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048 黒姫音遠(くろひめ ねおん)

11ε【サブGK】:2011/08/14(日) 23:46:05
同時刻、遠く離れた位置からその光景を双眼鏡で見つめていた少女がいた。
「クスクス、この世界のお姉ちゃんも変わらないなぁ」
そう、楽しそうにつぶやいた少女は名を黒姫音遠といい、並行世界から来た黒姫射遠の妹である。
「うん、この世界お姉ちゃんが元気そうでよかった。私はそれだけで満足だよ」
そういうと希望崎を後にする音遠。
彼女の世界の黒姫射遠は死んでしまった。
だからまた会えるなんて思ってもいなかった。
だから彼女が飛ばされた世界で黒姫射遠が生きていると知った時はとてもうれしかった。
また二人で会話ができれば音遠にとってどんなに幸せな事だろう。
きっとこの世界の黒姫射遠に自分のことを話せばきっと彼女は音遠のことを受け入れてくれるだろう。
そうすれば、もしかしたらまた昔のように姉となかよく一緒に過ごせるのかもしれない。
でも、音遠はそうするつもりはない。
いや本当は射遠が生きていると知った時、音遠は彼女に声をかけるつもりだった。
でもこの世界の射遠には自分とは違う家族がいる。
そんなところに自分が名乗り出ても迷惑なだろう。
音遠にとって黒姫射音はあこがれの存在であり、目標とする存在であった。
そんな彼女に自分のことで迷惑はかけたくない。
まして彼女は音遠の姉である黒姫射遠ではないのだから――

「とはいえ、これからどうしよっかなぁ、野宿するわけにもいかないよね」
以前橋の下で暮らしている転校生がいるという話も聞いたことがあるが音遠はそんなことをするつもりは一切ない。
音遠がこれからのことに思い悩ませながら学園の外を歩いているとふと「妃芽薗学園入学案内」と書かれたパンフレットが目に入る。
どうやら必要のなくなった誰かが捨てたもののようだ。
拾い上げて目を通して見ると全寮制の女子校らしい。希望崎の様に魔人を受け入れているようだ。
(私の世界にはこんな学校なかったな…)
もしかすると存在したのかもしれないが少なくとも音遠にはこの学校に関する記憶はない。
この世界に自分が存在しないようにこの世界には存在し、自分の世界には存在していないかもしれない。
「とりあえずいってみようかな。」
寮があるならおそらく当面の衣食住には困らないだろう。
その後のことはそれから考えたらいい。元の世界に戻れるかもわからないのだし
「となると問題は素性かな。まさか別の世界から来たなんて言うわけにもいかないし…」
ただでさえ突然の編入である、
そんなことを言えば下手をすると何らかの契約でやってきた転校生と見られて警戒されかねない。
「希望崎の学生ということにしておこっか。…別に嘘じゃないしね」
音遠が希望崎の学生なのは事実だ。ただこの世界の話ではないというだけのこと。
ひょっとしたら転入の時期のせいで奇異に観られるかもしれないがそれは仕方ないことだ。

こうして異世界の少女黒姫音遠は妃芽薗学園を巡る騒動に巻き込まれることとなる。
彼女の前にどんな運命が待ち受けているのか。それはまだ分からない。


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