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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

1迷子のフレイたま:2004/03/02(火) 22:57
愛しのフレイ・アルスター先生のSSが読めるのはこのスレだけ!
|**** センセイ、          ・創作、予想等多種多様なジャンルをカバー。
|台@) シメキリガ・・・       ・本スレでは長すぎるSSもここではOK。
| 編 )    ヘヘ         ・エロ、グロ、801等の「他人を不快にするSS」は発禁処分。
|_)__)   /〃⌒⌒ヽオリャー     ライトH位なら許してあげる。
|       .〈〈.ノノ^ リ))    ・フレイ先生に信(中国では手紙をこう書く)を書こう。
        |ヽ|| `∀´||.      ・ここで950を踏んだ人は次スレ立てお願いね。
     _φ___⊂)__
   /旦/三/ /|     前スレ:フレイ様人生劇場SSスレpart4〜雪花〜
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|. |    http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/anime/154/1070633117/
   |オーブみかん|/    
              既刊作品は書庫にあるわ。
             ○フレイスレSS保存庫 ttp://oita.cool.ne.jp/fllay/ss.html

              こっちも新しい書庫よ。
             ○フレイたんSS置き場 ttp://fllaystory.s41.xrea.com/top.html

362流離う翼たち・作者:2004/04/29(木) 00:42
>> ザフト・赤毛の虜囚
ウズミまでブルコスキャラに!? 
しかし、ウズミは何をさせてるんでしょうねえ。まさかキラを作ってる?

>> 過去の傷
ああ、とうとうアスランまで巻き込まれだした
フレイ様はミリィと喧嘩してなんだか吹っ切れたかな
キラはさてどうするのやら

>> キラ(♀)×フレイ(♂)
遊園地・パニックですな。トールとミリィは大変そうですが
フレイは今回はあっさりと手を引いて、キラはカガリを振り回してたか
でもカガリ、君のシスコンは結構怖いぞ。w

363ザフト・赤毛の虜囚 53:2004/04/29(木) 08:18
9.母親(ママ) 5/8
[カリダも触ってごらんなさいよ]

「ねえ、ユーレン、動いてるの分かる?」
「ああ、分かるよ」

私はユーレンに甘い声で話しかける、一時は気分が滅入ったり、落ち込んだりしたけど、
今は、もう安定している。毎日が楽しくて堪らない。

「フン! なによ……」
カリダは、私を見ると、いつも面白く無さそうな顔をする。私は、その理由を既に知っているから、
カリダに優しい声をかける。

「カリダも触ってごらんなさいよ」
「いいわよ、ほっといて」

「遠慮しないで、さあ」
私はカリダの手を取って、無理矢理、私のお腹に手を当てさせる。

「感じるでしょ。動いているの。私の中にいるのよ、赤ちゃんが。ユーレンの子が……」
「や、離して」

カリダは、いやがりながらも、その感触に戸惑うように、そのままにしている。

私は、やっとナチュラルに子を授かった。ユーレンの子を産むことができる。
フラガの独り善がりな考えで、コーディネータを強いられることは無い。私は、幸せだ。

「動いてる…… メルデル」
カリダは、やがて感動したように、私の名を呼んだ。

* * *

私にナチュラルの子ができたと喜んでいるのを見て、最初、カリダは不審がった。

「アンタの不倫相手って、コーディネータを作るお医者さんでしょ。
 それだから、私達ブルーコスモスがマークしてたのに……
 なんで、そのアンタがナチュラル妊娠して喜んでいるのよ!」

「カリダ、私はね。フラガがコーディネータを欲しいために、本当に酷い目にあった。
 体を傷つけられた。それも、ユーレン自らの手で。だから、コーディネータは嫌い。
 私はナチュラルに子を授かって、ほんとに嬉しいの。二億分の一の奇跡を体験したのよ」

カリダは怒りの表情を、私に向けた。

「なによ、勝手に喜んで! アンタこそ残酷だわ。私がどんな想いでウズミ様を見ているのか
 知らないくせに。決して、結ばれること無い。報われること無い」
「そりゃ、年齢は離れているけど…… でも、フラガが私と結婚したくらいだし。世間体は……
 フラガと私は、そんないい関係じゃないけど……」

「違うわ、年なんかじゃ無い。そんなだったら、私の友達でも、もっと、おじさんと結ばれた子も
 いたわよ。違う、違うのよ。私……」
「カリダ、一体……」

「産めないの、赤ちゃん」
「え? 嘘!」

「奇形だって。セックスだって、きちんとできないの」
言ってしまって、カリダは、真っ赤になった。なんで、私に言ったのか戸惑っている様子だった。

「カリダ……」
私は、カリダを抱きしめた。カリダは涙を流して、私に抱かれるままになっていた。
ずっと辛い想いを隠してきたのだろう。それが、一気に吹き出していた。

カリダは、私がフラガにされたものの何倍もの仕打ちを、生まれつき背負っている。可哀想な子。
だから、世間では、今やファッションにまでなりつつあるコーディネータの出産を、
あんなに憎むようになって、こんな団体にまで入ってしまった。

「大丈夫よ、カリダ。いずれ、ユーレンがなんとかしてくれるわ」
「うん、分かった。えと…… 名前……」

「メルデルよ」
「うん、メルデル、メルデル、分かった……」

カリダは泣きながら、私の胸で頷いていた。

364ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/04/29(木) 08:23
>>過去の傷
ミリィ、ラクスに逆らって謹慎させられたこと忘れているような。仕事しないとヤバイぞ。
どうせなら、CICから意味ありげな通信送って悩殺するのが、管制官の正しい誘惑方法(?)金髪さんに負けるな。
フレイ様とキラは、よりを戻したの? キラ、良く助かりましたね。

>>流離う翼たち
フレイ様怒るとNT能力覚醒するようですね。相手の感情分かっても、おかまいなしですな。
アルフさんは、それが分かっているのかな。それにしても、ボーマンなんて懐かしい名が。
ガンダムAだと、レナ・イメリア搭乗機に、前に言ってたデュエルダガーとかバスターダガーとか本当にありました。
だけど、別の本のジャン・キャリー機はロングダガーとも書いてあったけど、設定混乱しているのか?
個人的にはフレイ様はルージュ+ガンバレル・ストライカーに乗って欲しい。これだと、弾数無限大でも許されそうだから。

365過去の傷・122:2004/04/29(木) 11:30
「昼からだって、実戦練習・・・なんか僕も呼ばれてる」
「キラも?・・・そう、でもキラが見ていてくれてるなら私、安心」
通路にて、キラとキラに寄り添い腕を組んだフレイが歩いている。
「アスランは安心していいよ、無口で冷たい印象あるけどほんとはとっても優しいから」
「ええ、キラがそう言うなら・・・」
そして、歩いてきたミリアリアと会う。
「熱々ね」
二人を見たミリアリアは冷ややかに告げる。「
「相変わらずね、ほんとお似合いのカップルだわ!」
「ミリィ・・・」
「私に裏切られたからフレイとよりを戻したわけ?いえ別れてもいなかったの間違えかしら!?」
ミリアリアは怒っているのか分からなかった。
「それで?昨日は一緒にベッドの中で慰め合ったのかしら?」
声を張り上げるミリアリア。
「ミリィ・・・全部芝居だったの・・・?慰めてくれたのも全て」
キラが呟く。
「・・・そうよ・・・ええそうよ!全部芝居よ!馬鹿じゃないの!?騙されちゃって!なんで私がキラを好きになるのよ!勘違いしちゃってほんと馬鹿みたい!本気だとでも思ったの!?」
「ミリィ・・・」
「ちょっとなれなれしくしないでよ!ただの友達でしょ!」
たまらずフレイが口を挿む。
「ミリアリア、そこまで言うことないじゃない」
キラを庇うフレイをミリアリアは睨みつけた。
「フレイ、あんたなに偉そうなこと言ってるのよ、昨日よく言ってくれたわね、救いようがない女なんて・・・ア−クエンジェルにいたときの大騒動を巻き起こした張本人のくせに!」
「!」
「救えない女はあんたの方じゃない!自分の行為を棚に上げてよく言うわね!」
「うるさいのよ・・・」
「キラ、よかったわね、今日からはまた貴方の大好きなフレイ・アルスタ−さんと寝れるんだから!こんなに幸せなことないんじゃない?どうせならこのまま結婚すれば!?」
「うるさいって言ってるでしょ!」
フレイが叫ぶがそれを無視するとそのままミリアリアは去って行った。

その一時間後。
パイロットロッカ−に来たフレイとキラは。
「キラも着替えるの?」
「一応ね・・・」
「そういえばさ・・・艦は違うけどここよね・・・私とキラが初めてキスした場所・・・」
ああ、恥ずかしい・・・でもほんとに・・・。
「うん・・・」
「でもあのときはキラのこと好きじゃなかったの、ただキラを信用させるために・・・女として貴方に近づくために私・・・」
「いいんだよ、もう・・・忘れよう、今の君自身を大切にしてくれ、それとも今もそうなのかな?」
「違うわ!違う!今はほんとに貴方のことが好き!大好きなの!」
フレイが無邪気な顔でそう言うとキラは微笑んだ。
「ありがとう・・・」
そして着替えた二人歩き出した、過去のあやまちを忘れるように・・・。
フレイは思った。
確かに間違ったかもしれないわ・・・でも間違ったならやり直せばいいの・・・キラと共に・・・。

366ザフト・赤毛の虜囚 54:2004/04/30(金) 07:53
9.母親(ママ) 6/8
[私がママよ]

「ハッ! ハッ!」
下腹部に痛みが走る。一杯で、はちきれそうなお腹。耐えられない。
私は唇を噛み締めて、体に力を入れようとする。

「まだ、駄目だメルデル。呼吸を整えて楽に」
「ハァーッ ハァーッ」

「まだ、先は長いんだメルデル。今は落ち着いて
「ハァーッ ハァーッ 分かったユーレン」

いよいよ、私とユーレンの子が生まれる。私はユーレンの手を握り、彼の言葉に自分を委ねる。
ユーレンは、産婦人科の専門、そして、私の子の父。私の愛しい人。これ以上に安心なことは無い。
私は心配そうに見ているカリダに目を向ける。
「大丈夫よ」

あれから何時間も過ぎた。痛みの周期が短くなってくる。モニタをチェックしているユーレンの
声が興奮を帯びて来る。

「いきんで、メルデル」
「ウゥーッ」

それを何度も繰り返す。手が分娩台のバーを握り締める。汗ビッショリになる。ユーレンは手を握らせて
くれない。万が一の場合にユーレンが動けなくなるから。私が、頑張らなきゃ。

「ウゥーッ!!」
「見えた。メルデル、もういい、後はまかせて」

「ハッ! ハッ! ハッ! ハッ! ハッ!」

「オギャア、オギャア」

痛みがスーッと引いていった。私は汗にまみれ、息も絶え絶えでユーレンを見つめる。
やがて、赤ちゃんを取り上げ、毛布にくるんだユーレンが、私に手渡してくれた。

「私の子、ユーレンの子」私はユーレンに微笑みかけた。
「よくやった。頑張ったねメルデル。男の子だよ」

私は涙ぐんで言った。
「うん、ありがとうユーレン」

カリダが近づいてきた。カリダも涙ぐんでいた。
「すごい、メルデル。すごかったよ。私も一緒に産んでるみたいだった。
 ありがとう見せてくれて。私、これだけでも充分よ」

カリダは、私の妊娠を、ずっと見ていて徐々に心を開いていた。そう、既にカリダは、私の親友だ。

「いや、君もいずれ子供を抱ける日がくるよ。君自身の子を。約束する」
ユーレンの言葉に、カリダはユーレンに抱きつくように涙をこぼした。

「カリダ、抱いてみる? 今は、私達の子だけど、自分の子のために」
「うん、抱かせて」

カリダは生まれたばかりの赤ちゃんを抱いた。まるで自分の子のように、大切なもののように。

「名前は、もう決まっているんだっけ?」
「うん」

「教えて」
「ムウ」

「ムウ?」
「そう、ムウよ。ムウ・ヒビキ」

私は、またカリダからムウを受け取った。そして、ムウの耳元で優しく囁いた。

「可愛いムウ、私がママよ」

367ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/04/30(金) 07:54
>>過去の傷
ミリィ、開き直って言いたい放題ですな。こんなんじゃ友達できないぞ。
フレイ様、キラとどうにか関係復活。だけど、カガリとラクスは? 次の傷は何?

368過去の傷・123:2004/04/30(金) 11:40
「君のお父さんのことだけど」
「それは言わないで・・・パパの話はしないでほしいの・・・」
フレイが青ざめたのでキラも下を向く。
「あ、ごめん・・・」
「また貴方を責めそうで怖いの、貴方にもうそんな感情抱きたくないから・・・それにパパが死んだのはキラのせいじゃないでしょ?ただ貴方にあたっただけなの・・・」
「フレイ・・・」
フレイは微笑んだ。
「もう!なんでこんな暗い話になるのよ!」
「あ、そうだねごめん」
やっとキラと歩み続けることができるわ・・・。
キラ、貴方となら私・・・。
ワガママで意地っ張りで自分勝手な私だけど、貴方の前なら素直でか弱い女になれるかな・・・?
フレイは頬を可愛く染めるとキラの腕にしがみついた。
「フレイ・・・?」
「なんでもない♪それより行くわよ、実戦」

ラクスの部屋の前に来ているミリアリア、中の様子を伺う。
「では行って参ります」
「アスラン、お気をつけて・・・貴方のご無事をいつも願ってます」
「ありがとうございます」
馬鹿じゃないの?なんで婚約者同士なのに敬語で話してるんだろう、頭おかしいんじゃないかしら?この二人。
そしてラクスの顔がアスランに近づいてくる、アスランが静かに目を閉じるとラクスはアスランの頬に軽くキスをした。
私は見せつけられたみたいで内心面白くなかった。
「では失礼します」
ミリアリアは慌てて隠れる。
アスランが出て行った。
なおも残ったミリアリアは・・・。
中のピンクの少女を見つめる。
ほんわりとした白い肌、ほっそりした細い腕、そして柔らかい綺麗なピンクの髪。
そして同じ女であるミリアリアは見とれるほど可愛い顔立ちである。
しかし目がきりっとしている、指揮官としての風格を感じさせる、そのためかピンクの髪の結んでいるのだ、それから衣装は羽織りだろうか?そんな衣装を着ている。
ミリアリアは・・・ラクス・クラインさん・・・貴女だけ幸せなんて・・・。
だいたい気にいらないのよ、なにもしないくせに私に偉そうに言う、だいたいなんでこの人だけこんないい部屋にいるのよ。
<ハロ!ハロ!>
「ネイビ−ちゃん、どうしました!?」
「きゃあ!」(しまった・・・ばれた?)
ハロに見つかってしまったミリアリア。
「誰かそこにいるのですか?」
「・・・・・・」
「さっきの声はミリアリアさんですね?出て来なさい」
「・・・・・・」
「この艦から降ろしましょうか?いいのですよ貴女がいなくてもCICはダコスタさんがやってくれますから、それにこのところ貴女仕事してないみたいですがどうしました?」
仕方なくラクスの部屋に入る。
「・・・失礼します・・・」
「ミリアリアさん・・・ここでなにをしてるのです?」
そうだ、ラクスさんを滅茶苦茶にしてやろうかしら・・・困らせてあげる、この女の驚く顔が目に浮かぶわ・・・。
「あの・・・アスランさんを知ってますよね?」
「・・・はい?アスランですか?アスラン・ザラは私の婚約者ですが・・・」
ミリアリアは突然笑い出した。
「ふふ・・・あはははは!!!」
「ど、どうなさいました・・・?」
ミリアリアはイタズラっぽく微笑み、挑発的に告げた。
「私、アスランさんと・・・キスしたんです」

369過去の傷・作者:2004/04/30(金) 14:28
>>翼たち
まあ当然か、力の差見せつけましたね、もう想像以上の強さですねフレイ様♪

>>ザフト・赤毛の捕囚
これはムウの・・・しかしこの人達のやり取り見てると妙に懐かしいですね。
フレイ様の感覚を感じさせてくれます。

370流離う翼たち・466:2004/04/30(金) 23:59
 結局懐に入られたボーマンの敗北でこの模擬戦は終わってしまった。まだ新兵は沢山いたのだが、小隊長であるボーマンが負けたことで皆すっかり萎縮してしまっている。アルフレットは挑戦者が出なくなったのを見てフレイに通信を入れた。

「よし、もう良いぞ。降りてこいお嬢ちゃん」
「分かりました」

 フレイはダガーを格納庫の前まで持ってきて膝を付かせ、コクピットから降りた。そして駆け寄ってきた整備兵に幾つか注文をつけてアルフレットの所まで行く。

「少佐、私をダシにしてとんでもない事しないで下さい!」
「う、す、すまねえ」

 怖い形相で怒っているフレイにアルフレットは気圧されていた。どうやらこいつも女に頭が上がらないタイプであるらしい。
 とりあえずアルフレットが謝った事でフレイは溜まった不満を押さえる事にした。フレイが落ち着いたのを見てか、アルフレットがフレイを全員に紹介する。

「まあ、さっき見た通り、このお嬢ちゃんはMS戦においては連合中探しても屈指の腕前だ。これから暫くお前らの模擬戦の相手をしてもらう事になるから、覚悟しておけよ」
「あの、その娘は誰なんです?」

 先ほどフレイに負けたボーマンがアルフレットに問い質す。アルフレットはチラリとフレイを見た後、少しだけもったいぶって答えた。

「何だボーマン、こんな有名人を知らねえのか?」
「有名人なんですか?」
「ああ、こいつがかの有名なアークエンジェル隊のエースパイロットの1人、真紅の戦乙女、フレイ・アルスター少尉だ。撃墜スコア30機以上という凄腕だぞ」

 アルフレットの紹介に、全員の視線がフレイに集中した。全員に見られたフレイは居心地が悪そうに身動ぎしたが、フレイに向けられる視線は驚きからすぐに好奇心へと変わっていった。

「す、凄いや、あの真紅の戦乙女!?」
「30機以上のスコアって、カスタフ作戦が初陣なのに、どうやって落としたんだよ?」
「ねえねえ、アークエンジェルってあの「エンディミオンの鷹」や「エメラルドの死神」が居るんだろ。どういう人か教えてよ!」
「あの、今日の夕食を一緒にどうでしょう?」
「あのクルーゼ隊と戦ったんだって?」

 たちまちフレイを揉みくちゃにする新兵たち。その全員がフレイと同年輩の少年少女たちだ。連合はこんな子供たちまで実戦に駆り出しているらしい。それがおかしいと感じないのは今の時代がそういう時代だからなのだろうか。

371『明日』と『終わり』の間に・2日目・お昼時:2004/05/01(土) 00:09
「しつこいわね!だから違うって言ってるじゃない!」
「嘘つくな!ただ見てただけでカレーが赤くなるか!!お前以外に誰がそんなこと出来るんだよ!?」
「知らないわよそんなの!キッチンに住んでる妖精が悪戯でもしたんじゃないの!?」
「妖精って・・・、今時子供でもしないよそんな言い訳!!」

 ―――この状態、一体何時まで続くんだ?正直に言えば許してやるつもりだったのに、何だかお互いやけにむきになってしまった。それにしても私も口喧嘩には自信があるんだが、こんな強敵は初めてだ。キラの奴も大変だったんだろうな・・・。よーし・・・。

「しかしこのカレー、マズそうだなぁ〜・・・」
「!食べても無いくせに、マズいですってぇ!?どーいうつもりよ!?」
「そんなの見れば分かるだろ!色も赤いし、よく見ると変なものが入ってるし、それに随分水っぽいし・・・。誰だってそう思うさ!これカレーじゃなくて血の池地獄じゃないのか?」
「何よ!ただ隠し味にと思って入れてみただけなのに、そこまで言われる筋合いは・・・って、あっ!」
「・・・やっぱり何かしたんだな・・・?」

 やっとボロを出したか。・・・何だかこの勝利、誇らしくすら思えるな。

「で、何でこんなことをしたんだよ?食べ物を粗末にしちゃ罰があたるぞ?」
「・・・嘘をついてたことは謝るわよ。・・・でも、別に悪気があったわけじゃないわ。ただ・・・」

 ん?どーいうことだ?

「・・・駄目だと思ったのよ。普通のカレーじゃ!」
「は?」
「だって、私はキラに満足してもらえる、私にしか作れないカレーが作りたいの!」
「・・・いや、別にいいだろ何事も普通で。何だその変なチャレンジ精神は・・・?」
「何言ってるのよカガリ!何時までも古い形に拘ってたら、新しい道は切り開けないわ!」
「・・・!」

 ・・・そうだ、私は、何て馬鹿だったんだ!そんな大事なことを忘れてたなんて・・・。今私やアスラン達は、ナチュラルとコーディネイターが仲良く共存できる世界を作らなきゃいけないんだ。それが今は亡きお父様の、そして私達の夢。そのためには、今あるしがらみを壊さなきゃならない。それなのに・・・、私がそれを否定してどうするんだよ?
 それにこのカレー(?)は、あいつが心をこめて(私に対してじゃないけど)作ったもの。それをマズいだなんて、あいつの想いを踏み躙るような真似までして・・・、私は最低じゃないか。すまんフレイ、許してくれ。

「・・・そうだったのか。ごめんなフレイ、お前の気持ちも知らないで、酷いこと言って・・・」
「いいのよカガリ。私だって悪かったんだし・・・。でも、そう思ってくれるのなら・・・」
「!何だ?」
「・・・これ、食べてみて!折角二人で作ったのに、捨てちゃったら勿体無いわ」

 ・・・えっ!?それってつまり・・・、実験台になれってことじゃ・・・?

「どーしたの?・・・やっぱり、イヤ?」
「!あっ、いや、別にそういう訳じゃ・・・」
「・・・そうよね。こんなんじゃきっと、美味しくないわよね・・・」

 うわっ、泣いちゃいそうだよ!何だか私が悪いみたいじゃないか!どっ、どーすればいいんだこんな時!?・・・えーい、こうなったらなるようになれだ!!

「たっ、食べる!食べるよフレイ!何だかよく見たら美味そうだし、それに赤いカレーってのもありなんじゃないか?」
「ホント?じゃあこれ、どうぞ召し上がれ」
「・・・い、いただきます・・・」

372流離う翼たち・作者:2004/05/01(土) 00:10
>> ザフト・赤毛の虜囚
ム、ムウって、ヒビキって・・・・・・兄貴もこれで不幸に!?
このあと兄貴は陰険オヤジに連れていかれるんでしょうなあ
たしか、ダガーの試作がデュエルダガーで、その後にダガーを強化兵用に再設計したのがロングダガーだったはずです。
だから両者は違う機体の筈です。
ガンバレル・ストライカーは出ますが、兄貴やフレイ様は乗らない予定です。兄貴には別機体がありますから

>> 過去の傷
ミ、ミリィさん!?
キラがフレイ様と話しているのも凄いけど、ミリィも凄い。ラクスに攻撃している
アスランに明日はあるのか?

