って言っただろ。だったらこいつしかいねえ』

ピクシス『ハンジ先生、答えはどうじゃ?』

ハンジ『大正解ー! もう、理想の日本のお父さんだよね!? 私、大好き!』

と、言った直後、会場がどっと笑いに包まれた。

オレもうっかり吹きそうになった。いやまさか、ハンジ先生の理想が波兵さんとは。

ピクシス『まさかの2次元の回答とは………やっぱりハンジ先生は変わっておるのう。そしてそれを当ててきたリヴァイ先生も凄いの! ハンジポイントじゃ!』

リヴァイ(ぐったり……)

わざと回答を間違えればいいものの。それが出来ない辺り、やっぱりリヴァイ先生だよな。

ピクシス『今回は、何気にリヴァイ先生がトップかの? いやはや、意外な展開になってきたのう。では、続いてはこちら!』

ジャジャン♪

画面にまた別の文章が写された。そこには、


『目を閉じて、手を握って、誰かを当ててみよう!』


と、あった。


ピクシス『続いての課題は少し問題が変わるぞ。目隠しをした状態で、相手を触って、相手が誰であるか直感で答えると言う問題じゃ。触る場所は「手」のみじゃ。握手しただけの情報で、どれだけ読み取れるかを競い合うぞ』

これは難しいんじゃないか? 当てられるのかな。

937進撃の名無し:2014/07/23(水) 06:03:42 ID:2eGzHfXM0
ピクシス『ではまずはイアン先生からやって貰おうかの!』

しかしやはり、手だけの情報では正解が出ず、イアン先生は全員不正解だった。

ミケ先生もダメだった。「匂いだったら分かるのに」と言っていたけど。本当かな。

エルヴィン先生も、ダメだった。残るはリヴァイ先生だけだ。

リヴァイ『……………』

リヴァイ先生はなんと、ハンジ先生だけは当ててきた。

他の先生は一個ずつずれて間違えたけど、すげえ。

ハンジ『おーすごいねえ! よく当てたねえ!』

ピクシス『どこで分かったんじゃ?』

リヴァイ『手先が一番冷たかった。緊張していると、人間は末梢神経から冷たくなる傾向にある……って言ってたのはハンジ自身だろ』

ハンジ『ギクッ!』

リヴァイ『慣れない舞台で本当は緊張しているんだろうなと思っていた。そうだろ?』

ハンジ『もう〜バラさないでよ恥ずかしい〜』

ピクシス『ほほう? ハンジ先生、実は緊張しておったのか』

ハンジ『だあって、一番私がおばちゃんじゃないですか〜やっぱり本当は恥ずかしいですよおお?』

と、ちょっと照れているハンジ先生が可愛かった。

そうなんだ。さっきから変にテンションが高いのは緊張を紛らわす為だったのかな。

938進撃の名無し:2014/07/23(水) 06:17:58 ID:2eGzHfXM0
でも、そんな風に会場が和やかなムードの最中、モブリット先生は、舞台を睨みつけていた。

あ、これはジャンでお馴染みの嫉妬の眼差しだ。

モブリット先生、今、相当、堪えて舞台を見ているんだろうな…。

ピクシス『そんなのは関係ないと思うがのう……年上には年上の良さがあるもんじゃ。さて、続いてのお題はこちら!』

ジャジャン♪

『目を閉じて、>>939を触って、誰かを当ててみよう!』

ピクシス『今度は女性側が男性を触る番じゃ。よいかの?』

(*急所以外の場所を指定して下さい(笑)あそこはダメよん)

939進撃の名無し:2014/07/23(水) 08:01:29 ID:RfPYldsU0


ミケとエルヴィンのハンジに対する解答がリヴァイ前提で笑ったw

940進撃の名無し:2014/07/23(水) 12:42:52 ID:2eGzHfXM0
肩を触って誰かを当てるのか。これは手だけよりは当てやすいかもしれない。

最初はリコ先生からだ。リコ先生はエルヴィン先生だけは当ててきた。

ピクシス『どこで分かったんじゃ?』

リコ『いや、単純に一番、肩幅が大きい筈だと思って』

ピクシス『おっと、これは迂闊じゃった! お主、一番体格が良いからのう』

エルヴィン『サービス問題になっちゃったみたいだね』

と、エルヴィン先生は苦笑いだった。

イルゼ先生もエルヴィン先生だけは当てて、ナナバ先生も同様だった。

そしてハンジ先生は……

ハンジ『ん〜1番目がミケ、2番目がイアン先生、3番目がリヴァイ、4番目がエルヴィン!』

ピクシス『なんと全員正解じゃ! 何で分かったんじゃ?』

と、会場が一瞬、どよめいた。するとハンジ先生は、

ハンジ『ええっとねー、ミケとイアン先生の肩の形が一番似ているんだけどね、筋肉のつき方が若干違うんだよね。前に一度、触らせて貰った事があって、それを覚えていたから違いはなんとなく分かったよ。んで、リヴァイのは、一番筋肉が柔らかい! 鶏肉かってくらい、ふわってしているんだ! エルヴィンは一番大きいから分かりやすいね!』

と、いう解説に会場の観客は「おおおお」とどよめいていた。

イアン『いや、触らせたのは大分前の話じゃないか? 良く覚えていたね』

ミケ『ああ。しかも1度だけだと思う。1、2年前か?』

ハンジ『ん? もうそんなになるっけ? そこは覚えてないけど、1年なんて一か月くらいの感覚だしね〜年とるとそうなるよ?』

と、前にも似たような事を言っていたな。ああ、コミケの時か。

941進撃の名無し:2014/07/23(水) 13:04:06 ID:M8krhfLc0
ピクシス『何気にハンジ先生は凄いの! ポイントを一番稼いでいるようじゃ! では続いてのお題はこちら!』

ジャジャン♪


『2人で大縄跳びをやってみよう!』


ピクシス『これは、アレじゃ! 所謂「おじょうさん、お入りなさい♪ でお馴染みの縄跳びじゃ! 大繩はこちらで回すので、男性が1人先に入り、女性が1人後から入って、飛べる回数を競い合うものじゃ。体育教師には有利な課題かもしれんが、息を合わせるのは何気に難しいから、パートナーとの相性が試されるぞ!』

と、割と健全な課題がやってきた。これはマシな方かな。

ピクシス『では準備をするので少し待て。イアン先生とリコ先生から初めて貰うぞ。次はミケ先生とイルゼ先生の番になる。よろしいか?』

イアン『分かりました』

縄跳びかあ。どれくらい飛べるんだろう。

ピクシス『では、参りますぞ。お嬢さん♪ お入りなさい♪ の合図でスタートじゃ!』

そしてイアン先生&リコ先生の大繩飛びが始まった。

おおお! うまい! 難なくジャンプして回数を稼いでいる。

そしてイアン先生&リコ先生は120回飛んだ。すげえ。初見で120回って!

ピクシス『スゴイの! お主ら実はこっそり練習しておったな?』

イアン『してないですよ。リコ先生が上手なんですよ』

リコ『いや、なんか飛びやすくて、つい』

ピクシス『何気にベストカップルかもしれんの! では続いてはミケ先生とイルゼ先生!』

この2人は30回目でアウトだった。イルゼ先生は普通の体力しかないようだ。

ピクシス『ふむ。前の2人が凄かったせいで少なく感じるかもしれんが、これが普通じゃからな』

イルゼ『すみませ〜ん。運動不足がたたりました……』

ミケ『いえいえ』

ピクシス『続いてはエルヴィン先生とナナバ先生じゃ!』

エルヴィン先生とナナバ先生も100回を超えた。でも、101回目でエルヴィン先生が足を引っかけた。

ピクシス『なんでそんな数字で失敗するんじゃ! 101回って』

エルヴィン『いやいや、僕はしにましぇんよ』

ピクシス『誤魔化してもダメじゃ! 全く。そのネタはさすがに若いもんは分からんじゃろう……』

101回? なんかあるのかな。その数字。

ピクシス『では次はハンジ先生とリヴァイ先生!』

そして、皆、会場のお客さんはどよめいた。

なんと2人は200回を超えても平気な顔をして飛び続けたからだ。

ピクシス『尺の問題もあるんじゃから、その辺で良いんじゃが』

ハンジ『あれ?! もうやめていいの? どうするリヴァイ?』

リヴァイ『ああ? わざとやめるのは、性に合わないんだが』

ハンジ『あ、じゃあ、じゃんけんしながらやろうよ。そしたらいいハンデじゃない?』

リヴァイ『分かった』

と、途中で何故かじゃんけんしながら遊んで、ハンジ先生が240回目あたりでやっと足を引っかけた。

ど、どんだけ体力あるんだよ。いや、それ以前に相性良すぎる。

942進撃の名無し:2014/07/23(水) 20:24:45 ID:2eGzHfXM0
そんな感じでパートナーを変えながら大縄跳びを繰り返し、1番飛べたペアにポイントが入った。

当然、トップはリヴァイ先生とハンジ先生だった。次点はイアン先生とリコ先生だった。

ピクシス『今のところ、リヴァイ先生とハンジ先生はもしかして、お互いのポイントを全部とっておるのか? 何気に凄い2人じゃのう……』

リヴァイ『うぐっ……! (しまった)』

あ、リヴァイ先生。我に返って焦ってる。

手抜きする筈が、するのを忘れていた顔だな。アレは。

もう諦めるしかねえんじゃねえのかな。そう思っちまうけど。

そんなこんなでいくつかの課題をこなしながらいよいよ最終課題になった。

ピクシス『……では次でいよいよラストの課題じゃ! 最後の課題はちと難しいぞ!』

ジャジャン♪


『キスマークを見て、どの女性か当てよう!』



ピクシス『これから女性陣には全員、同じ色の口紅をつけて貰うぞ。それを色紙にキスして、そのキスの跡だけを見て、どれが誰のキスマークなのかを当てる問題じゃ! ここは完全に直感が試される課題じゃ! 男性陣はその間、アイマスクをして待機して貰うぞ。会場の皆さんは、答えを教えるが、くれぐれもヒントをあげないようにお願いするぞ!』

わあああ………

会場がざわめいた。これはなかなか、なんというか、セクシーな問題だな。

でもキスの形だけを見て誰か当てるって、相当、普段から唇の形を観察していないと分からないんじゃねえかな。

そして準備が整うと、アシスタントの女子生徒が色紙をそれぞれ提示した。

正解は①ハンジ ②リコ ③ナナバ ④イルゼ

という事になった。会場のお客さんはわくわくして待っている。

ピクシス『では、今回は一斉にパネルをどうぞ! オープン!』



イアン→①ナナバ ②リコ ③ハンジ ④イルゼ

ミケ→①ナナバ ②イルゼ ③ハンジ ④リコ

エルヴィン→①ハンジ ②リコ ③ナナバ ④イルゼ

リヴァイ→①ハンジ ②イルゼ ③リコ ④ナナバ



エルヴィン先生がなんと全問正解だった!

