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デジモンアドベンチャー02〜SOLUTION〜

1空輝:2011/05/06(金) 02:33:34
初めまして、空輝と申します。
先々月辺りからデジモン熱が再発して、巡り巡ってこちらの小説板に到着しました。
皆様の小説を読んでいると色々なアイデアも浮かんできて、どうしてもこちらで書きたい!と思ってしまい、スレを立てさせていただきました。

内容的には、デジアド02の本編後+ゼヴォのキャラ、設定などにオリジナルの要素を加えた形になります。
公式とは少し違う進化をしたりとかも考えてはいますが、基本は公式沿いです。
キャラはメイン02組、サブで無印組です。
多少好きなキャラの贔屓があるかも…(読むと分かります)

書き手としてかなり未熟ですし、更新はおそらくスローペースになると思いますが、よろしくお願いします。

2空輝:2011/05/06(金) 02:35:41
PHASE0:プロローグ


2002年のお台場誘拐事件(ベリアルヴァンデモンとの戦い)から、早3年。
当時はデジモンの事となるとすぐに大騒動になっていたが、今はいくらか落ち着いていた。
現実世界とデジタルワールドの位相のズレはいまだ修復されておらず、あの事件後も度々デジモンが出現している。
なかでも、ネット上に再出現したディアボロモン、そして現実世界に実体を現したアーマゲモンとの戦いは、今も人々の記憶に焼きついているという。
選ばれし子供とその親達は、デジモンについて詳しく知らない大人達が、武力をもってデジモン達を傷つける事がないように働きかけ、絶え間ない努力の末、2004年には「対デジモン関連事件特殊班『デジタルパートナーズ』」という政府公認の特別な部隊が設立された。
デジモンを利用した犯罪の撲滅、新たにパートナーデジモンと出会った子供達のフォローなど、人間とデジモンの共存を目指して奔走する子供達。


しかし、選ばれし子供達の知らない場所で、新たな事件の幕がゆっくりと開いていた。

3空輝:2011/05/07(土) 01:05:02
PHASE1:新学期

季節は巡り、2006年4月。
中学3年生に進級した本宮大輔、高石タケル、八神ヒカリ。
掲示板に貼られた新クラス名簿に群がる生徒達の少し後ろで、3人は人の波が収まるのを待っている。
が、一向に掲示板前から人が少なくなる様子はない。
そして、何故かカメラのシャッター音があちこちから聞こえる。

「毎年思うけどさ、原因って絶対お前だろ」
「え、何が?」

大輔は、右隣に立つ金髪碧眼の親友の顔を見上げながら言った。
質問の意図が良く分かってないのか、タケルはちらりと大輔を見ただけで、すぐに掲示板に視点を戻す。
どうやら、なんとかして遠くから名簿を見ようとしているらしい。
思えば初めて会った小学5年生の時から、タケルは大輔よりも背が高かった。
大輔も小柄という訳ではなく、どちらかと言えばここ数年で随分背が伸びた方なのだが、そんな自分よりも背の高い親友は既に170cmを軽く超えていた。

「タケル君、どう? 見えそう?」

大輔の左隣にいたヒカリが、タケルに尋ねる。

「うーん……僕のはギリギリ見えたけど、大輔君とヒカリちゃん、50音順だと結構下の方だから……」

数分して、ようやく掲示板前の人々が少なくなる。
3人はもう少し前に進み、なんとか名前を確認した。

「まぁ、分かってはいたけど」
「結局今年も三人バラバラだね」

タケルとヒカリが苦笑した。
大輔はA組、ヒカリはB組、そしてタケルはE組の名簿に載っていた。

「仕方ねぇよな……これがあるし」

大輔は、自分の左腕に付いている腕章を見やる。
『デジタルパートナーズ』と英語とデジモン文字の両方で書かれたその腕章は、勿論タケルとヒカリの左腕にも付いている。
デジモン関連の事件が起こった時は、授業中でも出動が許される。
また、パートナーデジモンと出会ったばかりの生徒達の相談窓口でもあり、一目で特殊隊員だと分かるようになっているのだ。
その関係なのか、昨年の始業式でも3人は別々のクラスになっていた。
大輔達は出席番号などをもう一度確認した後、始業式に出る為にそれぞれの教室に向かった。
それを校門前の木々に隠れて見守る影が3つ。

「あと2、3時間くらいかかるのかなぁ」

ブイモンが少し太めの頑丈な木の枝で鉄棒の真似事をする。
少し上でテイルモンが、幹に背を預けて校舎を見ている。

「そうね……その間、何事もなければいいんだけど」

ここ最近、デジモン関連の事件が多くなっていることで、春休みの間もよく出動要請がかかっていた。
クラスの友人達と遊ぶ機会などあまり持てなかったヒカリ達だが、せめて本業の時ぐらいは任務を忘れて学校生活を楽しんで欲しい、とテイルモンは願っていた。
ふと、いつの間にかパタモンがいなくなっている事に気づく。

「ブイモン……パタモン、見てないか?」
「え? さっきその辺散歩してくる、って飛んでいったよ」
「そう……迷子デジモンと間違われてないといいけど」

テイルモンはため息をついた。
確かにじっとしているには長すぎるし、どこかへ行きたい気持ちも分かるが、いくらなんでも警戒心がなさすぎる、と。
デジモンが社会に認知されるようになった今、別に隠れる必要もないのだが、さすがにパートナーがいない時には、ふらふらと人前に出ないようにしている。
進化によって姿を大きく変化させてしまうデジモン達には、腕章のように特別隊員だと証明できるものがないからだ。
一目見ただけではパートナーデジモンなのか、それとも迷子デジモンなのか、普通は分からない。
それに、まだデジモンについて深く知らない人の方が多い。
なるべく余計な手間になるような事だけは避けたい、というのもあるが。

一方、そのように心配されてるとは露知らず、パタモンはお台場中学校の周辺をゆっくりと散策していた。
すると中学校近くの海浜公園で、デジモンと遊んでいる男の子を見つけた。
なんとなく面白そうだと思って、見つからないように隠れながら近づく。
サッカーボールで仲良く遊ぶ男の子とデジモン、それから、すぐ側のベンチで見守る母親がいた。

「行くよ、カプリモン!」

男の子の蹴ったボールを、ヘディングで返すカプリモン。
といっても、そもそもカプリモンに手も足もないので、ヘディングしか手段はない。
それでも、上手く男の子の足元に返すあたり、かなりコントロールが良いようだ。
その様子を見て、パタモンの口元は自然と綻んだ。

(幸せそうだなぁ)

タケル達がこれを見たら、きっと喜ぶに違いない。
そう思いながら、パタモンはその場を離れた。
テイルモン達に話してやろう、と中学校へ戻ろうとした時、パタモンの視界に何かが映った。
それは、まるで……。

4空輝:2011/05/08(日) 11:25:26
PHASE2:黒き塔


「ん……?」

海の中に建つ、一本の黒く巨大な柱。
だが、それは霞んでいて本当にそこに存在するのか、はっきりとは分からない。

「ダークタワー!? いや、でも形が……」

記憶の中にあるダークタワーは、オベリスク状の黒い柱だ。
だが、うっすらと見えるそれは円柱のような形で、先の方が雲に隠れており、一体どこまで続いているのか定かではない。
むしろ柱と言うよりも塔と言っても過言ではないだろう。

しばらくすると、塔はその姿を消した。
目を凝らして先程あった場所を確認するが、やはりない。
蜃気楼のようなものだったのだろうか、それとも。
だが塔を見た瞬間、どこかで感じた事のある嫌な気配が身体を駆け巡った。
すぐにそれは気配はなくなったが、不安に駆られたパタモンは、急いで中学校へと戻る。

(見間違いなら、それでいいんだけど……!)

慌てて帰ってきたパタモンは先程見た黒い塔の話を聞かせ、テイルモンとブイモンは怪訝な顔をした。
だがさすがに冗談だ、などと笑い飛ばす事のできるような話でもなく、とにかく3人が戻ってくるのを待ち続けた。
しばらくしてホームルームも終わり、騒がしくなった校舎から3人が出てきたのを見つけると、待ちくたびれたのもあってすぐに木を降りて駆け寄った。

「タケル!」
「どうしたの、パタモン?」

見れば、デジモン達はみな同じように深刻な表情をしている。
ただ事ではない、とすぐに感じたのか、タケルはヒカリと大輔に尋ねた。

「今から時間大丈夫かな? とりあえず、僕の家でゆっくり話そうよ。 ここで立ち話もなんだし」
「そうだな」

2人は頷き、制服のままタケルの家を目指した。
今、タケルの母は仕事で家を空けているという。
もしいたとしても、デジモンについて大人の中ではかなり知識を持っているということもあり、デジモン関連の会議をするにはもってこいの場所だった。

「ちょっと散らかってるけど……」

そう言う割には、かなり整理されている部屋に、大輔は感嘆の声を上げた。

「そうか? 俺ん家なんか、もっと散らかってるぜ? 特に俺の部屋とか」
「大輔は床に物をほったらかしにするから散らかるんだよ。 すぐ片付ければいいのに……」

ブイモンが大輔の腰を小突くが、逆に大輔はブイモンの頬を引っ張った。

「それはお前もだろ!」
「痛い、痛いよ大輔! 悪かったって」

まぁまぁ、と喧嘩を始めた2人を宥め、タケルは席を勧めた。
冷蔵庫を開け、中を物色する。

「えーっと……麦茶しかないけどいい?」
「うん、大丈夫。 ……あ、手伝うよ」
「ありがとう、助かるよ」

タケルが麦茶を注いだコップを、ヒカリがテーブルの上に運んだ。
ようやく全員が席についたところで、パタモンが話を切り出す。

海の中に建つ黒い塔が見えたこと、そしてそれが消えたこと。
最後に、パタモンが感じたという気配。

「あれは暗黒の海とか、そういうのに近い気配だったと思うんだ。 ただ、気配は一瞬だったから断言はできないけど・・・」

その言葉に、ヒカリが眉を顰める。
それを見たテイルモンが、心配そうな表情を浮かべた。

「ヒカリ?」
「……パタモンが見たのって、黒くてどこまで続いてるのか分からないくらい大きな塔……だったんだよね」
「そうだけど……」
「……それ、見間違いとかじゃないかもしれない」

