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1DEATS★:2006/01/25(水) 22:41:14 ID:qJDU3B3w
test

36vixen ◆vixen/Ot0k:2007/11/08(木) 14:50:16 ID:bdd69TkY
NCチームでなんか書いてみようと思ってバト(ry氏で書いてみた。
だけどなんかどうみてもデビルメイクライにしか見えないので失敗

37Codename[Nanasi]:2007/11/09(金) 23:34:19 ID:P.d136so
おっつー
暇だったら続き書いてくれー

38Codename[Nanasi]:2007/11/14(水) 19:06:13 ID:PrpfFT/Q
天上は既に夜の闇の色を塗り終えていた。
また地表には、その闇を最も深く染み入らせる土地がある。
森林だ。
それは一番近い町からでも数キロは離れた場所に位置する。
人工の明かりとも、人々との雑踏とも無縁の世界。
月と星明かりの下で、闇を吸った木々の背が涼風に揺れる。
その中で一つの動作があった。
黒き森の一角、木々の影を避けて月光を直接受ける大地へ緩やかに躍り出たのは一人の青年。
濃い青を基調とした装束を着込んでいることから、魔法使いとして見てとれる。
他に特徴を見るとすれば、右の半顔が髪で隠れている事ぐらいか。
彼は背を幹に預け、己を照らす直上の月を見上げる。
「今宵の月は随分と自己主張が激しいようで」
自然に対する皮肉めいた評価はしかし一息を置いて、
「ですが、思いを馳せるには丁度良い」
すぐに一変された。彼は視線を落とし、月光の当たっている縁の外の薄闇をしばらく見て、目を閉じた。
視界を断って数分、一迅の風が森と彼を貫くと、彼は応じるように右腕を背後の闇へと振り抜いた。
その何かを投じるような動きの結果には手ごたえとしての弾く音が響いた。

39Codename[Nanasi]:2007/11/14(水) 19:06:28 ID:PrpfFT/Q
「位置を悟られないようにするという点では合格としておきましょうか」
彼は背後を振り返り、下がりながら闇に呼びかける。
「ですが、何かが"居る"という事を悟らせてしまうのは頂けない……静かな夜の森とはいえ
先ほどから押さえつけられているかのような沈黙でしたからね。それは異質の者が居るという証」
彼は苦笑し、
「まあかくいう私もこの森の住人というわけではないんですけど、貴方達のように殺気は出してませんからね」
闇にうごめく影達が月明かりに姿を現す。数はそう多くないがマチェットを主武器とした暗殺部門の一隊だ。
「いままでも無かったことはないんですが、つまりその…後始末ですね?恐らくは先日私、"支援"が関わった一件の」
敢えてこちらのCodeを言い渡すが答えはない。代わりに武器が構え直され、襲撃の陣が整われていく。
「調べれば分かることでしょうから、まあいいでしょう。ところで、準備中悪いんですけども足元を御覧下さい」
そこには一枚の紙が突き立っていて、文字が書かれている、"人体限定発火"と。
「!?」
「ええ、先ほど寝たふりをした際に術式を設置させて頂きました。わざわざ誘い込まれてご苦労様」
文字通りの事が起きた。

40Codename[Nanasi]:2007/11/14(水) 19:07:23 ID:PrpfFT/Q
発火は一瞬、とはいえ身を焼かれる痛みは尋常ではない。
のたうち回る彼らを後目に、支援はただ一言を告げた。
「おやすみなさい。まあ安らかにとはいかないでしょうが」

41Codename[Nanasi]:2007/11/14(水) 19:09:46 ID:PrpfFT/Q
vixen氏に触発されて自コテスマソな小説を書いてしまいました

42支援:2007/11/19(月) 20:17:27 ID:Mo4//czM
AAは環境上(PSPの)無理でも、文字なら打てるから偶に書くかもしれません

43vixen ◆vixen/Ot0k:2007/12/27(木) 20:23:19 ID:NHr9Yz0c
聖夜、と呼ばれる日が今日だったという。
かつてその日、世界中の人々は争いを忘れ、祝福を贈った。
聖夜の前夜に盛大に騒ぎ、人々は喜ぶ。
そしてその日には静かに祈りを捧げ、神に祝福を授けて貰うのだという。

