①
石原都知事がこの五輪は儲かるとおっしゃっていましたが、ご自身は?と問われると、安藤氏は次のように述べた。
「経済効果の数字は分からないが、1964年日本でオリンピックを迎えた時、日本人は目標があれば元気になるんだなと思いました。今、子どもの目が死んでいて大人があまり働かないと言われるのは、目標がないから。何でもモノはあるけど希望がない。希望の一つとしてオリンピックがあっても良いのではないか、経済効果はその次でいいのではないかと思います。そして、その中から新しい希望をそれぞれが探せば良いのではないか、と」
②
安藤さんは常々、開かれたオリンピックにしたいとおっしゃっていますが?と聞かれると、安藤氏は今後の展望を次のように語る。「開かれたオリンピックという意味では、例えば北京五輪はかなり閉ざされて、行動やメディアの自由がなかったですね。
それを日本ではオープンにして、作るべき施設は全て国際的なコンクールにした方が良いと思っています。私は審査側にまわり、欧米の有名な建築家に依頼して審査をしてもらおうと思っている。開かれたオリンピックを日本でやるからには、世界の若者に「日本にはチャンスがある、日本に行ってみよう」と日本を意識してもらうコンペを開催し、開かれた東京を世界に発信しなければなりません。国際オープンコンペにすることは大変手間のかかることですが、東京都庁の方にも頑張って働いてもらおうかと思います」
③
環境に力を注ぐようになったきっかけとして、安藤氏は東京湾をヘリで上から眺めた経験を挙げた。
「ヘリから東京湾周辺を眺めていた時、この辺りはゴミと産業廃棄物の山ですから、そこを森にしませんかと提案すると、石原都知事が賛同してくれて。そこで50万人に千円募金をしてもらい、集まった5億円分の苗木を植えて森にするプロジェクトをスタートさせました。去年の12月から始めて、現在34万人くらい参加しています。U2のボノや、シラク前フランス大統領も賛同してくれているのは、ゴミの問題は東京だけでなく地球の問題で、みんなが興味を持っているからです。海の森は約100ヘクタールありますが、宇宙飛行士の毛利さんが言うには、これならば宇宙から十分認識ができるとのことなので、頑張っています。なんとかあと1年半くらいでお金を集めて森にしたいですね」
海の森プロジェクとなど、本来は国や行政がやるもののような気もしますが、との問いには、「環境問題は国や行政の問題でもあるが、環境はひとりずつの意識の問題です」と、安藤氏は言い切る。
「まず身近なところから参加できて、それが広がっていくこと。そして、行政の部分は行政に任せて。海の森も、苗木は市民ですが、管理は東京です。でも、それは共同でやっていかないと」