大輔とタケルが顔を見合わせる。

「どういうことなんだよ、ヒカリちゃん?」

ヒカリは少し躊躇した後、意を決して話し始めた。

「今日、夢で見たの……」

5空輝:2011/05/09(月) 02:21:38
PHASE3:不思議な夢


「見たって、何を……?」
「あのね……デジタルワールドからどんどんデジモンが溢れていって、街を襲うの。 それを指揮するデジモンが何体もいて、何かを必死になって探してる。 そして現実世界の空が真っ暗になると、とても大きな黒い塔の上から、七つの目と七つの足を持ったデジモンが降りてくる……その後は、分からない」

そこまで言うと、ヒカリは身体をぶるり、と震わせた。
テイルモンがヒカリの手を握り、

「どうして言ってくれなかったんだ? 1人で抱え込む事もなかったのに……」

そう言ってヒカリの顔を見た。
ヒカリは首を横に振る。

「やけに現実的で恐ろしい夢だと思ったけど……余計な心配をかけたくなかったの。 でも、私は夢の事を誰にも話していないのに、パタモンが見たっていうのが不思議で……」
「確かにそれは不思議だね……ただ、デジタルワールドから溢れてくる、って言うのは、今の状況から考えると、あながち間違いでもない」

タケルの言う事にも一理ある。
既に現在も、位相のズレの影響で多くのデジモン達が現実世界に迷い込んできている。
街を襲う、という表現までにはいかないが、怪我人が出たり、物が壊れたりした事もない訳ではない。
ただ、それを指揮するデジモン、というのは引っかかるが……。

(まさか、またヴァンデモンのようなデジモンが、現実世界に現れるということなのだろうか)

思案を巡らせるタケルには目もくれず、大輔は麦茶を一気に飲み干すと、ヒカリに向かって笑顔を見せる。

「一応、次の定例会で光子郎さん達にも話してみようぜ。 何か新しい事が分かるかもしれないしさ!」
「そうだね……ありがとう」

少しぎこちないが、ようやく笑顔になるヒカリ。
話が1つ落ち着いたところで、部屋中に大きな腹の虫が鳴り響いた。
すぐにブイモンの顔が真っ赤になる。

「ご、ごめん……我慢してたんだけど……オレ、すっげー腹減った……」

本当にすまなそうに謝るブイモン。
それがあまりにも面白くて、大輔はプッと吹き出してしまった。

「あはははははっ!! ブイモン、いくらなんでも音がでかすぎ……」

そういう大輔もブイモンに負けず劣らずの腹の虫が鳴る。
今度は大輔の顔が真っ赤になった。

「なんだよ大輔もじゃんか! ってか、オレよりうるさかったんじゃないの?」
「ちげぇよ、お前が鳴らすから俺もつられたんだよ!」

まるでコントのように取っ組み合いを始める2人を見ながら、タケル達はくすくすと笑った。

「さて、随分お腹の減った人もいるみたいだし、何か作ろうか?」
「よっしゃあ!! 美味いもんなら何でもよろしく!」

タケルの言葉に喜びの声を上げる大輔、ブイモン、それからパタモン。
そこで、パタモンが思い出したように、

「そうだ、良い話もあるんだよ! さっきね……」

と、小さな男の子とデジモンの話を得意そうに聞かせ、さらに賑やかになる3人。
台所に立ったタケルが、ヒカリとテイルモンにだけ聞こえるように言った。

「楽観視のしすぎは良くないけど……あまり考えすぎるのも駄目だよ。 それに、言ってみなきゃ分からない事もあるしね」
「分かってる、大丈夫だよ。 もし何かあっても、絶対にタケル君達に相談するから」
「うん、よろしい」

ヒカリは頬を膨らませ、少し偉そうに返答したタケルの額を指で弾いた。

6空輝:2011/05/10(火) 23:59:27
PHASE4:混乱のデジタルワールド


「はぁっ、はぁっ……!」

昼間とは思えないほど、暗くどんよりとした空。
そして、滝のように流れる雨。
デジタルワールドは今、環境も相まって不穏な気配に包まれている。
豪雨の中を、必死に走り続ける2体のデジモン。

「うわあっ!!」

ぬかるみに足を取られ、1体が勢い良く頭から転んだ。
疲れきった身体は泥に塗れ、思うように動かない。

「リュウダモン、大丈夫!?」

前を走っていたもう1体が、引き返してきた。
紫の毛を持つデジモンは、リュウダモンの手を取り、立ち上がらせようとするが、うまくいかない。

「ドルモン、君だけでも逃げて……このままじゃ追いつかれちゃう」
「駄目だよ! デュークモンと約束したじゃないか! オレ達絶対に生き残るって!!」

ドルモンは強く言い放ち、リュウダモンの手をぎゅっと握る。
リュウダモンの脳裏に、その言葉がよみがえる。

『生き残れ……お前達はこの世界に必ず必要とされる日が来る……その時まで絶対に死ぬな……約束だ』

自分達を守ってその場に残った、聖騎士の後ろ姿。
彼の想いに応えるためにも、生きる事を諦めてはならない。
リュウダモンは顔を上げると、小さく頷いた。

「……ごめん、ボク弱気になってた」

自分を奮い立たせてなんとか立ち上がると、再び走り始める。
だが、目の前にピンク色の鎧に身を包んだデジモンが姿を現し、行く手を遮られた。

「鬼ごっこは終わりだ、アンチプログラム達よ」

淡々と言い放つそのデジモンは、身体についている4本の帯状の刃をドルモン達に向ける。
ドルモンはリュウダモンを背に庇うように立つと、自分に言い聞かせるかのように叫んだ。

「何があっても、オレ達は生きるんだ! お前なんかに絶対負けない!!」
「戯言を……貴様らは、我らのイグドラシルが統治する世界には不要な存在だ。 ここで死ね!」

言葉が終わると同時に、帯状の刃が2体を襲う。
が、それは2体に届くことなく、何かに弾かれた。

「なっ!?」
「ロードナイトモン、この子達には指一本触れさせはしないぞ!」

ピンクの鎧のデジモン…ロードナイトモンが、現れたデジモンを見て驚きの表情を浮かべる。

「ゼロ、貴様も生きていたか!」

左腕のVブレスレットから構築させたバリアで2体を守った、蒼鋼の鎧を纏うデジモン。
アルフォースブイドラモンという名の種族ではあるが、何故かゼロと呼ばれている。
睨み合う両者、先手を打ったのはゼロ。

「シャイニングVフォース!」

胸のV字のアーマーから超熱線を放つが、ロードナイトモンは軽々と避ける。

「この程度の攻撃で私を倒せるとっ……ぐっ!?」

しかし、言葉は死角からの攻撃によって遮られ、ロードナイトモンの身体がぐらり、と傾いた。

7空輝:2011/05/12(木) 00:30:03
PHASE5:開いたゲート


ロードナイトモンは、突然背後から放たれたプラズマ弾に驚き、体勢を崩す。
これを好機と見て、一瞬で距離を詰め、拳を叩き込むのは、黄金の鎧を身に着けたデジモンだった。
彼が先程のプラズマ弾を放った者のようだ。

「マグナモン……! まさか、イグドラシルに最も忠誠を誓っていたはずの貴様も裏切るというのか!」
「裏切る? それは……こちらの台詞だっ……!」

再度の攻撃をなんとか受け流し、距離をとって体勢を立て直すロードナイトモン。
ゼロは背中にドルモン達を庇いつつ、マグナモンは空中から攻撃の隙を窺う。

「お前が裏で何かしている事は分かっている! ロイヤルナイツの使命を忘れ、私利私欲の為に別の世界を巻き込むなど、許してなるものか!」
「何を綺麗事を……。 最早あの世界は『死の進化』が蔓延し過ぎたせいで滅びの道を辿っている。 それを捨て、新たな世界をイグドラシルの元で創ろうというのだ、悪い話ではないはずだ」
「その『死の進化』を起こしているのがイグドラシルじゃないか!!」

ゼロは怒りに燃える目で睨みつける。
だがロードナイトモンは、顔色一つ変えず、むしろ楽しんでいるように笑う。

「ふふ……なかなか良い勘をしているな。 しかし……残念ながら私一人ではないのだよ!!」

その声を合図に、岩山の陰から飛び出してきたデジモンが、マグナモンに攻撃をしかける。
紙一重でそれを避けるマグナモンだったが、今度は上空からのレーザー射撃で被弾し、地上に落下する。

「マグナモン!」
「余所見とは随分と余裕だな、ゼロ!!」
「……くっ!」

急接近してきたロードナイトモンの攻撃をバリアで防ぎ、右腕のVブレスレットから聖なる剣を発生させて振り切る。
ドルモン達を抱えて飛ぶと、マグナモンの側へと着地した。

「大丈夫か、マグナモン!?」

鎧が所々破損してはいるが、命に別状はないようだ。
マグナモンはしっかりと頷くと、最初に攻撃を仕掛けてきた1体に目を向ける。

「デュナスモンもイグドラシル側についていたのか……」
「それだけじゃない、まさかエグザモンまで敵に回るとは思わなかった」

ゼロは上空で狙いをつけている巨大な竜戦士…エグザモンを見て言った。
ドルモン達を守りながら、遠距離射撃の雨の中デュナスモンとロードナイトモンを相手にするのは完全に不利。
そう思ったゼロはすぐマグナモンに向き直り、

「マグナモン、ボクはここで時間を稼ぐ。 だから、君はこの子達をなんとしても守ってくれ!」
「だ、駄目だ! そんな事をすれば君まで……!」
「大丈夫、ボクは簡単にはやられないよ。 まだまだ使命は残っているしね」

フッと笑うと、ゼロの身体が青く輝き、光の竜と化す。
その巨大なエネルギーに呼応するかのように、雷雲が轟き、強烈な光が辺りを包む。

(今だっ!)

