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大河×竜児ラブラブ妄想スレ 避難所2

1まとめ人 ◆SRBwYxZ8yY:2009/10/29(木) 01:36:02 ID:???
ここは とらドラ! の主人公、逢坂大河と高須竜児のカップリングについて様々な妄想をするスレの避難所です。
アクセス規制で本スレに書けない、とかスレに書けないような18禁のエロエロ話を投下したい時とかに
お使いください。
    / _         ヽ、
   /二 - ニ=-     ヽ`
  ′           、   ',
  ',     /`l  / , \_/ |
  ∧    〈 ∨ ∨ ヽ冫l∨
    ',   /`|  u     ヽ
    ', /          /
    /  ̄\   、 -= /                   __
  / ̄\  `ヽ、≧ー                    _  /. : : .`ヽ、
 /__ `ヽ、_  /  、〈 、           /.:冫 ̄`'⌒ヽ `ヽ、 / 〉ヘ
/ ==',∧     ̄ ∧ 、\〉∨|         /.: : :′. : : : : : : : . 「∨ / / ヘ
     ',∧       | >  /│        /: :∧! : : : :∧ : : : : | ヽ ' ∠
      ',∧      |、 \   〉 、_       (: :/ ,ニ、: : :ィ ,ニ=、 : : 〉  ,.イ´
      ',∧      |′   ∨ ///> 、  Ⅵ: '仆〉\| '仆リヽ:|\_|: :|
      / /     |     └<//////> 、 八!`´、'_,、 `´イ. :|////7: !
    /_/       |、       ` </////>、\ ヽ丿  /. : :|//// : .丶
    ,'          |′         ` <//∧ : > </.: : :////〉: : : . ヽ
    ,'          |            / 个:<〉. :〉》《/.: ://///: : : : : : . \
   ,'           |、          〈 . : :│: |/. :/│/.:///////: : : : : : : : : . )
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本スレ
【とらドラ!】大河×竜児【アマアマ妄想】Vol17
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1255435399/

670高須家の名無しさん:2011/11/21(月) 16:25:30 ID:???
ご、御本人であれば妄想と言わず形にry

671高須家の名無しさん:2011/11/22(火) 00:20:37 ID:???
すごく…読みたいです

672高須家の名無しさん:2011/11/22(火) 01:33:51 ID:???
アニメの竜児は1話や5話でめし時に大河が涙目になると頬を染めるようなムッツリスケベ野郎だが原作では純愛一路だなw

673 ◆fDszcniTtk:2011/11/22(火) 08:21:13 ID:???
>>670
くそ、なぜ本人だってばれたんだ(w

674高須家の名無しさん:2011/11/22(火) 19:00:12 ID:???
すでに読める形であるSSを改変する妄想はしてもそれを堂々と表明するやつぁ普通本人しかいないだろう(棒

675高須家の名無しさん:2011/11/22(火) 23:57:35 ID:???
なるほど

676高須家の名無しさん:2011/11/23(水) 04:47:37 ID:???
>>673
御本人だったらかか書いてくれないかな!という欲望に駆られて
書き込んでしまいましたが、当たっていたようで…w
すごくすごく読みたいです

677高須家の名無しさん:2011/11/27(日) 23:28:36 ID:???
来年1月放送の「輪廻のラグランジュ」には、能登、春田、独身の中の人が出てるな。

678高須家の名無しさん:2011/12/02(金) 21:10:26 ID:???
また大規模規制でもやってるのか?せっかく盛り上がってたのに水差されたな。

679高須家の名無しさん:2011/12/05(月) 21:54:19 ID:???
本スレ移転した
ttp://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1318414786/

680こたつイチャイチャ〜オチパート『寝落ち』 ◆0/FKyHtS2M:2011/12/06(火) 19:10:42 ID:???
本スレVol.26【クスクス妄想】>>306からの〜、オチパート(の一種)です。
大変申し訳ないのですが、さほどエロくはありませんで、その代わり一般的にはきちゃない話です。

原作で言えば鼻の内容物とか、足汗とか尻汗の類ですので、その辺がきもかった向きにはお勧めできませんし、
原作ではゆゆぽ記述によってセーフであっても数段記述力が劣るこちらSSではアウトという事も十分考えられます。

はい注意は喚起しましたからね?

なんで書いたし?それは足汗とか尻汗とかおトイレ借りたいのとか唾液の交換とか、
およそ萌えヒロインとしてふつう言及されないところが描かれる大河に実在感を得られて大好きだからです。
すまん、変態だー!orz

↓では

681こたつイチャイチャ〜オチパート『寝落ち』 ◆0/FKyHtS2M:2011/12/06(火) 19:12:58 ID:???

 ――承前。

 「しゅき……だもの」

 大事な事だから二度言ったらしい。
 で、早くも二度目にはすーすー寝息混じりになって必死に起きていようとしてる。瞼を閉じ
たらさいごとばかりに竜児の目を睨みつけ耐える大河の身体がもわ〜っと暖かくなってきてい
て落ちるのは時間の問題。
 竜児からしてみても丹前羽織って乗られていると暖かなふとんを掛けて横たわってるのと体
感的にはほとんど同じだ。おまけに眠気というのは伝染するもの、ふーん、ふぃーんと気持ち
良さそうな鼻息を耳の後ろに感じて、あ、先に独りで寝るなこら、もっといろいろ……してえ
の……に……。



****


(重てえ……)

 重いよ大河。それにちょっと寒みいし。
 少し覚醒したものの目を開けられる気がしない竜児は、抱き合った柔らかい者に擦りよって
顔を埋めてみた。肩ごと左右に揺するように擦りつけて、あああったけえ、ふよふよして気持
ちいいよ。ちゅっちゅっちゅ、たいがのきょにゅ〜いい匂い、たいが、ぁ……?

 がばっ!

 さすがに目が開いた。くそっ、いつの間に泰子が。ああもう5時過ぎか。テレビの上の時計
に首を向け、夜光塗料のつくる角度を見て時刻を知って、ゆっくりと上体を起こすとどっくん
どっくん拍動を感じる。増した血流ですっかり目も覚め、あらためて状況を把握する。

 まだ薄暗い夜明け前の八畳居間、いつものように帰宅した泰子はいつものような酔っ払いの
勢いのまま、抱き合って寝落ちしていた俺たちに覆いかぶさり力尽きた……とみた。確か寝落
ちする前に大河が占めていた位置にまるっと収まっているから、二人の隙間をこじ開けながら
ズブズブ落ち込んだわけだ。
 その大河はと見れば、ほとんどこたつからななめに蹴り出されて丸くなっていた。まあ寒け
れば自力で入り直すだろうから暑くて自分から這って出たのかもしれない。

 卓上には貪り尽くされたコンビニおでんと新作プリンの空きカップが転がって二時間ほど前
のささやかな饗宴を想像させた。いちおう泰子はじぶんの定位置で仕事を終えたあとのくつろ
ぎタイムを堪能してからこの不埒な行動に及んだらしい。

 子供っぽいほえほえアタマではあっても母は母。普段しない行動に出た動機が問題だが、と
考えた竜児はこたつ布団をめくって自分の着衣を確かめる。良かった、乱れてはいない。別に
泰子から性的に悪戯をされたなんて疑ったわけではもちろんなく、大河と自分が傍目にはケシ
カランと思しき状況で寝落ちしていたからこうなったんじゃないかと思っただけだ。

 とまあ、先ほどから竜児が大勢に影響のないつまらん事を一生懸命考えているのも、寝ぼけ
半分とは言えいい齢して母のおっぱいしゃぶっちまったぁ(谷間だが)というショックに加えて、
しばらくの間それをよりによってな方向で誤認していた事実にも竜児は大いに傷ついたからで
もある。“大河の巨乳”なんだよそれ?“でっけえミニ四駆”みたいだが、位相幾何学的に解
釈すればどんなに大きくとも何ら不思議はなく、aの膨らみが慎ましやかな大河が一番好みだ
がbのFカップ大河も同じ大河と言えて、cのムネが背中側に膨らんでる大河だけを別扱いで
……なに考えてんだ俺。

(忘れよう……秘密秘密……ん?)

 ようやく落ち着いてきたら、酒くさい。というか唾くさいのに竜児は気づいた。あちこち嗅
いでみたら、うへえ、やられた。

682こたつイチャイチャ〜オチパート『寝落ち』 ◆0/FKyHtS2M:2011/12/06(火) 19:13:55 ID:???
 抵抗がないのをいい事に乱入母がべろべろ蹂躙しまくったのだろう、カオがくさい。まあこ
れは中学生くらいまで連日やられていたことだからそれほどのショックはないけど、唾は乾く
となんでこんなにくさいのだろう。他人じゃなく親子なんだからもうちょっと親しみを感じる
ようになっていてもいいはずだが、進化論的に。

 ともかくカオ洗おうと、竜児は静かにこたつを抜け出して迂回。ついでに哀れに丸まってる
大河の側にしゃがんで寒がっていないか確かめる。

(うん。こいつもやられたのか)

 寝入る前に髪を編んでおかなかったせいで盛大にほつれ毛を絡ませてる大河の頬に顔を寄せ
てくんくん嗅いでみれば、自分と同じような酒くささ。たぶん眠りが浅くなったときに夢うつ
つで「くさぁ」などと思ったのだろうか不機嫌なツラしてる。
 丹前の襟をかき合せて縮こまってるのを抱きあげて、台所から入ってすぐ本来は竜児の席に
なってるところで腰までこたつに突っ込んでやってもぐにゃぐにゃ脱力していて起きず、竜児
はしばらく眺めてから洗顔に行った。

 物音を立てないようちょろちょろ流した冷たい水できれいにカオを洗い、居間に戻って泰子
を抱え上げるも引きずって部屋に敷いておいた布団に押し込んでやった。仕事着がシワになっ
ちまうが……まあ、いいか。ふすまをそっと閉めて嫁との仲を裂いた姑の隔離完了。

 明け方の冷え込みが身に沁みて、こたつに戻り明るくなるまでもうひと寝。……の前にどう
しようかちょっと迷ったが、結局竜児はポットのぬるま湯をガーゼタオルに絞って脇に座ると
丁寧に大河の顔を拭き出した。。

(起こしたら可哀想だが、クサくてうなされるのもなあ)

 彼女のほつれ毛を指先で梳いて、力を込めずに少しずつ頬から拭っていった。いつの間にか
身体を伸ばしていた大河に添うようにこたつに入り込んで作業に没頭し始める。最初に寝顔を
見たのはいつだったか……ああそうだ出逢った翌朝だった。あまりにかわいらしくて心臓をギ
ュッと掴まれたような感じになって。

 触れた時に冷たくはないだろうけど、水気を含んだもので顔を拭われて目を覚まさない人と
いうのはまあ、普通いない。うーんとか、あーとか微かな声を大河がもらすたびに竜児は手を
止めて寝息が戻ったらそうっと続行する。
 そんなことを繰り返しているうちに親心なのか男心なのかよく分からなくなってきた。寝顔
から不機嫌さが次第次第に消えていったのを見て湧くのは親心であろうし、(ちゃんと拭けた
かどうか確認するだけだからな……)とか何とか心で言い訳しながら大河のこめかみや額の生
え際をくんかくんか嗅いでみるのはたぶん男心のうち、と自分でも分かってはいる。

 そんな、あらかた用は済んだのに作業を終えたくない竜児が顔を寄せていると、突然大河の
目が開いた。

「りゅー、ぅー、」

 とろんと半眼で光なく。おそらくは眠りの底に近い表情を間近で認めた竜児は、反射的に言
い終わりの、じ?を発声しようとする唇をちゅっと塞いでしまった。さっきからしたくてした
くて疼くような塊を胸に抱えていた。
 しょうがない、と思い、口実だよなとも思い。そうしてやっぱり起こしたらいけない気持ち
も投げ捨てはせず、大河の息を邪魔しないよう触れるだけの優しいキスをと思うのはなにも竜
児がことさらにロマンチストだからというわけでもないだろう。こんなとき男という者は大抵
そうする。

「もっ……とー」

 しまったと思った。こいつは起こすタイミングによっては寝惚け方が尋常ではないと知って
いて忘れていた。ごめんうそ。忘れてなんかいなくて無視していただけ。誰に謝ったのかは竜
児自身にもわからないが、宙を彷徨った細い腕にまたも首根っこを捕まえられ激しく水っぽい
お返しのキスを受け始める。

(あああ、せっかく顔洗ったのに)

683こたつイチャイチャ〜オチパート『寝落ち』 ◆0/FKyHtS2M:2011/12/06(火) 19:14:59 ID:???
 もうキスと言うよりは上下の唇と舌で顔の上を歩きまわられてると言った方が正確だ。本人
としては朦朧としながらもちゃんとしている気でいるかも知れないが、半開きの目にはきっと
視覚はなく、触覚だけを頼りにべーろべろ。その証拠に全然唇を探り当てていないし、ヨダレ
流しっぱなし。部屋の冷気に触れたほっぺた寒い。
 うわーん、もういいだろ!
 ついに竜児もヤケを起こして大河のカオをちゅうちゅう吸い返し始めた。まあこっちは目が
覚めているので「起こしちゃってもいい」程度ではあったけど彼にとっては綺麗に取り繕った
直後の台無し感と親心男心をミキサーに掛けた青汁まずい!もう一杯!状態と言えた。

 薄暗く寒い部屋で、割と緩慢に、ロマンもヘッタクレもないちゅっちゅぺろぺろ行為をして
いると何故かそれでもヌクヌクと幸せ感に包まれてきて、そのうちにまたしてもこたつめの魔
力が……。


****


「……なんだろーね?つーんとくさい」
「……カオ洗ってこい」
「それに寝たの窓側だったはずなのに……はっ?まさか」

 遅い冬の朝も明けきって、窓の外では雀がちゅんちゅんやかましい。
 頭ぼさぼさで半身を起こした大河は傍らに寝そべる竜児を見下ろしてぶちぶち不審そうに文
句を垂れ、次いで着衣の乱れがないか確認したり。

