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本スレに書き込めない職人のための代理投稿依頼スレ

978R-TYPE Λ ◆xDpYJl.2AA:2011/05/29(日) 15:14:17 ID:.jmCVDEE
「ティアナ。お前、アタシ達に何が起こっているのか、知っているのか」
「ええ」
「それは、お前がやっている事なのか」
「はい。「私達」がやっている事です」
「「私達」ってのは、誰の事だ」
「私とスバル、ノーヴェの3人・・・「3機」の事です」

ティアナへと視線を移すヴィータ。
彼女は相変わらず、無表情のままに其処に在る。
歯軋りをひとつ、ヴィータは更なる問いを投げ掛ける。

「艦隊の到着は、本来ならあと数時間は掛かると言ったな。あれはどういう意味だ」
「そのままの意味です。彼等はまだ、第10層を通過している最中だった。それを、貴方達が此処へ「呼んだ」んです」
「・・・さっきから訳が解らない事を。呼んだってのはどういう事だ、何を意味してる? お前等は私達に、いいや・・・「何に対して」何をしたんだ!?」

ティアナの眼を正面から鋭く睨み据え、幾分か声を荒げるヴィータ。
ティアナとスバル、そしてノーヴェは「何か」をしている。
その「何か」は個人の魔導資質および魔導機関を無差別に強化し、魔法技術体系にとって有利な状況を作り出しているのだ。
だが、如何にしてそれを成し遂げているのか、そして「何か」とは具体的にどの様な事なのか、核心たる情報が一切に亘って齎されていない。
心強さよりも不信感が勝る事は、自然な成り行きと云えた。
だからこそ、自身の胸中に蟠るそれを払拭しようと、ヴィータは更に問いを投げかけようとして。

「少し、世界に干渉しただけです。皆の「願い」が叶う様に」

ヴィータは、続く言葉を呑み込んだ。
「願い」。
そのティアナの発言に、彼女は呆気に取られて黙り込む。
だが、続くティアナの言葉は、忽ちの内にヴィータを覚醒させた。

「ジュエルシードって、御存知ですよね?」
「・・・ああ、勿論」
「所有者の「願い」を叶える宝石。スクライア族が発掘し、次元航行艦の事故によって第97管理外世界へと拡散した後、次元犯罪者プレシア・テスタロッサ・・・フェイトさんの実母によって奪取されたロストロギア」
「お前・・・ッ!」

何故それを、何処まで知っているのか。
激昂し掛けるヴィータであったが、何とか今にも掴み掛かろうとしていた自身の手を下ろす。
無駄だと悟ったが為の、諦観を含んだ抑制。
恐らくティアナは、此方の記憶を仔細漏らさず把握しているのだろう。
ならば、何を知っていても不思議ではない。

「プレシアは、娘であるアリシア・テスタロッサの死体を蘇生する為に、ジュエルシードを欲した。彼女の「願い」を叶えようとしたんです。結局は邪魔されて、実現されなかったけれど」
「・・・アイツ等が間違っていた、とでも言うのかよ」
「まさか。どんな要因が絡んだのであれ、プレシアは制御に失敗した。それだけが事実です」

ティアナが頭部を傾け、背後の管理局艦隊へと横目に視線を投じる。
同じくヴィータも其方を見やれば、XV級に紛れた数隻の支局艦艇から無数の魔導師が飛び立ち、此方へと向かっていた。
その中に、見慣れた黒いバリアジャケットと赤い髪を見出し、彼女は僅かな安堵と共に息を吐く。
接近する魔導師達へと視線を固定したまま、言葉を紡ぐティアナ。

「僅か9個のジュエルシードでは、直接的に彼女の「願い」を叶える事はできなかった。では逆に21個のジュエルシード、その全てが彼女の手元に在ったのなら? 彼女の「願い」は、問題なく叶えられたと思いませんか?」
「・・・いい加減に黙れよ、テメエ。それとも」
「全てのジュエルシードが在れば、リインフォースを救えたとは思いませんか」

瞬間、ティアナの頭部付近から、甲高い衝突音が響く。
無表情のまま微動だにしないティアナ、驚愕に眼を瞠るヴィータ。
ティアナの左側頭部を狙って振り抜かれたハンマーヘッドが、一切の前触れ無く空間中に現れた、青い薄層結晶構造体によって進行を遮られていた。
衝突音は、結晶構造体とハンマーヘッドが接触した際に発せられたものだ。
想定外の事態に硬直するヴィータを余所に、ティアナは表情を変えないまま左耳部に掌を当てる。




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