マグナモンは覚悟を決めてドルモンとリュウダモンを抱えると、落ちた雷で視界が遮られた瞬間を狙ってその場を離れた。
ロイヤルナイツはマグナモンを除く全員が究極体……激しいバトルは協力なエネルギーのぶつかり合いとなり、天候までも狂わす事があるという。
ただでさえこの豪雨、雷雲が味方してくれたと言っても過言ではない。
これを利用してロードナイトモン達の目を眩ませている間に、マグナモンがこの場を離れる。
ゼロが昔、そういう体験をしたことがあるからこその作戦だった。
だが、この作戦には一つだけ見落としがあった。

「こ、これはっ……」

マグナモン達の目の前には、空間が歪み、空が空でなくなった場所が現れていた。
強い力は雷雲だけではなく、現実世界へのゲートまで発生させてしまっていたのだ。
なんとかしてゲートを避けようとしたが、かなり高いところにいたエグザモンは、ゼロの攻撃を逃れてしっかりマグナモンを捉えていた。
上空から発射されたレーザーが金色の鎧を掠める。
体勢を崩したマグナモン達は、抵抗むなしくゲートに吸い込まれてしまう。

(ゼロ……すまない……)

ゲートの先で見たことのない景色が見えた瞬間、マグナモン達の意識は途切れた。

8空輝:2011/05/14(土) 00:46:35
PHASE6:異変の原因


日曜日の午後、選ばれし子供達はデジタルパートナーズの任務として、パトロールに出かけていた。
光子郎や京は、別の都道府県との連絡をする為に本部で、残りのメンバーは空中組と地上組に分かれて行動を開始した。

本部とはいっても名ばかりで、昨年の高校入学を機に一人暮らしを始めた光子郎の自宅なのだが。

「光子郎はん、どないな感じでっか?」
「そうですね……やはり、この一週間でかなり迷子デジモンが増加しているようです。 それも、東京都に」

テントモンの問いに、光子郎はパソコンの画面に表示された棒グラフを見せながら答えた。
そこには、報告された先月の各地方ごとの統計と、今週の東京都の統計が表示されている。
比べて見ると一目瞭然、後者の方がグラフが長い。
数字自体はたいした事はないのだが、迷子デジモンが増加しているのは良い事ではない。

「ふーむ、おそらく原因は『向こう』にあるようでんな」
「テントモン、何か知ってるの?」

隣の部屋からひょっこりと顔を出し、京が聞いた。

「ワテも聞いた話やさかい、ハッキリとは知らんのやけど……何や近頃デジタルワールドでかなり天気が荒れとるらしいんですわ。 それに、見たことのないデジモン達が暴れとるっちゅう話もあるさかい」
「天気が荒れる……って、どういうこと?」

さらに問う京に、分からない、と首を横に振るテントモン。

「それが、ここ数日報告してくれよったケンタルモンと連絡が取れんのや……」
「じゃあ、最近私達がデジタルワールドに行けないのも……?」
「今回の異常が関係している可能性は高いですね」

光子郎の言葉に、京はパソコンに視線を移す。

春休みの間は何度かデジタルワールドに行っていたが、新学期ということもあり、4月に入ると皆それぞれ準備に追われていた。
大輔達の春休み最後の日、様子を見に行こうとゲートを開いたが、何故か人間はゲートから弾かれ、向こうに行く事ができなかったのだ。
何度も試しても、結果は変わらなかった。
本当はブイモン達だけ行ってもらって様子を見てきてもらう、という案も出たが、戻って来れなくなったときの危険を考えると、無茶をすることもできなかった。
それに京も、大輔達の始業式の翌日に高校に入学したばかりだ。
最年少の伊織も同じ日に中学に入学し、全員が既に新学期を迎えている。

「……やっぱり、今月に入ってから何もかもがおかしくなってる」
「そや、連絡が取れんくなったんも、4月に入ってからやった」

光子郎も何度かゲンナイに連絡を取ろうとしたが、駄目だった事を思い出した。

(やはり、デジタルワールドで何か起こっている……?)

そう口にしかけたその時だった。
隣の部屋にあった京の携帯が鳴り出し、一番近くにいたホークモンが電話に出る。

「こちらホークモンです。 えっ……それは本当ですか? ……はい、すぐにお持ちします。 どちらに向かえば? ……えぇ、分かりました。 では、その公園で……」

険しい表情になるホークモンを見て、京達は顔を見合わせた。
電話を切ったところで、京が声をかける。

「ホークモン、誰からだったの?」

ホークモンは救急箱を手に取ると、2人と1体に向き直って言った。

「タケルさんから、怪我をして倒れているデジモンを2体発見した、との事です」

9空輝:2011/05/15(日) 02:30:50
PHASE7:遭遇


ペガスモンに乗って空中からパトロールをしていたタケル。
何度か迷子デジモンに遭遇したが、全員成長期のデジモンだったため、特に苦戦する事もなくノートパソコンに開いたゲートから送り返した。

「どうした? 浮かない顔をしているが」

ペガスモンに顔を覗き込まれ、少し驚いた表情になる。
別に、と言いかけたが、ノートパソコンを閉じようとした手を止めると、ペガスモンを見る。

「……これでいいのかな、って思って」
「何が?」
「今までは送り返した後も、様子を見に行けたじゃない? でも、今の僕達には向こうに行く手段がない……」

悔しそうに言うと、ぎゅっと手を握り締める。
方法がない以上、考えても仕方がないとは分かってはいるが、それでも考えずにはいられない。
送り返した事で、もし万が一そのデジモンが命を落としてしまっていたら……?

「僕達は……正しいのかな」

その言葉に、ペガスモンは俯く。
そっとタケルに歩み寄り、少し間を置いて顔を上げた。

「正しいとか、正しくないとかは……私達には決められない。 だが、やらなければ人間もデジモンも辛い思いをするだけになってしまう」

全ての人間がデジモンに対して好印象を持っているとは限らない。
中には、デジモンを利用して悪事を企む大人もいないわけではない。
それを防ぐためにも、彼らは組織を立ち上げたのだ。

「結局は僕達の、一方的な都合だよね……それでも、割り切るしかないのか」

自身に言い聞かせるように呟くと、頬をぱしっと叩いて気持ちを切り替える。
そこに、別ルートでパトロールをしていたヒカリとネフェルティモンが降りてきた。

「タケル君」
「ヒカリちゃん……そっちはどうだった?」

聞けば、どうやらヒカリも似たような状況だったらしい。
とりあえず一旦戻ろう、という話になり、2人がパートナーの背に乗ろうとしたその時、D−ターミナルが電子音を鳴り響かせた。
光子郎と京の手によって改良を加えられた今のD−ターミナルには、デジモンが現実世界に迷い込んできた時の微弱な電波をキャッチし、マップに表示させるという機能を持っている。
蓋を開いてみたそれには、新たに2つの点が表示されていた。

「ここからかなり近いみたいね」
「行ってみよう」

ペガスモンとネフェルティモンがそれぞれパタモンとテイルモンに退化すると、2人と2体はマップを頼りに走り出した。
大通りを抜け、狭く入り組んだ路地裏に入ったところで、先行したパタモンが声を上げた。

「タケル、こっち!」

パタモンを追いかけ辿り着いた場所で、彼らは傷つき倒れた2体のデジモンを発見した。
ヒカリが2体の内の1体をそっと抱き上げる。
まだその身体は温かいし、息もしている。

「……生きてるとは思うけど、このままじゃ」
「確か光子郎さんの家に、緊急用の救急箱があったよね」

タケルはポケットから携帯を取り出すと、本部に残った京に電話をかけた。
数回のコールの後、持ち主のパートナーが電話に出た。

「あぁ、ホークモン? 怪我してるデジモンを2体見つけたんだ。 ……うん、それで悪いんだけど、ちょっと救急箱を持ってきてくれないかな? ……えぇっと、じゃあここからすぐの海浜公園に移動するよ。 ……ありがとう、それじゃあ後で」

歩いていける距離にある公園を待ち合わせ場所に指定すると、タケルは電話を切った。
ヒカリが先程抱き上げたデジモンを、タケルがもう1体を抱えると、揺らさないように気をつけながら公園を目指す。
光子郎の家はここからかなり離れた位置にある。
自分達が行くよりも、来てもらった方がおそらく速いだろう、という判断だった。
案の定、ホルスモンに乗ってやってきた京の方が、一足先に公園に辿り着いていた。

「その子達?」

京の言葉に頷くと、ヒカリは救急箱を受け取って、手当てを始めた。

「一体、向こうで何があったのでしょうか」
「目を覚ましたら、話を聞いてみないと。 嫌な予感がする」

昼間だというのに、見上げた空はほんの少しずつ暗く始めていた。

10空輝:2011/05/18(水) 00:02:04
PHASE8:戦いの幕開け


「う、うぅん……」

小さな声にヒカリが振り向くと、手当てをしてベンチに寝かせていた獣型のデジモンがゆっくりと目を開けているところだった。
刺激しないように、少し離れて、そして目線を合わせるようにしゃがみこむ。