373『明日』と『終わり』の間に・作者:2004/05/01(土) 00:23
 最近投稿が滞り気味で申し訳ないです。フレイ様がカレーに何を入れたかは次回で明かします。

》赤毛の虜囚
 ムウさんの誕生秘話ですね。以前フレイ様の夢に登場していた金髪の男の子とは彼のことだったんですね。ずっと気になっていましたので。
 
》流離う翼たち
 フレイ様、お見事な勝利でしたね。それにしてもアルフレット少佐の思惑は一体・・・?

》過去の傷
 ミリィが何をしたいのか分からなくなってきました。まさかキラの次にアスランに狙いを定めるなんて・・・。ラクスを挑発したりとまだまだ波乱が続きそうですね。

374私の想いが名無しを守るわ:2004/05/01(土) 07:04
>>『明日』と『終わり』の間に
カガリ一人称語りって、実はあまりなかったことに
今更ですが、気づきました。素直に反省して、食べて
しまうところがカガリらしいです。
>>流離う翼たち
フレイ様の人相と二つ名の認知度のギャップが、フ
レイ様の今の位置をよく表しているというところで
しょうか。なにげに新兵達も健気ですな。どさくさ
にまぎれて夕食誘っているヤツもいますね。
>>過去の傷
艦名が「エターナル」なだけに永遠に傷つけ合いそ
うで…特に㍉は何がしたいのか、私も知りたいところです。
トール喪失の傷はクライン派を内側から解体しそうな勢いですね。
>>ザフト・赤毛の虜囚
後年のカリダの人懐っこそうな部分と幸薄そうな部分
が同時に垣間見える章ですね。30代のウズミはカッコ
よさそうです。ブルコスメンバーなのにもびっくりしました。
>>キラ♀
フレイ様の策は、相変わらずズバズバヒットしますな。
カガリもトールもフレイ様の手のひらで踊らされていますね。
確かにこのフレイ様は遊園地って柄ではなさそうです。

375ザフト・赤毛の虜囚 55:2004/05/01(土) 08:30
9.母親(ママ) 7/8
[会いたかったよう…… ママぁ]

(私がママよ)

朝、私はここちよく目を覚ました。体に喜びが満ちあふれているようだった。
私は、自分のお腹に手を当てる。しっかりした充実感が感じられ、それ自体が喜んで
いるようだった。

私はフレイ・アルスター。…… そうよ、私が……
私はゆっくりベッドから体を起こし、しばし、その感覚を慈しむようにジッとしていた。

ドアのロックが開いて、コール音がした。そのまま入って来ない。おそらく、ミコトっていう子だろう。
私はドアを開けた。

ミコトは沈んだ顔をしていた。
「ママ、新しいの持ってきたよ。それと、お洗濯とか、入れ物とか……」

ミコトには、以前、きついことを言って追い返してしまったことがある。可哀想なことを
したという気持ちが残っている。私は、優しく答える。

「ええ、ありがとう。助かったわ。ちょっと待って、洗濯物取って来るから」
私は、ミコトの持ってきた新しい下着などを受け取ると、代わりに、どっさりある洗濯物などの袋を
持ってきた。それを受け取ったミコトは、私の顔色を伺うように、小さな声を出す。

「ママ、怒ってない?」
「ええ、怒ってないわよ。前は悪かったわ。ごめんね」

「ほんと、ママ? ほんとに怒ってない?」
「ほんとよ。怒ってない。ありがとうミコト」

さっき、自分のお腹に手を当てて、それを実感したせいだろうか。今の私は、ママと
呼ばれることが嫌じゃなかった。暖かい気持ちになっていた。

「ママ、大好き!」

ミコトは、洗濯物の袋を床に落とし、かがんで私の胸に顔を埋めた。以前、マリューさんが
教えてくれたママのすることを思い出した。私は思わずミコトの頭を抱え、髪を撫でていた。
自分の髪をいじっているのと同じ感じがする。本当に自分の娘の髪を撫でているような気がした。

「ミコト……」
私はミコトに優しい声をかけた。
それが合図のように、ミコトは切ない声で泣き出した。
「ママ、ママぁ…… 会いたかったよう…… ママぁ」

この間、私が追い返した時は泣きそうな顔をしながらも我慢していたのに、
私が許した今は、涙をポロポロこぼして泣いている。私はミコトの背中をさすりながら、
しばらくの間、じっと抱きしめていた。

私はミコトを受け入れていた。ミコトが大好きになった。

捕虜として捕まっているザフト。でも、その中の人達に私は少しずつ心を許している。
キラといて分かったこと。コーディネータとナチュラルも同じ。その心に変わりはない。
キラの望む戦争の無い世界。そのためにできることが、今の私にもあるんじゃないかと、
思い始めていた。

376ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/01(土) 08:36
>>過去の傷
フレイ様は、素直で、か弱いだけでなく、我が侭で意地っ張りでも魅力的ですよ。
ミリィ、ラクスと戦うには、まだ手駒不足だぞ。もうちょっと管制官特権を利用してからの方が……

>>流離う翼たち
二つ名は偉大ですね。これで新兵達には溶け込めたようです。整備兵には分かることですが、
メンテしたセランさんはアルフさんになにか聞かされているようですし、これで第一ステップはクリア?
でも、これだけでは無いですよね。
ムウの新機体はメビウス系統なのかな? 楽しみにしておきます。

>>『明日』と『終わり』の間に
ネメシス・フレイ様の普通じゃ満足できないという論理は、お約束で、分からないこともないけど、
カガリは、それにナチュラルとコーディネータの未来を重ねているのは予想外でした。
カガリはオーブの仕事に取り組み過ぎなのでは? そして、このまま被害者に?

377過去の傷・124:2004/05/01(土) 09:36
「そうだ、私とフレイは愛し合ってるんだからな!」
「でもカガリ様は女ですよね?」
「そんなの関係あるもんか!男同士だろうが女同士だろうがだ!恋愛にそんなのは不要だ!」
「限りなく関係あると思いますけど・・・」
マユラがそう言うがカガリは気にしてない様子だ。
「でもカガリ様、フレイさん、キラさんと腕を組んでますよ」
「なにぃ!?」
カガリの視線の先には完全に関係を戻した二人がいた。
カガリは慌てて駆け寄るとキラをフレイから強引と突き放す。
「キラ貴様!私のフレイになれなれしく触るな!」
「カガリ・・・君?」
「カガリ・・・貴女」
フレイとキラが戸惑うようにカガリの名を呼ぶ。
「キラ、姉に対しての気遣いをたまにはしろ」
「カガリ、ごめんね、私やっぱりキラが・・・貴女とは女同士だし・・・」
「そうか・・・誘ってきたのはお前だったのに・・・もういい・・・」
カガリがショックを受けた様子で青ざめる。
「皆、いるな・・・」
そしてアスランが来た。
皆が挨拶するなかフレイも・・・。
「お、おはようございます・・・今日はよろしくお願いします」
フレイも丁寧に挨拶した。
ザフトの捕虜の頃、クル−ゼにもこんな感じで挨拶していたのでなれてはいた・・・。
「うん、アルスタ−二等兵ちょっといいか?」
「あ、はい」
アスランに呼ばれ返事をしたフレイ。
「今日は君はこれに乗るんだ・・・」
「え?」
「プロヴィデンスX改だ、しかし普通にプロヴィデンスと呼んで構わない」
「これが・・・私の機体・・・?」
「そうだ、この機体で・・・君はカガリ達と手を組みキラと俺の二人の相手をしてもらう・・・」
フレイは突如怯える・・・。
「い・・・いや・・・これって・・・」

そんな頃ミリアリアは・・・。
「キス・・・?」
「はい、キスしました、ちょっとアスランさんを誘惑したら・・・」
「そんなはずはありません、アスランはそんな人ではありません・・・私はアスランを信じてますから」
「男なんてだれだって誘惑すれば思いのままです、アスランさんだって冷静そうに見えて私の色気の前では・・・」
「なにを馬鹿なことを言ってらっしゃるのです?そんなこと絶対にありませんわ」
「なんて・・・冗談ですよ!あはは!」

378流離う翼たち・467:2004/05/01(土) 23:47
 揉みくちゃにされて困っているフレイを見かねたのか、ボーマンが子供達を引き剥がしに掛かった。

「こらこら、アルスター少尉が困ってるぞ。お前達もいい加減にしておけ」

 ボーマンに言われて新兵たちは仕方なくフレイから離れる。ボーマンはフレイの前まで進むと、右手を差し出した。

「まさかああも簡単に負けるとは思わなかった。正直驚いたよ。俺はボーマン・オルセン中尉だ」
「いえ、ボーマン中尉も強かったです」

 フレイはその右手を握り返した。だが、ボーマンは何故か渋い顔になり、視線をフレイからずらした。

「まあ、何と言うかな。あれだけはっきり負けた後で言われると、少し凹むな」
「あ、それは、その・・・・・・」

 憮然とするボーマンしどろもどろになりながら必死にフォローの言葉を探している。だが、フレイが何か言うよりも早く、やってきたセランがボーマンの頭を持っているボードで叩いた。ドカンという音がしてボーマンが頭を押さえている。

「セ、セラン、手前、本気で殴りやがったな!」
「兄さんこそ、何少尉を苛めてるの。模擬戦で負けたくらいで大人気ない」
「ぬぐっ、別にそれを含んでるわけじゃないぞ」
「兄さんにその気がなくても、こっちから見ればそう見えるのよ」

 手でボーマンを追いやったセランがフレイの隣に立った。

「すいません少尉、うちの馬鹿兄が迷惑かけたようで」
「あ、兄って、お兄さんなの?」
「はい、あれが残念ながら私の不肖の兄、ボーマンです」

 セランは心の底から残念そうな声で兄を紹介する。それが余程気に入らなかったのか、ボーマンはこめかみに青筋浮かべてプルプルと体を震わせている。

「セラン、一度お前に兄の偉大さというものを分からせる必要がありそうだな」
「あら、やるつもり兄さん。これまでの5戦全敗の過去をもう忘れたのかしら」
「ふん、ならばこれが6度目の正直だ!」

 ボーマンが一切の躊躇無く繰り出してきた拳を、セランは腰に挿していたモンキレンチで迎撃した。ガギンという鈍い音を立てて両者が激突する。というか、さっきの音は絶対に人間の体が立てる音じゃない。よく見てみればボーマンは右拳にメリケンサックを付けているではないか。

「少尉、少し離れていてください。今からこの学習能力の無い貧弱な兄さんをぶちのめして自分の身の程というものを分からせてやりますから」
「え、ええと?」

 事態の急展開に付いていけず、頭がフリーズしてしまっているフレイの腕を新兵の1人が掴んで安全圏まで引っ張ってくる。それを合図に兄妹の壮絶なバトルが始まった。2人ともどういう体をしているのか、無茶苦茶な速さで動き、素人目にも分かるほどの強烈な一撃を叩き込み合っている。
 フレイはその動きを見ていて、何故かキラやアスランを思い出してしまった。

「凄い」
「ああ、そりゃ凄いさ。ボーマン中尉もセランもコーディネイターだからな」
「コーディネイター?」

 新兵のうちの1人がフレイの疑問に答えてくれたが、その答えにフレイは驚いてしまう。何故に大西洋連邦軍にコーディネイターが居るのだ。

「なんで、コーディネイターが大西洋連邦軍に居るの?」
「あの2人はマドラス生まれのマドラス育ちなんだよ。両親もコーディネイターだから第2世代って事になるか」
「地元出身のコーディネイターって、結構珍しいんじゃない?」
「まあ珍しいさ。でもまあ、地元の人たちはあの2人に好意的らしくて、コーディネイターにありがちな迫害ってのも少なかったらしい。ブルーコスモスに狙われた時も両親共々近所の人に匿って貰ったそうだし」

 その話にフレイは驚きを感じたが、一方で納得してしまう部分もある。世の中にはいろんな人が居るし、世界中の全てのナチュラルがコーディネイターを憎んでいるというわけでもない。ましてこの街で生まれ、この街で育ったと言うのなら、この街の住人ならば敵とは感じないだろう。
 だが、幾らこの街で生まれたといっても、よく同じコーディネイターを相手に殺し合いなどする気になったものだ。キラは同じコーディネイターを殺すことにかなりの抵抗を感じていたのに、2人はそういうものを感じることはないのだろうか。
 目の前でセランの持ち出したパイプレンチがボーマンを殴り飛ばしたのを見ながら、フレイはその辺りを聞いてみたいと思っていた。

379流離う翼たち・作者:2004/05/01(土) 23:54
>> 『明日』と『終わり』の間に
何かしていたのかフレイ様、でも、何入れたんでしょう。トマトとか?
とりあえずカガリ頑張れとしかいえません。

>> ザフト・赤毛の虜囚
ミコトが泣きついている。でも、ユーレンとの子供はフラガなわけで、この娘は何なんでしょうね、ちょっと分からなくなりました
そういえばミコトに相談されたイザークは何してるんでしょうw?

>> 過去の傷
プロヴィに乗れってのはちょっとトラウマになってると思うのですが
しかしカガリさん、マジだったんですかw!
一方でミリィはなにやら暗躍中ですな

380『明日』と『終わり』の間に・お昼過ぎ:2004/05/02(日) 01:04
 ―――駄目だ、スプーンが進まない。一体どーしてこんなことに・・・?ああ、ジッと見てるよあいつ。こうなったらちゃんと食べないといけないだろうし・・・、何であんなこと言っちゃったんだ、私?・・・このカレーは美味い、このカレーは美味い、美味い、美味いんだ・・・!よしっ、いくぞ!

 パクッ!

 !こ、この味は!?
 
 何だこの辛さは?違う、カレー粉やスパイスとかそんな類のものじゃない!カレーの中にもう一つの全く異なる辛さが隠れてる!何なんだこの味の正体は!?ハッ、この歯触りに独特の匂い、さては”キムチ”だな!?カレーにキムチを入れることでカレーの辛さを更に引き立てようとしているんだ!!
 それだけじゃない!この何処か不思議なまろやかさは何だ?この甘さは、果物・・・、苺・・・!そうか、”苺ジャム”だ!カレーにキムチ、そして苺ジャムを加えることによってこの絶妙のハーモニーが醸し出されてるのか!?
 それにこの喉ごしの良さ、これは”完熟トマト”か!?新鮮なトマトのみずみずしさがカレーにあっさりした風味を与えてるんだ!!

 ―――私は、この味をどう表現したらいいんだ?今まで味わったことの無いこの味を?・・・!あれ、何だか涙が出てきたな?どうしてだろう・・・?そんなの、決まってるじゃないか。さぁカガリ、あいつに言ってやるんだ。このカレー・・・。

「・・・マズいに決まってんだろーがぁぁぁーーーーっ!!!」

 言ってやった、言ってやったよ、私・・・。あっ、気が遠くなってく。アスラン、キラ、助けて・・・。御館様、ミツヒデ様が御謀反なされました。・・・って、なんだこの記憶?―――。

 ―――数十分後―――

「・・・ねぇ、カガリ・・・」
「・・・何だ、フレイ・・・?」
「・・・そんなに美味しくなかった?」
「・・・まぁな・・・」
「・・・やっぱり、苺ジャムじゃなくてブルーベリージャムにしとけば良かったかしら?」
「・・・そーいう問題かあれ?」

 ・・・これはもう、料理の才能が有る無いの問題じゃない。こいつ、料理というものが何なのかということ自体が分かってないんじゃ・・・?とにかく、まずそこから教えてやらなくちゃいけないな。久々に、本気を出すか・・・。

「・・・フレイ、今からだと少し時間が掛かるけど、昼ご飯は私の手料理をご馳走してやるよ。その間お前はトリィとでも遊んでろ!」
「カガリが?一人で大丈夫なの?」
「なぁに、心配するな。何たって私は、今までに何度もアスランに手料理を振舞ってるんだ」
「ハイハイ、その話は病院で何百回も聞いたから。いいわよ別に。でもお腹が減ったから、なるべく早くしてよね?」
「ああ、任せとけ!」

 ―――さらに数十分後―――

「わぁ、すっごぉーい!まるでレストランのフルコースじゃない!これ全部一人で作ったの?」
「ふふふ、私が少しでも本気を出せばこんなもんだ。さぁ、冷めないうちに早く食べろ」
「ええ。いただきまーす!」

 まぁ、ざっとこんなもんさ。これで少しぐらいはこいつも料理ってもんが分かるだろ?それにしても何だか懐かしいな。初めてアスランに手料理を食べてもらったあの日みたいで。あの時アスランの奴、残さず全部食べてくれたっけ。『血を吐くほど美味い』って言ってホントに吐いてたしな。あっ、そういえばあいつ、『これから俺以外の人間には誰にもご馳走しないでくれ!』って言ってたような・・・?ごめんなアスラン、妬かないでくれよ?

 ドサッ!

 ん、何の音だ?・・・ってフレイ、どーした?床の上で寝るなよ。・・・おーい、フレイー・・・!?

381ザフト・赤毛の虜囚 56:2004/05/02(日) 07:59
9.母親(ママ) 8/8
[ミコト〜 もう離れちゃやだよママ]

アタシ、ミコト・ヒイラギ。
今日また、クルーゼ隊長の部屋にいるママに会った。この前、ママは怒って、アタシに
どこかへ行っちゃえって言った。ミコト、なにか悪いことしたの? でも、ママは怒るだけだった。

でも、今日のママは違った。優しかった。怒ってないって聞いたら、

「ほんとよ。怒ってない。ありがとうミコト」

って言った。笑ってた。アタシ、ママ大好き。
アタシ、ママに抱きついた。ママ、アタシの髪を撫でてくれた。優しく撫でてくれた。

アタシ、そうしてたら、いつのまにか泣いてた。うれしいのに泣いてた。
ママ、ママ、会いたかったママ。いつも一人で寂しかった。会いたかったようママ。
もう離れちゃやだ。いつもいっしょ。もう離れちゃやだよママ。

クルーゼ隊長言ってた。アタシ達、基地についたらプラントに帰るって。
ママもいっしょだよ。ぜったい、ぜーったい、いっしょだよ。

パパ…… パパは、どうしたのかな。アラスカで声がしてたパパ。パパもいっしょに来て欲しい。

パパどこにいるのかな。ママ、今度教えてね。

382ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/02(日) 08:02
これで、7章「幼子(おさなご)」から9章「母親(ママ)」まで続いていたミコトとフレイの出会いの話は、
ひとまず終わります。次は、ちょっと、いろいろ展開の見直しを行うため、ひょっとしたら時間が空くかもしれません。
その間は、フレイの番外的な章を入れる予定です。ミリィSSの方、展開伸ばして済みません。
でも、おかげで、やっとフレイSSとの劇中時間差が埋まりつつあります。

>>過去の傷
ミリィの攻撃、ラクスに意外と効いている?
プロヴィデンスX改って、どこが、Xで、どこが改なのかも気になりますが、アスランが、どこから持ってきたのかも
気になります。

>>『明日』と『終わり』の間に
ううむ、想像するだに無気味な赤のカレーですな。しかし、カガリも負けず劣らずのようで……

>>流離う翼たち
なるほど、そう来ましたか。コーディネータと戦争とのあり方を、今一度考えさせられます。
どんな道を示してくれるのか、ずっと見えなかったのですが、やっと期待が持てるようになりました。
本題は、これからですが、小説内で明らかにされること気長に待っています。

セラン軍曹と呼ばれる理由は、ボーマン艦長、もといボーマン・オルセン中尉という、お兄さんが近くにいる
からなんですね。ところで、セランさん、パイプレンチは、充分、凶器になりますので気をつけましょう。

私のSSへの疑問の方ですが、ムウとミコトは、番外編でヴィアが話していたように、両親を同じくする、
一番まっとうな兄妹です。ただ、SS内独自年表だと10歳離れていることになります。ムウの年齢は、都合により、
TV本編より若い設定になっています。

383過去の傷・125:2004/05/02(日) 10:31
「フレイ!?」
キラが慌てて駆け寄る。
(やはりな・・・怯えている・・・)
「いや・・・これ・・・私を・・・私を殺そうとした・・・」
「アルスタ−二等兵、いいかよく聞け」
「アスラン!もういいだろ、この機体は彼女の心と体を傷つけた機体だ、これに彼女を乗せるなんて」
キラがフレイを庇おうとしたが。
「お前は黙ってろ、アルスタ−二等兵・・・君は何か勘違いしている」
フレイが顔を上げる。
「君を撃ったのはこの機体じゃない、隊長だ」
フレイがハッとする。
「機体にはなんの責任もない、恨むならクル−ゼ隊長を恨め、それに乗るのが嫌なら乗らなくても構わない」
そうだわ、私なにやってるんだろう・・・機体にはなんの関係もないじゃない・・・私って相変わらず馬鹿だわ、一人に振り回されて自分だけいつも回りが見えない・・・クル−ゼ隊長は私を生かしてくれた・・・もしかしたら芝居かもしれない、私に死んでもらったら困るからかもしれない、私を生かしたくて生かしたわけじゃないかもしれない、でもそれでも・・・生かしてくれたことには変わらない。
機体に怯えたら駄目、怯えて逃げるのは以前の私、もう以前の私は忘れるの・・・。
「あ、あの!アスランさん!」
フレイはアスランに叫びながら必死に声をかけた。
アスランが振り向く。
「アルスタ−二等兵、なにか言いたいことがあるなら言ってみろ・・・」
「あ、あの!私みたいな女に乗れるか分からないけど、私もう逃げない!私、プロヴィデンスに乗ります!いえ乗らせてください!」
とたんアスランが微笑んだ。
「そうか・・・よしなら褒美をやろう」
「褒美?」
「君はキラのフリ−ダムと手を組み、俺達と実戦練習だ、君もその・・・好きな男と一緒に戦いたいだろう・・・?」
フレイの顔が赤くなった。
「待て、アスラン!なんで私がお前と手を組んだよ!私はフレイを守って決めたんだ!私はフレイの援護をする!」
カガリが声を張り上げた。
「・・・勝手にしろ・・・カガリ・・・敵になるならお前でも容赦しない」

「ミリィ・・・?」
食堂で一人ジュ−スを飲んでいたサイのもとにミリアリアが笑みを浮かべながら歩み寄ってきた。
あのあとラクスにこっぴどく叱られ逃げてきたのだ・・・。
「ねえサイ・・・」
ミリアリアは色気ある目でサイの隣に座るとゆっくりとサイの手を握る。
「ミリィ・・・?どうした?」
「ううん・・・なんでもない・・・ふふ」
不審そうな目でサイはミリアリアを見る。
「ちょっと手伝ってほしいのよ、ラクスさん・・・ラクス・クラインとアスラン・ザラの仲を引き裂きたいのよ、上手くいったら私、サイの彼女になってあげてもいいわよ」
「興味ない・・・なんで俺がそんなことを・・・」
「ねえ・・・サイお願い・・・」
そう言うなりミリアリアはサイを振り向かせるとサイの首を両手をかけた、キョトンとしているサイに構わずサイの唇にキスした、軽くではなくじっくりと押し付けるキスだった。
「サイ・・・いいでしょ・・・?」
「やめてくれ!」
抱きつくミリアリアを突き放すとサイは慌てて食堂から出て行った。
残ったミリアリアは舌打ちをたてていた。
キスしてやったのになんなのよサイは・・・ほんと役立たずなんだから・・・。

384私の想いが名無しを守るわ:2004/05/02(日) 21:25
>>「明日」と「終わり」の間に〜
カガリが気を失う寸前の記憶は、某ゲームの声優ネタからですよね?
フレイ様に負けず劣らずカガリの料理も壊滅的でしたか(汗)。
血を吐きながらも全部食べたアスランは凄い!!

