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『プリキュアシリーズ』ファンの集い!2

315一六 ◆6/pMjwqUTk:2017/07/24(月) 20:57:32
 ホホエミーナの肩の上から、ウエスターはナキサケーベの様子を遠巻きに眺めていた。
 相変わらず無秩序に暴れ回り、無茶苦茶に砲弾を発射する怪物の巨大なひとつ目に、彼が渾身の力で付けた小さなくぼみがあるのが分かる。人並外れた視力でその奥を覗き込むと、燃え盛る赤黒い炎がハッキリと見えた。
「やっぱりあのひとつ目は、コアでは無かったようだな。おそらくヤツのコアはあの火だ! あの火を消し止めれば、ヤツは倒せる」
 まるでホホエミーナに話しかけているかのような大声でそう言ってから、ウエスターは太い腕を組み、額に皺を寄せて考え込んだ。
「だが……どうやって消せばいいんだ。何とかして、表面に穴でも開けられればいいんだが……」

 困ったように呟いたウエスターが、突然、ホホエミーナの上から身を乗り出す。
 怪物の動きがパタリと止んでいた。その中に見える炎も、さっきまでとは違っている。
 赤黒い炎とは異なる、より純度の高い赤々とした炎。苦痛の象徴と言うよりは、決意の証のようなその炎は、くぼみを通して見なくても、既に巨大なひとつ目から透けて見えるほどの輝きだった。

「こいつは一体……」
 そう呟いたウエスターが、今度はせつなと少女の方に身を乗り出す。そして、さっきまで二人を包んでいた赤黒い炎が消えているのを見ると、その目が得意げにキラリと輝いた。
「イース、でかした! そうか。あっちの炎が消えたせいで、こっちがその分、勢い良くなったのだなっ?」
「ホ……ホエミーナ?」
 ホホエミーナが、明らかに理解不能という口調で相槌を打つ。だが、ウエスターは得意満面の様子で、この大きな相棒に檄を飛ばした。
「よし! 今度は俺たちの番だ。行くぞ、ホホエミーナ!」

 再びナキサケーベに対峙したホホエミーナが、さっきと同じく腕を錐状に変化させて、ウエスターが作ったくぼみを狙う。やはり他の場所に比べて弱くなっていたのだろう。ついに怪物の硬い表面に穴があくと、すかさずウエスターの大声が飛んだ。
「今だ! 水をくれっ!」
「分かった!」

 老人とラブが、ナキサケーベに消火ホースを向けて、最大出力で水を放つ。火の勢いが弱くなるにつれて、怪物の姿は次第に薄れ始めた。
 やがて、三角形のカードが灰になって空に舞い上がり、消えていく。それと共に、少女に巻き付いていた茨も跡形もなく消え失せて、彼女はふらつきながらも自分の足で立ち上がると、せつなの顔にチラリと目をやって、少し照れ臭そうにそっぽを向いた。

「おのれ……」
 一部始終を眺めていたノーザの映像が、悔しそうに歯噛みする。だが、目の前に一体残ったモンスターに目を移すと、今度はニヤリとほくそ笑んだ。
「ホ……ホエミーナ……」
 消火ホースがいったん離れたせいだろう。サウラーのホホエミーナが必死で食い止めてはいるが、ソレワターセは、ラブや老人、サウラーが立っているすぐ近くまで迫っている。
 そして、ソレワターセがさらに一歩を踏み出した時、突然ノーザの目が大きく見開かれ、その顔に歓喜の表情が浮かんだ。
「見つけたわ……。そのまま進め! ソレワターセ!」
「ソーレワターセー!」
 ノーザの鋭い激に、巨大な怪物は、地に響くような雄叫びを上げた。

〜終〜


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