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020 白河 Zwei(しらなみ)

12エピソード(続き):2013/07/27(土) 18:03:22

そして彼女は独り思い出す
入学して間のない頃、薔薇の園で彼女と初めて会った。あの時のことを。
そして彼女はもう忘れない。
あの時の想いを。
そして彼女は知っている。
その気持ちを自分が裏切ることが決してないことを。比類ない忠誠心を持つ彼女だからこそ。

「全ては―”La amen”(貴方が想う)がままに」
果たしてその言葉は、誰にとっての最悪を紡ぐのか


―そしてもう一つ、彼女はこうも想うのだ。
最初からコレと言う存在があった自分とは違い、
確固たる己というものを持たない”彼女”たち。
その彼女たちは自分が得たような『黄金体験』ともいうべき無二の宝を
得ることができるのであろうか。そしてそれを得てしまったとき、彼女は
己が運命を呪わずにいられるかを
何故なら…
――――
―――
――
そして舞台は学園へと移る。

†††

以上、保護者さん達の近況のお話でした。



そして、妃芽薗学園の一角、
件の心配対象の娘さんは今、当面の難敵と向かい合っていた。

「シュシュシュ。シュシュシュ。」

(くっ)

ソレは独特の呼吸音を発ししながら、こちらへの牽制を繰り返している。
その闘志あふれる姿は、まるで、おっやろうってのか姉ちゃん、オレは
学生だからって容赦しねえぜッと挑発しているようにもみえた。

(くっ)
相手の動きを見据えながら、中腰の姿勢のまま”白河 Zwei”もとい
妃芽薗学園2年生 白河・一は、次の行動への判断を強いられていた。

場所は薄汚れた狭い箱庭の中、相手のホームグラウンド、
体格では遥かに勝っているはずなのだが、この狭さでは逆に小周りのきく
相手側の利として働く。

(くっ…どちらだ。どちらから来る)

ほんの一瞬の躊躇、
こちらの動揺を狙い澄ましたかのように紅い眼を光らせ、脱兎のごとく奴は図る。

こちらに迫りくる奴の名は―

『カウンターラビット』ペィン=サンといった。

「シュシュシュ。シュシュシュ。」


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