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デジモン02 回るメリーゴーランド

59みけ:2008/10/24(金) 18:25:32



赤い球体に攻撃を仕掛けるデジモンは三匹だった。

そのうちの一体の背に乗って仲間達が懸命に攻撃する様子を眺めていたタケルは、まるで太陽に飛びつこうとしているバッタ達を見ているように感じていた。


彼らがいくら跳ねようと、太陽は決して揺らがない。


「このままじゃ埒があかない!!」


バッタの一匹...カブテリモンに乗っていた賢が声を上げた。


「このバリアは頑丈すぎる!!」

「何か..何か方法はないんか??」


スティングモンとカブテリモンも焦りのつぶやきをもらしながら、一旦デジモンから距離をとってゆっくり降下し始める。賢は顎に手をやって考え深そうに話し出そうとした。


「何をしているのかは分からないけど、こいつが今している作業を邪魔してやれば....」


彼がまだ話し終わっていないそのとき。


彼の座っていたものが急速に移動したため賢は足場をなくして空中に投げ出された。

「賢ちゃん!!」


瞬時に賢は目を白黒させながらパートナーに抱きかかえられ、空中に留まる。


「どうしたんだカブテリモン!?」


ペガスモンは脱兎のごとく霧の中を滑空していくカブテリモンを見上げた。しかし彼は答えずに、ただただスピードをあげていく。


異変に気づいた大輔も地上からカブテリモンの進行方向に目を凝らした。


何かがまっさかさまに落ちてきているのだ。なんだありゃ..??




















一直線に落ちてきたものをカブテリモンは何とか受け止めた。彼はたくさんの腕を使って大事そうに落ちてきたものを優しく覆い、それが目を開けるのを待った。


ゆっくりと黒い瞳が開かれていく。






「.....カブ..テ....リモン....??」


「光子郎はん....!!!!」


2日ぶりに目を覚ました泉光子郎は、少しやつれた顔で微かにほほえんで見せた。


「久しぶりだね....」

「どれだけ心配しとったと思ってはるんですか!!??ほんまに長いこと顔見てない気がしますわ!!!!」


震える声でパートナーを叱咤するカブテリモンに、光子郎はあっさりと言葉を返す。


「すいませんでした....でも君、僕に会いに来てくれたでしょう??」

「はい??」


分かりにくいが、カブテリモンはキョトンと光子郎に視線を注いでいる。


あははと笑って光子郎は頭をかいた。そうだ、あれは僕の夢の中の話なんだ。


「何でもないよ。それよりみんなのところへ。ただ事じゃない状況みたいだね」

「八方ふさがりですわ。でも光子郎はんが戻ってきてくれれば、あんなやつ倒すのなんて朝飯前や!!」


「朝飯前かぁ...」




光子郎は手をおなかにもっていった。




ブブブブという羽音に懐かしさを覚えながら、光子郎はふと本音をもらした。




「今誰か食べ物持ってるか聞いたら怒られるかなぁ...」


「かんぴょうまきならどっさりありまっせ♪」


かんぴょうまきかぁ..と中学二年生の光子郎はため息をもらした。

本当は何か肉が食べたいところだが背に腹は代えられない。




見下ろすと気の置けない友人達が、彼らに向かって手がちぎれんばかりに手を振っていた。


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