385流離う翼たち・468:2004/05/03(月) 00:23
 同時刻、マドラスの近くに上陸した者達が居た。ゴムボートを引き上げて海岸の窪地に隠し、目立たないよう私服に着替えていく。それはアスランとフィリス、エルフィの3人であった。

「さて、これからマドラス基地に潜入するわけだが、もう一度確認しておくぞ。俺たちの仕事はあくまで沿岸の防御設備の確認と、脚付きの居所だ。間違っても連合兵士と問題を起こさないように」
「それは分かってます」
「私たちより、隊長の方が心配なんですが」

 エルフィが頷き、フィリスが逆にツッコミを入れてくる。フィリスのツッコミを受けてアスランは些かの怯みを見せ、エルフィが困った顔でフィリスを見ている。

「あ、あの、フィリスさん、今回はザラ隊長の気分転換も兼ねてるんですから、余り追い詰めるような事は言わない方が良いと思うんですが」
「そ、そうでしたね、すいません」

 生来のツッコミ気質からついついアスランに言い返してしまったフィリスだったが、エルフィに窘められてすまなそうに頭を下げた。そう、今回の上陸はストレス性胃潰瘍を起こしかねない状態に陥っているアスランの、言うなれば気分転換を兼ねた任務なのである。その為に同行者も良識派の2人で固められ、アスランの負担を極力軽くするように配慮されているのだ。
 今回の偵察任務はエルフィが潜水艦隊司令のモラシム隊長に具申したものだった。当初はエルフィの意見具申を歯牙にもかけずに却下しようとしたモラシムだったが、エルフィが余りにも執拗に食い下がってくる為に仕方なく彼女の話しを聞くことにしたのだ。そしてエルフィの話を聞き終えたモラシム隊長は、何故か感動した表情でエルフィに頷き、持ってきた意見具申書にその場で承認を与えている。
 敵中に偵察に赴く方が精神的に楽、というアスランの悲惨極まりない現状に同情してしまったモラシム隊長は、アスランの体調を心配するエルフィの心遣いに打たれて今回の偵察任務を許可し、支援までしてくれたのである。
 エルフィが今後の予定表を持ち出してアスランとフィリスに確認を取る。

「それでは、今日の14:00に潜水艦隊から支援のミサイル攻撃がマドラスに向けて行われます。私たちはその後のゴタゴタに紛れてマドラスに潜入、情報収集を行う事になります。旅費の関係でこちらに留まれるのは1日だけ、1泊2日となります」
「エルフィ、1泊2日って、修学旅行じゃないんだから」
「う、そうですね。でもまあ、明日の14:00までにこの回収地点に来ないと死んだと思われて攻撃開始なんで、気を付けて下さい。モラシム隊長は待ってはくれませんよ」

 エルフィはアスランのツッコミに少したじろぎならがも通達事項を伝え終えた。フィリスは自分の手に持つを取り、マドラス市街を見やる。

「それじゃあ行きますか。一応あそこは敵地ですので、気を付ける事だけは忘れないで下さい」
「うう、イザークたち、また問題起こして無ければいいんだが」
「それは大丈夫でしょう。モラシム隊長が引き受けるといってましたから」
「なら、良いんだが」

 胃の辺りを押さえながら不安そうに答えるアスランに、エルフィとフィリスは小さく肩を落としてしまう。全く、この隊長はどうしてこうもっと余裕も持って生きられないのだろうか。
 ちなみにアスランの胃痛の原因たるイザークとディアッカはというと、実はもう既に、問題を起こしてモラシムに罰則を受けさせられていたりする。モップを手に格納甲板を掃除させられていたイザークは三角帽を被った姿で右手を握り締めて文句を言っていた。

「畜生、何でアスランが偵察任務に出れて、俺がこんな所でモップかけなくてはいかんのだ!?」
「イザークよお、流石にこれ以上騒動起こすのは不味くねえか。次やったらモラシム隊長がサメの餌にするとか言ってったぜ」
「はっ、やれるものならやってみろって言うんだ!」
「ほお、ならそうしてやろうか?」

386流離う翼たち・469:2004/05/03(月) 00:26
 いきなり背後から聞こえてきたその声に、イザークとディアッカはビクリと体を震わせて恐る恐る背後を振り返った。すると、そこには何とモラシム隊長が不機嫌そうな顔で腕を組んで立っているではないか。

「あ、あの、モラシム隊長、何時からそこに?」
「ジュールが拳を握り締めて文句を言ったあたりからだな」
「あ、あ、それは、ですねえ。ディ、ディアッカ、お前からも何か・・・・・・」

 イザークは言い訳の言葉さえも浮かばなくなって友人に助けを求めようとしたが、既にディアッカはその場にはおらず、離れた所で鼻歌を歌いながら楽しそうにモップがけをしていた。

「フンフンフン〜〜♪ 俺は愉快な掃除屋さ〜ん♪」
「ディ、ディアッカ――――――!!?」

 友に見捨てられた事を悟ったイザークは悲痛な声を上げたが、ディアッカはイザークの方を見る事さえなく、イザークはモラシムに首根っこを捕まえられて引き摺られていったのである。

「さあ、インド洋がお前を呼んでいるぞ」
「ま、待って、待ってくださいモラシム隊長!?」
「たまには海水浴もいいものだ。なあに、そう滅多にサメに襲われたりはせん」
「滅多にってことは、襲われる確立もあるってことでしょうがあ!」

 悲鳴を上げながら引き摺られていくイザークを、整備中の機体から顔を出したミゲルとニコル、ジャックが見送っていた。

「あ〜る〜はれた〜ひ〜る〜さがり〜、いちば〜へつづ〜くみち〜」
「なんですかミゲル、その変わった歌は?」
「ドナドナっていう、大昔に流行った流行歌だ」
「へえ。でも、何でいきなりそんな歌を?」
「・・・・・・いや。この歌はそのまま聴くとちょっとシュールなだけなんだが、実はある国が行っていた組織的な虐殺をテーマとした歌なのだ。丁度、イザークのように処刑場に連れて行かれる囚人の歌なんだ」
「・・・・・・・・・だからですか?」
「ああ、あのイザークはまさにこの歌が似合う、そう思ったからな」
「ジュール隊長も可哀想にと言いたいですが、まあ自業自得ですね」

 連れて行かれるイザークを見送った3人には一抹の同情もありはしない。残念だが、イザークは少し懲りた方がいいと考えていたのだ。ディアッカもイザーク同様に懲りた方が良いのだが、彼は引き際を心得ているので中々法の網に掛からない。肝心な所で抜けているイザークよりもはるかに厄介な相手なのだ。

「でも、大丈夫ですかねえ、ザラ隊長たち」
「まあ、フィリスとエルフィもついていってるし、大丈夫だろ」
「最近のアスランは顔色が悪かったですからね」

 一応敵地に潜入するという危険極まりない任務に行っているのだ。3人がアスランたちを心配するのも仕方が無いだろう。
 ちなみにイザークはというと、本当にモラシムに海に叩き込まれて30分ばかり泳ぎ続けていたらしい。途中でなにやらとても大きな魚影を見たモラシムに急いで引き上げられたそうだが、詳しい事をイザークは遂に最後まで語らなかった。ただ、その時の事を聞かれるとガタガタと震えだして逃げてしまうようになったとか。

387流離う翼たち・作者:2004/05/03(月) 00:36
>> 『明日』と『終わり』の間に
も、森蘭丸!? カガリの前世は一体・・・・・・
しかしカガリも似たような物か。という事はカレー事件の責任は誰に行くのやら
アスランにとりあえず敬礼!

>> ザフト・赤毛の虜囚
ミコトさんも一緒に宇宙へ。ゲイツにでも乗るのかな。一応赤服だし
回答ありがとうございます。なるほど、兄貴の妹ですか

>> 過去の傷
フレイ様がプロヴィに、なんか、イメージが・・・・・・
カガリとアスランは仲が悪そうだし
サイはミリィの手を逃れたようですな。感心感心

388ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/03(月) 02:50
今日は執筆が間に合わなかったので感想だけ書き込みます。

>>過去の傷
アスランは言葉使いも変わって隊長の風格というか、偉そうというか。
ミリィは、やはり、まだラクスには適いませんか。サイを味方に引き込むのは失敗したし、
次は誰を…… って、すっかり悪党の器ですな。でも、ちょっと気が短いかも。

>>流離う翼たち
いいところで場面転換ですね。また話が交差するのを待ちましょう。
いまさらですが、マドラスってインド半島の東側の都市で、ムックなどでは、中立よりの赤道連合に
属する場所ですが、ここでは、連合の拠点になんですね。連合のどんな拠点なのかは、あまり説明が
無いのですが、戦艦修理や、アズが居たり、アスランまで潜入したりと、すっかり、TV本編のオーブの
ような重要な位置付けになってますね。

ちなみに、ミコトは今の予定ではゲイツ改に乗せるつもりです。

389過去の傷・126:2004/05/03(月) 09:17
「この感じは・・・この機体・・・私使えるかもしれないわね」
(いい感覚ね、それより月光蝶システムってなにかしら・・・?武器かな・・・?それからこのドラグ−ンシステムって・・・?)
(それはいわゆる・・・Gビットみたいな感じです)
(ティファ・・・)
(フレイさん、こんにちは・・・あ!この世界に来るという話なんですけど・・・駄目でした、マイクウェ−ブ施設で・・・あ、そんなことより通信が)
<アルスタ−二等兵も発進するんだ、宇宙に出る>
アスランの声だ。
<あ、はい分かりました・・・フレイ・アルスタ−!プロヴィデンス出るわよ!>

<ミ−ティア装着完了!>(これくらいのハンデはないとな)
宇宙の出た四機の機体は・・・。
<アルスタ−二等兵、君はキラのフリ−ダム、カガリのストライク・ル−ジュと協力し、俺と戦うんだ>
<アスランさんと?そんな・・・>
<これは練習だ、気負いすることはない>
<は、はい分かりました!>
<いくぞ!練習開始!>

「じゃ、じゃあ行くわよ!」
(ええっと・・・キラに言われたとおり・・・ファンネル!いって!)
そしてプロヴィデンスから、無数の飛び道具系のビ−ムが飛び出した。

(さあて、どれを狙うか、キラが厄介だな・・・しかし・・・俺はプロヴィデンスとニュ−タイプと戦いたかったんだ・・・いくぞ、フレイ・アルスタ−!)
そしてジャスティス・ミ−ティアはプロヴィデンスの放ったドラグ−ンシステムをなんとか回避しながら突っ込んだ。
(やはりまだまだ素人だな・・・)

(フレイさん、モビルス−ツ接近!)
(え!?もう来たの!?)
<フレイ大丈夫だ!>
<カガリ!?>
そしてジャスティス・ミ−ティアが無数のビ−ムの前から突如姿を現した。
(ああ・・・来たわ・・・いや)
切りかかってきた敵機、しかしプロヴィデンスの前にストライク・ル−ジュが現れシ−ルドで防ごうとする。
<ここは・・・通さん!>
<カガリ!そんなもので防げるとでも思ってるのか!>
しかし、さすがに全ては防ぎきれなかったらしくル−ジュも多少だが損傷した。

その頃キラのフリ−ダムは・・・。
「くくく・・・皆殺しだ・・・」

そして同時刻。
「キラ・・・そろそろ薬が効いてきたころかしら・・・さあ・・・殺してねキラ」
とミリアリアが部屋で一人呟いていた、不気味な笑みを浮かべて。
「殺して、殺して・・・あははは!」
(ふふ・・・だいたい十五分ってとこかしら一つしかないんだ大事の使ってねキラ・・・ふふ・・・あはは!)

390『明日』と『終わり』の間に・作者:2004/05/03(月) 09:32
>>384
 その通りです。ガンダムと関係のない声優ネタだったので使うかどうか少し迷いましたが、分かってくださった方がいてくださって良かったです。

》流離う翼たち
 フィリスさんのツッコミ気質は生まれつきなんですねw。しかしアスランは本当に苦労しているみたいですね。
 それにしてもモラシム隊長、あんなこと言っておいていざという時に焦っちゃ駄目ですよ。イザ―クにまた新しいトラウマが出来ましたねw。

》過去の傷
 アスラン、何だか無理強いしてるみたいですね。フレイ様に対してここまで高圧的になる理由は何でしょう?それにプロヴィデンスX改は月光蝶システムまで装備しているとは。ひょっとして『SEED』も黒歴史の一部?
 それとミリィ、キラに何飲ませたんだい?凄いことになってるけど・・・。

》赤毛の虜囚
 ムウさんとミコトちゃんは兄妹なんですね。本編と年齢が異なるとありましたが、何歳になるんでしょうか?それと他にもそうした設定の違うキャラはおられますか?

391過去の傷・127:2004/05/03(月) 10:14
<なんか、キラの様子が変だ!>
<アスランさん!キラが!>
<キラがどうした・・・?>
一時止まった三機。
そしてフリ−ダムが駆けつけてきた。
<僕の邪魔をするなら・・・死ぬよ?皆・・・皆殺しだ>
(なにかにやられたな・・・薬か?それとも・・・おそらく十五分程度で切れるだろう・・・仕方がない)
<アルスタ−二等兵にカガリ!キラは薬にやられている、十五分程度と思うが・・・それまで粘るぞ!今日はこれで終わりだ!>
<分かりました、これも練習のつもりで・・・>

<そら・・・いくよ!>
フリ−ダムがプロヴィデンスに遅いかかってきた。
「キラ・・・」
ルプス・ビ−ムライフルを放ってきた。
しかし、Iフィ−ルドがそれを無効化する。
そしてすかさずドラグ−ン・システムを放つ。
そしてそのまま突っ込む。
無数のビ−ムを回避しているフリ−ダムにプロヴィデンスが斬りつける。
(キラって・・・たいしたことないわね)
いや、機体の性能のおかげだと思うが・・・。
そして・・・。
<フレイ・・・?僕は・・・>
<よかった、気づいたみたいね・・・もう十五分過ぎたころかしら>

機体から降りた四人は。
「気づいてないの?」
「うん、どうも意識がなくてさ」
「そう・・・」
フレイはキラを気遣っていた、そして背中を優しくさする。
「もう・・・心配かけないで」
「フレイ、ごめん・・・ありがとう・・・」
「もう・・・馬鹿」

一人でいたアスランは・・・。
「・・・・・!」
「アスランさん・・・」
「君・・・」
ミリアリアは歩み寄るとアスランの隣に座る。
なんだ、生きてたんだ・・・でも少しやりすぎたかしら。
「どうしてここに?」
「アスランさんがとっても心配で・・・」
「俺が・・・?」
ミリアリアはアスランを抱きしめた。
「な・・・君」
「言ったはずです、私も一緒に戦うって・・・貴方とともに・・・」
アスランは抵抗もせずされるがままになっていた。
「疲れたよ」
「なら・・・私の部屋に来ませんか?」
「いや、いい・・・」
「ならアスランさんの部屋に行ってもいいですか」
それにアスランは戸惑う。
「いや、しかし・・・」
「分かりました・・・」

392流離う翼たち・470:2004/05/03(月) 23:48
 基地の食堂でフレイはセランとボーマンの2人を加えて食事を摂っていた。セランは上官とはいえ経験の浅いフレイを何かと気にかけてくれており、フレイもそんなセランに随分気を許していたのだ。そしてボーマンもパイプレンチを食らった頭に止血を施して包帯を巻いてセランの隣に座っている。
 フレイはスパゲティを食べながらセランに自分の疑問をぶつけてみた。

「ねえセラン軍曹、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「はい、何ですか少尉?」

 セランは食べようとしていたハンバーグを止め、フレイの方を見る。フレイは少しだけ躊躇った後、その疑問を口にした。

「軍曹達は、どうして大西洋連邦軍にいるの?」
「は?」
「大西洋連邦はコーディネイターに優しい国じゃないわ。なのに、同じコーディネイターと戦ってまでどうして?」
「ああ、そういう事ですか」

 納得したのか、セランはおかしそうに笑っている。ボーマンの方も同様で、どうもこの2人はキラとは何かが違うらしい。

「私たちはこの町で生まれて、この街で育ったんですよ。その故郷を攻撃してきたプラントの連中なんかにどうして肩入れしなくちゃならないんです?」
「全くだな。同胞だか何だか知らんが、行った事も無いプラントや、顔も見たことも無い連中に義理なんぞ感じんよ」
「そういうものなの?」
「当り前ですよ。第1、同胞だから味方しろなんて冗談じゃないです。会ったことも無い遠くの親戚より、近所の人たちの方が大事です」

 セランの答えに、フレイは動揺を隠せない。キラは同じコーディネイターと戦う事にあれほど苦しんでいたのに、そのコーディネイターから全く違う意見を聞かされたのだ。2人とキラは生まれた場所も育った環境も違うというのは分かるのだが、こうも違うものだとは。
 考えこんでしまったフレイに、ボーマンが声をかけた。

「何でそんな事を聞くんだ?」
「・・・・・・アークエンジェルにも、コーディネイターがいるんです。かれは同じコーディネイターと殺しあう事に苦しんでました」
「なるほど、そういう事か」

 ボーマンは納得して頷いた。だが、セランは納得していなかったらしく、むしろ糾弾口調でそのコーディネイターに文句を付けた。

「そのコーディネイターは覚悟が足りないんですよ。そりゃ色々事情はあるんでしょうけど、一度こっちに付くって決めたんなら悩んでどうするんだか」
「でも、相手には友達も居るっていうことだし」
「それがどうだって言うんです。私たちの親戚だってプラントに居ますよ。会った事は無いですけどね」

 セランの反論にフレイはまた衝撃を受けた。何でそんなに簡単に言えてしまうのだ。戦争で敵同士だという事は、自分でその親戚を殺してしまうかもしれないというのに。

「なんで、そんな風に割り切れるの?」
「そんなの簡単です。さっきも言いましたが、私は会った事も無い親戚より、両親とこの街とそこに住んでる人の方が大事だからです。親戚が居るかもしれないから、何て考えてたらこの街も守れないですし、私たちも死んじゃいますよ」
「そういう事だな。そいつがどうかは知らないが、俺たちは身近な人たちを守りたいから軍に入った。それが全てだよ」
「でも、大西洋連邦軍だと、色々と問題も起きるんじゃないの。嫌がらせをされたりとか、ブルーコスモスに狙われたりとか」
「そういう事も確かにありますけど、それくらいは仕方ないですよ。それに隊の仲間達は良くしてくれますし、アルフレット少佐が色々と手を回してくれてからは嫌がらせも無くなりました。兄さんなんかは勲章も貰ってるんですよ」

 どうやら自分が考えていたより2人はずっと苦労していたらしい。だが、それを全く感じさせないのは、キラと違って1人ではなかったからだろうか。それにアルフレットみたいな上官も居たのが大きかったのだろう。

393流離う翼たち・作者:2004/05/03(月) 23:51
>> 過去の傷
月光蝶って・・・・・・なんでそんな物騒な物を。世界を滅ぼす気かアスランは?
しかし、キラって何使われたんでしょうね

394私の想いが名無しを守るわ:2004/05/04(火) 03:25
>>流離う翼たち
このSSの大西洋連合はまだアルフレッドの影響力が浸透すると
いう点でマシなというか、より勝利に貪欲な組織に見えますね。
ちょっと間の抜けたというか油断しっぱなしのザフトと対照的です。
>>過去の傷
「月光蝶である」のあれですね。私はダブルXとプロヴィデンス
のMIXを想像してました。アスランは、前の戦争だけでは戦い足
りないという感じですね。㍉の意図も見えてきた感じがします。
>> ザフト・赤毛の虜囚
フレイ様とミコトの関係が親密になればなるほど、ゲイツ改に
乗るという設定が不安を誘いますね。キラともぶつかることに
なるのでしょうか。じっと次の展開を待つことにしましょう。
>> 『明日』と『終わり』の間に・お昼過ぎ
カガリ成分がかなり強いらしいという噂はよく聞いてます。
「ごめんなアスラン、妬かないでくれよ」←調子に乗るカガリ
の顔が目に浮かぶ一言ですね。フレイ様大丈夫だったのかしら。

395ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/04(火) 08:50
用意していた番外的な新章。最終チェック中に、サイズ超過になって時間切れです。投下は今晩以降になります。
感想を聞いていると、「ヴィアとミコト」の番外は、9章「母親(ママ)」の後にすれば良かったですね。
間に、ミリィのミナシロ編挟んでしまいましたからね。

>>過去の傷
プロヴィデンスXのXって、あっちのXでしたか。ティファは、出て来れなくて残念です。
ミリィは一体何の薬を使ったんだ。キラを誘惑している時に一服盛ったとすると、かなり遅効性。
意外と、隠れた策略を用意しているみたいで、これからのミリィ vs アスラン・ラクス戦線に期待。

>>流離う翼たち
セランとボーマンの戦う理由、キラと同じなんですね。フレイ様は気づいていないようですが、
キラにとっての近しい人は、フレイ様を始めとするヘリオポリスの友人とともに、アスランがいるはずです。
それが、二人との考えが違うように見える理由なのでしょう。そのアスランもマドラスに潜入したようですし、
フレイ様、その辺に触れることができるのかな。そういえば、この世界ではトリィはいるのでしょうかね。

>>390
ムウは、24、5歳といったところです。当然、マリューさんやナタルも、それにつれて若干シフトする
ことになります。うちのSSの年齢設定で、一番、影響が大きいのはジョージ・アルスターでしょうね。
かなり老け込んでいることになっています。その他は、年齢がはっきりしないのを自分なりに
決めていっているぐらいです。ただ、設定は変えていないですが、フレイ達は、自分では、
大学生くらいのつもりでいます。

