したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

デジモンアドベンチャー T・T・E 〜D-Generation's War〜

69たらこ:2007/04/01(日) 22:35:55
『勇気編』・第三十六話

Evolution.124 『我を忘れて怒り狂う』

オメガドラモンの精神が謎の世界に行き、謎の影に呑み込まれたその頃・・・現
実世界では、プクモンが今まさに大輔へと拳を振り下ろそうとしていた。

「・・・死ねッ!!」

プクモンの拳が、空気を裂いて振り下ろされた。一直線に、大輔へと向かって。

―――諦めて・・・たまるかぁ!!!!

大輔は、心の中でそっと思った。だが、さっきからじたばたしてはいるが、プ
クモンの腕から解放される兆しは未だに見えない。

大輔は、地面に倒れている自分のパートナー―――いや、今まで自分と共に戦
ってくれた親友に視線を向けた。

―――起きろ、オメガドラモン!!・・・お前は、そのくらいで倒れるようなやつ
じゃないだろ!!

心の中で、親友にそう語りかけた。『諦めるな!!』・・・と。

その時だ。突然、ズザッという、地面を擦るような物音が聞こえてきた。それ
と同時に、プクモンが不意に拳を止める。そして、ゆっくりと背後の方に顔を
向けた。

「・・・まだ動けるのか・・・?」

プクモンがそう言った相手―――オメガドラモンは、膝を着き、手を着いて、
今や地面に立とうとしていた。だが・・・とてもふらふらしていて、立てるとは
到底思えなかった。

「タフなやつだな・・・まあそう急かすなよ・・・こいつが終わったら、次はテメェ
の・・・」

だが、プクモンのその言葉は、突然迸った強力なエネルギーに遮られた。エネ
ルギーの出所は・・・オメガドラモンからだった。

大輔のD−3が、密かに光を放っていた。温かく、優しく感じられる一方で、
とても冷たく、禍々しく感じられる、狭間の光を。

やがて、オメガドラモンの体が変貌し始めた。

砕けた胸部の鎧は再構築されていき、マントは消し飛び、背中からは禍々しい
エネルギーが滝の如く流れ出ていた。

ただ流れ出てただけだったそのエネルギーは、段々とオメガドラモンの全身を
繭の如く包み込み始めた。

弱々しかった尾は、太く強靱に、長く気高く変化していき、両手の爪は、禍々
しいそれへと変貌していった。

―――護り抜く・・・絶対に・・・!!

オメガドラモンは、心の中でただそう思うだけだった。ただ唯一。その思いの
みを持つ、信念の修羅となって。

爪が完全に形成されたあと、今度は全身に蒼き電流が奔った。雷はやがて、オ
メガドラモンの額へと集中していき、銀に輝く角を砕き、それがあった部分へ
と集中していった。そして雷は、蒼く透き通った稲妻形の角へと変化していっ
た。

そして、繭の如くオメガドラモンを包み込んでいたエネルギーは、鎧へ、皮膚
へと同化し始めていた。禍々しい力は、闇を照らす輝く銀の鎧を、絶望を映す
黒ずんだ銀の鎧へと変貌し、相手に威圧感を与える、気高き龍の蒼き皮膚は、
恐怖を与えるべく黒っぽくなっていった。

やがて、戦慄の咆吼とともに、禍々しき波動が放たれた。波動はオメガドラモ
ンの肩の後ろ辺りへ凝縮されていき、闇の如き黒と、血花の如き紅の翼へと具
現化していった。

『フレイドソード』と『ライドキャノン』は、それぞれ紅蓮の紅焔と天を轟か
す蒼雷へと変化し、それぞれの腕へと同化していった。

その翼、その鎧、その角から、黒き雷が周囲へと迸り、地を、天を撃つ。まる
で、天地すらも絶望の底へとたたき落とそうとするかのように。見る者すべて
を、恐怖の淵へと追いやるかのように。その姿・・・まるで、修羅と化した雷神
の如き。

「グルルルル・・・・・・オメガドラモン――――――『ベルセルクモード』―――!!」

混沌と化した竜の雄叫びとともに、地面より黒き波動が光の柱の如く迸る。
―――自らの信念を邪魔する者に向ける、その血走った赤き瞳は・・・理性を失い、
狂乱に満ちた『野生の目』そのものだった・・・


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板