ピクシス『なんとこの問題はエルヴィン先生が総取りじゃ! 最終問題なので、他の男性も当てた分はポイントがそれぞれ加算されるぞ!』

観客は「エルヴィン先生エローい!!」と笑っていたけど、エルヴィン先生はしたり顔だった。

リヴァイ先生、ハンジ先生のだけ当てたな。でも本人は訝しげに首を捻っている。

943進撃の名無し:2014/07/23(水) 20:33:36 ID:2eGzHfXM0
リヴァイ『何で当たったんだ……?』

ピクシス『ふむ? ハンジ先生のだけ当てたようじゃの。リヴァイ先生、よく見ておるのお〜』

リヴァイ『いや、根拠は何もない。ただの直感だったんだが………』

と、当てた本人が一番驚いているようだった。

ピクシス『この問題はそういうものじゃからの! 集計結果が出たようじゃ。先生部門フィーリングカップルの最終カップルは……当然、リヴァイ先生とハンジ先生じゃ! おめでとう!」


わあああ……


拍手に包まれてハンジ先生も照れ臭そうだった。

ハンジ『いやーまさか、全問正解するとは思わなかったね』

リヴァイ『あ、ああ………(困惑中)』

中央に追い出された2人は「おめでとー」と観客に言われつつ、女子生徒の一部は「いやあああ!」と、複雑な黄色い悲鳴をあげていた。

ピクシス『次点はイアン先生とリコ先生じゃった。この2人にも今回は特別にカップルシートを急遽、用意したのでそちらでイチャイチャして頂くぞ!』

リコ『へ?』

イアン『ははっ……いいんですか? リヴァイ先生とハンジ先生を舞台に2人きりにさせなくて』

ピクシス『いいんじゃよ。その代わり、イアン先生達は1分だけじゃ』

イアン『了解しました』

そんな訳で、予選から漏れたメンバーはそのまま退場になった。

944進撃の名無し:2014/07/23(水) 20:46:30 ID:2eGzHfXM0
残った2つのカップルは、照明に照らされながら、静かにカップルシートに座る事になった。

イアン『なかなか楽しかったね。リコ先生はどうだった?』

リコ『まあ、それなりに。しかしまさか、ここまでイアン先生と合うとは思いませんでした』

イアン『それを言ったら私もだ。案外、私達は相性がいいのかもしれない』

リコ『そ、そうですかね』

イアン『今度、一緒に図書館に行ってみる?』

リコ『わ、私はあまり読書をする方ではないんですが』

イアン『それは構わないよ。リコは雑誌でも読んでいればいい。私の話を聞いてくれるだけでも嬉しいよ』

リコ『………考えておきます』


わあああ……


少しの時間だけお話して、そして先にイアン先生とリコ先生がはけた。

残すはリヴァイ先生とハンジ先生だ。

ハンジ『やー残り時間、どうしようかね? 漫才でもやっておく? 即興で』

リヴァイ『いや、いきなりネタを振られても困る』

ハンジ『あ、そう? でもリヴァイ凄いね。波兵さん、よく分かったね?』

リヴァイ『あの髪の毛が1本だけ残っているのが不思議でしょうがないって以前、言っていただろうが』

ハンジ『いや、まあ、そうなんだけどさ。それ、いつ言ったっけ?』

リヴァイ『…………それは覚えていないが、お前は栄螺(サザエ)さんだけは割と観ているだろ。ビデオに撮っているしな』

ハンジ『チビまるっ子ちゃんもたまに見てるよ! それ以外のアニメはあんまり面白さが分かんなくて、観ないけど』

リヴァイ『珍しいよな。その2つがイチオシアニメっていうのも』

ハンジ『そうかな? 国民的アニメでしょ? リヴァイは筋肉マンは好きだよね』

リヴァイ『ジャンプー黄金世代の生まれだからな。北斗と筋肉マンと☆矢とかDBは分かるが、最近の作品はあまり良く知らないな。るろ剣くらいまでだな。かろうじで分かるのは』

ハンジ『うーん、タイトルだけなら分かるけど、中身はあんまり知らないんだよね。皆、知ってる?』

知ってる知ってるー! という男子生徒の声が返ってくる。

945進撃の名無し:2014/07/23(水) 21:09:13 ID:2eGzHfXM0
ハンジ『そうなんだ。ごめんねー私、その辺、詳しくなくて。エルヴィン先生なら詳しいんだけどね』

エルヴィン『呼んだ? (顔だけ出す)』

ピクシス『こらエルヴィン! 顔を出したらダメじゃぞ!』

と、笑いが起きた。

ハンジ『あはは! でもリヴァイのだけじゃなくて、エルヴィンのとか、他の先生の分も当てられるとは思っていなかったよ。私、まだ女子力が残っていたのかな?』

リヴァイ『いや、そこは年の功ってやつじゃないのか?』

ハンジ『酷い! まあ、事実だけど。でもなんか嬉しかったな。問題が分かったのは』

リヴァイ『それだけ、ハンジが聡明である証拠だろ。案外、人の事をよく見ているしな』

ハンジ『わーい。久々にリヴァイに褒められたー! 明日は雨降っちゃうかもね』

リヴァイ『縁起でもねえ事を言うな。明日も文化祭、あるんだぞ。晴れた方がいいだろ』

ハンジ『まあそれもそうだね。ねえ? そろそろ5分じゃない? あ、まだ後もうちょい? どうしよう? 後は何話す?』

リヴァイ『もう早めに切り上げても良くないか? 尺余っても別にいいだろ』

ハンジ『え? ダメなの? あ、次の準備がもうちょいかかる? あ、そう。どうしよう? リヴァイ。何か話してよ』

リヴァイ『無茶振りにも程があるな。全く………』

と、その時男子生徒から「何で最後の問題、分かったんですかー?」という野次が飛んだ。

ハンジ『あ、それは私も気になった。私、普段口紅全くつけないのに何で分かったの?』

リヴァイ『いや、だからあれはただの勘だ。直感で選んだら当たったんだ』

ハンジ『でも、ナナバ先生と私のを間違えていた先生もいたよね。それってナナバ先生と私の口が似ている証拠じゃない? よく見分けがついたね』

リヴァイ『うーん……(頭掻いている)』

そんなもん、決まっている。

普段から、リヴァイ先生がハンジ先生の顔をよく見ているからに決まっているだろ。

オレはそう思ったけど、リヴァイ先生自身は『本当に何でだろうな?』と首を傾げるだけだった。

リヴァイ『俺にも良く分からん。たまたまじゃないのか?』

ハンジ『そうかな? ま、そうかもね。あんまり考えてもしょうがないか』

リヴァイ『そうだな。じゃあそろそろ………』

と、その時、男子生徒の一人が「キスしないんですかー?」という野次を飛ばしてきた。

なんだこの絶妙なタイミング。

もしかして、サクラか?! 仕込まれているのか?! 会場の中に。

リヴァイ『は?』

キッス! キッス! キッス!

キスコールが徐々に浸透していってハンジ先生が『ええ?』と狼狽していた。

ハンジ『ちょ、ちょっと待って。それは話に聞いてないよ? ここでおしゃべりするだけじゃないの?』

リヴァイ『俺もそうとしか聞いてないんだが?』

でも「キッス!」コールはなかなか鳴り止まない。ど、どうすんだコレ…。

946進撃の名無し:2014/07/23(水) 21:32:40 ID:2eGzHfXM0
鳴りやまない催促コールにミカサは横で顔面蒼白している。

突然の事態に、青ざめるしか出来ないようだ。

ハンジ『もう、しょうがないな〜する?』

リヴァイ『断る(キリッ)』

ハンジ『でも、ほら、なんか、催促されているし、やらないと終わらないみたいだよ?』

リヴァイ『嫌なものは嫌だ。というか、ハンジも本当は嫌なんだろ』

ハンジ『え? うー…場所によるかなあ。ほっぺとかなら、いいよ?』

おおおおお?! これは意外だ。ハンジ先生、ほっぺキスなら許せるんだ。

でもリヴァイ先生は嫌そうにしている。

リヴァイ『お前なあ……』

ハンジ『ほらほら、早くしないと。舞台終わらないよ? あ、それとも私からしようか?』

リヴァイ『それはもっと嫌だな』

ハンジ『何気に本当に失礼だね! リヴァイは! じゃあ、ほら、リヴァイからでいいから!』

と、言って、ハンジ先生が両目を閉じた。

リヴァイ先生はため息をついていたけど、周りは「ヒューヒュー」の嵐だ。

一度、ポケットに手を突っ込んでいた手を出して、自分の方にハンジ先生を引き寄せる。

そして眼鏡を外してやって、カップルシートの端に追いやると、リヴァイ先生は………


チュッ……


顎を持ち上げて、本当にキスを1回だけした。リップ音が、聞こえたから間違いない。

角度的に完全には見えなかったけど、でも、あの距離なら間違いない。やった。

本当にキス、しちまったんだ。

リヴァイ『これでいいか? じゃあ撤収するぞ、ハンジ!』

ハンジ(こくこく)

という訳で2人は慌ててはけていった。これで先生部門は終了だ。

終わった直後、モブリット先生とミカサが同時に倒れかけて、オレは2人分支える羽目になった。

と、その時、その後ろから、ミカサの方を支えてくれる奴が現れた。

ジャン「マジか。リヴァイ先生、やりやがったな……」

エレン「ジャン……来てたのか」

ジャン「当たり前だろうが。気になってたからな。後ろの方で観てたよ。にしても……」

マルコ「さ、最後、凄かったね。本当に皆の前でキスしちゃった…」

947進撃の名無し:2014/07/23(水) 21:45:45 ID:2eGzHfXM0
ジャン「いや、今の、本当にキス、したのか?」

マルコ「え?」

ジャン「なんか怪しい気がするんだが。エレンはどう思った?」

エレン「え? したんじゃねえの? 音だってしたし」

ジャン「いや、そんなもんは音出せばいい話だし。覚えてないか? オレとキスシーン入れるって話になった時に、キスに見える角度で顔をギリギリまで近づけるテクニック、教えて貰っただろ」

エレン「あ、ああ……そう言えばそうだったな」

仮面の王女の時の話だ。最初はキスシーン有りで練習していたからな。

え? でも今のって、その角度だったんかな?

ジャン「なんか今の、そんな感じに見えたんだが、気のせいか?」

エレン「え? じゃあ本当はキスしてねえって事か?」

ジャン「その可能性もありそうだなって思って。………確認してえな」

ニヤリと、ジャンが笑う。オレも同じ事を思った。

ジャン「エレン、ミカサはオレが預かるから、リヴァイ先生にこっそり確認して来いよ」

エレン「え? でも……」

マルコ「大丈夫。ジャンが変な事しようとしたら僕が止めるよ」

ジャン「しねえよ! ……多分」

多分が余計だ。でも、確かに気になるのは気になる。

今、生徒の方のフィーリングカップルが始まったから、聞くならこのタイミングしかない。

ジャン「どの道、モブリット先生を裏方まで運んだ方がいいだろ?」

エレン「ああ、そうだな」

気絶しているけど、モブリット先生は文化祭の担当教員だし、裏に連れていく必要がある。

オレはこっそり舞台裏の方にモブリット先生を支えながら連れて行った。

948進撃の名無し:2014/07/23(水) 22:02:20 ID:2eGzHfXM0
舞台裏では壮絶なピリピリとした空気が流れていた。

リヴァイ先生がキレていたからだ。エルヴィン先生とピクシス先生をその場で正座させて説教していたんだ。

どっちも年上の先生なのに。容赦ねえええええ……。

リヴァイ「おい、エルヴィン。お前言ったよな? 何も仕掛けないと。アレは嘘だったのか?」

エルヴィン「嘘はついてないよ。私は何も仕掛けていない。今回の事を仕掛けたのはピクシス先生だから」

ピクシス「すまんのう。舞台を盛り上げたくて、ついな」

リヴァイ「ピクシス先生。とりあえず、モブリット先生を何処に拉致して監禁したのか教えて頂きましょうか(ジロリ)」

エレン「あの、すみません……」

間に入るのは怖かったけど言わない訳には行かなかった。

するとやっとこっちに気づいたリヴァイ先生がほっとした表情で、

リヴァイ「エレン、でかした。モブリット先生を救出してきたのか」

エレン「え、いや…その……救出とはちょっと違うんですけど」

お化け屋敷から出てきたところを連れてきただけだしな。

でもリヴァイ先生はそんな事はどうでもいいみたいで、とにかく「良かった。無事で」と安心したようだった。

リヴァイ「全く………こいつがなかったら、ガチでキスする羽目になるところだったな」

と、リヴァイ先生はポケットから何か取り出した。

エレン「そ、それは一体」

リヴァイ「透明のガムテだ。ゴミ取り用に常にポケットに少量、携帯している。ハンジにキスする直前、こいつをあいつの唇に貼りつけて、その上からキスしてやった」

よく見ると、ハンジ先生がまだ口をガムテで押さえられていた。可哀想に。

エレン「剥がしてあげていいですか?」

リヴァイ「ああ、構わん」

オレはそろーっと、ハンジ先生の口のガムテを剥がしてあげた。

ハンジ「ぷは! いやーまさか口を封じられるとは思ってもみなかったよ。リヴァイ、策士だね!」

リヴァイ「どっちがだ! エルヴィン達に比べたら可愛いもんだろうが!」

949進撃の名無し:2014/07/23(水) 22:30:55 ID:2eGzHfXM0
エルヴィン「いやーまさかリヴァイが乱馬1/2のロミオとジュリエットネタを知っているとは思わなかったよ。懐かしいね。乱馬とあかねちゃんもそれで偽のキスシーンやったねえ」