「なんにもしてねえよ……ふぁーーあ」
「……あんたも唾くさい。なんにもってことはないでしょ」

 屈みこんでくんくん竜児の顔を嗅いで、さらに問い詰める。

「お前はなーんにも覚えてねえのか?」
「え?あ?……えと」

 ぺたんこ座りの股間に両手を挟みこんで肩を落とし、大河は小さく俯いて真っ赤に染まって
いく。それを仰向けに見上げた竜児には寝惚けでなく寝たふりだったのかなと思えたくらいだ
ったけど、そんなわけもなく。

「ゆ、夢見たんだと思って……た」
「そっか。……んしょっ。夢ってことにしとこうか?」

 竜児も起き上がって片手でもこもこ丹前を抱き寄せると、力なくぽてっと倒れこむ。

「覚えがないのってやだなー。1回損した気分になっちゃう」
「損はしてねえから安心していい。……わかった。全部順を追って教えるからお前の見た夢も話せよ?」
「し、仕方ないわね。でもご飯が先」

 首を伸ばして竜児の耳元にちゅっ。前髪をたくし上げて大河のでこにちゅっ。その動作でで
きた隙、竜児の喉にもう一度大河がちゅっ。きりがねえ、と彼女の目を見て彼氏が微笑むと少
しばかり恥ずかしそうに俯いて、視線だけを上げてくる。

「あーーーーっ唾くさい♪」
「朝っぱらから何してんだろうな?俺たち」
「こたつのせいね。あ、やっぱりうちには要らないわ。エアコンあるしね」
「なんでだよ。気に入ったんじゃねえのか」
「ここで入ればいいもの。独りで入ったってMOTTAINAIよ……ねえ?」

 そんな同意を求められても竜児は困ってしまうのです。



〜おしまい〜

684高須家の名無しさん:2011/12/08(木) 20:22:03 ID:???
今から初投稿……と思ったら書き込めないようなので、こちらに。
もしよろしければ、代理投稿お願いします。

以降5レス使う予定です。

※SSはフィクションであり、医学的助言を提供しません。体調不良は専門家にお願いします。

685やぶさかではない 1/5:2011/12/08(木) 20:24:22 ID:???
 虎と並び立つものは昔から竜と決まっている、なんて必死に言ってたけど。
 本当は、虎だって竜と並び立つのに必死だったりする。

 竜児のスーパー家事スキルはモテとは程遠いかもしれないが、本当に彼女泣かせなのだ。
 何をやっても勝てる気がしない、というか勝てない。
 私だってドジなりに練習してるけど、料理も掃除も落第点。散々お世話になったから、力量差は痛感している。
 焦る必要は無い、傍に居てくれればいい、そう言ってくれるのは嬉しいけど。
 私だって。してもらうばっかりじゃなくて、何かしてあげたい。
 触ればしあわせ? の手乗りタイガーなんかじゃなくて、恋人として。
 遠い未来なんかじゃなくて、今すぐに。

 今の私に出来て、竜児に出来ない事。普通じゃない私に出来る、普通の事。
 それを、ずっと探していた。

 ……そして、ついに私はそれを見つけたのだ。


***


「なあ大河、その……今日、出来るか?」

 本当は、それも竜児のほうが上手だ。でも「竜児に」という条件を付ければ、話は別だ。

「今日?」
「……おぅ」

 竜児がいかに家事の完璧超人であっても、身体構造までは変えられない。

「そんな、いきなり言われたって準備してきてないし」
「こっちで全部用意するからさ」

 自分の肩や背中まで、手はうまく届かない。届いたって力は入れられない。それが人型の限界だ。

「だいたい、もっと早く言いなさいよ。平日なんだし、こっちだって予定ってものが」
「そんな事言わずに、頼む。メシも付けるから、な?」
「全く……ちょっと待って」

 多くを背負う竜児の肩は、何時だってガチガチに硬い。並の女じゃ歯も立たないだろう。

「……ママ? 今電話大丈夫? ごめん、今日遅くなりそう……ちょっとね……食べてくるからいい……うん、分かってる。ありがと」

 あるいは、みのりんなら別だったかもしれない。でも、先に気付いたのも、傍に居るのも私。

「いいわよ。そこまで言うなら、やぶさかではないわ」

 だからきっと、これが今の私に出来る「普通の事」なのだ。


「すまねぇ、今日は何でも好きなもん作ってやるからさ」
「……じゃあ肉、簡単なのでいいから」

 いつもの放課後、いつもの通学路、いつものように竜児と帰る。
 でも今日はそのまま竜児の家に、去年と同じように。


***

686やぶさかではない 2/5:2011/12/08(木) 20:25:11 ID:???
 ――二人で早めの夕食を終え、竜児がお風呂に入っている間。私は用意された室内着に着替えていた。
 室内着、なんて言うと聞こえはいいけど。
 実際は竜児の中学時代の芋ジャージだ。緑色一色で、もちろん胸には『3−1高須』の名札付き。
 ダサいし、貧乏臭いし、ぶかぶかで裾が余っちゃう生き恥ドレスは今もなお現役である。
 まったくもう。登校前に言ってくれれば、もっと可愛い服持ち込んだのに。

 しかし、ない物ねだりしても始まらない。
 高須家にはマイ茶碗、マイカップ、マイ座布団、マイ歯ブラシ……と大抵揃っているけど、私の着替えは無いのだ。
 毎回持ち込みも面倒だし、本当は何着か置きたいけど。洗濯して干している所を、誰かに見られるかもしれない。
 そう思うと、さすがの私も気が引けた。
 竜児に何かあったら困る。今は一番厳しくて、そして将来を決める大切な時期なのだから。
 本当は婚約者なんだし、やましい事なんて何も無いのだけど。合鍵だって預かってるし。

 まあ、今は芋ジャージでいい。卒業するまでの短い間だもの。
 それに、お古の芋ジャージだって考えようによっては悪くない。緑色だけど。
 裾は折ればいいし、着心地も悪くは無い。それにこの名札……

「……へへへ」

 おっと、つい独り言。今の時間やっちゃんは居ないし、誰にも聞こえてないだろうからいいけど。
 ちょっと恥ずかしいけど、3−1の部分だけ切り取るように頼んでみようかな?なんて他愛も無いこと考えながら。

 竜児の部屋で、
 竜児の服を着て、
 竜児のベッドに座り、
 竜児のいれたホットミルクを飲み、
 竜児の編集したMDを聞きながら、
 竜児の戻りを待つ。

 ああ、これで門限が無ければ最高なのにね。

 遺憾ながらここまでキス無し、そして今日はこのまま自粛の予定。
 だって、これから同じベッドにって時にそんな事したら、その、妙な気分になってしまう。
 心臓バクバクになって、テンションおかしくなって、マッサージどころじゃ無くなってしまう。
 もっとも、竜児のほうから求めてきたなら話は別で、私もやぶさかではないけど。
 でも、きっと無いと思う。
 竜児だって「猛毒」と言ってたぐらいだし、今日はとても疲れてるはずだもの。

 今日の目的はあくまで竜児のメンテ、残り少ない時間は全て竜児の為のもの。
 我ながら何もここまでしなくても、と思わなくも無いけど。
 マッサージの理想の条件が「お風呂で温まった後」「柔らかい場所で」なら、私はそれに応えたい。
 私からベタベタするのは明日からでいい、今日足りない分は明日取り戻せばいい。
 ……だから、我慢する。
 たった半日だけだもの、我慢できないはずがない。


 ――竜児が戻ってくるまであと1000秒、門限まであと6000秒。


***

687やぶさかではない 3/5:2011/12/08(木) 20:25:49 ID:???
「お待たせ」
「相変わらず早いわね。ちゃんと温まった? 髪乾かした?」
「ほっとけ、俺はカラスの行水なんだよ。手抜きした訳じゃねえから安心しろ」
「そ。じゃあ、始めよっか」
「もし寝たら起こしてくれよ、まだやる事あるんだ」
「はいはい」

 意識しないよう、さりげなく。
 まずは竜児をベッドに座らせて、私は膝立ちになって肩を指圧する。
 ベッドと言っても竜児の私物だから通販のシングルベッド、本来なら二人乗りは厳しい。
 それでも、私なら何とかなる。低すぎる背を何度も嘆いたものだけど、世の中そう悪い事ばかりでもないものだ。

「この前やったと思ったら、また硬くなってるし」

 両手の親指を使って、こうグリグリと。……しかし硬い。お風呂で温めてほぐしたはずなのに、まるで鎧でも押してるみたい。
 コリコリというか、ゴリゴリという感触が指に伝わってくる。鎧は鎧でも、錆付いた鎧だ。
 今すぐ、錆を落としてあげないと。

「ったくもう。一体なにをやったら、こんなになるの?」
「休憩中にどうしても汚れが気になってな。あっちもこっちも、と掃除してたらつい深夜に……」
「何やってんのよ、このポンコツ犬。勉強は?」
「や、やったぞ一応」
「だったら早く寝なさいよ。いくら気分転換だって、物には限度ってモノがあるでしょ。馬鹿じゃないの?」
「お前にゃ言われたくねえ」

 何よ。平日は弟の面倒見なくちゃいけないのに、今日もママに無理言って変わってもらったのに。

「あっそ、じゃあもう帰ろうかな?」
「ま、待てまて! 俺が悪かった」
「分かればよろしい。……で、ここでいいの?」
「もうちょい上、手の間隔を狭くして……そうそう。後、もうちょい強く」
「ん」

 それにしても。こうして間近で見ると、やっぱり竜児の背中は大きい。
 だから、一箇所だけやっててもカバーしきれないわけで。押す場所は徐々にずらしていかないといけない。
 肩甲骨まわりを、竜児の反応を見ながら押していく。
 本当はどの辺を押せばいいのだろう?ちゃんと勉強してないし、良く分からない。確か、資格とかあった気がする。
 まあ私は、竜児以外にはやるつもりは無いし、竜児が満足してくれるならそれでいいのだけど。

「……ちゃんと効いてる?」
「おう、いい塩梅だ」
「何そのジジ臭い言い回し、時代劇の見過ぎじゃない?」
「何を言う、料理の基本だぞ」
「あんたは筋金入りね」

 褒めるならもうちょっと気の利いた言葉にすればいいのに、ホント鈍いんだから。
 ……でも、そんな古風な言葉を知ってるぐらいなら、さっきも気付いて欲しかったな。
 ねえ竜児、私「やぶさかではない」って答えたのよ?
 すまねぇ、なんて言わないで。

688やぶさかではない 4/5:2011/12/08(木) 20:26:19 ID:???
「……もういい?」
「もっと……」
「じゃあ、肘でもいい?」
「おう」

 続ける事15分、さすがに指が痛くなってきたのでやり方変更。腕まくりして、肘のとがった部分を竜児の背中に押し当てる。
 両手から片手になるので作業効率は悪いけど、指よりも体重を掛けやすく疲れずに済む。
 それに私の肘は小……細いから、よりツボに入りやすいはず。問題は加減が難しい事で、慎重にやらないといけなくて。

「痛てえっ!」
「やだ、遺憾だわ」

 おおっと。ドジって変な秘孔を突いてしまい「ん、間違ったかな?」とはならなかったが、ノーミスにはまだ遠いようだ。
 やっぱり、ちゃんとやり方勉強したほうがいいかもしれない。後で調べてみるかな。

「これぐらい?」
「もうちょい弱く……いいぞ、そこ百やったら左頼む」
「回? 秒?」
「百数えたら、だ」

 くりくりこりこり……軽く肘を入れる度に、竜児の頭も小さくゆらゆら揺れる。
 本人は気付いて無いみたいだけど、起き上がりこぼしみたいでちょっと可愛い。竜児のくせに。
 百で終わりは味気ないので、数え忘れたフリしてちょっとサービスしておこう。もちろん竜児には内緒で。

「はい、おしまい。次は手でいい?」
「おう」

 軽く背中を叩いて合図すると、竜児は「待ってました」と言わんばかりに横になる。
 私はそのすぐ脇に移動、何度か調整してベッドからずり落ちない位置に座る。
 本当はベッドから降りたほうが動き易いんだけど、もちろんこのままで。
 ここから先は二の腕から徐々に下がって、指の付け根まで揉むだけだ。後は指を回したり、手の甲をさすったり。
 硬くは無いので、さっき休めておいた指とマッサージローラーで十分通用する。

「ほら、次。あっち向いて」
「……拭いたか?」
「気のせいよ」

 汗ばんだ手の平は竜児のシャツで拭いて、今度は反対側の腕。
 手にはツボが集中していて、肩にも効くらしいけど。やっててイマイチ物足りない。
 それは竜児の反応が薄いせいかもしれないし、その気になれば竜児自身にも出来る場所だからかもしれない。
 一年前には指を繋ぐのでさえ恥ずかしかったのに、今じゃこんなに堂々と触ってて物足りないなんて。
 私もずいぶん慣れたというか、贅沢になったものだと思う。

 ……それにしても、大きな手。そのくせ器用で、繊細で、温かくて、魔法みたいに何でも出来て。
 比べて見ると、私の手はまるで玩具みたい。……どうしてこうも違うのだろう? と思わなくも無いけど。
 今は私に出来る事をしよう。
 次は腰、背中、時間があれば足。コース内容は毎回似たようなものだ。

「腰の、どのへん?」
「……」
「このへん?」
「……ぉぅ」

 竜児の返答が鈍くなってるけど、これも平常運転。
 手からマッサージしないのも、わざわざ狭いベッドでマッサージする理由もこの辺りにある。
 畳で寝かせておいたら風邪引いちゃうし、かといってベッドまで運ぶには重い。
 そういう場面でも体格差は露骨に響く、もちろん悪い方向に。
 叩き起こせばいい? そうするのは簡単だ、実に簡単だ。でも、それじゃあまりにも味気ない。
 こういうのは最後が一番おいし……肝心なのだ。