396過去の傷・128:2004/05/04(火) 12:15
「ちょっと・・・いいか?」
パイロットロッカ−でフレイはアスランに声をかけられたのだ。
ス−ツをまだ着ていたが仕方なく座る。
「君は・・・キラが好きか・・・?」
突然の質問に戸惑いながらフレイは頬を少し赤く染めると小さくうなずいた。
「はい・・・」
「そうか・・・あいつは・・・泣き虫で・・・甘ったれで・・・優秀なのにいいかげんな奴で・・・でも優しい奴で、ほっとけない奴だ」
「そうですよね・・・泣き虫で、でもそこが可愛いんですよ・・・私も何度か泣きつかれて慰めたことが」
「そうか、大変だったな」
「いえ、そんなことないです」
アスランは微笑んだ。
「あいつが地球軍にいた理由も残った理由も君がいたからかもしれないな・・・」
「え・・・?」
驚いたようにフレイはアスランを見た。
「いや・・・アルスタ−二等兵、君に頼みがある」
「え?はい、私に出来ることでしたら・・・」
「キラを見れば分かるが君はあいつにとっては世界の中で一番の女性だ・・・」
「え・・・?私が」
そしてアスランは地面を見ると告げた。
「だからあいつを・・・キラを頼む・・・」
フレイは微笑んだ。
「はい!」
この人にとってもキラは大切なのね・・・だから私はこの人のためにもキラを愛して本当の想いでキラを守るわ・・・。
「あの・・・アスランさん」
「アスランさんこんなところにいたんですか〜♪」
少女の声がしたので二人が振り向いくといつもより綺麗なミリアリアがいた。
「君・・・」
「う〜ん、やっぱり入浴後はいい気持ちね」
そうか・・・入浴後なのだ、それでいつもより色気があるのだろう・・・それから香水だろうか、いい香りがミリアリアからした、普通でも可愛いミリアリアがさらに可愛くみえた、アスランは美少女二人を目にして婚約者である歌姫のことなど頭の片隅にも置いてなかった。
アスランもついミリアリアに見とれてしまった、フレイには悪いがパイロットス−ツの彼女よりは今のミリアリアは色気や魅力があり、目がいってしまうのは当然だろう。
「アスランさん、探しちゃったわよ〜♪」
「あ、ああ・・・すまない・・・」
そしてアスランの手を取ると立たせてフレイに見せつけるようにどきまぎしているアスランを抱き寄せ腕を組み胸のふくらみをアスランに感じさせる。
「アスランさん♪」
「・・・・・・」
フレイというと・・・予想通りうんざりした様子でいちゃいちゃしている二人をあきれた目でため息をつきながら眺めている。
「ここ雰囲気ないわ、私の部屋にでも行きましょう?」
甘える声で言われ戸惑うアスラン。
フレイが立ち上がる。
「私行くわ・・・お邪魔みたいだから・・・」
そう呟くとフレイが立ち去る。
「あ、アルスタ−二等兵・・・」
アスランとしても面白くなかった、フレイとまだ話したかったし、ア−クエンジェル内でのキラの話もまだ聞きたかったのだが・・・とんだ邪魔をされた感じだ。
そしてアスランはぎょっとした・・・ミリアリアがフレイの後姿を敵意のような眼差しで・・・警戒するように睨みつけていたのだ。
「君は・・・彼女が」
「ええ、私・・・あの女が大嫌いなんです」
さっきまでの甘えた声や表情は完全に彼女からは消えていた。
全てフレイに見せつけるためだったのだ。

397散った花、実る果実40:2004/05/05(水) 02:27
「地球の人々と私たちは同胞です。コーディネイターは決して進化した違うものではないのです。婚姻工作を行ってもなお、生まれてこぬ子供達。
すでに未来をつくれぬ私たちの、どこが進化した種だというのでしょう」
スクリーンの中で切々と訴える彼女。その声と顔は覚えのあるものだった。
「愛する人々を失ってもなお、戦いつづけるその未来は、間違いなく待つものなのでしょうか。」
ナチュラルとコーディネイターの併合を説く彼女の演説に対して政治家の反論が入る。
「苦しくとも今を戦い、そして、平和で輝かしい・・・・・」
プツッと言う音を立ててスクリーンのスイッチが切られた。
ラクス・クライン。ザフトの歌姫。
初めて見たとき、なんて不快なコなんだろうって思った。
コーディネイターのくせに、ナチュラルの私たちの艦で馴れ馴れしく近づいてきて。
いかにもお嬢様といった振る舞いでイライラさせられた。
でも、スクリーンの彼女は違う人のように見える。
ぽやぽやして無神経なことを言うばかりだと思っていたけど・・・・このコ、こんな事考えていたのね。
『愛する人々を失ってもなお』・・・・・彼女は愛する誰かを失ったのだろうか。
私は、・・・・これからどうしようと言うのだろう。
今なら彼女と話せる気がした。
彼女は、あの時、あの爆発を見て、何を思っただろう。
あの激しい戦闘の中、静かに歌を歌いながら、何を考えていたんだろう。

「ラクス・クラインには、議長も大分手を焼いておいでのようだ。よもやそれで我等に帰国命令出たわけでもあるまいが。」
嘲笑うようにそう言った仮面の男はモニターのスイッチを切り、こちらを振り返った。
「しかし、私には信じられません。・・・彼女が反逆者などと。」
血気さかんな顔に傷のある少年がその言葉に反発する。
「そう思うものがいるからこそ、彼女を使うのだよ、クライン派は。君たちまで惑わされてどうするね。」
仮面の男はそれに動じることなく諭す様に続ける。それがまるで彼の演説であるかのように。
「様々な思惑がからみあうのが戦争だよ。何と戦わねばならないのか・・・・見誤るなよ」
そう言って去っていく彼の背中を、銀髪の少年はは睨みつけるようにいつまでも見つめていた。

398散った花、実る果実41:2004/05/05(水) 02:28
「あの・・・リスティア。ラクス・クラインって・・・・・」
私の質問に、なんでもない事のように彼女は答える。
「ああ・・・ザフトの歌姫。ちょっと前までは慰問団の中心というか・・・・追悼式で歌を歌ったり、私たちの平和のシンボルとして活躍していたのだけれど・・・・先日、戦艦を奪って離反したらしくてね。」
え・・・・・?
「離反て・・・・・どうして?」
「彼女は・・・・コーディネイターを特別な種だとは考えていないようね。コーディネイターとナチュラルは同じ人間だと・・・・・そう、主張しているわ」
なんで・・・・そう思えるのかしら・・・・・・コーディネイターであることに優越感を持たず?
「それを聞いて・・・・あなたはどう思う?」
「え・・・・どう思うって・・・・・」
リスティアは意外そうに問い返す。
「だって・・・ラクスは今まではむしろコーディネイターの象徴だったわけでしょ・・・?それが・・・・コーディネイターを否定する側にまわっている。それって・・・・コーディネイターの側からすればどう思うものなの?」
「・・・・そうね・・・・・・」
彼女は随分考え込んでいるようだった。
「コーディネイターとして・・・・っていうのはちょっと答えにくい面もあるわね。私個人の意見になっちゃうもの。ただ・・・・彼女の言うことが全部間違ってる、とは・・・思わない・・・・・・・」
「それって・・・・・・」
「誤解しないで、ナチュラルを認めたわけではないわ。でも・・・第二世代、第三世代とコーディネイトを重ねるに従って低下する出生率・・・・不安を覚えるのは確かだわ・・・・・だからこそ・・・皆彼女の言葉に動揺せずにはいられないのでしょうね・・・・・」
「コーディネイター自身も、自分達のありように不安を抱いている・・・・・?」
「ただ、彼女の言うことが全面的に正しい、とも思わないわ。出生率の問題に関しては、これからそれを解消するためのコーディネイトがきっと見つけ出されると思うし・・・・それに・・・・・」
「それに?」
促すと彼女は自分を励ますように一つ頷いて言葉を続けた。
「コーディネイターはやはり優れた種よ。みてごらんなさいよ、ナチュラルとコーディネイターの能力にいかに格差があるか。今更コーディネイターが間違ってました、だなんて・・・現実を見ていないにも程があるわ。」
確かにコーディネイターとナチュラルには歴然とした能力差がある。でもナチュラルにもコーディネイターと比べて能力に遜色のない者もいる。
ナチュラルとコーディネイターに違いがない、とは今の私にも思えない。でも、初めから違う種なのだと、共存できないのだ、と他者を排除しようとする今の戦争は・・・・・・

ラクス・クラインの演説は、やはりザフトの意識にも影響を与えているようだった。
最初の頃のピリピリした空気はなりをひそめ、私と話してナチュラルを知ろうとするものも少なくなかった。
「君、ナチュラルにしては美人だよね。コーディネイターの血は入ってないんだよね?」
「ナチュラルは遺伝子を操作せずに出産するけど、どうなの?例えば遺伝子異常があったりとか、極端に能力の低い子供が産まれて来たり、とか考えて怖くなったりしないの?」
その意見にははっきり言って失礼なものも多かったけど、人間扱いして私と向き合って話してくれる人がいる、というのはいいことに思えた。
「私はコーディネイターではないわ。だから捕虜としてここにいるの。地球軍にはほとんどナチュラルしかいないわよ。美人?ありがと。パパとママからの贈り物ね。私のママ、美人だったんだから。」
「ナチュラル能力が皆低いわけでもないわよ。遺伝子はいじらなければ確率の問題なんだから、コーディネイターより能力的に高い子供が産まれる確率だってあるわ。遺伝子異常は、考えられなくはないけど・・・でも、ナチュラルだって、遺伝子異常の検査はするし、遺伝子異常があって、それで遺伝子操作することまでは否定してないわよ。」
私は知った。コーディネイターとナチュラルの間には大きな誤解があることを。
コーディネイターを生み出した一世代目はどうだかわからない。
でも、2世代目、3世代目になると、ナチュラルに対する知識そのものに偏りがあり、コーディネイトによる能力付加がむしろ標準だと考えられている節があり、ナチュラルに出産するということは遺伝子上欠陥の生じる可能性が高かったり、能力が平均より劣る、というように捉えられているらしかった。

399散った花、実る果実/作者:2004/05/05(水) 02:49
お・・・お久しぶりです。すいません。
ちょっとばかし忙しかったのと鬱入ってたので投下控えてました。
未熟なもので、精神状態が話に影響出やすいのですねえ・・・・

>>過去の傷
み・・・ミリ・・・怖・・・・・・・
なんだかタンクトップフレイ様みたいになってますが・・・・・
しかしアスランにフレイ様が理解してもらえたみたいでよかった。これで嫁姑問題は解決ですねって、あれ?(笑)

>>流離う
セラン、えらい清々しい!ここまで言い切れる彼女は素晴らしい。
まあ、会ったことのない親戚と兄弟のように過ごしてきた親友と比べてしまうのはキラには酷な気もしますが。
放送中「キラ、どうするんだ、はっきりしろ!!」って思った事は確かに一度や二度じゃないですねえ・・・

>>赤毛の虜囚
ミ、ミコトちゃんが!えっらい可愛いんですけど!!!
もうキラとフレイとミコトちゃんで三人で仲良く暮らしましょうよ、そうしましょう。
・・・って血迷ってしまう位、ミコトちゃんに萌えてしまいました。(汗)
幸せになってもらいたいものですねー。

>>明日と終わりの間に
カガリ一人称、中々いいですね。感じ出てます。
いやー、しかし・・・・カガリもですか・・・・そうですか・・・・・(爆笑)
アスランの一言に愛を感じますね。アスランはそれでも食べるのですね。頑張れアスラン!!
>>Last War
キラの成長を感じました。
今までのキラだったら、アスランを止めることまではできず、また苦しんでいたことでしょう。
続きが気になりますね。

>>キラ♀フレイ♂
キラの不信感が育っていると思ったのでほのぼのデート(未遂だけど)は意外でした。
まあまだそこまで不信感を抱いているわけでもないのでしょうか。
しかしカガリのシスコンっぷりは・・・・犯罪に走らないように注意、でしょうか。w

>>へリオポリス
フレイ様はまだキラへの想いに目覚めてはいないのですね。
うーん、ちょっとつらそうな感じ。

>>リヴァオタ
いつもリンクしているイラストや写真はご自分で調達してるんでしょうか。
すごいですね・・・・・

400ザフト・赤毛の虜囚 57:2004/05/05(水) 08:55
10.親友 1/8
[ジェシカとミーシャ]

私の前に座っている二人、ジェシカとミーシャ、二人とも私の親友。

「フレイ、いい加減白状しなさいよ」
「何よ、ジェシカ。何のことよ?」

「とぼけるんじゃないわよ、アンタの彼氏、サイのこと。どこまでいったのよ。もう、したの?」
「ジェシカ、サイとは、そんなんじゃ無いんだから」

「でも、今日会うんでしょ。今夜はホテルかしら」
「ミーシャ、そうだけど、今日はパパのパーティだし、私、パパと泊まるから。サイだって両親来てるし」

「ホントかな、二人抜け出して……」
ジェシカとミーシャが声を揃えて言う言葉に、私は癇癪を起こす。

「いい加減にしてよ、二人とも!」
私は置いてあるパフェをひっくり返さんばかりにテーブルを叩きつける。

ここは、ミナシロ市ショッピングモールの、とある喫茶店。ヘリオポリスの工業カレッジに
在学しているサイが、二週間の休みでオーブに帰って来る。家族ぐるみ、兄妹のように頻繁に
会っていたのに、ヘリオポリスに行ってから、長期の休みにしか会えなくなったサイ。
メールやビデオレターのやりとりはしてるけど、直接、会うのはやっぱり違う。サイに会いたい。
サイの表情を間近で見たい。パパの仕事のパーティが、ここミナシロ市で開かれ、サイも両親と
パーティに来るということで、私はサイと事前に、ミナシロのショッピングモールで待ち合わせをしたのだ。

ところが、それをジェシカとミーシャに気づかれた。結局、朝から呼び出され、買い物に
付き合わされた上に、質問責めにあっている。

私はサイとの約束で、婚約を隠しとかなきゃいけないから、いろいろと突っ込んで来る二人を
かわすのに大わらわ。私とサイとのこと、あること無いこと想像して、もう、なんてやつらよ。

「まったく、のんびりしてるんだからフレイは。ぼやぼやしてると、他に取られるわよ」
「別に、それで一生決める訳じゃなし、他にも男いるんだから、堅苦しく考えないでさ」

「一線越えちゃえば、男なんて変わるから。思い切って、こっちから言っちゃいなよ」
「やってみて気に入らなかったって、平気だから、お試し期間だと思って」

「私の彼なんて、あの後、まるで手のひら返したように態度変えたわよ。今までの奥手は何だったのよ」
「男なんて、いっぱい居るし、フレイなら、ちょっと着飾れば、みんな寄って来るわよ」

「お試しって、人のこと、なんだと思ってるのよ……」
私はミーシャの言葉に、後ればせながら、ぼそっとツッコムけど、まるで気づかないように、
二人はハイペースで、話し続ける。

そりゃいいわよ、二人とも男の子と付き合い上手だし。ジェシカなんて、何度、彼氏の話を聞かされたか。
もう微に入り細に入り、私、顔を真っ赤にして、まともに聞けなかった。ミーシャは、そこまで
いかないけど、結構もてるって。特に、港にあるイベント場では、そうらしい。他人を見る目も特別。
あの人と、あの人はデキてるとか…… 二人とも男なんだけど……

ジェシカとミーシャ、二人との付き合いは長いけど、私はなんとなく距離を感じる。
サイのこと隠していることもあるけど、どうも二人のノリには付いて行けない。基本的に自分が
面白がれば、みんな喜ぶと思っているのよね。要するに自分勝手。私だって、まあ、そんなところあるけど。
人が困ってるの察して話を聞くとかいう訳でも無い。別に、ジェシカとミーシャが嫌いだって訳じゃないけど、
これで親友って言えるのかな。

「もう行くわよ。パーティの前に、パパと待ち合わせしてるし」
「パパとだなんて嘘ばっかり」
「ちょっと、フレイ逃げる気、ちゃんと答えてよ」

サイが待ってるんだから、もう早く行かせてよ、二人とも……

401ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/05(水) 08:59
フレイSSの番外的な新章開始します。テーマは親友。さて、うまく書けているでしょうか。

>>過去の傷
ミリィはアスランに標的を変えても、フレイ様への敵視は変わっていないみたい。
アスラン、戦闘訓練では偉そうでしたが、フレイ様を認めてるんですね。よかったです。

>>散った花、実る果実
お久しぶりです。カーペンタリアに着いてからの話ですね。
ザフトのフレイ様に対する接し方も変わって、随分、打ち解けた雰囲気になっていて微笑ましいです。
だけど、ミリアリア・リスティアのように、まだ、戦争の目までは捨て切れていないのでしょうね。

402過去の傷・129:2004/05/05(水) 13:07
「そうなのよ!すごいでしょ、私あのキラと互角だったんだから」
夜の食堂だ、フレイは当然、キラ、カガリ、アサギ、マユラ、そしてラクスがいた。
ジュリはサイの部屋にでもいるのだろう。
それを入り口からミリアリアが見ているのだ。
実戦練習のことを自慢しているフレイを見て、ミリアリアは正直面白くなかった。
ふんなによ、どうせ練習なんでしょ、馬鹿じゃないの?キラが本気で戦うわけないじゃない、手を抜いたに決まってるでしょ、それに機体の性能のおかげに決まってるわ、それなのになんなのよあの女は、そこまでして自慢したいのかしら、まあフレイの思いつくことだわね。
「でもフレイ、君にそんな才能があったなんて」
と、キラがフレイを褒める。
ああ、やだやだ、いやになるわね、恋人同士褒め合っていちゃいちゃしてるわ、このバカップル。
「すごいですわフレイさん」
「ふふ、ありがとうラクス」
今度はラクスだ。
駄目、私はあの中に入ってはいけない、どうせ私が行ってもしらけて暗くなるのは分かってるもの、そしてフレイと喧嘩になるのも。
そう・・・ミリアリアはいつのまにか皆と距離が離れていたのだ。
特に気に入らないのが、フレイが輪の中にいるということ、ア−クエンジェルの頃とは立場が逆になってしまった、あの女がなんで皆と溶け込んでいるのよ、おかしいわ、こんなことがあっていいの?いいわけないわ。
あの女は悪い女なのよ?なのに・・・そうよ、もうここはア−クエンジェルじゃない、ト−ルはいない、去年は楽しかった、もう艦長はマリュ−さんじゃない、歌姫のくせに規則にいちいちうざいくらいうるさいラクス・クライン。
キラだってそう、もうキラはまるで私のことは忘れたみたいにフレイといちゃいちゃしている、少し私に裏切られたからもう私のこと忘れるなんて私に対する気持ちなんてその程度のものだったのよ。
ああ、もうここにいるのもいやになるわ。
私はフレイの顔も見るのがいやで食堂の入り口を後にした。
あいつ等なんか皆いなくなればいいのに・・・。
ト−ルがいないのになんであいつ等がいるのよ・・・。
あ、アスランさんは・・・?
ミリアリアは笑みを浮かべた。

「プロヴィデンスに問題なしと・・・」
コンピュ−タ−を打ち込んでいるアスラン。
「しかし、彼女にあれだけの力があるとは・・・しかしあのキラにな・・・」
そんなとき誰かが入ってきた。
「アスランさん、いたんですか」
ミリアリア・ハウだった。
「あ、ああ・・・」
「お疲れ様でした、疲れたでしょう?」
ミリアリアは座ると微笑んだ。
「いや、そんなに」
「私が癒してあげます・・・」
そして抱きついてきた。
「私を抱いて・・・」

403過去の傷・作者:2004/05/05(水) 13:29
>>散った花 実る果実
ラクス嬢に対してのフレイ様ですね、真実の彼女を見たフレイ様の感想が良かったです、フレイ様も少し見直した感じですね。
嫁姑・・・笑ったです。
>>ザフト・赤毛の捕囚
フレイ様の必死が伝わってきます、これはサイとのことですね、しかし・・・女の子はこんな話題が好きですからね、この頃はフレイ様もサイが好きだったのかもしれませんね。
それから親友をテ−マにした新章も期待させていただきます、これからも頑張ってください。
それにしても作者様は女性同士の会話が上手なんですね。

404散った花、実る果実42:2004/05/05(水) 21:16
隊員のお茶を入れ、洗濯をし、クルーゼ隊長の帰りを待つ毎日。
帰還命令が出たとはいえ、地球での仕事の後始末や、色々片付けなくてはならないことが多く、すぐには宇宙に出発することはできないようだった。
ラクス・クラインの演説により多少軟化された兵士達の反応によって私は救われていた。(主にそれは男性兵士によるものだった。男って、男って・・・ナチュラルもコーディネイターも一緒よね!)
気持ちが落ち着いてくると、周囲に対する好奇心も芽生え、許される範囲で歩き回ったり、クルーゼ隊長のデスクの引出しを見たり・・・ついしてしまっていた。まあ、軍事機密がこんなところに残っているはずもないのだけれど。

この薬・・・・・・一体なんなのだろう。
一日に何度も、彼はこの薬を口に運ぶ。
何か持病でも持っているのだろうか。
遺伝子操作により頑健な体を持っているコーディネイターが、何故・・・・・?
普段は健康を害している様子は見られなかったけど・・・