リヴァイ「すまんがオレはマンデー派じゃない。乱馬のネタを知っていた訳じゃないが、これしか乗り切る方法が思い浮かばなかったんだ」

ピクシス「相性ばっちりのくせに、何でそう頑ななんじゃろうな〜」

と、ピクシス先生は不思議がっている。まあ、気持ちは分からなくもないけど。

リヴァイ「あれはあくまで、ハンジとの付き合いが長いから知っていただけだ。カンニングペーパー有りでテストを受けたようなもんですが?」

と、リヴァイ先生はあくまでそう主張する。

ピクシス「だったら何故、最後の問題も当てたのじゃ。アレは完全に「勘」の世界じゃ。エルヴィンのような変態でない限りは、それこそ、気をつけて常に見ていないと分からないと思うんじゃがのう……」

というピクシス先生の主張にリヴァイ先生は「たまたま当たっただけですよ」と答える。

リヴァイ「偶然という事もある。気にするような事じゃ……」

ピクシス「本当かのう? お主、何故そんなにハンジから逃げておるんじゃ」

リヴァイ「は?」

リヴァイ先生が心外だと言わんばかりに言い返す。

リヴァイ「言っている意味が分からない。何の話だ」

ピクシス「ふむ。まあいい。意味が分からんなら話しても無駄じゃ。ハンジ先生、次の野球拳の為の司会の衣装に着替えた方がよかろう?」

ハンジ「あ、そうですね。今のうちに着替えますね〜」

と、ハンジ先生は先に更衣室の方へ移動した。舞台袖には一応、仕切りを立てて着替える場所を分けているからだ。

リヴァイ「エルヴィン、これ以上は何も仕掛けてないよな? 今度こそ、まともにやらせろよ?」

エルヴィン「だから私は何もしてないのに……」

リヴァイ「知っていて黙っているのも同罪だろうが! ピクシス先生もこれ以上、余計な事はしないで頂きたい」

ピクシス「しょうがないのう……」

という訳で、一応話に区切りがついたようだ。

リヴァイ「エレン、さっきのゴミ、渡してくれ。俺が後で捨てておくから」

エレン「あ、はい」

ハンジ先生の唇を塞いでいた透明ガムテだ。ゴミとなったそれをリヴァイ先生に渡す。

それをポケットに入れると、リヴァイ先生はエルヴィン先生とピクシス先生とオレの3人を舞台裏から追い出した。

ここからの時間は野球拳の関係者以外はもう、舞台裏に入っちゃいけないからだ。

950進撃の名無し:2014/07/23(水) 23:01:14 ID:2eGzHfXM0
ピクシス「ゴミくらい、彼に捨てさせればいいのにのう。どこまで独占欲が強いのじゃ。あの男は」

エルヴィン「まあ、そこが可愛いんですよ」

エレン「え?」

何の話か分からないけど、先生2人はニヤニヤしている。

舞台裏から客席側に移動して、オレは先生達を引き連れてミカサのいるところまで戻ってきた。

ミカサは客席の端っこの方でぐったりして死んだ魚のような両目をしていた。

ミカサ「気持ち悪い……こんなに気持ち悪いの、初めてかもしれない……うぷっ……」

エレン「だ、大丈夫かミカサ……」

ミカサ「なんであのクソちび教師のキスシーンなんか見ないといけないの……ハンジ先生が穢された……(ブツブツ)」

精神的ショックが酷かったようだ。これは野球拳、見せない方がいいかもしれない。

オレはジャンからミカサを受け取って引き連れて、取り敢えず一回、第一体育館を出る事にした。

ミカサ「許せない。モブリット先生が犠牲になった……許せない。なんとしても天誅を……」

エレン「ミカサ、その事なんだけど。リヴァイ先生、アレ、本当はキスしてないって言っていたぞ」

ミカサ「え?」

エレン「直前で透明ガムテを張り付けて、その上からキスしたんだって。直接した訳じゃないんだってさ。お芝居だよ」

ミカサ「お、お芝居…? 何故、お芝居を……?」

エレン「そりゃ、舞台だからだろ? 皆を盛り上げる為に、あえて「嘘」をついたんだよ」

こういえば少しは落ち着くかな。

ミカサ「で、でも、ハンジ先生は、『ほっぺならいい』って言ったのに」

エレン「え? ああ……」

確かにそう言っていたな。でもあの空気じゃほっぺじゃブーイングだったんじゃないか?

それを見越して唇に行ったんだろうし。

と、思っていたら、ミカサが泣き出しそうな顔でこう続けた。

ミカサ「ほっぺにキスされると思って我慢して待っていたのに、唇にいきなりキスされたら、嫌だと思う。例えそれがガムテ越しでも、私なら好きでもない男にされたら、発狂する」

エレン「え………」

あ、そっか。ミカサはハンジ先生がどの程度リヴァイ先生の事を好きなのかイマイチ分かってないんだ。

だからついつい「可哀想」だと思っているんだ。多分、そんなんじゃねえと思うけどな。

エレン「ハンジ先生は別に発狂してないぞ。さっき会ったけど、普通だった。いつも通りだったよ」

ミカサ「そんな筈はない。ハンジ先生は我慢しているだけ。きっと今頃、頭の中は大混乱している筈」

エレン「え………」

そ、そうなのかな。でも、ミカサがそう言うなら、その可能性もあるのかな。

951進撃の名無し:2014/07/23(水) 23:26:50 ID:2eGzHfXM0
ハンジ先生の様子が気になってそろーっと入り口から第一体育館の中を覗いた。

野球拳が始まるようだ。リヴァイ先生の2度目の登場に会場は大盛り上がりで、騒いでいる。

ハンジ先生は男装した燕尾服姿で出て来て、ルールを説明していた。

ハンジ先生の背景には、野球部の恰好をした男子生徒とチアガールの恰好をした女子生徒が雛壇に上って待機していた。

いつもの野球拳の音楽が流れると、その音楽に合わせて背景の彼らが一緒に踊ってくれるようだ。


野球〜するなら〜こういう具合にしやさんせ〜♪

アウト! セーフ! よよいのよい!


というお決まりのアレを説明するハンジ先生。特に変わった様子はないけれど。

そして壇上に出てきたのは、意外と女子生徒が多いな。

ああああ! ニファ先輩とペトラ先輩、両方出てる!!!

マジか。女の戦いが勃発してやがる。

リヴァイ先生VS女子生徒軍団の構図が出来上がっている。

っていうか、男子生徒は参加しねえのかこれ?

ああああ……リヴァイ先生、本当にじゃんけん強い! 3連続で勝った!

すげ! 本当に女子側がどんどん脱がされているぞ?! いいのかコレ?!

けしからん。実にけしからん……。

ミカサ「エレン……? (ゴゴゴ……)」

は! しまった! 一瞬、ミカサの事を忘れかけて見入っていた。

エレン「いや、ほら、何ともないみたいだぞ? ミカサの気のせいじゃないか?」

ミカサ「でも………」

エレン「心配し過ぎだって。ハンジ先生は大人なんだし、ノリでそういう事もあるってきっと割り切ってると思うぜ?」

ミカサ「エレン、そんな筈はない。ハンジ先生は女性。強く見えても、女性なので」

エレン「そ、そうかあ〜?」

うーん。ミカサが折れないなあ。

まあ、そこまで言うなら注意して見てあげた方がいいのか?

