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『プリキュアシリーズ』ファンの集い!2

507猫塚 ◆GKWyxD2gYE:2022/01/01(土) 08:35:10

 初めての体験に驚きつつも素直に答えたツナグ。けれど、誰かを応援するなんて今までしたことがない。元気よく吠えてペギタンを応援するラテの隣で声を出そうとするが、やはり戸惑いが大きい。
 そんな彼を横目でチラッと見たのどかが、しゃがんだまま、口もとに両手を添えて大きな声援をペギタンに送った。

「ペギターーンっ! がんばれーーっっ!!」

 突然の大きな声に、びっくりした顔で見上げてきたツナグへ、のどかがニコッと優しく微笑みかける。
 ……うなずき返したツナグが、のどかを真似て口もとに両手を添え、ペギタンへと声援を送った。

「ペ…ペギタン、がんばれーっ!」
「がんばってーっ! ほら、ツナグも応援してくれてるよーっ!」
「ペギタンっ、自分を信じて! あなたなら勝てるわ!」
「わんっ! わんっ!」
「ラテが応援しているので、わたくしもペギタンを応援します。ペギタン、がんばってください!」

 ツナグたちの声援を熱として、西ドイツ式ブラジリアン柔術と古代マケドニア八極拳のぶつかり合いも盛り上がってゆく。

「虎の呼吸・伍ノ型! ―― 猛虎打線ッ!」
「甘いペエ! 覇海殺・肝臓爆発チョップ ―― 六連ッッ!!」
「ぐああああああっっ!?」

 さっそくミナ応援サイドよりブーイングが飛んだ。

「待ってよ! 古代マカロニ八宝菜の連続攻撃って最大5回までって言ってたじゃん!
 なのに、今、6回連続攻撃してたよ! これっておかしくないっ!?」
「そうニャ! チートだ、チートぉぉ!」

 この非難に対して、ラビリンは「ノンノン」と首を横に振った。ルール的には問題ないようだ。

「あ、意外とペギタン勝てそう」
「いけるわよ! その調子よっ、ペギタン!」
「ペギタンッ、次は眼鏡ですッ! 眼鏡を狙っていきましょうッ!」
「わんわんっ!」
「ペギタンっ! がんばれっ! がんばれっ! ペギタンがんばれーっ!」

 興奮のあまり身を乗り出してペギタンの応援を続けるツナグ。 ―― だが、唐突に胸にこみ上げてきた感情の塊に言葉をふさがれてしまう。
 不意に黙ったツナグに、ふと、ちゆが視線を向ける。
 ……ツナグの両目から、静かに涙があふれていた。

「ツナグっ!?」

 ペギタンの両頬をむにーっと左右から引っ張っているミナを含め、ちゆの声で全員がツナグのほうを見た。
 皆のまなざしを受けて、ようやく自分が涙を流していることに気づいたツナグが、あわてて両手でごしごしと目の周りを拭いた。

「ごめん。ボク、友だちの名前を呼ぶのって初めてで……。しかも誰かと一緒に、こんなふうに大きな声で叫ぶなんて想像もしたことなくて……」

 のどかの手が優しくツナグの背中をさする。そして、彼と目が合うと微笑みを表情に乗せて言った。

「これからはいつでも呼べるね、わたしたちの名前」

 ツナグが放心したような顔になった。
 でも、のどかの言葉に脳の理解が追いつくと、幸せのあまり泣き出しそうで、それでいて嬉しすぎてたまらないという感情が入り混じった笑みが、表情に広がり始めた。
 しかし、その瞬間 ―― 。

「 ―― くしゅんっ!」

 のどかが顔を背けて、可愛らしいくしゃみをした。
 笑みに変わりかけていたツナグの表情は、一瞬で凍りついたみたいにこわばった。
 瞳に浮かべる色は、恐怖。
 ……皆の目はのどかへと向いていて、誰も気づかない。


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