405散った花、実る果実43:2004/05/05(水) 21:17
プシューッ
無機質な音をたて扉が開く。
私はトレーに薬を乗せ、水差しからコップへと水をうつす。
「・・・・・どうぞ・・・・・・」
クルーゼ隊長の薬の時間はもうすっかり覚えてしまった。
捕虜である私が大して重要な仕事を任せられているはずもないので、薬の時間にはなるべくこの部屋に戻って用意するよう、心がけていた。
「あの・・・・宇宙へは、いつ・・・・・私も一緒に行くのですよね・・・・」
「今すぐというわけにもいくまいよ・・・・私にも、隊にもまだ、片付けねばならない仕事がある・・・・・地球に残る隊に任せられればそれに越したことはないのだが、例のアラスカ戦で大分人数を減らされたからね・・・人手不足は否めない、と言ったところか・・・・・」
捕虜である私に詳細が明かされることはないが、地球である仕事を済ませたら宇宙へ上がるように、との命令が下っているらしかった。
それにしても彼は私に軍の事情をしゃべりすぎている気がする。
私の信用を買うため?それとも逃げられはしないという安心感から・・・・?
「ラクス・クラインの演説は・・・・・皆に不安を与えているようですね・・・・」
「おやおや・・・・この間のテレビ演説だけを見て言っているわけでもなさそうだね・・・・君にそんなことまで言っている兵士がいる、という事かね?」
彼の口調にかすかな不快感が混じる。
「いえ・・・・そういうわけでは・・・・お茶を運んだりした時に噂話を耳にしただけです」
「ほう・・・・そうかね。時に君はどう思うね?」
私は彼の意図が読めず、問い返した。
「どう・・・・とは?」
「ナチュラルとコーディネイターは同じ種なのか。完全に決別すべきか、和解すべきか。まあ、君の父上のことを考えると・・・・おのずと答えが出てくるという気もするが。」
「父のことを・・・・ご存知なのですか」
意外に思ったが、すぐに当然のことだと気がついた。私は名前、所属共に隠してはいないし・・・・事務次官である父の名は、コーディネイターにも知られて不自然でないものであったから。
「ああ・・・・ブルーコスモスの一員としても活躍していた、とか。君もそれで地球軍に志願したのかね?」
・・・ブルーコスモス・・・?
「あの・・・・それはどういう・・・・・?」
すると彼は意外そうに答えた。
「知らなかったのかね。君のお父上はブルーコスモスに所属して、それなりに名をあげた人物だ。」
そう・・・だったの。だから、パパのあれほどまでのコーディネイターへの嫌悪・・・・・
「コーディネイターなんか大嫌いだったわ・・・・皆死んじゃえばいいって思った・・・・・」
気がつくと口をついていた、誰にもいえなかった私の心。
「パパが死んで・・・・守るって言ったキラが、大丈夫だって言ったのに、パパが死んで・・・・・キラは、戦って、戦って、戦って・・・そうやって死んでいくことしか許せないってそう思った・・・・・」
何故だか止まらなかった。パパの知らない面を聞かされたからかもしれない。周りに味方のいないこの状況に疲れてしまったからかもしれない。
何故だか私は言葉を止めることができなかった。
「なのに・・・・キラは優しくて・・・・馬鹿よ、キラは・・・・・・私、キラを許せないのに・・・許しちゃいけないのに・・・・なのに・・・・」
思考がぐるぐるまわっている。私、とっくにキラを許していた。キラにひどいことをした。
「いっぱい傷つけて、泣きながらキラは戦って・・・・守るって、私の言葉なんて嘘なのに・・・・あんなに傷つけたのに笑って、『帰ってから』って・・・それきり・・・・・・・」
ふと気がつくとすぐ目の前に白い軍服があった。次から次へと流れる涙はしみ一つ無いその軍服に吸われて水の跡を作り・・・・私は背中に暖かい腕を感じていた。
「フレイは、パパが死んだから、その復讐で軍に入ったのかね?」
「そうよ・・・・パパが死んだから、コーディネイターのキラのせいでパパが死んだなんて、許せなかった!キラも苦しめばいいってそう思った!私のためにコーディネイターを殺せばいいって・・・・でも・・・・・・・」
「でも?」
やさしく髪をなでながらパパが言う。
「パパ・・・ごめんなさい、私何もできなかった!自分で戦うことも、キラを利用しきることも!何もできなかった!ザフトに連れてこられても結局、死ぬのが怖くてザフト兵一人手にかけることもできなかった。ごめんなさい!ごめんなさい!!」
私は子供のように泣きじゃくり叫んでいた。
思えば軍に志願してからこんな風に心をさらけ出すことはできなかったのだ。
この人は私のパパではない、そんな声が理性の片隅でしたけれども、人の体温と髪を撫でる優しい手つき、そして何より穏やかなパパの声で、すっかり私は緊張の糸が切れてしまっていたのだった。

406散った花、実る果実44:2004/05/05(水) 21:18
────フレイ・・・私の大切なフレイ・・・・
パパの声・・・・一番大好きだった・・・・・・・
────コーディネイターは、極めて不自然な種だ。彼等は人より優れた能力が欲しいがために、利己的な理由で遺伝子操作を繰り返しているのだよ。
でもパパ・・・・子供は自分の産まれ方を選ぶことはできないわ・・・・コーディネイターとして産まれた彼等は・・・・それが彼等自身の責任ではなくても・・・それでも忌避されねばならないものなのかしら・・・・・・
────フレイ、私のフレイ。おまえは騙されているのだよ。みてごらん、コーディネイター達のナチュラルへの蔑視を。そして自らの子供にコーディネイトを繰り返す親のなんと数多いことか。
でもパパ・・・それで苦しんでいる人もいるわ・・・・・
────フレイ・・・・可哀想に・・・・・お前は惑わされているんだよ。可哀想に、こんな所に連れてこられて疲れているのだろう・・・彼等のあの化け物じみた能力を見なさい。あれがなんと不自然な事か。
そんな風に言っちゃいけないわ・・・だって・・・彼等はただ、自分の子供達に能力を、あるいは美しい容姿を与えてあげたかっただけ・・・・彼等も最初から傲慢な思想や欲にまみれてコーディネイトをしているだけではないのよ・・・・・
────フレイ・・・・それでも現状はコーディネイターによるナチュラルへの蔑視に満ちている。あのような不自然な生物に人間の歴史を乗っ取られても良いと言うのかね?否!それは許されるべきことではない。
パパ・・・パパ、やめて。そんな風にどちらかを全否定してはいけない。それじゃこの戦争は終わらない。こんな悲しみを増やしていくのはもうたくさんよ。もう嫌なの。誰かが泣くのは、つらい思いをするのは、もう嫌なの。
────フレイ、何を言っているんだい?誰よりコーディネイターへの嫌悪感を持っていたのは君じゃなかったのかね。ほら・・・・・

────コーディネイターの癖に、馴れ馴れしくしないでっ!!!

「嫌あっ!!」
飛び起きると全身にぐっしょり汗をかいていた。
夢・・・・なんてリアルな夢だったんだろう。
今なら分かる、アークエンジェルにいた頃の私がどんなにひどい言葉をキラに投げかけていたのか。
それでもキラは、偽りの私の優しさにすがらずにはいられなかった。
何故ならどんなに誤魔化そうとしても、コーディネイターであるキラの能力への羨望、嫉妬、恐怖・・・それはアークエンジェルの皆に歴然として存在するものだったから。そして、それを認めまいと、隠そうとする心の動きゆえに、彼等は逆に心のうちをキラにさらけ出すことになった。
だから・・・・一番コーディネイターを嫌っていた私の、それでも優しくしてくれる、という偽りの毒に、キラは手を出さずにはいられなかったのだ・・・

407散った花、実る果実/作者:2004/05/05(水) 21:27
こま切れになってしまってすいません。まとめて投下できなかったもので。
もしかして、以前より投下できる容量少なくなってます?

まず一つ、謝らなければならないことがあります。
すいません、昨日投下した分、時間軸を間違えまして、ラクスがまだエターナル手に入れてないのに略奪したことになっちゃってます。
>>398のリスティアのセリフの「戦艦を奪って離反」というのを「機密を奪って離反」という事にしておいて下さい・・・

>>赤毛の虜囚
新章ですね。カレッジ時代のフレイを見るのはほほえましくていいですね。
フレイの男女交際に対しての初々しさがいいですね。

>>過去の傷
ミリィ、本当に一時期のフレイ様のようになってしまっています。
彼女、大丈夫なんでしょうか・・・・・

408流離う翼たち・471:2004/05/05(水) 22:27
 だけど、それでも、この2人は強いとフレイは思った。いつも後ろ向きだったキラ。人に手を引かれなければ歩くことさえ出来なかった自分に較べれば、この2人の強さはフレイには眩しくさえある。差別や迫害を覚悟して何かをするなんて事は、自分には出来ないことだ。

「なんか、2人が羨ましいです」
「はい、何がです?」
「だって、とっても強いじゃないですか。私は弱いから、羨ましいです」

 フレイの言葉にボーマンとセランは顔を見合わせた。そしてセランが兄を指差してフレイに問いかける。

「強いって、この兄さんは少尉にボロ負けしましたよ?」
「ボ、ボロ負けって・・・・・・」
「違います、そういうのじゃないです」

 なんだか楽しそうにクスクスと笑うフレイの2人は顔を見合わせて首を捻っている。きっと2人には分からないのだろう。いや、分かるはずが無いのだ。この2人のほうが普通なのであって、自分やキラのほうがおかしいのだから。
 フレイはどう伝えたらいいのか分からず、自分の語彙の少なさに悩みながらも必死に言葉を探している。だが、フレイが何か言うよりも早く、セランが凄い事を教えてくれた。

「そういえば知ってますか。アルフレット少佐の奥さんもコーディネイターなんですよ」
「ええっ!?」
「あはははは、やっぱり驚きましたね。私も知ったときは驚きましたけど」
「で、でも、どうしてそんな事に!?」
「何でも、プロポーズしたのは少佐だそうですよ。何度も振られたけどしつこく食い下がってOKして貰ったって。奥さんは大西洋連邦に住んでたそうで、今はオーブに移り住んでるそうです」
「そうなんですか。少佐も大変だったでしょうね」
「そうみたいですね。でも、少佐は当時から結構凄い人だったそうで、奥さんの立場を確保する為にブルーコスモスの支部にまで乗り込んで文句を付けたそうです。一時期は命も狙われた事もあったそうですけど、遂に最後まで折れなかったそうで、ブルーコスモスや軍の上官の方が根負けしたって話です。まあ、少佐は軍の優秀なテストパイロットだったそうで、手放したくない上層部が我侭を聞き入れたという事みたいですが。当時はまだ抗争も今ほど酷くは無かったからというのもあるでしょうけど」

 セランの話にフレイは持っているフォークを落としてしまった。何というか、そこまで豪快に我が道を行くような人だったとは。まあ、そんな人だからこそこの2人を庇ったりキースを立ち直らせたりしているのだろう。

「セラン、そういう事は余り言うことじゃないだろ。少佐の奥さんは例外みたいな物なんだからな」
「分かってるわよ。条件を飲まなきゃテストパイロットを降りるなんて言って上層部を脅して、それを上層部が飲んだなんて無茶な事、少佐くらいにしか出来ないって事でしょ」
「いや、それだけじゃあないんだが、まあそういう事だな」

 ボーマンは妹を嗜めると、フレイを見た。

「まあ少尉、こいつの言った事は余り周りには言いふらさないでくれ。少佐もこれに関しては余り喋らないんだ」
「はい、分かってます」
「そうか、なら良い」

 フレイの返事を聞いて、ボーマンは食後のコーヒーを啜った。この話はこれで終わりなのだという意志の表れだろう。
 フレイは、アルフレットが自分をこの2人と引き合わせた訳がやっと分かった。世の中にはこういう奴も居る、という事を私に教えたかったのだろう。いや、自分はお前の悩んでる事をとっくに乗り越えてるんだぞとも言いたかったのかもしれない。それを自分でではなく、この2人に言わせたのも、この2人に言わせた方が私に受け入れ易いと考えてのことに違いない。
 もっとも、自分の考えすぎと言う可能性もあるが。

 だが、2人と話した事で随分気持ちがすっきりしたのは事実であり、アルフレットの計らいにフレイは感謝するしかなかった。だが、フレイの知らない所でアルフレットは更にとんでもない事を進めていたのである。

409流離う翼たち・作者:2004/05/05(水) 22:45
>> 過去の傷
ミリィがどんどん悪人に・・・・・・アスランピンチ?
何気にサイは1人安全圏に居る

>> 散った花、実る果実
お久しぶりです。そろそろカーペンタリアから打ち上げですか。
しかし、男は何処でも一緒なのかw! ある意味正直だ
クルーゼはパパを知ってたんですねえ

>> ザフト・赤毛の虜囚
これは、ミリィの秘蔵の品を拾う前の話ですね
この後サイが心に深い傷を負うシーンが来るのですか

>>

410『明日』と『終わり』の間に・おやつの時間・1/2:2004/05/06(木) 00:17
 その頃宇宙、EYES所属のアークエンジェル級第9番艦セラフィム艦内食堂にて

「あら、美味しい」
「・・・うむ、悪くはないな・・・」
「本当ですね。まるでお店で売ってるやつみたい」
「本当ですか?良かったぁ〜、皆さんのお口にあって!」

 艦のメンバー達は、ユフィーの作ったチーズケーキを頬張りながらその味に舌鼓をうっていた。・・・あ、今回は展開上語り役のカガリさんにはお休みして頂いていますのでご了承下さい。

「それにしても、ユフィーさんにこんな才能があったなんて、知らなかったわ」
「私、コロニーで暮らしてた頃はこうしてよくケーキやお菓子を作ってたんです」
「まぁこいつ、これぐらいしか能がありませんから」
「・・・そう言うお兄ちゃんにはハイこれ。辛子とタバスコと山葵をたっぷり練りこませた特製ケーキを・・・」
「そんなもんよこしてお前は俺をどーするつもりだ!?・・・しっかし、俺達今こんなのんびりしてる暇あるんですかね?ラインザフトやらブルコスとかいるのに・・・」

 こらこらクリス君、今回は番外編だからそーした細かいことは気にしないように!

「・・・今誰か何か言いましたか?」
「・・・さぁ?気のせいじゃないの?それにしてもホントに美味しいわ。ねっ、隊長もそう思いませんか?」
「全くだ。シーナ、お前も武術ばかりしてないで少しは見習ったらどうだ?」
「・・・C.E75、○月×日。隊長のセクハラ発言プラス1。・・・これで三日連続ね。そろそろエザリア様に報告しようかしら?」
「!なっ何メモってんだ貴様ぁ!!というか貴様と母上は一体どーいう間柄だぁっ!?」

 『The Last War』で出番が未だにやってこない二人が何やらもめ始めた頃、マリュ―はあることに気が付いた。

「・・・そういえばザラ大尉、さっきからずっと黙ったままだけど、どうかしたの?」

 そう、実は先ほどから彼らと共にケーキを食べていたアスランだったが、一口食べたっきり下を俯いて一言も喋ろうとはしていなかった。

「・・・あのアスランさん。もしかして私のケーキ、美味しくありませんでしたか?」
「・・・・・・」
「おいアスラン!ユフィーが不安げにしてるぞ。せめて何か一言言ってやれ!・・・って貴様、震えてないか?」

 イザ―クの言葉通り、よく見るとアスランの体は小刻みに震えていた。そのことに気付いたクリスが声を上げた。

「・・・ハッ!まさかユフィーお前、間違えてアスランさんに例の特製ケーキを・・・?なんてことしたんだよ!!」
「そんなのホントに作るわけないでしょ!マタベー、お兄ちゃん噛んじゃって!!」
「ニャ―ッ!!」
「じゃあなんでアスランさんがこんなに震えてるんだよ!?・・・あ、痛い!すっごく痛い!ごめん、謝るから止めさせて!!」
「・・・艦長、これはもしや・・・」
「・・・ええ、まさかと思いたいけど・・・」
「?」

 アスランの様子、そしてその場にいた艦の古参メンバー達の表情に重苦しい雰囲気が漂い始めたことに、ヒースロー兄妹は疑問形で激しく進行中だった。その時、アスランが突然顔を上げた。そして次の瞬間・・・。


「・・・美味い・・・」

411『明日』と『終わり』の間に・おやつの時間・1/2:2004/05/06(木) 00:19
 その頃宇宙、EYES所属のアークエンジェル級第9番艦セラフィム艦内食堂にて

「あら、美味しい」
「・・・うむ、悪くはないな・・・」
「本当ですね。まるでお店で売ってるやつみたい」
「本当ですか?良かったぁ〜、皆さんのお口にあって!」

 艦のメンバー達は、ユフィーの作ったチーズケーキを頬張りながらその味に舌鼓をうっていた。・・・あ、今回は展開上語り役のカガリさんにはお休みして頂いていますのでご了承下さい。

「それにしても、ユフィーさんにこんな才能があったなんて、知らなかったわ」
「私、コロニーで暮らしてた頃はこうしてよくケーキやお菓子を作ってたんです」
「まぁこいつ、これぐらいしか能がありませんから」
「・・・そう言うお兄ちゃんにはハイこれ。辛子とタバスコと山葵をたっぷり練りこませた特製ケーキを・・・」
「そんなもんよこしてお前は俺をどーするつもりだ!?・・・しっかし、俺達今こんなのんびりしてる暇あるんですかね?ラインザフトやらブルコスとかいるのに・・・」

 こらこらクリス君、今回は番外編だからそーした細かいことは気にしないように!

「・・・今誰か何か言いましたか?」
「・・・さぁ?気のせいじゃないの?それにしてもホントに美味しいわ。ねっ、隊長もそう思いませんか?」
「全くだ。シーナ、お前も武術ばかりしてないで少しは見習ったらどうだ?」
「・・・C.E75、○月×日。隊長のセクハラ発言プラス1。・・・これで三日連続ね。そろそろエザリア様に報告しようかしら?」
「!なっ何メモってんだ貴様ぁ!!というか貴様と母上は一体どーいう間柄だぁっ!?」

 『The Last War』で出番が未だにやってこない二人が何やらもめ始めた頃、マリュ―はあることに気が付いた。

「・・・そういえばザラ大尉、さっきからずっと黙ったままだけど、どうかしたの?」

 そう、実は先ほどから彼らと共にケーキを食べていたアスランだったが、一口食べたっきり下を俯いて一言も喋ろうとはしていなかった。

「・・・あのアスランさん。もしかして私のケーキ、美味しくありませんでしたか?」
「・・・・・・」
「おいアスラン!ユフィーが不安げにしてるぞ。せめて何か一言言ってやれ!・・・って貴様、震えてないか?」

 イザ―クの言葉通り、よく見るとアスランの体は小刻みに震えていた。そのことに気付いたクリスが声を上げた。

「・・・ハッ!まさかユフィーお前、間違えてアスランさんに例の特製ケーキを・・・?なんてことしたんだよ!!」
「そんなのホントに作るわけないでしょ!マタベー、お兄ちゃん噛んじゃって!!」
「ニャ―ッ!!」
「じゃあなんでアスランさんがこんなに震えてるんだよ!?・・・あ、痛い!すっごく痛い!ごめん、謝るから止めさせて!!」
「・・・艦長、これはもしや・・・」
「・・・ええ、まさかと思いたいけど・・・」
「?」

 アスランの様子、そしてその場にいた艦の古参メンバー達の表情に重苦しい雰囲気が漂い始めたことに、ヒースロー兄妹は疑問形で激しく進行中だった。その時、アスランが突然顔を上げた。そして次の瞬間・・・。


「・・・美味い・・・」

412『明日』と『終わり』の間に・おやつの時間・2/2:2004/05/06(木) 00:19
「・・・アスランさんが・・・」
「・・・泣いてる・・・」
「・・・やはりな・・・」

 アスランは嗚咽を漏らし、目から涙を流しながらケーキに噛り付いていた。この時ヒースロー兄妹は自分達の思考回路が一瞬ストップしたことを確かに感じたという。そして再び機能が回復した時、二人はデータの解析が間に合わず混乱していた。

「・・・う、美味い。・・・美味い。・・・美味いぃ、うううっ・・・」
「・・・え?・・・えっ!?・・・ええーっ!?」
「これ何!?どーいうこと!?っていうよりもこの人本当にアスランさん!?」
「落ち着け。これはこいつの持病みたいなものだ・・・。シーナ、医務室から鎮静剤を貰って来い」
「了解です」

 明らかにキャラが変わってしまったアスランの様子に戸惑うこともなく、イザ―クは冷静でやけに場慣れしている様子だった。・・・というよりもその場にいた全員がそうだった。

「『持病』ぅ!?これ病気なんですか!?確かにいつものアスランさんじゃないことは見れば分かりますけど・・・」
「医師の診断によると、かなり特殊な味覚障害らしいの。分かりやすく説明するなら、食べ物を口にした際に脳が『美味しい!』と判断した瞬間に彼の理性のリミッタ―が外れるそうよ?」
「・・・はぁ、そうなんですか・・・?」

 説明を受けてもやはりポカーンとしている二人。目の前の現実は、彼らがこれまで築き上げてきたアスラン像をこなごなに破壊するには充分なものだっただけに、無理はない。

「・・・あの、もしかして昔からこうだったんですか?」
「いや、俺達がまだザフトに所属していた頃は、まだ大丈夫だった。だが、俺とシーナがEYESに出向してきた時には既にこうだったな・・・」
「そういえば、彼がこうなり始めたのは確か・・・。そうよ!彼が仕事でオーブに2週間ぐらい滞在して、帰ってきた頃にはもうこんな様子だったわ!」
(・・・いっ、一体その間に何が・・・?)

 その時アスランがどのような食生活を送ってきたかなど、二人には想像もつかなかった。ただ一つ分かることは、その時アスランにとって決して良かったとは言えないような出来事があったということだった。

「・・・だが、これでも随分マシになったほうだ。俺達がセラフィムに合流した頃には何を食わせてもこうなってたからな。だが、まさか再発するとは・・・、っておいアスラン!俺の食いかけを食うなぁ!!」
「!あ、あの!まだたくさんありますから!!」
「よっ、良かったら俺の分もどうぞ!!」
(・・・あの二人が哀れみの視線を送ってるわ。・・・ザラ大尉、貴方それでいいの・・・?)

 理想と現実の間にある冷たさを感じながら、幼い二人はまた一歩大人に近付いていった・・・。

413『明日』と『終わり』の間に・作者:2004/05/06(木) 00:41
 すいません、また不覚にも二重投稿を・・・。
 色々ありましたが、この番外編も次回でラストです。

》赤毛の虜囚
 ジェシカとミーシャ、思い返せばフレイ様はこの二人と一緒に登場したんですよね。何だか懐かしいです。フレイ様を加えた三人の仲の良さが伝わってきました。
 あれから彼女達はどうなったんでしょうか?脱出出来ずに死んじゃったとかいう噂を聞きましたが・・・。

》過去の傷
 ミリィが孤立し始めていますね。周りは全て敵だとか思ってそうです。そして続くアスランへの誘惑。君は負けるなアスラン!

