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フレイ様人生劇場SSスレpart5〜黎明〜

340ザフト・赤毛の虜囚 50:2004/04/25(日) 07:12
9.母親(ママ) 2/8
[ユーレン・ヒビキだな。ちょっと、ご同行動向願おうか]

私は安らかな気持ちで目を覚ました。ここはホテルの部屋。

私はコロニー・メンデルのホテルを点々としていた。私は、彼を必要としている。
彼が私のところへ来るのを、ずっと待っている。ホテルのドアが、そっと叩かれる。

「誰?」私は問いかける。
「メルデル、僕だ」
「ユーレン!」

私は、喜んでユーレンを部屋に入れる。
「どう様子は? 研究所はどうなっているの? フラガは何もしていない?」
「とりあえずは大丈夫だ。ヴィアも、所長に言って、しばらく研究所に
 寝泊まりさせてもらっている」

「ヴィアは、なんて言っている」
「君が宇宙港に来なかったことで心配している。僕が最後に会ったことになっているから。
 食事に誘った時のこと。色々、聞かれているけど。途中で別れたと言ってある」

「ヴィア…… ごめんなさいユーレン、あなたにも嘘つかせて」
「構わないよ。君のためだ」

ユーレンは、私にキスをする。それで、私は、その気にさせられてしまう。

「メルデル、そろそろ、ここも引き払わないといけない」
「ユーレン、出て行く前に…… して」

「おい、そんなことしてる場合じゃ」
「ずっと待ってたの。してくれなくちゃ嫌」

「しょうが無い、お嬢様だな」
「誰のせいよ」

私はユーレンを手放すことができない。ヴィアに返したくない。ユーレンにヴィアの匂いが
付いていないか確かめたい。なんて醜い心の私。

* * *

私とユーレンは抱き合いながらホテルを出た。その時、私達二人を数人の集団が取り囲んだ。
私は青ざめた。ユーレンが私をしっかり抱き寄せる。私も、ユーレンの胸に隠れるように抱きついた。

「ユーレン・ヒビキだな。ちょっと、ご同行動向願おうか」
「ユーレンは見逃して。あなた達の目的は私でしょ」私は必死の声をあげる。

「誰だ? この女」

戸惑ったような声。おかしい、私を連れに来た、フラガの雇った者達じゃ無いの?

「お前など関係ない。我々が用事があるのはユーレン・ヒビキだ」
「だけど、この女も見逃せないわ。私達を見たんだから」

メンバーの中の、学生とも思えるような少女が言った。私が見ても美しい少女。髪は、
ややウェーブがかった細い髪質、それを後ろに簡単に結んでいる。その少女は、顔に
似合わない冷たい瞳で私を睨みつけた。そして、懐に忍ばせた手に拳銃をチラリと覗かせた。
私を殺すつもりだ。

「よせ、カリダ。無駄に血を流すな。一緒に連れて行くんだ」
「カリダ?」 私は呟いた。

「分かったわ」カリダと呼ばれた少女は拳銃に触れた手を放すと、他の男と一緒に私達を
近くに止めてあった車に乗せた。

「一体何者だ?」
ユーレンは車の後部座席で、隣に座る、さっきのカリダという少女に聞く。
「フラガの手のものじゃないの?」私も問いかける。

カリダは車の中で遠慮無く銃を抜いた。
「黙ってて、汚らわしい悪魔の使い。そこの女、フラガなんて知らないわ。
 私達はもっと崇高なものよ」

「カリダ、お前は過激すぎる。財団の理想を忘れたか」助手席の男がたしなめた。

カリダは、謝るように言葉を返した。
「済みません。この言葉に誓います。青き清浄なる世界のために」

「ブルーコスモス!」ユーレンが恐ろしいことを聞いたように呟いた。

私も聞いたことがあった。コーディネータ排斥を謳い、密かに暗殺までしていると
噂される圧力団体のことを。私はユーレンに体を寄せて震えた。


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