したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

351キラ(♀)×フレイ(♂)・42−4:2004/04/26(月) 17:53
「おい、フレイ。何時も自分の立場だけ主張して、相手を一方的な加害者にしやがって。
言うに事欠いて「身体だけ利用されていた」だぁ!? それはテメエだろう!?
お前、今日までに何人の女の子を食い物にしてきたと思ってるんだよ!?」
ある意味、今のトールは自分の彼女(ミリィ)をフレイに人質に取られたようなもので、
キラに関して静観のスタンスを貫こうとしていたが、その誓いは、早くも破られた。
「だ…駄目よ、トール!」
沸騰してフレイに踊りかかろうとするトールをミリアリアは必死に宥めようとする。
ミリィはフレイを怖がっていたし、何よりも、どうせ最終的には、また例の口八丁手八丁
で言いくるめられるのが目に見えていたからだ。無論、トールとて馬鹿ではない。
彼女の予測している顛末ぐらい弁えていたが、それでも言わずにはいられなかったのだ。

「僕は今日まで一目惚れされたことはあっても、一度も一目惚れしたことはなくてね」
先の二人の期待(?)に応えてか、フレイがまた何やら珍妙な事を宣い始める。
「はあっ!?」「だから?」
ミリィは素っ頓狂な声を上げたが、トールは軽く眉を釣り上げただけで鉄面皮を守った。
流石にトールもいい加減フレイの遣り口に慣れてきたので、この後、話しがどう展開
するにしても、一々驚きのリアクションなど取ってはいられないということだろう。
「僕は超能力者ではないからね。その娘が自分に合うか否かは実際に付き合って
みなければ判らない。趣味や役割分担、一緒にいて楽しいか、さらには身体の相性
などを色々と試してみた結果、互いを不幸にすると判断したから別れたまでさ。
勿論、これは僕が大変に我儘なだけなので、彼女達には何の落ち度も責任もないけどね」

やっぱり、フレイは確信犯的なプレイボーイだわ。
彼の恋愛スタンスを聞かされたミリィは、今更ながらにフレイは悪辣だと思った。
確かに互いを知り合うのは大切な事だろう。けど、男の側の理論が勝ちすぎている。
男と女では失うモノの大きさが違うのだ。試される女の側としては溜まらない。
「それで、キラはお前の適正審査に合格したというわけか?」
その彼女の想いを代弁するかのように、トールが口を挟んだ。
「ああ、彼女は限りなく僕の理想に近いね。特に身体の相性は最高だよ」
再びミリアリアが絶句するぐらい、フレイはいっそ抜け抜けと男側の理(利)を主張する。
「それが納得いかないんだよ。許婚がいて、その上で、選り取り見取りの立場のお前が、
どうしてあれだけ嫌っていたコーディネイターのキラを選ぶんだよ!?そもそも…」
「おいおい、人を好きになるのに一々尤もらしい理由がないといけないわけかい?
それなら君は、ミリアリアを好きになった訳を原稿用紙800字以内で語ってみせろよ。
話の筋や思考に矛盾がないか、一つ一つネチネチと添削してあげるからさ」
トールが、前々から感じていた疑問をぶつけたが、反って茶化されてしまう。
暖簾に腕押しというか、フレイには何を言っても、霧散霧消されてしまうみたいだ。
「悪いけど、これで失礼させてもらうよ。君達だって僕と議論しても全然楽しくないだろ?
他人の色恋沙汰よりも、もっと自分達自身の幸福を追求した方が人生は楽しいと思うよ?」
フレイは再度、最後通告を突きつけると、二人を振り返ることなくパークから出て行った。


「ええい、くそ!」
トールはフレイから手渡されたトレイの中身を、勿体なくもゴミ箱の中に放り捨てる。
食べ物を粗末にするのは気が引けたが、「キラの件は観て見ぬ振りをしろ」とまるで
フレイに買収されたかのような嫌な錯覚を覚えたからだ。
トールは先のミリィの態度を苛めに喩えたが、それは彼自身にも適応可能な事象だ。
「苛めというのは、積極的に参加しなくても、ただ黙って見ている者もまた同罪である」
小さい頃から正義感が強く、竹を割ったように真っ直ぐな性格だったトールは、
そう信じて、加担はおろか、周りの虐めを見過ごした事さえも一度もない。
故にヘリオポリスの学園時代、単にコーディというだけで村八分状態だったキラを、
サイと共に自分達のゼミに招いて、彼女と交流を深めてきたのだ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板