》流離う翼たち
 大切な故郷を守りたいというセランさんとボーマンさんの気持ち、何だか共感できます。フレイ様も彼らから学ぶことは多いのでは?
 それとアルフレット少佐の奥さんはコーディネイターだったんですね。周りから奥さんを守り抜こうとした様子がカッコイイです。

》散った花、実る果実
 お久しぶりです。お待ちしていました。
 実はずっとフレイ様達は宇宙にいると思ってましたので、ラクスが演説していることでまだ地球にいることを知りました。すみません。
 コーディネイターとナチュラル、二つの種の考え方はこうも違うものなんですね。何だかもう一度考えさせられます。それにしてもクルーゼの台詞の表現がお上手ですね。雰囲気がよく出ていると思います。自分はこういった悪役の台詞を考えるのが苦手なもので・・・。

414ザフト・赤毛の虜囚 58:2004/05/06(木) 05:41
10.親友 2/8
[一体、どんな人なんだろう]

その時、喫茶店に、新しい客が入ってきた。私と同じくらいの歳の学生らしい女性。

「待ち合わせで、すぐ出るので、水だけでいいですか」
「そう言う訳には参りません。何か注文してください」

「一番安いのなんですか」
「ブレンドです」

「じゃ、それください」

ウエイトレスとの、やりとりを聞いて、ジェシカとミーシャは興味を示したように囁きだす。
私も、あまりいい気分はしなかったけど、陰口みたいに囁くのは、逆に悪いと思い、わざと
ジェシカとミーシャに話しかける。

「なんか、見てて、いやらしいわね。ああいう言い方」
「ビンボなんだから、悪いわよ。そういうの」とジェシカ。
「そもそも、こんなとこに来るのが悪いんじゃない」とミーシャ。

「まあ、そこまで言うことは無いけど。ちょっと、あまり好ましくないわね」

二人の興味が、この人に移って、私への追求は逃れられた。おかげで助かったのはいいけど、
明らかに悪意のある二人の言い方に、気がとがめて、ちょっと弁護するように話をする。
女性の後ろ姿は、私達の声が少しは聞こえているだろうに、わざと気が付かないかようにしている。

その様子に、私は、別の興味を惹かれていた。私なら、こんなこと言われてたら、すぐに
席を立って逃げて行くだろう。私は、小さい頃からパパに我が侭を聞いてもらって育ったせいか、
自分でも、堪え性が無いと思う。ちょっとでも、辛いことがあると、すぐに逃げ出してしまう。
なのに、この人は、私達の話が聞こえているはずなのに平気な素振りだ。この人って、強いのか。
それとも、単に、ずぶといだけなのか。

やがて、立ち上がろうとするジェシカとミーシャ。

「じゃ、行くわね、フレイ。パフェごちそうさん」
「んじゃ、私も、頼むねフレイ」
「ちょっと、ちょっと、二人とも。私、オゴるなんて一言も……」

「それじゃ、デートがんばってね」
「後で、ホテルの得点聞かせてね」
「ちょっと、そんなんじゃ無いって言ったでしょ。パパの仕事のパーティなんだから」

「分かった、分かった。じゃね」

二人は、誤魔化すように出て行った。あーあ、結局、また、私が払うことになるんだから。
まったく、人の気持ちも知らないで、茶化してばっか。これから会うサイに、どんなこと話そうか、
まだ、何も考えてないのに。どうすれば、サイに自分の気持ちを伝えられるか、相談できる人が
居ればいいのに……

私は、ぼんやりと、背中を向けているさっきの女性に目を向ける。セコイことを言っていたけど、
別に身なりが悪い訳では無い。ファッションセンスはダサいけど、酷いってほどでもない。
ヘアスタイルは、ふわっと広がった感じで、凝ったものでは無いけど、それなりに手入れされている。
男の子にも普通に、もてるだろう。いや、こういった素朴な子の方が、男の子の印象はいいかも
しれないし、自然な付き合い方をしているのかもしれない。

なんだか、その女性に話をしてみたくなる。サイとの付き合い方、サイに何を話したらいいのか、
相談してみたくなってくる。そして、彼女のことも聞きたくなってくる。なんで、わざわざ、
目立つことを言って、平然としていられるのか。何か、心に強いものを持っているのか。
一体、どんな人なんだろう。

415ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/06(木) 05:50
今回の話、前作「オーブ……」のころの懐かしい台詞も、ちょこっと入れてます。
連休も終わるというのに、この投下ラッシュに嬉しい悲鳴です。

>>過去の傷
ミリィとフレイ様の立場、あのトール初陣のころの食堂でのやりとりと逆転してますね。辛いです。
さて、ミリィ再びの色気攻撃、アスランに通じるんでしょうか。

>>散った花、実る果実
クルーゼのパパの声、クルーゼの話すパパのブルコスの話が、フレイ様にコーディネータについて、
キラとの関係について考え直させていますね。ドラマが格段に厚みを帯びてきていて凄いです。
私のSSも、後から同じ時点を通るので頑張らないと。

ラクスのこと、訂正了解しました。最初、意図的に順序入れ換えしたのかと思っていましたが、そう言えば変ですね。
私などは、自分の話の都合で、順序入れ換えを結構やっているので、読んでいる方はややこしいかもしれません。

投下量の件、私も一度、システム変更の時に、大きいサイズが書込めなくなって、したらばのサポートさんに直していただきました。
その時の話は避難所にも書込んでいます。1レスの最大量については、以前と変わっていないとは思うのですが、HTML化の部分も
変化があるのかもしれません。最近は、2ch で知った kie.exe というアウトライン・プロセッサで
1レスのサイズを計りながら書いています。

>>流離う翼たち
アルフさん、最初、フレイ様を見て突き放すような態度を見せたのは、こんな理由があったからなんですね。
心暖まる話ですが、オルセン兄弟が言うように、あまり、おおっぴらにできない話であるのも事実でしょう。
話してくれたのは、フレイ様が見せた力ゆえですかね。しかし、アルフさん、この上に、まだ奸計をはかっていますか。
フレイ様、自分で言っていますが、手を引かれるのを脱すべき時ですよ。

>>『明日』と『終わり』の間に
アスランの状態に何事かと思ったら、前の話と、そう繋がるのですか。笑いました。
セラフィムのメンバーの、ほのぼのぶりも良かったです。番外編ラストも期待しています。

416過去の傷・130:2004/05/06(木) 09:29
少し見とれるというよりこんな可愛い子に抱きつかれたら男なら誰でもだろうが(イザ−クは分からんが)幸せな気分だろう、しかし・・・(アスランが信じて戦うものはなんですか?軍の勲章ですか?お父様の命令ですか?)
(ラ、ラクス!?)ラクスを思い出し慌ててアスランはミリアリアを離す。
「君はおかしい、なんのつもりか知らないが・・・」
「アスランさん・・・?」
アスランは目を下に向けると告げた。
「俺は・・・君の大切な恋人を・・・知らなかったとはいえ殺した男だ、それなのに君は・・・」
「だからなんです」
「え!?」
アスランが驚いたようにミリアリアを見る。
「アスランさんはト−ルの為にも私を大切にしなきゃいけないと思います、それはアスランさんの義務ではないですか?、私はそう決めましただから・・・」
「義務・・・いやしかし俺には婚約者が!」
「アスランさんは殺した人の恋人を見捨てるんですか?そんなのは不公平だと思います、ラクスさんとは別れるべきです、ラクスさんとは縁を切ってください」
「!」
ミリアリアは笑みを浮かべた、苦しんでよね、そして・・・死んで、結婚して・・・幸せの絶頂のときに殺してあげるわ。
「それは・・・出来ない、ラクスとのことは親が決めたことだ・・・たしかに父上はお亡くなりになられた、しかし意思はそのままだ、だから・・・母上・・・それに俺はラクスが好きだ、愛している・・・だから・・・」
「お母さん?・・・構いません、でも・・・一緒に戦わせてください」
こいつマザコン?フレイはファザコンだけど・・・でもいいなにもかも、この男が苦しんでいるのを見るのは楽しい、私にとっては一番癒されるわ、私この男の涙を見たい。
「アスランさん・・・」
アスランを優しく抱きしめる。
アスランが驚いた顔でミリアリアを見上げる。
「戦うわ・・・」
「戦う・・・?」
「はい、心から・・・貴方と共に・・・私の想いも・・・」
そしてミリアリアの唇がアスランの顔に近づいた。
そしてアスランも無我夢中で、ミリアリアの色気の前に・・・アスランはミリアリアを押し倒した。
これでいいわ、この男に抱かれよう。

フレイはコ−ディネイタ−嫌いが解消しつつあるようだ。
ワガママお嬢様はあいかわらずだがフレイ自身も成長はしつつあるのだろう。
コ−ディネイタ−であるキラを好きになったというのが大きい、ラクスにも打ち解けてきた。
「ラクス♪」
「あ、あの・・・困ります」
「いいじゃない、私達の部屋も大部屋にしてよね、それからシャワ−室もっと大きくならない?それから今日泊まらせてもらうわよ」
キラが慌てる。
「フレイ!?ラクスさんの部屋に泊まるってどういう・・・そんな」
「朝言ったじゃない、私の部屋に戻るのは明日からだって、一日私がいないからって寂しがらないの」

417ザフト・赤毛の虜囚 59:2004/05/07(金) 06:23
10.親友 3/8
[親友なんてとんでもないわ]

ぼうっと考え事をしていた私は、ふと時計を見て、サイとの待ち合わせの時間が近づいて
いることに気がついた。慌てて日焼け対策の帽子とサングラスを掛けて席を立つ。
たくさんある買い物の紙袋を持って、その女性の脇を通り抜ける。
ちょっと、顔を覗きこもうと視線を女性に向ける。その時、……

紙袋がコーヒーカップに触れた。カップが跳ねる。隣の水の入ったコップが倒れる。

「や、何よ!」
コーヒーカップの跳ねた雫が、サイに見せようと着てきた、お気に入りの白い上着に跳ねた。

「ちょっと、上着にコーヒーの雫付いちゃったじゃない。どうしてくれんのよ」
私は、お気に入りを汚されて、ヒステリックに声を上げる。慌てて、ハンカチで雫をふき取ろうとする。

「冗談じゃ無いわよ。こっちこそ、水かけられて、いい迷惑だわ」

その、もの言いに、私は思わず言い返してしまう。
「これ高いのよ。染みになったら、どうすんのよ。ああ時間だ。まったく、何て災難かしら」

私は、女性の顔も見ずに、荷物を拾うと清算に向かった。

「こら、ちょっとくらい謝りなさいよ。ちょっと!!」
その女性は、私に向かって叫んでいる。私は無視して喫茶店を出た。

結局、染みのついた上着は、サイに見せられなくて、帽子とまとめて、コインロッカーに
放り込まざるをえなかった。おかげで、サイとの待ち合わせにも遅刻するし……
何よ! もうちょっと言い方あるじゃない。嫌な子。
サイのこと相談しようとも思ったけど、とんでもないわ。

でも、その子の酷さは、それだけじゃ無かった。間違って持ってきた、その子のものらしい紙袋。
手がかりになるかと思って、包みを開けてみた。その中身は……

いやらしいマンガの本。
まさか、ジェシカの言ってた彼氏とのあれやこれやって、こんなことするの……
ミーシャの言う、あの人と、あの人はデキてるって、こういうことなの?
わー わー わー!!

「フレイって、そういうの趣味だったんだ」
「ちょっとサイ、違うのよ。これは違うの。私、こんなの知らない」

そうなの、私は、もっともっと純粋に…… サイのことが……

「いや、いいんだよ。そういうのよくあるし。別に構わないよ。俺も、まさか、
 フレイがそうだとは思わなかったけど…… ちょっと見せてよ……
 へえ、凄いな…… フレイ、こんなので興奮するんだ」

カチン!!

「サイ〜、私のこと、そんな風に思ってた訳…… サイなんて嫌い!!」

パチン!!

嘘、嘘…… サイに怒っちゃった。喧嘩しちゃった。
もう、何よ、あの女。全部、アイツのせいよ。親友なんてとんでもないわ。嫌いよ嫌い!!
もう思い出したくも無いわ。

* * *

その数日後、ジェシカとミーシャに会ったときの会話。

「どう、フレイ? サイのどうだった。大きかった?」
「今度、港のイベント会場来ない。うちの男共紹介するから、彼氏持参でカラオケ・ハウスに
 篭って、アレコレ騒ごう」

「二人とも、ほっといてよ!」私は大声で怒鳴りちらす。

サイに謝るキッカケに人が悩んでいるのに、こいつらはもう!!
ああ、本当の親友が欲しい。なんでも、私のこと相談できる、本当の親友が……

418ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/07(金) 06:26
とりあえず、ミリィSSミナシロ編とのリンクは一段落。この後、もう一回くらい別の箇所をリンクして
使いまわす予定です。

>>過去の傷
ミリィ黒いぞ。そして、とうとうアスランも…… まさか、アスランも、誰かみたいに、マザコン呼ばわりされるとは。
フレイ様は、余裕が出てきてワガママぶりも復活。ラクスと仲が良いのはいいけど、カガリは、ほったらかし? かわいそ。

419過去の傷・131:2004/05/07(金) 10:59
アスランも自分自身が分からなかった、エリ−トだった、ザフトでもクル−ゼ隊に所属し、それなりに成果を上げてきたつもりだ、父上にラクス・クラインとの婚約の話も持ち出されこの17年間いい人生を歩んできた、キラのこと意外は。
それなのに自分は今・・・。
気がついたらミリアリアと寝ていた。
シ−ツの中に自分とミリアリアが二人でいることさえ気がつくのに時間がかかった。
なぜ?初めての体験だ・・・生まれて初めて、なぜ自分はこんなことをしているのか?自分は・・・なぜ?婚約者がいるのに自分はなんで・・・。
ミリアリアがそのアスランの様子を見て笑みを浮かべていることさえ気づかなかった。
成功だわ、この男と寝ることに・・・え!?
「すまない!」
アスランはベッドから起き上がるとミリアリアに頭を下げた。
「黙って出て行ってくれないか、ほんとにすまない!俺はどうかしてて・・・ほんとはキラとラクスとカガリとフレイ・アルスタ−、エザリア・ジュ−ル以外の人間には興味ないんだ」
ミリアリアは黙って起き上がると服を着始めた。
「アスランさん、やめてください・・・私いいかげんな気持ちでアスランさんと・・・だから・・・それにもう私達関係を持ったんですから今更それはないと思います・・・」
「分かるだろ!?ラクスに見つかったら俺だけじゃなく君もただではすまないんだぞ!」
「そんなことは関係ありません」
そう言うと抱きつく。
アスランは絶望する。

「キラ君、このあと予定ある?」
アサギに問われ。
「え・・・?フレイもいないし暇だけど」
「ねえねえ!なら・・・部屋に上がってもいい?」
「え!?それは・・・ひ!?」
答えようとして言葉につまる、フレイが物凄い形相でキラを見ているのだ。
「キラ、浮気は許さないわよ、て・・・なにこの子達となれなれしく話してるのよ!」
フレイの嫉妬深さはある意味異常である、キラが他の女の子と話してるだけですぐ怒り出す、カガリのときもそうだった。

「いままで意地悪したりしてごめんね」
「いえ、いいんです」
一時間後、ラクスの部屋に泊まることになったフレイだが・・・。
「あ、私ちょっとアスランに会いに行きます」
「アスランさん?」
「はい」

420散った花、実る果実45:2004/05/07(金) 22:18
私の悲しみとは別のところで、日々は風のように過ぎ去ってゆく。
「フレイ!あのね、私、今まで程あなたの面倒を見れないかもしれないの」
何故か嬉しそうにリスティアは言う。
「どうしたの?私の面倒見ないことがそんなに嬉しい?」
意地悪な気持ちも手伝ってそう問い返したけれど、今は彼女がそんな冷たい人間ではないということを知っていた。
彼女はナチュラルを知らないだけだ。・・・以前の私がコーディネイターを知らなかったように。
知らないことでナチュラルとコーディネイターへの溝は、なんと深く刻まれたことだろう。
なんて悲しい戦いが、そのせいで起こったのだろう。
「違うわよ!そうじゃなくて!私、実戦に出られることになったの!」
思ったとおり、私の問いを否定して、彼女は全身で喜びを表している、けど・・・実戦って・・・
「嫌だ・・・実戦って・・・危ないじゃないの・・・・・死んじゃったり・・・怪我でもしたらどうするのよ・・・・」
おびえた私に、リスティアは諭す様に続ける。
「いやあね、何言ってるの。コーディネイターである私が、ナチュラルになんて遅れをとるわけないじゃない。それにね、最初だし、そんなに危険な任務ってわけじゃないのよ?地球での小競り合いをある程度鎮めておかないと、宇宙に出るとき、邪魔になるでしょ?それで少し叩いておこう、ってわけ。大した戦闘じゃないのよ」
彼女はそういうけど・・・・・・『帰ってから』そう、何でもない事のように言ってそれきり帰らなかったキラの思い出が胸をつく。
戦場に出るからには確実に無事に帰ってこられる保証なんて誰にもできないのに。
「でも・・・・・・」
「それにね。私は軍人なの。プラントの皆のために戦えるってことを、とても誇りに思っているのよ。あなたはナチュラルだから共感はできないかもしれないけど・・・・でもこれが私の仕事なの」
リスティアは、もう自分のできることが何か、見つけたんだ。
私がまだ、見つけられずにいるもの。自分の存在意義。自分のなすべきこと。
「そう・・・・おめでとうって、言ってあげるべきなのかしらね」
「そうよ!だからあなたももうちょっとしっかりしてね。私が付いていなくても大丈夫なくらいに」
そう言って晴れがましく笑う彼女の顔は生き生きしていて、彼女を応援しなくちゃって、そう思った。
「怪我なんかして帰ってきたら笑ってやるからね。まして、もし帰ってこなかったりしたら、末代まで語ってやるから。だから無事に帰ってきなさいよ。あなたの分まで仕事とっといてあげるから」
そう言って、彼女の無事を祈る。今の私にはその程度のことしかできなかった。
でも彼女には、キラのようにいなくなって欲しくはなかった。どうか彼女に何事もありませんように・・・・

421散った花、実る果実46:2004/05/07(金) 22:19
リスティアを心配する私を気遣ってか、それともナチュラルの捕虜なんて大して意識もされていないのか、私はリスティアの戦闘の様子を時々見せてもらう事ができた。
彼女が「さして危険な戦闘ではない」と言ったのは偽りではないらしく、その多くは小さな小競り合い、といった風情だった。
「ナチュラルも馬鹿だよなあ・・・俺たちに敵うはずも無いのに」
戦闘を見ながら、おそらく私の見張り役を任されているのだろう男性兵士が言った。
目を向けると軽蔑もあらわに言葉を続ける。
「お嬢ちゃんもナチュラルだっけか?わかるだろう。ナチュラルがコーディネイターに敵う訳が無い。産まれ持った能力が違うんだから」
その言葉には反論の余地はなく、私は黙ってモニターへ視線を戻した。
「ミリアリアも隊長も甘い扱いをしているらしいが、これが俺たちの情けだって事を忘れないで貰いたいね。本当ならお前はこんなところで自由に過ごせる身分じゃないんだから。まあ隊長が何を考えているのか知らないが、俺たちはお前を認めたわけじゃないぜ」
反応しない私にかまわず彼はなおも続ける。
「ナチュラルなんか生かしておいても意味はないが、お前一人ここにいても何もできるはずがないからな、だから殺されないだけだ。お前はここにいるべき人間じゃない、そう思っている人間は少なくはないぜ。わかってるんだろう、それくらい」
「だから何よ」
思わず私はそう答えてしまっていた。
「生意気なんだよ、ナチュラル風情が。大きな顔して歩いてるんじゃないよ。少しばかり甘やかされたって、それで認められたと勘違いされたら敵わないからな。何しろナチュラルは馬鹿だから。」
むっとしたが、こんな男をまともに相手にするのも馬鹿馬鹿しいと思い、それ以上相手にする事をやめた。
ただ・・・・今でも私に敵意を持っている人が多いのは、確かにそうかもしれない。最近軟化してきた皆の態度や打ち解けてきたリスティアとのやりとりですっかり油断してしまっていたけれども・・・・・
でも、こうしていて、敵意のこもった視線を向けられることが少なくないのも確かだった。

それでも私の行動が制限されることはあまりなかったし、向けられる敵意も耐えられない程のものではなかった。
たまに話し掛けられてちょっとした会話をすることは私にも慰めになったし、リスティアの仕事ぶりを見ることはやはり励みになったから。
そう、頑張っているリスティアを見ることは楽しかった。
最初の頃の肩に入っていた力が抜けてきて、誇らしげに自分の仕事を語る様子には羨望を覚えた。
でも、プラントからの放送で、ラクス・クラインの叛意が自らの意思ではなく、ナチュラルに騙されてのものだ、という演説が始まってからは、私への視線も少しずつ厳しいものへと変わっていった。
そんな時だった、非常事態を知らせるベルが鳴り響き、リスティアの所属する部隊が帰ってきたのは。

「何があったんですか!?」
その辺にいるザフト兵を捕まえても忙しそうにするばかりで中々教えてもらえない。
「あの・・・・!」
とても仲良くはできそうにないが、いつも私の見張り役としてついていたあのザフト兵の顔を見つけ、私は必死に彼に訊いた。
「何があったの?今帰ってきたのはリスティアのいる部隊でしょう?今の非常ベルは何?」
「うるさいな!」
邪険に扱われたが、ここで頑張らないと事態を把握することができない。私はもう一度必死に彼に詰め寄った。
「お願い、教えて!どうなってるの!?」
「じゃあ教えてやるよ!今回の作戦は何があったのか大きな負傷者が出たんだ。それが誰だか教えてやろうか。お前の面倒を見ていたミリアリアだよ!」
ミリアリア・・・嘘・・・・・・
「まったく、あれだけナチュラルの面倒をみて、それでこんな怪我をして帰ってくるなんざ、ミリアリアもいい面の皮だな。恩をあだで返されるって言うのか・・・・おい!どこ行く気だよ!」
私は思わず駆け出していた。帰還したばかりだということは、きっとまだモビルスーツのデッキにいるか、医務室へと向かう途中に違いない。
ミリアリアの様子を、確かめなくちゃ・・・・・・・
────そうしてモビルスーツデッキへたどり着いた私の見たものは、コックピット周辺が異様に変形しているジンと、そこから運び出されたばかりのぐったりとして生気の無いミリアリアの姿だった。

422散った花、実る果実/作者:2004/05/07(金) 22:34
・・・ちょっととんでもない所で止めてしまったかも・・・・・
週末は外出してますので、週明けに続きを投下します。

>>流離う
アルフレット・・・素敵だ・・・・・・
フレイ様やキラにもこういう図太さがあったらもうちょっと人生楽なんだろうけど、やっぱり彼等はそういう器用な生き方はできないんだろうなあ・・・・

>>明日と終わりの間に
いやー、いいですね!こういうコメディー風の話。
作者さんのつっこみが絶妙で笑えました。
アスラン・・・哀れな・・・・・でもまあ、彼らしいと言えば彼らしいですかねー。

>>赤毛の虜囚
やはりミリィの同人誌を拾ったのはフレイ様だったのですね。
しかしサイ・・・・物には言い様が・・・・(笑)
フレイ様の彼に対する扱いも哀れと言えば哀れですが、まあ自業自得かな。

>>過去の傷
>ほんとはキラとラクスとカガリとフレイ・アルスタ−、エザリア・ジュ−ル以外の人間には興味ないんだ
・・・ええええーー??
ある意味ストライクゾーン広いような気もしますが・・・・アスラン・・・・どの道君は絶対絶命だよ・・・(文字通り)

423散った花、実る果実/作者:2004/05/07(金) 22:36
>>赤毛の虜囚
投下容量の件、ありがとうございました!
新規規格でどの程度か様子をみながら投下量を決めていこうとおもいます。