今の世界にはその面影なぞは残っていない。
しかし、どこの世界にも信仰を守っている者は必ず居る。
この場の男も、その内の一人だった。

「熱心に祈りますね」

いつの間にか祈りを捧げる男の横に現れた青年はそう彼に呟いた。
聞こえたのかはわからない。
祈りを捧げる男は夢中になる余り、彼に気づいていないのだろう。
青年はローブを羽織っている。
見るものが見れば、それが背信者であることは容易に気づけた。
しかし男は、それにすら気付いていない。


男は殺人鬼だった。
自らが信ずる神の為、異端者を殺し続け、十字架を血に染めた。
殺戮、それが男の仕事、成すべき仕事の全て。
許された殺戮は次第に残虐性を帯び、彼は血を見るたび快感に打ち震えた。
そんな彼が何を思い神に許しを乞うているのか。
理由は、特に無かった。
ただ伝承で、今宵は聖夜と伝わっている。
僅かに男に残る良心が彼を動かしているのかも知れなかった。

「国の"英雄"が神に祈るなんて、馬鹿げているとは思いませんか?」

44vixen ◆vixen/Ot0k:2007/12/27(木) 20:23:52 ID:NHr9Yz0c
先程話しかけた男が、暗闇の空間に向かって告げた。
多少の空白の後、暗闇から男が姿を現した。

「全く、その通りですよ」

男は若く、十字架を胸に提げている。
恐らくは神父なのだろうか、黒い法衣に純白の襟巻きが印象的な男だった。

「神父様っ!」

ようやくにして、"英雄"たる殺戮者はその面を上げる。
その目は正に救いを求める目であり、潤んでいた。
男の様子を確認した神父は先程の会話がまるで聞こえていない男に、呆れて肩を竦める。

「"英雄"たる貴方がこの聖夜に、どのようなご用向きでしょうか?」

口の端に不気味な薄笑いを浮かべた神父が男に問うた。
男は神父の挙動も見ず、疑いも無く言葉を返す。

「私は……殺人鬼です。 そしてそれに快感を得てしまいました。
 だから神へと懺悔を捧げに来たのです」

はっきりとした口調で男は言った。
ある種、その瞳は無垢なのかもしれない。
神父は無言で男の手を取り、杯を差し出した。

「どうぞこれをお飲みください。 今宵は聖夜、主も貴方をお許しになさるでしょう。
 そして……」

そこで神父は言葉を切った。
男が聖杯の中身を飲み干したからだ。

45vixen ◆vixen/Ot0k:2007/12/27(木) 20:24:29 ID:NHr9Yz0c
「安らかに、お眠りください」

カラン、と乾いた音がやけに教会に反響した。

「どう……して……」

男は聖杯を取り落とし、口から血を吐いて倒れた。
それを確認した神父は聖杯を取り、手元に持った布で拭きだした。

「もっとも、殺人鬼の死後に安息なんてものがあればの話ですがね?」

神父は不気味に笑う。
その様子を横で傍観していた青年は、やっと口を開いた。

「相変わらず、えげつない人だ」

「"兵隊"が要りますからね。 これから先の戦いに」

「また禁忌の呪文ですか。 貴方は死者に対して最大限の冒涜をしているのですよ?」

「この術は、相手の魂を最大限穢します。
 かかった相手は、天国にも、地獄にも行けません。
 ですから、相手は選んでいますよ?」

神父はニコリと笑って青年に返す。

「それに、貴方も神を冒涜をするという点では同じですよ」

「分かってはいます。 だから私は、それらしく生きている。
 ですが貴方は、神に仕えている身なのですよ?」

46vixen ◆vixen/Ot0k:2007/12/27(木) 20:25:36 ID:NHr9Yz0c
「主は確かにいらっしゃいます。 しかし、主は傍観者です。
 だから私は、主が何かして助けを、裁きを、などとは到底考えていませんから」

青年はその言葉を聞いて肩を竦めた。
その間に神父は死体に手を付き、何事かを呟いた。
すると死体は起き上がり、虚ろな目で歩き出す。
リビングデッド、即ちゾンビには逆さにされた十字架がしっかりと刻まれていた。