689やぶさかではない 5/5:2011/12/08(木) 20:27:08 ID:???
 ――時計はもう50分を回っている。
 ここまで休憩無し、さすがの私だって疲れてくるわけで。
 だから、隣で寝転がって省エネ運転になったとしてもそれは正常なことであり。
 押すというより、さするという動作になってもそれは仕方の無いことであり。
 掛け布団が邪魔だから、一緒に中に入っていても何も問題など無いのだ。

 感じるのは体温と嗅ぎ慣れた匂い、マフラーよりずっと深く私を包んでくれる。
 私はもう一人じゃない。かけがいの無い、幸せなひと時……
 でも、こういう時に限って時間は早く過ぎてしまうのだ。

「……そろそろ時間だけど、どうする?」
「……」
「……竜児?」

 返ってくるのは規則正しい寝息。竜児はみっともなく涎まで垂らして、安穏な顔で眠っていた。
 ホント、目さえ瞑っていれば悪く無い顔だけど……やっぱり連日の疲れが溜まっていたのだろう。

 出来ればこのまま、ゆっくり寝かせてあげたい。
 一緒の布団で添い寝して、寝顔をずっと眺めていたい。
 そして朝になったら、おはようのキスして起こしてみたい。

 ……でも、今はこれが精一杯。
 まだ高校生だから。私は門限までに帰らなくちゃいけないし、竜児もこれから勉強しなくちゃいけない。

 それに今着ているのは貧乏臭い芋ジャージ、ベッドだってシングルだし、そもそも私お風呂に入ってない。
 そういうのはもっと準備とかムードとか、整えてからのほうがいい。
 どうせやるなら、その時はもっと盛大にやろう。
 私の作った手料理をいっぱい食べさせて(その頃には作れるようになってるよね?)
 入浴剤たっぷりのお風呂に入れて、私も入って。
 服は趣味に走ったフリフリのネグリジェ……いや、あえて触感重視でシンプルなパジャマも。
 照明だって蛍光灯じゃなくて、もっと薄暗くて暖色系の照明に。
 もちろん、ベッドはセミダブル以上で。
 うるさい門限も無し。キスだって解禁して、それから……

 竜児も喜んでくれるかな、それとも贅沢だってぼやくかな?
 疲れているんだ寝かせてくれ、なんて言ったら殴るけど。

 よくよく考えてみれば、物だけだったら隣に住んでた頃に揃っていたのにね。
 やろうと思えばいくらでも出来た環境だったのに、何もしなかっただなんて。今から考えると惜しい事したかも。
 でも、いい。
 他人から押し付けられた物より、自分たちで掴んだ物のほうが良いに決まっている。
 まだ機は熟していない。今がっついても渋いだけ、それこそMOTTAINAI。


 そう言えば、寝たら起こしてくれって竜児に頼まれている。だから今すぐ起こして、今日はおしまい。
 そうするのが正解。
 でも……ああ、やっぱり起こせないよ。少しでも長く、寝かせてあげたい。
 だって、こんなに幸せそうなんだもの。
 いっそ、このまま時間が止まっちゃえばいいのに。

 でも、時間は止まってくれないから。明日も幸せでいたいから。
 我慢する、我慢はするけど……
 私、フィアンセだもん。少しぐらいなら、いいよね?


 だから私は目覚ましを一時間後にセットして、布団を掛け直して、涎も拭いて。
 仕上げに軽くキスを落としてから、そっと部屋を出た。

[fin]

690684:2011/12/10(土) 14:08:12 ID:???
代理投稿ありがとうございました、本当に助かります。

以下、本スレコメント御礼です。

>>325
竜児→大河の癒しは多いので、あえて逆をやってみました。
スピンオフ2で芋ジャージ出た時、いつかやってみたかったネタが上手くいって、嬉しいです。

>>326
ありがとうございます。文体を褒められた事って初めてなので、びっくりしてます。

691684:2011/12/11(日) 18:29:04 ID:???
連投申し訳ないです。
レス後にまたコメントもらえていたので、引き続き本スレコメント御礼です。

>>328
やりすぎて「にせトラSSですか?」と言われるかも、と密かに心配してました。
おかしくないって言ってもらえてほっとしてます。

>>329
芋ジャージネタ以外にも、こっそり使ってみました。見つけてもらって凄く嬉しいです。
ちなみに原書の猛毒ネタは、私も大好きです。どれぐらい惚れていたのか良く分かるので。

692 ◆x6jzI2BeLw:2011/12/19(月) 00:51:08 ID:???
もうすぐ発売日ですね。
記念にって訳じゃありませんけど、本スレ337のアフターみたいな物です。

なお、わざわざ本スレに載せないで避難所なのはエロいからじゃありません。
真面目に書いてますけど、読む人によっては不快を感じる可能性があるのでこちらへ投下します。
別に大河が不幸になったりはしませんし、ひどい目にもあいません。
ちょっと気を使いすぎかも知れませんけど、転載不要です。

では、以下投下します。

693 ◆x6jzI2BeLw:2011/12/19(月) 00:52:15 ID:???

「遅せぞ、大河」
待ちくたびれた様子を見せながら竜児はやって来た大河の姿に複雑さの混じった安堵の表情を浮かべる。
「仕方ないじゃない、竜児が先に行くからいけないんでしょ」
「しょうがねえだろ・・・気苦労ばっかでストレス溜め込んじまったんだから」
「ふん、ずっと側に居るって誓ったのは誰?」
不満気な口調で大河は竜児を非難する。
「だから・・・こうして待ってたんだろ・・・お前が来るのを」
「ま、許してあげる」
花が咲くような笑顔を見せてあっさり大河は情けなさを前に出して謝る竜児に、矛を収めた。

「しかし、なんで制服なんだ?」
「知らないわよ・・・こっちに来たらこのカッコだったし」
大橋高校の制服を着た大河は竜児の前でくるりと片足を軸に回って見せた。
「ふうん・・・大河さ」
「何?」
「今さら言うのもなんだけど・・・お前、かわいいな」
たった今、気が付いたと言う様に竜児はあっけらかんと大河を誉めた。
「・・・高校生の頃に言いなさいよ、そんなこと」
「言えるか」
ギラギラする鋭い視線を伏せて竜児はそっぽを向く。
「ふう〜ん」
そんな竜児の前に回り込んで、大河は下から顔を覗き込んだ。
「あんたこそ・・・ビビるじゃない・・・高校生にしてその顔」
よく、こんなオトコを好きになったもんだと我ながら感心すると大河は何度もうなづく。

10年ぶりと言ってもいい竜児と大河の直接の再会・・・
話は尽きない・・・。


「もう、誰かここ通った?」
「ああ、ちょっと前に北村がな」
大河の問にそんな風に答える竜児。
「元気そうだった?北村くん」
「少しやつれてたな・・・苦労したんだろな、あいつなりに」
しみじみと竜児は言う。
「みのりんは?」
「櫛枝はまだだな・・・見てねえ」
「そう、良かった」
顔をほころばせる大河。

櫛枝実乃梨が来てない事を喜ぶ大河だが、それは不自然なことではない。
なぜなら・・・

694 ◆x6jzI2BeLw:2011/12/19(月) 00:53:23 ID:???

「ちゃんと持って来たか?」
「もち」
問い掛けた竜児に大河は得意になって手のひらに握った物を見せた。
・・・10円玉が六枚。
竜児はため息をつく。
「ちげーよ・・・六文銭だって言っただろ」
「え?うそ」
「ちゃんと書いてあるだろ、そこに」
「あ、ホントだ」

渡し賃 六文

竜児と大河の前に大きな川が見えていて、そのほとりにある船着場に出ている看板には確かにそう書いてある。

「ど、どうしよ」
乗れないよと慌てる大河に竜児は仕方ねえとばかりに大河の手を取るとその手のひらに六文銭を置いた。
「お前の分・・・ちゃんと用意しておいた」
「ありがとう、竜児」
頼りになるねと嬉しそうに言う大河。
「まったく、そのドジ、死んでも直らねえな」
「むう・・・ほら、さっさと行くわよ」
痛いところを突かれた大河は照れ隠しの様に怒った風情を見せながら、竜児の先にたって歩き出す。
・・・昔から変わらねえな、大河のそういうとこ。
優しげな目線で大河の後姿を眺め、竜児は急いで大河の後を追い掛けた。


チケットの無い方はご乗船できません・・・三途の川汽船
取り様によっては怖いことが書いてる掲示番の脇をちょっとおっかなびっくりに通り抜けた大河と竜児は待っていた船の大きさにびっくりする。
「渡し舟って言うくらいだから、小さなの想像してたけど」
「ああ、なんかすげえな」
大型の遊覧船のような船が竜児たちを出迎える。


「なんか、旅行にでも来た気分」
動き出した船の中で楽しそうに大河は笑う。
「良くそんな気分になれるな」
あきれたように竜児は言う。
「いいじゃない・・・竜児とふたりだけでこうしていられるの何年ぶりだろう」
大河は目を細め、少しだけ体重を竜児へ預けた。
「・・・結婚したら、すぐあいつが生まれて・・・」
「それから立て続けだったでしょ」
歳の近い3人の子供たち・・・竜児と大河の愛の結晶。
お互いのいいとこも悪いところもみんな受け継いで、しばらく子育てに追われた日々。

「子供たちを入れて川の字になって寝るのも楽しかったけど・・・もうちょっとだけ新婚気分ってやつ・・・味わいたかったな」
あの頃を懐かしむように大河はつぶやく。
「じゃあ、これが2回目の新婚旅行だ」
竜児はそう宣言する。
「あ、あんたこそ、よくそんな気分になるわね」
驚いたように大河は竜児を見つめる。

そんな大河を竜児は抱きかかえる。
「ほら、しっかり掴まれ」
大河を腕の中に収め、竜児は真上から大河を覗き込む。
大河、両手を無言で竜児の首へ回した。
間近にお互いの瞳を映し合い、どちらからともなく、口元をほころばせる。

竜児はそっと大河への距離を詰める。
大河は大きくまばたきをし、目を閉じた。
久しぶりのそれは糖度マックスの果実よりも甘く大河には感じられた。

695 ◆x6jzI2BeLw:2011/12/19(月) 00:54:04 ID:???

「ここが、あの世?」
「だろうな・・・三途の川を渡ったんだから」
竜児も大河も首を傾げている。
閻魔の庁とでも書かれたおどろおどろしい建物でも出迎えるかと思ったのだ。

現実には川辺からまっすぐの一本道が伸びているのに過ぎなかった。

「ここで立ち止まっても仕方ないでしょ、行こう」
「おう」
大河に引っ張られるように竜児も歩き出す。

のどかな田園地帯とでも言う中を道は通っていた。
「花は咲いてるし、チョウも飛んでる」
「あの世、らしくねえな」
「案外さ・・・ふたりともあの借家の2階で昼寝してるだけで、たまたま同じ夢を見てるだけかもよ」
いたずらっぽく大河は言う。
「かもな」
あはは・・・と、そのままふたりは笑い合った。
「・・・でも、ホントに夢みたい。竜児と出会って・・・好きになって・・・みんな幸せにって・・・」
「夢じゃねえ・・・現実だ・・・俺とお前は結婚したし、一緒に歩いて来ただろ・・・人生って言う道のりを」
「・・・あんた、何カッコ付けてんの」
「いいじゃねえか、これくらい」
「でも、いろんなことがあったけど・・・竜児に出会えて良かったって思う。それが・・・逢坂大河って言う私の一生での最高の贈り物」
「・・・大河」
「あは・・・そだ、手、繋ごう」
恥ずかしいこと言った照れ隠しに大河はそんなことを言う。
おずおずと伸ばした大河の手を竜児は付き合い始めたばかりの恋人同士の様にそっと手を握った。
竜児の手をさらに握り返す大河・・・。

「もう、離れないよ、何があっても」
大河は決意を口にする。
「ああ、この先、生まれ変ったとしても必ず、探し出してやる・・・大河をな」
「うん、待ってる・・・きっと生まれ変ってもドジで泣き虫で・・・ワガママだから・・・見つけてね、竜児」
「任せとけ・・・間違わねえぜ」
竜児はそう確約した。


「あれ、分かれ道」
一本道だった道が二股に分かれていた。
「左か?」
幅の広い歩き易そうな道が丘の向こうになだらかに続いているのが見える。
「こっちね」
その反対の右へ歩き出そうとする大河。
うっそうと木々の生茂った森の中へ道は続いていた。
「絶対、こっちが正解」
自信満々に大河は言う。
「そうか?でも、どうしてそっちなんだよ?」
「だって、普通の道じゃつまんない」
「お前らしいって言うか・・・いいぜ、一緒に行こう」
笑う大河に竜児は賛意を示す。

手をつないだまま・・・薄暗い森へ消えて行くふたつのうしろ姿。

そのうしろ姿がまばゆく金色に光っているのを歩き続ける竜児も大河も気が付かない。
そして背を向けた丘の向こうの空模様が怪しくなって行くのを知る由も無かった。

696 ◆x6jzI2BeLw:2011/12/19(月) 00:55:02 ID:???

以上です。

ま、あの世の話ですから・・・縁起でもないって思う人がいるかもしれませんので。

しかし、ここまでアフター書くとは思わなかったw

697高須家の名無しさん:2011/12/19(月) 22:08:42 ID:???
でも、自分もこんな感じの幸せな最後を迎えたいと思えました。

698高須家の名無しさん:2011/12/20(火) 00:16:23 ID:???
>>695
アフター過ぎ(ww
しかし、竜児が先か。それはちょっと。約束違反だよねぇ、大河。

699高須家の名無しさん:2011/12/20(火) 00:17:00 ID:???
そしてAmazonからはBD発送の報が

700高須家の名無しさん:2011/12/20(火) 13:34:47 ID:???
>>695
むしろ結婚より確実に訪れるアフターだから共感しやすい
10年も先に逝って成仏もせず迷いもせず待ってたのが竜児らしいな
そこでまあ約束は果たした事になるんじゃないかな、仏教的に

701高須家の名無しさん:2011/12/21(水) 15:26:41 ID:???
新作「弁当の極意」を三連休の楽しみにしてる人も多そうだから感想をこちらに。

冒頭のから揚げ大河のショットを見た時点でアフターからの回想含みと思ったから楽しみにしてた。
このキッチンは新規デザインだから卒業後の大河の家ということになり、どう見ても単身世帯の作りじゃなかったから
原作同様一家そろって引っ越してきた含意がありますね。
やべえwもう大河独り暮らし前提のいちゃえろSS書く大義名分がねえwww

思ったより仲間たちと一緒に卒業した感を大事に扱っていたのは好感。
花見シーン冒頭で北村が手帳見ながらなのは壮行会みたいなの兼ねてるのかな?

