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デジモン02 回るメリーゴーランド

63みけ:2008/10/27(月) 01:10:36




燃えるような赤い色の世界を見つめながら、そいつは全神経を自分の家全体に集中させていた。


早く家中の扉を、窓を閉めなくちゃ。この人達が帰ってしまわないように。この人達は僕の寂しさをなくしてくれる。

そうだ、帰らせてはいけない。

帰らせない。


――彼の思考は長年の孤独の中で、柔軟性をなくしてしまっていた。さびついた心は、一度方向を決めるとその先しか考えられないようになっていた。


そうだ、もう寂しいのは嫌なんだ。

この寂しいのをなくすのを邪魔するものは、何が何でも排除しなくては。

例えそれが目の前の人達でも。

だって、寂しいのは嫌なんだから。




彼の家を、生えてくる白い壁が外の世界と遮断する。今まで彼がここまで自分の力を駆使したことはなかった。


....というのも、今まで一度にこんなにたくさんの人間が彼の家に入ってきたことがなかったからだ。それもデジモンを連れて。


実は彼、クーティェンモンは、デジモンと言うものが何か理解をしていなかった。彼の生きてきた中で見たこともないフォルムの不思議な力をもったその生き物達は、いささか彼を怖がらせていたのだ。


しかし今となっては、彼は恐れをなくしていた。元々寂しさ一色で埋め尽くされている彼の内部には、その種類の恐れは干渉し得ない感情だった。

彼が恐れているのは孤独だったからだ。


そして何年か前、孤独だった彼が自分の心を救う方法として考えついたのが、時間の経過をなくすことだった。


誰かといたときから時間がたつのを感じなければ、それは孤独ではない。


そう考えたクーティェンモンは、その望みの強さからそれを実現させる力を得、時の止まった遊園地を作ってきた。


しかし彼がやはり孤独に耐えられずに誰かを遊園地に招き入れる度に、クーティェンモンが気づかない間に時は少しずつ動いていった。

そして光子郎達を招き入れたとき、クーティェンモン自身が大きく変わっていってしまったのだ。次々と自分の催眠から覚めていく子どもたちに、クーティェンモンは孤独への恐怖をさらに強くした。そして、自分でもわからぬ間に、孤独と言うよりもこの子どもたちに対する執着心が芽生えて始めた。


そのため彼は、攻撃される危険がありながらもその場で自分の家を閉じきるという暴挙にでた。


それでもクーティェンモンのさびついた心は、ゆがんだ時間の流れを歩んできたために、本当の望みと反して、『寂しいのをなくすのを邪魔するもの』は何が何でも排除する、という信念を優先させようとしていた。


それが子供達であってもだ。




そんな危険な思想に侵されているクーティェンモンの視界に、ふと気になるものが映った。


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