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アルト×シェリルに萌えるスレ138

156バタフライ・ノット Alto side〜croire en cet amour?〜:2014/11/21(金) 15:35:42 ID:???

 ー彼女は花嫁になる日など、来ないと思っていたのだろう。
 だから、命を返すまでの刻限を悟ったあのとき、エリクシアの衣装で偽物のウェディングドレスを着て、それで満足したつもりだったのだろう。
 誰も抱きしめる者のない空虚の輪郭を道連れに、死ぬつもりでいたのだ。
 それはあまりにも気高く哀しい、銀河の妖精の覚悟だった。
 だけど、俺にとってのシェリルは妖精でなくていい。
 一人の女性としてのシェリルとともに、この大きな星を漕いでゆきたい…
 アルトの脳裏に、もうだいぶ昔に耳にした、あの歌の一節が蘇る。
 ずっと時間が経ってから、自分のことを歌っていると知ったあの歌が…


ーあなたに出会って愛されるため ずっと独りでいたんだ
 過去と未来 結ぶ銀河の夕暮れを あなたと見たいから…


「ーっ…!」
 こらえきれずにくしゃりと顔を歪ませ、シェリルはアルトの首に両手を回して抱きついた。
 アルトはシェリルの背中にそっと腕を回し、子どもをなだめるようにストロベリーブロンドを撫でる。
 アルトは幸せそうに微笑むと、シェリルの耳元に唇を寄せ、もう一度ささやいた。
「ー結婚しよう、シェリル。おまえのことを、一生大事にする」
「…はい…」
 嬉しくて悔しくて、言葉がうまく出てこない。
 ただ自分をしっかりと抱きしめてくれるアルトの体温が、これが夢ではないことをシェリルに教えていた。
「アルトのバカ、いつもいつも、遅いんだから…こんなサービス、もう二度と…アルトにしか、しないんだからっ…!」
「わかってるよ。これが最初で最後だ」
 胸を満たす甘い幸福に酔いしれるように、アルトはシェリルのこめかみにそっと唇を落とす。
 そして、いつかも告げた言葉を繰り返した。

「少し、遅いかもしれないけど…」

 ー人は一人じゃ飛べない。飛んじゃいけない。
 幼い日の出会いから、たくさんの捨てられない重い荷物を抱え、そのすべてを共に抱えて生きてゆくと誓ったふたりが、いまようやく結ばれた。

「俺はおまえのことを、愛してる」

 二つを重ねて一羽になるバタフライ・ノットに、祝福を。




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