424流離う翼たち・472:2004/05/07(金) 22:52
 キラとカガリがナタルに呼び出されたのは、その日の昼頃であった。呼び出しを受けた2人はここ最近の行動を思い返し、何か落ち度があっただろうかと首を捻っている。何しろナタルに呼び出されるという事は、何らかのお説教を受けるという事だからだ。
 だが、2人の予想に反してナタルは2人を叱ったりはしなかった。ナタルの家のリビングには何故かキースもおり、入ってきた2人に右手を上げて挨拶してきた。

「よお、来たか2人とも」
「キースさん?」
「何の用なんだ、一体?」

 キラとカガリは良く分からないという顔を向かい合わせながら、勧められるままにナタルの部屋にある椅子に腰掛ける。そしてキースはいつもより少し暗めの表情でキラとカガリを見た。

「さてと、いきなりハードな話になるが、覚悟はいいか? まあ、決まって無くても言うけどな」
「「聞いた意味が無い!!」」

 キースの断りにキラとカガリが同時に突っ込みを入れた。そして言った後に何故かカガリとキースとナタルが驚いた顔でキラを見ている。キラは集まった視線に何だか居心地が悪そうに身動ぎした。

「あ、あの、何か?」
「いや、キラがツッコミ入れたの初めて見たからさ」
「お前にもそんな感性があったんだな。てっきり受け専門かと思ってた」
「いい傾向だ。このまま続けば良いのだが」

 何だかおもいっきりボロクソ言ってくれる3人。キラはキースの話を聞くまでも無くボロボロにされ、早くも肩を落として項垂れてしまっていた。
 キースはそんなキラを一瞥した後、コホンと咳払いを入れて話を切り出した。

「さてと、キラはもう知ってると思うが、アズラエルが言った通り、俺は最高のコーディネイターを殺す為に強化された調整体だ。今は強化人間とか言うらしいな」
「調整体って、何なんだよそれ?」

 カガリがキースに問いかける。彼女はその名に覚えがあった。前に立ち寄ったアティラウの街で、キースの実家で見つけた資料の中に確かにその名があったからだ。そこで見つけた資料から得た情報は自分には理解できなかったが、とんでもない代物だというのは何となく理解できている。

「調整体とは、ナチュラルがコーディネイターと戦うために生み出した戦闘個体だ。まあ、番犬みたいなものだな。ナチュラルの体に手を加えてコーディネイターと戦えるようにしたものだ。まあ、現実はそう都合よくいかなくて、俺たちは想定された敵ほどの能力を得られなかったわけだが」
「その、想定された敵っていうのは、何なんだよ?」

 カガリの問いに、キースは黙ってキラを見た。キースに見られたキラはビクリと肩を震わせ、慌てて顔を逸らせたが、キースはキラを見るのをやめなかった。そのキースの態度が何よりも雄弁に答えを伝えている。
 それに気付いたナタルとカガリは顔を青褪めさせてキースを見た。

「まさか、アズラエル氏の言っていた最高のコーディネイターというのは?」
「キラ、なのか?」

 2人の問いにキースは頷いた。それを見て2人はキラを見やる。確かにそう言われれば納得できない事も無い。これまで、キラはとてつもない強さを自分達に見せ付けてきた。ドゥシャンベで友軍と合流する前に敵と遭遇した時には、たった1機で並み居る敵機を蹴散らしていたし、あの砂漠の虎、バルトフェルドでさえ倒されている。自分達はそのキラの凄まじさに恐れを抱き、彼を避けたのだ。
 あの時感じた恐怖は、余りにも異質すぎる力を持つキラに対する恐れだったのだが、その力が最初からそのように考えて作られた力だとすれば、確かに納得できる。コーディネイターの中でも最強を目指したというのなら、それは確かに最強となりえるだろう。

425流離う翼たち・作者:2004/05/07(金) 23:19
ようやくフレイ様、成長ストーリーがほぼ完結。ここまでフレイ様はキース、マリュー、トール、ナタル、アスラン、カガリに手を引かれ、遂にアルフレットさんまで来ました
実はそれぞれが過ち、母、友情、厳しさ、鏡、絆ときて、最後のアルフレットが父を示してたりします。
一応、まだ最後にもう1つ残っていますが、それもいずれ出ます。
とりあえず次はキラの番、真実は劇薬なのです

>> 『明日』と『終わり』の間に・おやつの時間
シーナさん、貴女は閻魔帳まで付けていたのですか。既にイザークは完全に尻に敷かれてますね
しかしアスラン、お前は苦労したんだな。2週間ずっと食べたんだな。フレイ様は一口持たなかったのにw
ひょっとして、フレイ様もこうなる?

>> ザフト・赤毛の虜囚
ミリィの視点だった喫茶店のフレイ様バージョンですね。友達2人にたかられていたのか
この後ミリィから発したドタバタ劇が起こるのですね。っと思ってたら、その次であっさり見られてるw
これでサイは一生消えない傷を・・・・・・ジェシカとミーシャは普通の友達ですね

>> 過去の傷
ア、アスラン、君の好みの幅は一体? とりあえず1人に絞りたまえ。
なんかラクスがアスランに会いそうで、ちょっと不安です。

>> 散った花、実る果実
リスティアさん、張り切ってますねえ。まあ、出撃できなかった新兵なら仕方ないですが、戦局傾いた時の初陣は死亡率高いですよ
とか考えてたらいきなり負傷ですか。まあ、生きてただけ良かったですが
これでまたフレイ様と喧嘩、何て事にならなければいいけど。

426私の想いが名無しを守るわ:2004/05/08(土) 00:27
あんまりセックスネタはやめた方がいいと思う
ここがフレイ板でフレイ様はいい立場におかれているものの
他と兼任してる人もいるわけだしね
まあ、創作に余計なお世話だったら流してくれ。

427私の想いが名無しを守るわ:2004/05/08(土) 10:03
どこまでokかどうかが難しいところだよね。
創作の名を借りて他キャラがひどい目にあってるのも…自分はどうかと思う。
他所にも貼られることもあるんだしさ、フレイ板の住民でもここを見てる人は
少ないから誰も気付かないだけかもしれないけど。

428ザフト・赤毛の虜囚 60:2004/05/08(土) 10:42
10.親友 4/8
[ハーイ! ミリアリア]

本当の親友じゃないのかもしれない。だけど、それでもジェシカとミーシャは私の親友。
あれから二人はどうなったんだろう。

ヘリオポリスの襲撃で二人と離れ離れになって、アークエンジェルに乗り込んだ私は、親友どころか、
大好きだったサイとさえ関係を断って、ただ一人孤立した。復讐という暗い想いに囚われて。

私の心を打ち明けられるのは、憎いはずのキラの持つトリィだけだった。

<トリィ?>
「ねえ、トリィ聞いてくれる? 私のこと」
<トリィ……>
「私、キラにうまく話できているかな。また、キラに避けられたら、私、もう、どうしたら……」
<トリ、トリィ!>
「そうね、もう少しキラに優しくしてみる。キラの言うこと、すること、我慢してみる」

トリィは、言葉を話さないから、所詮は、私の独り言に過ぎない。だけど、それでも、トリィには
随分助けられた。

そして、アークエンジェルで旅を続けるうち、少しだけ私の心が他人に溢れた瞬間があった。
あの船酔いと腰痛で、自分の我が侭をキラにぶつけて、私が少し変わり始めた時のこと。

「ハーイ! ミリアリア」
「フレイ。久しぶりね。船酔いとか、腰とか、もういいの?」

「うん! もう大丈夫。これ洗っとくわね」
「どう、仕事」

「ちょっとサボってたんで、仕事たまってて大変。なんか、洗濯とか掃除とか、
 今まで、自分では、あまりやってなかったことだけど。
 私、こんなことくらいしかできないし。キラも、みんなも戦っているのにね」

キラへの復讐を少しだけ忘れて、ハイな気分のまま、なんだか、ミリアリアに昔からの
友達のように親しげに心境を語りかけた。ヘリオポリスの時でも、アークエンジェルに
乗ってからでも、あまり快く思ってなかった相手なのに……

私は、ミリアリアにキラのことを聞いてみる。

「キラは、どうしてる?」
「今、ザフトの機影は見つからないから、とりあえず待機中。
 モビルスーツデッキにいると思う。ストライクのメンテとか、スカイグラスパーとの
 連携シミュレーションとか、やってるんじゃないかな」

「ふうん」

部屋では、ずっと一緒にいるのに、キラが普段の仕事は何をしているのかさえ、よく知らなかった自分に、
今さらのように気がつく。それを教えてくれるミリアリアに親近感を感じる。
そして、ミリアリアに頼み事までしている自分がいる。

「私、夕方、早めに仕事上がるから、もし、話できたらキラに言っといてもらえるかしら」
「うん」

ミリアリアが、私の仕草を覗きこむ用意して聞く。

「どうしたの、まだ腰痛むの ?」
「ん! なんでも無いの。ちょっとね。きつくて…… あ、なんでも無い」

ミリアリアの私の素振りを心配したような言葉に、私は戸惑い、下半身に違和感を感じている、
いやらしい自分が恥ずかしくなった。

ジェシカやミーシャと、こんな話をしたことあったっけ?
自分の想いを話し、共通の人について話を聞き、そして、気づかいの言葉を掛けられる。
この瞬間、ミリアリアは私にとっては親友だったような気がする。
ミリアリアの方は、このとき、どんなことを思ったんだろう。

でも、もうミリアリアと、こんな話をすることなんてありえない。

「ミリアリア、あなたもキラが好きだったの……
 私もそうなの。そんなはず無かったのに、最初、そんなはず無かったのに。私、キラのことが……
 ミリアリア、あなたも同じなのね。私と同じなのね」
「違うわ、あなたがキラのことなんて…… コーディネータが嫌いなあなたが、そんな訳無い」

「変わったの私。変わってしまったの。キラが変わったように。キラと一緒に成長したのよ私……」
「違う! あなたなんか! あなたなんか!
 奪ってやる。キラのことなんか忘れさせてやる……」

* * *

物思いにふけっていた私は、ドアのロックが外れる音に我に返った。コール音が鳴る。
それで、私には誰が来たのか分かる。私は自分が捕虜として囚われている部屋のドアを開けた。

「ミコト……」
「ママ、また、お洗濯物」

「いつもありがとうミコト」
「ううん、こんなの、なんでもないよ。それにアタシ、ママに会えるの、うれしいもの。
 ママ、また髪撫でてちょうだい……」

「うん、いいわよ。泣き虫さん」
「嘘、違うって…… ママ」

はた目には、歳が近くて友達に見えるミコト。だけど、ミコトも、なにか親友とは違う気がする。
私の中に芽生え始めているものが、違うことを私に感じさせる。

親友って、私にできるんだろうか。心の内を少し相談できるだけでいい。本当の親友が……

429ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/08(土) 11:00
今回、まるでTV本編のような引用の羅列でした。すんません (汗)。
この時のミリィの心境は、ミリィSSの最初の方にあって、フレイの心境とは、まったくズレてるんですが、
だからこそ、私は面白いと思います。そして、現在の章のテーマと、今後の展開には必要な話でした。

>>過去の傷
アスラン我に返ると、キラよりずっとまともな反応を。しかし、エザリアはOKとは。カナーバは?
ミリィは、とりあえず目的達成だけど、これから、どうする。この話のラクスって、フレイ様以上に
嫉妬深かったような……

>>散った花、実る果実
ミリアリア・リスティアがなんてことに! MSに乗れることを喜んでいただけに、悲劇もひとしお。
フレイ様自身は、大分、ザフトでの身の振り方も身についてきたようですが、この事件に、
どんな想いを抱くのでしょうか。さらなる今後の展開も気になります。
ところで、リスティアが行ったのはビクトリア戦線じゃ無いですよね。

>>流離う翼たち
キースはクルーゼと違って、重大なこと、やけに明るいノリで伝えてますな。まあ、あの時は、
クルーゼもテンパってましたし、最高の…… の以前に、人工子宮がショックだったでしょうし。
後、TV本編も、これが不満だったんですが、最初に、二人がフレイ様を心配していることを、
なにげなく入れてくれると嬉しかったんですが。

フレイ様、成長ストーリーは完結というより、必要な出会いを経て、これから自分で考え、模索することが、
始まりではないかと思います。多分、作者さんも、そのつもりの言葉なのかもしれません。
これも個人的なワガママかもしれませんが、アルフさんが父だとすると、フレイ様の中で、ジョージ・パパとの
比較があると嬉しいです。
そう言えば、私の話でのジョージ・パパは、回想中では、慕いながらも、あまり、いい想いがありませんね。
なにせ、正体が、あの人なもので。

>>426-427
今後にも関係あり、考えさせてもらいます。しばらく小説を読んでいなかったので、もうちょっと、色々な分野の
小説を読んで、それに頼らないストーリー展開を勉強しないと……

430私の想いが名無しを守るわ:2004/05/08(土) 12:26
キャラの兼任もいることを配慮時して欲しい

431過去の傷・132:2004/05/08(土) 12:50
アスランはミリアリアに背を向けた。
今だ、この男がト−ルを・・・こいつが・・・。
ミリアリアはアスランの上着から護身用のナイフを取り出すとアスランを険しく睨みつける。
「ふうう!ふう・・・!」
「!」
「うわあああ!」
ミリアリアはアスランにナイフで襲い掛かった。
それをかわすアスラン、コ−ディネイタ−の反射神経のよさだ、しかしそれすら苛立たしく思える。
(やはりこういうことだったのか)
「馬鹿な真似はやめるんだ!」
馬鹿な真似?どこが馬鹿な真似よ?私をこんなふうにしたのは誰よ!?
「ト−ルの・・・ト−ルの仇!」
起き上がるとナイフを振り上げまた襲う。
「アスランどうしました!?騒がしいようですが」
「ラクス!」
ラクスが物音が聞こえたのかドアの前に立っていた、背後にはフレイも驚愕した表情を浮かべている。
「ミリアリアさん落ち着いてください」
ラクスがミリアリアを押さえつける。
「いやあ!離して!」
ミリアリアは押さえつけられながらも涙を浮かべながらアスランを凄い形相で睨みつける。
「あんたなんか・・・あんたなんか!なんでよ・・・なんでこんな奴が!ト−ルがいないのに・・・なんでこんな奴がいるのよ!ト−ルを返して・・・ト−ルを返してよ!」
ラクスも必死にミリアリアを押さえつけている。
ミリアリアも相当必死だったらしくラクスをなんとか突き放しラクスの衣装から銃を奪い取る。
「ミリアリアさんやめなさい!銃を返すのです!」
ラクスが叫ぶが無視すると銃をアスランに向ける。
「ふう・・・!コ−ディネイタ−なんか・・・皆死んじゃえばいいのよ!」
「駄目!!!」
瞬時にフレイがミリアリアに跳びつき銃声はこだましたが銃口はそらした。
「はあ・・・はあ・・・」
ミリアリアは今度はフレイを睨みつけた、その形相にフレイもたじろぐ。
「なによ・・・なにするのよ!なんで邪魔するのよ!なに正義感ぶってんのよ!あんただって憎かったじゃない!パパを殺したコ−ディネイタ−が!守れなかったキラが!あんただってキラを殺そうとしてたじゃない!それと同じよ!」
「違う・・・違う・・・」
「違わないわ!あんたも私と一緒!だいたいこの男はト−ルを殺しただけじゃなくキラも殺そうとしてたのよ!許せないわよ!こんな奴となんで同じ艦にいるのよ!」
「駄目、コ−ディネイタ−にもいい人いるわ、キラは好きだし、ラクスもアスランさんも・・・だから駄目、殺しちゃ駄目、大事な人達だから・・・」
そう駄目よ私気づいたの、だから駄目、殺しちゃいけないわ、駄目・・・。
「皆・・・どうしたの!?」
ドアの外にキラがいた、そして皆の様子に唖然としている。
「キラ・・・」
フレイはキラの胸に泣きながら飛び込んだ。
「フレイ・・・」
キラは恋人であるフレイを安心させるように抱きしめた。

432私の想いが名無しを守るわ:2004/05/08(土) 12:58
>430
自分も兼任だが、ここはフレイ板だしな。

433過去の傷・作者:2004/05/08(土) 13:01
>>ザフト・赤毛の捕囚
そうですね、フレイ様が他人を触れ合い成長しているところを見ると楽しいですね。
>>426、427、430
そうですね、これから気をつけます、他のキャラも考慮することも忘れないようにしなくては。

434『明日』と『終わり』の間に・作者:2004/05/08(土) 13:57
 自分もこうした点への配慮に欠けていました。これからは気をつけさせて頂きます。

》赤毛の虜囚
 なるほど、ミリアリアのミナシロでの思い出とこのようにリンクしていたんですね。何だかサイが気の毒でした。
 フレイ様にとっての本当の親友とは誰になるのか、気になりますね。

》散った花、実る果実
 リスティアさんが怪我を!?本人は喜んでいたばかりなのに何てことが・・・。帰還できたのは良いんですが大丈夫なんでしょうか?
 それと彼女がビクトリアに行ったかどうかは自分も気になります。何せあのソードカラミティやらゴールドフレーム・天やらが出撃してたぐらいですし、もしそうだったらよく生きて帰れたと思えます。

》流離う翼たち
 キースさんの口から真実が語られる時が来ましたか・・・。内容が衝撃的なだけにキラが耐えられるかどうか心配です。
 それにしてもキラがツッコミに回るなんて・・・、これも成長ということなんでしょうねw。

》過去の傷
 ま、またミリィが暴走を・・・!あの時の彼女は本当に怖かったです。しかも目の前にいるのは本物の仇ですし。
 それとアスラン、必死に秘密にしようとしてましたが、今回の件で何してたのかラクスにばれちゃったのでは・・・。

435私の想いが名無しを守るわ:2004/05/08(土) 14:02
過去の傷の職人さんはミリが嫌い?

436過去の傷・作者:2004/05/08(土) 15:52
>>435
いえ、そんなことはないですミリィは好きですよ、それにSSに感情を持ち込むことはないです。
それから言われた通りフレイ様以外のキャラに対しても配慮するように心掛けることにしてますので、これから出来ればこんなことはないようにしています。

437流離う翼たち・473:2004/05/08(土) 23:54
 だが、この話で誰よりも衝撃を受けたのはキラだった。まさか、自分がそんな存在だなどと、普通は考えない。

「僕が、最高のコーディネイター?」
「そうだ。お前はこれまで、自分の力に疑問を持った事は無いか? 訓練も無しにMSに乗り、クルーゼ隊の歴戦のパイロットを複数相手取って圧倒したりする。そんな事がありえると思うか?」
「それは・・・・・・・・・無いと思います」
「そう、ありえない筈だ。なのにお前はそれを平然と成し遂げてきた。立ちはだかる全てを薙ぎ倒し、死山血河を築いてきた。普通に考えればありえないはずなのに、お前にはそれが出来た。それはお前が特別な存在だからだ」
「僕が、どうして・・・・・・」

 キラは衝撃の余り焦点のあっていない目でうわ言を事を呟いている。まあ、自分が化け物として作られた、などと聞かされれば大きな衝撃を受けるだろう。だが、キースの話はこれで終わりではなかった。更に酷い話が続くのだ。

「さてと、話の掴みはこれ位で、ここからが本題だ」
「掴みって、あれでか!?」

 カガリが驚愕の声を上げるが、キースはそれにただ頷くだけで返した。

「キラ、まずお前の両親だが、あれはお前の本当の親じゃない」
「・・・・・・え?」
「お前の本当の両親はもう死んでいる。父親はユーレン・ヒビキ、母親はヴィア・ヒビキという。今のお前の母親、カリダ・ヤマトはヴィア・ヒビキの妹だ」
「な、なんで、僕の親は死んだんです?」

 その言葉に、キースは言い難そうに顔色を暗くした。

「お前は、メンデル研究所を知っているか?」
「いえ、知りませんが」

 キラはその名を聞いた事が無かった。カガリはあの資料に載っていた名前に緊張の色を見せている。そんな2人に変わってナタルが答えてくれた。

「確か、バイオハザードで放棄された研究所でしたね。L4にあるコロニーの1つの筈です」
「表向きにはね」
「裏があると?」
「そう、本当はブルーコスモスのテロで破壊されたのさ。遺伝子研究所なんて、ブルーコスモスの良い標的だからな。それに、そこでは最高のコーディネイターや、何と秘密裏に人間のクローンの研究まで行われていた。狙われるのも当然だろうな」
「馬鹿な、人間のクローンの研究は禁止されている筈です!?」

 ナタルがキースの言葉に驚きの声を上げるが、キースはそれを右手で制した。そう、クローンの研究は世界的に研究を禁止され、それを破る科学者はほとんどいないはずだ。だが、それが居たと言うのだ。

「そう、禁止されてる筈だが、ユーレン・ヒビキは自分の研究の資金援助を得る為にそれを行っていた。そして資金を得て最高のコーディネイターを研究し続け、膨大な犠牲の果てに生まれたのがキラ、お前だよ」
「その人は自分の子供まで犠牲に?」
「俺も詳しい事は知らないが、ユーレンは自分の妻から受精卵を取り出して使ったらしい。それがお前になったわけだ」

 それは、キラにとって悪夢とさえいえる話だった。出生を否定されるという事は、それまでの人生の根幹を否定される事にも繋がりかねない問題である。しかもその出生の秘密がここまで狂ったものとなれば、キラの受けた衝撃は生半可なものではあるまい。

438流離う翼たち・473:2004/05/09(日) 00:10
私はベッドシーンが出る事はないですが、戦闘などで酷い目にあうキャラはいるんですよね。こればっかりはちょっとどうにもならないんですが

>> ザフト・赤毛の虜囚
回想シーンですな。ミリアリアサイドのフレイ視点、ですか

>> 過去の傷
完全に医務室の再現ですな。ミリィは何処で銃を手に入れたんでしょう?

