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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

1迷子のフレイたま:2004/03/02(火) 22:57
愛しのフレイ・アルスター先生のSSが読めるのはこのスレだけ!
|**** センセイ、          ・創作、予想等多種多様なジャンルをカバー。
|台@) シメキリガ・・・       ・本スレでは長すぎるSSもここではOK。
| 編 )    ヘヘ         ・エロ、グロ、801等の「他人を不快にするSS」は発禁処分。
|_)__)   /〃⌒⌒ヽオリャー     ライトH位なら許してあげる。
|       .〈〈.ノノ^ リ))    ・フレイ先生に信(中国では手紙をこう書く)を書こう。
        |ヽ|| `∀´||.      ・ここで950を踏んだ人は次スレ立てお願いね。
     _φ___⊂)__
   /旦/三/ /|     前スレ:フレイ様人生劇場SSスレpart4〜雪花〜
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|. |    http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/anime/154/1070633117/
   |オーブみかん|/    
              既刊作品は書庫にあるわ。
             ○フレイスレSS保存庫 ttp://oita.cool.ne.jp/fllay/ss.html

              こっちも新しい書庫よ。
             ○フレイたんSS置き場 ttp://fllaystory.s41.xrea.com/top.html

71ザフト・赤毛の虜囚 30:2004/03/14(日) 07:40
6.継承 9/12
[私に一杯染み込ませて]

「キラ、私達、間違ってなんか無い…」
「ああ、そうだねフレイ、僕は君のこと………」

(とても幸せ……)
私は夢を見ていた。

ブリーフィング・ルームのような部屋の椅子で、私は長い眠りから目を覚ました。
まだ、夢の余韻で、頭がぼうっとしている。夢の内容は思い出せない。でも、心には、
その残り香がある。キラと見つめ合った時のことだったかもしれない。私は、しばし、
それを慈しむように反芻する。

(もっとして。一杯して。私に一杯染み込ませて)

あれ、私、こんなこと考えてたっけ?
どうして、分からないの? 自分のことなのに……

キラとのこと、最初は無我夢中だった。考えもしなかった。痛みだけを感じていた。
これが復讐なのだと思っていた。

途中、月のものがあって、それから避妊を意識しだした。でも、戦艦の中、孤立している私には、
どうしたらいいのか分からなかった。そんな時、キラもフラガ少佐に言われたらしくて、
避妊に協力してくれることになった。

でも、それから、私達は欲望に溺れて……
避妊のために、いろいろして…… かえって、エスカレートして……
マリューさんからピルと避妊具をもらったのは、キラがオーブに仕事に行った後だった。
もっと、早くもらっておけば……

キラが私を最後に抱いたのは、オーブに仕事に行く日の前日。キラを一杯、私の中に染み込ませた。
それが、キラとの最後。お姫様の奇麗なドレスを着たカガリに嫉妬して、私の方からキラを
満足させたくて、それができなくて、翌日、私はキラに懇願したのだ。キラを力一杯抱きしめて……

あれから数えると、もう一ヶ月も過ぎている。夜ごとに、私を悩ませた体の渇きも、いつのまにか、
すっかり納まっている。キラの体の感覚は、ずいぶん遠くなってしまった。今は、時折、思い出される
記憶のみがキラの体を呼び起こさせる。私は、また、夢の余韻にすがるように想いを馳せた。

72ザフト・赤毛の虜囚 31:2004/03/14(日) 07:44
6.継承 10/12
[ここは君専用の観覧室だ。堪能してくれたまえ]

一人想いにふける私。やがて、ドアの開く音がした。入ってきたのはクルーゼだった。
私は、また上着から銃を取り出して構えた。銃を持つ手は、やはり震えている。今までと同様、結局、
撃てないのは分かっている。それでも、何も無い無防備な姿を晒すよりは心が休まった。

相変わらず、クルーゼは銃を向けているのを、意識していないかのように話しかける。
「戦争が始まるよ。見たいかね」

クルーゼは、私の意思を聞くまでもなく、モニタのスイッチを付けた。いくつかあるモニタに、
戦場を写す各所のカメラからの映像を映しだした。

「司令部は別の場所にある。ここは君専用の観覧室だ。堪能してくれたまえ」
「なんで私を……」

私は困惑した表情でクルーゼに問いかける。銃は相変わらず震えている。

「世界がどうなっているのか。私が何をやっているのか君に知ってもらおうと思ってね」
クルーゼは、モニタを示した。

やがて、戦争が始まった。モニタの映像は次々と自動的に切り替わりながら、戦いの様子を
映し出して行く。

──海から現れたずんぐりしたモビルスーツがミサイルを打ち出し、船を次々に沈めて行く。
──羽根を持つモビルスーツが次々と戦闘機を打ち落とし、地上の砲台をつぶして行く。
──宇宙から降りて来たらしい降下ポッドが飛び散り、中からモビルスーツが現れる。
   それらは次々と銃を打ち、戦車をつぶし、施設を破壊して行く。