スピンオフの弁当話はいちゃいちゃコメディだったけど、大河からのリプライ要素を絡めたことで寓話っぽくきれいなパッケージになった気がする。
餌付けという刺激的な単語を聞いた後に竜児のため大河が作った食いものが(失敗作とはいえ)登場する嬉しさの表現が地味に素晴らしい。
最終的に竜児の口に入るところまで見せてくれて嬉しいよ。
原作ではバレンタインチョコに集約されてるネタをうまくほどいて映像で見せた感。

ラストカットの撮影者は誰?と問えばこれは野暮を言いたくないw
原作の公式アフター『〜雨宿り』と同じく、作品の受け手からの目線で締めたように思いたいね。

作画的には時系列で10月辺りの微妙な表情を統一的に再現するのは難しかったのかなと。
夏休み以前の感じにまとめたようで、ただまあこれはお話から言ってその方が向いている判断だろうか。
中の人たちの演技も同じような傾向を感じた。
能登の人だけやけに二枚目声に聞こえるのは某他作品の印象のせいかもw

というわけで満足した!新作はいいね!
OVAスピンオフ新作シリーズ出してほしいものだ。年1,2回でいいからさ。

702高須家の名無しさん:2011/12/22(木) 07:34:11 ID:???
>>701
スーパーで竜児が「弁当、弁当」と呟いているシーンで、その某作品を思い出した(w
この作品では大河が暴れないから、らしくないっちゃらしくないんだけど、その分 701が
言うように道を踏み外して弁当の闇へと堕ちていく竜児を気遣う表情がよかったね。

それにしても、間島の一人語りは泣かせる。このストーリーにぴったりだ。同じ台詞を
冒頭とラストで違う意味に取らせるアニメスタッフもいいし、久々のとらドラ!で熱演して
くれた声優にも拍手を送りたい。

703123 ◆n0CyHpL66I:2011/12/22(木) 08:45:08 ID:???
放送時からこんなにたっても当時と同じ声が出てるすげぇ
これが声優か

704高須家の名無しさん:2011/12/22(木) 08:45:28 ID:???
変なコテ出ちまったすまん

705高須家の名無しさん:2011/12/22(木) 10:55:53 ID:???
暴れる大河って4巻までと5巻以降で意図が少々異なるわけでさ
秋からの暴れ方というのは竜児はじめ周りの好きな人に自分は大丈夫普通だよと伝えるためって感じがする
本当に暴れたのは会長ブッ殺しに行ったときくらいで、不機嫌そうな見た目もそれに沿ってると思ってるんだ

だからエンジェル大河なんて浅知恵のギミック始めるかなり前からわかりにくいけどいいこなんだなーと
アニメの後で原作読んでそう思ってたから、気遣い描写がアニメで見られて実に納得がいったw

あと何度か見返したら、ごく自然に受け止めてたけど竜児の表情がすばらしくバラエティに富んでるね
「知らね」「構ってられるか」がよく考えたら通常態の竜児らしからぬ刺激的な台詞で、間島の演技を信頼したんだろうな
それで竜児の執着が弁当に逸れていくと認識したら可愛い声が出てくるくぎゅたまらんw
「おかかもいいねー♪」
そのおかか爆発しろっ!

706高須家の名無しさん:2011/12/27(火) 22:53:09 ID:???
とらドラBD-BOX, 18000も売れたのか。DVDが単刊で10000くらいだったのに。
もう、原作完結、TV放送終了から3年近いのにどうなってるんだ。BOX買った俺が
言うのも変だが、みんなおかしいぜ。とらドラを愛しすぎてる!

つーか、BDを出し渋っていたキングの担当者、クビ大丈夫か(汗

707高須家の名無しさん:2011/12/29(木) 19:15:33 ID:???
なぜか本スレ落ちてるから立ててくる
スレタイを竜児×大河にするのはダメ…だろうか

708高須家の名無しさん:2011/12/29(木) 22:38:14 ID:???
今まで通り大河×竜児の方が統一感があって良い

スレタイ案は結構前から残ってる
【とらドラ!】大河×竜児【キュンキュン妄想】が良いと思う

709高須家の名無しさん:2011/12/29(木) 22:40:29 ID:???
三つ目のテンプレのURL修正した
立てられる人使ってください

【※CAUTION※超重要事項!※CAUTION※】

非エロ(ギシアンレベルまで)はここに投下

ガチエロは新避難所に投稿、ここへは告知誘導のみ

アク禁に巻き込まれたなど直接投下できなかった非エロ作品の代理投稿は作者が望んだ場合に可

大河×竜児ラブラブ妄想スレ 新避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/anime/7850/

★関連スレ
竹宮ゆゆこ114
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1319456706/
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http://kohada.2ch.net/test/read.cgi/comic/1277527895/
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http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1313928691/

710高須家の名無しさん:2012/01/11(水) 23:28:46 ID:???
『あの夏で待ってる』の脇役、山乃檸檬が原作大河に見えて仕方ない。
生姜ーっなんでこのラインで描いてくれなかったーぁっ!と吠えてみる。

アニメ大河は4巻までの機能でデザインされたように思うんで、
後半はしばしばありえない表情にいきなり変わるのが違和感あったんだよね。

711高須家の名無しさん:2012/01/22(日) 00:02:36 ID:???
また堀江と喜多村が男の取り合いをするのか、と思ってみていたら、
キモいぶさ面が間島だった。

712高須家の名無しさん:2012/01/22(日) 07:42:43 ID:???
パパ聞きか。やっちゃんも居るぞ。2話で行方不明になっちゃったけど。
リコランのあつみお姉ちゃんもちょっと気になるw

713高須家の名無しさん:2012/01/22(日) 16:48:26 ID:???
ああ、そうだ。大原さんもいたんだった。
大原さん、ほんとうに優しいお母さん役が板に付いてるな。

714高須家の名無しさん:2012/01/22(日) 19:09:10 ID:???
しかしなんであの部長の作り声がマジーなのやらw
常時イケメン声すぎるのかもしれないな。崩れてもいい男みたいな。

715竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:11:32 ID:???
うーん。本スレ104のもの言いに興奮して書き始めたらこうなった。
どう好意的に読んでもいやらしくまぐわってない。駄目だ俺。上級者求む。

****

 ただいまーと鉄製の扉を開けて大河が帰宅した。
 と言っても、高須家から徒歩10分くらいの距離に親元は別にあり、日が変わらないうちには
そこへ帰るのだけれど、まず大学から帰るとここに寄る。竜児・泰子といっしょに夕ご飯を食
べてくつろいだのち、竜児に送られて帰るのが日々の決まりだ。
 大河の母には公認の仲となってはいるが母の再婚相手、つまり義父の手前は実家で夕食を共
にすべきと思ってるらしく、でもさすがに二度目の夕飯を食べるのも無理で、専ら遅くなって
から帰宅する義父の晩酌に付き合っておつまみを出すくらいに落ち着いてると聞いた。

「で、何作ってんだ?」
「ん。ちーちくときゅーちく、が多いかな?」

 要するに棒状に切ったチーズ、もしくは胡瓜を竹輪の穴に詰めて切るだけのこと。

 手抜きっちゃあ手抜きだけれど、季節も温度も湿度も酒の種類も問わずに時間も掛けずには
いっとひと皿出して、テーブルの角越しに頬杖ついて父娘団らんの時を過ごすためには悪くな
いチョイスと竜児は思っている。

「うん。そういうことならな?オボロ昆布の吸い物を覚えていけ」
「おぼろ?なにそれ?」
「これだ。ダシ昆布のキズモノを鉋でかいたやつ。これを適当に椀にとって、醤油と化学調味料軽く振って」
「おお〜」
「熱湯を注ぐだけ。すすってみ?」
「ふー。わ。意外なほど上品な……」
「だろ?わけぎや三つ葉散らして軽く料亭気分。締めにはいいんじゃねえ?」
「うん、いいかも。お義父さん付き合いで外で呑んできても必ずうちで何か食べる人だからねー」
「買い置きがあるから持ってけよ」
「うん」

 高須家での夕餉を終えて、泰子が行ってきまする☆した後の台所での立ち話がひと区切りつく
と、大河はシンク脇に椀を置いてちょっとためらい、竜児の腰に腕を回して抱きついた。

「うん……(はぁと)」
「お……ぅ」

 大河の身長は相も変わらず143.6cmでぴたりと止まっていて、竜児より30cmほど低い。どうし
たって腰周りに抱きつく事になる。反射的にミスター・マリックのような手つきをしてしまう
が、そんな大河の気分を受け止めるのも竜児だって初めてではない。
 少し膝を緩めて華奢な肩を撫でるように、慈しむように抱き返してつむじに顔を落とすとふ
うわり立ち昇る、雨上がりに錆びた鉄のような匂いを、ああそうか、と当たり前のように受け
入れて納得をし、同時に抑えがたい熱が下から上へと昇り始めたのを感じる。

 肩越しに優しく回していた腕を、大河の脇下に差し込んで弓なりに持ち上げると、彼女は抵
抗もせず反りかえってきつく抱かれるままに息を吐き出した。だんだんと力が抜けて腕に重み
を増すなかで、かろうじて竜児は日常を忘れずに、

「お前、着替えは?」
「あ……ないや」

716竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:12:36 ID:???
 訊いておきながらその口を塞ぐ。
 好きな女が腕の中で脱力してるのを放って優先する会話でもなく、濡れて光る唇と舌に吸い
つけば当たり前に昆布ダシの味がして、だけれども次第に深くなる大河の息からは甘い匂いを
感じとる。もう逃がしたくなくて、ではなく、力を失う頸を支えるようにより深く挿しこんだ
手で後頭部を支えながら引き寄せる。

 竜児が自分の鳩尾に感じる、小さな大河の胸郭と弾力。硬いものと柔らかいもの。

 互いの喉がごくんと音を立てたのをきっかけに閉じていた目を開き間近に見つめ合ったのだ
が、そこで発せられたのは当然、というか、残念ながらロマンティックが止まらない甘甘で気
の利いた台詞なんかではなく……。

「じゃあ先に脱いどけ」
「うん」

 腕を緩めて、大河が片足ずつ下着を脱ぎ去って、なぜか、はい、と渡すのは妙なズレがある
ような気もするが、まあ検分してくれという意味だろうか。そのシルクの塊を受け取って大丈
夫、汚れてねえと微かな沁みがついてるのを認めつつも、竜児はだらしなく力の抜けた手乗り
タイガーを引きずるようにして浴室前へと移動した。


 したいと一旦意識してしまうともう止められない。
 というのは男性心理特有のように思われているが、実は女性の方が一般的にそうした欲求は
強いとも言われている。ことに大河には心の奥底に厳とした孤独感が相も変わらずふんぞり返
っているものだから、許されてしまって以降はそれを押し留める必要がない。
 ベタに言ってしまえば淫乱な傾向という事になるのだろうが、そこも含めて大河を愛してい
る竜児には、なんらの問題ではなかった。二人の間だけのプライベートな話に過ぎなくて、と
きどきこうなる大河に退くような事もない。


 しわにならぬように着ているものを脱がせてはたたみ、代わって脱がされながら、合間に繰
り返してしっとりとしたキスを交わす。一応外から見えないようなところにだけ、と気を遣い
ながら痛いほど吸いついたりもして、そこそこ手慣れているようであっても惹きあう力に逆ら
う事はできない。それは竜児も、大河も同じようなもので、相手の肌に記す鬱血痕はそれが自
分のものと表現するための刻印だ。

 外は初雪でしんしんと冷え込んでいるのだろうに、そんなことも感じないで、浴室前の脱衣
所となっている廊下でお互い裸になると、またきつく抱きあった。
 直に触れ合わせる肌の感触がふたりのセーフティロックをすべて解除するかのように、体内
の熱が溶けて流れ出すような気がした。


 以前はいちいちこうした恋の営みに際して何か気の効いた言葉を贈らねばならない義務感の
ようなものがあったようだが、そんなものは要らない間柄になったのか、とくに何を話すでも
なかった。ただ変わりゆく息遣いだけで気持ちは通じあい、身体を寄せ合って浴室へと入る。
 バランス釜に火を入れて熱いシャワーを出せば、狭い高須家の風呂場はすぐ温まって、そこ
でようやく大河が言葉にした。

「……したいよ」

 愛しい男の目を見ることなく、その広い胸にぺったり頬を付けたまま言う。

「ここでか?」
「今すぐ」
「じゃあ、取ってくる。温まっとけ」
「うん」

717竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:13:26 ID:???
 身体を離されて座らされ、一瞬の喪失感が大河を襲った。
 わがままを言ってる。分かってる。竜児はもっと段取りがきちんとしてる方が好みな性格な
んだけど、聞きいれてくれてる。それがどんなに自分を潤わせてくれるのか、大河にはちゃん
と分かっている。
 ついさっきまで竜児の肌が触れていたところが火傷でも負ったみたいにじんじん疼くのを感
じながら熱いシャワーを出して浴びる。すぐ戻ってくる竜児がまた触れてくれたら、少しでも
温かいと思ってくれるように、湯温の目盛りを上げてみる。