952進撃の名無し:2014/07/23(水) 23:46:03 ID:2eGzHfXM0
ペトラ先輩、負けているのに悠然と立っている。

一応、下にビキニの水着は着ているけれど、にしても、これだけの観客の前で堂々と服を脱げるって、すげえな。

ニファ先輩も同様だ。というか、オレの勘違いかな。むしろ喜んで脱いでいるように見えなくもないけど。

リヴァイ先生も淡々と勝っていくな。容赦ねえ。一回くらい負けてあげたらいいのに。

あ、一応、ビキニ姿になったら負けみたいだ。手ブラはやらないようだ。

そりゃそうだよな。手ブラやったら、PTAが黙っちゃいないよな。

いや、既にこの時点でアウトだという説もあるけど、そこは片目瞑って欲しい。

そんな訳で、野球拳で大いに盛り上がっていたその頃、ようやくアルミンがこっちに来た。

アルミン「エレン〜!」

エレン「あ、アルミン! 遅かったな」

アルミン「いや〜クリスタと一緒にお昼を食べていたせいでついつい時間を忘れていたよ。野球拳、始まった?」

エレン「ああ、始まっているぜ。どんどん先輩達、脱いでる」

アルミン「本当だ! スゴイ! これはいいイベントだね!! (興奮)」

エレン「ああ、企画した奴は天才だな。ハンジ先生が許したのも凄いけど」

と、ついつい遠くから見入っていたんだけど……。

女子生徒をあらかた征服したリヴァイ先生に対して、野次が飛んだ。

「ハンジ先生も参加して下さいよー!」という声だ。

ハンジ『え? 私? 私はやらないよ? 司会だもん』

「そこをなんとかお願いしますー!」と、無茶ブリする男子がいる。

ハンジ『もー貧乳なんか見てもしょうがないでしょー?』

「むしろステータスです! 希少価値です!」といつもの合いの手がやってきた。

貧乳=希少価値という変な価値観が浸透したのは某漫画のせいだろうけど。

ハンジ先生は汗を掻いて頭も一緒に掻いている。

ハンジ『こ、困ったなあ。じゃあ、やっちゃう? リヴァイ』

リヴァイ『参加しないんじゃなかったのか?』

953進撃の名無し:2014/07/23(水) 23:56:16 ID:2eGzHfXM0
ハンジ『だって、観客が望むならやらない訳にはいかないじゃなーい』

リヴァイ『………はあ』

と、リヴァイ先生はしょうがない顔になって構えた。

リヴァイ『分かった。後悔するなよ』

ハンジ『うん。リヴァイの腹筋、お披露目するよ!!』

という訳で何故かリヴァイ先生VSハンジ先生も勃発して、会場は大盛り上がりになった。

そして何度かシーソーゲームが続いて、あ、リヴァイ先生が負けた。

上着を1枚脱いだら、女子生徒が「きゃあああああ!!!!!」と金切り声をあげたので耳が痛かった。

もう、リヴァイ先生のファン、ちょっとは自重しろよ。

スカーフも脱いで、シャツも脱いで、下着も脱いで。

リヴァイ先生、さっきまでの連勝が嘘みたいに負けていくな。

そして遂に腹筋のお披露目だ。その瞬間、女子の観客がバタバタと何名か気絶していった。

実行委員が担架を予め用意していたのか手早く回収して保健室に運んでいく。

その様子にさすがにハンジ先生も異変に気付いたのか、

ハンジ『あんた、わざと負けてない?』

と言い出した。

リヴァイ『腹筋お披露目しろと言ったのはハンジだろうが』

ハンジ『いや、言いましたけどね。まさかこのタイミングでやってくれるとは思わなくてね』

ぶーぶー! 今度は男子生徒がブーイングだ。

「リヴァイ先生ー! 脱がせて下さいよー!」と野次を飛ばす。

しかしリヴァイ先生は野次を完全無視している。

そしてやっぱり、最終的にはわざと(?)全部負けてパンツ1枚になると、敗者となって、舞台をはけていった。

ハンジ『ありゃりゃ、全勝しちゃったよ。ごめんねー脱がなくて!』

と、ハンジ先生は可愛くごめんなさいをしている。

ぶーぶー! という声がやまないけど、こればっかりはしょうがないよな。

時間的にも終わるの丁度いいし、お開きかな。この辺で。

954進撃の名無し:2014/07/24(木) 00:08:18 ID:CEtk39aY0
と、思っていたんだけど……

まさかの「脱いで」コールが始まって、ハンジ先生が赤面していた。

ハンジ『ええ?! 36歳のおばちゃん捕まえてそれ言う?!』

「大丈夫大丈夫ー!」という声も出てきた。おいおい。なんだこの異様な空気は。

ハンジ『いや、あの…脱ぐのだけやったらそれはもう、ただのストリップだからね? もう時間も来ているし、この辺でお開きするよ。ごめんね? ね?』

と、ハンジ先生が言っていたその時、上着を1枚だけ引っかけたリヴァイ先生が颯爽と舞台裏から出て来て、野次を飛ばしていた男子生徒にげんこつかました。

いきなりの体罰に周りは「うわああ?!」とびっくりしていたけど、リヴァイ先生が殴るのも無理ねえな。

ちょっと、調子に乗り過ぎだ。アレはオレでもやるわ。

リヴァイ『いい加減にしろ。頭を冷やせ。馬鹿が』

インカムつけたままだから、声が響くな。男子生徒は「す、すんません…」と涙目だった。

リヴァイ『野球拳はこれでお終いだ。次の演目の準備する奴は早く舞台裏に行け』

と、言ってリヴァイ先生はその男子生徒をひっ捕まえてどこかに移動した様だ。

あ、もしかして、あの男子生徒、サクラだったのかもしれない。

ピクシス先生に頼まれたとか、ありそうだな。

そして野球拳が無事に終わって、ハンジ先生が舞台裏から出てきた。

インカムはもう外している。ふーっと疲れ切った様子だった。

ハンジ「…………」

あれ? 顔が赤い。どうしたんだろ?

エレン「ハンジ先生?」

ハンジ「うわあびっくりした! エレン、いたんだね?!」

エレン「まあ、そうですけど。大丈夫ですか?」

ハンジ「な、何が?」

エレン「いや、いろいろハプニングがあったから。ミカサも心配してましたよ」

ミカサ「ハンジ先生、必要ならリヴァイ先生に報復してきますので申し付けて下さい(キリッ)」

ハンジ「いやいや! 報復なんてしなくていいからね! 大丈夫! ほら、元気元気!」

と、ハンジ先生は笑っているが…。

955進撃の名無し:2014/07/24(木) 00:25:30 ID:CEtk39aY0
ミカサ「ダメです。ハンジ先生。我慢しては、ダメ」

と、ミカサがずいっと一歩出て言う。

ハンジ「え、ええ? 我慢なんてしてないよ?」

ミカサ「でも、キスされたこと、嫌だったのでは」

ハンジ「あーキスっていうか、ね」

ハンジ先生は困ったように言った。

ハンジ「あいつ、私にキス出来たんだーと思ったら、ちょっと何か、こう、もやもやしてね? いや、ガムテ越しだけど。私、てっきりガムテを「ほっぺ」に貼ってやるんだとあの時、思ったからさ。まさか口の方にくるとは思わなかったのよ」

ミカサ「嫌ではなかったんですか?」

ハンジ「んー……これ、どっちなのかな? 自分でも良く分かんないのよね」

と、頬を赤らめてハンジ先生が言う。

ハンジ「なんか、さっきから、変、なんだよね。こう、もやもやしていて。なんだろ? これ。こういうの、初めて経験するんだけど」

ミカサ「そ、それが「嫌だ」という感情なのでは?」

ハンジ「いや、嫌じゃないの。嫌じゃないのだけは分かるんだけど……ああああ分からん! 未知の感覚! 初めての経験だよこれ?!」

それってもしかして。もしかして、兆候が出ているのか?

ハンジ先生にとっての、恋の芽吹きみたいなもんが、さっきのガムテ越しのキスで、始まっちまったのか?

うわあああああどうすんだこれ?! いや、オレはどうしようもねえけど?!

ハンジ「ちょっと後でノートにまとめよう。うん。ちょっと書き出さないと訳分かんない。自分観察やらないと自己分析出来ないわ」

と、頭を悩ませている。ハンジ先生、そんな時まで研究者の顔が抜けないのか。難儀な性格しているな。

956進撃の名無し:2014/07/24(木) 01:13:15 ID:CEtk39aY0
ハンジ「まあいいや。自分の事は後回しだよ。それより、今回の事で、またリヴァイのファンの子達に恨まれちゃうなあ……」

エレン「え? ああ……そうか。そうですね」

リヴァイ先生のファンの女子がなんか、ちょっと異常だったもんな。

ハンジ「うーん。それが怖かったのもあって、「ほっぺ」を指定したんだけどね。あいつ、非公式ファンクラブの存在を知らないからなあ」

エレン「え? 何ですかそれ」

なんか今、ぞくっとしたぞ。背中が寒くなった。気のせいか?

するとハンジ先生は急に声のトーンを落としてオレ達だけに聞こえる大きさで話した。

ハンジ「あ、これ、リヴァイにはオフレコしておいてね。リヴァイ、人気があり過ぎて、本人知らない間に、校内の女子生徒の間でファンクラブが勝手に作られていたみたいでね。もう5年目くらいかな? 最初は5人くらいの小さな集まりだったんだけど、今じゃOG含めたら100人くらい会員がいるんだよね」

エレン「ひゃ、100人?! 何ですかそれ?!」

もうそれ、芸能人のアイドルクラスの人気じゃないのか?!

ハンジ「あーなんかいつの間にか増えていたみたいだね。私がその事を知ったのは、ここ数年なんだけど、ちょっと年々、ファンの子達が過激になってきていてね。1回、リヴァイのロッカーを勝手に漁って盗撮したり、あいつのパンツ盗もうとしていたりしていたから、流石にそれは私が止めたんだけどね。それがあって、私も初めてファンクラブの存在を知ったんだけど。そういう訳で、リヴァイと友人でいるのは良いけど、必要以上にくっつくと、いろいろ弊害も出るのよね。参ったなあ…」

と、ハンジ先生は困った顔をしていた。いや、なんかもう、何を言ったらいいか分からん。

アルミン「あの、それはちゃんと表沙汰にして、リヴァイ先生に伝えた方がいいのでは」

ハンジ「あーそんなことしたらあいつ、問答無用でファンクラブ解散させるよ。そしたら活動が水面下になるだけで、存在だけは無くならない。もしそうなったら、もっと動向を探るのが難しくなる。適度に発散させて泳がせておくのが一番だよ。こういうのは」

アルミン「でも、もしリヴァイ先生自身に被害が及んだら……」

ハンジ「あ、それは大丈夫。エルヴィンが体張って学校内を監視してくれているから。リヴァイは全く気付いてないけど。少なくとも校内で下手な真似は打てない様にしているし、あいつの生活は教員用のマンションと学校の往復が殆どで、それ以外は生徒のたまの送迎くらいだから。私も校内では女子生徒をある程度、注意して見ているし、あいつに被害が及ばない様には気を付けているよ」

エレン「な、なんか思っていた以上に大変な事態じゃないんですか? それは……」

ミカサもちょっと変な奴らに絡まれる事はあるけど、その比じゃねえ気がする。

だって100人だぞ? 数が三桁だからな。

ハンジ「うーん。でもたまには彼女らを発散させないと、ますますストレス爆発するみたいだしねえ。私が夏に一度、顧問をサボってリヴァイから離れたのもそのせい。リヴァイを泳がせて、ちょっと遠目でリヴァイを観察していたんだよね。女子がどういう行動を起こすか。マークすべき女子は誰か。炙り出したかったんだけどねえ……」

エレン「ええええええ? ちょっと待って下さい。アレ、酔っぱらっていたのって」

ハンジ「ごめんね☆ うん。あれ、演技だから。酔ったふりは得意なんだよ。私。ただあの時、ちょっと私の注意が女子に気づかれそうになってね。ごめん。誤魔化す為にエレンを巻き込んだけど」

エレン(ポカーン)

なんだこれ。まるで映画で観るような、ミッションみてえだな。

スパイ映画的な。ハンジ先生、捜査官になれるんじゃねえか?

957進撃の名無し:2014/07/24(木) 01:44:05 ID:CEtk39aY0
ハンジ「健全にリヴァイを愛でてくれるなら何も問題ないんだけどね。というか、こんな事態になっちゃったのは、リヴァイ自身が誰彼構わず生徒に優しくするのがいけないのよ。あいつ、生徒には基本的に優しいからね。さっきみたいに調子に乗った奴にはげんこつかますけど。それ以外の時は、本当に何というか、面倒見が良すぎて、気づかないうちに女子生徒落としているんだから。ちったあ自重して欲しいけど。自覚がないから無理なのよね。だからこっちは、適当に宥めて、こうやってたまにリヴァイのお色気を出して発散させるくらいしか出来ないのよね。我慢させたら、もっと大変な事になるから」

と、その瞬間のハンジ先生は大人の女性に見えた。36歳の年相応の顔だ。そんな独特の顔だった。

ハンジ「だから私、本当、リヴァイとどうこうなろうとか、思った事はないのよね。エルヴィンとかピクシス先生は、そうじゃないみたいだけど、リヴァイの隣に異性がいる場合は「友人」としての枠しかないのよ。万が一、恋人になっちゃったら、毎日ファンの子に暗殺される恐怖と戦う事となるかもしれない。割とガチで」

こえええええ。リヴァイファン、こえええよ!!

ハンジ「あーごめん。愚痴っちゃった。本当、こんなの生徒に言う話じゃなかったね。あーもう、私が男だったらなあ! こんな面倒な事考えずに、あいつと毎日飲みに行けたんだけどな!」

と、腹を立てている様子がちょっとだけ可愛かった。

そしてハンジ先生は「じゃあまた後でね! お腹すいたからちょっと食べてくる」と言って離れて行った。

なるほど。なんかだんだん、全容が分かってきたぞ。

リヴァイ先生の交際が長続きしないのも。

ハンジ先生がリヴァイ先生の友人に拘る理由も。

微妙なバランスで今の状態が成り立っているんだ。

その均衡を崩すのを、ハンジ先生は無意識に怖がっているのかもしれない。

なんかこの感覚、オレ、覚えているぞ。そうだ。

オレ自身が、ミカサとの交際に踏み切る前に、ウダウダしていたあの頃だ。

思い出した。ジャンにGWにいろいろ言われたことを。

そして交際がバレた直後、「気持ちに蓋していたんじゃなかったのか?」と問われた事も。

つまり、オレの場合は「家族としてやっていきたい」理性と。

「本当はミカサが好きだ」という本能の板挟みになっていた訳で。

オレの場合は結局、本能の方が勝った訳だけど、ハンジ先生の場合も、無意識のうちに「理性」で押さえこんでいる可能性がある。

958進撃の名無し:2014/07/24(木) 02:10:13 ID:CEtk39aY0
でも100人の同性に恨まれる覚悟を持たないと、リヴァイ先生の恋人の場所に居られないなら、確かにちょっとこええよな。

オレだって既にジャンに恨まれているし、多分、見えないだけでミカサのファンだっている筈だ。

ミスコンで支持者が10人以上集まったって言ってたし。そういう部分は切っても切り離せない。

多分、これから一生、抱えていかないといけない問題になるんだ。こういうのは。

でも、だけど。

だからと言って、リヴァイ先生がずっと独身でいたら。

リヴァイ先生自身は、幸せになれなくねえか?

ミカサ「エレン……?」

ああああもう! オレの馬鹿! オレに出来る事って、何も思い浮かばねえ!