「一番の背信者は神父……ジョークにもなりませんね、これは。 流石は"雌狐"さんだ」

「個人的には、大好きな肩書きですよ」

真夜中の聖夜。
神は何を思ったのか、雪を辺りに降らせていた。


------

たまには自コテスマソな小説でもいいかな みたいな
20分くらいで書き上げて推敲も碌にしてない駄作ですが。

47支援:2007/12/27(木) 21:14:42 ID:NwuWHIsE
あまり御自分を卑下なさるのは良くありませんね、神父殿

うん、なかなか面白い

かつてリレー小説なんてのある掲示板の住人(2ch無関係)としていた事も良い思い出
やはりgdgdになって未完に終わっちゃったけど

48vixen ◆vixen/Ot0k:2007/12/27(木) 21:23:04 ID:NHr9Yz0c
>>47
なんか、一人だけAA書けないので肩身狭いんです><


まぁ、こんなカンジでNCチームの人たちの活躍する小説を
がりがり投下していきたいと思います。
基本的に30分かからず作るものが多いのでアレですけど……

49支援:2007/12/27(木) 21:44:10 ID:NwuWHIsE
いや、AA書けないのは私も同じでございます

更に私は何か書くとき、文を纏めるのがへたくそなので結構時間掛かるんですよね

50vixen ◆vixen/Ot0k:2007/12/28(金) 22:04:15 ID:NHr9Yz0c
あの鳥は自由だ。
そう、鳥はいい。
何も縛られることもなく、明るい空を飛んでいる。
飛べない鳥は、堕ちて行くだけ。

それならば、今の私は何だ?

自由を求めて、空へ飛び立つことは出来ず
平和の為に、この場所に居る。

自分の重要さは分かっているつもりだ。
だけど、それ以上に外は恋しい。
心の枷を打ち壊して、全てを投げ出して出て行ってしまいたくなる。
しかし叶うことは無い。

「お嬢様。 風邪をひかれますよ」

軍の大佐である彼が私に敬語を使う。
何故だろうか? 答えは簡単だ。
私の"父"はこの国の元首だからだ。

「平気です。 私のことはいいので、任務にお戻りください」

「しかし今日の私の任務は、貴方の警護なのです。
 どうやら、脅迫状が叩きつけられてきたようで、閣下は心底お怒りのようでした」

この大佐という人物はどうにも苦手だった。
表情を表すことが全くと言っていいほど無いのだ。
例えるならロボットのような、そんな人間だった。

51vixen ◆vixen/Ot0k:2007/12/28(金) 22:04:39 ID:NHr9Yz0c
「そうですか……」

これ以上の会話は期待できないだろう。
相変わらず無表情の彼を尻目に、私は再度目線を外へ向けた。
鳥が楽しそうに踊っている。 今の私には縁遠い光景だ。
そのまま何時間経ったのかはわからないが、突然彼は口を開いた。

「今宵は楽しい夜になりますよ。 きっと……ね」

背筋が凍ったのかと一瞬錯覚した。
いつもは無表情である彼が、満面に薄気味の悪い笑みを湛えているからだ。
危険だと、心が警鐘を鳴らしていた。
本能で身構えた私を見て、彼はまた無表情に戻る。

「相変わらず勘のよろしいことで」

「何を企んでいるのですかっ!?」

「クーデターによる実権掌握と言えば分かりますか?
 閣下は強い。 本当に何でも一人でやるお方ですからね。
 先ずはアナタを狩って閣下の怒りを付く他、成功の兆しなどない」

そう言って彼は指を弾いた。
小さな破裂音が響き、部屋は炎に包まれる。
もう一度指を鳴らすと魔方陣が描かれ、そこからは巨大な三頭犬が出現した。

「これで逃げ場は封じました。 アナタが"地獄の番犬"に勝てれば、どうとでもなるでしょうが。
 まぁゆっくり殺してくれる筈なので、楽しんでいただきたい」

悪趣味なことを言ってから彼はそこから消えた。
空間転移の魔術だろうか。

52vixen ◆vixen/Ot0k:2007/12/28(金) 22:05:05 ID:NHr9Yz0c
あぁ こんなにも震えたのは久しぶりだ。
これは何の震えだろうか?
恐怖?

