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デジモン02 回るメリーゴーランド

62みけ:2008/10/26(日) 14:21:51
ヒカリの明るくなった顔を見ながら光子郎も話す。


「僕もなるべくあのデジモンを傷つけたくはないんです。あいつの催眠にかかっているとき、危害を加えたいんじゃなくてただ寂しいだけなんだって事を感じたから。」


あの馬は、僕にずっと背中に乗っていてほしいと思っていた。きっとクーティェンモンと僕はすごく似ていたんだ。


「僕には暗闇から連れ戻してくれるひとがいてくれたけど、クーティェンモンにはそれがいなかったんです。いや、いなくなってしまったのかも....」

「だから、誰か一緒にいてくれるひとが欲しかったのか....」


タケルも目を伏せてつぶやいた。自分にもわかるような気がしたのだ。ヒカリはきっぱりと口を切った。


「なら、早く連れ戻してあげましょう。そしたら私達、力になってあげられるよね」


にっこりと笑うヒカリに、ブイモンもじたばたと手足を動かした。


「そうだよ〜!!早くクーティェンモンも何とかして、みんなで晩飯たべようよ〜!!」

「おれも腹減ったがや〜」


アルマジモンもすまなさそうに退化してしまった。そんなパートナーを抱き上げながら、困りましたねぇとため息をつくイオリ。そう言えば自分もおなかが減った。


「あの、皆さんこれ食べて下さい」


優しくコンビニの袋を輪の中心に押しやる光子郎に、ミミは不満げな声を上げた。


「でもこれ光子郎くんの分じゃない」

「いいんですよ、僕これでも結構食べましたから」


やったー!!とブイモンは袋に飛びついた。おいブイモンと顔をゆがめる大輔も、そのうまそうな様子に思わず表情を緩める。それを合図にかんぴょう巻きは次々と一同の手に渡っていく。

最後までしぶっていたヤマトも、きゅ〜とおなかが鳴るのに耐えられず、一本だけ手に取った。




「僕達は電車の中で軽く食べてきたから大丈夫」

「そうね、ネフェルティモン」

「ええ」

「僕達で先に光子郎の作戦を試してみよう」

タケルとペガスモン、ヒカリとネフェルティモンは立ち上がった。


「僕らも太一さんのお母さんに食べさせてもらってきたし」

「助っ人だからね」


賢とスティングモンも身を起こした。それを見て光子郎も立ち上がる。


「ではこのメンバーで役割分担しましょう。幸いみんな飛べるデジモン達ばかりだし」

「ちょーっと待ったあ!!」

「おわっ」


まだかんぴょう巻きを口いっぱいほおばる青いパートナーをひっつかんで、大輔もそのメンバーの中に飛び込み、ちゃっかりヒカリの隣をマークした。光子郎は目を丸くし、賢とヒカリは呆れたように笑っている。

ヒカリのもう片方の隣からはタケルが驚きもせずに顔を出した。


「ゆっくり食べてればいいのに」

「なーに言ってんだよ、最終決戦におまえらだけじゃ不安だろ??」

「....別に戦うってわけじゃないと思うけど」

「〜〜分かってるよっ!!余計な傷つけ合いを避けるための作戦だよね、ヒカリちゃん♪」


頭の後ろで腕を組んでみせるタケルに大輔も応じ、ヒカリに最高の笑顔で笑いかける。そうね、と笑顔を返すヒカリに大輔は再びやる気が燃えてくるのを感じた。一方タケルは苦笑いをしながらそのやりとりをみている。




「全く緊張感がないんだから」

「ほんとに皆さんにぎやかでいいですね」


その様子をながめながら賢と光子郎も穏やかな顔をしている。光子郎は懐かしい気持ちで、自分が目を覚ましたのをやっと実感していた。


この楽しいメンバーみんなで早くリアルワールドに戻らなくちゃ。

赤い球体を見上げながら思う。


「――さぁ、皆さん行きますよ」


「「「「はい!!!!」」」」


子供達は各々パートナーと共に作戦に乗り出した。


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