「熱っ!大丈夫かよ?」
「大丈夫!冷たくて気持ちいい〜」

 戻って来た竜児を洗い場に座らせて、火照った身体をぺったり抱きつかせた。身体の奥から
伝わる波動に弾け飛んでしまいそうだった。

「……よし、髪まとめたからな。今日はちょっと焦らしてみるか」
「な、なに言って。あっ」

 腰に回した手を後ろからすっとあてがって、中指と薬指でそろそろと探ってみれば、つるん
と呑みこまれてしまう。

「もうすぐ生理か」
「う、うん。明後日明々後日くらいかな」
「準備早えな……って言うほどじゃねえんだよな。中までほぐすにはこの体勢じゃあな?」

 体育座りに近い格好で洗い場の椅子に座った竜児を跨いで大河が抱きついている状況。たし
かにこれではお互いに自由なエロアクションを、というわけにはいかなかった。ま、正確に言
えば竜児の方はさっきからいつでもOKなのだがここでの問題は大河の方だ。

「こ、これを……ここに」

 そのOKな竜児をむにむに握って、コ難しい顔をして大河は導こうとする。

「生だめだって。分かってんだろ?」
「……うん、そうね。付けてあげる」

 互いの陰毛に根元を挟まれて天を仰ぐ竜児を見下ろして、スキンをかぶせて半ばまで巻き下
ろしてから、やりづらくなったのか、大河は竜児の腿から降りてちょこんと洗い場に正座する。
残りをスルスル……っとしそうな雰囲気のまま、しばし眺めてから、ぱくっと。

「おっ、おいっ、そんな風俗みたいな事っ!」
「あひぇ?ほぉひぃぅのひはい?」
「別に嫌いってことはねえけど……」
「あー。うん。じゃやらない。喜ぶかと思っただけよ」
「あ、いや、悪い。よく考えたら喜んでおいた方が得かもしんねえ……な?」
「……どっちなのよ」
「やってください」

 じゅるるるーっ♪といっきに巻き下ろしたまんまのリズムでんんむんんむ、と大河は頭を上
下させてみる、のだけどその脳天に軽く竜児のチョップ。

718竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:14:22 ID:???
「なに?」
「やってくれて申し訳ねえけど、やっぱいいわ」
「あんまり気持ち良くなかった?……よね。なんか段取りっぽい気はしてたんだ」
「お前もどこで聞いてきたのか知らねえが、その、なんかエロくねえな」
「りゅうじはごむふぇら嫌い、と。あとで忘れないようにメモしとこうっと」
「嫌いとは言ってねえ。保留!保留な?」

 軽口を叩きながら、にひひと笑って大河は再び竜児の腿を跨いで座る。ぎゅうっとお互いの
身体を締めつけるように抱き合って、うん、こっちの方がと独り言にも熱がこもってる。そう
してロデオマシーンのように腰を左右に揺すり始める。

「あ、……うん。気持ちいいなこれ」
「でしょ?ちょっと前後にも動いてみたりして♪」

 天を仰いだモノを互いの下腹に挟まれてもみもみされると、竜児は思わず大河の尻を掴んで
動きを止めようとした。ちょっと良すぎる。

「なによ……」
「おう……まあ……なんだ」
「どうすんのよ、これ」

 またくりくりっと苛められて、これじゃどっちが焦らされてるのか分からない。掴んだ尻を
持ち上げれば以心伝心、心もち腰を上げた大河の隙間にするっと滑り込ませて、方向を探れば
ちゅっと先っちょを咥えこまれる。

 狙って捕まえたわけではない証拠に、あれ?といった顔で目を見合わせる。

 そうしたらゆっくり大河が腰を下ろしてくる。少し困ったような笑みで、それでいてはにか
んでいるわけでもない、この時にしか見られない表情。

「ゆっくり、ゆっくりね?……最初はきついんだから」
「おう、支えてるから」

 潤滑の役を果たす液体に包まれても、中はまだ心もち堅かった。少し進めては戻しつつ、で
も大河がコントロールしているからには痛がらせる心配はいらない。

「ふぅ……」
「大河ーぁ」

 収まった。
 愛おしくて、愛おしくて。竜児は大河の背を抱きしめる。自分の腕が大河を抱き、自分のモ
ノが大河に抱かれている感触が同時に在った。この不思議な幸福感は何度味わっても慣れる事
がない。自分が男で、大河が女だと否応なく突き付けられて、そうしてそこから逃げたい気持
ちがほんの少しあって。
 それでも現金なもので、馴染んできたら動き出す。先へ進みたいと思う方がとても強い。
 自分で腰を振るというより、抱きかかえた大河をまるで赤子をあやすようにゆっくりと上下
に揺さぶって行くと、そのたびに大河の喉がくぅーんと高い音で鳴る。これも、この時だけの
もの。もっといろいろやってみたいといつも、いつも竜児は思っているのだけど、大河と繋が
って抱きしめているだけで耐えがたい昂ぶりに襲われる。
 それはもう……どうしても。

719竜虎のいやらしいまぐわい?:2012/01/26(木) 21:15:14 ID:???


 湯に使って芯まで温まり、互いに洗いっこまで済ませてから上がった。
 大河は余韻を味わってるというやつなのだろうか、なんだかグダグダで、ふにゃふにゃで、
なすがままに水滴をタオルで拭われたりしている。これもいつもの事で、美人顔に相応しくな
い子供っぽさだ。かといって眠いわけでもなく、要するに習い性となっている虚勢を張れなく
なってしまってるのだろう。
 一般に女というものがそうなのか竜児には分からないが、セックスしたとたんにしおらしく
ナイーブになってしまうというのは正直、興奮ものだと思っている。くーんだかふぅーんだか、
不思議な鼻声を漏らしながらつきまとう大河は普段にもまして可愛い。

 この頭のどこに独りで誰にも頼らず生きるという決意が詰まってたのか本当に分からなくな
るほどで、思えばそのプライドが確たるものと知ったからこそ、竜児はこの女と生涯をともに
歩みたいと願ったのだった。それも本質、これも本質で飽きるということがない。

「りゅーーーじぃ〜ぃ〜」

 しかし流れでパジャマを着せたら裾を掴んでのこの態度は、いくらなんでもデレ過ぎなので
はないか。だいたい天辺を回る前には親元に帰らねばならないと分かっているくせに、なんの
疑問を呈することなく寝るだけの格好にさせられるまま。たぶんどこかで突っ込みを入れない
と当たり前のように眠りにつくのだろう。
 竜児はおかしくてついニヤニヤしてしまう。が、ちゃんと日々の区切りをつけるために為す
べき事がある。

「も一回?」
「うんー」

 時計をみれば、そのぐらいの時間はまだ残されていた。1回済ませたことで大河にごちそう
さまと言わせるまで徹底的に満たしてやる勝算もある。ならば……。

(省略されました・・・全てを読むにはワッフルワッフルと書き込んでください)





〜おしまい〜

720高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 00:19:29 ID:Q9zTxKRA

いやらしくはないなw淡々としてる
ワッフルワッフル!

721高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 12:37:48 ID:???
ミもフタもないが、エロメインに書こうと思うと大河の身体的個性の前に挫折してしまう。
竜児はどうやって小宇宙を燃やせたのだろうとマジ考えてしまってね。
妹的感覚ってそうそう都合良く棚上げできないと思うのだが、大河がよほどその辺を読んで的確に煽るのかなあw

722高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 16:18:26 ID:???
妹的感覚ってのは、竜児が全力で構築したファイアーウォールだからね。
疑似家族関係を守るために大河の女に見て見ぬふりを決め込んだだけだと
思うよ。キスだけで体中を焼かれてるんだから、その先なんて楽勝、というか
我慢が難しいはずww

723高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 17:22:59 ID:???
全力で構築するに至ったのは水着胸が無いからやだよう事件の意外なトラウマからかなw
その後でパッド入れるとき触っちゃったのになんとかなってるのが適応ってやつで。

まあそれは分かるんだけど、脱皮するようにそこから逃げられるのかってことですね。
なんとなく個人的にだけどそこの綱引きを持ち続けてる方が竜児らしい気がするんでね。

724高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 18:24:22 ID:???
大河が大事なあまりひたすら我慢の日々、は予想に容易いがw
自分がそういうふうに出来ないってことはないと思うけどな、
原作で書かれている苦悩を見ても。
本当は女としてしか見れないのに、無理やり家族だ妹だって言い聞かせてたわけだし

725高須家の名無しさん:2012/01/28(土) 19:04:36 ID:???
あ、出来ないとまでは思ってない。
所々で例の罪悪感が覗く感じに惹かれるっていうぐらい。

5巻で大河の髪をつかめるつかめないと二度やってるのが好きでw

726高須家の名無しさん:2012/01/29(日) 13:43:41 ID:???
あれはいいシーンだったな。

竜児が大河に罪悪感抱くより、大河が自分の哀れ乳を気にする方が
深刻に思える。つうか、大学時代は不用意にキャンパスを歩いて、
「あ、こいつ俺の彼女なんだ」とか紹介するとえらいことになりそうだな。

妙に真面目な友人とのあいだで

「高須、見損なったぞ。こんな子供に手を出すとはへぐぅぅぅぅ&”(&#”W!…」
「だ・れ・が・子供ですって?返事によっては殺すわよ。一番苦しい方法でね」
「大河……頼むから俺の貴重な友達減らさないでくれ」

等という寸劇がありそうだ。

727高須家の名無しさん:2012/01/29(日) 15:27:38 ID:???
貴重な友達w
まあ数多く友人持てるタイプじゃないな、竜児は。
クラスコンパの幹事とか目立たないけどきちんと仕切って人となりを分かったやつが親しくなるんだろうね。

で、寸劇の前にどうも大河とつるんでるとそいつらがお菓子くれたりとかの罠

728高須家の名無しさん:2012/01/30(月) 01:37:25 ID:???
大河の哀れ乳については血の雨を振らされた写真部の客観視というネタがあるが
そこまで本人も気になっていなかったと取れて、単に川嶋が現れたから表面化したコンプレックスにすぎないのではないか、
と大河の代わりに抗弁してみよう

第一、その辺を最も注視していたと思しき竜児が「貧乳『なのか?』」と疑問形で発言しており
多分に逆説的だが竜児にとって十分魅力的な範囲の乳サイズであったと解釈することもできる
つまり竜児は、「おまえ自分の乳サイズが貧乳だとでも思ってるのか?(いやそんなはずがない)」という
状況を鑑みれば大河を元気づけようと気を遣う余地もない竜児の正直な心情の吐露であって、
普段からちょっとした膨らみをチラ見してはムズムズしていたと解するのが妥当ではないだろうか?

で、最終的には竜児がムラムラムズムズ感じるだけのサイズがあるなら大河にとっては当座必要十分なわけで
ごく自然にコンプレックスは解消すると読むものだが、どうだろう?

(大河おっぱい論第三章序説より抜粋)

729高須家の名無しさん:2012/01/30(月) 06:43:27 ID:???
「貧乳、なのか」
発言は、深夜の独占水着ショーより前であることに注意。大河の基本私服ははもこもこであり、
かつ、竜児は三つの理由で大河を子細に観察するのは控えていたと思われる。

- 他人の身体的特徴を取り上げるのは失礼だという礼儀
- 女を意識してはいけないと言う自己暗示
- ガン見すると殺される

ということで、それまで貧乳であることに気づいていなかったのは本当ではないか。

(日経サイエンス誌2月号より)

730高須家の名無しさん:2012/01/30(月) 12:40:02 ID:???
さすが日経サイエンスの分析で、特に3番目の理由には深く首肯せざるをえなかった。
なるほど竜児は大河を子細に観察しなかったであろう。しかし、しかしだ。
『貧乳かそうでないかの認識は見なくても得る事は可能』
という視点がこの論にはなかった。そこが残念でならない。

竜児は深夜の独占水着ショー以前に、少なくとも二度、大河の身体に触れる機会があったとされる。
最初は体育館での鼻血失神タイガーを保健室に運ぶ際、北村にお見せできない顔を自分の身体で隠すように運んでいる。
すなわち抱きかかえているわけだ。
二度目は言わずと知れた電柱リンチ後のおんぶで、表現に気を遣ってはいるが体温が伝わるほど密着していたのは確定している。

いずれも竜児がサイズを想起するのに必要な触覚情報を得るに十分と言え、その前提に立っての「-なのか?」であれば
小柄だから小ぶりだけど普通におっぱいあるなと知っていた。そう解するのが妥当であると思われる。
さらなる研究者の論を待ちたいところである。

(VOW3月号読者投稿欄より)

731 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:48:03 ID:???
突然ですがいきなり投下。

「未来への帰り道」

時期は12月半ば。
まず言っときますが竜虎成分少なめです。というかほとんど皆無。
18禁シーンもないです。

732未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:49:11 ID:???
12月も半ばのころ。

 クリスマスを10日後に控え商店街は相変わらずイルミネーションに溢れている。
 通り過ぎゆくサラリーマンも散歩中のお婆さんも、皆その光に心癒され、
街は何処となく厳かな雰囲気に満ちている。

 そんないいムードを一気にぶち壊す男が一人。

「ねぇ〜カノジョぉ〜暇?暇なら俺とお茶しない?」
「困ります・・・・・・私、人を待ってるんで・・・・・・」
「そんな冷たいこと言うんじゃねぇよ。ほらこんな田舎だし
こういうことされたことないんだろ?な?照れなくていいって」

 ムードブレイカーなその男は見るからに軽薄そうな金髪。ファッションは、
最近流行っているアイドルのをそのまんま模倣。正直イタい。超イタい。
自分がイケメンだと勘違いしている典型的なパターンである。
 田舎扱いしてるがそこでナンパしている人間も相当な田舎者だ、
ということに全く気付いていない、ある意味幸せな人間だった。

 その勘違いオーラ120%な男に絡まれているのは身長150cmあるかないかの
まるでフランス人形が如き超絶美少女。

 周囲の人間は、周りがやらないなら俺もやらないという日本人の気質を裏切らない様子で、
要するに皆見て見ぬふりを決め込んでいる。

 そうしているうちにもチャラ男はどんどん少女との距離を詰め、
もう触れるか触れないか。間近で見る少女の作り物めいた顔を見つめ、
グフフ、とだらしなく、気持ち悪く笑っている。