「久々に……」

いや

「血が……」

私はこの感情を知っている。

「見れる……」

歓喜。

53vixen ◆vixen/Ot0k:2007/12/28(金) 22:05:23 ID:NHr9Yz0c
即座に手を合わせ、地面の表面を分解して槍を作成した。
これが私の能力。 物質を分解して、再構築する。
大佐は知らなかったのだろう。 思わず笑みが零れる。

身を屈め、槍を構えて突進する。
三頭犬の尻尾が振られる。 こんなものは予測済みだ。
地面から針を練成し、尻尾を貫く。
しかしこの針はあくまで布石に過ぎない。 次の攻撃に向けての、だ。
巨大な腕がいつの間にか横にあった。
馬鹿め、そこにあるのは十秒前から知っている。
槍で腕を切り払う。 飛び散る血飛沫と咆哮。
ボトリと犬の腕が落ちた。 それを尻目に、更に疾駆する。

「せっ!」

頭の一つを切り払った。
更に血が噴出する。 痛そうに犬が身を捩った。
感覚を共有しているのだろうか。 それにしてもシュールな光景だ。

そう、私の異名は"血狂い"

平和の為にと抑えていた理性など何処かへ消えてしまったようだ。

血を 苦痛を

そのとき私は確かに"生"を誰よりも感じていたのだ。

54vixen ◆vixen/Ot0k:2007/12/28(金) 22:06:12 ID:NHr9Yz0c
ごめん! 大佐を思いっきり悪役にしちゃった。
微グロかな?

まぁ 俺のリハビリも兼ねているので……

55支援:2007/12/29(土) 00:03:27 ID:NwuWHIsE
悪役わーい マシーン人間わーい

56Codename[Nanasi]:2008/11/02(日) 22:52:10 ID:l9Nh7tDo
俺の記憶が始まるところには、親は居なかった。
スラムでよくある喧嘩でくたばったか、或いは捨てて逃げたのだろう。
可能性としては後者が高い。
スラムで生まれる子供なんて、相場が決まっているからだ。
強姦による妊娠。 医療なぞ無縁な場所だから人工中絶もできない。
そんな場所で生れ落ちたのだから
生まれた瞬間親にドタマを叩き潰されなかっただけ俺は幸福といえる。

そういう訳で、俺の中での所謂両親は存在しないことになる。
なんてことは無い。 守るべきものが元々無いのは寧ろ楽だった。
覚悟とも縁遠く人を殺すことが出来たからだ。
気づいた時からナイフを握っていて人を殺していた。
俺の記憶に血液が無いシーンが出てくる確率は飛行機が墜落する確立よりも低かった。

仕事としての殺しを始めるのはもう少し後になる。
この時は唯ひたすら生き、日々を貪ることに精一杯だったからだ。

「売れそうなものは……これだけか」

その日は獲物が少なく、得られたものは銀色のネックレス。
見たところ宝石が埋まっていて、少しは高く売れそうな代物だ。
強盗なんて生っちょろい物じゃない。
"ころしてでもうばいとる"その成果だ。

57Codename[Nanasi]:2008/11/02(日) 22:52:21 ID:l9Nh7tDo
「ふざけるんじゃない! これ以上は上げられないぞ!」

「高そうなネックレスじゃねぇか! それは安すぎるだろ! 飯だって買えねーぞ!」

「これ、盗品だろ? なら俺に従いな。 どちらにしろお前にはそれしかねーんだ」

落ち着きを取り戻した店主のニヤついた笑み。
俺には無性にそれが苛ついた。
テメエは安っぽいドラマの悪役かよ。

「クソッタレが! なめんなよクソジジーが!」

俺は前後の見境無く店主に襲い掛かった。
だがそれは容赦なく拳を顔面に打ち付けられて強制停止させられる。

「お前らみたいなのに大して商売やってんだよこっちは。
 ガキに対してそう簡単に負けるわけねーだろ。 クズが」

そういって僅かな金と共に店を摘み出された。
傷だらけの体に風が染みる。
何回目だろうか。 学習能力の無いものだ。
くだらない喧嘩にいつもの結果。 まるで喜劇そのものだ。
俺は道化か。 しかしそこで思考は切った。
無意味そのものだ。 今は哲学的思考よりも生きる術を考えなければならない。

「物価がクソ高い今じゃあこれでパンも買えねー……今日もゴミ箱か」

少し裕福な町並みのレストランの裏なんかにあるゴミ箱には割りといいものがある。
最底辺とは言え俺は人間だ。 少し躊躇われるところであるが、今日で食べないのも三日となる。
生きるためには仕方が無い。
いつもの言い訳を自分にして俺はゴミ箱を漁ることにした。

58Codename[Nanasi]:2008/11/02(日) 22:52:46 ID:l9Nh7tDo
忘れもしないあの日。
起きると隣には死体が転がっていた。
それはいい、いつものことだ。
その死体の手が握っていたものは拳銃。
このスラムでは滅多にお目にかかることは無い。 拳銃なんてものがスラムにあったらそれこそ戦争が起こりかねないからだった。
第一、スラムの人間が銃を買える訳も無い。