「気がついた?」

突然話しかけられたことに驚いたのか、びくりと毛を逆立てるデジモン。
人間を見たことがないのだろう、かなり警戒心を抱いているようにも見える。

「大丈夫よ、アタシ達は敵じゃない」

テイルモンが気を利かせ、ヒカリの前に進み出る。
自分に巻かれた包帯とテイルモン達を交互に見て、自分を助けてくれたのが彼女らではないか、と考えたのか、少し警戒を解いて言った。

「ここは……どこなの? 君達は何者なの?」

ヒカリとテイルモンが手短に説明をしていると、もう1体のデジモンも目を覚ました。
お互い無事であった事に喜ぶ2体。
さらに、話を聞いて信用してくれたのであろう、2体は自己紹介をしてくれた。

「オレはドルモン、それでこっちがリュウダモン。 オレ達、ロイヤルナイツから逃げてて、それで、途中で助けられたんだけど……」

ドルモンは、そこで区切ると、辺りをきょろきょろと見回し始めた。

「どうしたの?」
「オレ達以外に、金色の鎧のデジモン、見てない?」

ヒカリは申し訳なさそうに首を横に振る。

「ううん、私達は見てないわ。 ……タケル君、金色の鎧のデジモンって、今日見かけた?」
「いいや……さっき迷い込んで来たのも、君達だけだったしね」
「……そう……」

ドルモン達は俯いて黙り込んでしまう。
しばしの沈黙を破ったのはパタモン。

「ねぇ、今ロイヤルナイツって言ってたよね。 それって、何なの?」
「よく分かんない。 組織か何かだとは思うけど、オレ達を襲ってきたのも、助けてくれたのも、どっちもロイヤルナイツなんだ」
「じゃあ、仲間内で対立してるってことなのかな……」

タケルの意見に、同意の意思を見せるリュウダモン。

「なんか、裏切るとかどうとか……言い合いもしてたから、そうかもしれない」

タケルとヒカリは、顔を見合わせた。
ここ数日の異変の原因は、もしやそのロイヤルナイツが関係しているのではないか、と。
あれこれ考えていると、地上を回ってパトロールをしていた伊織とアルマジモンが、京の姿を見て駆け寄ってきた。

「京さん、こんなところでどうなさったんですか?」
「迷子デジモンが怪我してたらしくて、ちょっと救急箱を届けにね」

京が、ドルモン達から話を聞いているヒカリ達を指して言った。
伊織はどうしてここに?と聞き返す。

「僕達は一通りこの地域を回っていたのですが、光子郎さんの家にいるはずの京さんを見かけたので何かあったのかと……」
「はは、ごめんね。 特にたいした事はなかったわよ。 そっちも大体一区切りついたのなら、戻ろっか」
「そうですね」

皆で相談した結果、ドルモン達はとりあえず怪我が治るまでタケルの家で預かるということになった。
正直怪我が治っても、デジタルワールドに送り返すのは気が引けるが、今は考えても仕方がない。
その時、再びD−ターミナルから電子音が鳴った。

「もう、変なタイミングで……」

愚痴りながらマップを見た京だったが、言葉を失い、その目が見開かれる。

「京さん? どうしたんですか?」

タケルが後ろからD−ターミナルを覗き込む。
すぐにタケルも似たような反応をした。

「これは……」

デジモンの反応が、都内のあちこちでキャッチされているのだ。
その数は数十にものぼる。
D−ターミナルが故障したのではないかと考えてもおかしくないぐらいだ。
だが、そんな望みは一本の電話でかき消された。

「はい、京ですけど……」
『京君、大変です! 今までとは比べ物にならないぐらいの強力なエネルギーを感知しました! 今海浜公園にいるのでしょう? その周辺に無理やりゲートが開く恐れがあります……気をつけてくださ……』
「え、ええええっ!? 光子郎先輩、ちょっと待っ……」

後半はノイズが酷くなり、通話がぶちりと切れる。
同時にドルモン達がベンチから飛び降り、海に向かって唸りを上げる。

「どうしたの!?」
「何か来る!」

空間がねじれ、空に別の世界の景色が映し出される。
まるで鏡が割れるかのように、そこにヒビが入り、何かが飛び出してきた。
その姿を見て、ドルモンとリュウダモンが声を上げた。

「お、お前……っ!!」

11空輝:2011/05/23(月) 21:02:26
PHASE9:陸の孤島


ねじれた空間から飛び出してきたのは、ピンク色の鎧に身を包んだデジモン……そう、ロードナイトモンだった。

「なんで……なんでっ……」
「……何故私が生きているのかと、そう言いたいのだろう? 残念だが、あの程度の攻撃でやられるほど、私も落ちぶれてはいないよ」

やはり何か楽しんでいるように見受けられるロードナイトモン。
しかし、側にいたタケル達を見て、少し顔色を変えた。

「む……人間? という事は、どうやらここは話に聞いていた人間界で間違っていないようだな」
「……もしかしてお前は、ロイヤルナイツなのか?」

タケルの問いに、いかにも、と答える。

「私はロードナイトモン……人間よ、大人しくその2体をこちらに渡せ。 そうすれば命だけは助けてやろう」
「何故この子達を狙っているんだ? お前の目的は、一体何なんだ!?」
「……貴様如きに、そこまで答えてやる義理はない。 素直に大人しく従えば良い」

タケルは、D−3を握りしめ、後ろにいたヒカリ達に目配せする。
3人は頷き、それぞれD−3を手に取る。
ロードナイトモンを強く睨みつけ、テイルモンが言った。

「嫌だと言ったら?」
「ここで死んでもらう!」

言うが速いか、ロードナイトモンの肩や胸から出ている4本の帯状の刃が、それぞれテイルモン達に向かって放たれる。
それを散開して避けると、D−3からの進化の光を受け、パタモン達が成熟期へと進化する。

「パタモン進化!エンジェモン!!」
「ホークモン進化!アクィラモン!!」
「アルマジモン進化!アンキロモン!!」

姿を変えた3体に、驚くロードナイトモン。

「進化の光だと……!? まさか奴の言っていた選ばれし子供……ならば」

ロードナイトモンは舌打ちすると、その手を広げて、開いたゲートにエネルギーを送る。
激しい光の後、ゲートからさらにデジモンが現れた。
その姿は、デジタマモンに見える。
だが、何か禍々しい力を感じ、テイルモンは眉を顰めた。

「あいつは究極体だ、成熟期のアタシ達で戦うよりは、ジョグレスした方がいい!」

テイルモンの言葉に全員が賛同する。
頭数は減ってしまうが、紋章の力がない以上エンジェモンとテイルモンは超進化できないし、アクィラモンとアンキロモンは完全体に進化できるかどうかも分からない。
他にデジモンの反応があった地点に今すぐにでも行きたいのは山々だが、逃げるだけで切り抜けられるほど簡単ではない、と皆がそう考えていた。

『アクィラモン、テイルモン、ジョグレス進化っ! シルフィーモン!!』
『アンキロモン、エンジェモン、ジョグレス進化っ! シャッコウモン!!』

現れた2体を見上げ、リュウダモンが驚きの声を上げる。

「君達は逃げずに……立ち向かうの?」
「僕達がここで逃げても、何にもならない。 この街にはたくさんの人間や、そのパートナーデジモンがいるんだ。 戦う力があるのに戦わずに目を背けるなんてできない」

さらに強くD−3を握るタケル。
伊織達も同様の表情を浮かべている。
そんな彼らを見て、ロードナイトモンは嘲笑する。

「心配せずとも、ここから逃げられはしない」

ロードナイトモンが大きく手を振りかぶると、周囲が霧に包まれ、タケル達は閉ざされた空間の中に隔離されてしまった。
携帯電話はもちろん、D−ターミナルの通信機能も遮断され、完全に陸の孤島となる。

「さぁ、これでも強がっていられるか?」

ずどん、と音を立てて着地するデジタマモン。
しかし、その大きさは普通のデジタマモンの比ではない。
シャッコウモンよりはさすがに小さいが、シルフィーモンよりは一回りも二回りも大きい。
それに、殻の中央にぽっかりと空いた黒い部分から、何か嫌な気配が漂ってくる。

『何だ……? 本当に、デジタマモンなのか……?』

シルフィーモンは疑いの目を向ける。
ロードナイトモンをちらりと見ると、怪しげな笑みを浮かべている。
何かある。
そう思ったその時だった。

12空輝:2011/06/01(水) 00:45:05
PHASE10:暗黒の力、デビタマモン


頭の中に直接響いてくるような、そんな叫び声と共に、デジタマモンが変貌していく。
タマゴの形をしていたはずなのに、翼が生え、尾が生え、そして四肢が殻を突き破って生えてくる。
最後に、中央から複数の目を持つ頭がゆっくりと現れ、もう一度咆哮した。

「……暗黒進化……」

ヒカリが、震える声で呟いた。
その言葉にハッとなって、京はデジタマモンであったものを見た。

「あいつは、デジタマモンが暗黒進化した姿ってこと!?」

ヒカリは多分そうかもしれない、と答える。
それを聞いていたのか、ロードナイトモンが付け加えるように言った。

「そいつの言う事は間違ってはいない。 デビタマモンはデジタマモンが暗黒進化した姿だと言われている」
「そんなっ……元には戻せないの!?」
『アグモンの時とは違います! ここに来る以前から、暗黒の力そのものを受けて進化している……我々にできるのは、早く解放してやることだけです!!』

シルフィーモンはそう叫ぶと、円を描くように両手を動かし、エネルギー弾を放った。

『トップガン!』

しかし、攻撃はデビタマモンの腕の一振りでかき消される。
強烈な風圧で、シルフィーモンの身体が宙へと浮く。
吹き飛ばされるところを、なんとかシャッコウモンが受け止めた。

『大丈夫きゃ?』
『す、すまない……』

シルフィーモンを降ろすと、シャッコウモンの目が紅く光り、

『アラミタマ!』

と、デビタマモンに向けて光線が発射される。
しかし、デビタマモンはそれを飲み込むかのように吸収していく。
それを仕返しとばかりに、同じ技を返され、シャッコウモンの巨体が大きく揺れた。