「ねえ、あれヤバくない?」
「ヤバいよね・・・・・・・・」
「多分あそこの大学の大学生だよね」
「就活とかしなくていいのかな」
「ただでさえここらへんじゃ馬鹿大学とか言われてるのに・・・・・」
「そこの指定校推薦取ったあんたに言われたくはないでしょ」
「偏差値38とかなのに・・・・・」
「Fランク大(笑)とか言われてるのに・・・・」
「もう人生諦めてんじゃない?」

 キャハハとお前らにバカって言われたくねえ、というような
女子高校生に人生を憐れまれてるとも知らず、
人生を諦めてる(と思われている)その馬鹿大生は今もナンパを続けている。

 ところがいつか夢は覚めるもの。この馬鹿大生にも
目覚めの時は必ず訪れる。そう、トラウマ級の目覚ましによって。

「ねえ、あれって・・・・・・」
「ヤバッ!ねえ帰ろ?」

 12月になると日が落ちるのも早い。この日も辺りは急に暗くなりはじめ
人の歩みも速くなってゆく。馬鹿な男はこの時もまだ、
己に振りかかろうとしている災難に気づいていなかった。

733未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:50:17 ID:???
 カラスが一斉に飛び立ち辺りの一瞬空を黒く染める。
それと同時に一人の男が商店街に足を踏み入れた。
 「そいつ」は他の人間には見向きもせず
大股に、スタスタと、速足に美少女と馬鹿大生のところへ向かっていく。

そして馬鹿大生の5メートルくらいで立ち止まると、

「・・・・・・・・・・・・・おい」
「あ、俺。そこの大学生、え?大学生にこういうのされたことないの?」
「・・・・・お前だよ、馬鹿大生」
「あん?」

馬鹿呼ばわりされた男(実際本当に馬鹿だが)はむっとした様子で顔を上げ、

「ひぃぃぃぃぃぃッッッッ」

すぐさまそれを後悔する。

 馬鹿大生の前に立っている男は顔つきこそまともだったが
その眼は軽く常軌を逸していた。
 ギュッと眇められた目、異常なほどに釣り上ったそれは完全な三白眼。
何より全身から立ち上る怒りのオーラ。
「喰ってやる」とばかりに乾いた唇を舐めるその仕草。
それはまるで羊の前の狼のよう。
これはヤバい。非常にヤバい。こうなったら手段は一つ。

「すっ」
「・・・・・・・酢?」
「すみませんでしたぁぁぁぁぁ!!!」
 それはいわゆる逃避行動。
喰われる前に牧場へ帰ろう羊飼いという名の冷たい現実のほうがまだマシだ、
と言わんばかりに羊という名の馬鹿大生は走り去り、そして見えなくなった。

「さて・・・・・・・」

 残された男と美少女。傍から見ればさらに状況がヤバくなったように見えるが
なんてことはない。実は二人、家族なのだ。

「なんで電話で助けを呼ばないんだよ。乱暴されたらどうするんだ。」

目つきの悪いこの男の名は、高須泰児。

734未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:50:57 ID:???
「だってぇ〜、見たかったんだもん。お兄ちゃんを見たときの反応。」

美少女の名前は、高須竜河。

要するにこの二人、血のつながった兄妹なのである。


 『未来への帰り道』


「ねえ〜今日の晩御飯は?」
「ブリ。今が旬だからな」
「どうやって食べるの?」
「塩」
「焼きかあ〜」

 夕飯の献立を話しながら、2人は人が多い商店街を歩く。
目指すはそこのスーパーだ。

「ほんとはトンカツの予定だったんだけどね、誰のせいだろ」
「俺のせいじゃないだろ。強いて言うなら親父のせいだ。
それにブリだって安いわけじゃないんだぞ」

どこか疲れたように泰児はボヤく。

 実は泰児は竜河と会ってから一回程、職質をかけられたのだ。
実際泰児は学ランを着ているため、今までこの時間に職質をかけられたことはない。
 ではなぜかけられたか、それは父親から遺伝したこの目つきと、そして
「お前のせいでもあるんだけどな、竜河・・・」
「なんで?」

 お前と一緒だから、とは言えない。というか妹にそんなこと言いたくない。
そもそもこいつは言ったって理解出来やしないのだ。この俺の悩みを。

 そうこうしているうちにスーパーに入る。
タイムセールが終わった今、泰児に肉を安く買う術は残っていなかった。
 魚売り場からブリをふた切れ取り出して買い物かごにそっと入れる。

「ねえ〜お肉ぅ〜」
「無い」
「牛肉は?」
「無い」
「豚・・・・・」
「無い」
「じゃあ」
「鶏も無い」
「なんも言ってないじゃん」
「言おうとしただろ。文句あるなら食わんでよろしい。作るのは俺だ」
「う、うぐぅぅぅぅぅぅ」
「勝手に唸ってろ、行くぞ」
拙い、このままでは晩飯に肉が一切れも入らなくなってしまう。

 実際大したことではないのだが竜河にとっては大問題だ。何か策は・・・・・・

735未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:52:38 ID:???
1、泣くと脅す。泰児が周りからなんと思われようが知ったこっちゃない
2、大声を出すと脅す。
3、その他。

と一瞬で鬼のような選択肢と立て、
仕方ないここは2で、と泰児に話しかけようとしたその時だった。

「あれ?高須君?」
「の、能登!?」


  *  *  *


「へ?」
振り返ったその場にいたのはやや髪を茶色に染めた竜河達と同じ
高校の制服を着ている女子校生。校章の色から見て泰児と同じ3年生。

 とそれまで落ち着きはらっていた泰児が急に挙動不審になる。
それを見て竜河は確信する。やはりこれは・・・・・・・。

 泰児はもともと母親や妹のせいか背の低い女性に興味を示さない。
かといって父親譲りの堅い性格のせいか今風の女の子は非常に敬遠するきらいがある。
とはいっても大人しい性格だと会話が続かないから嫌とも言っていた。

要するに泰司の好きなタイプは、
背はそこそこあって、それほどケバくなくて、そんでもって性格が明るい、
今ちょうど目の前にいるような女性だったのだ。

 それに加えて豹変した兄の態度。これは・・・・・使える!。

「ねえお兄ちゃん、お肉ぅ〜」
「だからしつけえって、おう!」
振り返る、と同時にのけぞる。

 一瞬のうちに竜河は上目使い。儚げに肩を縮こまらせて目には涙まで溜めている。
ただでさえ美少女である竜河。こんなことをされて胸に来ない男
なんていないし、もちろん泰児だって例外ではない。

 クッソこれ絶対、亜美小母さんの差し金だよなあ。
あの人親父に加えて最近俺まで誘惑するもんなあ。
なにが「亜美ちゃんって呼んで・・・・・・・いいんだ・・・・・・・・よ?」だよ。
もうあんた4■歳じゃねえか。
しかも俺のことは「泰児(はあと)」って呼び捨てだし、そんで俺はちゃん付け?
どこの65点クラスの奴隷だよ、俺は。いや呼び捨てなんて出来ねえけど。

 そうこうしているうちに竜河はどこからか持ってきた
牛肉(100g298円税別)を買い物かごに入れようとしている。
口パクで「・・・・いいでしょ?」と、その魅惑的な表情に泰児は、

736未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:53:28 ID:???
「・・・・・・・駄目だ」

 頷かなかった。

「え?ええ〜〜!?」

 当り前である。たしかに可愛いと思ったりはしたがそれも所詮妹、
誘惑されるほど落ちぶれちゃいない。そんなことで覆る
MOTTAINAI精神(泰児ver)ではないのだ。

こうして竜河の作戦は完全に、

「ねえ高須君、ここまで言ってるんだし買ってあげればいいじゃん」
「なにぃっ!?」

 成功した。


  *  *  *


 そう、元から竜河は泰児を落とそうなんて思っちゃいない。
泰児の父親譲りの固い性格からして、親から与えてもらった大切な金を
妹のために使おうなんて思うわけがないのだ。
 じゃあどうすればいいか?簡単である。別の人間に説得してもらえばいいのだ。

 人を射んとせばまず馬を射よ(杜甫「前出塞」より)

 その言葉通り竜河が狙っていたのは泰児ではなく
そこにいる能登という名の少女だったのである。

「ねえ、いいじゃん買ってあげなよ。今時いないよ?こんな可愛い妹さん」
「・・・・・・・いや、あの・・・・・・・・ですね?能登・・・・・・さん?
こいつは今猫を、いや虎を被っているわけでして・・・・・・」
「訳わかんないこと言わないで、ほら!」
そう言うと少女は竜河の持っていた牛肉を取り上げ
泰児の籠に入れていしまい、
変わりに入ってたブリを自分の籠に入れてしまった。

「・・・・・ああブリが、俺のブリが」
「ねえ妹さん?名前なんてゆうの?私麻衣、能登麻衣ってゆうの。よろしくね」
「たかするか・・・・・です。簡単な方の竜に河原の河です」
「竜河ちゃんかぁ。今何年生?」
「一年生です。お兄ちゃんと同じ高校です」
「ええ〜!?同じ学校?全然知らなかったよ、ねえ高須君なんで言ってくんなかったの?」

 女どもはまさにorz状態になりかけている泰児を完全に無視。それに対して泰児は、
「ブリ・・・・・・・塩焼き・・・・・・・いや俺は照り焼きのほうが実は・・・」

737未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:53:56 ID:???
 今だ立ち直れないでいた。
「えー・・・・・・・とぉ〜、高須君?」
「ああ〜〜〜!!ブリ〜〜〜!!って何だ?」
「いやだからなんで妹さんがいること言ってくんなかったのかなって」
「話すことでもないだろ。それより能登もここによく来るのか?」
「たまにだけどね。うち親が共働きだし」
「何やってんだ?親」
「お父さんは音楽関係のフリーライターで今週は出張中。
お母さんは雑誌の編集者で忙しいから今日は少し遅くなるって、
高須君のところは?」
「いや・・・・・・・俺の親は・・・・・・・」

 拙い。これは言っていいものか。
正直恥ずかしい。向こうがまともなだけに滅茶苦茶恥ずかしい。
しかしこっちだけ言わないというのもアレだし、

 そう、泰児の両親は息子の大学入試を直前に控えたこの時期に、
「うちの親は毎月恒例のデートです」
「そうそうデ・・・・・・・・てお前!」
「何で隠すの?嘘じゃないじゃん」

 そういう問題ではない。一体どこ結婚20年目になって
毎月デートに出かける夫婦がいるのだろうか。
 小さいころ友人たちにからかわれた苦い思い出が蘇る。
ああ、俺の初恋もこれで終わりか・・。

「へえ、うらやましいなあ」
しかし泰児の耳に入ってくるのは侮蔑でもからかいの声でもなく純粋な羨望。
「え゛!?」
「お父さん達から聞いてたんだけどホント仲いいんだね」
「え・・・・・。、ああ、そういえば能登のご両親はうちの親の知り合いだっけか?」
「そうみたいだよ?高校の時二人とも友達だったって、
うちのクラスの集合写真見てすぐ『この男の子、ひょっとして苗字高須?』
って言ってたし・・・・・・・そっちは聞いてないの?」

 一応そのことは泰児も両親から聞いていた、が

「すまん、聞いてない」 
「え?お父さん達言ってたよ普通に。ひょっとしてお兄ちゃん忘れた?」
「あ〜〜と・・・・・いや、覚えてるけど。そこは忘れるふりをするところじゃないかと・・・・・」

 泰児が忘れた振りをする理由、それは・・・・・・

「あ、いいよ、お父さんたち『どうせ悪く言ってんだろうな』って言ってたし
何て言ってたの?」
「えと・・・・・

『ふん!カワウソとギャル女の娘か。母親によく似てる・・・・・・・。
父親に似てないでよかったわ。
あんた、タイプの女だからってデレデレすんじゃないわよ』

って」
「「・・・・・・・・・・・」」
「え?似てなかった?」

738未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:54:32 ID:???
 似てるよ!超似てるよ!「ふん!」のところなんて魂入ってんじゃねえか!
元々見た目も声も似てるから一瞬入れ替わったかと思ったぞ!

