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『劇場版プリキュア』を楽しもう!

132makiray:2018/09/24(月) 23:18:51
Soliste Echo(03/12)
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 異変が起こったのは、しばらく後である。
「なに?」
 立ち上がる あゆみ。
 空に巨大な扉が現れたかと思うと、そこから黒い巨人がこちらに乗り込んできた。手と足、それに顔らしいものがあるから「巨人」と言ってもいいだろうが、それを「人」というのはためらわれる。あゆみは直感した。プリキュアたちに何かが起こったとすれば、あれと関係がある。
「あゆみ!」
「うん!」
 一瞬、襟元のキュアデコルが熱を持った。
〈いやな感じがする〉
 フーちゃんも同じことを感じている。
 海に向かって走る。見たことのないプリキュアが戦っていた。
「あれが、いちかちゃんたち」
「すげぇぞ!」
 軽やかに飛び回り、色のきれいなリボンを打ち出しては巨人を翻弄し、拘束している。
 その姿が少しずつ大きく見えてくる。だが、護岸の向こうにプリキュアの姿が消えたかと思うと、巨人は扉の向こうに行ってしまった。
「どうしたんだろう」
〈プリキュアの光が消えた〉
 フーちゃんがつぶやく。あゆみは浜に降りる階段に飛びついた。そこに、ふたりの少女が上がってくる。
「ごめんなさい」
 赤ん坊を抱えた少女と、長いツインテールの少女が、ぶつかりそうになった謝罪もそこそこに走っていこうとする。
「待って!」
 うるさいな、と言いたげな険しい表情で振り返る少女たち。
「宇佐美いちかさん、じゃないですか?」
「…そうですけど」
「何があったんだ!」
 グレルがバッグから飛び出した。エンエンも続く。
「妖精…?!
 じゃ、あなたは、坂上あゆみちゃん!」
「どうしたんですか?
 プリキュアのみなさんは?」
「みんなは――
 みんなは…」
 いちかの視線が落ちる。野乃はなは、それを心配そうに見やったあと、あゆみに視線を戻した。
「ウソバーッカ…さっきの化け物に捕まってしまいました」
「捕まった…」
「いちかちゃんの仲間も、私の仲間も…」
「せや、えらいこっちゃ」
「ネズミがしゃべった!」
「俺はハリハム・ハリー様や!」
 赤ん坊のハグたんは、ふたりの曇った表情をよそに、グレルとエンエンに向かってハギュハギュと手を伸ばしていた。だが、今はそれに頬を緩める者はいない。
「つまり、二組のプリキュアが捕まってしまった、ということなんですね」
 いちかと はなが頷く。
「変身して助けに行こうよ」
 エンエンが言ったが、いちかと はなは弱々しく首を振った。
 ポケットから何かを取り出す。石ころに見えたそれは、どうやら変身アイテムのようだった。
「変身できないってことか」
 だまって頷くふたり。
「坂上さん、ほかのプリキュアの皆さんは」
 いちかがやっと声を出した。
「え、いちかちゃんたちのほかにもプリキュアがいるの?!」
 はなは驚いてそう叫んだが、この坂上あゆみという少女が最初に「プリキュア」という言葉を使っていたことを思い出した。
「それが…」
〈あゆみ…さっき、ウソバーッカがいなくなったらプリキュアの光も消えた〉
「だから、それは――え」
「プリキュアがみんなウソバーッカに捕まってる、ってことか!」


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