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『劇場版プリキュア』を楽しもう!
184
:
makiray
:2020/12/28(月) 22:59:00
Messenger of Light (10/12)
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剣崎真琴はカメラの前に立っている相田マナたちにサインを送った。今だ。
配信ライブのクライマックス。マナたちは見学の予定だったが、戦っているプリキュアたちの応援に向かった方がいいのではないか、と結論が出かけたとき、菱川六花が「いい考えがある」と言った。
真琴のサインを合図に、タイミングを揃えてマナたちがミラクルライトを振る。急いで集めたおそろいのコスチューム、四人の姿がシルエットでカメラに映る。五つのライトの光が全世界に配信されていった。
「ともに上のステージにまいりましょう!」
「プリキュア くるりんミラーチェンジ!」
キュアラブリーたちはブルーに導かれてクロスミラールームに入った。
真琴のライブで配信されるミラクルライトの光は、世界中に届きはするが、一般の通信回線を通るので決して強くはない。クロスミラールームを通じて世界中のプリキュアと連携、彼女たちのミラクルライトの光と、配信を映し出しているモニタから発せられるマナたちのミラクルライトを共鳴させる、という作戦だった。
「プリンセス、ヨーロッパをお願い」
「ラジャー!」
キュアハニーがアメリカ、キュアフォーチュンがアフリカとオセアニア、キュアラブリーがアジアを担当する。
「今こそ、あたしたちの愛とラブとラブリーを!!」
できれば高いところがよかったが、いかに海藤みなみが信頼篤い生徒会長でも、普段は施錠されているノーブル学園の時計塔の開錠許可を、理由の説明なく緊急に得るのは難しかった。
「そうだ、海は?」
天ノ川きららが叫んだ。
「さすがです、きらら」
「だてに何度も海を越えてません」
紅城トワの言葉に、きららは「にひ」と笑った。
みなみが駆け出す。春野はるかも続いた。
理屈は響たちと同じ。海は世界中につながっている。学園の前の海をミラクルライトの光で満たすことができれば、それは当然、すこやか市にも届くはずだった。
「咲き誇れ、あたしたちの光!」
宇佐美いちかがいちご坂を駆け上がる。剣城あきらが追い越していった。彼女には珍しく、いちかを見向きもせず走っていく。今は、誰が一番かは重要ではない。とにかく一秒でも早く光を届けなければ。有栖川ひまりも必死の表情だった。
いちご山の頂上。あきらがミラクルライトをかざした。次にたどり着いた立神あおいが荒い息のまま続く。
妖精たちが、何事かと顔をのぞかせた。
「あなたたちも祈って!」
琴爪ゆかりが叫んだ。
キラ星シエルがライトを点灯させる。
「これでパルフェよ!」
その光はすべてそれぞれの頭上へ延びて行き、世界を覆っていく。濃淡を持って揺れる光の波は、まるで太陽の表面で踊るプラズマのようだった。
キュアエコーが高々とミラクルライトを掲げる。グレルとエンエンも続いた。
ミラクルライトが熱を持っている。世界中の光に呼応しているのだ。あとは、その光をすこやか市に導くだけだ。
「世界に響け、みんなの想い!
プリキュア ハートフル・エコー!!」
ミラクルライトを持った手を前に伸ばす。
世界を覆った光が、一斉にすこやか市へと向きを変えた。
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