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デジモンアドベンチャー T・T・E 〜D-Generation's War〜

113たらこ:2007/09/29(土) 20:09:52
『勇気編』・第四十五話

Evolution.133 『<ホープス>』

目が、覚めた。ここは何処だろうか。確か、さっきまで潮風公園にいたはずだ。
エレキモンに励まされて、ダークティラノモンが現れて、エレキモンが怪我を
して……

「そうだ!! エレキモンは……?」

ハッとなって、辺りを見回した。すると、10m程先にエレキモンが倒れてい
るのが見えた。
急いで駆け寄って、エレキモンの身体を抱き上げた。

「エレキモン!! 大丈夫かい!?」
「ん……うーん……タケルか……大丈夫だ……それより、一体ここは……?」

エレキモンに訊かれて、改めて今自分たちがいる場所を見渡した。何もない。
唯白い。真っ白な世界だ。
よくよく考えてみたら、匂いも感じられない。ひたすらに謎な世界だった。

「そういえば、エレキモン。傷は?」
「ん? そういや、無くなってるな……」

先ほどダークティラノモンに抉られた背中の傷がキレイさっぱり無くなってい
る。傷が付く前と何ら変わりがなかった。痛みの、痺れもなくなっている。

「一体、どうなってんだ……?」

全くもって、タケルも同感だった。分からないことが多すぎて、まるで理解で
きなかった。

『汝ら……力を欲するか……?』
「!?」

突然、頭に直接響くような声が聞こえた。それと同時に、黄色い光がタケル達
の目の前で集束しだし、大きな光の玉となった。

「な、何なんだ一体……?」
「わ、分からないよ……」

二人で呟いていると、再びさっきと同じ声が頭に響いてきた。

『……高石タケルよ……』
「!? 何で、ボクの名前を……それに、キミは一体……?」
『我に名はない。だが、みなは我のことを<ホープス>と呼んでいる……』
「<ホープス>……?」
『そうだ……して、高石タケルよ、汝は今パートナーを失っているな?』

<ホープス>にそう言われて、ハッとなる。そして再び悲しみと自責の念の波が
彼の心に押し寄せてきた。

「そうだ……ボクの所為だ……ボクの所為で、パタモンは連れ去られたんだ……」
『そうだ、汝の所為だ。』
「!! テメッ……!!」

エレキモンが<ホープス>を怒りに満ちた目で睨み付けたが、<ホープス>は構わ
ず話を続けた。

『だが……汝の所為ならば、汝自身の手で責任を取らねばなるまい。』
「……?」
『汝には、汝のパートナーを助ける意志があるか?』

助ける意志。訊かれるまでもない。<ホープス>の言ったとおり、パタモンが連
れ去られたのは自分の所為だ。
ならば……

「……はい、勿論。ボクが必ずパタモンを……」
「オイオイオイ。誰か一人忘れてないか、お前?」
「え……?」

足元を見ると、エレキモンが真剣な眼差しでこちらを見上げていた。

「オレも一緒にアイツのこと助け出してやるよ。お前一人じゃ、心配――じゃ
なくて、どうせダメだろうからな!!」
「エレキモン……」

ニッと笑いながら、エレキモンはそう言った。"心配"とは言えないところが、
実に彼らしかった。

「……多分、とても危険な事だと思う……それでも、一緒に戦ってくれるかい?」
「ヘッ、何言ってやがる。危険なのは最初っから分かり切ってることだろ?」
「うん……ありがとう、エレキモン。」

最後に、本人に聞こえるか聞こえないか位の声で呟き、<ホープス>の方へと向
き直った。

「ボクが……いや、ボクら二人で、必ずパタモンを助け出す。――絶対に!!」
「おうよ!!」
『……よくぞ言った。』

さっきまでの厳しい声とはうって変わった和やかな声が返ってきた。<ホープ
ス>に表情があるならば、多分微笑んでいるのだろう。

「だけど……一体どうやってやつらと戦えばいいんだろう? ボクにはパート
ナーがいないし、エレキモンは進化できないし……」
『一つだけ、方法はある。』
「ホントかい!?」
『……ああ。エレキモンが一時的に汝のパートナーとなるのだ。』

パタモンを助け出すための、唯一つの方法。その方法を、<ホープス>はタケル
とエレキモンに言い放ったのだった……


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