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デジモン02 回るメリーゴーランド

42みけ:2008/10/13(月) 21:01:31




ギッギッギッ



真っ白な霧の中に懐かしいオルゴールから流れるような音楽が響く。

それに合わせてゆっくりと回転する木馬。

木馬が引く馬車に揺られながら目をぱちくりさせているひとりの少年。



ギッギッギッ


その視線の先には今し方霧の中に充満していた暖かい光の跡。少年の視野にはその大元は入らなかったが、自分が回転しているように光の源も回転しているようだ。


ーーーーーだめだ、目を凝らしても角度的に見えるものじゃない。今の光は何だったんだろう。



彼が馬車の上で目を覚ましたのはついさっきのことだ。意識を十分にはっきりさせる時間もなくあたりをいきなり光が満たし、ついさっき少年がみていた所を最後にすっかり消え去ったのだ。

頭がうまく働かないのも一概に彼のせいとは言えない。


それについさっきまで彼の意識は遊園地の中で父の幻影とヒカリ達と共にあったのだ。今いる場所もどうやらメリーゴーランドのようだから同じ遊園地の中らしいが、こんなところまで移動した記憶はない。


頭の中を一度整理しようと少年が瞼をとじようとしたそのとき、ギッギッギッとアトラクションが軋む音の中で、カクンと何かが少年の後ろで体勢を崩すのが聞こえた。


何だろうと馬車から顔を出して初めて後ろを見ると、見慣れた金髪が木馬に寄りかかっていた。


「ーーーヤマトさんっ!?」


はぐれたはずの先輩が馬から落ちそうになっている。

すぐさま身を乗り出してイオリがヤマトを支えようとした瞬間、シュルシュルと上からコードが飛んできてまるで馬車から降ろすまいとするようにイオリの両腕を縛り上げた。


「うわっ!!」

突然の痛みに驚いたイオリの声に、うっすらとヤマトは目を開いた。


「ん..??」

「ヤマトさん逃げて!!」


前方からの警戒の声と後方から迫るコードのシュルシュルという音で一気に目が覚めたヤマトは、寝起きとは思えない俊敏な動きと判断力で、木馬にまたがったまま上半身を即座に横に倒した。


コードは目標を見失って空中で一瞬とどまる。そこを見計らって、ポケットから掴みだしたギターのピックを敵に投げつけようとヤマトは上半身をねじる。


思い切りピックを後ろの赤い木馬に見舞ったヤマトは、そいつがひるむのを見てそれが自分をさらったデジモンである事を悟った。


ひるんだ赤いデジモンの白く光っていた体の紋様が元の黒に戻るのと同時に、ヤマトとイオリに迫ったコードはその意志を無くしたようにくにゃりと曲がった。


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