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デジモン02 回るメリーゴーランド

47みけ:2008/10/18(土) 14:27:28




------瞼の裏から、あたりが真っ暗になるのが分かった。ギュッとつぶっていた目を開くと、光る不思議なテントウムシも消え、ただただ広がる黒い空間の中で光子郎は空っぽな両手を感じた。


小さな手のひらには、通り抜ける風もない。手の上の生温かい空気がそのまま固まってしまったようだ。それくらい、体を動かすのがためらわれる。


考えたくない。この状況を進めたくないからだ。



それでも心臓が脈打つから、光子郎は考える。


どうして僕はあんなこと叫んだんだろう。

『----------命を


粗末にするなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』


ふとほっぺたがパリパリしているのに気づく。そうだ、しかも僕は泣いていたんだ。



光子郎は未だ管理者であるデジモンの支配下にあったが、管理者がヤマト達に応戦していたためにこのとき光子郎の思考をしばるものは緩んでいた。


なんでだろう。いつからか忘れてしまったけど、何かがなくなるのに敏感になっていた気がする。
どうしてだったかな。


知りたがりの少年は記憶の糸をたどる。


そうだ、何か大事なものをなくしたからだ。何をなくしたんだろう..


デジモンの管理下からゆっくりと光子郎の意識が浮上していく。





『交通事故で..』


誰かの声が頭に響く。


『お前の本当の両親は...』





忘れていた記憶に頭がぼうっとする。そうだ、僕の本当のお父さんとお母さんは....
無意識に頭を抑える。


完全に意識を取り戻そうとした瞬間、光子郎の心は反射的にそれを拒否した。


一度浮かびかけた彼の思考は沈んでいく。




「------光子郎」


お父さんの声がして、光子郎は目を上げて暗闇に目を凝らした。しかし相変わらずのからっぽの空間が広がっているだけだ。

押し寄せる不安で空気に向かって叫ぶ光子郎。


「どこに行っちゃったの、お父さん!!」

「私達はずっとここにいるのに。あなたが歩くのをやめないからこうなるのよ、光子郎」


非難するように響くお母さんの声。戸惑う光子郎。


「僕が、歩くのを、やめないから...??」

「そう。このままじゃお前は二度とお父さん達とは会えない」


父の声が厳しく響いた。その言葉の重みに、光子郎の不安は収まりきらないくらい大きくなっていく。


「そ、そんなの嫌だ!!」

「じゃぁ、待ち合わせをしましょう。もうはぐれてしまわないように」


まちあわせ..??なだめるような母の声に自分を落ち着かせながら少年は耳を傾ける。

「赤いお馬さんのところ。落ちないようにしっかり手を回しておくのよ」












軽やかに流れる音楽の中で、光子郎は自分の背中を引っ張る重力の手を感じながら、しっかりと馬にしがみつく手に力を入れた。


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