「盗っちまっていいよな……?」

銃は最大の武器だ。
弾が無くても駆け引きを優位に持ち込めるし、弾があるなら最強の味方となる。
幸いにも男のジャケットの内側にはマガジンが2本。 銃本体にもまだ弾は数発残っていた。
しかし、何故男はこんな状態で死んでいるのだろうか。
もう少し探ってみると、白い粉を見つけた。

――なるほど、麻薬か。

恐らく持ち出して逃げたところを撃たれたのだろう。
麻薬を回収していないところが少々気になるところだが、襲撃者が近くに居る気配は無い。

銃は、スラム育ちが立身できる唯一の手段。
日銭を奪う生活から、金を持つ生活に変えられる為の。

迷わず手に取った。
その重みは、今でもビッシリと脳にこびり付いている。

搾取される人間から、奪い取る人間へと変わる重み。
命を確実に、引き金を引くだけで奪うその銃の魅力。
綺麗な死をもたらす悪魔の兵器。

散々搾取されてきた自分。
これがあれば、世の中に知らしめてやれるのかもしれない。
弱者でしかなかった俺が、楽な思いをしてきた奴らに、ハナタレ坊主どもに死を叩きつけてやれるかもしれない。

そうしてこの日、私は殺し屋になった。

59vixen ◆vixen/Ot0k:2008/11/02(日) 22:53:13 ID:l9Nh7tDo
何時しか裏の業界に馴染んだ時
私は狙う獲物が悪徳な人間や気に入らない人間に偏ってるせいか、いつの間にか祭り上げられていた。
伝説、絶対に外さない狙撃などとくだらない評判が蔓延していた。
狙撃を選んだのは、単純に私が臆病だったからだ。
評判は心底、面倒だと思った。
そんな時だった。胡散臭い、大臣とか名乗るガキが胡散臭い話を持ちかけてきたのは。

「なぁ、頼めないか? 63殿」

まだ若い男がバーで私に縋る様な目で話しかけてきた。
何で目がうるうるしてるんだ。 どうやったんだ一体。

「私は、理想も、忠誠も、全てを持たない人間だ。
 そんな男が私設軍隊に入れるとでも?」

その胡散臭い話というのは、革命家のある人間の直属の殺し屋になって欲しいという願い。
掲げている理想は随分と大層なものだ。
手の届けられる人は全て救うなどと、いまどきケツの青いガキですら抜かさない理論を大真面目に語りやがる。
一緒についてきた男はなにやら顔が見えない。
恐らく身体改造されたバケモノのようだが理論には疎いようだ。机に突っ伏して狸寝入り。ガキか。

「貴方も、現在の世の中には思うところがあるだろう。
 理想としては相容れないのかもしれない。
 けれども目指すところは近い筈だ。悪い話ではないと思うのだが」

「随分と酔狂な理想だな。 いまどき、子供でも口にしない理論だぞ」

その瞬間、バケモノが体を飛び起きてこっちを睨んできた。
随分とお怒りのようだ。
だが分別はあるらしい、襲い掛かってきたりはしなかった。
対して若い男は硬く口を噤んでいる。
思うところがあったのだろうか、ここで笑顔でも浮かべたら拍手の一つでも送ってやろうと思ったのだが。

「だが、閣下はそれを成さんとしている。
 だから、来てくれないか? 頼む。 この通りだ」

「簡単に人に頭を下げるもんじゃない。 今時、こんな理想を掲げる革命家など馬鹿に決まってる」

「だが!」

話の途中で反論する。
若いな。 だが、心地のいい若さだ。

「悪いが、俺も馬鹿だ。 ここの酒代お前持ちってことでいい」

「そのくらいなら、全く困ることはない。 いいだろう。 約束だぞ?」

打って変わって幼稚なことを抜かしやがった。 この野郎、今までのは演技かよ。

「本当か!? あんたいい奴だな! 後いくら酒飲んでもいいんだよな!?」

バケモノが嬉しそうに言う。
私は満面の笑みで答えてやった。

「そうだな。 ここで一番高い酒を持ってきてもらおうか」

「なっ! ……ぐぅ」

男は諦めたように苦笑すると、注文を始めた。

さて、俺も飲むかな。
他人の金で酒を飲んで、一緒に杯を交わすのは


笑える位 旨いからな。


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