こんな事態になっても、見守る事しか出来ねえのか…。

アルミン「エレン、何かいろいろ考えているみたいだけど。なるようにしかならないよ」

エレン「アルミン……」

アルミン「話は大体分かったよ。疑問に思っていた部分も、これで繋がった。でも、だからと言って、僕らには何も出来ない気がするよ」

エレン「そうだよな。大人の問題だもんな。首突っ込むわけにはいかねえよな」

アルミン「まあでも、あんまり心配しなくていいんじゃないかな? 僕もエレンと同じ意見だし」

エレン「アルミンもそう思うのか?」

アルミン「うん。考えは大体同じだと思う。だって様子を見ていれば分かるじゃないか」

ミカサ「2人だけで分かる話をしないで欲しい(涙目)」

悪い! うっかりミカサを放置しちまった。

エレン「すまん! その……人間についていろいろ考えちまった」

ミカサ「人間について? どういう事?」

エレン「その……こう、なんだ。人間って、自分の「本当の気持ち」ってやつを、簡単に「理性」ってやつで封じ込めちまう生き物なんだなって思って」

ミカサ「封じ込める……」

エレン「勿論、そうしないといけない場面もあるけど、それって限界があるだろ? いつか決壊して、壊れるのは分かってる。だったらもう、吹き出すものを我慢する必要はないんじゃねえかって、思うんだけど」

と、言ったら、ミカサが真っ赤になって、

ミカサ「エレン、それは大人の階段を登りたいという意味?」

と聞いてきたんで「違う!」と言ってやった。

エレン「あ、いや、違わなくもないんだろうけど、その、この場合は違うんだよ!」

ミカサ「? どっちなの?」

エレン「と、とにかく、その、なんていうか、我慢のし過ぎは良くねえよって話だよ!」

ミカサ(ポッ)

あ、ミカサがエッチな方向で考えているな。

ミカサ「エレン、その……誓約書の事なんだけど」

エレン「え?」

急になんだ?

ミカサ「後で、ちょっと確認したい事があるので、文化祭が終わってから、落ち着いてから話したい」

エレン「あ、ああ……そうだな」

そういえばその問題もあったな。っていうか、もうなんか忙しいなここ最近!

959進撃の名無し:2014/07/24(木) 13:05:51 ID:CEtk39aY0
でも時間は有限だ。悩んでいたってしょうがねえ!

エレン「まだ見て回ってないところ、行ってみるか」

アルミン「あ、そうだね。僕も一緒にいいかな?」

ミカサ「勿論。いい。3人で回ろう」

アルミン「ハンジ先生の生物室、もう見て回った?」

エレン「いや、まだだな。折角だから行ってみるか」

ハンジ先生の生物室は確か珍しい生き物を飼っていて、それを展示している筈だ。

カメレオンとか、爬虫類系も飼っている。ハンジ先生が主に世話をしているそうだ。

生物室は別館の、職員室がある方の3階にあるので、一旦、第一体育館を離れて売店、学生食堂を通り抜け、職員室を通り過ぎて階段を登っていく。

そして生物室の方に顔を出してみると、そこには思わぬ事件が待ち構えていた。

エレン「ん………?」

何か、異様な空気だった。ざわざわしていて人だかりが出来ている。

中を覗いてみると、そこには……

エレン「!」

水槽とか、割れていた。動物の死骸もあって、異様な臭気を漂わせていた。

生物部部長「すみません! 中には入らないで下さい! 現在、展示は中止しております。中には入らないで下さい!」

生物部の部長らしき男子生徒がオレ達を廊下に追い出してしまった。

お客さんは展示を見るどころじゃない。生物部の部員たちが深刻な表情で何やら話し合っている。

生物部部員「どうする? ハンジ先生に連絡するべきなのかな」

生物部部長「しない訳にはいかないだろ。でも……」

ざわざわざわ……

何だコレ。悪戯にしては悪質じゃねえか?

生物室で飼っていた生き物が誰かに殺された。そう思っていいのかな。

960進撃の名無し:2014/07/24(木) 13:29:50 ID:CEtk39aY0
そして遅れてハンジ先生が生物室に戻ってきた。連絡を受けて急いで戻ってきたようだ。

ハンジ「はあはあ…ごめん! 遅くなって!」

バタバタと生物室に入ってきた先生は、その教室の飼育ブースを見るなり「うあああああああ」と叫んだ。

ハンジ「嘘……本当に? これ、全部?」

生物部部長「はい。すみません。ちょっと、目を離した隙にやられていたみたいで。こっちに誰もいない時間帯があったみたいで、すんません! 俺のローテーションミスのせいです!」

ハンジ「う、ううん……部長のせいじゃないわよ。大丈夫。気を落とさないで」

いや、一番気を落としているのはハンジ先生自身だろ。

一体、誰がこんな事を……。

ミカサ「なんて酷い……」

アルミン「まさか、ハンジ先生を妬んで、誰かがやったのかな」

エレン「そうとしか思えないだろ。あ……」

そう言えば、思い出した。

黄色い悲鳴が多い中、一度だけ異様な声があった気がする。

そう、リヴァイ先生とハンジ先生が最終カップルに選ばれた直後、一部の女子が変な悲鳴をあげていた。

あの時は、ただのヒステリックな悲鳴にしか聞こえなかったけど。

もしかして、あの時の女子が、これをやったのか……?

ハンジ先生はすぐに誰かに連絡を入れていた。

そして生物室にはモブリット先生とエルヴィン先生が慌ててやってきたのだった。

モブリット「! これは酷い……」

エルヴィン「大丈夫か。怪我はないか」

ハンジ「うん。幸い怪我人は出なかったみたいだけど」

ハンジ先生の目の色が変わった。いつもの先生の目じゃない。

鋭い眼光の中に暗い、光が見えた。

ハンジ「エルヴィン、監視カメラ。見せて。学校中に仕掛けている監視カメラ、今から総チェックするから。特にフィーリングカップルが終わりかけになった時間から、野球拳を行っていた時間帯。その時間帯を徹底的に調べさせて」

エルヴィン「何故、その時間に断定する」

ハンジ「腐敗の浸食が真新しい。これは殺してすぐの物だよ。恐らく、やったのは私に対する嫉妬からの犯行だと思うから」

エルヴィン「分かった。手分けしてビデオをチェックしよう」

エレン「あの、オレ達も手伝いましょうか?」

差し出がましいかもしれないが、ハンジ先生の手助けをしたかった。すると、

ハンジ「エルヴィン、いい?」

エルヴィン「人手が多い方が助かるが、一応、これはオフレコでお願いするよ」

エレン「分かりました。約束します」

そしてオレとアルミン、ミカサの3人と、あと生物部の部員も交えて、先生達と一緒に監視カメラの総チェックを行う事になった。

961進撃の名無し:2014/07/24(木) 13:47:19 ID:CEtk39aY0
エルヴィン先生は職員室のすぐ隣にある進路指導室のドアを開けて、その奥の隠し部屋を教えてくれた。

ちょっと忍者屋敷を思わせる仕組みでその隠し部屋に入ると、奥には膨大な数のテレビ画面が設置されていて、まるでテレビ局の中のような錯覚を覚えた。

アルミン「すごい機材だ。これ、全部学校内を監視しているんですか?」

エルヴィン「ああ。かなりの数を録画しているよ。ただこの事は一般には公表はしていないから、くれぐれも内密にしてね」

エレン「分かりました」

最近、物騒な事件が多いもんな。これくらいの自衛はしていて当然かもしれない。

校内でも盗難とかある事もあるし、学校内で事件が起きる時もある。

オレ達は先生の指示を仰ぎながら画面を食い入るように見た。

そしてアルミンが真っ先に、「あ、あの子! 生物室に入りました!」と言った。

ハンジ「拡大して」

エルヴィン先生が操作する。そしてその犯行の瞬間がバッチリ収められていた。

ハンジ「監視カメラ、数を増やして正解だったね。犯人が分かった」

エレン「誰だったんですか」

ハンジ「悲しいけど、リヴァイのクラスの子だよ。3年1組の女子だ。確か、2年の時は登校拒否を起こしていて、3年になってからようやく復帰したんだったよね。この子」

エルヴィン「ああ。リヴァイが言っていたな。2年の3学期あたりだったか。このままだと卒業出来なくなるから、一応、家庭訪問してくるって言っていたあの女子だな」

ハンジ「リヴァイの呼びかけでちょっとずつ学校に来るようになったんだよね。何だって、こんな事を………」

ギリッ……

ハンジ先生が強く拳を握り過ぎて血を出している。

モブリット「ハンジ先生! 血が……」

ハンジ「あ? ああ……ごめんごめん」

ハンジ先生は我に返って、

ハンジ「この子を確保していいよね。証拠はあるし」

エルヴィン「そうだな。これはもう、器物破損罪で訴えていいレベルの悪戯だ。学校所有の生き物を殺しているし、隠し通せる問題じゃないけど」

ハンジ「けど?」

エルヴィン「リヴァイはどうする? あいつが担任教師である以上、隠し通せるものじゃないと思うが、この問題はデリケートだぞ」

ハンジ「………………………」

ハンジ先生が長考していた。まるで将棋を指す名人のような真剣な空気で。

一手を間違えたら、全てが台無しになる。そんな予感を携えながら。

962進撃の名無し:2014/07/24(木) 14:02:51 ID:CEtk39aY0
ハンジ「文化祭の最中だけど、こっちを優先させたい。彼女を確保しましょう」

エルヴィン「分かった。では彼女を進路指導室に呼び出そう」

エルヴィン先生が忙しく動いていた。そして、

ハンジ「ここから先はちょっと、君達には見せられないね。ごめんね」

痛々しい顔でハンジ先生がオレ達生徒全員を部屋から追い出した。

生物部の部員メンバーも心配そうにしていた。

オレ達もこれ以上は何も言えなくて、お互いに見合ってしまう。

多分、停学。下手すれば退学処分もあり得る。

どんな結果になるか分からないけど、オレ達はこれ以上立ち入る事は出来なかった。

アルミン「………もうすぐ16:00だね。写真館の方に戻らないと」

エレン「ああ、もうそんな時間か」

ミカサ「私達も一緒に戻る?」

エレン「そうだな。その方がいいな」

後ろ髪をひかれる思いを抱えながら、オレ達はハンジ先生を案じた。

重い空気を抱えながら、オレ達3人が自分の教室に戻ると、

ヒッチ「うひひ〜本当は嫌いじゃない癖に、素直じゃないよねジャンって」

ジャン「だーから、その話は誤解だっつってんだろ?! 誰がこの芋女を……」

サシャ「さっきから失礼な事ばかり言ってますね! 芋女は余計ですよ!」

ジャン「教室で芋ばっか食ってる奴には芋女で丁度いいんだよ!」

マルコ「あ、皆おかえりー。どうだった? いろいろ見てきた?」

エレン「…………ああ、まあ、楽しかったよ」

生物室での事はあまり人に話さない方がいいだろうと思ってオレは苦笑して答えた。

963進撃の名無し:2014/07/24(木) 14:24:33 ID:CEtk39aY0
ヒッチ「だってあんたさぁ〜見たよ? ミスコンの投票箱の前で、ミカサに出すかサシャに出すか、すっごい悩んで頭抱えていたじゃない」

サシャ「え? そうだったんですか?」

ジャン「違う! オレはすぐにミカサに1票入れた! サシャのは、その、コニーに頼まれていただけで」

ヒッチ「うっそだ〜! コニーは彼女持ちだから「そんなの誰でもいいよ。オレの票はジャンに任せるわ」って言ってたから、コニーがサシャを指定する筈ないじゃーん」

サシャ「ああ、それもそうですね。それだったら、ミカサに2票入れた方がいいですよね」

ジャン「うぐ!」

マルコ「あーもう、バレたんだからいいじゃない。ジャン。自分の意志でそれぞれ1票ずつ入れたって言えば……」

ジャン「うううう………(真っ赤)」

アレ? 何だ。ジャンの奴、サシャの事も気になり出しているのか。

気の多い奴だな。まあ、それはそれで有難いけど。

サシャ「まあでもおかげで私もミスコン出ますけどね。1票あざーっす!」

ヒッチ「そうなんだ。良かったね〜サシャ♪ 馬面のおかげで出られるよ。優勝狙っていきなって」

サシャ「はい! 優勝者には景品が出ますからね! 優勝狙いますよ!」

と、サシャはウキウキしている。その様子を見てミカサは「………」となっていた。

エレン「ミカサ?」

ミカサ「いえ、だったらもう、ジャンとサシャが付き合えばいいのに」

と、爆弾発言を突然落としたもんだから、ジャンが物凄い顔になってショックに陥った。

ジャン(パクパクパク)

