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えばんふみ先生について語るスレ

6二雪:2010/07/11(日) 03:29:57 ID:eETmOAnY0

「え――。今日で1学期が終わります。夏休み、受験生の自覚を持って行動するよーに!」
明日から夏休みが始まる1学期最終日のホームルーム。早くも夏休み気分で浮かれ気味のみんなに向かって、先生が受験生の心得をくどくどと説明している。
「先生。この夏こそは彼女できるといいねー。」
1人の生徒がふざけた口調でそんなことを言う。その言葉に、「ほっとけー!」とムキになって言い返す先生。それを聞いて、教室のみんながどっと笑い出す。
だが、葉だけはみんなの笑いに参加することなく、その視線は、ひとつの席をじっと見つめていた。
葉の席から見て、ちょうど左隣に位置している樹里の席。そこに、樹里の姿はなかった……。

ホームルームが終わって先生が教室から出て行った後、葉は、たた…と廊下を小走りに走って、先生を追いかけた。
「先生。」
「おお、夏目。」
背後からの声に気付いて、先生が葉の方を振り向く。
「あの……。三神、何で今日休みなんですか?」
葉は、今朝から気になっていたことを先生に質問した。
「ああ。体調を少し崩したらしくてな。休ませますって、お母さんの方から連絡あったよ。」
軽い口調で事もなげに言った先生の返事を聞いて、葉の表情がさっと変わった。まさか、あれから三神の身に何か……。
「……それで!?」
「わ。」
葉が急に声を荒げたので、先生はぎょっとした。
「何……深刻なのかよ!?」
「や……。先生もそこまでは……。」
「もしかして、病気が――。」
「……? 病気……?」
先生は葉の言葉にポカンとした。樹里が重い病気で残りあとわずかの命だという話は、先生も聞いていないらしい。
葉の頭を不安がよぎる。
だっ……。
葉は足音を立てて廊下を駆け出した。
「あっ。おい、夏目!?」
先生が驚いて、葉の背後から声をかけたが、葉はもう先生の言葉など聞いていなかった。

(……大丈夫だよな? 毎日……ずっと笑ってたし。昨日も楽しそうだったし。)
昨日案内してもらった樹里の家に向かって自転車をこぎながら、葉は頭の中で何とか不安を打ち消そうとしていた。
だが、それでも自分の目で樹里の無事を確かめない限り、今の不安が簡単に消え去るものではない。
「そうだ。ケータイ……。」
葉はふと、ポケットの中に携帯があったことを思い出すと、キキッと自転車を止めて携帯を取り出し、急いで樹里に電話をかけようとした。
が……。
(……アドレス知らねえ……。)
葉はこの時はじめて、自分が今まで1度も樹里の電話番号を聞いていなかったことに気が付いたのだ。
せっかく両想いになれたのに、今まで何してたんだ、俺……。
クラスの委員長のくせに肝心な所が抜けている自分のバカさ加減にあきれて、自己嫌悪に陥った葉がその場に呆然と立ち尽くしていた時。
キキッ。
向こうから1台の軽自動車が走ってきて、葉のすぐ近くに停まった。


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