だけど、それらのモビルスーツも無事とは限らない。

──海のモビルスーツの体に無数の穴が開き沈んで行く。
──羽根のモビルスーツも、地上から放たれた火線で手足を失い四散していく。
──降下ポッドから出てきたモビルスーツも、やがて多数の戦車に囲まれ地に倒れて行く。

というより、攻め込んだ、ほとんどのモビルスーツが最終的には倒されているように見えた。
なまじ人に似た姿をしていることで、その破壊される様は、とても残酷に見える。
私は、その恐ろしさに目を蓋った。

「どうだね。戦争を、こういう形で見るのは」
クルーゼは満足そうに話す。

「爆発するモビルスーツ、戦闘機、戦車の一つ一つの影で、どれだけの人命が失われるか、
 考えたことがあるかね。戦場では命など安いものだ。一瞬で失われる。それでも、
 母国のため大義のために人は戦い続けるのだ」

クルーゼは、私には構いもせず、一人、悦にいったように語り続けている。

「やめて! こんなこと」
私のクルーゼに向ける銃の動きがピタと止まった。クルーゼの心臓に向けられた。

73ザフト・赤毛の虜囚 32:2004/03/14(日) 07:48
6.継承 11/12
[そのために、一人の命を犠牲にしたというのに]

戦場で、次々に破損し、四散していくモビルスーツ。戦闘機。戦車。そして、死んで行く人。
それをモニタで見ながら語り続けるクルーゼ。

私のクルーゼに向けていた震える銃の動きが止まった。クルーゼの心臓に向けて。

「ほう……」 クルーゼは関心したように声を上げて、私を見ている。

私の中には、かつての自分自身の言葉が蘇っていた。

  ── キラ、守ってね。あいつらみんなやっつけて。
  ── キラ、あなたは戦って戦って死ぬのよ。じゃないと許さない。

  キラは、こんなものをずっと見てきたの。私は、キラにこんなことをさせていたの?
  戦って辛くて泣いて、それでも私のために立ち上がって、泣くのを我慢して。
  そして……、いつの間にか泣かなくなったキラ。

  私は、アークエンジェルで同じように戦場を見ているはずだった。でも、ずっと目を
  背けていた。ベッドで毛布にくるまり、キラが守ってくれることだけを考えていた。
  そして、戦場で身も心も傷ついて帰ってきたキラに、私は安堵と、さらなる保身の契約のつもりで、
  自分の欲望をぶつけることしかしていなかった。

  当たり前だ、キラが、私以上に欲望に溺れたのは。私を狂ったように抱いたのは……
  キラが変わっていったのは……

「やめて! こんなこと」 私は、銃を突きつけて、もう一度言った。

「フレイ・アルスター、連合の兵士として、私を撃つかね。私を撃てば、少しは、
 この状況も動くかもしれないな」

クルーゼは、相変わらず動じない。まるで自分の命そのものに興味が無いように。

「だが、戦争は一人でするものでは無い。ほんのちょっと状況が変わっても、戦争そのものは
 終わらない。どちらの優勢に働いても、立場が入れ代わるだけで、そこで失われる人命は同じだ。
 何も変わらない。そのために、一人の命を犠牲にしたというのに」

また、私の銃が揺れ始めた。

  キラ…… その命を散らして、得られたものが何一つ無かったことに私は愕然とした。
  結局、アラスカに行っても何も変わらなかった。そのまま、アラスカも自爆して……
  残ったのは、私一人。それも、何もできない捕虜。

  アークエンジェルで、キラが守ろうとした人の顔が次々に浮かんだ。マリューさん。
  フラガ少佐。ノイマン少尉。マードック曹長。サイ、カズイ。そして、ミリアリア。

  私の中に、ミリアリアの狂気の顔が浮かんだ。ミリアリアはトールを失った。
  いや、ミリアリアはキラとトールの二人とも失ったのだ。なのに、それで得られたものは、
  なんだったというのだ。ただ、悲しみの心だけ。だから、ミリアリアも狂った。
  私を傷つけた。私から全てを奪った。私を失意のどん底に落とした。

  だけど、それを責めることはできない。それは戦いの生んだ狂気、誰にでも内に秘めるもの。
  私は、それを一番良く知っているから。私も同じようにパパを失って、キラを傷つけたのだから。
  そして、サイまでも辛い目に合わせてしまった。

「それに、以前も言ったように、君が、今ここで私を撃っても、その直後に君は死ぬ。
 兵に撃たれてな」
クルーゼは、薄笑いを浮かべている。

「それでも、自軍の大義に忠実であり、命を捨てる覚悟があるのなら構わないが……
 だが、君には似合わんな。軍服を着ていても君は軍人ではあるまい」

  そう、私は、そんな覚悟なんか無い。軍に入ったのだって復讐のためだった。それすら、
  自分では手を汚さずキラを頼っていた。

「もうすぐ、フィナーレが始まるよ。何が起こるか期待していてくれたまえ」

クルーゼは出て行った。私は、銃をダラリと下に垂らした。そのまま、銃は床に落ちた。
そして、二度と拾われることは無かった。


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