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『劇場版プリキュア』を楽しもう!
111
:
makiray
:2017/08/06(日) 07:30:41
Quartet Branche (11/16)
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(音が…)
グレルは一所懸命にキュアリズムが閉じこめられた繭をたたき続けている。その音が変わってきたような気がした。
(ひょっとしたら)
さっきもそうだった。烏天狗の吹雪を消すために三人で手をつないだ――もちろん、フーちゃんも一緒だった――とき、今までに感じたことのない力強さが伝わってきた。
グレルのおもちゃの剣は、あの繭を割れるのかもしれない。
「つづけて!」
「?」
グレルの手が止まる。キュアエコーはもう一度、叫んだ。
「グレル、エンエン!
繭をたたき続けて!」
「わかってる!」
心配そうに見ていたエンエンも繭に飛び乗った。
「僕もやる!」
「よし!」
二人は一緒に剣を握りなおした。その瞬間、剣が光を帯びた。
「やっぱり…」
何が理由かはわからない。グレルとエンエンが成長したということなのか、それとも、キュアエコーと一緒に戦ってきたことが理由なのか。そうだとすればきっと、今はキュアデコルとなっているフーちゃんの存在も重要なキーのはず。
確かに言えることは、グレルとエンエンが「光の力」を発揮することができる、ということだ。
「行くぞ!」
「えいっ!」
「やぁっ!」
「そんなことはさせないよっ!!」
危険を感じた烏天狗がじゃまをしようとする。だが、キュアエコーはその前に回り込んだ。
「がんばって!」
「任せておけ!」
「僕たちは、プリキュアのパートナーなんだ!」
「だから、俺たちがプリキュアを」
「助けるんだ!」
パリン、と。
想像していたのよりもきれいな音が響いた。
「割れた!」
足場を失ったグレルとエンエンが、それでもうれしそうな顔で落ちていく。ポコン、と今度はかわいい音がして二人が着地した。
「…。
あれ、私」
「リズム!」
キュアリズムは、なにが起こったのか、一瞬、わからなかったようだった。だが、烏天狗の前にいるキュアエコー、そして自分の目の前で得意そうにふんぞり返っているグレル、喜びを満面にたたえているエンエンを見て了解した。
「ありがとう!」
「いいってことよ」
「けがはないの?」
「うん、大丈夫」
キュアリズムはそう答えると、厳しい顔つきに変わった。そしてまだ冷たい地面を蹴る。
「やぁっ!」
キュアエコーと烏天狗の間に割って入る。烏天狗が驚いて一歩下がると、キュアエコーと一緒に距離をとった。
「よかった、リズム」
「助けにきてくれたのね」
「ほのかさんと、舞さんも?」
「うん。繭の中」
二人はそういうと無言で頷きあった。烏天狗よりも、二人の方が先だ。
だが、どうすれぱいい?
グレルとエンエンのおかげで、あの繭が割れることはわかった。だが、かなり時間がかかっている。
また繭を叩く音が響きはじめた。グレルとエンエンがさっきと同じように繭に飛び乗って割ろうとがんばっている。だが、その表情はさっきよりも厳しい。
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