ミカサ「ジャン、票を入れてくれたのは嬉しいけれど、私にはエレンがいるので。ジャンも早く彼女を作った方がいいと思う」

フルボッコ来たな。か、可哀想だからその辺にしておけよ、ミカサ。

明日、一応、お前とジャンが主役級で頑張らないといけないんだからさ。

前日に爆弾放り込むな。頼むから。

964進撃の名無し:2014/07/24(木) 14:41:34 ID:CEtk39aY0
サシャ「ええっと、ジャンは私の事が好きなんですか?」

ジャン「違うっつってんだろ! 調子に乗るんじゃねえよ!」

サシャ「え? でも、1票くれたんですよね? それって矛盾していませんか?」

ジャン「か、勘違いするなよ! たまたま、コニーの奴が自分の票をオレに丸投げしたから、出してやっただけだ!」

サシャ「ええ? でもそれだったらミカサに2票で良くないですか?」

ジャン「コニーがミカサ書いたら、違和感あるだろうが! 一応、バレないようにしねえといけないと思ったんだよ!」

サシャ「ああ、コニーだったら私に票を入れてくれそうだと。そう思った訳ですね」

ヒッチ「絶対嘘だ〜」

ジャン「いいからお前はもう黙れ!!!」

と、何だか賑やかにじゃれあっている。

店番やっている間に、いろいろ親交が深まったみたいだな。こいつらも。

アルミン「騒いでいるところ悪いけど、そろそろ交替の時間だよ。引継ぎぼちぼちやるよ」

サシャ「はいはい。そうですね。落とし物は財布の落とし物が1件だけで、連絡はしてありますが、まだ取りに来てないんで、財布を渡す時は必ず財布の特徴とか、受け渡す前に中身の確認をして下さいね。たまに嘘ついて持っていこうとする方がいるんで。車の免許証入っているんで、顔写真で確認するのが一番ですね」

アルミン「了解。さすがアルバイター。しっかりしているね」

サシャ「いえいえ。前に間違えて確認せずにそのまま渡して店長にしこたま怒られた事あるんで。覚えちゃったんですよ」

と、先に社会経験をしているサシャはやっぱり、ちょっと他と違って見えた。

サシャ「在庫の売り切れはないので今のところ、大丈夫ですが、やはりクリスタとミカサ、アニの写真はよく男子に売れましたね。軍服コンビのライナーとベルトルトのも在庫が少なくなってきました。明日の為に焼き回ししておいた方がいいですかね?」

アルミン「うん。そうだね。ちょっと思っていた以上に売れたみたいだし、在庫追加しようか」

サシャ「了解です。では私は抜けますので、何かあったら携帯に連絡してくださいね〜」

と、サシャは手慣れた感じで教室を去って行った。

ジャン「…………」

マルコ「ジャン、いい加減に認めなよ。サシャも可愛いじゃないか」

ジャン「うるせえよ! んなわけねえだろ」

965進撃の名無し:2014/07/24(木) 14:56:59 ID:CEtk39aY0
一旦、休憩します。

ジャンがミカサとサシャを同時に好きになるという珍事が起きていますが(笑)、
ジャンサシャダメな方、いますかね?
ジャンミカサルートはもうエレミカ確定した時点で片思いしか出来ないの確定なんですが、
どっちルートがいいか迷っています。
1.ずっとミカサ片思いルート
2.ジャンサシャルート
まあ、正直どっちでもいけるっちゃいけるんですが、
ちょっと迷っているので一応意見を参考にしたいと思います。

ではまた後ほど。ノシ

966進撃の名無し:2014/07/24(木) 15:51:50 ID:g29IP8qo0
ジャンサシャ新鮮!
でも当分ジャンはミカサとサシャの間をふらふらしてそうなイメージだな
やるときゃやるけど、こと女子絡みでは優柔不断みたいな

967名無し:2014/07/24(木) 17:03:20 ID:jKfk/9J60
コミケで代行やりますよー

良かったら連絡ください。

http://livedoor.blogcms.jp/lite/blog/flp0601/article/

968進撃の名無し:2014/07/24(木) 17:17:43 ID:CEtk39aY0
ジャンは素直じゃねえからな。まあ、当分はフラフラするかもな。これは。

と、半眼で見つめながら思っていたら、アニとベルトルトとライナーがこっちに来た。

次の当番のメンバーだ。3人で回っていたのかな。

アニ「ごめん。少し遅くなった」

アルミン「いや、僕らも今さっき戻ってきたところだよ。楽しめた?」

アニ「まあまあってところだね。和風甘味は結構美味しかったよね。ねえベルトルト」

ベルトルト「う、うん……(赤面)」

ライナー「ベルトルトの奢りで食べてきた。和風のウェイトレスさんもなかなか乙だったぞ」

アルミン「そうなんだーいいねー」

と、アルミン達が話していたら、

ハンネス「すいませ〜ん、財布落としちゃった者ですが」

と、なんとハンネスさんがこっちにやって来たのだった。

エレン「ハンネスさん!」

ハンネス「おーいたな! エレン! アルミン! ミカサ! さっき会おうと思ってこっち来たがすれ違ったみたいでな。すまん、財布を落としていたよ」

アルミン「ああ、本当だ。免許証の写真、ハンネスさんだ。いくら入ってるのかな〜」

ハンネス「こらこら、金額は1000円しかねえよ。小銭で」

アルミン「本当だ。子供みたいな財布だね」

エレン「ハンネスさん、写真買ってくれよー」

ハンネス「おう! それはもう買ったぞ。王子様のエレンとかな。おめーさん、スケベな顔するようになったなあ……ククク…」

エレン「す、スケベじゃねえし! 何言ってるんだよもう!」

と、ついついハンネスさんと話し込んでしまう。

ハンネス「いやいや、いい事だぜ? そうやって男は徐々に大人になっていくってもんさ。美人の彼女のおかげだな」

ミカサ「どうも(ポッ)」

ミカサがちょっと照れている。

969進撃の名無し:2014/07/24(木) 17:18:37 ID:CEtk39aY0
ハンネス「そうそう。彼女が出来た記念に俺からプレゼントをやろうと思っていたんだよ。エレン、これをやる」

エレン「ん? 何だ? この小箱」

ハンネス「それは開けてからのお楽しみだ。文化祭が終わった頃にでも開けてくれ」

エレン「分かった。ありがとうハンネスさん!」

中身何だろう? まあいいや。後の楽しみに取っておこう。

そんな感じで夕方は和やかに店番も終わって、18:00からは次の日の為の舞台設営になった。

オレ達演劇部はここからが本番だ。他のクラスも舞台に出るので合同で設営をしていく。

最終リハーサルも無事に始まった。バタバタ活動していたらあっという間に1時間が経過した。

やべえ。場見がまだ終わってねえ。これは延長になりそうだな。

そんなこんなで、予定より30分オーバーしたけど、何とか準備を終えると一応の解散になった。

解散の合図が終わった直後、リヴァイ先生がオレを呼び留めて、

リヴァイ「エレン、ちょっと残ってくれ」

と、言われたのでオレは自分の片づけが終わり次第、リヴァイ先生のもとへ向かった。

リヴァイ先生は売店のところで待っていると言っていた。

自動販売機の前に立っていて、オレに1本、ジュースを奢ってくれた。

ミカサは玄関で待っているように伝えている。リヴァイ先生に呼び出された事を言ったら、苦い顔をしていたけれど、待っていると言ってくれた。

リヴァイ「ふーっ…………」

売店の前にも少人数の人間が座れる椅子とテーブルがちょっとだけある。

そこに腰を落ろしてリヴァイ先生は「まあ座れ」と言ってくれたので向かって座る事にする。

何だろう。明日の公演について、裏方の心構えでも教えてくれるのかな。

そう、身構えていたら、予想と違う事を言い出した。

970進撃の名無し:2014/07/24(木) 17:19:22 ID:CEtk39aY0
リヴァイ「なあ、エレン」

エレン「はい、何ですか」

リヴァイ「愛って、何だろうな………」

エレン「?!」

何かいきなり哲学的な事を言い出したぞ。大丈夫かリヴァイ先生?!

リヴァイ「学生に聞くのもアレだが、どう思う? エレン」

エレン「えっと、それはあくまでオレ自身の答えでいいんですか?」

リヴァイ「構わない。ミカサとつきあっているお前の方が俺よりも的確な答えを知っているんじゃないかと思ってな」

オレの倍以上長く生きているリヴァイ先生の方が恋愛経験値少ないってのもすげえ話だけど。

その時のリヴァイ先生はどうにも弱り切っているのが目に見えていたから、オレも茶化したりはしなかった。

エレン「あの、あれからハンジ先生と何かあったんですか?」

慎重に言葉を選ぼう。背景を何も知らずに答えたら地雷踏むかもしれんし。

リヴァイ「あ、ああ……ハンジというより、オレのクラスの生徒の事だけどな」

エレン「あ……」

何だ。そっちの方に頭悩ませていたのか。

リヴァイ「話は既に聞いているかもしれないが、エレン達も偶然、生物室に居合わせたんだろ? エルヴィンからその件については話を聞いている」

エレン「あ、はい。すみません。でしゃばったかなとも思ったんですけど」

リヴァイ「いや、あの時は仕方がない。人手が欲しかった訳だしな。あの後、俺も呼び出されて事実の確認を行った。フィーリングカップルでの俺とハンジに嫉妬して犯行をしたと認めたよ。俺は彼女を……生徒を深く傷つけてしまった」

と、言って悲しい表情になってコーヒーの缶を両手で握るリヴァイ先生だった。

リヴァイ「特に最後の、俺とハンジのキスシーンに深く傷ついて、衝動的に犯行に及んでしまったそうだ。一応、今回の事は保護者に弁償金を出して貰う事で、5日間の停学処分までで収まったが、ハンジも相当、気が荒立ってしまってな。今はまともに会話出来そうにない」

エレン「そうですか……」

5日間の停学処分か。これが軽い方なのか重い方なのか分からないけど、退学よりはマシなのかな。

オレ自身は正直言って、その女子生徒の方に同情は出来なかったが、リヴァイ先生は胸を痛めているようだ。

リヴァイ「俺は自分の出来る限りの事を生徒にやっただけのつもりだったんだが、彼女はそれを切欠にして俺に心底、惚れてしまったらしい。俺はそれに全く気付いていなくて、まさかそんな風に思われているとは思っていなかった。好きで好きで堪らなくて……どうしたらいいか分からなくて、その気持ちを制御出来なくなって、衝動的にハンジを傷つけてやりたくなって、犯行に及んだと言った。ハンジはハンジでその事に物凄く傷ついてしまった」

エレン「……でしょうね」

生物室を荒らされた現場を見て一番ショックを受けていたのはハンジ先生だったもんな。

リヴァイ「そして今回の事を切っ掛けに俺は自分の非公認ファンクラブの存在を知った。聞かされた時は、本当に驚いた。まさか100人前後の人間が既に会員として加入していて、俺の事を密かに思っていたなんて、俄かには信じられなかったが、証拠として会員制のパスワード制のウェブサイトの存在がある事を知らされて、信じない訳にはいかなくなった」

例の非公認ファンクラブの件、やっぱり結局話す事にしたんだな。

そうだよな。始めた当初の5人程度の小さなものならともかく、それだけの規模のファンクラブを本人が知らないなんて、ある意味気持ち悪い事だもんな。

971進撃の名無し:2014/07/24(木) 17:53:00 ID:CEtk39aY0
リヴァイ「見せて貰ったんだ。そのサイトでは俺の情報が、つまり生徒から見た俺の印象とか、今日の俺はどうだったとか、そういうどうでもいいような事を、本当に嬉しそうに書いて情報を交換し合っていた。学校での俺の姿がとんでもなく美化されているような気もしたが、彼女らにとってはそう見えるらしい。正直、鳥肌が立った。俺はそんなに綺麗な人間なんかじゃねえのにどうして彼女達はそこまで俺を好いてくれるのか。全く理解出来なかったんだ」