「・・・・・ていうか本人の前で言うか、普通」
「いや、いいよ高須君。うちの親もほぼ同じこと言ってたし、
タイプの女ってとこだけ予想外だけど。
高須君にも好みのタイプっているんだね・・・・・・・・なんか意外」
「そこは聞かなかったことにしてくれ、頼むから」
「え?別に悪い気しないよ?高須君って割と女の子に人気あるし」
「冗談はよせ、そんな訳ないだろ・・・・・・」
「そうですよ。うちの兄こんな犯罪者面なのに」
「お前に言われるとなんか腹立つな」
「・・・・・・まあ、二人ともそう思ってんならそれでいいけど」

 麻衣は複雑な気持ちになる。実際、泰児は本当に女子人気が高かったのだ。

 きっかけは家庭科の調理実習の時間、
泰児の班は彼以外全員手際が悪く、他の班に比べ相当遅れていた。
時間も半分が過ぎたとき、一人の女子生徒が
包丁で怪我をしたのをけっかけに今まで大した事をしてなかった
泰児は全員から包丁を取り上げ、班員5人分の料理全てを
少ない時間であっという間に作り上げたのだ。
 怪我をした女子生徒の治療や気遣いにも余念がなく、
後日彼女の両親は彼の家にお礼を言いにいったという。

 それだけではない。裁縫ではクラスで女子全員を差し置いて一番最初に仕上げ、
分からないから教えてくれと言った生徒には
先生でも裸足で逃げ出すほどの分かりやすさで丁寧に対処した。
 もちろん性別に関係なく。

 また常に友人の無駄遣いに対して「MOTTAINAI!」
と叫んでいたため付いたあだ名が
「般若の仕立て屋」とか「鬼の倹約家」とか「地獄の料理人」とか。
 
とにかく泰児は運動神経は人並み、身長も平均だったがその優しさと
目つきとのギャップもあってそれを知ってる女子からの人気はかなり高かった。

 まあ誰かさんからの遺伝のせいか本人は全く気づいていないようだが。


 *  *  *


 麻衣が泰児と知り合ったのは一年生の最初、入学したばかりのころ。
いや、それよりも前、高校入試の試験当日。会場が分からなかった麻衣を
わざわざ回り道までして案内してくれたのは泰児だった。

739未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:55:28 ID:???
 目つきに怯えてた麻衣だったが、無事時間前に会場入りしたことに着いてから気がつき、
そこで自分がこの犯罪者面な男に助けられたことを知った。

 要するに、泰児がいなければ麻衣は現在の高校に通うことは出来なかった。

 特徴的なあの目つきを持った男は入学後すぐに見つかった。というか
自分と同じクラス。しかも斜め前の席だった。

 高須泰児。それが入学後、彼女が一番最初に知った男子生徒の名前だった。
親が友達同士ということを聞いた時は驚いたものだった。

 周りの人間が心無い噂をする中、何度か会話するうちに麻衣は
やはり彼はヤンキーなんかではない、という確信を強めていた。
 友人が無意味な注意を喚起するなか不快な気持ちにはならず、むしろ優越感に浸っていた。
最近では彼の本性に気づいた何人かが彼に好意を抱いているとは聞いたが。

 彼女がその最初の一人、要する泰児に恋心を抱いてもう結構な時間がたっていた。

 もう卒業まであと少し、受験も大詰めを迎えている。手を打てる時間は刻一刻と
少なくなってきている。

「じゃあ、俺たちはこれで」
「さようなら、麻衣さん」

 でも、と考え直す。でも今はこれでいいのだと彼女は思う。
卒業まで残り少ないといってもまだ時間はある。それまでにどうするか考えよう。
 今はそれよりこの予想外のブリをどうやって調理するか、そのほうが重要なのだから。


 *  *  *


 午後7時

 閑静な住宅街の一角にある一軒家が彼らの家だった。

 泰児は家に着くなり早速調理を開始していて現在のところ、
作業もひと段落し鼻歌なんかを歌いながら次の作業の準備をしている。

「若さだと〜♪言われようと〜関係ない〜yes♪」
「ねえ〜まだぁ〜?」
「はあ・・・・・・・まだだっての。何回言わせるんだよ」
「何回言っても出来ないから催促してるんじゃん・・・このダケン!!」
「その言葉母さんの専売特許だろ。文句があんなら少しでも手伝ったらどうだ」
「私、勉強で忙しいの。お兄ちゃんと違って」
「俺受験控えてんだが・・・携帯いじってることのどこが勉強だよ」

740未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:56:20 ID:???
「ねえ、原子番号36番って何?」

 いきなりな質問。どうやら竜河はそれっぽいアプリをしてるようだ。

 理系の泰児はそれに対し淀みなく答える。
「Kr・・・クリプトン、だろ?希ガス原子だ」
「じゃあ炭酸ナトリウムの製造法は?」
「アンモニア・ソーダ法、またの名をソルベー法」
「エタノールに濃硫酸を加えて130度から140度で加熱すると?」
「分子間脱水が起こってジエチルエーテルができる。
理系舐めんな、もっと難しいのもってこい」
「ぬぅぅぅ・・・調子乗って。そんなに好きな女の人と喋れたのが嬉しかったの?」

 えっ?何でこいつ俺が能登のこと好きって知ってんだ?

 泰児よ、見りゃわかるに決まってるだろ、と画面の外から言うことはできない。

 まあここは落ち着いて、ポーカーフェイスで、否定しようじゃねえか。
友達には感情のない男と呼ばれてるしな・・・え?褒めてない?うるせえ。

・・・・すうぅぅぅ・・・・・・・・はぁぁぁぁ・・・・・・・・よし。

「べべべべ別にすすす好きとかじゃねえぞ!?」
「すごい噛んでんじゃん、間を取った意味ないじゃん。」
「あれ?何でこんなことに?」
「ま、いいけどね。お兄ちゃんが何処の誰とハアハアしようが私には関係ないし」
「あ・・・・・・れ?なんか既視感が・・・・・」
「で、まだ?」
「何が?」
「ば・ん・ご・は・ん!」
「おう!そうだった。もう出来るから茶碗とか出してくれ」
「やだ」
「あのなあ・・・」

 仕方なく泰児は一人で二人分の茶碗を用意し始める。
まあいい。この女は一度決めたらてこでも動かない。
むしろむりやり動かそうとしたらてこが壊れる。
こんなくだらないことで無駄な体力を使うわけにはいかないのだ。
飯を作ってそれで泰児の一日が終わるわけではない。

「ほら、出来たぞ。お待ちかねの晩飯だ」
「ん」

 結局、夕飯は泰児が一人で作ってしまった。メインは竜河の好物であるトンカツ。
普段なら踊りだすくらいなのだが、何か様子がおかしい。
 強いていうと、異様なほどに不機嫌だ。

「なあ。なんでそんなに怒ってるんだよ」
「怒ってないって言ってんじゃん。変なお兄ちゃん」
このやり取りを先ほどから何度も繰り返している。

741未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:57:06 ID:???
 こういう意固地なところはほんと母さんそっくりだよな、と泰児は心の中で呟く。
 基本的に竜河は自分達の祖母(見た目30代実年齢50代)
の性格を強く引き継いでる。基本的にのんびりした性格は間違いなくその影響だろう。
 ただそれが不機嫌になると一気に母親の性格に変わる。
怒っている、と言っても怒ってないの一点張り。
これは彼らの両親が夫婦喧嘩した時と同じパターンだ。
 両親の場合、結局は母親が暴れるか、父親が土下座するかそのどちらかで
戦争は終わるのだが、いくらシスコンの泰児でも理由なしに土下座はできない。

 とはいってもこのまま、というわけにはいかない。
人間誰でもあんな不機嫌面で自分の作った飯を食われるのは嫌なものだ。
 何か、何か手立てはないものか、と思考ループに入りかけた
泰児をすんでのところで引きとめたのは、

「ねえ」
「おう!?」

 他でもない竜河だった。


  *  *  *


 竜河自身は自分がいらつく原因に気づいているわけではない。
そのことが彼女の不機嫌をさらに加速させる。
 いや、全く気付いていないわけではないのだ。うすうす感づいて
いることはいるのだが、竜河自身の心がその考えを拒絶する。
 
 そしてまた無限のループに入り込む。

 そう、それは完全な嫉妬。やきもちという絶対的な感情。
昔から竜河はずっと泰児に頼りっきりだった。
 そして泰児も当たり前のように忙しい両親に代わって、小さいころから
竜河から目を離そうとしたことはなかった。

中学生のころから竜河は次第と泰児のことがうっとおしくなっていき、
邪険に扱った時期もあったものの、最終的に困った時助けてくれるのは
いつも泰児だったのだ。

 だから竜河にはある自信があった

『兄にとっては自分が一番なのだ。自分のことだけを見てくれるのだ』

 これからもそうに違いない、と密かにそう思っていた。
 自慢できる特技もなく、内気でいつも兄の影に隠れていた竜河だったが
それに対しては絶対の自信を持っていた。

 その自信が今夜、撃ち落とされた。

742未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:58:02 ID:???
 十中八九泰児と麻衣は両想い。目の前にある肉だって麻衣が無理やり
泰児に押し付けたようなものだ。おそらく竜河が同じことをしても泰児は
決して受け付けないだろう。

 万が一泰児と麻衣が付き合い始めたらもう竜河は泰児のそばにいられなくなる。
彼女より妹を優先する奴なんていない。
 要するに、そうなったら竜河はそれ以後何かあっても泰児を頼ることはできない。

 考えてもいなかった。次第に泰児から自立していく・・・・・という未来をおぼろげながら
想像していた竜河にとって「泰児が自分から離れていく」なんてことは眼中になかったのだ。

 そして懸念材料はもう一つあった。それは、

「ねえ」
「おう!?」

 竜河がこれから投げかける質問は自分がこれからどれだけ泰児に依存できるかを
占うようなものだったのだ。

「お兄ちゃんの行きたい大学ってどこにあるの?」

 言いかえれば
「この家を出ていくのかいかないのか、あとどれくらい自分は傍にいていいのか」
泰児の返事によっては竜河は覚悟を決めなければならない。



「おう岡山だけど」
「・・・・・・・・・・・・え?」

 答えは最悪だった。頭のいい兄のことだ。必ず志望校に現役で受かる。
そしたら自分は兄と離れ離れ。月に一度の手料理も金輪際食べることはできない。

 そのことに悟ると同時、急激に目の前がぼやけて見えてくる。

「おか・・・・・・・やま?」

 ああ、私は泣いているのか。その事実は意外とすんなり頭の中に入ってきた。

「お、おい。竜河?」

その様子は目の前にいる泰児もちゃんと気づいていた。
いきなり目の前で泣かれ始めたら困る。ただでさえ竜河は母親譲りのフランス人形のような
容姿をしているのだ。その泣き顔はそんじょそこらの泣き顔とは一線を画している。

 よく女の泣き顔は武器、とか言われるが竜河の場合は武器を通り越して兵器なのだ。
泰児にはちょっと刺激が強すぎる。

743未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 12:59:38 ID:???
「お前、なんで泣いて」
「くっ・・・・・だって・・・・・すんっ・・・・・おかやまって、そしたら・・・・・っ・・・・・そしたら
もういっしょにごはんもたべられないし・・・・・おとうさんとおかあさんがいないひに
・・・・・ひっく・・・・つくってくれるひともいなくなっちゃうし・・・・・」
「・・・・・・・・竜河」
「おにいちゃん、あのひとのことすきなんでしょ?・・・・・・つきあったりして、
もうわた、ひくっ・・・・・・わたしのことなんて、かまってくれなくなっちゃうし、
ぐすっ・・・・・・・これから、どうやって・・・・・・」
「あのな、竜河・・・・・・・」
「うっ・・・・・・・なに?」
「お前は2つ、大きな間違いをしている」
「・・・・・・ふぇ?」
「まず俺の大学があるのは、岡山じゃない」
「え?でもさっき『おう岡山だけど』って」
「『おう岡山』じゃねえ、大岡山だ。東京都目黒区大岡山。ここから電車で1時間少し
だろ。家を出るのは大学を卒業してからだ。」


 ・・・・・・・・・・


「・・・・・・え゛?」

「あと、能登とは違う大学だぞ。まあ同じ都内だけど、あいつは新宿区だ」
「ど、どこ?」
「W大の文学部。親と同じでマスコミ関係になりたいんだと・・・。
要するに卒業したら離れ離れ、そもそも付き合う保証もねえだろ。」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「それ以前にお前みたいなのを残して家を出れるか。大学入ってから卒業するまで基本的な家事
は全部仕込んでやるから覚悟しろ。まあ親父とかも協力してくれるだろうけど。
あの人、お前にやたら甘いからなあ・・・。
とにかく、お前が一人でも大丈夫になるまで家は出ない。あとそれとは別に

俺が誰と付き合おうとお前が俺の妹だということはずっと変わんねえぞ?
なんたって俺にとっては世界でたった一人の妹だからな。

・・・・なんかこっ恥ずかしいな、この台詞。てか気持ち悪い?
や、やっぱり忘れてくれ、ていうか忘れたい・・・・・・・・おい竜河?聞いてんのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・」

 聞いていなかった、いや聞いていることは聞いているのだが
さっきまで蒼白だった竜河は数秒の後に達磨も裸足で逃げ出すほどの真っ赤か。

「お・・・・・・おい、竜河?あ、あのな別にこんな勘違い気にすることはないぞ?
よくある間違いだし、お前に頼られてるって分かって悪い気はしないし逆に嬉しいっていうか、
だからそんなに顔真っ赤にすることねえぞ?」

744未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:00:41 ID:???
 もちろんこの結末は竜河の勘違いが招いた結果であって、泰児に責任はない。
いわば自業自得なわけだがここでフォローしない、という選択肢は初めから泰児にはない。
なぜならそれは兄である泰児の義務であり、また責任でもあるのだから。

「と、とにかく!この話はこれで」
「わっ」
「・・・・・・倭?てこれ今日2度目じゃ」
「わ、わ・・・・・ぅ忘れろお〜〜〜〜い!!」

 咆哮と共に竜河が懐から取り出したのは、なんと・・・・・・・・

「え・・・・って、え゛?ぼ、木刀!?」
「死にたくないなら・・・・・記憶全部なくせ〜〜〜〜!!」

 フォロー失敗。
結局竜河をなだめることは出来ず、結局彼女が空腹でぶっ倒れるまでの約10分、
泰児は掛け値なしに恐怖の絶頂を味わったのだった。


  *  *  *


「ねえ、お父さんたちいつ帰ってくるの?」

 なんやかんやあっての晩餐会も終わり、
すでに入浴を済ませ、二人は夜の勉強会を開いていた。

 というよりも実際は竜河が勉強道具を持って
泰児の部屋に勝手に上がりこんでるだけなのだが。

 これについてはいつものことだから、と泰児も黙認している。

「さあ?もうすぐだろ。いくらなんでも朝帰りは無い」
「本当?」
「ああ」
「賭ける?」
「・・・・・・・・・・・・・・・賭けない」

 その間にも泰児は計算を進め、
「ほら、分かったぞ。お前最初のとこでいきなりミスってんじゃねえか。
だから最後まで導けないんだ。ほらここ、式を2倍したらルートの中は4倍じゃねえか。
展開の進め方は悪くねえけど、そこであってたら答え整数なんだぞ?」
「あっちゃ〜遺憾だわ〜」

 何回目だよその台詞、とは今さら言う気にはならない。
勉強会とは名ばかり。その実態は竜河の押しかけ生徒なのだ。

「少しは真面目にやれよな。お前はもともと頭はいいんだから・・・・・」
「あれ?」
「・・・・・・・・・・・・なんだよ」
「お父さん達の・・・・匂いがする」
「はあ?・・・・・・・あ、本当だ」
「ね?」
「匂いはしねえけど足音なら聞こえるな」
「うわ・・・・・つまんない」
「お前は俺に何を求めてんだ?ほら行くぞ」
「どこに?」
「手伝いにだよ。どうせ母さん酔いつぶれて親父におんぶされてんだから」

