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009 小袖袴

42ε【サブGK】:2011/08/14(日) 06:35:06
そんなににらまないでくださいな、鳥さん。
あなたはいつも主人の体を気遣っていますが、私だっていつも主人の心を気遣っているのです。
私はこの屋敷全体の付喪神。主人の着物の袖も、寝具の枕も、私の一部なのですから。
いくら付喪神とはいえ、これ以上の塩分過剰摂取は主人の身を守る観点からも控えたいところなのです。
――それに、あなたもそんなものを用意している時点で、黙り通す気なんてなかったのでしょう?


「? 何かあるの?」
「あぁ!もしかして私のプレゼントのことも喋ったね!?」
「えっ!なになに?」
「あ、もう。……ええっと、片手じゃいつものペンは使えないでしょ。矢立もちょっと使い辛そうだったし、だから……ん」
「わぁ、筆ペンかぁ。ありがとう!」
「う、うん。どういたしまして」
「あ!外出用の筆をくれたってことは、もしかしてさっき言ってた『景色のいいところ』って……」
「う……社に先を越されちゃったし、ちょっと格好つかないなぁ……」


ふふふ、やはりそういうことでしたか。まあ、お先に失礼させていただきました。
さて、そんな鳥さんのプレゼントに合わせて私からもひとつ。
土蔵の中に積まれていた和紙を切りそろえてメモ帳にしてみましたよ。
いつもの鉄製みたいに魔人能力を刻み込むことはできないでしょうがよろしければ使ってくださいな。


「うん。みんな、ありがとう。これなら左手でメモ帳を持って……筆ペンを……もぐもぐもむもむ」
「えっ、口に咥えて書くの?」


そういえば主人は両手はおろか、口や足でも字が書けるのでしたね。
体のどこが動かなくなっても大丈夫なようにという訓練の賜物ですが、病気に打ち勝たんとするその気力はたいしたものです。


「袴もしっかり……よし!これで準備はOKだね!」


この先に待つであろう大騒動、主人はその気力を存分に奮ってください。
動かぬあなたの右手に代わり、私が火の粉を払いましょう。




「じゃあ出発しよう!目指すは――凄いこと!」
――エピソードここまで――




宜しくお願い致します。

度々の修正になってしまい大変申し訳ありませんでした。


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