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031 白金七光(しろがね ななみ)

19無色ノ蠅炎:2011/08/13(土) 04:06:04


「今回の妃芽薗学園のハルマゲドンには、どんな形であれ希望崎学園を参入させなきゃいけない。これが今回の依頼であり、あの組織の決定だ。
今から君に彼らをこの学園内に誘導してもらう。それが今回の用件。直接口頭で伝えなきゃいけない重要度Aランクの指令って訳さ」

指先に挟んでいたミントスティックチョコを咥え、七光は再び溜息を一つ。
つまり、自由時間が終わり、今この瞬間からハルマゲドンが始まると言う事だ。
十分な報酬と、自分にとって大切な物を(人質と言うのは正しいのだろうか?)人質に取られてるとはいえ、
魔人学園の最終戦争に、最も性質の悪い戦闘破壊学園の生徒たちを介入させると言う任務は流石に気が重い。

そんな、うわぁ、と言う表情を浮かべる七光を眺めてにやついていた先輩は、ちらりと腕時計を見ると
指を鳴らし双眼鏡で外を覗き見た。

「さて、そろそろ時間かな。―――拗ねてる君に朗報だよ。彼らの御到着だ」

「全然良い話じゃないですよ。―――そういえば、希望崎から派遣される。もっとも彼らは自分の意思で来たと思ってるでしょうが…能力者はどんな能力なんです?」

「それがさ、いやいや、今回の計画は底意地が悪いね。全員シークレットなんだ」

「全員シクレって……そんな無茶な。本当ですか?」

「妃芽薗のお嬢さんたちも、今頃、こう思ってるよ。―――こいつら何者ですの?本当に腕は立つんですの?―――ってね。想像しただけで笑みがこぼれるよねぇ」

そして、長い腕で大きく伸びをして、先輩とよばれる男は立ち上がった。
七光もそれに続く。話を聞く限り、やはり今回のハルマゲドンは大人の思惑が絡んだ凄惨な物になるのは間違いなさそうだ。


「じゃあ、後は任せたよ。彼らとご対面して校内に引き入れて。僕はそれぞれの陣営に渡りを付けてくるよ」

「……僕もう帰りたくなってきました」

今日、三回目となる溜息をつくと、覚悟を決めたように扉を開ける。
うす暗い世界に慣れていた身体が真夏の太陽に晒される。水色の地獄を直視しないように
薄い色が付いた眼鏡を取りだし、目元を保護する。

「嗚呼、これって言っても許されるよね。なんで、こんな不幸なのさー」

七光の右手にもつ剣は、今日も静かに彼女を見守るように輝いていた。


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