745未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:01:24 ID:???
 この時午後11時。いつものように最終バスに何とか乗れたようだった。


  *  *  *


「ただいま〜・・・・・・・・・ふう」
「おかえり・・・・・うわ、完全にダウンしてんな」
「ああ・・・・・元からそんなに強くねえのにワインがばがば飲みやがって」

 高須竜児はそういうふうにいいながらも全く嫌そうな素振りさえ見せず、
そのままリビングに上がりソファに彼の妻を横たえる。

「じゃあ俺、風呂入ってくるから」
「あ、温度下がってるかもしんないからそのときは追い炊きしてね」
「わかった。ありがとうな、竜河」
「うん」
「ああそうだ。泰児、大河に水やっといてくれ」
「おう」

 竜児がシャワーを浴びているあいだ、リビングでは新たな問題が発生していた。

「ほらよ水だ、って寝てんのにどうやってやるんだ?」
「さあ?起こせば?」
「マジで?」
「マジ」
「はあ・・・・・・・・おい母さん、水だ!っておう!?」

 起こそうとしたその瞬間、泰児の母である高須大河は見た目にあわない馬鹿力で
彼を抱き寄せ、

「うみゅ〜〜〜、りゅ〜〜〜じ〜〜〜〜」
「うわ!すげえアセトアルデヒド臭、ていうか竜児、じゃねえ!泰児だ、泰児!」
「た〜〜〜い〜〜〜じ〜〜〜!!・・・・・・・・ん?」
「うぐぐぐ、離せ!ってうわ!」

 思い切り蹴り飛ばして

「なんだ、泰児か」

 つまんね、とばかりにため息をつく。

「・・・・・・・・・・・・」
「ふう、喉乾いちゃったわ。どっちか水持ってきて」
「・・・・・・・・・・・・」
「えっと、さっきお兄ちゃんの持ってきたのがそこにあるけど」
「あら、ほんとだわ・・・・ってかいつまでそこで寝っ転がってんのよ、泰児」
「・・・・・痛くて・・・・・・声が・・・・・出ない・・・・・」
「出てんじゃない。あ〜あ〜軟弱だこと」

746未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:01:56 ID:???
 そう言うと大河は水を飲み始め、
コップに注がれた水はあっというまにその口に吸い込まれていく。

「くう〜〜〜〜!うんま〜〜〜い!!泰児!おかわり」
「・・・・・・・・・・もう自分でやれんだろ」
「へえ〜〜〜?か弱い女性にそんなことさせるんだ?
あ〜〜〜いやだいやだ。いつからそんな子になっちゃったのかしら。
竜児はいつだって何か頼んだらすぐやってくれるのに」
「分かったよ、持ってくるからそこで大人しく待ってろ」
「あ、あと晩御飯残りあるならチンして持ってきなさい。ありったけ全部よ、全部」
「レストランで食わなかったのかよ」
「量少ないのよ、イタリアンってのは。どれも高いから追加注文も出来ないし」
「少し時間かかるけど・・・・・」
「いいわよ、そのほうが好都g・・・・・じゃなくて・・・・・あっ竜河はここにいなさいよ」

 泰児が冷蔵庫の中身を取り出している間、リビングでは微妙な内緒話が始まろうとしていた。

「さてと、邪魔者はいなくなったことだし、ゆっくり話を伺おうかしら」
「えっと・・・・・・何の話?」
「惚けんじゃないわよ。今日スーパーで能登麻耶の娘に会ったらしいじゃない」
「何で知ってるの、その話」
「一時間くらい前にメールがあったのよ。
『もしものときはうちの娘をよろしくおねがいしま〜す』
ってね。
早めに帰ったら頼んでた献立が急に変ってたらしいし、雰囲気がおかしかったから
問い詰めたら白状したらしいわ。ちなみに竜児はこのことをまだ知らないわよ」
「お兄ちゃんに直接聞けばいいじゃん」
「泰児がそう簡単にゲロするわけないじゃないの、で?どうだったのよ、うちのバカ息子は」
「付き合ってるわけじゃないみたいだけど・・・・・」
「そんなの女ができたらすぐわかるわよ、母親なんだから。
そうじゃなくて、もっとこう・・・・・・・おしべとめしべが・・・・・・」

「何を話してるんだ?」
「ふぇっ!泰児?もう出来たの?」
「いや、その事なんだけど・・・・・ご飯以外だとこれだけしかないんだが・・・・・」
「なにこれ」
「・・・・・・・・・野菜・・・・・・ですけど・・・・・・殴らないでね」
「肉は?少しは残しとけってメールで言わなかったかしら」
「その分も含めて竜河が全部食っちまった。一応多めに作ったんだけどな」

 ・・・・・・・・・・・・・・

「ねえ・・・・・・どういうこと?竜河」
「ど、どういうことだろうね・・・・・・あはは」
「・・・・・・・寝ぼけてんじゃないわよ!ちょっと面かしなさい」
「ひぃぃぃぃ!!ゆ、ゆるしてぇ!!」

 しー・・・・・・・・・・・ん。

747未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:02:58 ID:???
「なんだよ・・・・・やっぱり動けんじゃねえか」

 どこぞへと引きずられていく竜河をただ見つめることしか出来なかった泰児だった。


  *  *  *


 竜児がシャワーからあがったのは竜河が大河に引きずられて消えたそのすぐ後だった。

「あれ?大河と竜河は?」
「どっか行った。晩飯を残さなかったのが逆鱗に触れたらしいけど」
「ったく。あの二人は・・・・・」

 そう言いながら竜児は冷蔵庫から缶ビールを取り出し泰児の隣に座る。

「あれ?飲んでこなかったのか?」
「大河がいるからな。結局ほとんど飲まなかったな」
「よくやんな。親父はよ」
「そうか?」

 まんざらでもない様子で缶のプルトップを開ける。
会話は弾まない、けど仲が悪いわけではない。それが彼ら二人の日常なのだから。

「今日の晩御飯は何にしたんだ?」
「トンカツ、まあほとんど無理やりにな」
「そうか・・・・・・・悪いな、いつも」
「なんだよ。藪から棒に」
「いや・・・・・・・なんとなく、な・・・」

 そう言いながら、ちびちびとビールを喉に流し込んでゆく。

 この前冬は寒いからビールは飲みたくないって言ってたばっかりじゃねえか。
酒をあんまり飲まないあんたがこうして飲むってことは、
どうせ俺との会話の機会を設けるつもりだったんだろ?お見通しなんだよ、息子舐めんな。

 竜河のつまらないことでうじうじ悩むのは親父の遺伝だったか、と今さらながら認識する。

「いいって、そんなこと。料理するの嫌いじゃねえし」
「でも・・・・・・」
「いいんだよ、ほんとに。だって・・・・・・・」

 俺達は、家族だろ?

 そのたった一言で竜児は何かが吹っ切れたように、
その恐ろしい顔で恐ろしい笑顔を浮かべる。
そのうちに大河と竜河が戻ってきて、高須家も団欒の空気に包まれる。

748未来への帰り道 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:03:51 ID:???
この世界の誰一人、見たことのなかったものは

確実に存在していて、

それは必ず次世代へと受け継がれていく。

親から子へ、子から孫へ。

無限に続くリレーのように見えるけど、

一度その手でつかんだら、二度と離すことはない。

行先はただ一つ。

先の見えないけど愛が咲き乱れる

光り輝く、「未来への帰り道」なのだ。



[fin]

749 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 13:05:33 ID:???
以上です。

竜児と泰児の性格が被るため、若干苦労したけど
お楽しみいただけたでしょうか?

最後のほう収集がつかなくなって意味不明になってしまったのは
ここにいる皆だけの秘密ですwww

ちなみに次回作の話も現在構想中です。
まだ書いてすらいないから、投下するのはいつになるやら^;

その時はよろしくお願いします。では。

750 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 18:30:55 ID:???
あと、このSSを投下する場所について本家大河×竜児サイトの人に意見をもらったので、
できればどなたか報告お願いします。

規制に巻き込まれて自分で出来ない・・・

751 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/26(日) 18:33:09 ID:???
間違えました。本家大河×竜児サイトの人ではなく本家大河×竜児スレの人たちでした。

752高須家の名無しさん:2012/02/26(日) 22:53:22 ID:???
シスコン泰児GJ!! そうか〜能登の娘か〜。たいへん楽しめました! 続き気長に待っております!

753 ◆SDgyzlIVWY:2012/02/27(月) 13:19:01 ID:???
>>752
感想有難うございます。
ちなみに次回作というのはこのSSの続編というわけではなく単純に次に作ろうと思ってる作品
ということです。分かりにくい説明ですみません。

まとめる時に間違いがないように一応報告しときます。

754高須家の名無しさん:2012/03/10(土) 01:28:15 ID:???
長井龍雪監督は名前を変えるべきだ。長井キス雪が適切だと思う。

755高須家の名無しさん:2012/03/10(土) 01:37:10 ID:/x5bOlTw
いや、長井監督よりも生姜氏が田中キス賀を名乗るべきではないだろうか。

ちなみにあんなにメガネ率が高いのはなぜかを考えたとき
レンズ越しはうたかたの恋というのを表現するプランではないかと思ったw
とらドラ!が向き合って近いのに窓越しの遠さを描いたごとくに

756高須家の名無しさん:2012/03/11(日) 06:44:15 ID:qwGrnWEA
鋭い!鋭いよ!メガネにそこまで深読みするか。

俺は単に「イチャイチャ」じゃないよ!って言うためのガジェットだと思った。
「俺と先輩はイチャイチャしてないよ!俺達ウブだもん!」を暗示するための
カチャカチャ。

あと、ゴールデンタイム4読んだ。もう、読むのやめようと思っていたけど、
いきなりゆゆこ節全開でビビった。なにこの引き千切られるような痛み。
あらゆるものが不吉な暗喩。この悲痛さをセットアップするために3巻
使ったのかと改めて呆然。

757高須家の名無しさん:2012/03/11(日) 18:35:26 ID:???
>>756
5はもっときつそうな気がする。

758高須家の名無しさん:2012/03/14(水) 02:56:53 ID:???
カチャ♪を3話連続でやってるのはしつこいw
やはり赤とモジャはもうひと波乱というか、お姉ちゃんというワードに集約される
家族的な思慕からのグローイングアップなんだろうなあ

なんか他作品の事ばかり書いて申し訳ないが、哲郎と柑菜があり得たかもしれない竜虎のifに見えて仕方ないんですよ
竜児も大河も普通の家庭で育っていて隣同士の幼馴染だったら?というね
10話のみはらし庭のシーンでの引きちぎられ感はちょっと良かった

ちなみにイチカの髪型どっかで見たどっかで見たと思っていたのだがようやく思い出した
『おジャ魔女』のぽっぷだwww

759高須家の名無しさん:2012/03/15(木) 00:54:59 ID:???
そう言われると哲郎と柑菜を応援したくなるじゃないですかー
ボーイミーツガールでありながら幼馴染感もある竜虎たまらんなぁ

760高須家の名無しさん:2012/03/15(木) 20:59:30 ID:???
竜児は妹(的な存在)が欲しかった、というのは原因と結果が逆ではあるけど
存在の不安に抗うために自分が保護できる相手を必要としてたし
大河は大河で、竜児とは逆に保護される自己に幸福を覚えつつそれは嫌だというw
そういう背比べ感が個人的には幼馴染っぽく見えるんだよね

7巻まで実乃梨や亜美と三角関係に至らない理由がそれですんなり分かるし
本当の△はやっちゃん-竜児-大河だよねw

761高須家の名無しさん:2012/03/27(火) 21:49:31 ID:???
本スレ落ちてる……なんでだ?
前の時も、もっと勢いのないあーみんやみのりんスレは大丈夫なのに…

文芸キャラ板に引っ越すのはどうだろう

762高須家の名無しさん:2012/03/27(火) 21:58:48 ID:88ixfAUo
落ちてるねぇ……

763高須家の名無しさん:2012/03/27(火) 23:58:19 ID:???
圧縮基準はよくわからんが、ロムが多すぎるのは確かだよなあ…

764高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 02:42:39 ID:???
文芸キャラ板、超過疎板だけど、頻繁に落ちるよりはマシかなと思う
アニキャラ板から移動してるラノベキャラスレも結構あるし
竜虎スレはなぜか圧縮に巻き込まれやすいのがな…今回は一日書き込みがなかったせい?と思うけども
意見待ち

765高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 10:22:39 ID:???
真面目な話の最中にすまん。死ぬかと思った。
ttp://smallassassin.blog67.fc2.com/blog-entry-1488.html

766高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 10:51:40 ID:???
ぜったい死なない覚悟で見てったのに水着でフイタ

>>761の意見に反対すべき理由が個人的には何もないので賛成だけど
ROMの人がスレ廃れたと思わないかな?ここは告知場所としてオフィシャルなの?

767高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 19:39:22 ID:i80S0eLk
検索やまとめサイトで見たい人は気づくんじゃないかなと思うけど…レスが少ないからわからないね…
落ちたらやっぱり萎えるしなー
もうすぐ春アニメ開始の時期だからまた落ちそうだし

あと、テンプレは>>3の避難所誘導まででいいんじゃないかと思う。まとめwikiも消滅してるし
なあなあになってたスレタイ、どうしましょうか
竜児×大河派だが・・・

768高須家の名無しさん:2012/03/28(水) 22:49:03 ID:uaRAa5EM
過疎板でもいいじゃない
皆の妄想が集まるんなら────インコ

スレタイは任せます
よくわからんしw

769高須家の名無しさん:2012/03/29(木) 00:28:59 ID:???
というか文芸キャラ板ってローカルルール決まってないのな。総合スレはあるからカプスレもOKなんだろうか
検索しやすいように 【とらドラ!】高須竜児×逢坂大河 Vol28 にするとか?
おkなら立ててくるけど、もう少し待ったほうがいいかな
終了してる作品だし、まったり続けていければ幸せだな


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