エレン「うーん………」

リヴァイ「俺のしてきた事は、恐らく間違っていたんだろうな。でも俺はただ、その時その時、自分が出来る限りの事をただ、繰り返ししてきただけだ。それ以外の事は何もしていない。けっしてスーパーマンではないし、アイドルでもない。ただの元ヤンの体育教師だ。それが今の俺なんだよ」

リヴァイ先生は疲れているように見えた。いや、実際相当疲れていたんだろう。

だからこそ、こんなただの男子生徒に愚痴るくらいしか出来なかったんだろう。

何だろ。そんな風に弱っているリヴァイ先生を見ていると、エルヴィン先生じゃねえけど、可愛いって思っちまった。男なのに。

決してBL的な意味じゃねえけどな。なんていうか、迷子の子供を見るような気分だった。

リヴァイ「皆、過大評価し過ぎだ。幻影を俺に求められても困る。俺は愛されても、それに対して同じようには愛し返してやれないのに………」

エレン「本当に、そうでしょうか」

オレは自分の胸の内を正直に話す事にした。今はただ、迷子になっちまった先生の為に。

手を引いてやることぐらいしか出来ねえけど。

リヴァイ「どういう意味だ。エレン」

エレン「いや、その、幻影とかなんとか。幻影じゃないのかもしれないじゃないですか」

リヴァイ「何、言ってやがる。俺はそんなに綺麗な人間じゃ……」

エレン「そういう意味じゃなくて、その……先生、実際、綺麗ですよ? 多分」

リヴァイ「………は?」

ポカーンとしたリヴァイ先生が面白すぎて写メ撮りたくなった。

よし、1枚撮ってエルヴィン先生に送っちゃおう。ぴろりーん♪

リヴァイ「?! 待て。今の顔、撮るな!!!」

エレン「まあまあ、話を最後まで聞いて下さいよ」

と言って宥めて続ける。

エレン「外見がどういうという意味じゃなくて、なんていうか、生き方が綺麗なんですよ」

リヴァイ「生き方……だと?」

エレン「多分。オレ、今まで出会ってきた教師の中ではリヴァイ先生が一番好きですよ」

先生として、だけどな。

リヴァイ「はあ? お前までそんな事を言い出すのか」

エレン「いや、ミカサは逆に嫌いみたいですけど、まあそういう生徒もいるでしょうけど、とにかく、リヴァイ先生って、教師向いてないって自分で言う割には生徒の為に奔走したり、サービスしてくれたりしますよね?」

リヴァイ「向いていないからこそ、やるんだろうが。でないとますますダメに………」

エレン「そこですよ。多分、皆が好きになっちゃう理由は」

リヴァイ「………え?」

あー面白い。やべえ! 2枚目撮ろう♪

972進撃の名無し:2014/07/24(木) 18:12:01 ID:CEtk39aY0
リヴァイ「だから撮るなとさっきから!」

エレン「まあまあ、待って下さい。話は終わってないんで」

といいつつ、エルヴィン先生に写真を送る為にフォルダをこっそり作っておく。

エレン「リヴァイ先生、生徒の為に動ける……生徒思いの先生ですよね。だからそれがストレートに伝わっちゃって、たまに伝わり過ぎて嫌われる事もあるけど、とにかく良くも悪くも、真っ直ぐに。自分の気持ちに正直で、不器用だけど、優しいから。皆、リヴァイ先生を嫌いになれないんじゃないんですか?」

リヴァイ「……………………」

過去最高に面白い顔になった! やべえええ! 連写しよう。

リヴァイ「あの、エレン。だから、もう写真はやめろと」

エレン「はいはい(棒読み)あー良く考えたらエルヴィン先生のメルアド知らないや。どうしようかな」

リヴァイ「エルヴィンにだけは送るな! 頼む!」

エレン「えーダメですかね? まあ、今度会った時でいいか」

と、ガラケーをポケットにしまう。

エレン「まあ、そう言う訳だからもうしょうがないんじゃないんですかね? ファンクラブの件は、リヴァイ先生の公認にしちゃえばかえって運営もはかどるし、適当に遊ばせてやればいいと思いますよ。どうせ今だけですよ。キャッキャ言ってるのは」

リヴァイ「そうだといいんだが……(げんなり)」

エレン「むしろ俺はその事より、リヴァイ先生自身の事が心配ですよ」

リヴァイ「俺、自身……だと?」

エレン「はい。ご結婚、されないんですか? もうすぐ39歳になるのに」

リヴァイ「!!!」

おおっと、反応がいいぞコレ。なんか、すげえいいヒット打った気分だ。

リヴァイ「いや、結婚したらかえってその、ファンクラブの生徒達ががっかりするだろう……」

エレン「そんな事言い出したらもう、完全にアイドルですよ。先生、さっき自分で「アイドルじゃない」って言っていたじゃないですか」

リヴァイ「う………それもそうだった」

あーあ。ブーメランって怖い怖い。

リヴァイ「だが、しかし…その、アレだ。相手の事が……」

エレン「ハンジ先生と結婚しちゃえばいいじゃないですか」

リヴァイ「!!!!!!!」

おおっと、今度はもっと大きい当たりがキター! って感じだ。

汗掻いているリヴァイ先生が超面白い。なんだこれ。

リヴァイ「いや、ハンジとは、その、そういう関係ではないしな………」

エレン「あれ? でもなんか、この間の反応と微妙に違いますよ? リヴァイ先生」

リヴァイ「そ、そうか?」

エレン「はい。顔、赤いですよ?」

リヴァイ「!」

慌ててスマホで確認するリヴァイ先生の行動がマジで面白い。

973進撃の名無し:2014/07/24(木) 18:34:46 ID:CEtk39aY0
リヴァイ「赤くなってねえじゃねえか。嘘ついたな、エレン」

エレン「え? そうですか? じゃあ気のせいですかね?」

と、あえて惚けてみる。

エレン「まあ、それはどうでもいいんですけど、リヴァイ先生。オレに尋ねた答え、言いますね」

リヴァイ「あ、ああ……」

忘れていたのかな。今、思い出した顔でリヴァイ先生が頷く。

リヴァイ「聞かせてくれ。エレンなりの解釈を」

エレン「オレは、『愛とは、自分じゃどうにもならん物』です」

リヴァイ「……………? すまん。もう1回言ってくれ」

エレン「だーから、自分でこう、「こうしよう」と思ってもそうなかなか思う様にならないというか、何でだよ?! の連続というか。我慢の連続というか、忍耐を要求されるというか……」

リヴァイ「言いたい事が多過ぎる。もっと絞れ」

エレン「あーつまり、もう一人の自分に委ねるしかない感じですかね」

リヴァイ「もう一人の自分? 自分は一人しかいないだろ」

エレン「いいえ? 天使と悪魔がいますよ? いつも脳内会議して騒がしいですよ」

所謂、理性と本能の話だけどな。

リヴァイ「ああ、つまり理性と本能の話か。それは」

エレン「そうです。普段は理性に預けて生活しているけど、愛だけは、理性じゃ動かせない。本能の自分にハンドルを握らせないと動かないんですよ」

リヴァイ「………まさかエレンがそんな哲学的な答えを出すとは」

エレン「え? そうですか? というか、こんなの皆、知っていると思いますよ? 感覚的に皆、覚えていくもんじゃないんですか? 自転車の運転と同じですよ」

リヴァイ「……まるで俺が自転車に乗れないような言い方だな」

エレン「実際、乗れてないじゃないですか。リヴァイ先生、こと恋愛に関してだけはオレより経験値なさすぎですよ」

リヴァイ「うぐっ………! (ぐさあああ)」

974進撃の名無し:2014/07/24(木) 18:56:25 ID:CEtk39aY0
クリティカルヒットおおおお! いい顔していて面白い。

エルヴィン先生がリヴァイ先生を「可愛い」言ってる理由がだんだんわかってきた気がする。

エレン「リヴァイ先生、理性で動く事が多いから、本能の声が聞こえにくくなっているんじゃないんですかね」

リヴァイ「本能の声……」

エレン「んー頭とか腹の中にいる、声? みたいなものですかね。なんかこう、自分の内側から出てくるエネルギーみたいな」

リヴァイ「そういうものは経験したことがないな……」

エレン「あ、そうなんですか。原始的な欲求……みたいなものだと思うんですけどね。腹減ったら飯食いたい。眠くなったら寝る。それに近いですよ。愛もそのひとつですよ」

リヴァイ「うーん………(頭抱えている)」

リヴァイ先生が長考を始めた。これ以上、何を悩んでいるんだろう?

リヴァイ「………エルヴィンに言われたんだが」

エレン「何をですか?」

リヴァイ「実は、フィーリングカップルの時、キスコールは確かに起こしたが、何も本当にする必要性はなかったらしい」

エレン「え?」

リヴァイ「エルヴィンは『時間が来たら強制終了するつもりだったし、それまで二人がキスをごねていれば、そのまま幕を閉めるつもりだったのに、本当に2人がキスするとは思わなかった』って後で言われて……」

ぶっは! それは酷いwwww

リヴァイ「だから俺はあのまま、ただ、ハンジとしゃべっていさえすれば、キスはしないで済んだんだ。でも、あの時はそれに気づかなくて……そしたらエルヴィンが『仕事に格好つけて、本当はハンジにキスしたかっただけなんじゃないの?』って言ってきて……」

腹が痛い。笑ってはいけないアレのノリだな。これは。

リヴァイ「咄嗟に言い返せない自分に気づいて、正直混乱したんだ。俺はあの時、もしかして、本当は……」

エレン「じゃあもう、答えが見えたようなもんじゃないですか」

オレは言ってやった。やっとここかよ! って気分もあるけど。

時間かかっても、気づき始めたなら、もうそれを無視は出来ない。

恋愛ってそういうもんだからな。

エレン「リヴァイ先生、ハンジ先生にキス、したかったんですよ。心の奥の、底の底の底の、地底くらいの底で」

リヴァイ「…………地下深すぎるだろ」

と、自分で自分にツッコミを入れているリヴァイ先生だった。

975進撃の名無し:2014/07/24(木) 19:22:04 ID:CEtk39aY0
エレン「掘り起こせばいいじゃないですか。ほら、芋づる式に」

リヴァイ「ハンジはさつま芋じゃねえんだぞ……」

エレン「さつま芋、美味いから問題ないです。ほら、そうと決まったら食べましょう! 腐る前に!」

リヴァイ「…………無理だ。今のハンジとまともに会話出来る自信がねえ」

だあああああもう! ヘタレだな!