439過去の傷・133:2004/05/09(日) 09:15
この事件に関してラクスは非常に責任を感じていた。
「私の配慮が足りませんでした」
とラクスは言う。
もう深夜だ、食堂にフレイ、キラ、アスラン、そしてラクスがいた。
「ラクスは悪くなんかないわよ、自分を責めないの」
フレイが庇う。
「はい・・・すいません」
ラクスには二つの顔がある、一つは天然系・・・というよりプラントの歌姫の頃のラクス、もう一つはエタ−ナルの指揮官としての顔である。
今は歌姫の方だ。
「やっぱりアスランと、ミリィを会わせるのはまずかったかな」
「キラ!そんな言い方はないじゃない!」
「いや、いいんだ」
キラをフレイが叱りつけるがアスランはそれを押さえる。
「俺自身も分かってはいたんだ、俺と彼女が近くにいるのはまずいっては感じてはいたんだ。
そう、やはり少し無理はあったのかもしれない、アスランは言わばミリアリアにとっては恋人の仇である、ディアッカの頃とは違って本物だ、やはりアスランとミリアリアが一緒にいるのはいけなかったのだ。
そのミリアリアはキラと後から来たサイによって部屋に戻された、まだ感情が高ぶり体を震わせ涙を流しながらアスランにつかみかかる勢いだったが部屋に戻ると少し落ち着いたようだ。
「フレイは実際見たんだって?ア−クエンジェル内でも一度そんなことがあったって・・・僕はそのときいなかったし」
「ええ、サイと私とミリアリアと・・・捕虜がいたなんか金髪かしら?そんな髪の男」
「!」(ディアッカか・・・)
フレイは成り行きを説明した。
「そうですか、そんなことが・・・やはり近くに捕虜がいるというのは怖いですわね・・・」
「ラクス、それで彼女のことに関してはどういたしましょう、私と彼女が一緒にいるのはやはり無理があるのでは・・・」
「そうですね・・・やはり・・・」
今日は遅いこともありフレイはラクスの部屋に、キラとアスランはそれぞれ部屋に戻った。

次の日ミリアリアはラクスに呼ばれた、処罰だろうか・・・ラクスの婚約者に襲いかかったことや艦内でラクスの銃を発砲したことに対しての?
「・・・失礼します・・・」
ミリアリアはやつれていた、顔は青白かった。
「昨日はあんな事件を起こしてしまいすいませんでした・・・」
「それについては何も言いません、それより貴女に聞きたいことが」
「?」
「ディアッカさんに会いたいですか?」
「!?ディアッカ!?はい、会いたいです」
「分かりました、ならプラントに行きなさい、彼はいます」
「え・・・!?それって・・・」
「はい・・・ミリアリアさん、貴女は解雇です、艦から降りなさい・・・」

440私の想いが名無しを守るわ:2004/05/09(日) 18:10
ライトHなら〜とあるし、物語の進行上必要ならイイのでは。
自分はエロむしろ歓迎だけどw、エロパロスレになられてもなぁというのはある。
特定キャラが酷い目にあったり、というのも創作なのだから悪意はない、
または仕方ないというのも分かるが、ここはフレイ板であって、管理人さんにお借り
している場所なんだよね。2ちゃんとはまた違う。
本スレと違って、うやむやになってる感があるな。たまに避難所で話題には上るけど。
今はHPも無料で借りれるし、個人サイトを持つという手もあると思うけど。

441SEED if 〜Fllay Selection〜 ①:2004/05/09(日) 23:06
「状況が状況だから家にも帰してあげられないし、短い間だけど軍本部で面会が許可されました。」
マリュー艦長の声はサイ達にはとても優しく聞こえたと思う。
でも、私にはとても残酷だった。



オーブについて少したった日、私達はキラを除いて集められマリュー艦長から告げられた。
キラは何でもMSのOSどうのこうのとオーブの軍の方に行っているから。
キラにはもう伝えられているのか、これから伝えるのかはわからない。
だけど、サイ達と一緒よ。
「わ〜い。」
「うふふふ。」
「やったー。」
ただただ、喜ぶだけ。
マリュー艦長も微笑んでいる。
私だけが違う。
私には何もない。
あの時、パパを失って、サイを切り捨てた私には待つ人はいない。
みんなが喜んでいる中、私はこの場を離れる。
私の場所はもうどこにもない。
それがただただ悔しかった。
悲しかった。



サイ達が家族と会っている間、私は言われた仕事をしていた。
それは艦内の日常生活品の整理、家政婦みたいな仕事。
私にはみんなのようにコンピューターを扱うことができないから、こんな仕事しかなかった。
『何で軍隊なんかにいるんだろう。』
時々、そんな考えが頭に浮かんでくる。
意味のないこと、現に私は軍隊にいるのだから。



私は仕事を終え、艦内をぶらついていた。
ヘリオポリスの時にあった私の場所はどこにもない。
艦内の人たちとはほとんど話をしたことがない。
それは、当たり前のこと。
ずっと部屋に閉じこもっていたから。
だから、どこにいても声をかけられることもない。
廊下を歩いていた時に見てしまった。
なにも変哲もないただの部屋。
だが、私には感じることができない暖かい部屋だと思う場所。
サイ達のベットがある部屋。
気が滅入ってくる。
ため息を吐き、私はその場を離れた。
そこにいたら考えてしまう。
サイ達が家族に会って笑っていることを。

442SEED if 〜Fllay Selection〜 ①:2004/05/09(日) 23:07
どうしょうもなくたどり着いた場所はキラの部屋だった。
そこは私が寝起きをしている部屋。
だけど、つめたい部屋。
でも、なぜかここしかくる場所がなかった。
「おかえり。」
身体がビクッと震えた。
いるはずのないキラの声。
私は思わず振り返った。
『・・・キラ。』
コンピューターに向かって座っているキラがいた。
トリィがじゃれるようにキラの頭の上にのる。
いつもどおり。
『そんなはずない、そんなはずない。』
その思いが、口から漏れた。
「どうして・・・」
私の疑問の答えは返ってこない。
「ああ、ごめん。もう少しで終わるから。それとも先に食堂にいく?」
キラが信じられなかった。
いつもそばにいてくれたままのキラ。
「なんで行かないの?」
感情がコントロールできなくなる。
「ええ?」
キラは画面に向かいながらコンソールを操作する。
「キラも家族が来てるんでしょ?」
一瞬の沈黙の後、キラが言った。
「これ、思ったよりかかりそうでさ。早くやんないと。アークエンジェルの出向までに「うそっ。」」
私は机を叩きつけ、声を荒げた。
「なによ、同情してんの?あんたが、私に。」
目頭があつくなる。
「フ、フレイ・・・」
キラは呆然と見上げる。
当たり前のこと。
こんなにも感情が高ぶったのははじめてのことなんだから。
「私には誰も会いに来てくれないから。だから、可哀想って。」
「フ、フレイ。そんな・・・」
キラは思わず立ち上げる。
「冗談じゃないわよ。やめてよね、そんなこと。なんであたしがあんたなんかに同情されなきゃいけないのよ。
「フレイ・・・」
私は差し出してきたキラの手をはたく。
「辛いのはあんたの方でしょ。」
涙があふれてくる。
キラの同情に対する怒り。
同情される自分の立場への哀しみ。
そして、それでもキラがいてくれたことに対するほんの少しのうれしさ。
それが心の中に渦巻いて、言葉を止めることができない。
「可哀想なキラ。一人ぼっちなキラ。戦って辛くて、守れなくて辛くて、すぐ泣いて、だから。」
私はキラの胸を叩く。
「なのに、なのに何で私が同情されなきゃなんないのよ。」
涙が止まらない。
無力で、すがり泣くしかできない。
「もうやめてよ。・・・違うんだ、同情なんかじゃない。」
「うそよ。うそよ、うそよ、うそよ。」
キラは苦しそうな表情を浮かべる。
そして、私の背中に腕を回して抱きしめた。
「同情なんかじゃない。僕は君の事が好きなんだ。ヘリオポリスにいた時からずっと・・・。君の華やかな笑顔を見るだけで心が熱くなった。」
キラはギュッと腕に力を込めてくる。
「だから、君が傍にいてくれたことはたとえ同情でもうれしかった。」
私は呆然とキラを見上げた。
「だから、守りたかった。でも、僕は君を傷つけてしまった・・・」
キラが私を守ってくるていることは知っている。
そう、私が仕向けたから。
でも、キラの気持ちは知らない。
『キラは私のことがずっと好き・・・』
ぼっと顔が赤くなってくる。
何も考えられない。
「ごめんなさい。」
私はキラを押して、その場から逃げた。
「フレイ。」
キラの声を無視して走る。
キラの胸の中にいてはいけない。
その思いが私の中にあった。

443SEED if 〜Fllay Selection〜 作者:2004/05/09(日) 23:12
皆々様、はじめましてです。
このたび、フレイスキーとしての初めてのSSを書きました。
多々未熟なところがあると思いますので。
存分に指摘してください。
皆様のすばらしい作品はこれからじっくりと読ませていただきます。
後ほど、感想を書きます。
それでは失礼します。。

444流離う翼たち・474:2004/05/10(月) 00:22
 キースは更に話を続けようとしたが、ナタルに止められてしまった。

「大尉、一度休みましょう。既にヤマト少尉は限界です」
「そう、だな。落ち着くための時間を入れるか」

 キースは立ち上がると、ナタルとカガリを連れて部屋の外に出る。カガリが最後にもう一度室内を振り返ると、残されたキラの背中は、まるでこれまでと別人のように小さく、頼りなげに見えた。これがあのキラかとカガリが疑ってしまうほど、その姿は悲しかった。
 リビングを出た3人は、別室に移ると深刻そうな顔を見合わせた。キースは予想通りの結果に、ナタルは衝撃的なキラの過去に、そしてカガリは自分と繋がりがあるらしい数々の単語から導かれる答えにそれぞれ苦々しさを感じ、あるいはショックを隠せない。

「まあ、予想通りではあった」
「当り前ですよ。自分の両親が実は養父母で、本当の両親はテロで死んでいる。しかも実の親に実験動物にされていたなどと言われれば、私だって暫くは立ち直れないでしょう」
「まあそうなんだがな、かくいう俺だって、真実を知った時は流石に世の中が嫌になったもんだ」

 辛いのはキラだけじゃない、という事だ。確かにキラの生い立ちは不幸という言葉だけではすまないほどに悲惨でふざけた物だが、それに対抗するいう目的だけで体を弄繰り回されたキースも負けず劣らず不幸だと言えるだろう。まあ、性格の関係上、キースは余り深刻ではなかったりするが。

「まあ、あっちはもう少し置いておこうか」
「そうですね。それでは、紅茶でも淹れましょう」
「ああ、頼むよ」

 キースはやれやれと椅子に腰掛け、そしてカガリを見た。何故かさっきからカガリがじっとこちらを睨んでいるからだ。

「どうした、カガリ?」
「キース、私は、お前にどうしても聞きたい事が、確かめたい事があるんだ」
「確かめたい事?」

 不思議そうに聞き返すキースに、カガリはポケットから取り出したパスケースのような物から1枚の写真を取り出し、キースに渡した。それを受け取ったキースは写真を見やり、そして顔を驚愕に引き攣らせてしまう。

「・・・・・・どうして、お前がこれを?」
「やっぱり、あんたは知ってるんだな、この写真がなんなのか。私が何者なのかを」

 カガリは、これまでに無い程にきつい視線でキースを睨んでいる。それは、まるで敵を見るかのような眼差しであったが、同時に危うさ、儚さも含んでいる。それは昔の、自分の居場所を見失ったフレイにどこか似ていた。

445流離う翼たち・作者:2004/05/10(月) 00:29
>>440
こっちに載せるのは止めて、個人ページのみにした方が良いですかね

>> 過去の傷
ミ、ミリィが解雇・・・・・・いや、御時世で解雇という言葉はちと怖い
ミリィ、ディアッカに会いにいけるのかな

>> SEED if 〜Fllay Selection
初めまして。オーブでの一幕ですな
キラが本編よりも多く語ってるというシーンですか。続きを期待します

446ザフト・赤毛の虜囚 61:2004/05/10(月) 09:25
10.親友 5/8
[ジェシカとミーシャ side-M]

私の前に座っている二人、ジェシカとミーシャ、二人とも私の親友。

「メルデル、アンタ、ホントに彼氏いないの?」
「ええ、ジェシカ、何か変かな?」

「変って、アンタいくつよ。居て当たり前じゃない」
「でも、女子校だし」

「男子校とのコンパなんて、いくつもあるわよ。なんだったら紹介する?」
「ミーシャありがとう。でも、私、なんか違う気がして」

「何考えてるのよ、メルデル」ジェシカが顔を寄せる。

「なんかね、いつも思うのよ。誰か、私を待ってる人がいるような気がするの。
 もうすぐ会えるんじゃないかって」私は二人に思い切って、自分の想いを話す。

「メルデル、アンタ、まだ白馬の王子様待ってるの」
「いい加減、そんな少女趣味捨てなさいよ」

ジェシカもミーシャも呆れたように声を上げる。

「いいじゃないのよ。私の勝手なんだから」

私は、二人の呆れ顔に、言わなきゃ良かったと後悔する。

ここは、学校からの帰り道にある喫茶店。私は、パパの仕事のパーティで早く帰ろうとしていたところを、
ジェシカとミーシャに引き止められた。そして、いつの間にか、恋愛談義に花を咲かせている。

「今は、そんなの流行らないわ。いい男がいたら、こっちからモノにしないと」
「男なんて掃いて捨てるほどいるし、どんどん付き合わないと」

「そうそう、私の彼氏だってね。こっちから押さないと手も握れないような情けない男で……」
「ちょっと、ツボを擽るファッションで迫れば、男なんて向こうから寄って来るわ。よりどりみどり」

「ところが、ちょっと許した途端、その気になってもう…… 男なんて所詮こんなもんよ」
「一人の男なんて、堅苦しく考えないほうがいいよ。失望するのがオチ。もっと楽しまなきゃ」

「もう、いい加減にしてよ。二人とも!」
私は癇癪を起こして、私は置いてあるパフェをひっくり返さんばかりにテーブルを叩きつける。

ジェシカもミーシャも、勝手なことばかり言ってる。自分がどうだからって、人のことまで、
構うことないじゃない。さすがに、白馬の王子様は恥ずかしいけど、私には理想があるんだもの。

そりゃいいわよ、二人とも男の子と付き合い上手だし。ジェシカなんて、何度、彼氏の話を聞かされたか。
もう微に入り細に入り、私、顔を真っ赤にして、まともに聞けなかった。ミーシャは、そこまで
いかないけど、結構もてるって。男友達一杯いて、意外とみんな仲良くしているらしい。

ジェシカとミーシャ、二人との付き合いは長いけど、私はなんとなく距離を感じる。
男性感が違うのがあるんだけど、どうも二人のノリには付いて行けない。基本的に自分が面白がれば、
みんな喜ぶと思っているのよね。要するに自分勝手。私だって、まあ、そんなところあるけど。
人が困ってるの察して話を聞くとかいう訳でも無い。別に、ジェシカとミーシャが嫌いだって訳じゃないけど、
これで親友って言えるのかな。

「今日は、もう帰るわ。パパのパーティだし、フラガ叔父様も来るし」
「フラガ叔父様って、どんなの? カッコイイ人?」
「年上の叔父さんっていうのもツボよ。メルデル、ちょっとコナかけてみれば?」

私は、怒って叫ぶ。
「フラガ叔父様は、20歳以上離れてるのよ。そんな訳無いでしょ!」

私は、パフェを掻き込むと、レシートを持って席を立った。ちなみに、今日の払いは、
最初のジャンケンに負けた結果で私持ち。こんなこと言われると知ってりゃ、
素直に払うなんて言わなかったのに。

447ザフト・赤毛の虜囚 作者:2004/05/10(月) 09:27
私も個人サイトはありますが、数年間更新していませんし。著作権の関係から、創作系の模型を
謳っているので、SSは載せられません。人にすれば新規開設など、簡単にできると言われるかも
しれませんけど。とにかく、当初目的としていた一区切りまでは、ここでやらせていただきたいと思います。
そのために、投下方法の変更もあるかもしれません。

>>過去の傷
ううむ、この展開、私も失念してました。勘違いな感想付けてて済みません。
いろいろありましたが、ミリィは、これでディアッカと会えるようですね。良かったです。
話からは抜けることになりそうなのが残念ではありますけど。

ミリィがアスランと向き合う展開は、私のSSでも大きなテーマとして予定していました。
さて、そこまでできるでしょうか。

>>SEED if 〜Fllay Selection〜
オーブの、このシーン。私も、これをメインにして40数話のSSを書きました。
結果的に行動は変わらなくても、フレイ様は、キラのこんな言葉が欲しかったのかもしれませんね。
後、タイトルだけ見ると、今度出るゲームに関連した話かと思うのですが、違うのですよね。

>>流離う翼たち
螺旋の回廊始まりましたね。この時点のキラは、オーブ面会で両親を避ける気持ちになって
いないでしょうから、まさに寝耳に水の展開でショックだと思います。キースが大丈夫なのは、
性格以上に、それを乗り越える時間があったからでしょうね。単純に比較してはダメですよ。
とにかく、次はカガリですね。TV本編ではスルーされたので期待しています。
でも、フレイ様も、一緒に聞いて欲しかったですね。受け入れるために、まだ、大きな試練が必要だとしても。

個人サイトありますね。知りませんでした。章ごとにまとめられているので、話を追い易くはあります。
だけど、ほとんど、毎日のように更新され、リアルタイムで感想のやりとりがある、このスレは
楽しくもありますので、できれば、もう少し、こちらでも続けて欲しいと思っています。

448440:2004/05/10(月) 09:47
なんだか「投下やめろ」というふうに聞こえてしまったのなら申し訳ない。
自分も楽しみにしている作品もありますし、そういうつもりではないです。
ただ過度の性描写や、特定キャラが酷い目にあう、という場合、
カットするかしないで迷ったらそこは個人サイトに載せるというテもあるかなと。

ただたまに、こういう議論もすべきだとは思います。無法地帯にならんように。
では。

>>IF
面白そうですね。楽しみだー。

449私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 13:49
でも、過去の傷、はミリイをどうしたいのかわからん。
一人だけあんなポジションにおいてミリイを嫌いじゃないといわれても
信じられないというか。
実際どういうつもりで書いているのか知らないけど
フレイ板住人っってこんなやつばかり、て感じでコピぺられるのもいやなんだよな。
中の事は職人しかわからないんだから、最後まで読ませてもらってどういうつもりだったのか
見届けさせてもらおうと思う。
実際フレイ様マンセーは嬉しいけど、他のキャラを普通に好きな人間にとっては
ここで落とさなくても良いんじゃないの?とまで思えてくる。
そういうとここフレイ板だから、とかいう奴が出てくると思うが。
マンセー意見だけが欲しくて落としているわけでもないんでしょ?

450私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 14:41
ミリスレによく貼られてるのを見て、両スレの仲が悪くなるものはな、
と思う時もある。
貼るやつが悪いのは当たり前なんだけど。

451私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 16:47
その作品はミリィもフレイも酷い目にあってるけどね。
どっちかっていうとキラマンセーなのかなとすら思うよ。

452過去の傷・134:2004/05/10(月) 17:33
「いやあ!なんで私だけ!私残りたい!」
その数時間後のことだ。
ミリアリアは解雇という現実を付きつけられショックを受けていた、そしてアスランに連れられている、艦の外に出たとしても宇宙だ、乱暴だが脱出ポットに乗せることにした、ラクスにオ−ブに戻るかプラントに行きディアッカを探すか決めさせられ迷った結果プラントに行くことに渋々決めたのだが実際なってみると嫌になり駄々をこめているのだ。
「嫌です!なんで解雇なんて・・・クビなんて嫌です!」
「いいかげんにしろ!」
アスランに怒鳴られミリアリアは黙り込む。
「君はラクスによって解雇されたんだ、それだけのことをしたんだ君は!現実を見ろ!ラクスの命令なんだ、君はそれに従わなければならない!」
「そんな・・・」
「どうしてもというなら・・・ラクスさんに僕から取り下げるように頼み込んでもいいけど・・・」
キラが言うが。
「意思の固い彼女が許すと思うか?そもそも俺達が口出すことじゃないだろ」
アスランが否定した。
そうだ、ラクス・クラインという女性は一度決めたことはまげない、そもそも彼女は指揮官だ、部下のキラ達が口を挿むことはできない、それは婚約者のアスランも同様だ、それにいくらキラやアスランが頼み込んでもラクスは否定するだろう、それ以前に指揮官の命令だ、背くなど問題外である、例を上げればラウ・ル・クル−ゼにアスランが任務を受けそれを断ると同じである。
「キラ・・・サイ・・・」
悲しそうにキラと遠くから見ているサイに助けを求めるように見つめる、しかし彼らにはどうすることも出来ないのだ。
フレイもキラに寄り添い複雑そうな表情で見ている。
「それになんの不満がある?軍から抜けられるんだぞ、それともまさかア−クエンジェルに転属したいなどと言うつもりか?」
ミリアリアは諦めたのか小さく呟いた。
「・・・分かりました・・・艦から降ります」
「当然だ、君に選択の余地はない、では行くぞ・・・付いて来い、こっちだ」
「ミリィ・・・」
キラは悲しそうな表情で見ている。
ミリアリアはキラ達に頭を下げた。
「皆・・・さようなら・・・元気でね・・・フレイもサイも・・・」
「ミリアリア・・・」
フレイは悲しそうに呟く。
「それから・・・キラ」
「ミリィ・・・?」
「ごめんね・・・」
そう言うとアスランを追った。

一時間後。
ミリアリアの乗った脱出ポットが発射された。

453私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 19:45
これって本編のフレイ様にされて悔しかった扱いを全てミリイに押し付けてるかんじ。
フレイ様だけ凄くいい感じに扱われていて最高に気分はいいんだが。

454私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 19:56
>>453
う〜ん、フレイ様前半は酷いこといっぱいしているし、凄くいい扱い
って訳じゃないと思うけどね。とにかく最後まで読んでみないと作者さんの
意図もわからないしさ、しばらくは見守る方向で。

455私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:25
まあまあ皆、過去の傷の職人さんだって頑張ってるんだろうから・・・。
そう言わなくても・・・。
序盤は・・・だけどなんだかんだいってこのところはフレイ様いい感じに扱われてるし俺は応援するけどね。

456私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:31
このスレ、こんなに読んでる人がいたのか。
普段は死んだようなスレだし、みんな無視してると思ってたけど。

457私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:34
何を書くかは作者の自由、何を読むかは読者の自由のはず
でも無造作なコピペができるからネットは厄介なんだろうな

スレ間の諍いや軋轢までは知ったことじゃないが、比較的ノンポリな俺でも
創作中での扱いをそのままキャラヘイトに利用するのはどうかとは思う

458私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:42
あんまり言うとさ、作者さんがショック受けて投下やめる可能性もあるから少しくらいは褒めてもいいんじゃないかな。

459私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:42
ミリィの性格変わってるし。
カガフレもどうかと思った。

460私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:45
とりあえず、SSもしくは感想以外の書き込みは
本スレか避難所でやろう。以下何事もなかったかのようにどうぞ。

461私の想いが名無しを守るわ:2004/05/10(月) 21:46
本気で対処したければ、「二次創作一切禁止、スレ閉鎖」これしかない。
要するに、余所にコピペするような厨に対処する方法は無いってことだ。
どうせ何がどうなっても厨は馬鹿なことをするのだし。
何も言わずに放置するのが一番です。


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