「シャッコウモン!!」

伊織の声に励まされるようにして何とか踏ん張るが、たった一撃でかなりのダメージを負ってしまっている。
その様子を、上空から見下ろしているロードナイトモン。

「弱い……これが選ばれし子供と、そのパートナーの力だというのか? 何故奴らはこの程度の者達の力を恐れているのだ……」

シャッコウモンとシルフィーモンは体勢を立て直すと、同時にデビタマモンに向かって攻撃を仕掛ける。

『ニギミタマ!』
『デュアルソニック!』

シャッコウモンは腰部から車輪のようなものが射出し、空中に飛び上がったシルフィーモンは落下するスピードを利用して発生させた衝撃波を放つ。
デビタマモンはゆっくりと歩みを進め、反撃と言わんばかりに全ての眼から邪悪なエネルギーを放った。

「カオスアイ!」

攻撃が弾かれ、残ったエネルギーが2体を襲う。

『うわああああっ!!』
「シルフィーモン、シャッコウモン!?」

その力の大きさに耐え切れず、ジョグレスが強制的に解除され、退化する。
ロードナイトモンは、パートナーに駆け寄ろうとするタケル達を遮るかのように立ちはだかった。

「っ……」
「威勢がいいのは最初だけか……失望したよ」

タケルと伊織が、京とヒカリを背に庇うようにしてロードナイトモンと向き合った。
恐れず怯まず、ロードナイトモンを睨みつける2人の姿に、何故か驚いているように見える。

「その目……不愉快だ! 弱者にはもう用はない!!」
「みんなっ!!」

ロードナイトモンの手が2人に迫ったその時、小さな影が飛び出した。

13tool::2011/06/01(水) 02:46:46
初めまして、空輝さん。
楽しく読ませていただいております。

この小説は、ゼヴォリューションの要素を踏まえられており、02afterを扱った小説が多い中でも、とても異色でシリアスさが漂っているように思えます。
そして、自分の感性にグッときました。

次を楽しみにしています。
応援していますよ。

14空輝:2011/06/08(水) 00:12:05
toolさん初めまして。
感想ありがとうございます。

ゼヴォの内容や世界観がとても気に入っていたので、うまく02の世界観と合わせることができたら、と思っています。

応援のお言葉、ありがとうございます。
とても励みになります。
これからもよろしくお願いします。

15空輝:2011/06/08(水) 00:13:17
PHASE11:プログラム解放


「メタルシュート!」

ドルモンの放った衝撃波が、ロードナイトモンの手を止める。
その隙にリュウダモンがロードナイトモンの懐へと入り込み、鉄の刃を放った。

「居合刃!」
「ちっ……貴様ら!」

腕でガードし、後ずさりするロードナイトモン。
ドルモンとリュウダモンの目には、強い決意が宿っている。

「無茶をしては駄目です! 君達は怪我をしているんですよ!?」

伊織の声に振り向くと、ドルモンは笑った。

「助けてもらった恩は返すよ。 オレ達だって、戦う力があるんだ」
「生き残るには逃げてばっかじゃ駄目だって……君達を見て思ったよ」

2体はロードナイトモンに向き直ると、絶妙のコンビネーションでかく乱する。
その隙に、パートナーと合流する子供達。

「テイルモン……」
「ご、ごめんヒカリ……今の私達じゃ、あの巨大なエネルギーに敵わない……」

以前チンロンモンの力をもらった事が幸いしたのか、幼年期までの退化には至らなかった3体と、元に戻ったテイルモン。
想像以上の力の差だったのか、全員ぐったりとしている。

「どうすればいい? 僕達はパートナーの為に何をしてやれるんだ……っ?」

悔しそうに呟くタケルを、腕の中のパタモンが心配そうに見上げる。
視線を追った先には、ロードナイトモンと交戦するドルモンとリュウダモンの死角から迫ってくるデビタマモンがいた。

「危ないっ!!」

タケルとパタモンが同時に叫んだが、時既に遅し。
デビタマモンが大きく薙いだ腕が、2体の小さな身体を弾き飛ばした。

「うああああっ!!」

地面に叩きつけられた2体だが、それでも尚持てる力を振り絞って、立ち上がろうとする。
その姿に勇気付けられたのか、パタモン達も痛む身体を気力で支え、戦う意思を見せた。

「み、みんなっ……」

5体の成長期と1体の成熟期が、2体の究極体を前にして一歩も引かず睨み合う。
その心に恐れを抱いたのは、究極体であるはずのロードナイトモンだった。

「何故だ……何故こうも向かってくるのだ……弱者は弱者らしく、這い蹲っていればいいのだ!」

収縮したエネルギーを右手へと集め、高く手を振り上げたロードナイトモン。
瞬間、4人の持つD−3から、溢れんばかりの光が辺り一面に広がった。
その光が束になり、一直線にドルモンとリュウダモンを包み込む。


――景色が変わる。


目の前にそびえ立つ白いモニュメント、暗闇に光る8つの目。
宙に浮かぶ光の珠、その数もまた、8つ。

『これが必ず、再び彼らに必要な時が来る』

響く声、与えられた使命。

『同時に、お前達も新たな段階へと成長できるだろう』

全てはこの世界の為に。
最後に聞こえた声は、どこか寂しそうだった。


――遠のいていく、懐かしい記憶。


意識が戻った時、進化の光を受けた2体は、新たな姿を得ていた。

16空輝:2011/06/11(土) 00:40:47
PHASE12:熾天使降臨、聖竜乗雲


「リュウダモン進化、ギンリュウモン!」
「ドルモン進化、ラプタードラモン!」

リュウダモンの身体は黄色から漆黒に変色し、和風の鎧を身に纏っている。
ドルモンの身体は随分と大きくなり、全身を硬い金属で覆っているようだ。
幼さの残っていた以前の姿とは違い、野性味溢れる力強い目でロードナイトモンに向き直った。

「聖なるデバイスの力を取り込んで、己の力としたか……! だというなら、尚更貴様らは即刻消去せねばならん!」

ロードナイトモンは、ラプタードラモンに接近し、収縮させたエネルギーを放つ。
だが、間に割って入ったギンリュウモンが、鎧で弾きながら力いっぱい体当たりを食らわした。

「うおおおおおっ!」

ギンリュウモンと入れ替わるようにして、突撃するラプタードラモン。

「ぐっ……まだまだぁっ!!」

最初の攻撃でよろけたロードナイトモンだったが、追撃を受け止めると、右腕でラプタードラモンの首を乱暴に掴んだ。
力が弱まったその隙を見逃さず、

「食らえ……アージェントフィアー!!」

右腕からゼロ距離で衝撃波が発せられ、攻撃を受けたラプタードラモンが一瞬仰け反った。
一瞬、余裕の表情を見せたロードナイトモンに、見えない場所から放たれた鉄の槍が迫る。
それを間一髪で避けたが、槍は後ろにいたデビタマモンの、丁度目のひとつに突き刺さった。
辺りに響き渡る絶叫。
ロードナイトモンがそちらに気を取られた瞬間、体勢を立て直したラプタードラモンが飛び掛かる。

「ちっ!」

しかし、その攻撃が届く前に、4本の帯刃がラプタードラモンに襲い掛かった。
再びギンリュウモンがラプタードラモンの前へと飛び出し、その鎧で全てを受け流す。
攻撃に特化したラプタードラモンと、防御に特化したギンリュウモン。
さらに高まったコンビネーションに、ロードナイトモンも少なからず驚いているようだ。

「ふん、なかなか良い動きをする……しかし、所詮は成熟期か。 如何せん攻撃力に欠けているな」

ロードナイトモンの言葉に、ラプタードラモン達は苦い顔をする。

「駄目だ……このままじゃどのみちやられてしまう」
「……いや、一つだけ手がある」
「え?」

ギンリュウモンは、先程の記憶を思い出しながら、ラプタードラモンの目をまっすぐに見返す。

「君も見たハズさ。 ボク達が新たな段階に成長、つまり進化したという事は、持ち主が必要としている時……賭けてみようよ」

ラプタードラモンは小さく笑うと、やるしかないか、と呟いた。
2体は頷き合うと目を閉じ、力を集中させていく。

「何をこそこそと……デビタマモン!」

指示に応えて咆哮すると、辺りに発生した黒い霧が無数の矢に変化し、2体目掛けて降り注いだ。
京達が逃げろと叫んでいるが、それでも動かない。
あと数メートルというところまで矢が迫ったその時、

「持つべき者の所へ帰れ……『紋章』よ!」

言葉が終わるのとほぼ同時に、2体の身体が進化の時よりも強く輝き、伸びる光が交わりながら上空の霧を貫く。
その光の強さに、霧から生まれた矢は全てかき消され、デビタマモンとロードナイトモンは動きを止めた。

「な、なんだ、この力は!?」

上空で光は8つに分裂し、空を駆けるように飛び散っていく。
その内の2つの光が、タケルとヒカリのD−3へと吸い込まれた。
浮かび上がってきた見覚えのあるマークに、2人は驚きの声をあげる。

「これは……希望の紋章!?」
「光の紋章……! どうして……!?」

D−3の光が、紋章と共に2人のパートナーへと伸びていく。
光を受けた2体は、身体中に力が戻ってくるのを感じた。

「いける……これなら『究極体』に進化できる!!」

パタモンとテイルモンの身体を包む光が大きくなり、それが全く別の姿をかたどっていく。
ひとつは人を、ひとつは獣を。
それを見たギンリュウモンとラプタードラモンは、疲労が限界に達したのか、その場に倒れこんだ。