エレン「何でですか」

リヴァイ「俺があいつにキスしたせいで、結果的にあいつの大事な物をぶっ壊してしまったからだ。死んでしまった命はもう、還らない」

エレン「あ………」

しまった。そうか。そしてそこに繋がるのか。だから今、リヴァイ先生、弱っちまっているのか。

リヴァイ「取り返しのつかないことをしてしまったと思っている。こんなに自分の選択に悔いを残すのは生まれて初めてかもしれない」

エレン「うーん………」

そうだよな。もし新しい生物を飼ったとしても、それはもう前に飼っていた奴らとは違う訳だし。

時間が解決してくれるといいんだけど。確かに今すぐには無理かもしれねえな。

リヴァイ「今のハンジになんて声をかければいいか分からない。……冬眠してしまいたいくらいだ」

いかん。リヴァイ先生がどんどんマイナス思考になっていく。止めないと。

エレン「気持ち分かりますけど、ダメですよ! オレもしんどい時ありましたけど、ちゃんとミカサと向き合って今があるんで、絶対ここで現実逃避したらダメですから!」

リヴァイ「…………………明日の演劇、オレの代役しないか?」

エレン「弱気にも程がありますよリヴァイ先生!!!」

どうしたらいいんだろう。こういう時は。

あーもう、38歳の大人のやる事じゃねえ気がするけど。

恋愛にぐだまきするリヴァイ先生の姿を見られるとは思いもよらなかった。

976進撃の名無し:2014/07/24(木) 19:42:12 ID:CEtk39aY0
なんかいい手ねえかな。そう考えていたら………



じーっ<●><●>



エレン「うわ! びっくりした! ミカサ! いつの間に背後に?!」

気配殺して迎えに来ていたミカサにびっくりした。すっげえ目を開いている。

ミカサ「エレンが遅いので、こっちに来てみた。リヴァイ先生、いい加減、エレンを解放して下さい」

リヴァイ「ああ、すまなかったな。用事は大体済んだ。もう帰っていいぞ」

いや、今帰ったらこの先生、明日舞台立てないんじゃねえかな。

と、うっかり思うくらいにはリヴァイ先生が弱っているので、オレは思い切ってミカサに活を入れて貰う事にした。

エレン「ミカサ、リヴァイ先生、今日の事を物凄く反省しているってさ」

ミカサ「え?」

エレン「ハンジ先生にキスした事、今になって後悔しているんだって。どうやって謝ったらいいか分かんねえんだって」

ミカサ「そう………」

ミカサはそれを聞くとちょっとだけ機嫌が良くなって、

ミカサ「だったら一生苦しめばいい。ハンジ先生に振られろ」

リヴァイ「うぐっ………!」

だああ! ちょっとやり過ぎたかな。リヴァイ先生、精神的に大ダメージだな。

ミカサ「ハンジ先生にはモブリット先生の方がお似合い。クソちび教師は一生独身で孤独死するといい」

うわあ。ミカサ、容赦ねえ。リヴァイ先生、目頭押さえているぞ。

リヴァイ「………久々にこう、ボディーブローを食らうような言葉を聞いたな」

と、言いながら、リヴァイ先生は苦笑した。

リヴァイ「だが、今の言葉で目が覚めた。確かに今のままでは俺は、孤独死しかねん。それは嫌だな」

ミカサ「ふん……今になってハンジ先生の存在の有難さに気づいても遅い」

リヴァイ「確かに遅い。それも分かっている。だが………」

そう言って、リヴァイ先生は思い切って立ち上がった。

リヴァイ「ここで動かなければ恐らく、俺は人生最大の後悔を残す。そうだろう? エレン」

エレン「はい!!」

リヴァイ「行ってくる。長く引き留めて済まなかった。じゃあ、また明日。気をつけて帰れよ」

と、言ってようやくリヴァイ先生が自分の足で動き出した。

その時、ミカサが言った。

ミカサ「エレンの裏切者……」

エレン「え? 何で」

ミカサ「やっぱりリヴァイ先生をこっそり応援していた。リヴァイ先生を贔屓していた。私にはあれだけの事を言っておいて、自分はリヴァイ先生の事ばかり考えて……(ブツブツ)」

うわああああやべええええ!

ミカサがすげえ怒ってる。ヤバイヤバイ。

浮気してないのに、浮気を責められている男のような心地でオレは平謝りした。

977進撃の名無し:2014/07/24(木) 20:11:38 ID:CEtk39aY0
エレン「ごめんごめんごめん!! 本当にごめん!!」

ミカサ(ツーン)

うわあああ拗ねられた! こんなに露骨に拗ねられるのは初めてじゃねえか?!

エレン「隠していて悪かった!!! 本当にごめん!! どうしたら許してくれるんだミカサ?!」

ミカサ<●><●>

目が怖い……。なんかすっげえ見つめられているんだが。

ミカサ「……………教えない。自分で考えて欲しい」

と言ってミカサは先に帰って行こうとする。

エレン「わー待ってくれ! 一緒に帰るんだろ?! 先に行くなって!」

オレはミカサを慌てて追いかけて捕まえた。すると、

ミカサ「……………ヤキモチ」

エレン「え?」

ミカサ「エレンがまた、ヤキモチを妬いてくれたら許す」

エレン「ええ?」

ミカサ「私だって、いろんな人に結構モテるので、あまり安心しきって貰うと困る」

エレン「オレが悪かったです本当にごめんなさい!!!!!(がばちょ!)」

あぶねー! ミカサに本気出されたら絶対、他の男を落とすのなんてイチコロだ。

ジャンとかジャンとかジャンとか。隙あらば狙ってくるぞ。

ミカサ「………それだけ? あの時は、もっと、強引だったのに」

エレン「え?」

あの時………あ!

オレがリヴァイ先生の事を勘違いして、抱きしめたアレの事か?!

エレン「うわあ……その、なんだ。アレ思い出すと、すげえ恥ずかしいんだけど」

ミカサ「でも、あの時のエレン、格好良かった。(ぴとっ)」

エレン「う?!」

いかん。ここは学校だろ。放課後だけど。人の気配はゼロじゃねえのに。

ミカサ「エレン、もっと私を求めて欲しい。そしたら私も、あのクソちび教師を忘れられる。だから……」

エレン「…………………」

ドックンドックンドックンドックン……

心臓がどんどん痛くなる。学校でこっそりやっちまうか?

馬鹿! 明日舞台なのに何考えてるんだよオレは!! ブンブン!!

エレン「ミカサ! 明日は舞台なんだぞ。そ、そういう事している場合じゃねえから!」

ミカサ「うん……それは分かっている」

エレン「だったら、ほら、帰ろうぜ。な? な?」

理性焼き切れる前に家に帰らないとな。

ミカサ「でも、もうちょっとだけこうしていたい(ぴとぴと)」

うあああああん! もう誓約書のばっきゃろおおおおお!!!

と、心の中で絶叫しながら、今日もまた生殺しの日々が続く。

978進撃の名無し:2014/07/24(木) 20:13:17 ID:CEtk39aY0
リヴァイ先生には偉そうな事言っちまったけど、オレだって正直、自分の事で一杯一杯だ。

でも………

まさか忘れ去っていたあの事が原因でその均衡が崩れる事になるなんて、この時のオレは思ってもいなかった。

そしてその事件が切欠でオレとミカサの関係はまた、大きく変わる事になるのだが。

それはまた、舞台が終わってから話そうと思う。

エレン「み、ミカサ……」

ミカサ「エレン……」

キスをする5秒前! 4! 3! 2! 1!


ルルルル……!


ズコー! 携帯電話が鳴った。あ、親父からだった。

エレン「はい、エレンだけど?!」

くっそー! 見られていたんかなってくらいの絶妙なタイミングだったな。

グリシャ『やあエレン。明日の事なんだけど、父さん、休み取れたから文化祭、母さんと遊びにいってみるよ』

エレン「え、ええええ……」

親父来るのかよ。マジで?

グリシャ『くれぐれも、校内でミカサとイチャイチャし過ぎるなよ。エレン? じゃあね』

プープープー♪

切れた。あああもう、親父の念みたいなもんが怖い。ああ怖い。

ミカサ「おじさん?」

エレン「ああ。明日、文化祭に遊びに来るってさ。休み取れたんだって」

ミカサ「そう……」

エレン「とりあえず帰ろうか。明日もあるしな」

ミカサ「うん(ニコッ)」

やれやれ。機嫌は直ったようだけど、まだまだ先は前途多難だな。

そんな風に思いながら、オレはミカサと手を繋いで玄関に向かうのだった。








(*エレン「この長い髪を切る頃には」2に続けます)

979進撃の名無し:2014/07/24(木) 20:15:37 ID:CEtk39aY0
このまま文化祭2日目やっちゃうと、中途半端に区切る事になるので、
一旦ここで区切らせて貰います。
エレン視点がもう1回続けます。ミカサ視点の切り替えポイントまで、
もうちょいかかるのでこのまま進めます。すみません。


新スレはちょっと日付を空けて休憩してから立てます。それではまたノシ

980進撃の名無し:2014/07/24(木) 22:51:32 ID:j9Kl16vUO
乙!次スレ楽しみにしてる
ミカサがエレンの画像フォルダ見たら怒りそうだなww
彼女が出来た記念のプレゼントにも多いに期待

981進撃の名無し:2014/07/24(木) 23:09:50 ID:jGf4cLcs0
乙!ミカサがひたすら可愛くて楽しかった!
楽しみにしてんよ

982進撃の名無し:2014/07/25(金) 00:58:01 ID:xF5NzjVI0
>>980
速攻、処分させそうですね。
まあエレンもエルヴィン先生に画像をあげられたらそれでいいと思っているんでw

>>981
エレン視点だとミカサの可愛らしさが2倍になるようです。


ここから↓のレスは余白みたいなものなので、雑談に多少使っても構わないです。
1000まで埋めても構わないので、何か質問&疑問等があればどうぞ。
現時点で回答出来る物は回答していきます。

983進撃の名無し:2014/07/25(金) 11:08:51 ID:66zxF7P.0
いいところで終わるなー(笑)
早く続きが読みたいよ
エルヴィンはハンジが先に気付くと踏んでたけど、
つまりは賭けに負けた?

984進撃の名無し:2014/07/25(金) 15:47:00 ID:xF5NzjVI0
>>983
ここでの賭け事は『一緒に風呂に入る行為自体が、2人にとってのセックス』という事に、
どちらが先に気づくかというものなので、まだ、結果は出ていません。

というか、実は『どっちが先に告白するか』とか『プロポーズはどっちからか』等々、
いろんな項目で賭け事をしあっている最中なので、
一個が負けても、別の賭けで取り戻すつもりでいる両者です。馬鹿です(笑)。

あ、もし良かったら他の項目、↓にアイデア書いて下されば、
ある程度採用しますよ。バンバン賭け事させますので。

985進撃の名無し:2014/07/26(土) 00:27:17 ID:EOnkwLVs0
ミカサがどんどん積極的に…いいぞもっとやれ!

新スレも乙。
但し書きが増えて笑った
今はハンジのメンタルが心配だな
ますます頑なに友達ポジにこだわったらどーすんだリヴァイせんせー

一度は振られて、何度目で落とせるかエルヴィンとピクシスが賭けるといいw

986進撃の名無し:2014/07/26(土) 01:24:31 ID:SslvlA5I0
リヴァイへのミカサのボディブロークッソワロタwww
しかしエレンはダメだ
心底落ち込み真剣に話をしている相手の写メ撮るかね
バカにされてると思って俺なら即coするわ…
え、今の高校生ってこんなの普通?こんな感じなの?
あとはハンジの飼ってた生物が気になる…可哀想…

987進撃の名無し:2014/07/26(土) 01:37:22 ID:/LC3LqHE0
>>986
あー実はそこ、伏線ですw エレンが写真を写メった理由はまた後ほど。
エレンはちょい策士な部分もあるので、ある作戦の為にあえて撮りました。
リヴァイ先生の為にやった事なので、すみません。
(でも確かにエレンみたいなことしたら普通は凹られる。良い子は真似しちゃダメだよ!)

988進撃の名無し:2014/07/26(土) 01:46:00 ID:/LC3LqHE0
>>985
但し書きが増えてすみません。
シリーズがどんどん長くなってきたのでしょうがないです。

何度目のアタックで落とせるか。ですね。了解しました(笑)。
(というか、振られるの確定前提で話しているのに笑いました)

989進撃の名無し:2014/07/26(土) 01:48:16 ID:/LC3LqHE0
という訳で新スレです。

エレン「この長い髪を切る頃には」2
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/6689/1406282036/


続きはこちらで書いていくのでよろしくお願いします。

990進撃の名無し:2014/07/26(土) 01:57:18 ID:EOnkwLVs0
>>988
振られるの確定すんませんw
でもだって、誰にでも優しいのは美徳だけどイラッともするじゃないですか
ハンジ先生遅れてきた青春ですよ!

991進撃の名無し:2014/07/26(土) 07:07:47 ID:/LC3LqHE0
>>990
確かに(笑)
ハンジ先生にようやく青春やってきたよ!
でも青春ってトキメキだけじゃないからね!
イイ事だけが青春じゃないんだぜ! みたいな。


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