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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

1迷子のフレイたま:2004/03/02(火) 22:57
愛しのフレイ・アルスター先生のSSが読めるのはこのスレだけ!
|**** センセイ、          ・創作、予想等多種多様なジャンルをカバー。
|台@) シメキリガ・・・       ・本スレでは長すぎるSSもここではOK。
| 編 )    ヘヘ         ・エロ、グロ、801等の「他人を不快にするSS」は発禁処分。
|_)__)   /〃⌒⌒ヽオリャー     ライトH位なら許してあげる。
|       .〈〈.ノノ^ リ))    ・フレイ先生に信(中国では手紙をこう書く)を書こう。
        |ヽ|| `∀´||.      ・ここで950を踏んだ人は次スレ立てお願いね。
     _φ___⊂)__
   /旦/三/ /|     前スレ:フレイ様人生劇場SSスレpart4〜雪花〜
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|. |    http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/anime/154/1070633117/
   |オーブみかん|/    
              既刊作品は書庫にあるわ。
             ○フレイスレSS保存庫 ttp://oita.cool.ne.jp/fllay/ss.html

              こっちも新しい書庫よ。
             ○フレイたんSS置き場 ttp://fllaystory.s41.xrea.com/top.html

48流離う翼たち・428:2004/03/11(木) 19:37
 フレイとミリアリアはどうしたものかと顔を見合わせたが、一応出された料理を一口も食べずに下げるというのは流石に礼儀に反するので、ここは心を鬼にして一口食べさせなくてはならないだろう。すでに現実から逃避している2人は意図的に除外されている。

「キラ、一応、一口は食べてね」
「フレイ、それは僕に死ねと?」

 キラは隣で突っ伏している2人を横目に問いかける。既に2人とも痙攣という状態が終わり、動かなくなっている辺りがかなり怖い。
 フレイは嫌々と首を横に振るキラを見て小さく溜息を吐くと、無言でミリアリアを見た。それを見たミリアリアが仕方なさそうにキラに一枚のプリントを見せる。それを見たキラが一瞬首を捻り、そしてそのプリントが示す真の意味を悟って顔を引き攣らせた。

「ミ、ミリィ、これは!?」
「これから暫くの献立予定。ピーマンとか人参とかばかりよねえ」
「ミリィ・・・・・・」

 キラが泣きそうな顔でミリアリアを見る。キラは野菜が嫌いなのだ。それを見たミリアリアが邪な笑顔でキラに交換条件を突きつける。

「でも、キラがちょっと頑張ってくれたら、この献立を変えても良いんだけどなあ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 暫く考えていたキラは、がっくりと肩を落とすとスプーンを取り、死刑執行を待つ囚人のような、何かを諦めた表情でスプーンを口に運び、3人目の失神者となった。
 カレーに顔を突っ込んでピクピクと痙攣しているキラを見ながら、フレイはミリアリアに問いかけた。

「ところでミリィ、あなた、食事のメニューなんか弄れるの?」
「そんなのできるわけ無いでしょ」
「え、じゃあさっきのは?」
「よく見なさいよ」

 ミリアリアは先ほどの献立表をみせた。そう、日付の辺りを。そこには、丁度先月の日付が付いていたのである。

「・・・・・・先月の献立?」
「そう。キラはそれに気付かずに取引しただけよ。だから明日からの献立はこれとは違ってるわ」
「・・・・・・悪魔ね」

 フレイはミリアリアの知略に恐れを抱いた。彼女は敵にしてはいけない人間なのだろう。
 なお、フラガは自室に戻った後倒れてしまい、内臓疾患で2日ほど生死の境をさまよう事になる。そんなフラガをすっかり機嫌の直ったマリューが手の空く限り看病して一層の病状悪化を招いたという些細な事件もあったりする。

49流離う翼たち・429:2004/03/11(木) 19:38
 戦いが終わった食堂に足を踏み入れたナタルは、予想通りの惨状にやれやれと呆れた声を漏らした。もはやその心境は悟りの境地か、はたまた最初から諦めていたのか。

「まったく、後片付けはその日のうちにやっておかないか。あいつら、これでは将来に貰ってくれる当てが無いぞ」

 仕方なく軍服の袖を捲り上げ、食堂に残されていたエプロンを付けて積み上げられている食器や鍋を洗いだす。その手際は中々に大したもので、あれだけ荒れ放題だった調理場が少しずつ、だが確実に綺麗になっていく。
 何やら楽しげに手を動かしていたナタルだったが、ふいに調理場の入り口からかけられた声にその手を止めた。

「バジルール中尉?」
「ん?」

 誰かと思って入り口に目をやれば、些か憔悴した感じのキラが立っていた。

「キラ・ヤマト少尉か。もう身体は良いのか?」
「はい。流石にまだちょっと体の調子がおかしいですけど、少しお腹がすいてしまって。何か無いかなと見に来たんですけど、この様子じゃ無理そうですね」

 動けるだけ大したものだろう。他の5人はまだへばっている。オルガもパワーに戻る事が出来ず、医務室のベッドで唸っているくらいだ。ちなみに1名は現在重態である。
 少し考えたナタルは、部屋に戻ろうと踵を返したキラを呼び止めた。

「待て、ヤマト少尉」
「はい、何ですか?」
「もう少し待てるなら、適当に腰掛けていると良い。余っている食材で何か作ってやろう」
「え?」

 キラは驚愕してナタルを見た。まさか、この副長に料理が出来るというのか? 女性は家事が出来る、という妄想を今日の出来事で粉微塵に打ち砕かれてしまったキラは、詐欺商売に騙さて高額屑商品を買ってしまった馬鹿な男そのものの目でナタルを見た。

「あ、あの、本当に大丈夫ですか?」
「なにがだ?」
「いや、中尉が料理って・・・・・・」

 キラが恐れている何かを察したナタルは、まあ仕方が無いなと思った。かつて自分もあの地獄を味わった事があるのだから。

「心配するな。上手くは無いが、それなりには出来る」
「ど、どれくらいです?」
「そうだな、艦長よりは上手いかな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 キラの顔を滝のような汗が流れ出した。マリューよりは上手いというか、あれより下手な料理など想像も出来ない。いや、それはもう戦略兵器だろう。存在そのものが神の摂理に逆らうことに違いない。
 だが、キラは知らなかった。この世にはマリューさえも上回るマッドクッキング技能の持ち主、ラクスがいるのだ。あれを食べたアスランは文字通り生死の境を彷徨った。
 しかし、ここまで破滅的な料理技能の持ち主が周りにいる辺り、キラもアスランも神様に嫌われているに違いない。


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