「ギンリュウモン! ラプタードラモン!」
「やっぱり君達が、紋章の元の持ち主だったんだね……確かに届けたよ……」

駆け寄ったタケルとヒカリの頭上を、黄金に輝く10枚の羽根を持つ天使と、桜色の美しい毛並みを持つ竜が通過し、デビタマモンとロードナイトモンに攻撃を仕掛ける。

「奴ら……何をしたというんだ!? 一体何が起こったのだ!?」

余裕がなくなり、焦りと動揺を隠せないロードナイトモンは、聖竜に対して帯刃を放つ。

「この状況が全てだ!!」

だが、聖竜の口から吐き出された炎が、帯刃を焼き尽くす。
形勢逆転。
この空間を包んでいた霧も、少しずつ晴れ始めていた。

17空輝:2011/06/22(水) 00:47:20
PHASE13:弱肉強食


天使が両手を天に掲げ、念じると、光の粒子が傷ついたラプタードラモン達の傷を癒す。

「タケル君、ヒカリちゃん! あのデジモン達って、確か……」
「セラフィモンと、ホーリードラモン……だね。 覚えてるよ」

4人が思い出したのは、大切な友達とはぐれ、孤独に生きてきたデジモンとの戦いだった。
そこでエンジェモンがセラフィモンに、エンジェウーモンがホーリードラモンに、不思議な力で一時的に究極体に進化したのだった。
あの時は上手く制御できなかったが、今度は紋章の力で安定したエネルギーを保っている。

「アポカリプス!!」

ホーリードラモンの咆哮に応えるかのように、雲の隙間からロードナイトモンとデビタマモンに向かって雷撃が落ちる。
聖なる雷に身体を焼かれ、苦しげな声を上げる。
薄れゆく意識の中でロードナイトモンは、デビタマモンを己に貸し与えた存在の言葉を思い出した。

「……古の邪悪を詰め込んだ……パンドラの箱……」

視界の端に、怒り狂って暴れるデビタマモンが映る。
光と闇がもし表裏一体だというのなら、二体の究極体の出現で聖なる力が高まったこの場所を、負の感情で満たしてしまえば、一体どうなるだろう?
ロードナイトモンは意識を必死に引き戻してなんとか着地すると、4人の方へと駆け出す。

「デビタマモン、人間の方だ!」

力を振り絞って叫んだ声に、振り向き迫ってくるホーリードラモン。
セラフィモンは子供達を庇うようにデビタマモンの前に進み出る。
ホーリードラモンの攻撃を紙一重で避け、デビタマモンへと向かう。

「しまった!」

急ブレーキをかけ、向き直るホーリードラモンを尻目に、デビタマモンへと指示を出す。
それに応えたデビタマモンは、セラフィモンに向かって突進し、動きを封じこめようとする。

「ディバインブレイカー!」

セラフィモンは片腕でそれを受け止め、もう片方の腕から放った光の珠を、デビタマモンの顔に叩きつけた。
パリッ、という音を立てて、デビタマモンの身体にヒビが入り、さらにノイズが奔る。
それでも動きを止めず、デビタマモンは、全身から暗黒のガスを放射した。

「……くっ!?」

もう一撃加えようとしたところでガスに包まれ、セラフィモンはそれを振り払いながらその場を飛びのく。
しかし、何故か空中でバランスを崩し、がくん、と身体が揺れる。

(な、なんだ……?)

強力な攻撃というわけではなかったはずだが、セラフィモンは一瞬で体力を消耗してしまったような錯覚を感じた。

「きゃあああっ!」

突如聞こえた悲鳴に、ハッとなって地上に目を向ける。
ロードナイトモンが進路をデビタマモンから変え、京とヒカリを狙って接近する。
いち早く気づいたギンリュウモンが鎧で攻撃を受け流し、ロードナイトモンは飛びのいた。

「お前……最初からこの子達を狙っていたな!? 戦う力のない者を狙うなんて、それが騎士のする事なのか!?」

怒りに震えるギンリュウモンの問いに、面食らったような表情をした後に笑い始めた。
まさか本当に狙い通りになるとは思いもよらなかったのもあるが。

「お前達の中では、デジモンを進化させる力を持つ人間達は、本当に戦う力のない者なのか? まずこの戦いの場にいる時点で、いつ命を落とそうが覚悟しているはずだろう? そもそも、戦いに綺麗も汚いもない……あるのは、弱者が死に強者が生き残るという理だけだ」

ロードナイトモンの言葉が各々の胸に深く突き刺さった。
黙り込む彼らを、ホーリードラモンは叱咤する。

「あいつの言う事を鵜呑みにするな! 私達には私達の戦い方がある!」

その声に奮い立たされるように、なんとか全員が再び戦いへの意思を取り戻した。
ロードナイトモンはそんな彼らと今にも崩壊しそうな身体を交互に見て、舌打ちする。

「しかし……まさかこれほどまでにダメージを受けるとは思っていなかった。 だが、たとえ刺し違えても貴様らだけは逃がさん……私は二度も失敗を犯す訳にはいかんのだっ!」

そう言いながら、ラプタードラモンとギンリュウモンへ視線を向けた。

「それはオレ達が、アンチプログラムというやつだからか?」
「ふん……分かっているなら、我らがイグドラシルの為にその身を捧げよ!!」

今までよりも強いエネルギーを身に纏い、ロードナイトモンは突撃する。
これで、おそらく最後。
ラプタードラモン達もそう思っていた。
その攻撃を耐え、こちらの渾身の一撃を加え、それで終わりにする。

そう、終わるはずだった。

18空輝:2011/06/30(木) 21:25:29
PHASE14:闇に堕ちた者

「――ああああああ!!」

耳を劈くような悲鳴、いや雄叫びだろうか。
声の主はロードナイトモンに向かって突っ込んでいく。
上体を捻って右腕を腰辺りで構えるように下げ、接触の瞬間に勢い良く突き出す。
それは全て、ほんの数秒。
ラプタードラモン達はもとより、ロードナイトモンも、一体自分に何が起こったのか分からなかった。
だが、自分のデジコアを正確に貫いた天使が、自分よりも苦しそうに呻いているのを見て小さく笑う。

「そうか……『ルーチェモン』が言っていた古の邪悪とは、お前の事だったのか……」

ロードナイトモンの身体は、デジコアがあった胸の辺りを中心に、少しずつデータの欠片となって散らばり始めている。
その近くには、同じように身体が崩壊を始めているデビタマモン。
おそらく、傷ついた身体は増幅した暗黒の力に耐えられなかったのだろう。

(結局、己の目的は達せず、奴らに有利な状況を与えてしまっただけか)

ロードナイトモンは自嘲気味に笑った。

「セラフィモン!」

突然の出来事に、思考も行動も全て止まっていたラプタードラモン達だったが、タケルの声で一斉に我に返った。
ロードナイトモンに致命傷となる一撃を加えたのは、セラフィモン。
しかし、明らかに様子のおかしいセラフィモンに、誰もが恐怖を感じて動けなくなっていたのだ。
駆け寄ろうとするタケルの行く手を、ホーリードラモンが阻む。

「今セラフィモンに近づいては駄目だ!」

「どうして!? あんなに苦しんでいるのに、放っておけっていうの!?」

頭を抱え、必死に何かに抵抗しているような姿を見て、ホーリードラモンは悔しそうに目を閉じる。

「タケル……あいつから感じるのは、聖なる力じゃない……暗黒の力だ」

その言葉に、京と伊織が声を上げる。

「暗黒の力って……」
「そんな……セラフィモンが暗黒のデジモンなハズがないじゃないですか!」

ヒカリは二人とタケルを交互に見るが、どちらにもどう声をかけていいかわからず、顔を伏せた。
バラバラになる彼らに、ロードナイトモンは気まぐれからか、最期の力で話しかける。

「……貴様らがどうなろうと構わんが……一つだけ教えてやる。 この世界を狙っているのは我らだけではない……」
「え……?」
「せいぜい足掻いてみせろ、人間とそのパートナーよ」

(『フォーマット』が先か、暗黒の支配が先か、それとも……この状況をどう切り抜くのか、楽しませてもらおうか……)

言葉が終わるとほぼ同時に、ロードナイトモンとデビタマモンが完全に消失した。
だが、話を吟味する暇はない。
苦しみから解放されたのか、ゆっくりと立ち上がったセラフィモンの身体を、黒い霧が覆う。

「うあっ……!」

タケルの右手に激痛が走り、持っていたD−3を落とす。
カツン、と音を立てて地面に落ちたそれに浮かび上がっていた希望の紋章は薄れ、そして本体ごと跡形もなく砕け散った。
驚き、言葉を失うタケル達。
さらに、黒い霧によってセラフィモンの黄金の羽根が、どんどん禍々しい悪魔のような翼へと変化していく。
蒼い鎧は緑へと変色し、こちらを向きながら頭部の十字にセラフィモンが手をかざすと、音もなく静かに傾き、×印になる。

「セブンヘルズ!」

セラフィモンは7つの超熱光球を作り出すと、何の躊躇いもなくタケル達に向かって放った。
ホークモン、アルマジモンはアクィラモン、アンキロモンに再び進化し、デジモン達が渾身の技で応戦する。
しかしどの攻撃もかき消され、タケル達を庇って彼らはその場に倒れた。
一歩一歩近づいてくるセラフィモンに、タケルは前に飛び出して必死に呼びかける。

「目を覚ますんだセラフィモン!! 僕の声が聞こえないのか!」

反応は全くない。
標的をタケルに変えたのか、彼の首を掴んで力を込める。

「ぐっ……こ、応えてよ……僕が分からないの……?」

動揺したのか、ほんの少し力が緩む。
だが、すぐに落ち着きを取り戻したのか、先程よりも強い力で首を絞められる。
飛びそうになる意識の中、タケルはセラフィモンの奥に、小さなパートナーの姿を見た。


