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デジモン02 回るメリーゴーランド

54みけ:2008/10/21(火) 20:05:49


闇の中に取り残された二人の子供達は、お互いに顔を下に向け、相手の言葉を待っているわけでもないのに冷たい沈黙に包まれている。










「――――残って後悔するのは、光子郎くんの方よ」


突如発せられた言葉に戸惑って、え....とミミを見上げる光子郎。


しかしミミとの間には距離があり、おまけに彼女は下を向いたままなので表情が分からない。


ミミは静かに二の句を次いだ。


「歩くのをやめるって....どういうこと??」

どう答えたらいいんだろう。本当にミミさんが分かってないなら、あまり強い言葉を使っちゃいけないな...


「えーと....その、年をとるのをやめるっていうか....」

「年をとるのをやめるってなに??」


畳みかけるように強い調子でさらに問いかけるミミ。


光子郎の中で警報が鳴る。

まずい、怒ってる....

ミミの純真は加速する。

「ミミさん...」
「それって成長しなくなること!!??」







鋭い叫びに思わず肩をすくませる光子郎。でも彼女は何が言いたいのか分からない。光子郎はミミが『年をとらなくなること』と『死』をつなぎ合わせると思っていたが、予想外の返事が返ってきたのだ。


おそるおそるミミに目をやると、彼女は顔を上げていた。真っ赤なその顔は、熱くうるむ瞳を光らせて見せた。


「.........自分の子供の成長を嫌がる親なんて、いるわけないじゃない。そんなのまがいものだわ!!」


震えるミミの声は、しっかりとミミらしい言葉を光子郎に届ける。光子郎は初めて会ったかのように、まじまじと彼女を見つめている。


「そんな安っぽい幻にだまされなくても、光子郎君の成長を楽しみに待っててくれる人達がいるじゃない」


ちくりと胸を刺すものを感じて、罪悪感に顔を歪める光子郎。再びうつむいてしまう。


そんなうじうじしている小さな同級生に、ミミの中の火薬に火がつき、大きくはじけた。

我慢していた涙もぽろぽろとこぼれでる。


「――――いろんな事...





知りたいんじゃなかったの!!!!????」




光子郎の中に何かが走った。
















ゆっくりと彼が顔を上げると、再びひとりぼっちになっていた。しかし最初の時とは違い、不安は微塵も感じない。


ずっと迷っていた迷路の出口を、やっと見つけたような気がした。


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