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029 衿串 中

13無色ノ蠅炎:2011/08/10(水) 23:00:15

目が覚めたとき、“それ”はもういなかった。
蛇達は、少なくともそれらしいものは蠢いていた、しかし。

鱗を”それ”と同様のドロドロした金属と思しき素材に包まれ、奇声を上げながらのたうち回る蛇達――
互いを咬み合い絞め合い、野蛮な争いを始めている!
しかし皆が同じ金属と同化しているがため、ダメージはロクに入らない。
そしてその事が、この争いを長く、凄惨なものとしているのだ。

「止めて?戦わないで?」

Φの声も届かない。
いや、最悪の形で届いてしまった。

新たな獲物、攻撃の通る対象を見つけた、とでもいうように、ものすごいスピードでΦの首筋に向かい、咬みつく!
今まで決して彼女に敵意を見せなかった蛇達が、一斉に牙を向いたのだ。

「お願い、正気に戻って……?」
息も絶え絶えな彼女の目に浮かんだ涙が、蛇達の鱗を濡らす。
此処に来て漸く、蛇達の動きが止まる。

糸の切れた操り人形のように、ぱったりと静止し地面に横たわった。

***

-----2011/5/15-----


結局蛇達はみんな、無事だった。
あれ以来、一度も凶暴化の様子を見せたことはない。
会社の人が言うには、あれは融合時に拒絶反応が起きたためだろう、という事らしい。

"アンノウン"と同化した鱗は、驚くような特性を秘めた金属に変質していて、これが自作出来るようになればすごい事だという。

なにより人と結合出来るかもしれない性質がすごいらしい。

そうそうそれでね、私が第一発見者って事で名前をつけよう、ってなったんだけど……

どうしよう?

----------

パタン。――


日記を閉じる音。

首筋の咬み痕をさすりながら、Φは眠りに就いた。
後にDG(ダンゲ)細胞と名付けられる事となる組織を組み込まれた蛇達を、枕に、抱き枕に、布団にして。


以上です。GK業務頑張ってください!


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