(……ねぇ、パタモン……)


囁くように言った言葉は、セラフィモンの心を揺さぶる。
そのおかげで力が完全に緩み、タケルは何とか抜け出す。
セラフィモンは再び苦しそうに頭を抱えると、叫びを上げてその場から飛び去っていく。
その姿を、様々な想いで見つめる5体と4人。

辛くも戦いには勝利した彼ら。
しかし、ロードナイトモンの最期の言葉や、セラフィモンの変貌など、多くの問題を抱える結果となった。

19空輝:2011/07/06(水) 01:47:20
PHASE15:赤き竜戦士


時は少しさかのぼり、タケル達とは別の場所をパトロールしていた大輔と賢。
空から小学校の校庭で暴れるダークリザモンを見つけ、2人とそのパートナーは急いで降り立った。
ちょうど地域の少年野球チームが練習をしていたところだったようで、賢とスティングモンは子供達の避難に、大輔とエクスブイモンはダークリザモンを止める為に動いた。

「あー! あれって、東京湾で見たデジモンだーっ!」

エクスブイモンとスティングモンを指差して、子供達がはしゃぎ始める。
その様子を、苦笑いで返しつつ、賢は大人達に協力してもらって、子供達を校庭から離れた場所へと向かわせた。

「こっちは多分大丈夫かな……」
「これだけ離れればもしダークリザモンが攻撃してきても届かないさ。 後は大人達に任せて、大輔達を援護しよう」

そう言ったスティングモンに対して頷くと、その手に乗ってダークリザモンの方へと移動する賢。
背中にかかる、子供達の声。

「かっこいいー!」
「兄ちゃん達が言ってたデジタルパートナーズって、もしかしてあの人たちかなぁ?」
「絶対そうだよ!! 頑張れーっ!」

どうやら自分達は、小学生の間ではヒーローのような存在らしい。
少し照れた笑みを浮かべたが、スティングモンはすぐに気を引き締める。
ダークリザモンを挟むように、エクスブイモンの反対側へと回った。

「ドレッドファイア!」
「エクスレイザーっ!!」

ダークリザモンの放った闇の炎と、エクスブイモンの放ったエネルギー波が交錯し、激しい光が視界を奪う。
賢を地上に降ろし、スティングモンが動きの止まったダークリザモンを後ろから羽交い絞めにする。
じたばたするダークリザモンの正面に、大輔がゲートを開いておいたノートパソコンを向けた。
すると、パソコンから溢れ出す光に包まれるようにして、ダークリザモンの身体がデータとなって吸い込まれていく。
少しして光が落ち着いたところで、大輔はゲートを閉じた。

「へへっ、一丁あがり〜!」

白い歯を見せて笑う大輔。
ここに来るまでにも、すでに何体かのデジモンをデジタルワールドへと送り返している。
この辺りで他のメンバーに連絡でも取ろうか、と考えた矢先だった。



校庭のフェンス越しに見える信号機や、周囲の街灯がバチッという青白い光を発したかと思うと、狂ったように点灯や消灯を繰り返し始める。
急ブレーキの音が聞こえ、一台の自動車がドリフトをしながらフェンスへと激突する。
エクスブイモンとスティングモンはすぐに飛び立ち、自動車同士が正面衝突をしそうになったところを間一髪で掬い上げた。
あまり車の通りが少なかったのが幸いしたのか、自動車が何台か壊れてはいるが、死傷者は出ていないようだ。
人々はあまりに突然の異変に驚き、そして恐怖を抱いている。


エクスブイモン達は人々に逃げるように言うと、大輔達の下へと戻る。
賢は光子郎が作っていたという、デジモンから発せられる微量の特殊な電子データを観測するソフトを立ち上げると、異変の原因を突き止める為にデータを取ろうとした。
しかし、本来振り切るはずのないメーターがエラー音を響かせながらMAXを超え、急激な負荷がかかったせいかノートパソコンは熱暴走でシステムダウンを起こす。

「っ……一体何が……」
「!! 賢、アレを見ろ!!」

大輔の言葉に、賢はパソコンから目を離して空を仰ぎ見る。
すると、ゆらり、と空が歪んだ様に見え、実体化を始める巨大な竜の姿が映し出された。

「うぐっ!?」

その姿を見た瞬間、頭に奔った鋭い痛みに、エクスブイモンは呻いた。
記憶の奥深く、大輔と出会うよりも前の時代。
かつての自分は、あの竜を見たことがある。

「竜……帝……?」

ぽつり、と気づかぬうちに呟いた言葉。
振り向いた大輔達。
エクスブイモンの目は、一点を見つめている。
視線を辿り、再び空へと目を移したときには、すでに竜はその姿を実体化させていた。

「狭い……人間とやらの世界は、俺には窮屈過ぎる……」

巨大な槍を持ち、まるで生きているかのように動く4枚の翼。
大輔達の目の前に現れたのは、これまで戦ってきたどの敵よりも巨大な赤き竜戦士だった。

20空輝:2011/07/21(木) 00:39:58
PHASE16:その名は竜帝

「あいつの事、何か知ってんのか?」

大輔の声に、エクスブイモンは我に返り、小さく首を振って言った。

「よく良く分からないけど、どこかで会ったような……微かに覚えているような気がするんだ」

2人と2体に気づいたのか、空中の竜戦士は首をゆっくりと動かし、彼らを視界に捉えた。

「貴様ら、選ばれし子供とそのパートナーか?」

その言葉は大気を震わせ、大輔達の頭の中に直接響くような声で届いた。
大輔と賢は、襲ってくる恐怖に耐え、アイコンタクトを取る。

(大輔……)
(分かってる、オレ達が逃げればあいつは街ごと吹き飛ばすかもしれねぇ)

大輔は勇気を奮い立たせると、竜戦士に向かって叫んだ。

「そうだ! お前こそ一体、何者なんだ!?」
「……この俺を見ても、逃げずに立ち向かうか」

竜戦士は、どうやら大輔達がこの場から一旦退くだろうと思っていたらしい。
だが思惑は外れ、小さな人間が自分に向かって質問を投げ返してきたのに驚き、そして嬉しそうに笑った。

「俺はエグザモン。 ロイヤルナイツの一人にして、全ての竜を統べる者。 竜達は畏怖を込めて俺をこう呼ぶ……『竜帝』とな」

エグザモンは右手の槍を空高くに突き上げ、咆哮する。
それはエグザモンを中心に四方に衝撃波となって広がり、信号機はあらぬ方向に折れ曲がり、街路樹は大きく葉を揺らし、中には根元からボキリと折れるものあった。
エクスブイモン達はパートナーをしっかりと支えながら、なんとか吹き飛ばされずに堪える。
一瞬の静寂ののち、顔を上げた大輔達の目の前には、スピノモンやヴァーミリモン、ヴォルクドラモンなど、様々な竜系デジモンの大群がそこにいた。

「まさか、今の咆哮でゲートをこじ開けたっていうのか……っ!?」

賢は驚愕の表情を浮かべた。
あれだけの数のデジモンと、圧倒的な力を感じるエグザモン。
戦力差は目に見えている。

「賢、ジョグレス進化だ。 日本中のダークタワーを一気に壊せるインペリアルドラモンなら、なんとかできるはずだぜ」

大輔の言葉に頷く賢。
だが、賢は少し不安そうな顔になり、大輔は首をかしげた。

「どうした?」
「あいつは全ての竜を統べる者と言った。 インペリアルドラモンだって竜系のデジモンだ……もし駄目だったら……」
「賢……オレも怖いよ。 だけど、みんなの為なら頑張れる……信じてくれ!」

そう言ったのはエクスブイモン。
そこで賢は、エクスブイモンの方が自分以上に不安を感じているのでは、と思った。
彼も竜系デジモンだ。
かつてアルケニモンと戦いで、ディグモンやスティングモン達、昆虫系のデジモンが操られたときと同じように、エグザモンによって操られてしまうのではないか。
もしかしたらそんな事を考えているのかもしれない。
それでも必死に戦おうとしているエクスブイモン達の為にも、賢は不安をかき消すようにしっかりと頷くと、大輔と共にD−3を掲げる。
2人のD−3の色が変化し、進化の光が溢れ出す。

『エクスブイモン、スティングモン、ジョグレス進化っ! パイルドラモン!!』

青と緑の光が交錯するように天へと昇り、竜と昆虫、二つの力を持った竜人が現れる。
さらに強く輝く進化の光を受け、パイルドラモンはその姿を大きく変化させていく。

『パイルドラモン、究極進化っ! インペリアルドラモン!!』

パイルドラモンの雰囲気を多く受け継いでいるが、大部分を黒き鎧で身を包み、金色の爪を持つインペリアルドラモン。
進化と同時に、背中の砲身からエネルギー砲を発射する。

『ポジトロンレーザーっ!!』

まずエグザモンに向かって放ち、さらに追撃で二発、その左右に放った。
勢いに任せて三連続で放った攻撃は、周りのデジモン達を怯ませてデジタルワールドに送り返そう、という作戦だった。
それはまだデジモンを殺す、という行為に抵抗のある大輔達の苦肉の策でもあった。
しかし、爆風が晴れたそこには、エグザモンと竜系デジモン達が無傷で存在していた。
インペリアルドラモンの攻撃は全て、エグザモンの4枚の翼によって阻まれたのだ。

