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『プリキュアシリーズ』ファンの集い!2

508猫塚 ◆GKWyxD2gYE:2022/01/01(土) 08:35:56

「ふふふ……、ごめんなさい」と少し恥ずかしげに微笑むのどかが、長袖インナーに包まれた左の二の腕を右手でさすった。日の光の暖かさでまぎれてしまうが、ほんの少しだけ寒気が肌を這っている。

「そろそろ朝晩も涼しくなってきたものね」
 と、ちゆが、もうすっかり秋だと苦笑しつつ、のどかの体調を軽く気にして隣にしゃがみ込む。腕をさする手をとめて、大丈夫だよ、と微笑みで返すのどか。その背中に、パサッとスーツのジャケットが掛けられる。

「羽織ってたら、ちょっとは温かいやろ。……ほら、お姉ちゃんが心配してるで」
「なっ…!」

 思わず顔を赤らめて、ちゆがミナを見返す。事情を知らない他の者たちが、何事かと興味津々に見つめてくるのが恥ずかしい。同じく、のどかも顔を赤らめているけれど、こっちは照れているのと嬉しいのが半々だ。

「ちゆちーがお姉ちゃんかー……」

 いいなぁ…という思いを込めて感慨深そうにつぶやくひなたに、すかさずニャトランが、

「学校から帰るなり『遊ぶ前に宿題しろーっ』とか言われるぞ、絶対」
 と、ツッコんだ。
 ひなた、何とも言えぬ顔で「あー」と洩らしてから、のどかに向かってパタパタと手を振った。

「ちゆお姉ちゃんのこと、末永くヨロシクねー」
「あ、押し付けやがった」

 ちゆが「どういう意味よっ」と軽く気色ばんで立ち上がろうとするのを、のどかが笑いながら引き止める。

「まあまあ……ちゆお姉ちゃん、落ち着いて」
「のどかまで……、もおっ!」

 そんな二人を囲んで皆が明るく笑う。 ―― ツナグを除いて。
 みんなと一緒に笑っていたのどかの目に、不意にツナグのうしろ姿が映った。

「……ツナグ?」

 きょとんとした顔になって、呼びかける。
 ツナグは自分のリュックを背負いつつ、背中を向けたまま言った。

「ごめん。ボク、今日はもう帰らないと」

 皆の笑い声は、いつのまにか消えていた。
 しん……とした空気にガマンできなくなったひなたが、残っていたお菓子をサッと手に取って、あえて明るい調子で話しかけた。

「ねえ、ツナグ、もうちょっとだけお菓子食べていかない? これなんて美味しいよ? 
 ……えーと、お腹いっぱいなんだったら、包んであげるから、持って帰って食べてもいいし」

 ひなたに続いて、ニャトランも声を張り上げる。

「急すぎるだろっ。なあ、そんなに今すぐ帰らなくてもいいだろっ!」

 ニャトランはツナグを責めているのではない。ただ、彼ともっと一緒にいたいだけだ。
 二人の声に振り向くことなく首を横に振ったツナグに、今度はアスミが問いかけた。

「もしかして、気に障ることでもあったのですか?」

 やっぱりツナグは静かに首を横に振った。
 彼のうしろ姿を見つめて、ラテが心配そうに「くーん」と小さく啼く。
 ……ツナグの様子のおかしい。それは全員が感じている。けれど、なぜそうなっているのかが全く分からない。
 戸惑いを表情に広げているペギタンが、ちゆと顔を見合わせた。
 ちゆはペギタンにうなずき返してから、優しい声でツナグにたずねてみる。

「ツナグ、どうしたの? 何か事情があるのなら教えてもらってもいい? もし、困っているのなら、わたしたちがチカラになるわ」
「ツナグは、ぼくたちの大切な友だちペエ。なんでも相談してほしいペエ」

 一瞬振り向きそうになったツナグが、ぐっとこらえて、強めの語調で返した。

「ゴメンっ、ボク……急いでるからッ!」

 拒絶の背中。
 ラビリンがバルコニーに立ちすくむ。ツナグが心配で声をかけようとしたが、結局、何も言えなかった。
 代わりにミナを見上げて、すがるように声を洩らした。


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