『そんな、無傷だなんて……』
「残念だったな……この俺の翼、『カレドヴールフ』は俺を守る盾でもある……この程度では破れん」

エグザモンがスッと左手で合図を出すと、竜系デジモン達は思い思いに何処かへと移動していく。

「お前達の相手は俺だ。 皇帝竜よ、『あの時』の決着をつけようではないか」
『あの時……?』

有無を言わせず、行く手を阻むエグザモン。
疑問を振り払って気を取り直し、再び戦闘体勢に入るインペリアルドラモン。

竜帝と皇帝竜の戦いが今、始まる。

21星神男!ninja:2012/02/04(土) 01:16:11
デジモンクロスウォーズアフターミッション!?♪。

22空輝:2012/02/29(水) 02:34:01
お久し振りです。
かなり間が空いてしまいましたが、再び更新させていただきます。
もうすぐクロスウォーズも終わってしまいますし、リ・デジタイズ発売まではなんとかジントリックスや各SNSなどのデジモンが盛り上がるといいですね。
それでは、本編です。

23空輝:2012/02/29(水) 02:35:03
PHASE17:地に落ちた竜


『うおおおおっ!!』

インペリアルドラモンは翼を広げ、エネルギーを砲身にチャージしながら、一直線にエグザモンへと突っ込んでいく。
遠距離からでは、自分達が攻撃をしてから相手に届くまでに防御させる時間を与えてしまうと考え、零距離からのポジトロンレーザーを当てようという作戦だった。
だが、エグザモンには全て筒抜けなのか、その巨体からは想像もつかない速さでインペリアルドラモンの目の前に現れると、右手に携えた巨大な槍『アンブロジウス』を砲身に突き刺した。

『しまっ・・・!!』

槍を引き抜き、エグザモンがすぐに距離をとる。
溜まったエネルギーが暴発を起こし、爆風が辺りを包む。

「インペリアルドラモン!?」

ボロボロの身体がぐらり、と傾いたかと思うと、そのまま地面へと落下する。
駆け寄る大輔と賢、そして、上空から冷めた目でインペリアルドラモンに目を向けるエグザモン。

「弱い、弱すぎる・・・俺の知っている皇帝竜はこの程度ではなかった!」

エグザモンの咆哮に、インペリアルドラモンは負けまいと必死に身体を持ち上げようとする。

『ま、まだだ・・・まだやれる・・・!』
「いいや・・・もう終わりだ」

まるで失望してしまったかのようだった。
エグザモンは槍をインペリアルドラモンに向け、レーザーを発射した。
立ち上がろうとしたインペリアルドラモンに直撃、辺りを黒煙が覆う。

「インペリアルドラモン!!!」

大輔と賢の叫ぶ声。
今度こそ、もう駄目なのかもしれない、という絶望が頭をよぎる。
だが、それは杞憂だった。

『うおおおおおおおおっ!!』

黒煙の中から猛スピードで飛び出し、エグザモンに斬りかかった、人の影。
それを見た2人は歓喜に沸き、エグザモンは驚愕の表情を浮かべる。

「ファイターモードか!」

インペリアルドラモンは黒煙に紛れてモードチェンジし、不意を突く事に成功したのだ。
しかし、それは致命傷とまではいかず、形勢逆転したわけではない。

「偶然とはいえ、俺に傷を負わせた事は誉めてやろう・・・だが!」

エグザモンの槍が、容赦なくインペリアルドラモンの身体を貫く。
そして、槍に内蔵された特殊弾を打ち込み、爆発させた。

『うあああああああっ!!!!』

内側から起こされた爆発を防ぐ術もなく、インペリアルドラモンは地へと落ちる。
彼の身体は光の粒子となり、ブイモンとワームモンに退化してしまった。

24空輝:2012/02/29(水) 02:36:41
PHASE18:奇跡の聖騎士


「ブイモン、ワームモン! しっかりしろっ!!」

駆け寄る大輔と賢に向かって、苦笑いを浮かべる2体。

「わ、わりぃ・・・大輔・・・」
「賢ちゃん、ごめん・・・・・・力が足りなかった」
「そうだ、力が足りぬから、何一つできやしない」

エグザモンの言葉に、振り返る大輔と賢。
いつの間にかゆっくりと降下し、近づいていたエグザモンは、冷め切った目でブイモンとワームモンを見下ろす。

「これまで我らは強き者が生き残り、弱き者が死ぬ戦いの連鎖の中で生きてきたはずだ。
 だが、今は人間共に媚び、まるでペットのように暮らす者がいる・・・・・・お前達のように、な」
「黙れっ! ブイモンはペットなんかじゃねぇ! 俺の大事な友達で・・・パートナーなんだ!」
「大輔・・・」

エグザモンは、無言のまま大輔に向かって槍を構えた。

「ならば、ここでその大事なパートナーとやらと一緒に・・・・・・っ!」

突然、エグザモンが大輔達から一気に距離を取った。
状況の掴めない2人と2体。
だが、自分達を庇うように目の前に姿を現したデジモンが、かつて見た事のあるデジモンだと理解するのにはそう時間はかからなかった。

「生きていたか・・・マグナモン」

黄金の鎧に身を包んだ騎士、マグナモン。
彼もまた、ドルモンやリュウダモンと共に人間界へと迷い込んでいたのだった。

「マ、マグナモン・・・? たしか、キメラモンとの戦いの時に・・・」

まだ賢がデジモンカイザーだった時、最強最悪の敵として立ち塞がったキメラモン。
それに対抗する手段として、カイザーの要塞に安置されていた、とあるデジメンタルでブイモンがアーマー進化したデジモン。
また、大輔はハッキリ覚えていないが、その前に遠い異国の地で出会ったこともある。

「エグザモン、人間に関わるなと言うのなら、人間界から出て行くのが一番だ。 なのに、何故わざわざ彼らの世界を滅ぼすことまでしなくてはならない?」
「俺達が関わらずとも、人間達から必要以上に関わってくる。 ならばその根源を断ち切れば、あとはイグドラシルがどうにかするだろうさ」
「それでは『あの世界』の二の舞だ! あのようなイグドラシルが勝手気ままに創り出した秩序の世界は、偽りに過ぎない!!」

マグナモンは勢いに任せてボール状のプラズマをいくつも作り出し、エグザモンに向かって放った。
それを槍の一振りでかき消そうとするエグザモン。
合わせるようにして、マグナモンは渾身の必殺技を放つ。

「エクストリーム・ジハード!」

全身を覆う鎧が輝き、強力なエネルギーを発射する。
エグザモンは上空へと駆け上がるようにして回避し、マグナモンに向かって急降下した。

「くっ!」

マグナモンは避けようとしたが、後ろに大輔達がいるのを思い出し、力を振り絞って結界を張った。
衝撃波が当たり一面を破壊していく。
だが、マグナモンの結界は大輔達をしっかりと守っていた。

25空輝:2012/02/29(水) 02:37:49
PHASE19:優しさと奇跡


エグザモンの攻撃をなんとかしのいだマグナモンだったが、すでに満身創痍。
今は咄嗟に張った結界のおかげで、エグザモンからは彼らの姿は見えていない。
しかし結界が解けてしまえば、エグザモンに見つかり、逃げることすらできないだろう。
マグナモンは大輔達を見て、何かを思い出したかのように両手を広げる。

「・・・・・・君達の持つ聖なるデバイスを私に向けてくれ」
「聖なるデバイス? あっ、D−3の事か?」

大輔と賢は、マグナモンに向けてD−3を掲げる。
すると、マグナモンの身体が輝きだし、2人のD−3を包み込んだ。

「君達のデバイスの中には、まだ眠っている力がある。 私の最後の力でそれを揺り起こしてやろう」
「! 待ってくれ、そんなことをすればマグナモンが・・・!」

賢の言葉に、そっと微笑むマグナモン。

「デジタルモンスターとは、弱肉強食の理の中、生きるためにあらゆる手段を用いて命をつないできた。
 今に至るまで進化や退化を繰り返し、あるいは手を取り合い、あるいは裏切り、そうやって生きる為の力を常に生み出してきたのだ。
 その中で、人間と共存するという道が一つの答えであったことを、私は信じてみたい」

2人のD−3に、見覚えのある紋章が浮かぶ。
賢のは、彼自身の紋章である、『優しさの紋章』。
大輔のは、マグナモンの鎧にも彫られている、『奇跡の紋章』。

「進化の道は一つではない。 様々な究極体に進化できる者もいれば、究極体を越えた存在へと進化できる者もいる。
 それは、進化の道に乏しいと言われる私や君達のような古代種にも、いつか必ず見つかるだろう・・・紋章の力の意味、正しく理解し、デジモン達を導いてくれ」

消滅するマグナモン。
それと同時に、結界も消え去ってしまう。

「マグナモンめ・・・結界などで俺の目を誤魔化していたか! だが・・・どうやら奴も力不足だったようだな」

データの欠片が風に流れていくのを見て、エグザモンはニヤリと笑う。
厄介者が減ったことに、ほんの少し安堵していたのだ。
大輔と賢は、自分達に想いを託してくれたマグナモンに応えようと、D−3を強く握りしめた。
ブイモンとワームモンも、持てる力すべてを振り絞って立ち上がる。

「まだオレたちに可能性があるなら・・・・・・やってみようぜ!」

2人と2体は頷き合い、紋章に祈るように想いを込めた。

「ブイモン、ワープ進化! インペリアルドラモン!!」
「ワームモン、ワープ進化! グランクワガーモン!!」



2体の究極体の登場と同時に、6つの光が空を駆けていった。

26unlimiedgenue:2013/06/14(金) 22:00:55
損失 次の二つの世代にもわたって、彼の息子と孫は、高級品の世界的なディーラーに組み込まれており、事業を拡大?カルティエのペンはずっと後になったがビブラムでもビブラムいくつかの手や手首を生成していますそれは、地球上のほぼすべてのベースドンから実際に独特ですトーク衣料品の広い範囲を提供するオンラインファッションストアとなっています。 アルマーニのアルマーニのジーンズがその条件でそう彼らの製品の中で最も人気となってすべてのそれらの人のような連中とのスポットになることができて幸運だ。そして

27颯大:2018/08/11(土) 19:34:22
続きは、まだですか


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